(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記待機位置に複数の合流予定車両が存在する場合には、該複数の合流予定車両の各々が車群から離脱する離脱位置を取得して、該離脱位置が遠い順に待機位置に並ぶように、前記複数の合流予定車両に指示する並び替え指示手段を含む請求項1記載の車群走行制御装置。
前記並び替え指示手段は、前記制御対象道路に交差する従道路の双方向に合流予定車両が存在する場合には、該合流予定車両の離脱位置が遠い順に待機位置に並ぶように、順番に前記制御対象道路へ流入させる請求項2記載の車群走行制御装置。
前記合流指示手段は、前記合流予定車両が合流しようとする車群を形成する車両の台数が、所定台数を超える場合には、前記合流予定車両の車群への合流を指示しない請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の車群走行制御装置。
前記算出手段は、前記待機位置に複数の合流予定車両が存在する場合には、該複数の合流予定車両の各々が車群から離脱する離脱位置を取得して、該離脱位置が自車両の離脱位置より遠い合流予定車両の後方に自車両が並ぶような走行状態を算出する請求項6記載の車群走行制御装置。
前記算出手段は、前記制御対象道路に交差する従道路の双方向に合流予定車両が存在する場合には、該合流予定車両の離脱位置が遠い順に待機位置に並ぶように、自車両の前記制御対象道路へ流入タイミングを算出する請求項7記載の車群走行制御装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の特許文献1の車両群形成制御装置では、高速道路の合流道路から合流する場合などであれば、円滑な交通を達成することができるが、一般道において右左折などで車群に合流する場合には、合流する車両の後方の車両は大きな減速を強いられるため、後続車両へ大きな影響を及ぼすことになり、円滑な車群走行を達成することができない、という問題がある。
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、右左折による合流等の減速を伴う合流を行う場合でも、円滑な車群走行を実現することができる車群走行制御装置、プログラム、及び車群交通流制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、第1の発明の車群走行制御装置は、制御対象道路を走行する車群への合流を予定している合流予定車両から、該合流予定車両が前記制御対象道路上で待機する待機位置を取得する待機位置取得手段と、前記待機位置取得手段により取得した待機位置の後方の車群の速度及び位置を取得する車群情報取得手段と、前記車群情報取得手段により取得した車群の速度及び位置に基づいて、前記合流予定車両が前記車群の前方に合流するように、該合流予定車両に発進タイミングを指示する合流指示手段と、を含んで構成されている。
【0007】
第1の発明の車群走行制御装置は、待機位置取得手段が、制御対象道路を走行する車群への合流を予定している合流予定車両から、合流予定車両が制御対象道路上で待機する待機位置を取得し、車群情報取得手段が、待機位置取得手段により取得した待機位置の後方の車群の速度及び位置を取得する。そして、合流指示手段が、車群情報取得手段により取得した車群の速度及び位置に基づいて、合流予定車両が車群の前方に合流するように、合流予定車両に発進タイミングを指示する。
【0008】
このように、待機位置で待機する合流予定車両を、合流させる車群の位置及び速度に基づいて算出された発進タイミングで発進させることにより、円滑な車群走行を実現することができる。
【0009】
また、前記車群情報取得手段は、さらに、前記待機位置の前方の車群の速度及び位置を取得し、前記合流指示手段は、
前記車群情報取得手段により取得した前方の車群または後方の車群の各々の速度及び位置に基づいて、制限速度まで加速して走行した場合に、所定地点までに前記前方の車群に追いつく場合は前方の車群、追いつかない場合には後方の車群に合流させるように判定し、前方の車群に合流させる場合には、前記車群情報取得手段により取得した車群の速度及び位置に基づいて、前記合流予定車両が前記前方の車群の後方に合流するように、該合流予定車両に加速を指示し、後方の車群に合流させる場合には、前記発進タイミングを指示するようにすることができる。
