(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
圧縮機(21)と凝縮器(23)と膨張機構(76)と蒸発器(25)とが順に接続されて冷媒が循環する冷媒回路(16)と、コンテナ(C)の庫内から吸い込まれた吸込空気の流れ方向において上記蒸発器(25)の下流側に設けられた加熱装置(17)とを有し、該吸込空気が該蒸発器(25)および該加熱装置(17)を順に通過して該コンテナ(C)の庫内に吹き出される冷却部(18)を備え、上記加熱装置(17)を停止させて上記吸込空気を上記蒸発器(25)において冷却する冷却運転と、上記吸込空気を上記蒸発器(25)において冷却除湿して上記加熱装置(17)において加熱する除湿運転とを行うコンテナ用冷凍装置であって、
上記蒸発器(25)および上記加熱装置(17)を順に通過して上記コンテナ(C)の庫内に吹き出される吹出空気の温度を検知する吹出温度センサ(34)と、
上記冷却運転および上記除湿運転において、上記吹出温度センサ(34)によって検知された吹出空気の温度である吹出検知温度(Tss)が予め定められた目標温度(Tx)となるように上記冷却部(18)を制御する温度制御部(101)と、
上記冷却運転において上記目標温度(Tx)を上記コンテナ(C)の庫内温度に対して予め定められた庫内設定温度(Tsp)と同一の第1設定温度に設定する一方、該冷却運転から上記除湿運転に切り換えられた場合に、該目標温度(Tx)を該庫内設定温度(Tsp)に予め定められた目標加算温度を加えた第2設定温度に設定する目標制御部(201)とを備えている
ことを特徴とするコンテナ用冷凍装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したようなコンテナ用冷凍装置では、コンテナの庫内から吸い込まれた空気は、蒸発器および加熱装置(例えば、加熱用熱交換器)を通過した後に、コンテナの庫内幅方向に延びる吹出口を通過してコンテナの庫内に吹き出される。また、吹出口の一箇所には、吹出口から吹き出される空気(すなわち、吹出空気)の温度を検知する吹出温度センサが設けられる。そして、冷却運転および除湿運転の各々において、吹出温度センサによって検知された吹出空気の温度(以下、吹出検知温度と表記)が予め定められた庫内設定温度となるように温度制御が行われる。
【0005】
しかしながら、上述のようなコンテナ用冷凍装置では、除湿運転において、加熱装置を通過する空気(すなわち、蒸発器において冷却除湿された空気)がコンテナの庫内幅方向において均一に加熱されない場合がある。例えば、加熱用熱交換器の冷媒温度が庫内幅方向において均一となっていない場合、加熱用熱交換器を通過する空気は、庫内幅方向において均一に加熱されなくなり、
図11のように、加熱用熱交換器から吹き出される空気に温度ムラが生じてしまう。このような場合、冷却運転から除湿運転に切り換わると、吹出温度センサによって庫内幅方向における吹出空気の最低温度を正確に検知することが困難となる。具体的には、除湿運転において吹出検知温度が庫内幅方向における吹出空気の実際の最低温度よりも高くなってしまう可能性がある。したがって、除湿運転において吹出検知温度が庫内設定温度となるように温度制御が行われたとしても、庫内幅方向における吹出空気の最低温度が庫内設定温度よりも低くなり、その結果、コンテナの積荷の低温障害を引き起こしてしまうおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、コンテナの積荷の低温障害を防止することが可能なコンテナ用冷凍装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、圧縮機(21)と凝縮器(23)と膨張機構(76)と蒸発器(25)とが順に接続されて冷媒が循環する冷媒回路(16)と、コンテナ(C)の庫内から吸い込まれた吸込空気の流れ方向において上記蒸発器(25)の下流側に設けられた加熱装置(17)とを有し、該吸込空気が該蒸発器(25)および該加熱装置(17)を順に通過して該コンテナ(C)の庫内に吹き出される冷却部(18)を備え、上記加熱装置(17)を停止させて上記吸込空気を上記蒸発器(25)において冷却する冷却運転と、上記吸込空気を上記蒸発器(25)において冷却除湿して上記加熱装置(17)において加熱する除湿運転とを行うコンテナ用冷凍装置であって、上記蒸発器(25)および上記加熱装置(17)を順に通過して上記コンテナ(C)の庫内に吹き出される吹出空気の温度を検知する吹出温度センサ(34)と、上記冷却運転および上記除湿運転において、上記吹出温度センサ(34)によって検知された吹出空気の温度である吹出検知温度(Tss)が予め定められた目標温度(Tx)となるように上記冷却部(18)を制御する温度制御部(101)と、上記冷却運転において上記目標温度(Tx)を上記コンテナ(C)の庫内温度に対して予め定められた庫内設定温度(Tsp)と同一の第1設定温度に設定する一方、該冷却運転から上記除湿運転に切り換えられた場合に、該目標温度(Tx)を該庫内設定温度(Tsp)に予め定められた目標加算温度を加えた第2設定温度に設定する目標制御部(201)とを備えていることを特徴とするコンテナ用冷凍装置である。
【0008】
上記第1の発明では、冷却運転と除湿運転とが行われる。各運転では、冷却部(18)の冷媒回路(16)において、圧縮機(21)から吐出された冷媒が凝縮器(23)で凝縮して膨張機構(76)で膨張した後に蒸発器(25)で蒸発する冷凍サイクルが行われる。冷却運転では、コンテナ(C)の庫内から吸い込まれた吸込空気は、蒸発器(25)を通過する際に蒸発器(25)を流れる冷媒と熱交換して冷却される。目標制御部(201)は、冷却運転において目標温度(Tx)を庫内設定温度(Tsp)と同一の第1設定温度に設定する。したがって、冷却運転では、温度制御部(101)は、吹出検知温度(Tss)が庫内設定温度(Tsp)と同一の第1設定温度となるように冷却部(18)を制御する。
【0009】
また、上記第1の発明では、冷却運転から除湿運転に切り換えられた場合、コンテナ(C)の庫内から吸い込まれた吸込空気は、蒸発器(25)を通過する際に蒸発器(25)を流れる冷媒と熱交換して冷却されて結露し(すなわち、冷却除湿され)、加熱装置(17)を通過する際に加熱装置(17)によって加熱される。目標制御部(201)は、目標温度(Tx)を庫内設定温度(Tsp)に目標補正温度を加えた第2設定温度に設定する。したがって、冷却運転から除湿運転に切り換えられた場合、温度制御部(101)は、吹出検知温度(Tss)が庫内設定温度(Tsp)に目標補正温度を加えた第2設定温度となるように冷却部(18)を制御する。
【0010】
