(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5663954
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】衝突試験装置の車両牽引機構
(51)【国際特許分類】
G01M 7/08 20060101AFI20150115BHJP
【FI】
G01M7/00 H
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2010-120842(P2010-120842)
(22)【出願日】2010年5月26日
(65)【公開番号】特開2011-247733(P2011-247733A)
(43)【公開日】2011年12月8日
【審査請求日】2013年4月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130498
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 禎哉
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 和俊
(72)【発明者】
【氏名】門脇 康浩
【審査官】
田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】
特開平05−142091(JP,A)
【文献】
特開2004−257734(JP,A)
【文献】
特開平07−035651(JP,A)
【文献】
特開2002−340732(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テスト車両を牽引する閉ループのワイヤロープと、当該ワイヤロープを繰り出し且つ牽引する駆動装置と、前記ワイヤロープを折り返して周回走行させるリターンシーブ装置とを備え、テスト車両の走行方向に沿って延伸する走行路及び、当該走行路の終端と前記テスト車両の走行方向下流側に配置される衝突対象物との間に設けられるピットの上方開口部を被覆するピットカバー上を走行するテスト車両を、前記ワイヤロープで牽引して前記衝突対象物に衝突させ、前記ピット内に設置したカメラで衝突状況を撮影可能な衝突試験装置に適用される車両牽引機構であり、
前記リターンシーブ装置を前記ピット内に設け、前記ピット内における前記ワイヤロープの走行軌跡を前記カメラの撮影可能範囲外に設定し、
前記リターンシーブ装置が、前記走行路の延伸方向に平行な水平軸周りに回転可能なシーブを備えたものであり、
さらに、前記ピット内に前記走行路の延伸方向に直交する水平軸周りに回転可能な中間シーブを設置し、
前記走行路の延伸方向に沿って走行した前記ワイヤロープが、前記走行路の終端を通過した後、前記中間シーブを経由して前記ピットの底壁に向かって降下しながら走行し、前記シーブで折り返して、再度前記中間シーブを経由して前記走行路内に戻り、周回走行するように構成していることを特徴とする衝突試験装置の車両牽引機構。
【請求項2】
前記リターンシーブ装置は、前記ピットのうち前記走行路に連続する起立壁に設けたものである請求項1に記載の衝突試験装置の車両牽引機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両衝突試験装置に適用される車両牽引機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、エンドレス(閉ループ)のワイヤロープで牽引して走行路上を所定速度で走行させた自動車等のテスト車両を衝突壁(バリア)や車両等の衝突対象物に衝突させて、その損壊状況等を試験する車両衝突試験装置が知られている。この衝突試験装置には、衝突対象物の直前にピットを設け、このピット内にセットしたカメラによってテスト車両の衝突状況(衝突した瞬間や衝突する前後の状況)を撮影できるように構成されているものがある。ピットの上方開口部は走行路面と面一な例えば透明または半透明のピットカバーによって覆われている。これにより、ピットカバー上を走行して衝突対象物に衝突するテスト車両の衝突状況を下方から撮影することができるようにされている。
【0003】
閉ループのワイヤロープの一方端にはウインチ等の駆動装置が配置され、他方端にはワイヤロープの走行方向を逆転させるリターンシーブ装置が配置されている。リターンシーブ装置を、衝突対象物の後方に配置する態様を採用した場合、ワイヤロープがピット内を通り過ぎる構成となるため、このワイヤロープがカメラに映ることになり、衝突状況の撮影に支障を来すおそれがある。また、リターンシーブ装置を衝突対象物の後方に配置した場合、リターンシーブ装置の設置スペース分だけ衝突試験装置の全長も長くなり、衝突試験装置の設置スペース(敷地)の確保が困難な環境下では導入し難いという問題がある。
【0004】
