(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、文字による注意喚起の表示では、風検知装置の周囲にいる人に対して十分な注意を促せないことがある。
本発明はかかる従来の課題に鑑みて成されたもので、風検知装置の周囲にいる人に対して十分に注意喚起できるように、風の状態をより視覚的に表示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的を達成するための主たる発明は、
風が上端に当たるように立設され、該上端と下端とにそれぞれ上端開口部と下端開口部とを有する筒体であって、該筒体の内部が外部から視認可能となっている筒体と、
前記下端開口部に風が当たらないように風を遮断する遮風部と、
上下方向に移動可能となるように前記筒体内に収納された浮動体と、
を備えることを特徴とする風検知装置である。
このような風検知装置によれば、風検知装置の周囲にいる人に対して十分に注意喚起できるように、風の状態をより視覚的に表示することができる。
【0006】
また、かかる風検知装置であって、
前記筒体は、前記筒体の上面の中央部が最も高くなるように、前記上面において湾曲し、
前記上端開口部は、前記上面の中央部に設けられていることを特徴とする風検知装置である。
このような風検知装置によれば、小さな風速であっても風を検知することができる。
【0007】
また、かかる風検知装置であって、
上端と下端とにそれぞれ上端小開口部と下端小開口部とを有し、該下端小開口部が前記上端開口部に密着し、前記上端開口部から上方に突き出るように設けられる小筒体を備えることを特徴とする風検知装置である。
このような風検知装置によれば、より小さな風速であっても風を検知することができる。
【0008】
また、かかる風検知装置であって、
上記上端小開口部の上方に設けられ、該上端小開口部からの雨水の前記内部への侵入を防止するための回転可能な屋根部と、
前記屋根部が上下方向に沿う軸を中心として回転可能となるように前記屋根部を支持し、前記筒体の上部において接続して支持される支持部材と、
を備えることを特徴とする風検知装置である。
このような風検知装置によれば、雨水侵入を防止することができる。
【0009】
また、かかる風検知装置であって、
前記屋根部の上面に設けられる方向表示部であって、該方向表示部が前記屋根部の回転中心よりも風下側に位置するように前記屋根部を風向きに応じて回転させる方向表示部を備えることを特徴とする風検知装置である。
このような風検知装置によれば、風向表示を行うことができる。
【0010】
また、かかる風検知装置であって、
前記上端開口部に対して回転可能となるように前記上端開口部に接続し、回転中心からずれた位置に蓋開口部を有する蓋部材と、
前記蓋開口部が前記回転中心よりも風上側に位置するように、前記蓋部材を風向きに応じて回転させる羽根部材と、
を備えることを特徴とする風検知装置である。
このような風検知装置によれば、小さな風速であっても風を検知することができる。
【0011】
また、かかる風検知装置であって、
法線が上下方向に沿う前記筒体の内側断面積は、前記筒体の下部よりも上部において大きいことを特徴とする風検知装置である。
このような風検知装置によれば、浮動体の上下方向位置によって風速をより視覚的に表示することができる。
【0012】
また、かかる風検知装置であって、
前記筒体は、
前記内側断面積が一定である第一部分と、
前記第一部分の下端と繋がっており、前記第一部分よりも前記内側断面積が小さく、かつ、一定の第二部分と、
を備えることを特徴とする風検知装置である。
このような風検知装置によれば、風速が所定の値を超えると浮動体が上昇するので、風検知装置の周囲にいる人は、風速が所定の値を超えたかどうかを視覚的に把握することができる。
【0013】
また、かかる風検知装置であって、
前記内側断面積は、前記筒体の下部から上部にいくに従って徐々に大きくなることを特徴とする風検知装置である。
このような風検知装置によれば、風速が浮動体の上下方向位置(高さ)に対応するので、浮動体の上下方向位置から風速をより視覚的に把握することができる。
【0014】