なお、除湿運転において、加熱装置(17)を通過する空気(すなわち、蒸発器(25)において冷却除湿された空気)がコンテナ(C)の庫内幅方向において均一に加熱されない場合がある。この場合、蒸発器(25)および加熱装置(17)を通過してコンテナ(C)の庫内に吹き出される吹出空気に温度ムラが生じてしまい、その結果、吹出検知温度(Tss)がコンテナ(C)の庫内幅方向における吹出空気の最低温度よりも高くなってしまう可能性がある。したがって、仮に、除湿運転において吹出検知温度(Tss)が庫内設定温度(Tsp)となるように温度制御が行われたとしても、コンテナ(C)の庫内幅方向における吹出空気の最低温度が庫内設定温度(Tsp)よりも低くなってしまうおそれがある。
【0011】
一方、上記第1の発明では、冷却運転から除湿運転に切り換えられた場合、目標温度(Tx)が庫内設定温度(Tsp)よりも高い第2設定温度(すなわち、庫内設定温度(Tsp)に目標補正温度を加えた温度)に設定されるので、コンテナ(C)の庫内に吹き出される吹出空気の温度を全体的に高くすることができ、その結果、コンテナ(C)の庫内幅方向における吹出空気の温度も高くすることができる。これにより、加熱装置(17)を通過する空気がコンテナ(C)の庫内幅方向において均一に加熱されない場合であっても、コンテナ(C)の庫内幅方向における吹出空気の最低温度が庫内設定温度(Tsp)よりも低くなることを抑制することができる。
【0012】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記吸込空気の温度を検知する吸込温度センサ(33)をさらに備え、上記目標制御部(201)が、上記冷却運転から上記除湿運転に切り換えられた後に、上記吸込温度センサ(33)によって検知された吸込空気の温度である吸込検知温度(Trs)が予め定められた吸込基準温度よりも高くなると上記目標温度(Tx)を低くする一方、該吸込検知温度(Trs)が該吸込基準温度よりも低くなると該目標温度(Tx)を高くすることを特徴とするコンテナ用冷凍装置である。
【0013】
上記第2の発明では、蒸発器(25)および加熱装置(17)からコンテナ(C)の庫内に吹き出された空気は、コンテナ(C)の庫内を循環して再び蒸発器(25)に吸い込まれることになる。そのため、吸込検知温度(Trs)の変化は、コンテナ(C)の庫内温度の変化に依存している。具体的には、コンテナ(C)の庫内温度が高くなると、吸込空気の温度が高くなって吸込検知温度(Trs)が高くなる。一方、コンテナ(C)の庫内温度が低くなると、吸込空気の温度が低くなって吸込検知温度(Trs)が低くなる。そして、目標制御部(201)は、冷却運転から除湿運転への切り換え後における吸込検知温度(Trs)の変化に応じて目標温度(Tx)を補正する。すなわち、冷却運転から除湿運転への切り換え後においてコンテナ(C)の庫内温度が上昇して吸込検知温度(Trs)が吸込基準温度よりも高くなると、目標制御部(201)は、目標温度(Tx)を低くする。これにより、吹出空気の温度を低下させることができ、その結果、コンテナ(C)の庫内温度を低下させることができる。一方、冷却運転から除湿運転への切り換え後においてコンテナ(C)の庫内温度が低下して吸込検知温度(Trs)が吸込基準温度よりも低くなると、目標制御部(201)は、目標温度(Tx)を高くする。これにより、吹出空気の温度を上昇させることができ、その結果、コンテナ(C)の庫内温度を上昇させることができる。このように、冷却運転から除湿運転への切り換え後における吸込検知温度(Trs)の変化(具体的には、吸込検知温度(Trs)と吸込基準温度との比較の結果)に応じて吹出空気の温度を制御することにより、冷却運転から除湿運転への切り換えに伴うコンテナ(C)の庫内温度の変化を抑制することができる。
【0014】
第3の発明は、上記第2の発明において、上記吸込基準温度が、上記冷却運転が安定状態となっている場合において上記吸込温度センサ(33)によって検知された吸込空気の温度である吸込安定温度(Trs')、または、上記庫内設定温度(Tsp)に予め定められた吸込加算温度を加えた吸込設定温度に設定されていることを特徴とするコンテナ用冷凍装置である。
【0015】
上記第3の発明では、目標制御部(201)は、冷却運転から除湿運転に切り換えられた後に、吸込検知温度(Trs)が吸込安定温度(Trs')(または、吸込設定温度)よりも高くなると目標温度(Tx)を低くする一方、吸込検知温度(Trs)が吸込安定温度(Trs')(または、吸込設定温度)よりも低くなると目標温度(Tx)を高くする。このように、吸込安定温度(Trs')または吸込設定温度を基準として、冷却運転から除湿運転への切り換え後におけるコンテナ(C)の庫内温度の変化に起因して吸込検知温度(Trs)が変化したか否かを判定することができる。
【0016】
第4の発明は、上記第1〜第3の発明の何れか1つにおいて、上記目標制御部(201)が、上記除湿運転において上記蒸発器(25)における除湿能力が高くなるほど上記目標温度(Tx)が高くなるように、該蒸発器(25)における除湿能力に応じて該目標温度(Tx)を補正することを特徴とするコンテナ用冷凍装置である。
【0017】
上記第4の発明では、蒸発器(25)において空気が冷却されて結露することにより空気が除湿される。すなわち、除湿運転において、蒸発器(25)における除湿能力(冷却能力)が高くなるほど、吹出空気の温度が下がりやすくなる傾向にある。したがって、除湿運転において蒸発器(25)における除湿能力が高くなるほど目標温度(Tx)が高くなるように蒸発器(25)における除湿能力に応じて目標温度(Tx)を補正することにより、除湿運転において吹出空気の温度が下がりやすくなった場合に吹出空気の温度を高くすることができる。
【0018】
第5の発明は、上記第2〜第4の発明の何れか1つにおいて、上記目標制御部(201)が、上記目標温度(Tx)が上記庫内設定温度(Tsp)以上となるように該目標温度(Tx)を補正することを特徴とするコンテナ用冷凍装置である。
【0019】
上記第5の発明では、目標温度(Tx)の下限を庫内設定温度(Tsp)に設定することにより、吹出空気の過剰な温度低下を防止することができる。これにより、コンテナ(C)の庫内温度が過剰に低下することを防止することができる。
【0020】
第6の発明は、上記第1〜第5の発明の何れか1つにおいて、上記加熱装置(17)が、上記除湿運転において上記圧縮機(21)の吐出冷媒の一部が流入するレヒート熱交換器(32)によって構成されていることを特徴とするコンテナ用冷凍装置である。
【0021】
上記第6の発明では、除湿運転において、圧縮機(21)から吐出された冷媒のうち一部の冷媒がレヒート熱交換器(32)に流入し、残りの冷媒が冷媒回路(16)を循環して蒸発器(25)に流入する。蒸発器(25)を通過する空気は、蒸発器(25)を流れる冷媒と熱交換して冷却されて結露する(すなわち、冷却除湿される)。一方、レヒート熱交換器(32)を通過する空気は、レヒート熱交換器(32)を流れる冷媒と熱交換して加熱される。これにより、除湿運転において、コンテナ(C)の庫内から吸い込まれた吸込空気を、蒸発器(25)において冷却除湿してレヒート熱交換器(32)において加熱することができる。
【0022】