このような不具合を解消すべく、特許文献1には、ピットよりも手前であって且つ走行路から外れた位置にリターンシーブ装置(同文献におけるテンションプーリ)を設け、ワイヤロープをピットよりも手前で走行路から外れる方向(例えば平面視において走行路の延伸方向と直行する方向)へ案内して引き出し、ピットの直前までワイヤロープで牽引したテスト車両をワイヤロープから切り離して惰性走行させて衝突対象物(バリア)に衝突させるように構成した衝突試験装置が開示されている。なお、本願の説明において、「後方」とはテスト車両の走行方向下流側を意味し、「手前」とはテスト車両の走行方向上流側を意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−142091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1のように、ピットよりも手前でテスト車両をワイヤロープから切り離して慣性力によってそのまま惰性走行させる態様では、ワイヤロープから切り離した後のテスト車両の走行速度が変化しやすく、テスト車両が予定していた速度とは異なる速度で衝突対象物と衝突するおそれがあり、衝突試験の精度が低下するという不具合が生じる。したがって、惰性走行させる距離をできるだけ短くすることが望ましい。
【0007】
また、特許文献1のような態様では、走行路から外れた位置にリターンシーブ装置(テンションプーリ)を設置するための専用スペースを確保しなければならず、構造の大型化、複雑化及びコストアップを招来するものである。
【0008】
本発明は、このような問題に着目してなされたものであって、主たる目的は、ピット内にセットしたカメラにワイヤロープが映ることを防止し、且つ衝突対象物に可能な限り近い地点までワイヤロープでテスト車両を牽引することによってワイヤロープから切り離した時点以降のテスト車両の走行速度変化を抑制することが可能な衝突試験装置の車両牽引機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち本発明は、テスト車両を牽引する閉ループのワイヤロープと、ワイヤロープを繰り出し且つ牽引する駆動装置と、ワイヤロープを折り返して周回走行させるリターンシーブ装置とを備え、衝突試験装置に適用可能な車両牽引機構に関する。衝突試験装置は、テスト車両の走行方向に沿って延伸する走行路及び、当該走行路の終端と前記テスト車両の走行方向下流側に配置される衝突対象物との間に設けられるピットの上方開口部を被覆するピットカバー上を走行するテスト車両を、ワイヤロープで牽引して前記衝突対象物に衝突させ、ピット内に設置したカメラで衝突状況を撮影可能なものである。このような衝突試験装置では、テスト車両を衝突対象物に正面から衝突させる試験や、テスト車両を衝突対象物に正面以外の角度(側方や後方、斜め前方、斜め後方等)から衝突させる試験を行なうことができる。衝突対象物としては、衝突壁(バリア)や車両が挙げることができる。また、「衝突状況」とは、少なくとも衝突した瞬間の状況であり、衝突した瞬間の状況に加えて衝突する前後の状況をも包含するものであってもよい。
【0010】
本発明の車両牽引機構は、このような衝突試験装置に適用されるものであり、本発明の「テスト車両」には、台車等の車両も含まれる。また、衝突試験装置が、衝突対象物として走行中の車両を用いたものである場合、本発明の車両牽引機構(ワイヤロープ、駆動装置、リターンシーブ装置の組)をさらに1組設けることができる。
【0011】
そして、本発明に係る衝突試験装置の車両牽引機構は、ワイヤロープを折り返して周回走行させるリターンシーブ装置をピット内に設け、ピット内におけるワイヤロープの走行軌跡をカメラの撮影可能範囲外に設定し
、リターンシーブ装置として、走行路の延伸方向に平行な水平軸周りに回転可能なシーブを備えたものを適用し、さらに、ピット内に走行路の延伸方向に直交する水平軸周りに回転可能な中間シーブを設置し、走行路の延伸方向に沿って走行したワイヤロープが、走行路の終端を通過した後、中間シーブを経由してピットの底壁に向かって降下しながら走行し、リターンシーブ装置のシーブで折り返して、再度中間シーブを経由して走行路内に戻り、周回走行するように構成していることを特徴としている。
【0012】
ここで、「リターンシーブ装置」は、少なくとも1個のリターンシーブを備えたものであればよく、リターンシーブ以外のシーブ(例えばガイドシーブ等)を備えたものであっても構わない。
【0013】
このような衝突試験装置の車両牽引機構であれば、テスト車両を牽引しながら走行路の延伸方向に沿って走行した牽引ワイヤロープを、走行路の終端通過後に、ピット内に設けたリターンシーブ装置で折り返して、再度走行路内に戻って周回走行させることができる。したがって、ピット内においてリターンシーブ装置で折り返して周回走行する牽引ワイヤロープがカメラに映ることを防止でき、テスト車両の衝突状況をカメラで適切に撮影することができる。
【0014】
特に、本発明に係る衝突試験装置の車両牽引機構では、ピットの手前(ピットよりも走行方向上流側)で牽引ワイヤロープを走行路から外れる方向(例えば平面視において走行路の延伸方向と略直行する方向)に走行させる態様と比較して、テスト車両の走行方向に沿ったワイヤロープの走行距離を長く設定することができる。その結果、ワイヤロープから切り離された後のテスト車両の惰性走行距離をできるだけ短く設定することができ、ワイヤロープから切り離された時点から衝突対象物に衝突する時点までに生じ得るテスト車両の走行速度変化を抑制することができ、衝突試験の精度低下を有効に防止することができる。