また、かかる風検知装置であって、
前記浮動体に結合する紐部材を備えることを特徴とする風検知装置である。
このような風検知装置によれば、風速が大きくなるに従って浮動体が上昇するので、風検知装置の周囲にいる人は、浮動体の上下方向位置から風速をより視覚的に把握することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、風の状態をより視覚的に表示することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
===第一実施形態===
図1は、本発明の第一実施形態である風検知装置1の側面図である。同図に示すように、風検知装置1は、筒体10、土台部20、浮動体40、屋根部50、方向表示部55などを備える。風検知装置1は、屋外に立設されるものであって、受ける風の強さに応じて浮動体40が上下方向に移動する。風検知装置1の周囲にいる人は、浮動体40の上下方向位置または移動状況から風の強さをより視覚的に把握することができる。
【0018】
筒体10は、風が上端に当たるように立設される。筒体10は、円筒形であって、その側面は、外部から内部を視認できるような透明な部材で構成される。筒体10は、プラスチックなど自重を支えられかつ風圧に耐えられる強度を有する。筒体10は、上端と下端においてそれぞれ上端開口部11と下端開口部12とを有する。上端開口部11は、筒体10の上端の上面に設けられる(開口部が上を向いている)。下端開口部12は、筒体10の下端に設けられるが、下端開口部12は下面に設けられてもよく、また下端付近の側面に設けられてもよい。
【0019】
湾曲部30は、筒体10の上端側の部分であって、上端開口部11の開口面積を小さくする部分である。湾曲部30は、縁部から中央部にかけて盛り上がるドーム形状を有し、中央部が上端開口部11となっている。
【0020】
さらに、湾曲部30の上端開口部11に小筒体32が上方に突き出すように接続している。小筒体32は、上端と下端とにそれぞれ上端小開口部32aと下端小開口部32bとを有する。そして、下端小開口部32bが上端開口部11に密着して接続することで、小筒体32は、筒体10と連通するように取り付けられている。
【0021】
土台部20(「遮風部」に相当)は、筒体10の下部において固定的に接続し、筒体10が倒れないように支える。土台部20は、筒体10の下端開口部12に風が直接当たらないように風を遮断する。すなわち、筒体10の下端開口部12においては、常時無風状態(風速がほぼ0m/s)となっている。
【0022】
浮動体40は、発砲スチロールなど空気の流れを受けると移動する軽い素材で構成されている。浮動体40の形状は球状である。浮動体40の大きさは筒体10の内径と同じ大きさであり、浮動体40と筒体10の内壁とが接している。浮動体40は、筒体10内を上下方向に移動可能となっている。筒体10には、浮動体40が筒体10から抜け落ちないように、筒体10の下部に下部ストッパー13bが設けられている。
【0023】
屋根部50は、雨やゴミなどが筒体10内に入らないように湾曲部30の上方に設けられ、支持部材51に支持されている。支持部材51は、支持軸51aと支持基礎51bとを有する。支持基礎51bは、筒体10の上部の内側に固定され、中央部において支持軸51aが回転可能となるように支持軸51aを支持する。支持軸51aは、屋根部50の下側中央に接続して屋根部50を支持する。
【0024】
方向表示部55は、屋根部50の縁部において線状に接続する。方向表示部55は、屋根部50との接続部分が屋根部50の回転中心から放射する方向に沿うように屋根部50に接続する。方向表示部55は、屋根部50の縁部において上方に立ち上がるように設けられる。屋根部50に方向表示部55が設けられることにより、方向表示部55が風を受けると、屋根部50は風見鶏のように回転する。
【0025】
<<浮動体が上下移動するメカニズム>>
風検知装置1の浮動体40が受ける風の強さに応じて上下方向に移動するメカニズムを説明する。なお、ここでは、風検知装置1の簡略化モデル2を用いて説明する。
【0026】
