(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5663818
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】グリップ用カバー
(51)【国際特許分類】
A61F 7/08 20060101AFI20150115BHJP
A45C 13/26 20060101ALI20150115BHJP
【FI】
A61F7/08 361A
A45C13/26 T
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-98402(P2014-98402)
(22)【出願日】2014年5月12日
【審査請求日】2014年7月28日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514103394
【氏名又は名称】有限会社ブレスレン・インク
(74)【代理人】
【識別番号】110001405
【氏名又は名称】特許業務法人篠原国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100065824
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100104983
【弁理士】
【氏名又は名称】藤中 雅之
(74)【代理人】
【識別番号】100166394
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 和弘
(72)【発明者】
【氏名】山根 祐二
【審査官】
貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】
特許第3756624(JP,B2)
【文献】
実開平4−42847(JP,U)
【文献】
特許第4360512(JP,B2)
【文献】
実開平1−95917(JP,U)
【文献】
特開2003−93430(JP,A)
【文献】
実開平6−7533(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 7/08
A45C 13/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性の基材により略方形状に形成され棒状のグリップに巻きつけて使用するグリップ用カバーであって、
前記基材は使い捨てカイロ収納用のカイロ収納部を有し、
前記基材の四隅のうち対向する二つのコーナー部分にはそれぞれ磁石が設けられ、
前記基材の他の二つのコーナー部分からそれぞれ縁に沿って前記磁石方向に向けて、磁性材料製の所望長のチェーンが設けられていることを特徴とするグリップ用カバー。
【請求項2】
前記磁石及び(又は)前記チェーンは前記基材に対し着脱可能に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のグリップ用カバー。
【請求項3】
前記磁石及び(又は)前記チェーンに着脱部材が設けられているとともに、前記基材に前記磁石及び(又は)前記チェーンに設けられた前記着脱部材に対し着脱可能な着脱部材が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のグリップ用カバー。
【請求項4】
前記磁石及び(又は)前記チェーンは前記基材の内部に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のグリップ用カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寒冷時に防寒用にキャリーバッグやシルバーカーのグリップに巻きつけて使用するカイロ収納部を備えたグリップ用カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、寒冷時の寒さ対策として使い捨てカイロが広く使用されている。使い捨てカイロは直接被服や皮膚に貼り付けて使用する場合もあるが、使用用途に適合させるためや低温やけどの防止を目的として、カイロを収納して使用できるようにした用具も各種開発されている。
【0003】
例えば特許文献1として示す特許第3756624号公報には手袋の防寒作用を高めるため手袋にカイロを装着できるようにしたカイロ収納袋付の手袋が記載されている。
【0004】
また、特許文献2として示す実開平4−42847号公報には脚や腕などに巻きつけられる帯体にカイロを入れるためのポケットを設け、巻きつけて固定するために係止具を備えたものが記載されている。また、特許文献3として示す特許第4360512号公報には方形状に形成した基体にカイロ収納部を設け、この基体を折り曲げ可能とし折り曲げ後に両縁部を着脱自在としたものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3756624号公報
【特許文献2】実開平4−42847号公報
【特許文献3】特許第4360512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年高齢者が買い物などに出かける際にシルバーカーやキャリーバッグを利用する頻度が高まってきている。いずれの場合も使用する場合はグリップを手で握ることになるが、寒冷時にはグリップが冷たいためこのグリップを直接握ろうとすると寒さで手がかじかんでしまって十分に握りしめることができない。特に握力が落ちてきている高齢者の場合は確実に握ることができないと事故に結びつく危険性もある。
【0007】