第7の発明は、上記第6の発明において、上記除湿運転において、上記レヒート熱交換器(32)に上記圧縮機(21)の吐出冷媒の一部を流入させる第1除湿制御と、該レヒート熱交換器(32)に該圧縮機(21)の吐出冷媒の一部を流入させた状態で該圧縮機(21)の吐出圧力が該第1除湿制御における吐出圧力よりも高くなるように上記冷却部(18)を制御する第2除湿制御とを行う運転制御部(105)をさらに備えていることを特徴とするコンテナ用冷凍装置である。
【0023】
上記第7の発明では、第1除湿制御と第2除湿制御とが行われる。第1除湿制御では、圧縮機(21)から吐出された冷媒のうち一部の冷媒がレヒート熱交換器(32)に流入し、残りの冷媒が冷媒回路(16)を循環して蒸発器(25)に流入する。これにより、コンテナ(C)の庫内から吸い込まれた吸込空気を、蒸発器(25)において冷却除湿してレヒート熱交換器(32)において加熱することができる。また、第2除湿制御では、圧縮機(21)の吐出圧力が第1除湿制御における圧縮機(21)の吐出圧力よりも高くなるように冷却部(18)を制御することにより、レヒート熱交換器(32)における加熱能力を上昇させることができる。なお、レヒート熱交換器(32)における加熱能力が上昇すると、吹出空気の温度が高くなって吹出検知温度(Tss)が目標温度(Tx)よりも高くなる。したがって、温度制御部(101)は、吹出検知温度(Tss)を低下させるために冷却部(18)を制御して蒸発器(25)における冷却能力を上昇させる。例えば、温度制御部(101)は、冷却部(18)の冷媒回路(16)における冷媒循環量を増加させることによって蒸発器(25)における冷却能力を上昇させる。これにより、吹出空気の温度を低下させ、その結果、吹出検知温度(Tss)を低下させて目標温度(Tx)に近づけることができる。また、蒸発器(25)における冷却能力を上昇させることにより、蒸発器(25)における除湿能力を上昇させることができる。
【0024】
第8の発明は、上記第1〜第5の発明の何れか1つにおいて、上記加熱装置(17)が、電気ヒータ(78)によって構成されていることを特徴とするコンテナ用冷凍装置である。
【0025】
上記第8の発明では、除湿運転において、蒸発器(25)を通過する空気は、蒸発器(25)を流れる冷媒と熱交換して冷却されて結露する(すなわち、冷却除湿される)。一方、電気ヒータ(78)を通過する空気は、電気ヒータ(78)によって加熱される。これにより、除湿運転において、コンテナ(C)の庫内から吸い込まれた吸込空気を、蒸発器(25)において冷却除湿して電気ヒータ(78)において加熱することができる。
【0026】
第9の発明は、上記第8の発明において、上記除湿運転において、上記電気ヒータ(78)を駆動させる第1除湿制御と、該電気ヒータ(78)を駆動させた状態で該電気ヒータ(78)の加熱容量を該第1除湿制御における加熱容量よりも高くする第2除湿制御とを行う運転制御部(105)をさらに備えていることを特徴とするコンテナ用冷凍装置である。
【0027】
上記第9の発明では、第1除湿制御と第2除湿制御とが行われる。第1除湿制御では、コンテナ(C)の庫内から吸い込まれた吸込空気を、蒸発器(25)において冷却除湿して電気ヒータ(78)において加熱することができる。また、第2除湿制御では、電気ヒータ(78)の加熱容量を第1除湿制御における加熱容量よりも大きくすることにより、電気ヒータ(78)における加熱能力を上昇させることができる。なお、電気ヒータ(78)における加熱能力が上昇すると、吹出空気の温度が高くなって吹出検知温度(Tss)が目標温度(Tx)よりも高くなる。したがって、温度制御部(101)は、吹出検知温度(Tss)を低下させるために冷却部(18)を制御して蒸発器(25)における冷却能力を上昇させる。これにより、吹出空気の温度を低下させ、その結果、吹出検知温度(Tss)を低下させて目標温度(Tx)に近づけることができる。また、蒸発器(25)における冷却能力を上昇させることにより、蒸発器(25)における除湿能力を上昇させることができる。
【発明の効果】
【0028】
第1の発明によれば、冷却運転から除湿運転に切り換えられた場合に、目標温度(Tx)を第2設定温度(すなわち、庫内設定温度(Tsp)に目標補正温度を加えた温度)に設定することにより、加熱装置(17)を通過する空気がコンテナ(C)の庫内幅方向において均一に加熱されない場合であっても、コンテナ(C)の庫内幅方向における吹出空気の最低温度が庫内設定温度(Tsp)よりも低くなることを抑制することができるので、コンテナ(C)の積荷の低温障害を防止することができる。
【0029】
第2および第3の発明によれば、冷却運転から除湿運転への切り換え後における吸込検知温度(Trs)の変化に応じて目標温度(Tx)を補正することにより、冷却運転から除湿運転への切り換えに伴うコンテナ(C)の庫内温度の変化を抑制することができるので、除湿運転においてコンテナ(C)の積荷の低温障害を防止しつつコンテナ(C)の庫内温度の上昇も防止することができる。
【0030】
第4の発明によれば、除湿運転において蒸発器(25)における除湿能力に応じて目標温度(Tx)を補正することにより、除湿運転において吹出空気の温度が下がりやすくなった場合に吹出空気の温度を高くすることができるので、蒸発器(25)における除湿能力の上昇に伴うコンテナ(C)の庫内温度の低下を抑制することができる。
【0031】
第5の発明によれば、目標温度(Tx)の下限を庫内設定温度(Tsp)に設定することにより、コンテナ(C)の庫内温度が過剰に低下することを防止することができるので、除湿運転におけるコンテナ(C)の積荷の低温障害を確実に防止することができる。
【0032】
第6の発明によれば、除湿運転において、コンテナ(C)の庫内から吸い込まれた吸込空気を、蒸発器(25)において冷却除湿してレヒート熱交換器(32)において加熱することができるので、コンテナ(C)の庫内温度の低下を抑制しつつ、コンテナ(C)の庫内空気を除湿することができる。
【0033】
第7の発明によれば、第2除湿制御において、吹出検知温度(Tss)が目標温度(Tx)となるようにレヒート熱交換器(32)における加熱能力の上昇とともに蒸発器(25)における冷却能力を上昇させて蒸発器(25)における除湿能力を上昇させることができるので、コンテナ(C)の庫内温度の変化を抑制しつつ、蒸発器(25)における除湿能力を上昇させることができる。
【0034】
第8の発明によれば、除湿運転において、コンテナ(C)の庫内から吸い込まれた吸込空気を、蒸発器(25)において冷却除湿して電気ヒータ(78)において加熱することができるので、コンテナ(C)の庫内温度の低下を抑制しつつ、コンテナ(C)の庫内空気を除湿することができる。
【0035】
