【実施例】
【0029】
以下に本発明の実施例を含む実験を示し、本発明について更に詳細に説明する。本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0030】
[1]実験1−1〜1−7(触媒の検討)
炭素粒子に担持する金属の種類を変えて以下の実験1−1〜1−7を行った。結果を表1に示す。
【0031】
実験1−1
4−フルオロビフェニル37.0mg(0.25mmol)と、10重量%Pt/C(
白金担持炭素触媒、炭素粒子のBET法による比表面積1050 m
2/g、炭素粒子のレーザー散乱法により測定したメジアン径:24μm、炭素粒子1g当たりの白金の担持量:白金元素に換算して0.57mmol、エヌ・イー ケムキャット(株)製、商品名:10%Pt-C(W)Kタイプ)14.6mg(白金元素として7.5μmol)と、イソプロパノール2.0mlとを、試験管に投入し、雰囲気をアルゴンに置換した。温度を100℃に上げ、12時間攪拌して反応を行った。その後、得られた反応液をメンブランフィルター(Millipore製、Millex−LH、孔径0.45μm)を用いてろ過し、更にメンブランフィルターをエーテル15mlで洗浄した。得られたろ液を濃縮し、得られた濃縮物を
1H−NMRにかけた。得られたスペクトルから、原料である4−フルオロビフェニルの回収率、ならびに、生成物として得られたビフェニルおよびシクロへキシルベンゼンの収率を算出した。なお、本明細書において、原料の回収率とは、反応に使用した原料に対する反応後も未反応のままの残留する原料のモル比をいい、生成物の収率とは、反応に使用した原料に対するその生成物のモル比をいう。
【0032】
実験1−2
実験1−1において、10重量%Pt/Cに代えて、10重量%Pd/C(パラジウム担持炭素触媒、エヌ・イー ケムキャット(株)製、商品名:10%Pd-C(W)Kタイプ)8.0mg(パラジウム元素として7.5μmol)を用いた以外は、実験1−1と同様に反応・後処理を行い、原料の回収率および生成物の収率を算出した。
【0033】
実験1−3
実験1−1において、10重量%Pt/Cに代えて、10重量%Rh/C(ロジウム担持炭素触媒、エヌ・イー ケムキャット(株)製、商品名:10%Rh-C(W)Kタイプ)7.7mg(ロジウム元素として7.5μmol)を用いた以外は、実験1−1と同様に反応・後処理を行い、原料の回収率および生成物の収率を算出した。
【0034】
実験1−4
実験1−1において、10重量%Pt/Cに代えて、10重量%Ir/C(イリジウム担持炭素触媒、炭素粒子のBET法による比表面積1050 m
2/g、炭素粒子のレーザー散乱法により測定したメジアン径:24μm、炭素粒子1g当たりのイリジウムの担持量:イリジウム元素に換算して0.58mmol、エヌ・イー ケムキャット(株)製、商品名:10%Ir-C(W)Kタイプ)14.4mg(イリジウム元素として7.5μmol)を用いた以外は、実験1−1と同様に反応・後処理を行い、原料の回収率および生成物の収率を算出した。
【0035】
実験1−5
実験1−1において、10重量%Pt/Cに代えて、10重量%Au/C(金担持炭素触媒、エヌ・イー ケムキャット(株)製)14.8mg(金元素として7.5μmol)を用いた以外は、実験1−1と同様に反応・後処理を行い、原料の回収率および生成物の収率を算出した。
【0036】
実験1−6
実験1−1において、10重量%Pt/Cに代えて、10重量%Ru/C(ルテニウム担持炭素触媒、炭素粒子のBET法による比表面積1050 m
2/g、炭素粒子のレーザー散乱法により測定したメジアン径:24μm、炭素粒子1g当たりのルテニウムの担持量:ルテニウム元素に換算して1.10mmol、エヌ・イー ケムキャット(株)製、商品名:10%Ru-C(W)Kタイプ)7.6mg(ルテニウム元素として7.5μmol)を用いた以外は、実験1−1と同様に反応・後処理を行い、原料の回収率および生成物の収率を算出した。
【0037】
実験1−7
実験1−1において、10重量%Pt/Cに代えて、10重量%Ni/C(ニッケル担持炭素触媒、エヌ・イー ケムキャット(株)製)4.4mg(ニッケル元素として7.5μmol)を用いた以外は、実験1−1と同様に反応・後処理を行い、原料の回収率および生成物の収率を算出した。
【0038】
【表1】
【0039】
[2]実験2−1〜2−11(溶媒の検討)
反応に用いる溶媒の種類を変えて以下の実験2−1〜2−11を行った。結果を表2に示す。
【0040】
実験2−1
実験1−1において、反応溶媒としてイソプロパノールに代えて、アセトニトリルを用いた以外は、実験1−1と同様に反応・後処理を行い、原料の回収率および生成物の収率を算出した。
【0041】
実験2−2
実験1−1において、反応溶媒としてイソプロパノールに代えて、1,4−ジオキサンを用いた以外は、実験1−1と同様に反応・後処理を行い、原料の回収率および生成物の収率を算出した。