【0010】
また、第2の発明の車群走行制御装置は、制御対象道路を走行する車群への合流を予定している合流予定車両から、該合流予定車両が前記制御対象道路上で待機する待機位置を取得する待機位置取得手段と、前記待機位置取得手段により取得した待機位置の前方の車群の速度及び位置を取得する車群情報取得手段と、前記車群情報取得手段により取得した車群の速度及び位置に基づいて、前記合流予定車両が前記車群の後方に合流するように、該合流予定車両に加速を指示する合流指示手段と、を含んで構成することができる。
【0011】
また、第1または第2の発明の車群走行制御装置は、前記待機位置に複数の合流予定車両が存在する場合には、該複数の合流予定車両の各々が車群から離脱する離脱位置を取得して、該離脱位置が遠い順に待機位置に並ぶように、前記複数の合流予定車両に指示する並び替え指示手段を含んで構成することができる。
【0012】
また、前記並び替え指示手段は、前記制御対象道路に交差する従道路の双方向に合流予定車両が存在する場合には、該合流予定車両の離脱位置が遠い順に待機位置に並ぶように、順番に前記制御対象道路へ流入させるようにすることができる。これにより、離脱時も考慮して、円滑な車群走行を実現することができる。
【0013】
また、前記合流指示手段は、前記合流予定車両が合流しようとする車群を形成する車両の台数が、所定台数を超える場合には、前記合流予定車両の車群への合流を指示しないようにすることができる。
【0014】
また、第1及び第2の発明の車群走行制御装置は、前記制御対象道路を含む周辺エリアの交通流を考慮して、該周辺エリアに存在する各車両の前記制御対象道路への流入位
置を含む経路を設定する設定手段を含んで構成することができる。
【0015】
また、第3の発明の車群走行制御装置は、制御対象道路を走行する車群へ合流するために、該制御対象道路上で自車両が待機する待機位置の後方の車群の速度及び位置を取得する車群情報取得手段と、前記車群情報取得手段により取得した車群の速度及び位置に基づいて、前記車群の前方に合流するような発進タイミングで発進して走行する走行状態を算出する算出手段と、前記算出手段により算出された走行状態を、前記自車両のドライバに提示する提示手段と、を含んで構成されている。
【0016】
また、前記車群情報取得手段は、さらに、前記待機位置の前方の車群の速度及び位置を取得し、前記算出手段は、
前記車群情報取得手段により取得した前方の車群または後方の車群の各々の速度及び位置に基づいて、制限速度まで加速して走行した場合に、所定地点までに前記前方の車群に追いつく場合は前方の車群、追いつかない場合には後方の車群に合流するように判定し、前方の車群に合流する場合には、前記車群情報取得手段により取得した車群の速度及び位置に基づいて、前記自車両が前記前方の車群の後方に合流するように自車両を加速させるような走行状態を算出し、前記後方の車群に合流する場合には、前記発進タイミングで発進して走行する走行状態を算出するようにすることができる。
【0017】
また、第4の発明の車群走行制御装置は、制御対象道路を走行する車群へ合流するために、該制御対象道路上で自車両が待機する待機位置の前方の車群の速度及び位置を取得する車群情報取得手段と、前記車群情報取得手段により取得した車群の速度及び位置に基づいて、前記車群の後方に合流するように自車両を加速させるような走行状態を算出する算出手段と、前記算出手段により算出された走行状態を、前記自車両のドライバに提示する提示手段と、を含んで構成されている。
【0018】
また、前記算出手段は、前記待機位置に複数の合流予定車両が存在する場合には、該複数の合流予定車両の各々が車群から離脱する離脱位置を取得して、該離脱位置が自車両の離脱位置より遠い合流予定車両の後方に自車両が並ぶような走行状態を算出するようにすることができる。
【0019】
また、前記算出手段は、前記制御対象道路に交差する従道路の双方向に合流予定車両が存在する場合には、該合流予定車両の離脱位置が遠い順に待機位置に並ぶように、自車両の前記制御対象道路へ流入タイミングを算出するようにすることができる。