図2は、簡略化モデル2を説明するための概念図である。同図に示すように、簡略化モデル2は、筒体10と土台部20と浮動体40とを備える。筒体10は、筒体10の内径断面積が一定であるような円筒形を有する(簡略化のため、筒体10の上端は湾曲していない)。
【0027】
図2の左図に示すように、風が吹いていないときには、筒体10の上端開口部11と下端開口部12とにおいて受ける風速は、どちらもほぼ0m/sであり、両者に風速差はない。このとき、筒体10の上部と下部との圧力も同じであり、浮動体40は筒体10の下部に位置したまま移動しない。
【0028】
一方で、
図2の右図に示すように、風が吹いているときには、上端開口部11ではその風を受けるが、下端開口部12ではその風が土台部20によって遮断されるので風をほとんど受けない。すなわち、風検知装置1に吹いている風の分だけ風速差が生じる。上端開口部11において風を受けると、筒体10内の空気が風に引っ張られるようにして外部に流れ出ることにより筒体10内の上部(浮動体40よりも上方)の気圧が低下する。すなわち、筒体10内では上部の方が下部(浮動体40よりも下方)よりも気圧が低くなるので、浮動体40は上側から受ける圧力よりも下側から受ける圧力の方が大きくなる。この圧力差による上向きの力が、浮動体40にかかる重力を上回ると、浮動体40が筒体10内において下部から上部に向けて移動する。すなわち、浮動体40を上に移動させるための条件は式(1)として表すことができる。
ここで、Mは浮動体40の質量であり、gは重力加速度である。また、Sは浮動体の見付面積であり、ΔPは浮動体40の下面にかかる圧力(負圧)から上面にかかる圧力(負圧)との圧力差である。そして、式(1)の左辺は浮動体40の重量であり、式(1)の右辺は風によって生じる上向きの力である。
【0029】
なお、浮動体40の質量Mは、式(2)で求められる。
ここで、ρballは浮動体40の密度であり、rは浮動体40の半径である。
【0030】
<<有効性>>
第一実施形態である風検知装置1によれば、風が上端に当たるように立設され、上端と下端とにそれぞれ上端開口部11と下端開口部12とを有する筒体10であって、筒体10の内部が外部から視認可能となっている筒体10と、下端開口部12に風が当たらないように風を遮断する土台部20と、上下方向に移動可能となるように筒体10内に収納された浮動体40と、を備えることにより、風の状態をより視覚的に表示することができる。
【0031】
すなわち、上記の式(1)を満たす強さの風が吹かなければ風検知装置1の浮動体40は上昇しない。一方で、上記の式(1)を満たす強さの風が吹けば浮動体40が上昇する。さらに強い風が吹くと、浮動体40は勢いよく上昇する。しかし、風が弱まり式(1)を満たさなくなると浮動体40は下降する。このように、風検知装置1の周囲にいる人は、浮動体40が上昇する様子を見ることで、風の強さを把握することができる。
【0032】
また、第一実施形態である風検知装置1によれば、電気切れによる停止の心配がない。既存技術として、羽根の回転速度に基づいて電子計算機によって風速を算出し、電光掲示板で算出結果を表示する風速計があるが、このような風速計では、電池を用いるか、電気コードを介して外部から電気の供給を受ける必要があった。しかし、第一実施形態である風検知装置1によれば、電気エネルギーを必要としないので、電気切れの心配がなく、メンテナンスが容易である。
【0033】
また、第一実施形態である風検知装置1によれば、浮動体40を上下移動させるための動力源は不要である。すなわち、浮動体40は風力で上昇するので、浮動体40を上下移動させるためのモーターなどの動力源は不要である。したがって、第一実施形態である風検知装置1によれば、動力源が不要であり動力源の故障のリスクがないことから、メンテナンスが容易である。
【0034】
また、筒体10は、筒体10の上面の中央部が最も高くなるように、上面において湾曲し、上端開口部11は筒体10の断面積より小さい開口面積を有して、上面の中央部に設けられていることにより、小さな風速であっても風を検知することができる。
【0035】
