【実施例】
【0018】
次に、実施例について本発明を説明する。
【0019】
参考例1
4-(2-ブロモテトラフルオロエトキシ)アニリンおよび4-(トリフルオロビニロキシ)アニリンの合成
(1) 4-ヒドロキシ安息香酸メチル100g(0.657モル)およびメタノール300mlからなる溶液に、反応容器を氷水で冷却しながら、水酸化カリウム(純度85%)43.4g(0.657モル)を少量ずつ加え、さらに3時間反応を継続した。減圧下でメタノールを除去した後、140℃、27Paで8時間減圧乾燥した。4-ヒドロキシ安息香酸メチルのカリウム塩が、無色の固体として119g(収率95%)得られた。
(2) 4-ヒドロキシ安息香酸メチルのカリウム塩50g(0.26モル)をジメチルスルホキシド150mlに溶解した溶液中に、窒素雰囲気下、60℃で、1,2-ジブロモテトラフルオロエタン89g(0.34モル)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに70℃、2時間および90℃、30分間の反応を行った。反応混合物を室温に冷却した後水150mlを加え、ジクロロメタンで生成物を抽出した。その後、通常の後処理を行い粗生成物を84g得た。これを減圧蒸留することで、4-(2-ブロモテトラフルオロエトキシ)安息香酸メチル(沸点75〜77℃、13Pa)を、無色の液体として81g(収率93%)得た。
(3) 4-(2-ブロモテトラフルオロエトキシ)安息香酸メチル70g(0.211モル)およびメタノール100mlからなる溶液に、水酸化カリウム(純度85%)18.1g(0.274モル)およびメタノール100mlからなるアルカリ溶液を室温条件下で加え、さらに4時間反応を継続した。得られた溶液に、水110mlおよび濃塩酸43gを加え、内容物を十分に混合した。遊離した生成物をジエチルエーテルで抽出し、その後通常の後処理を行い、4-(2-ブロモテトラフルオロエトキシ)安息香酸を、無色の固体として65.8g(収率98%)得た。
(4) 4-(2-ブロモテトラフルオロエトキシ)安息香酸65.6g(0.207モル)、塩化チオニル32.1g(0.270モル)、ジメチルホルムアミド2.0g(0.027モル)およびクロロホルム160mlからなる混合物を、50℃で2時間反応させた。減圧下でクロロホルムおよび未反応の塩化チオニルを留去した後、さらに残渣を減圧蒸留した。4-(2-ブロモテトラフルオロエトキシ)ベンゾイルクロリド(沸点68〜72℃、9Pa)を、無色の液体として67.3g(収率97%)得た。
(5) 4-(2-ブロモテトラフルオロエトキシ)ベンゾイルクロリド67.3g(0.201モル)およびテトラヒドロフラン200mlからなる溶液に、アジ化ナトリウム43.1g(0.663モル)および水140mlからなる水溶液を、反応容器を氷水で冷却しながら加えた。1.5時間反応を継続した後水200mlを加え、生成物をジクロロメタンで抽出した。その後通常の後処理を行い、〔4-(2-ブロモテトラフルオロエトキシ)フェニル〕アジドメタノンを、無色の液体として67.8g(収率99%)得た。
(6) 〔4-(2-ブロモテトラフルオロエトキシ)フェニル〕アジドメタノン67.7g(0.198モル)およびトルエン溶媒650mlからなる溶液を、100℃で1.5時間反応させた。減圧下でトルエンを留去し、次いで残渣を減圧蒸留した。4-イソシアナト-(2-ブロモテトラフルオロエトキシ)ベンゼン(沸点54〜56℃、33Pa)を無色の液体として53.8g(収率87%)得た。
(7) 4-イソシアナト-(2-ブロモテトラフルオロエトキシ)ベンゼン41.3g(0.132モル)、濃塩酸74mlおよび1,2-ジメトキシエタン150mlからなる混合物を、80℃で2時間反応させた。得られた反応混合物に、水酸化カリウム(純度85%)56gおよび水500mlからなるアルカリ水溶液を加えた。生成物をジエチルエーテルで抽出し、次いで通常の後処理を行った。さらに減圧蒸留を行い、4-(2-ブロモテトラフルオロエトキシ)アニリン(沸点65〜68℃、53Pa)を、無色の液体として33.6g(収率88%)得た。
(8) 4-(2-ブロモテトラフルオロエトキシ)アニリン 18.0g(63ミリモル)、Zn 5.3g(81ミリモル)および1,2-ジメトキシエタン300mlからなる混合物を、窒素雰囲気下で一夜加熱還流した。冷却後反応混合物をロ過し、ロ液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液500mlを加え、これをジクロロメタンで抽出し、通常の後処理を行った。減圧蒸留を行うことにより、4-(トリフルオロビニロキシ)アニリン(沸点85〜90℃、133Pa)を、無色の液体として8.8g(収率75%)得た。
【0020】
実施例1
(1) 4-トリフルオロビニロキシアニリン5.0g(26ミリモル)、2-ニトロベンゼンスルホニルクロリド7.1g(32ミリモル)およびピリジン2.5g(32ミリモル)を、100mlのジクロロメタン溶媒中、室温条件下で1時間反応させた。反応終了後、通常の後処理方法により、N-(4′-トリフルオロビニロキシフェニル)-2-ニトロベンゼンスルホンアミド9.7g(収率98%)を得た。