【0020】
また、前記算出手段は、自車両が合流しようとする車群を形成する車両の台数を取得し、該台数が所定台数を超える場合には、車群への合流を禁止するようにすることができる。
【0021】
また、第3または第4の発明の車群走行制御装置は、前記算出手段により算出された走行状態となるように、前記自車両の走行状態を制御する走行制御手段を含んで構成してもよい。
【0022】
また、第5の発明の車群走行制御プログラムは、コンピュータを、上記第1〜第4の発明の車群走行制御装置を構成する各手段として機能させるためのプログラムである。
【0023】
なお、本発明のプログラムを記憶する記憶媒体は、特に限定されず、ハードディスクであってもよいし、ROMであってもよい。また、CD−ROMやDVDディスク、光磁気ディスクやICカードであってもよい。更にまた、該プログラムを、ネットワークに接続されたサーバ等からダウンロードするようにしてもよい。
【0024】
また、第6の発明の車群交通流制御システムは、上記第1または第2の発明の車群走行制御装置と、上記第3または第4の発明の車両に搭載された車群走行制御装置と、を含んで構成されている。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明の車群走行制御装置、プログラム、及び車群交通流制御システムによれば、待機位置で待機する合流予定車両を、合流させる後方の車群の位置及び速度に基づいて算出された発進タイミングで発進させるか、または、合流させる前方の車群の位置及び速度に基づいて加速させることにより、右左折による合流等の減速を伴う合流を行う場合でも、円滑な車群走行を実現することができる、という効果が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0028】
図1に、本実施の形態の車群交通流制御システムの適用場面の概略を示す。各車両は、本システムによる制御対象の幹線道路において車群を形成して走行し、制御対象の幹線道路の交差点を全て青信号で通過するように制御される。また、幹線道路と交差する従道路に存在する車両は、左折または右折により幹線道路に流入し、幹線道路上の車群に合流する。この合流する車両を合流予定車両という。合流予定車両は、同図(A)に示すように、例えば、従道路から左折により幹線道路に流入し、前方を走行する車群を追いかけることにより車群の後方に合流するか、または、同図(B)に示すように、例えば、従道路から左折により幹線道路に流入し、交差点等の待機位置で待機し、後方の車群が待機位置に到着するタイミングで発進することにより、車群の前方に合流する。
【0029】
図2に、第1の実施の形態の車群交通流制御システムの概略図を示す。第1の実施の形態の車群交通流制御システムは、道路管理センタ等に設置された車群走行制御装置10と、車群走行制御装置10により制御される信号機50と、幹線道路を含む周辺エリアに設置され、車群走行制御装置10と周辺エリア内の車両との間の通信を中継する路側機52と、信号機50及び車群走行制御装置10からの指示により走行が制御される車両60A、60Bと、を含んで構成されている。
【0030】
車群走行制御装置10は、
図3に示すように、キーボードやマウス等で構成された、各種情報を入力操作するための入力部12と、車群交通流を制御する処理を実行するコンピュータ14とを含んで構成されている。
【0031】
コンピュータ14は、車群走行制御装置10全体の制御を司るCPU16と、後述する車群走行制御プログラム等の各種プログラムを記憶した記憶媒体としてのROM18と、ワークエリアとしてデータを一時的に格納するRAM20と、各種情報が記憶された記憶手段としてのハードディスク(HDD)22と、入出力ポート(I/Oポート)24と、ネットワークインターフェース(ネットワークI/F)28と、これらを接続するバスとを含んで構成されている。
【0032】
また、コンピュータ14は、機能的には、