すなわち、風が湾曲部30に当たると、風は湾曲部30の湾曲した面に沿って流れる。つまり、湾曲部30が湾曲しているので風の流れが大きく乱されることなく、上端部において風の流れが剥離するので、風速が増すこととなる。これにより、上端開口部11付近を流れる風の風速は元の風速(実際の風速)よりも速くなるので、上端開口部11において発生する負圧は、簡略化モデル2の上端開口部11において発生する負圧よりも大きい。さらに、上端開口部11が最も高くなっている筒体10上面の中央部に設けられることにより、風が開口部に吹き込まず、上端開口部11において発生した負圧を損なうこともない。したがって、小さな風速であっても、浮動体40を浮かせることができるので、小さな風速であっても風を検知することができる。
【0036】
また、上端と下端とにそれぞれ上端小開口部32aと下端小開口部32bとを有し、該下端小開口部32bが上端開口部11に密着し、そこから上方に突き出るように設けられる小筒体32を備えることにより、より小さな風速であっても風を検知することができる。
【0037】
すなわち、風が湾曲部30によって負圧を助長させることができるが、さらに上端開口部11に小筒体32を設けることにより負圧の助長効果を大きくすることができる。つまり、風が小筒体32の上端部にぶつかって風の剥離が助長されるので風速が増すこととなる。したがって、上端小開口部32aにおいて発生する負圧は、簡略化モデル2の上端開口部11において発生する負圧よりも大きい。すなわち、さらに小さな風速であっても、浮動体40を浮かせることができるので、より小さな風速であっても風を検知することができる。
【0038】
また、上端小開口部32aの上方に設けられ、該上端小開口部32aからの雨水の筒体10の内部への侵入を防止するための回転可能な屋根部50と、屋根部50が上下方向に沿う軸を中心として回転可能となるように屋根部50を支持し、筒体10の上部において接続して支持される支持部材51と、屋根部50の上面に設けられる方向表示部55であって、該方向表示部55が屋根部50の回転中心よりも風下側に位置するように屋根部50を風向きに応じて回転させる方向表示部55と、を備えることにより、屋根部50が雨水の筒体10への侵入を防止することができ、かつ屋根部50が方向表示部55に風向を示すように回転させることができるので、雨水侵入防止と風向表示との両方を同時に行うことができる。さらに、屋根部50は、湾曲部30と小筒体32で剥離した風を収束させる効果から、風圧力の低下を一層促す効果をもたらす。
【0039】
===第二実施形態===
図3は、第二実施形態の風検知装置1の構成を示す概念図である。同図に示すように、筒体10の外径は筒体10の何れの箇所においても同じであるが、筒体10の内径は筒体10の下部から上部にいくにしたがって徐々に太くなっている。筒体10には、上下方向に風速の目盛が記されており、浮動体40が上下方向に移動することによって、風検知装置1は風速を表示することができる。
【0040】
以下において、浮動体40の上下方向位置と風速とが対応付けられるメカニズムについて説明する。
【0041】
図3に示すように、筒体10の内径と浮動体40との隙間は、浮動体40が下方に位置するときよりも浮動体40が上方に位置するときの方が大きくなる。
【0042】
さて、第一実施形態において示したように、筒体10の内径と浮動体40との間に隙間がない場合には、浮動体40の上側の圧力と下側の圧力との間に差があっても、浮動体40の上側の空気が浮動体40の下側に移動することはないし、浮動体40の下側の空気が浮動体40の上側に移動することもない。したがって、浮動体40が筒体10内において上下方向のどの位置にあっても、式(1)のの条件を満たすような風速の風が吹いている限り、浮動体40は上方に移動する。すなわち、浮動体40が上方に移動していれば、式(1)のの条件を満たすような風速の風が吹いていることは明らかになるが、どの程度の風速の風が吹いているかは分からない。
【0043】