この様な場合に、特許文献1に記載のカイロ収納袋付の手袋は手袋内にカイロを収納できるため手袋としての保温効果を高めるためには有用であるが、手袋をしていると手や指の動きが不自由になるため、例えばコートやズボンのポケットから何かを取り出したいような場合にいちいち手袋を外す必要があり不便であり、また手袋内にカイロを入れているためグリップのような細いものは握りづらくなる。
【0008】
一方、特許文献2や特許文献3に示されるものは寒さ対策のためにグリップに巻きつけて使用することは可能ではあるが固定方法に面ファスナーを用いているため、何回も面ファスナーの着脱を繰り返すと面ファスナーの表面にごみが付着したり面ファスナーの表面が毛羽立ってきたりする結果、使用しているうちに徐々に面ファスナーの接合力は弱くなってくる欠点がある。
【0009】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、キャリーバッグやシルバーカーのグリップにグリップの径にかかわらず簡単に巻きつけて使用することができ、かつグリップの握り易さに影響を与えず、しかもグリップへの着脱を繰り返しても巻きつけ部分の接合力が劣化することがないカイロ収納部を備えたグリップ用カバーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明のグリップ用カバーは、可撓性の基材により略方形状に形成され棒状のグリップに巻きつけて使用するグリップ用カバーであって、前記基材はカイロ収納部を有し、前記基材の四隅のうち対向する二つのコーナー部分にはそれぞれ磁石が設けられ、前記基材の他の二つのコーナー部分からそれぞれ縁に沿って前記磁石方向に向けて、磁性材料製の所望長のチェーンが設けられていることを特徴としている。
【0011】
また、本発明においては、前記磁石及び(又は)前記チェーンは前記基材に対し着脱可能に設けられていることが好ましい。
【0012】
また、本発明においては、前記磁石及び(又は)前記チェーンに着脱部材が設けられているとともに、前記基材に前記磁石及び(又は)前記チェーンに設けられた前記着脱部材に対し着脱可能な着脱部材が設けられていることが好ましい。
【0013】
また、本発明においては、前記磁石及び(又は)前記チェーンは前記基材の内部に設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、キャリーバッグやシルバーカーのグリップにグリップの径にかかわらず簡単に巻きつけて使用することができ、かつグリップの握り易さに影響を与えず、しかもグリップへの着脱を繰り返しても巻きつけ部分の接合力が劣化することがないカイロ収納部を備えたグリップ用カバーを得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係るグリップ用カバーの一例を示す底面図である。
【
図3】
図1のグリップ用カバーをグリップに取り付けた状態を示す説明用の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を実施するための形態を、
図1と
図2を用いて詳細に説明する。
本発明のグリップ用カバーは
図1に示すように略方形状に形成された可撓性の基材1の裏面側11の中央部にカイロ収納部2が設けられ、カイロ収納部2の一方の側(
図1において上側)は開口してカイロの挿入部3となっている。また、
図2に示すように基材1の表面側12のカイロ収納部2は握っている手への熱伝導を良くするためにメッシュ素材4により形成されている。
【0017】
本発明のグリップ用カバーはキャリーバッグやシルバーカーのグリップに巻きつけて使用するものであるため、基材1はグリップに巻きつけ可能な可撓性を有している必要があり、例えば布製とするが、合成樹脂製であってもよい。なお、図示した本実施例では基材1は表面側12と裏面側11との二枚の布地を重ね合わせ、その周囲を縫合するようにして形成されている。
【0018】
基材1の裏面側11の布地にはその一部が開口したカイロの挿入部3が形成されている。そして、表面側12の布地と裏面側11の布地の間に挿入部3から挿入されるカイロWが丁度収納できる大きさにカイロ収納部2が形成されるように、挿入部3と反対側の重ね合わせた表面側12と裏面側11の布地が縫合され収納部底部21が形成されている。なお、前記したように表面側12のカイロ収納部2部分をメッシュ素材4としてもよいが、表面側12の布地は全部同じ材質のものであってもよい。
【0019】
また、基材1の四隅のうち対向する二つのコーナー部分にはそれぞれ磁石5が設けられている。一方、基材1の他の二つのコーナー部分から基材1の縁に沿ってそれぞれ磁石5方向に向けて、磁性材料製の所望長のチェーン6が設けられている。例えば、
図1において上端の左右のコーナー部分には磁石5が設けられている。また、下端の左右のコーナー部分からそれぞれ対向する磁石5方向にチェーン6が設けられている。チェーン6の長さは巻きつけるグリップの太さにより適宜選択可能であるが、例えば図示したように左右の辺の長さの約半分程度とすればよい。
【0020】
磁石5は本発明のカバーをグリップに巻きつける際の邪魔とならないようにするために、必要な磁力を有する範囲では極力小さな形状のものがよく、例えば小さな正方形形状のものや円形形状とする。磁石5は小さくて強力な磁力を得るために、例えばネオジム磁石を用いる。またチェーン6は磁性材料製のものであれば何でもよいが、曲がり易く手になじみやすいように、磁石5と十分な吸着力を発揮できる範囲で小径のものが望ましい。なお、チェーン6を構成する鎖素子の形状についての制限はないが、磁石5との吸着面積を大きくするためには、平面部分が多い形状が望ましい。