図2に示すように、各車両60A、60Bから送信された各車両60A、60Bの位置を示す位置情報及び車群の速度を示す速度情報を路側機52を介して取得し、車群と合流予定車両との位置関係、及び車群の接近状況を判定する車両位置判定部30と、車両位置判定部30の判定結果に基づいて、待機位置で待機する合流予定車両を発進させて車群に合流させるタイミングを算出する合流タイミング算出部32とを含んだ構成で表すことができる。
【0033】
車両60A、60Bは、入力部(図示省略)及びコンピュータ(図示省略)を含んで構成された制御部61を備えている。コンピュータの構成は、
図3に示した車群走行制御装置10のコンピュータ14の構成と同様であるので、詳細な説明は省略する。また、制御部61のコンピュータは、機能的には、
図2に示すように、路側機52及び周辺車両との間で通信を行うための通信部62を含んだ構成で表すことができる。
【0034】
なお、車両60Aは、車群への合流を予定している合流予定車両、車両60Bは、車群走行制御装置10により速度等を制御された車群の先頭車両である。また、これらを区別せずに用いる場合には、単に車両60A、60Bともいう。なお、車両60A、60Bは共に複数台存在してもよいが、
図2では、車両60A、60Bの各々1台のみを図示している。
【0035】
次に、第1の実施の形態の車群交通流制御システムの動作について説明する。まず、幹線道路上で車群が通過していないときは、幹線道路に対して赤現示、従道路へ対して青現示となるように信号機50を制御する。合流予定車両60Aは、この従道路への青現示信号に従って、従道路から幹線道路へ流入する。幹線道路上を車群が通過していないタイミングであるので、次の交差点の信号機50は赤現示となっており、合流予定車両60Aは、赤現示信号に従って、次の交差点で停止する。この位置が合流予定車両60Aの待機位置となる。待機位置で停止した合流予定車両60Aは、待機位置を示す待機位置情報を送信する。
【0036】
次に、車群走行制御装置10のコンピュータ14において、車群走行制御処理が実行される。ここで、
図4を参照して、第1の実施の形態の車群走行制御処理ルーチンについて説明する。
【0037】
ステップ100で、路側機52を介して、合流予定車両60Aから送信された待機位置情報を受信したか否かを判定する。受信した場合には、ステップ102へ移行し、受信しない場合には、受信するまで本ステップの判定を繰り返す。なお、同一の待機位置に複数台の合流予定車両60Aが存在する場合には、本ステップで複数の合流予定車両60Aから同一の待機位置情報を受信する。
【0038】
ステップ102では、幹線道路上を走行中の車群の先頭車両60Bから、先頭車両60Bの位置を示す位置情報及び速度を示す速度情報を取得する。そして、上記ステップ100で受信した合流予定車両60Aの待機位置に接近する車群を判定する。
【0039】
次に、ステップ104で、合流予定車両60Aが、待機位置に接近する車群の前方にスムーズに合流するのに適した発進タイミングとして、待機位置の信号機50の青現示時刻を算出する。青現示時刻は、待機位置に接近する車群が、待機位置の信号機50を通過する時刻T
Lを計算することで、求めることができる。例えば、下記(1)式に従って青現示時刻T
Bを算出することができる。
【0041】
ただし、t
sは発進遅れ時間、nは合流予定車両の台数、aは車両の発進時の加速度、v
0は車群の速度(車群走行時の定常速度)、Lは合流予定車両1台当りが占有している距離である。(1)式の右辺の{ }内の第1項は発進遅れの伝搬時間、第2項は最後尾の合流予定車両60Aが定常速度に達する加速に要する時間、第3項は最後尾の合流予定車両60Aが定常速度に達した位置と交差点(待機位置)との位置ずれを調整する時間を示している。発進遅れ時間については、合流予定車両60A間で車車間通信を行うことで、同時に発進できるように制御してもよい。この場合、発進遅れ時間を減少または0にすることができる。
【0042】
次に、ステップ106で、上記ステップ104で算出した青現示時刻を、待機位置の信号機50を制御する信号機制御装置(図示省略)へ出力する。
【0043】
待機位置で待機する合流予定車両60Aは、この信号機50の青現示に従って発進し、車群の速度となるまで所定の加速度aで加速する。そして、後方から接近してきた車群が合流予定車両60Aの最後尾の後方につき、合流予定車両60Aが車群の前方に合流する。