(2) N-(4′-トリフルオロビニロキシフェニル)-2-ニトロベンゼンスルホンアミド9.7g(26ミリモル)、ヨウ化メチル4.8g(34モル)および炭酸カリウム18g(130ミリモル)を、100mlのN,N′-ジメチルホルムアミド溶媒中、室温条件下で1時間反応させた。反応終了後、通常の後処理方法により、N-(4′-トリフルオロビニロキシフェニル)-N-メチル-2-ニトロベンゼンスルホンアミド9.7g(収率95%)を得た。
(3) N-(4′-トリフルオロビニロキシフェニル)-N-メチル-2-ニトロベンゼンスルホンアミド9.7g(25ミリモル)、メルカプト酢酸3.0g(50ミリモル)および水酸化リチウム・1水和物4.2g(100ミリモル)を、100mlのN,N′-ジメチルホルムアミド溶媒中、60℃で2時間反応させた。反応終了後、通常の後処理方法により、沸点59〜62℃(133Pa)の4-トリフルオロビニロキシ-N-メチルアニリン4.1g(収率80%)を得た。
1H-NMR(CDCl
3、300MHz)δ: 2.8ppm (singlet、3H、N-CH
3)
3.7ppm (brs、1H、N-H)
6.6ppm (doublet、2H、Ar)
7.0ppm (doublet、2H、Ar)
19F-NMR(CDCl
3、300MHz)δ:-122ppm(dd、1F、trans -CF=C
F2)
-129ppm(dd、1F、cis -CF=C
F2)
-134ppm(dd、1F、-C
F=CF
2)
赤外線吸収スペクトル(neat)γ:3430cm
-1
3090cm
-1
2900cm
-1
1840cm
-1
1600cm
-1
【0021】
実施例2
(1) 4-(2-ブロモテトラフルオロエトキシ)アニリン41.6g(144ミリモル)、ピリジン16.3g(207ミリモル)およびクロロホルム250mlからなる溶液に、2-ニトロベンゼンスルホニルクロリド38.1g(172ミリモル)を加え、1時間室温条件下で反応させた。通常の反応後処理により、N-〔4-(2-ブロモテトラフルオロエトキシ)フェニル〕-2-ニトロベンゼンスルホンアミドを、橙色の固体として66.9g(収率98%)得た。
(2) N-〔4-(2-ブロモテトラフルオロエトキシ)フェニル〕-2-ニトロベンゼンスルホンアミド66.9g(141ミリモル)、炭酸カリウム97g(705ミリモル)およびジメチルホルムアミド400mlからなる溶液にヨウ化メチル26g(183ミリモル)を加え、室温条件下で2時間反応を行った。通常の反応後処理を行い、N-メチル-N-〔4-(2-ブロモテトラフルオロエトキシ)フェニル〕-2-ニトロベンゼンスルホンアミドを、黄色の固体として68.4g(収率99%)得た。
(3) N-メチル-N-〔4-(2-ブロモテトラフルオロエトキシ)フェニル〕-2-ニトロベンゼンスルホンアミド55.5g(114ミリモル)、水酸化リチウム・1水和物19.1g(456ミリモル)およびジメチルホルムアミド400mlからなる溶液に、メルカプト酢酸21.0g(228ミリモル)を加え、60℃で2時間反応させた。通常の反応後処理を行った後、反応生成物を蒸留し、4-(2-ブロモテトラフルオロエトキシ)-N-メチルアニリン(沸点60〜67℃、13Pa)を、淡黄色の液体として28.5g(収率83%)得た。
(4) 4-(2-ブロモテトラフルオロエトキシ)-N-メチルアニリン 9.6g(32ミリモル)、Zn 2.5g(38ミリモル)および1,2-ジメトキシエタン150mlからなる混合物を、窒素雰囲気下で一夜加熱還流した。冷却後反応混合物をロ過し、ロ液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液300mlを加え、これをジエチルエーテルで抽出し、通常の後処理を行った。減圧蒸留を行うことにより、4-(トリフルオロビニロキシ)-N-メチルアニリン(沸点59〜62℃、133Pa)を、無色の液体として5.9g(収率91%)得た。
【0022】
参考例2
含フッ素ジカルボン酸フルオリド(l+m=120)78g(約4.5ミリモル)
を、含フッ素系溶媒(住友3M製品HFE-7100)90mlに溶解し、そこにトリエチルアミン1.9g(19ミリモル)およびジエチルエーテル36mlを加えた。これに、実施例1で得られた4-トリフルオロビニロキシ-N-メチルアニリン2.4g(12ミリモル)を加え、30℃で3時間反応を行った。得られた反応混合物を飽和食塩水に加え、分離した有機層を1.5重量%水酸化カリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ロ過した。減圧下でロ液から含フッ素系溶媒およびジエチルエーテルを留去した後、得られた粘稠な液体をジエチルエーテルで数回洗浄し、次いで減圧下でジエチルエーテルを完全に留去した。このようにして、含フッ素ポリエーテル化合物
を、僅かに黄色味を帯びた透明な液体として60g得た。E型粘度計(東機産業製TEV-22)により粘度を測定したところ、13Pa・s(25℃)であった。
19F-NMR(ケミカルシフトはCFCl
3基準): -125ppm(F
b)
-147ppm(F
c)
-124ppm(F
d)
-131ppm(F
e)
-139ppm(F
f)
1H-NMR(ケミカルシフトはTMS基準): 7.0ppm(H
a)
6.9ppm(H
b)
3.1ppm(H
c)
IR(neat): 1834cm
-1(C=C)
1703cm
-1(C=O)
1509cm
-1(Ar)