【0042】
実験2−3
実験1−1において、反応溶媒としてイソプロパノールに代えて、ジメチルスルホキシドを用いた以外は、実験1−1と同様に反応・後処理を行い、原料の回収率および生成物の収率を算出した。
【0043】
実験2−4
実験1−1において、反応溶媒としてイソプロパノールに代えて、ジメチルホルムアミドを用いた以外は、実験1−1と同様に反応・後処理を行い、原料の回収率および生成物の収率を算出した。
【0044】
実験2−5
実験1−1において、反応溶媒としてイソプロパノールに代えて、ジメチルアセトアミドを用いた以外は、実験1−1と同様に反応・後処理を行い、原料の回収率および生成物の収率を算出した。
【0045】
実験2−6
実験1−1において、反応溶媒としてイソプロパノールに代えて、シクロヘキセンを用いた以外は、実験1−1と同様に反応・後処理を行い、原料の回収率および生成物の収率を算出した。
【0046】
実験2−7
実験1−1において、反応溶媒としてイソプロパノールに代えて、テトラヒドロフランを用いた以外は、実験1−1と同様に反応・後処理を行い、原料の回収率および生成物の収率を算出した。
【0047】
実験2−8
実験1−1において、反応溶媒としてイソプロパノールに代えて、メタノールを用いた以外は、実験1−1と同様に反応・後処理を行い、原料の回収率および生成物の収率を算出した。
【0048】
実験2−9
実験1−1において、反応溶媒としてイソプロパノールに代えて、水を用いた以外は、実験1−1と同様に反応・後処理を行い、原料の回収率および生成物の収率を算出した。
【0049】
実験2−10
実験1−1において、反応溶媒としてイソプロパノールに代えて、tert−ブタノールを用いた以外は、実験1−1と同様に反応・後処理を行い、原料の回収率および生成物の収率を算出した。
【0050】
実験2−11
実験1−1において、反応溶媒としてイソプロパノール2.0mlに代えて、イソプロパノール2.0mlと水1.0mlとの混合溶媒を用いた以外は、実験1−1と同様に反応・後処理を行い、原料の回収率および生成物の収率を算出した。
【0051】
【表2】
【0052】
[3]実験3−1〜3−9(塩基添加の検討)
反応系に更に塩基を添加して以下の実験3−1〜3−9を行った。結果を表3に示す。
【0053】
実験3−1
実験1−1において、4−フルオロビフェニル、10重量%Pt/Cおよびイソプロパノールに加え、塩基としてトリエチルアミン0.275mmol(基質である4−フルオロビフェニルに対し、1.1倍モル)を試験管に投入した以外は、実験1−1と同様に反応・後処理を行い、原料の回収率および生成物の収率を算出した。
【0054】
実験3−2
実験3−1において、塩基としてトリエチルアミンに代えて、ピリジンを用いた以外は、実験3−1と同様に反応・後処理を行い、原料の回収率および生成物の収率を算出した。
【0055】
実験3−3
実験3−1において、塩基としてトリエチルアミンに代えて、水酸化ナトリウムを用いた以外は、実験3−1と同様に反応・後処理を行い、原料の回収率および生成物の収率を算出した。
【0056】
実験3−4
実験3−1において、塩基としてトリエチルアミンに代えて、炭酸ナトリウムを用いた以外は、実験3−1と同様に反応・後処理を行い、原料の回収率および生成物の収率を算出した。
【0057】
実験3−5
実験3−1において、塩基としてトリエチルアミンに代えて、炭酸カリウムを用いた以外は、実験3−1と同様に反応・後処理を行い、原料の回収率および生成物の収率を算出した。
【0058】
実験3−6
実験3−1において、塩基としてトリエチルアミンに代えて、水酸化カリウムを用いた以外は、実験3−1と同様に反応・後処理を行い、原料の回収率および生成物の収率を算出した。
【0059】
実験3−7
実験3−1において、塩基としてトリエチルアミンに代えて、酢酸ナトリウムを用いた以外は、実験3−1と同様に反応・後処理を行い、原料の回収率および生成物の収率を算出した。
【0060】
実験3−8
実験3−1において、塩基としてトリエチルアミンに代えて、酢酸カリウムを用いた以外は、実験3−1と同様に反応・後処理を行い、原料の回収率および生成物の収率を算出した。
【0061】
実験3−9
実験3−1において、塩基としてトリエチルアミンに代えて、炭酸リチウムを用い、さらに反応時間を12時間から3時間に短縮した以外は、実験3−1と同様に反応・後処理を行い、原料の回収率および生成物の収率を算出した。
【0062】
【表3】
※反応時間3時間
【0063】
[4]実験4
実験1−1において、4−フルオロビフェニルに代えて、1−フルオロナフタレン36.5mg(0.25mmol)を用いた以外は、実験1−1と同様に反応・後処理を行い、
1H−NMRのスペクトルを得た。得られたスペクトルから、原料である1−フルオロナフタレンの回収率、および、生成物として得られたナフタレンの収率を算出したところ、原料は全て転化し、ナフタレンの収率は99%であった。