【0044】
以上説明したように、第1の実施の形態の車群交通流制御システムによれば、待機位置で待機する合流予定車両を、合流させる車群の位置及び速度に基づいて算出された発進タイミングで発進させることにより、車群の速度を変更することなく車群の前方に合流予定車両を合流させることができ、円滑な車群走行を実現することができる。
【0045】
なお、上記第1の実施の形態では、合流予定車両の待機位置を信号機50が存在する交差点としたが、待機位置は任意の位置とすることができる。信号機50が存在しない位置を待機位置とした場合には、上記の青現示時刻と同様に算出した発進タイミングを、路側機52を介して直接合流予定車両60Aへ送信するようにするとよい。
【0046】
また、上記第1の実施の形態では、車群走行制御装置10において、発進タイミングを算出する場合について説明したが、各車両において発進タイミングを算出するようにしてもよい。具体的には、
図5に示すように、合流予定車両60Aの制御部161に、車群に合流するための発進タイミングを算出する合流タイミング算出部64を設ける。そして、合流予定車両60Aの制御部161により、車群走行制御処理を実行する。この場合、合流予定車両60Aの制御部161が、本発明の車群走行制御装置として機能する。
【0047】
ここで、
図6を参照して、合流予定車両60Aの制御部161により実行される車群走行制御処理ルーチンについて説明する。本ルーチンは、合流予定車両60Aが待機位置に停止した後にスタートする。
【0048】
ステップ120で、待機位置に接近する車群、すなわち自車両の後方の車群の先頭車両60Bに、待機位置情報を送信する。
【0049】
次に、ステップ122で、上記ステップ120で送信された待機位置情報を受信した後方の車群の先頭車両60Bから送信された、先頭車両60Bの位置を示す位置情報及び速度を示す速度情報を取得する。
【0050】
次に、ステップ124で、上記ステップ104で青現示時刻を算出した場合と同様に、自車両の発進タイミングを算出して、次に、ステップ126で、発進タイミングを示す情報を出力して、処理を終了する。出力された発進タイミングを示す情報は、ドライバに音声や画面表示により提示するようにしてもよいし、合流予定車両60Aの走行状態を制御する走行制御装置に出力するようにしてもよい。
【0051】
また、車群走行制御装置10は、待機位置の先頭の合流予定車両60Aに距離nL(nは合流予定車両の台数、Lは合流予定車両1台当りが占有している距離)の位置まで進行して停止するように指示し、青現示時刻T
Bを先頭の合流予定車両60Aに通知するようにしてもよい。なお、合流予定車両60Aの台数nを、車車間通信により取得すれば、
図5に示した構成でも実現することができる。また、合流予定車両60Aの台数nを取得する際には、対向する従道路の双方に存在する合流予定車両の台数を考慮する必要がある。
【0052】
また、上記の実施の形態では、合流予定車両60Aが待機位置で待機する場合について説明したが、合流予定車両60Aは、従道路から幹線道路に流入後、徐行や低速走行を行いつつ、後方の車群の先頭車両60Bと車車間通信を行って、後方の車群が到着するタイミングにあわせて車群の速度まで加速を行うようにしてもよい。
【0053】
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では、合流予定車両を選択的に車群の前方または後方に合流させる場合について説明する。なお、第2の実施の形態の車群交通流制御システムの構成は、第1の実施の形態の車群交通流制御システムの構成と同一であるため、説明を省略する。
【0054】
ここで、
図7を参照して、第2の実施の形態の車群走行制御処理ルーチンについて説明する。なお、第1の実施の形態の車群走行制御処理と同一の処理については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0055】