【0021】
また、磁石5やチェーン6は基材1の表面側12と裏面側11の二枚の布地の間に挟まれるようにして基材1の内側に配設されている。このようにすると、磁石5やチェーン6が基材1の外に露出しないので、これらが直接手に触れることがないため本発明のカバーを触った際に磁石5やチェーン6の存在が邪魔とならず違和感を覚えることがなく、またデザイン性にも優れたものとなる。
【0022】
磁石5の基材1への取り付け方法としては、磁石5を基材1に直接縫い付けたり接着剤により接着させてもよい。また、洗濯時に磁石5を取り外せるようにするために、基材1のコーナー部分に小さな磁石収納部を設けてこの中に磁石5を挿入して配置するようにしてもよい。あるいは着脱部材としてスナップボタンを用い、磁石5に雄スナップボタンを取り付け、基材1側に雌スナップボタンを取り付け、このスナップボタンを利用して磁石5を基材1に着脱可能に取り付けるようにしてもよい。
【0023】
また、チェーン6の基材1への取り付け方法としては、例えばチェーン6の両端部のみを部分的に基材1に縫い付けて固定すればよい。またチェーン6の形状によっては基材1に対するチェーン6の縫い付け箇所をもっと増やしてもよい。あるいは、洗濯時にチェーン6を基材1から取り外せるようにするために、着脱部材としてスナップボタンを用い、チェーン6の両端部に雄スナップボタンを取り付け、また基材1側に雌スナップボタンを取り付け、このスナップボタンを利用してチェーン6を基材1に着脱可能に取り付けるようにしてもよい。
【0024】
なお、磁性材料として板状のものを使用すると自由に曲折できないためグリップへの巻きつけには不向きである。また、磁性材料としてチェーンのようにつながっていない小さな磁性材料を多数基材1へ取り付けようとすると1個ずつ取り付けなければならず取り付け作業が非常に面倒なものとなる。磁性材料としてチェーン6を使用することにより、基材1に対して自由に曲折でき、また基材1への配設がきわめて簡単になる。
【0025】
また、基材1は必ずしも二枚重ねとせず、カイロ収納部2のみ二枚重ねとしてその部分だけをポケット状に形成するようにしてもよい。この場合は、磁石5やチェーン6は基材1の表面に露出させて配設するか、あるいは磁石5やチェーン6の部分のみこれらをカバーするために別途カバー素材を設けるようにしてもよい。磁石5やチェーン6の部分がカバー素材で覆われている場合も磁石5やチェーン6は基材1の表面に露出していないこととなるため、磁石5やチェーン6は実質上基材1の内部に設けられていることとなる。
【0026】
なお、本発明のグリップ用カバーは上記実施例に限定されるものではなく、基材1に対しカイロ収納部2を設ける位置や数は適宜選択可能であり、また基材1の大きさは片手分の幅であってもあるいは両手で同時に握れる程度の幅であってもどちらでもよい。また、コーナー部分に設ける磁石5はそれぞれのコーナー部分に一個ずつ設ける例でもって説明したが、一つのコーナー部分に複数個の磁石を設けるようにしてもよい。また、チェーンも一本ずつでなく複数本ずつ設けるようにしてもよい。
【0027】
次に、上記した本発明のグリップ用カバーの使用方法を
図1〜3に基づいて説明する。
まず、使い捨てカイロの封を切り使用可能な状態としたカイロWをグリップ用カバーの挿入部3からカイロ収納部2へ挿入する。そして、シルバーカーやキャリーバッグのグリップGに表面側12のメッシュ素材4が外側を向くようにしてグリップ用カバーを巻きつける。
【0028】
グリップ用カバーをグリップGに巻きつけるときには、チェーン6側が内側で磁石5が外側となるようにする。そして、グリップGに対するグリップ用カバーの巻きつけ位置を調整した後、チェーン6に磁石5を吸着させるようにして端部を固定する。なお、チェーン6と磁石5の巻きつけ位置は逆でも端部の固定は可能であるがこの場合は余分なチェーン6が垂れ下がる場合があるので、チェーン6が内側(グリップGに近い側)となるようにして巻きつける方が望ましい。
【0029】
チェーン6はグリップGの形状に応じて自由に曲折可能であり、また磁石5はチェーン6と吸着する位置に制限はないため、チェーン6と磁石5を組み合わせることによりグリップGに対しグリップ用カバーの巻きつけ長さを自由に調節することができる。また、磁力により吸着させているため、面ファスナーのように使用により接合力が低下することもない。
【0030】
また、グリップ用カバーが不要となった場合やカイロWを交換する場合は、磁石5部分を持って磁石5をチェーン6から引き離すようにすれば、グリップ用カバーは簡単にグリップGから取り外すことができる。
【符号の説明】
【0031】
1 基材
11 裏面側
12 表面側
2 カイロ収納部
21 収納部底部
3 挿入部
4 メッシュ素材
5 磁石
6 チェーン
G グリップ
W カイロ
【要約】
【課題】キャリーバッグやシルバーカーのグリップにグリップの径にかかわらず簡単に巻きつけて使用することができ、かつグリップの握り易さに影響を与えず、しかもグリップへの着脱を繰り返しても巻き付け部分の接着力が劣化することがないカイロ収納部を備えたグリップ用カバーを提供すること。
【解決手段】可撓性の基材1により略方形状に形成され棒状のグリップGに巻きつけて使用するグリップ用カバーであって、前記基材はカイロ収納部2を有し、前記基材の四隅のうち対向する二つのコーナー部分にはそれぞれ磁石5が設けられ、前記基材の他の二つのコーナー部分からそれぞれ縁に沿って前記磁石方向に向けて、磁性材料製の所望長のチェーン6が設けられていることを特徴とする。
【選択図】
図3