第9の発明によれば、第2除湿制御において、吹出検知温度(Tss)が目標温度(Tx)となるように電気ヒータ(78)における加熱能力の上昇とともに蒸発器(25)における冷却能力を上昇させて蒸発器(25)における除湿能力を上昇させることができるので、コンテナ(C)の庫内温度の変化を抑制しつつ、蒸発器(25)における除湿能力を上昇させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、実施の形態を図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一または相当部分には同一の符号を付しその説明は繰り返さない。
【0038】
〔実施形態1〕
図1〜
図3に示すように、実施形態1によるコンテナ用冷凍装置(10)は、海上輸送等に用いられるコンテナ(C)内の冷蔵または冷凍を行うものである。コンテナ(C)は、一側面が開放された箱状(または、有底筒状)に形成されている。そして、コンテナ用冷凍装置(10)は、コンテナ(C)の開口端部を塞ぐように配設される。なお、コンテナ(C)の庫内には、冷却対象となる積荷(図示を省略)が積まれている。積荷の例示としては、生鮮食品や精密電子部品などである。
【0039】
図4に示すように、コンテナ用冷凍装置(10)は、コントローラ(100)と、冷媒回路(16)および加熱装置(17)を有する冷却部(18)と、吸込温度センサ(33)と、吹出温度センサ(34)と、湿度センサ(53)とを備えている。冷媒回路(16)は、冷媒が充填された閉回路であり、圧縮機(21)と凝縮器(23)と膨張弁(76)と蒸発器(25)とが順に接続されて構成されている。
【0040】
図2に示すように、冷却部(18)では、加熱装置(17)は、コンテナ(C)の庫内から吸い込まれた空気(吸込空気)の流れ方向において冷媒回路(16)の蒸発器(25)の下流側に設けられている。すなわち、冷却部(18)では、吸込空気は、蒸発器(25)および加熱装置(17)を順に通過してコンテナ(C)の庫内に吹き出される。この例では、加熱装置(17)は、レヒート熱交換器(32)によって構成されている。
【0041】
また、コンテナ用冷凍装置(10)は、冷却部(18)の冷媒回路(16)の冷凍サイクルを利用してコンテナ(C)の庫内の空気を冷却するように構成されている。具体的には、このコンテナ用冷凍装置(10)では、加熱装置(17)を停止させて吸込空気を蒸発器(25)において冷却する冷却運転と、吸込空気を蒸発器(25)において冷却除湿して加熱装置(17)において加熱する除湿運転とが行われる。
【0042】
〈コンテナ用冷凍装置の構造〉
図1および
図2に示すように、コンテナ用冷凍装置(10)は、コンテナ(C)の開口端部を塞ぐように周縁部がコンテナ(C)に取り付けられるケーシング(11)を備えている。なお、この例では、コンテナ用冷凍装置(10)の冷却部(18)は、冷媒回路(16)および加熱装置(17)(この例では、レヒート熱交換器(32))の他に、庫外ファン(24)と庫外モータ(45)と送風ユニット(30)とを有している。
【0043】
図2に示すように、ケーシング(11)は、庫外側に位置する庫外ケーシング(12)と、庫内側に位置する庫内ケーシング(13)とを備えている。庫外ケーシング(12)および庫内ケーシング(13)は、金属製のアルミニウム合金によって構成されている。また、庫外ケーシング(12)と庫内ケーシング(13)との間の空間には、断熱材(14)が設けられている。
【0044】
庫外ケーシング(12)は、コンテナ(C)の開口端部を塞ぐようにコンテナ(C)の開口端部に取り付けられる。また、庫外ケーシング(12)は、その下部が庫内側へ膨出するように形成されている。庫内ケーシング(13)は、庫外ケーシング(12)に沿うように形成されており、その下部が庫外ケーシング(12)の下部に対応して庫内側へ膨出している。このように、ケーシング(11)の下部は、コンテナ(C)の庫内側に向かって膨出するように形成されていて、これにより、ケーシング(11)の下部の庫外には凹部(11a)が形成される。すなわち、ケーシング(11)の下部の庫外側には庫外収納空間(S1)が、ケーシング(11)の上部の庫内側には庫内収納空間(S2)が、それぞれ形成されている。
【0045】
また、ケーシング(11)の庫内側には、仕切板(48)が設けられている。仕切板(48)は、略矩形状の板部材によって構成され、ケーシング(11)と隙間を隔てて対向するような姿勢で立設されている。庫内収納空間(S2)は、この仕切板(48)によってコンテナ(C)の庫内と区画されている。そして、仕切板(48)の上端とコンテナ(C)の天井面との間には隙間が形成され、この隙間が、コンテナ(C)の庫内空気を庫内収納空間(S2)に取り込む吸込口(51)を構成している。また、仕切板(48)の下端とコンテナ(C)の底面との間には隙間が形成され、この隙間が、コンテナ用冷凍装置(10)によって処理された空気(すなわち、蒸発器(25)および加熱装置(17)を順に通過した空気)を庫内へ吹き出す吹出口(52)を構成している。なお、仕切板(48)の庫内幅方向の両端部は、コンテナ(C)の庫内幅方向の両側面に固定されている。
【0046】
《庫外収納空間》
庫外収納空間(S1)内には、圧縮機(21)と凝縮器(23)と庫外ファン(24)と庫外モータ(45)とが設けられている。圧縮機(21)および凝縮器(23)は、冷媒回路(16)に接続されている。庫外ファン(24)は、庫外モータ(45)によって回転駆動され、庫外の空気を庫外収納空間(S1)内へ誘引して凝縮器(23)へ搬送する。庫外モータ(45)は、コントローラ(100)による制御に応答して駆動と停止(発停)を切り換え可能に構成されている。すなわち、庫外ファン(24)の発停は、コントローラ(100)によって制御される。凝縮器(23)では、コンテナ(C)の庫外から吸い込まれた空気と冷媒との間で熱交換が行われる。
【0047】
《庫内収納空間》
庫内収納空間(S2)には、ケーシング(11)の庫内側の上部に、レヒート熱交換器(32)と蒸発器(25)と送風ユニット(30)と吸込温度センサ(33)と湿度センサ(53)とが設けられ、ケーシング(11)の庫内側の下部に、吹出温度センサ(34)が設けられている。具体的には、庫内収納空間(S2)において、吸込口(51)に最も近い上部(すなわち、吸込口(51)の近傍)に吸込温度センサ(33)および湿度センサ(53)が配置され、この吸込温度センサ(33)の直下に送風ユニット(30)が配置され、送風ユニット(30)の直下に蒸発器(25)が配置され、蒸発器(25)の直下にレヒート熱交換器(32)が配置され、吹出口(52)に最も近い下部(すなわち、吹出口(52)の近傍)に吹出温度センサ(34)が配置されている。
【0048】
−送風ユニット−