ステップ100で、合流予定車両60Aから送信された待機位置情報を受信したと判定されると、ステップ200へ移行し、幹線道路上を走行中の車群の先頭車両60Bから、先頭車両60Bの位置を示す位置情報及び速度を示す速度情報を取得する。そして、上記ステップ100で受信した合流予定車両60Aの待機位置の前方の車群及び後方の車群を判定する。
【0056】
次に、ステップ202で、合流予定車両60Aが、制限速度まで加速して走行した場合に、次の交差点までに前方の車群に追いつくことができるか否かを判定する。追いつくことができる場合には、ステップ204へ移行し、追いつけない場合には、ステップ104へ移行して、第1の実施の形態と同様に、後方の車群の前方に合流する処理を実行する。
【0057】
ステップ204では、待機位置の交差点の信号機50が青現示となるように、信号機50を制御する信号制御装置に制御信号を出力すると共に、路側機52を介して、合流予定車両60Aに、加速する指示を送信する。
【0058】
以上説明したように、第2の実施の形態の車群交通流制御システムによれば、待機位置で待機する合流予定車両を、合流させる車群の位置及び速度に基づいて、前方の車群に合流させるか、または後方の車群に合流させるかを判定して、前方または後方の車群にスムーズに合流させるため、円滑な車群走行を実現することができる。
【0059】
なお、第2の実施の形態では、合流予定車両が前方の車群に追いつけるか否かにより、前方または後方の車群のいずれに合流させるかを判定する場合について説明したが、幹線道路を含む周辺エリアの混雑状況を考慮して、いずれの車群に合流させる方が優位であるかにより判定するようにしてもよい。また、車群を形成する車両の台数が一定数以上にならないように、車群を形成する車両の台数が少ない方の車群に合流させるようにしてもよい。
【0060】
また、車群の前方に合流する場合には、合流のために必要な距離を短くすることができるが、発進停止回数が増えるためCO2排出量が多くなる。逆に、車群の後方に合流する場合には、合流のために必要な距離は長くなるが、CO2排出量は少なくなる。このような傾向も考慮して、いずれを優先させるかにより前方または後方のいずれの車群に合流させるかを判定するようにしてもよい。
【0061】
次に、第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態では、合流予定車両が複数台存在する場合に、適切な順序に並び替えてから車群に合流させる場合について説明する。
【0062】
第3の実施の形態の車群交通流制御システムは、第1の実施の形態の車群交通流制御システムと車群走行制御装置の構成が異なるだけであるので、異なる部分についてのみ説明し、他の部分については説明を省略する。
【0063】
図8に示すように、第3の実施の形態の車群走行制御装置310のコンピュータ314は、機能的には、車両位置判定部30と、合流タイミング算出部32と、合流予定車両60Aが車群から離脱する離脱位置に基づいて、合流予定車両60Aの並び替えを判定する並び替え判定部34とを含んだ構成で表すことができる。
【0064】
ここで、
図9を参照して、第3の実施の形態の車群走行制御処理ルーチンについて説明する。なお、第1の実施の形態の車群走行制御処理と同一の処理については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0065】
ステップ100で、合流予定車両60Aから送信された待機位置情報を受信したと判定されると、ステップ300へ移行し、上記ステップ100で受信した待機位置情報に基づいて、同一の待機位置で待機する合流予定車両60Aが複数存在するか否かを判定する。複数存在する場合には、ステップ302へ移行し、1台のみの場合には、ステップ102へ移行する。
【0066】
ステップ302では、路側機52を介して、待機位置で待機する合流予定車両60Aから、各合流予定車両60Aの離脱位置を示す離脱位置情報を取得する。
【0067】
次に、ステップ304で、上記ステップ302で取得した離脱位置情報に基づいて、例えば、離脱位置が遠い順となるような並び順を決定し、決定した並び順を示す情報を、各合流予定車両60Aに送信する。この並び順を示す情報を受信した各合流予定車両60Aは、並び順に従って並び替えを行う。合流予定車両60Aから並び替えが終了したことを示す情報を受信した場合には、ステップ102へ移行し、第1の実施の形態と同様に、後方の車群の前方に合流させる処理を実行する。