【0015】
さらに、本発明に係る衝突試験装置の車両牽引機構は、ピット内にリターンシーブ装置を設置しているため、リターンシーブ装置を設置するための専用スペースを確保する必要がなく、構造の複雑化及び大型化を回避することができる。
【0016】
また、本発明に係る衝突試験装置の車両牽引機構では、ピット内におけるリターンシーブ装置の設置箇所を任意に設定することができるが、好適な設置箇所としてはピットのうち走行路の終端に連続する(交わる)起立壁が挙げられる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る衝突試験装置の車両牽引機構によれば、ピット内にセットしたカメラにワイヤロープが映ることを防止できるとともに、衝突対象物にできるだけ近い地点までワイヤロープでテスト車両を牽引することができるため、ワイヤロープから切り離した時点以降のテスト車両の走行速度変化を効果的に抑制することできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る衝突試験装置の全体構成模式図。
【
図2】同実施形態に係る衝突試験装置のうちピット近傍領域の平面模式図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0020】
本実施形態に係る車両牽引機構Kは、
図1に示すように、自動車等のテスト車両Tを牽引走行させ、所定速度で走行するテスト車両Tを衝突対象物3(
図1では衝突対象物3として「バリア」を示す)に衝突させ、その衝突状況をテスト車両Tの下方からカメラCで撮影する衝突試験装置Xに適用可能なものである。そして、衝突試験装置Xに設けた車両牽引機構Kは、衝突試験装置Xの一部を構成するものである。なお、衝突対象物3として車両を適用した場合には、車両同士を衝突させてその損壊状況をカメラCで撮影することもできる。
【0021】
衝突試験装置Xは、
図1及び
図1の要部平面模式図である
図2に示すように、テスト車両Tが走行する走行路1と、走行路1のうちテスト車両Tの走行方向Ta(走行路1の延伸方向)に沿って設置され、テスト車両Tを走行路1の延伸方向に牽引する閉ループの牽引ワイヤロープ2(本発明の「ワイヤロープ」に相当)と、走行路1の終端1aよりもテスト車両Tの走行方向Ta下流側に配置した衝突対象物3と、走行路1の終端1aと衝突対象物3との間に設けられ内部にカメラCを設置したピット4とを備えたものである。本実施形態では、周回走行する牽引ワイヤロープ2に連結させたドーリー装置5を駆動走行させることにより、連結用ワイヤロープ6を介してドーリー装置5に連結しているテスト車両Tを走行方向Taに牽引するように構成している。
【0022】
走行路1には、
図2及び
図3(
図3は
図1のa−a線模式断面図である)テスト車両Tの走行方向Taに沿って溝部11が形成され、この溝部11内にガイドレール12を設置している。そして、このガイドレール12内に、その長手方向(走行路1の延伸方向)に沿って牽引ワイヤロープ2を設置している。
【0023】
牽引ワイヤロープ2は、一方端に配置した駆動装置であるウインチ装置7により駆動走行し、他方端に配置したリターンシーブ装置8により折り返して周回走行するものである。本発明に係る車両牽引機構Kは、これら牽引ワイヤロープ2、ウインチ装置7及びリターンシーブ装置8を備えたものである。そして、本実施形態の車両牽引機構Kは、ウインチ装置7をテスト車両Tの走行スタート地点よりも走行方向Ta上流側に設置し、リターンシーブ装置8をピット4内に設置している点に特徴を有する。
【0024】
本実施形態では、ピット4のうち走行路1の終端1aに連続する(交わる)起立壁41にリターンシーブ装置8を設けている。リターンシーブ装置8は、
図1及び
図3に示すように、リターンシーブ本体81と、牽引ワイヤロープ2をリターンシーブ本体81に案内するガイドシーブ82とを備えている。本実施形態ではガイドシーブ82によって牽引ワイヤロープ2に適度なテンションを掛けている。本実施形態のリターンシーブ装置8は、これらリターンシーブ本体81及びガイドシーブ82を共通のベース83に回転可能に支持させ、このベース83をピット4の起立壁41に取り付けている。また、本実施形態の車両牽引機構Kは、リターンシーブ装置8を設置した起立壁41の上端部に、ガイドレール12内を走行した牽引ワイヤロープ2をリターンシーブ装置8にガイドするとともに、リターンシーブ装置8を通過した牽引ワイヤロープ2をガイドレール12内にガイドする中間シーブ9を設置している。なお、本実施形態の車両牽引機構Kでは、ウインチ装置7よりもテスト車両Tの走行方向Ta下流側には牽引ワイヤロープ2のテンションを調整するテンション装置10を設置している。
【0025】