送風ユニット(30)は、コンテナ(C)の庫内空気を庫内収納空間(S2)(具体的には、蒸発器(25)およびレヒート熱交換器(32))へ搬送する。送風ユニット(30)は、庫内収納空間(S2)の上部に設けられ、ケーシング(11)の幅方向に2台が並んで配置されている。各送風ユニット(30)は、ファンハウジング(31)と、庫内ファン(26)と、庫内モータ(46)とを備えている。庫内ファン(26)は、庫内モータ(46)によって回転駆動され、コンテナ(C)の庫内空気を仕切板(48)の上側の吸込口(51)から誘引して庫内収納空間(S2)(具体的には、蒸発器(25)およびレヒート熱交換器(32))へ搬送する。庫内モータ(46)は、コントローラ(100)による制御に応答して駆動と停止(発停)を切り換え可能に構成されている。すなわち、庫内ファン(26)の発停は、コントローラ(100)によって制御される。そして、庫内ファン(26)によってコンテナ(C)の庫内から吸い込まれた空気(吸込空気)は、蒸発器(25)およびレヒート熱交換器(32)を順に通過し、その後、仕切板(48)の下側の吹出口(52)からコンテナ(C)の庫内に吹き出される。すなわち、レヒート熱交換器(32)は、コンテナ(C)の庫内から吸い込まれた吸込空気の流れ方向において蒸発器(25)の下流側に設けられている。
【0049】
−吸込温度センサ−
吸込温度センサ(33)は、コンテナ(C)の庫内から吸い込まれる吸込空気(すなわち、コンテナ(C)の庫内から庫内収納空間(S2)に送り込まれる空気)の温度を検知する。この例では、吸込温度センサ(33)は、2台の送風ユニット(30,30)の間において送風ユニット(30)の上部とほぼ水平となる高さに設けられている。吸込温度センサ(33)によって検知された吸込空気の温度(以下、吸込検知温度(Trs)と表記)は、コントローラ(100)に送られる。
【0050】
−吹出温度センサ−
吹出温度センサ(34)は、庫内収納空間(S2)からコンテナ(C)の庫内に吹き出される空気(吹出空気)の温度を検知する。すなわち、吹出温度センサ(34)は、蒸発器(25)およびレヒート熱交換器(32)を順に通過してコンテナ(C)の庫内に吹き出される吹出空気の温度を検知する。この例では、吹出温度センサ(34)は、庫内収納空間(S2)の下部(すなわち、庫内ケーシング(13)の膨出した部分)と仕切板(48)との間において庫内幅方向の略中央位置に設けられている。吹出温度センサ(34)によって検知された吹出空気の温度(以下、吹出検知温度(Tss)と表記)は、コントローラ(100)に送られる。
【0051】
−湿度センサ−
湿度センサ(53)は、コンテナ(C)の庫内から吸い込まれる吸込空気の湿度を検知する。湿度センサ(53)によって検知された吸込空気の湿度(以下、吸込検知湿度と表記)は、コントローラ(100)に送られる。
【0052】
《コンテナ用冷凍装置のその他の構造》
また、
図1に示すように、ケーシング(11)には、その上側寄りの位置に開口する開口孔(27)が幅方向に並んで2つ配置されている。開口孔(27)には、メンテナンス時に開閉可能な開閉扉(28)が取り付けられている。ケーシング(11)の庫外収納空間(S1)内には、庫外ファン(24)と隣接する位置に電装品ボックス(29)が配設されている。
【0053】
また、
図3に示すように、ケーシング(11)の上部の庫内側には、ケーシング(11)の幅方向に延びて蒸発器(25)を保持する蒸発器保持枠(15)が設けられている。また、ケーシング(11)の庫内側には、サイドステー(40)および枠支持部材(43)が設けられている。サイドステー(40)は、ケーシング(11)の幅方向の両端側に立設され、庫内側に膨出したケーシング(11)の下部に接続されている。枠支持部材(43)は、断面略コの字状に形成された柱状部材であり、ケーシング(11)の下部の庫内側においてケーシング(11)の幅方向の中央部分に上下方向に延びるように設けられている。蒸発器保持枠(15)は、その幅方向の両端部がサイドステー(40)によって支持されるとともに、その幅方向の中央部が枠支持部材(43)によって支持されている。具体的には、蒸発器保持枠(15)の幅方向の中央部分は、ケーシング(11)の庫内側の幅方向の中央部に固定され且つ枠支持部材(43)の上端部に接続されている。
【0054】
〈冷媒回路の構成〉
図4に示すように、冷媒回路(16)では、圧縮機(21)と凝縮器(23)と膨張弁(76)と蒸発器(25)とが冷媒管によって順に接続されている。この例では、凝縮器(23)と膨張弁(76)との間には、高圧液管(81)が設けられ、膨張弁(76)と蒸発器(25)との間には、低圧液管(82)が設けられ、蒸発器(25)と圧縮機(21)との間には、低圧ガス管(83)が設けられている。凝縮器(23)の近傍には、凝縮器(23)へコンテナ(C)の庫外の空気を取り込むための庫外ファン(24)が設けられている。蒸発器(25)の近傍には、蒸発器(25)へコンテナ(C)の庫内の空気を取り込むための庫内ファン(26)が設けられている。また、高圧液管(81)には、レシーバ(73)と、第1過冷却熱交換器(60)と、第1開閉弁(35)と、ドライヤ(42)と、第2過冷却熱交換器(63)とが順に設けられ、低圧ガス管(83)には、吸入比例弁(66)が設けられている。
【0055】
《圧縮機》
圧縮機(21)は、冷媒を圧縮して吐出する。また、圧縮機(21)は、コントローラ(100)による制御に応答して駆動と停止を切換可能に構成されている。この例では、圧縮機(21)は、圧縮機構(図示を省略)と、圧縮機構を駆動する圧縮機モータ(図示を省略)を有している。また、圧縮機モータの回転数は、一定速となっている。すなわち、圧縮機モータは、一定の回転数で駆動するように構成されている。
【0056】
《凝縮器》
凝縮器(23)は、圧縮機(21)から吐出された冷媒を流入し、凝縮器(23)に流入した冷媒の熱を凝縮器(23)を通過する空気(この例では、庫外空気)へ放熱させて冷媒を凝縮させる。すなわち、凝縮器(23)では、凝縮器(23)を流れる冷媒と凝縮器(23)を通過する空気とが互いに熱交換し、凝縮器(23)を流れる冷媒が凝縮する一方、凝縮器(23)を通過する空気が加熱される。例えば、凝縮器(23)は、円管である伝熱管を備えた熱交換器(所謂、クロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器)によって構成されていてもよい。
【0057】
《レシーバ》
レシーバ(73)は、凝縮器(23)の冷媒流れ方向(冷媒回路(16)における冷媒の流れ方向)の下流側に設けられ、凝縮器(23)から流入した冷媒を飽和液と飽和ガスとに分離して飽和液を流出するよう構成されている。例えば、レシーバ(73)は、縦長で円筒状の密閉容器によって構成されている。
【0058】
《第1過冷却熱交換器》
第1過冷却熱交換器(60)は、第1高圧側流路(61)および第1低圧側流路(62)を有している。第1過冷却熱交換器(60)の第1高圧側流路(61)は、レシーバ(73)の冷媒流れ方向の下流側に設けられている。
【0059】
《第1開閉弁》
第1開閉弁(35)は、高圧液管(81)のドライヤ(42)と膨張弁(76)との間における冷媒の流量を調節するものであり、コントローラ(100)による制御に応答してその開度を調節可能に構成されている。
【0060】
《ドライヤ》