【0068】
以上説明したように、第3の実施の形態の車群交通流制御システムによれば、合流予定車両を離脱位置が遠い順に並び替えて待機させることにより、離脱時も考慮して、円滑な車群走行を実現することができる。
【0069】
なお、上記第3の実施の形態では、車群走行制御装置310において、合流予定車両60Aの並び替えを判定する場合について説明したが、合流予定車両60Aにおいて並び替えを判定するようにしてもよい。具体的には、
図10に示すように、合流予定車両60Aの制御部361に、合流予定車両60Aの並び替えを判定する並び替え判定部66を設ける。そして、合流予定車両60Aの制御部361により、車群走行制御処理を実行する。この場合、合流予定車両60Aの制御部361が、本発明の車群走行制御装置として機能する。
【0070】
ここで、
図11を参照して、合流予定車両60Aの制御部361により実行される車群走行制御処理ルーチンについて説明する。なお、第1の実施の形態の、合流予定車両60Aの制御部61により実行される車群走行制御処理と同一の処理については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。本ルーチンは、合流予定車両(自車両)60Aが従道路から幹線道路へ流入した後にスタートする。
【0071】
ステップ320で、車車間通信により、周辺車両の位置情報を取得し、待機位置に他の合流予定車両60Aが存在するか否かを判定する。他の合流予定車両60Aが存在する場合には、ステップ322へ移行し、存在しない場合には、ステップ120へ移行する。
【0072】
ステップ322では、他の合流予定車両60Aの離脱位置情報を取得し、次に、ステップ324で、上記ステップ322で取得した他の合流予定車両60Aの離脱位置と自車両の離脱位置とを比較して、自車両が他の合流予定車両60Aより遠方で離脱するか否かを判定する。なお、自車両の離脱位置は、カーナビ装置等により設定された目的地までの経路に従って、幹線道路から流出する位置として予め決定されている。自車両の方が遠方で離脱する場合には、ステップ326へ移行し、自車両の方が手前で離脱する場合には、ステップ328へ移行する。
【0073】
ステップ326では、他の合流予定車両60Aを追い越した位置で停止するようにドライバに指示を提示する。一方、ステップ328では、他の合流予定車両60Aの後方に停止するようにドライバに指示を提示する。なお、ドライバに指示を提示するのではなく、車両の走行状態を制御するようにしてもよい。
【0074】
また、第3の実施の形態では、合流予定車両60Aを離脱位置に基づいて並び替えた後に車群の前方に合流させる場合について説明したが、並び替えた各合流予定車両60Aを車群の適切な位置に合流させるようにしてもよい。この場合、車群走行制御装置310は、車群を形成する各車両についても離脱位置が遠い順に並べた上で、右側車線を走行させ、合流予定車両60Aを離脱位置が遠い順に並べて左側車線で待機させる。そして、合流予定車両60Aの離脱位置と車群を形成する各車両の離脱位置との関係に基づいて、合流予定車両60Aを合流させる位置の車間距離を空けるように、車群を形成する車両に指示する。そして、合流予定車両60Aが合流する位置の後続車両を、上記の車群の先頭車両60Bと置き換えて、各合流予定車両60Aの発進タイミングを算出し、合流予定車両60A毎に発進タイミングを指示するようにするとよい。
【0075】
次に、第4の実施の形態について説明する。第4の実施の形態では、合流予定車両が適切な位置から幹線道路へ流入するように制御する場合について説明する。
【0076】
第4の実施の形態の車群交通流制御システムは、第1の実施の形態の車群交通流制御システムと車群走行制御装置の構成が異なるだけであるので、異なる部分についてのみ説明し、他の部分については説明を省略する。
【0077】