しかし、第二実施形態においては、筒体10の内径と浮動体40との隙間がある。ここで、浮動体40の上側の圧力が下側の圧力よりも下回っている場合には、浮動体40の下側にある空気は浮動体40の上側へ隙間を通って移動する。そうすると、浮動体40の上側の空気の圧力は上昇し、浮動体40の下側の空気の圧力は低下するので、両者の圧力差は小さくなる。すなわち、筒体10の内径と浮動体40との間に隙間は、浮動体40の上側の圧力と下側の圧力の圧力差を小さくする作用がある。そして、この隙間が大きくなればなるほど、圧力差を小さくする作用は大きくなる。したがって、筒体10の内径と浮動体40との間に隙間が大きくなればなるほど、浮動体40は上昇し難くなる。すなわち、筒体10の内径と浮動体40との間に隙間が大きくなればなるほど、浮動体40を上昇させるため大きな風速(強い風)が必要となる。
【0044】
<<有効性>>
第二実施形態である風検知装置1によれば、法線が上下方向に沿う筒体10の内側断面積は、筒体10の下部よりも上部において大きいことにより、浮動体40の上下方向位置によって風速をより視覚的に表示することができる。したがって、風検知装置1の周囲にいる人は、風検知装置1によって風速を把握することができる。
【0045】
また、内側断面積は、筒体10の下部から上部にいくに従って徐々に大きくなることにより、風速が大きくなるに従って浮動体40が上昇するので(風速が浮動体40の上下方向位置(高さ)に対応するので)、風検知装置1の周囲にいる人は、浮動体40の上下方向位置(高さ)から風検知装置1によって風速をより視覚的に把握することができる。
【0046】
===第三実施形態===
図4は、第三実施形態の風検知装置1の構成を示す概念図である。第二実施形態においては、筒体10の内径は筒体10の下部から上部にいくにしたがって徐々に太くなっているが、第三実施形態では、同図に示すように、筒体10の内径は筒体10の上部において下部よりも階段状に太くなっている。すなわち、
図4に示すように、筒体10は、内側断面積が一定である第一部分14aと、第一部分14aの下端と繋がっており、第一部分14aよりも内側断面積が小さく、かつ、一定の第二部分14bと、を備えることにより、風速が所定の値を超えると浮動体40が第二部分14bから第一部分14aに移動する。したがって、風検知装置1の周囲にいる人は、浮動体40が第一部分14aに位置するか第二部分14bに位置するかを見ることによって、風速が所定の値を超えているかどうかをより視覚的に把握することができる。
【0047】
より具体的には、筒体10の内径と浮動体40との隙間は、浮動体40が第二部分14b(下方)に位置するときよりも浮動体40が第一部分14a(上方)に位置するときの方が大きくなる。したがって、第二部分に位置する浮動体40が上昇するために必要な風速よりも、第一部分に位置する浮動体40が上昇するために必要な風速の方が大きい。すなわち、浮動体40は、第二部分14bから第一部分14aに上昇するためには、より大きな風速を必要とする。
【0048】
例えば、第二部分14bは、第二部分14bに位置する浮動体40が上昇するために必要な風速が5m/sとなるような大きさの内径とし、第一部分14aは、第一部分14aに位置する浮動体40が上昇するために必要な風速が10m/sとなるような大きさの内径としてもよい。浮動体40が第一部分14aに位置していれば、風検知装置1の周囲にいる人は風速が10m/sを超えていることをより視覚的に把握することができる。このような風検知装置1を用いれば、風の影響を受けやすい作業を屋外で行う作業者(例えば、クレーンを操作する作業者)は、風検知装置1を一目見るだけで風速10m/sの強風が吹いているかどうかを把握できるので、該作業を中止すべきか否かの判断を行うときに有効である。
【0049】
===第四実施形態===
図5は、第四実施形態の風検知装置1の構成を示す概念図である。同図に示すように、上端開口部11に対して回転可能となるように上端開口部11に接続し、回転中心からずれた位置に蓋開口部61を有する蓋部材60と、蓋開口部61が回転中心よりも風上側に位置するように、蓋部材60を風向きに応じて回転させる羽根部材62と、を備える。
【0050】
このような実施形態によれば、小さな風速であっても風を検知することができる。すなわち、筒体10の上端の蓋開口部61の面積が筒体10の断面積よりも小さくなるので、風による吸引力が大きくなる。