ドライヤ(42)は、第1開閉弁(35)の冷媒流れ方向の下流側に設けられ、凝縮器(23)から流出された液冷媒(この例では、レシーバ(73)と第1過冷却熱交換器(60)と第1開閉弁(35)とを通過した液冷媒)の中の水分を捕捉するように構成されている。
【0061】
《第2過冷却熱交換器》
第2過冷却熱交換器(63)は、第2高圧側流路(64)と第2低圧側流路(65)とを有している。第2過冷却熱交換器(63)の第2高圧側流路(64)は、ドライヤ(42)の冷媒流れ方向の下流側に設けられている。
【0062】
《膨張弁(膨張機構)》
膨張弁(76)は、その内部を流れる冷媒を膨張させて減圧させるものであり、コントローラ(100)による制御に応答してその開度を調節可能に構成されている。
【0063】
《蒸発器》
蒸発器(25)は、膨張弁(76)から流出された冷媒(この例では、低圧液管(82)に流出された冷媒)を流入し、蒸発器(25)に流入した冷媒に蒸発器(25)を通過する空気(具体的には、コンテナ(C)の庫内から吸い込まれた吸込空気)の熱を吸熱させて空気を冷却する。すなわち、蒸発器(25)では、蒸発器(25)を流れる冷媒と蒸発器(25)を通過する空気とが互いに熱交換し、蒸発器(25)を流れる冷媒が蒸発する一方、蒸発器(25)を通過する空気が冷却される。例えば、蒸発器(25)は、円管である伝熱管を備えた熱交換器(所謂、クロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器)によって構成されている。蒸発器(25)の伝熱管は、コンテナ(C)の庫内幅方向に沿って延びている。
【0064】
《吸入比例弁》
吸入比例弁(66)は、冷媒回路(16)を循環する冷媒の流量を調節するものであり、コントローラ(100)による制御に応答してその開度を調節可能に構成されている。すなわち、冷媒回路(16)は、コントローラ(100)による制御に応答して冷媒循環量を調節可能に構成されている。
【0065】
《第1分岐管》
また、高圧ガス管(80)の途中には、高圧ガス管(80)を流れる冷媒の一部が流入する第1分岐管(85)が接続されている。この第1分岐管(85)から第1および第2接続管(91,92)がさらに分岐している。すなわち、第1分岐管(85)は、その一端が高圧ガス管(80)の途中に接続されている。
【0066】
《第1〜第3接続管》
第1接続管(91)は、その一端が第1分岐管(85)の他端に接続される一方、その他端が低圧液管(82)の途中に接続されている。第1接続管(91)には、ヒータ電磁弁(71)が設けられている。第2接続管(92)は、その一端が第1分岐管(85)の他端に接続される一方、その他端が低圧液管(82)の途中に接続されている。第2接続管(92)には、レヒート電磁弁(70)とレヒート熱交換器(32)とが順に設けられている。また、第1接続管(91)の途中(具体的には、低圧液管(82)に接続された第1接続管(91)の他端とヒータ電磁弁(71)との間)には、第3接続管(93)が接続されている。第3接続管(93)は、その一端が第1接続管(91)の途中に接続される一方、その他端が低圧液管(82)の途中に接続される。第3接続管(93)には、ドレンパンヒータ(77)が設けられている。
【0067】
《ヒータ電磁弁,レヒート電磁弁》
レヒート電磁弁(70)およびヒータ電磁弁(71)は、コントローラ(100)による制御に応答してその開度を調節可能に構成されている。第1接続管(91)および第3接続管(93)における冷媒流量は、ヒータ電磁弁(71)の開度によって調節される。第2接続管(92)における冷媒流量は、レヒート電磁弁(70)の開度によって調節される。なお、ヒータ電磁弁(71)は、ドレンパンヒータ(77)を駆動させる場合に開状態に設定される。
【0068】
《ドレンパンヒータ》
ドレンパンヒータ(77)は、蒸発器(25)で結露した水が溜められるドレンパン(図示を省略)を加熱してドレンパンにおいて凍った水を溶かす。ドレンパンヒータ(77)は、圧縮機(21)の吐出冷媒(すなわち、ホットガス)が流入するよう構成されている。
【0069】
《レヒート熱交換器》
レヒート熱交換器(32)は、除湿運転において圧縮機(21)から吐出された冷媒の一部が流入し、レヒート熱交換器(32)に流入した冷媒の熱をレヒート熱交換器(32)を通過する空気(具体的には、蒸発器(25)において冷却除湿された空気)に放熱させて空気を加熱する。すなわち、レヒート熱交換器(32)では、除湿運転においてレヒート熱交換器(32)を流れる冷媒とレヒート熱交換器(32)を通過する空気とが互いに熱交換し、レヒート熱交換器(32)を流れる冷媒が凝縮する一方、レヒート熱交換器(32)を通過する空気が加熱される。例えば、レヒート熱交換器(32)は、円管である伝熱管を備えた熱交換器(所謂、クロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器)によって構成されている。レヒート熱交換器(32)の伝熱管は、コンテナ(C)の庫内幅方向に沿って延びている。レヒート熱交換器(32)から流出された冷媒は、低圧液管(82)に流入する。
【0070】
《第2分岐管》
また、高圧液管(81)の途中(具体的には、第1過冷却熱交換器(60)と第1開閉弁(35)との間)には、高圧液管(81)を流れる冷媒の一部が流れる第2分岐管(86)が接続されている。第2分岐管(86)は、その一端が高圧液管(81)の途中に接続される一方、その他端が圧縮機(21)の中間圧となる圧縮室に連通する中間ポートに接続されている。第2分岐管(86)には、第2開閉弁(36)と、キャピラリチューブ(39)と、第2過冷却熱交換器(63)の第2低圧側流路(65)と、第1過冷却熱交換器(60)の第1低圧側流路(62)とが順に設けられている。
【0071】
《第2開閉弁》
第2開閉弁(36)は、第2分岐管(86)を流れる冷媒の流量を調節するものであり、コントローラ(100)による制御に応答してその開度を調節可能に構成されている。なお、第2開閉弁(36)は、第1および第2過冷却熱交換器(60,63)において冷媒の過冷却を行う場合には、開状態に設定され、第1および第2過冷却熱交換器(60,63)において冷媒の過冷却を行わない場合には、閉状態に設定される。
【0072】
《第4接続管》
また、第2分岐管(86)の途中(具体的には、第2開閉弁(36)の冷媒の吸入側、すなわち、高圧液管(81)に接続された第2分岐管(86)の一端と第2開閉弁(36)との間)には、第4接続管(94)が接続されている。第4接続管(94)は、その一端が第2分岐管(86)の途中に接続される一方、その他端が低圧液管(82)の途中に接続されている。
【0073】
《第5接続管》
また、第4接続管(94)の途中には、第5接続管(95)が接続されている。第5接続管(95)は、その一端が第4接続管(94)の途中に接続される一方、その他端が低圧ガス管(83)の途中(具体的には、圧縮機(21)の吸入側と吸入比例弁(66)との間)に接続されている。第5接続管(95)には、第3開閉弁(37)が設けられている。
【0074】
《第3開閉弁》