図12に示すように、第4の実施の形態の車群走行制御装置410のコンピュータ414は、機能的には、車両位置判定部30と、合流タイミング算出部32と、合流予定車両60Aの幹線道路への流入位置を決定する流入位置決定部36とを含んだ構成で表すことができる。
【0078】
ここで、
図13を参照して、第4の実施の形態の車群走行制御処理ルーチンについて説明する。なお、第1の実施の形態の車群走行制御処理と同一の処理については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0079】
ステップ400で、路側機52を介して、従道路に存在する合流予定車両60Aから、合流予定車両60Aの位置を示す位置情報、及び合流予定車両60Aにおいて設定された目的地を示す目的地情報を取得する。
【0080】
次に、ステップ402で、予め定めた経路選択基準に従って、各合流予定車両60Aの経路を決定する。経路選択基準は、最も早く目的地に到着する経路、高速道路の料金等を考慮して最も安く目的に地に到着する経路、または排気ガス量等を考慮して最も環境に良い経路等を選択するように定めておくことができる。また、VICSなどの最新情報を用いて経路を決定したり、ドライバの嗜好を考慮して経路を決定したりするようにしてもよい。そして、決定した経路に従って、各合流予定車両60Aの幹線道路への流入位置を決定する。この際、合流予定車両60Aの合流により車群を形成する車両の台数が一定数を超えないようにする。
【0081】
次に、ステップ404で、流入位置毎に、合流予定車両60Aの並び順を決定する。並び順は、第3の実施の形態と同様に決定することができる。また、従道路の双方向から流入する合流予定車両60Aが存在する場合には、対向する従道路の合流予定車両60Aも考慮して並び順を決定する。
【0082】
次に、ステップ406で、上記ステップ402で決定した流入位置を示す情報、及び上記ステップ404で決定した並び順を示す情報を、路側機52を介して合流予定車両60Aへ送信する。
【0083】
これらの情報を受信した合流予定車両は、決定された流入位置から、決定された順番で幹線道路へ流入する。対向する従道路にも流入する合流予定車両60Aが存在する場合には、車車間通信等により連携して、流入後の並び順が適切な並び順となるように流入する。その後、合流予定車両60Aが待機位置へ到着して、待機位置情報を送信することにより、ステップ100で肯定判定されて、ステップ102以降の処理が実行される。
【0084】
以上説明したように、第4の実施の形態によれば、合流予定車両を、適切な位置及び並び順で幹線道路へ流入させることにより、車群に合流させるための待機状態が容易に形成され、車群への合流をスムーズに行うことができ、円滑な車群走行を実現することができる。
【0085】
なお、第4の実施の形態では、合流予定車両60Aの経路を決定する際に、個人最適を考慮して決定する場合について説明したが、周辺エリアの全体最適を考慮して経路を決定するようにしてもよい。具体的には、周辺エリアの全体最適を考慮した経路選択基準を用いる。例えば、経路選択基準を下記(2)式の関数fで表し、fが小さくなるような経路を選択することができる。
【0086】
f=αT+βC+γN ・・・(2)
ただし、Tは予想される現在位置から目的地までの所要時間、Cは高速道路の料金等の現在位置から目的地までの間に必要な料金、Nはボトルネック地点の通過回数、α、β、γは重み係数である。
【0087】
そして、幹線道路を含む周辺エリアの過去の渋滞情報と現在の交通量情報とを比較して、現在制御対象の幹線道路上に存在する車両を除いて、今後の周辺エリアの交通量の推移を推定し、合流予定車両60Aが個人最適を考慮して仮決定した経路に従って幹線道路へ流入した場合の交通量を、推定した交通量の推移に追加して、今後の周辺エリアの交通量の推移を推定する。その推定結果に基づいて、周辺エリア内に許容できない渋滞が発生するか否かを、ボトルネック容量を超過するか否か等により判定し、許容できない渋滞が発生する場合には、経路選択における全体最適への寄与度の係数((2)式ではγ)を大きくして、再度経路を仮決定する。この処理を繰り返し、全体最適を考慮した経路を決定することができる。
【0088】
なお、上記第1〜第4の実施の形態は、適宜組み合わせて実行することができる。