ピット4の上方開口部42は、ピットカバー43によって閉塞し、このピットカバー43の上面と走行路1の上面(走行路面)とを面一に設定している(
図1参照)。ピットカバー43は、例えばアクリル製の透明又は半透明のものである。また、
図1に示すように、ピットカバー43のうち上述した中間シーブ9と干渉し得る部分には、適宜の大きさの切欠43aを形成し、中間シーブ9のスムーズな回転動作及びこの中間シーブ9を通過する牽引ワイヤロープ2のスムーズな走行動作を実現している(
図2では切欠43aを省略)。ピット4の底壁44には、ピットカバー43上を走行して衝突対象物3に衝突したテスト車両Tの状況を撮影するカメラCを設置している。また、本実施形態の衝突試験装置Xは、ピット4内に通じる作業通路Sを備えている(
図1参照)。これにより、ピット4内におけるカメラCやリターンシーブ装置8の設置作業やメンテナンス作業を容易に行うことができる。本実施形態では、ピット4における複数の起立壁のうちリターンシーブ装置8を設置した起立壁41以外の起立壁45に作業通路Sの出入口として機能する開口部45aを形成している。
【0026】
次に、このような構成をなす車両牽引機構Kを適用した衝突試験装置Xによる衝突試験方法及び作用について説明する。
【0027】
先ず、テスト車両Tとドーリー装置5とを連結用ワイヤロープ6によって連結し、ドーリー装置5に牽引ワイヤロープ2を取り付けた状態で、ウインチ装置7を作動させる。すると、牽引ワイヤロープ2が周回走行し、ドーリー装置5の駆動走行に伴い、テスト車両Tを走行路1の延伸方向(テスト車両Tの走行方向Ta)に沿って走行させることができる。そして、本実施形態の衝突試験装置Xは、ドーリー装置5が走行路1の終端1a近辺(可能な限りガイドレール12の終端に近い位置)まで走行した時点で、テスト車両Tとドーリー装置5との連結状態を解除して、テスト車両Tを衝突対象物3に衝突させる。この衝突時点の損壊状況や衝突前後の状況をピット4内に設置したカメラCによって撮影することができる。
【0028】
本実施形態の車両牽引機構Kでは、走行路1の長手方向(延伸方向)に沿って走行した牽引ワイヤロープ2は、走行路1の終端1aを通過した後、中間シーブ9を経由してピット4の底壁44に向かって走行(降下)し、リターンシーブ装置8で折り返して、再度中間シーブ9を経由して走行路1内に戻り、周回走行する。したがって、ピット4の起立壁41に設けたリターンシーブ装置8、及びこのリターンシーブ装置8で折り返して周回走行する牽引ワイヤロープ2がカメラCの撮影範囲に入ることはなく、テスト車両Tの衝突状況をカメラCで適切に撮影することができる。
【0029】
しかも、本実施形態の車両牽引機構Kは、ピット4の手前(ピット4よりも走行方向Ta上流側)で牽引ワイヤロープ2を走行路1から外れる方向(例えば平面視において走行路1の延伸方向と略直行する方向)に走行させる態様と比較して、テスト車両Tの走行方向Taに沿った牽引ワイヤロープ2の走行距離を長く設定することができる。その結果、ドーリー装置5や連結用ワイヤロープ6を介した牽引ワイヤロープ2との連結状態を解除したテスト車両Tの惰性走行距離をできるだけ短く設定することができ、牽引ワイヤロープ2との連結状態を解除した後のテスト車両Tの走行速度の変化を可及的に抑制することができ、衝突試験の精度が不意に低下することを有効に防止することができる。
【0030】
加えて、本実施形態の車両牽引機構Kは、ピット4内にリターンシーブ装置8を設置しているため、リターンシーブ装置8を設置するための専用のスペースを確保する必要がなく、構造の複雑化及び大型化を抑制することができる。
【0031】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、リターンシーブ装置を、リターンシーブ単体で構成してもよい。
【0032】
また、リターンシーブ装置は、ピット内のうち、カメラの撮影可能範囲外であれば任意の箇所に設置することができ、例えば、ピットの底壁のうちカメラよりも走行路側に配置することができる。
【0033】
また、例えば衝突位置を基準に放射状に延びる複数の走行路を形成し、各走行路にテスト車両を牽引走行させるためのエンドレスのワイヤロープを配設することもできる。そして、複数の走行路から選択した2つの走行路に沿って牽引走行される2台のテスト車両を衝突位置において正面衝突させる試験(正面衝突試験)、及び2台のテスト車両を側面(傾斜面を含む)から衝突させる試験(側面衝突試験)を行なうことができる。また、各ワイヤロープの牽引速度を異ならせて、衝突形態の異なる各衝突試験において異速度衝突試験も行なうことができる。これらの場合、2台のテスト車両のうち何れか一方のテスト車両を本発明の衝突対象物として捉えることができる。
【0034】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0035】
1…走行路
2…ワイヤロープ(牽引ワイヤロープ)
3…衝突対象物
4…ピット
41…起立壁
43…ピットカバー
7…駆動装置(ウインチ装置)
8…リターンシーブ装置
C…カメラ
K…車両牽引機構
T…テスト車両
X…衝突試験装置