第3開閉弁(37)は、第5接続管(95)を流れる冷媒の流量を調節するものであり、コントローラ(100)による制御に応答してその開度を調節可能に構成されている。なお、第3開閉弁(37)は、冷媒回路(16)の保護のために設けられ、圧縮機(21)の吐出圧力(圧縮機(21)から吐出される高圧ガス冷媒の圧力)が予め定められた高圧異常閾値よりも高くなった場合に開状態に設定される。
【0075】
《第6接続管》
低圧ガス管(83)の途中(具体的には、吸入比例弁(66)の冷媒の上流側、すなわち、蒸発器(25)と吸入比例弁(66)との間)には、第6接続管(96)が接続されている。第6接続管(96)は、その一端が低圧ガス管(83)の途中に接続される一方、その他端が高圧ガス管(80)の途中に接続されている。第6接続管(96)には、第4開閉弁(38)が設けられている。
【0076】
《第4開閉弁》
第4開閉弁(38)は、第6接続管(96)を流れる冷媒の流量を調節するものであり、コントローラ(100)による制御に応答してその開度を調節可能に構成されている。なお、第4開閉弁(38)は、冷媒回路(16)の保護のために設けられ、圧縮機(21)の吸入圧力(圧縮機(21)に吸入される低圧ガス冷媒の圧力)が予め定められた低圧異常閾値よりも低くなった場合に開状態に設定される。
【0077】
《センサ類》
また、冷媒回路(16)には、各種のセンサ類が設けられている。この例では、冷媒回路(16)には、高圧圧力スイッチ(110)と、高圧圧力センサ(111)と、吐出温度センサ(112)と、低圧圧力センサ(113)と、吸入温度センサ(114)とが設けられている。高圧圧力スイッチ(110)と高圧圧力センサ(111)と吐出温度センサ(112)とは、冷媒回路(16)の高圧ガス管(80)に設けられている。低圧圧力センサ(113)と吸入温度センサ(114)とは、低圧ガス管(83)において蒸発器(25)と圧縮機(21)の間に設けられている。
【0078】
高圧圧力センサ(111)は、圧縮機(21)から吐出される高圧ガス冷媒の圧力(すなわち、圧縮機(21)の吐出圧力)を検出する。吐出温度センサ(112)は、圧縮機(21)から吐出される高圧ガス冷媒の温度を検出する。低圧圧力センサ(113)は、圧縮機(21)に吸入される低圧ガス冷媒の圧力(すなわち、圧縮機(21)の吸入圧力)を検出する。吸入温度センサ(114)は、圧縮機(21)に吸入される低圧ガス冷媒の温度を検出する。各センサ(111〜114)によって検知された値(圧力や温度など)は、コントローラ(100)に送られ、後述する各制御に適宜用いられる。
【0079】
〈コントローラの構成〉
コントローラ(100)は、コンテナ用冷凍装置(10)の運転制御を行う。すなわち、コントローラ(100)は、冷却運転と除湿運転とが行われるように冷却部(18)を制御する。
図5に示すように、この例では、除湿運転において第1〜第3除湿制御が行われる。コントローラ(100)は、温度制御部(101)と、目標制御部(201)と、運転制御部(105)とを備えている。
【0080】
《温度制御部》
温度制御部(101)は、冷却運転および除湿運転において、吹出温度センサ(34)によって検知された吹出空気の温度(すなわち、吹出検知温度(Tss))を監視し、吹出検知温度(Tss)が目標温度(Tx)となるように冷却部(18)を制御する。具体的には、温度制御部(101)は、吹出検知温度(Tss)が目標温度(Tx)よりも高い場合には第1冷却動作を行い、吹出検知温度(Tss)が目標温度(Tx)よりも低い場合には第2冷却動作を行う。なお、第1冷却動作とは、蒸発器(25)における冷却能力を上昇させるための動作のことであり、第2冷却動作とは、蒸発器(25)における冷却能力を低下させるための動作のことである。
【0081】
この例では、温度制御部(101)は、第1冷却動作において冷媒回路(16)の吸入比例弁(66)の開度を大きくし、第2冷却動作において冷媒回路(16)の吸入比例弁(66)の開度を小さくする。また、コンテナ用冷凍装置(10)の運転モードが除湿運転から冷却運転に切り換えられると、温度制御部(101)は、冷媒回路(16)の吸入比例弁(66)の開度に応じて第1および第2冷却動作のいずれか一方を行う。具体的には、温度制御部(101)は、吸入比例弁(66)の開度が「100pls」よりも大きい場合には第1冷却動作を行い、吸入比例弁(66)の開度が「100pls」以下である場合には第2冷却動作を行う。
【0082】
《目標制御部》
目標制御部(201)は、冷却運転および除湿運転において、吹出検知温度(Tss)に対する目標温度を設定(または、補正)するものであり、目標設定部(102)と第1補正部(103)と第2補正部(104)とを有している。
【0083】
−目標設定部−
目標設定部(102)は、冷却運転において、目標温度(Tx)をコンテナ(C)の庫内温度に対して予め定められた庫内設定温度(Tsp)と同一の第1設定温度に設定する。また、目標設定部(102)は、コンテナ用冷凍装置(10)の運転モードが冷却運転から除湿運転に切り換えられた場合に、目標温度(Tx)を庫内設定温度(Tsp)に予め定められた目標加算温度を加えた第2設定温度(すなわち、コンテナ(C)の庫内温度の設定値(庫内設定温度(Tsp))から所定値だけ高くした値)に設定する。
【0084】
この例では、目標設定部(102)は、第1および第2除湿制御において目標温度(Tx)を第2設定温度に設定し、冷却運転および第3除湿制御において目標温度(Tx)を第1設定温度に設定する。例えば、
図6に示すように、目標加算温度は、「0.6℃」に設定されている。なお、「0.6℃」は、目標加算温度の例示であり、これに限られるものではない。
【0085】
−第1補正部−
第1補正部(103)は、吸込温度センサ(33)によって検知された吸込空気の温度(すなわち、吸込検知温度(Trs))を監視し、コンテナ用冷凍装置(10)の運転モードが冷却運転から除湿運転に切り換えられた後に、吸込検知温度(Trs)が予め定められた吸込基準温度よりも高く(または、低く)なった場合に目標温度(Tx)を補正する。具体的には、第1補正部(103)は、吸込検知温度(Trs)が目標温度(Tx)よりも高くなると目標温度(Tx)を低くする一方、吸込検知温度(Trs)が吸込基準温度よりも低くなると目標温度(Tx)を高くする。また、第1補正部(103)は、コンテナ用冷凍装置(10)の運転モードが冷却運転から除湿運転に切り換えられた後に、目標温度(Tx)の補正(すなわち、吸込検知温度(Trs)と吸込基準温度との比較結果に応じて目標温度(Tx)を補正する動作)を周期的に行うように構成されていてもよい。
【0086】
なお、第1補正部(103)は、目標温度(Tx)が庫内設定温度(Tsp)以上となるように目標温度(Tx)を補正する。すなわち、目標温度(Tx)の下限は、庫内設定温度(Tsp)に設定されている。
【0087】