【0051】
比較例として、筒体110の上端の開口部115が筒体110の断面と同じであるような風検知装置100を想定する。
図6は、比較例を示す概念図である。同図に示すように、この比較例のような筒体110の上部に当たった風は、筒体110の上面上方を流れるものの、その風の一部は筒体110の開口部115の風下側の端部において筒体110内に吹き込む。このように開口部115から筒体110内に風が吹き込むと、筒体110内の上部での気圧の低下を阻害することとなり、浮動体140を上方に移動させる力が損なわれることとなる。
【0052】
しかし、第四実施形態の風検知装置1によれば、開口部は筒体10の上端の風上側に設けられ、筒体10の上端の風下側は蓋部材60によって閉鎖されているので、開口部15の風下側の端部において筒体10内に吹き込むことを抑制できる。
【0053】
また、羽根部材62が風見鶏のように風向に応じて蓋部材60を回転させることにより、蓋開口部61が蓋部材60の回転中心よりも風上側に位置することができ、これにより上記機能が適切に発揮できることとなる。
【0054】
===その他の実施の形態===
以上、本発明の実施形態にかかる風検知装置1について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で以下に示すような変形が可能である。
【0055】
(1)筒体10は、円筒形であって、外部から内部を視認できるような透明な部材とした。しかし、筒体10は、透明な部材に限られず、外部から内部を視認できる部材であればよく、例えば、すりガラスや和紙のような部材であってもよい。
【0056】
(2)第一実施形態から第四実施形態において、筒体10は円筒形としたが、これに限られない。例えば、角柱状であってもよい。
【0057】
(3)第一実施形態から第四実施形態において、浮動体40は球状としたが、これに限られない。筒体10が円筒形の場合には、例えば、浮動体40は、ラグビーボール形の楕円形状であってもよく、また円柱状であってもよい。また、筒体10が角柱状の場合には、浮動体40は角柱状など筒体10の内径に嵌る形状であればよい。
【0058】
(4)筒体10に青・黄・赤などの色をつけることによって、風検知装置1の周囲にいる人に危険度を知らせることとしてもよい。
図7は、筒体10を下方から上方へ順に青色・黄色・赤色の三色で色分けすることで、風速と危険度の目安を示した風検知装置1の概念図である。同図に示すように、青色の領域に浮動体40が位置するときは安全な範囲での風速であることを示し、黄色の領域に浮動体40が位置するときは注意が必要な風速であることを示し、赤色の領域に浮動体40が位置するときは危険(大きな風速)であることを示す。このように、筒体10に色をつけることによって、風検知装置1の周囲にいる人に対してより視覚的に危険を知らせることができる。
【0059】
(5)第三実施形態では、筒体10の内側断面積が、第一部分14aと第二部分14bの二段階となっていたが、二段階に限られず、三段階以上であってもよい。
【0060】
(6)風検知装置1は、紐部材70を備えていても良い。紐部材70は、浮動体40に接続している。このような実施形態であれば、浮動体40の上下方向位置が高くなればなるほど、浮動体40を上昇させるため大きな風速(強い風)が必要となるので、浮動体40の上下方向位置と風速とが対応付けられる。そして、浮動体40の上下方向位置と風速との関係に基づいて筒体10に目盛を付すれば、風検知装置1は風速を表示することができる。
【0061】
すなわち、浮動体40が筒体10の底に位置する状態(下部ストッパー13bに支持された状態)では、紐部材70は筒体10とともに筒体10の底に位置する。ここで、風が吹いて、浮動体40が上昇すると、浮動体40は上昇した高さ分の紐部材70を引上げることとなる。このとき、浮動体40には浮動体40の自重に加えて紐部材70の引上げている部分の重さがかかることとなる。そして、浮動体40がさらに上昇するためにはその上昇分の紐部材70を引上げるための上向きの力が必要となり、より強い風(大きな風速)が必要となる。したがって、浮動体40の上下方向位置と風速とが対応付けられる。