この例では、吸込基準温度は、安定した冷却運転時の吸込温度センサ(33)の検知温度(すなわち、冷却運転が安定状態となっている場合において吸込温度センサ(33)によって検知された吸込空気の温度、以下、吸込安定温度(Trs')と表記)に設定されている。なお、安定した冷却運転時(すなわち、冷却運転が安定している場合)とは、例えば、
図8に示すように、冷却運転によってコンテナ(C)の庫内が冷却されて吹出空気の温度が低下した後に、吹出空気の温度(具体的には、吹出検知温度(Tss))が庫内設定温度(Tsp)に対して所定の温度範囲内(インレンジ)で変動するように温度制御が行われる状態のことである。また、目標制御部(201)の第1補正部(103)は、冷却運転の際に(すなわち、冷却運転から除湿運転に切り換えられる前に)吸込安定温度(Trs')を記憶するように構成されていてもよい。
【0088】
また、この例では、
図6に示すように、第1補正部(103)は、目標温度(Tx)に第1補正温度(Y)を加えることによって目標温度(Tx)を補正する。すなわち、第1補正部(103)によって補正された目標温度(Tx)は、補正前の目標温度(Tx)に第1補正温度(Y)を加えた温度に相当する。そして、第1補正部(103)は、吸込検知温度(Trs)が吸込基準温度よりも高い場合には、第1補正温度(Y)を負の値に設定し、吸込検知温度(Trs)が吸込基準温度よりも低い場合には、第1補正温度(Y)を正の値に設定する。
【0089】
また、この例では、
図7(A)および
図7(B)に示すように、第1補正部(103)は、冷却運転から除湿運転に切り換えられた後に、第1補正温度の調節(すなわち、吸込検知温度(Trs)と吸込基準温度と比較して第1補正温度を調節する動作)を周期的に行うように構成されている。例えば、吸込基準温度が吸込安定温度(Trs')に設定され、補正前の目標温度(Tx)が庫内設定温度(Tsp)に目標加算温度(+0.6℃)を加えた第2設定温度(すなわち、Tsp+0.6℃)に設定され、負の値を示す第1補正温度(Y)が「−0.2℃」に設定され、正の値を示す第1補正温度(Y)が「+0.2℃」に設定されているとすると、第1補正部(103)は、次のように目標温度(Tx)を補正する。
【0090】
図7(A)に示すように、冷却運転から除湿運転に切り換えられた後に、吸込検知温度(Trs)が吸込安定温度(Trs')よりも高くなった場合、第1補正部(103)は、目標温度(Tx)に負の値を示す第1補正温度(−0.2℃)を加算する。これにより、目標温度(Tx)は「Tsp+0.6℃−0.2℃」となる。そして、この補正によっても除湿運転に切り換えられた後の吸込検知温度(Trs)が吸込安定温度(Trs')よりも高くなっている場合、第1補正部(103)は、補正後の目標温度(Tx)に負の値を示す第1補正温度(−0.2℃)をさらに加算する。これにより、目標温度(Tx)は「Tsp+0.6−(0.2℃×2)」となる。
【0091】
一方、
図7(B)に示すように、冷却運転から除湿運転に切り換えられた後に、吸込検知温度(Trs)が吸込安定温度(Trs')よりも低くなった場合、第1補正部(103)は、目標温度(Tx)に正の値を示す第1補正温度(+0.2℃)を加算する。これにより、目標温度(Tx)は「Tsp+0.6℃+0.2℃」となる。そして、この補正によっても除湿運転に切り換えられた後の吸込検知温度(Trs)が吸込安定温度(Trs')よりも低くなっている場合、第1補正部(103)は、補正後の目標温度(Tx)に正の値を示す第1補正温度(+0.2℃)をさらに加算する。これにより、目標温度(Tx)は「Tsp+0.6+(0.2℃×2)」となる。
【0092】
−第2補正部−
第2補正部(104)は、除湿運転(この例では、第2除湿制御)において蒸発器(25)における除湿能力を監視し、蒸発器(25)における除湿能力が高くなるほど目標温度(Tx)が高くなるように、蒸発器(25)における除湿能力に応じて目標温度(Tx)を補正する。すなわち、第2補正部(104)は、蒸発器(25)における除湿能力が高くなるのに伴って目標温度(Tx)を高くする。
【0093】
この例では、第2補正部(104)は、除湿運転(具体的には、第2除湿制御)において高圧圧力センサ(111)によって検知された圧縮機(21)の吐出圧力(吐出冷媒の圧力)を監視し、圧縮機(21)の吐出圧力が高くなるほど目標温度(Tx)が高くなるように、圧縮機(21)の吐出圧力に応じて目標温度(Tx)を補正する。
【0094】
また、この例では、
図6に示すように、第2補正部(104)は、目標温度(Tx)に第2補正温度(Z)を加えることによって目標温度(Tx)を補正する。すなわち、第2補正部(104)によって補正された目標温度(Tx)は、補正前の目標温度(Tx)に第2補正温度(Z)を加えた温度に相当する。また、第2補正部(104)は、蒸発器(25)における除湿能力が高くなるほど(この例では、圧縮機(21)の吐出圧力が高くなるほど)第2補正温度(Z)が高くなるように、蒸発器(25)における除湿能力(この例では、圧縮機(21)の吐出圧力)に応じて第2補正温度(Z)を調節する。例えば、
図6に示すように、第2補正部(104)は、蒸発器(25)における除湿能力が高くなるのに伴って、第2補正温度(Z)を「0.2℃」「0.4℃」「0.6℃」の順で段階的に高くする。
【0095】
《運転制御部》
運転制御部(105)は、コンテナ用冷凍装置(10)が起動されると、コンテナ用冷凍装置(10)の運転モードを冷却運転に設定する。また、運転制御部(105)は、吸込検知湿度(湿度センサ(53)によって検知された吸込空気の湿度)と吸込検知温度(Trs)と吹出検知温度(Tss)とを監視し、コンテナ用冷凍装置(10)の運転モードの切り換え(すなわち、冷却運転と除湿運転との切り換え)を行う。さらに、運転制御部(105)は、除湿運転において第1〜第3除湿制御のうちいずれか一つを行う。
【0096】
−冷却運転における制御−
冷却運転では、運転制御部(105)は、加熱装置(17)(この例では、レヒート熱交換器(32))が停止するとともにコンテナ(C)の庫内から吸い込まれた吸込空気が冷媒回路(16)の蒸発器(25)において冷却されるように、冷却部(18)を制御する。
【0097】
この例では、冷却運転において、運転制御部(105)は、第1開閉弁(35)を開状態に設定し、レヒート電磁弁(70)を閉状態に設定し、膨張弁(76)の開度を所定の開度に設定し、圧縮機(21)と庫外ファン(24)と庫内ファン(26)とを駆動状態に設定する。
【0098】
−第1除湿制御−
第1除湿制御では、運転制御部(105)は、コンテナ(C)の庫内から吸い込まれた吸込空気が冷媒回路(16)の蒸発器(25)において冷却除湿されて加熱装置(17)(この例では、レヒート熱交換器(32))において加熱されるように、冷却部(18)を制御する。
【0099】
この例では、第1除湿制御において、運転制御部(105)は、レヒート熱交換器(32)に圧縮機(21)の吐出冷媒の一部を流入(直接流入)させる。具体的には、運転制御部(105)は、第1開閉弁(35)とレヒート電磁弁(70)とを開状態に設定し、膨張弁(76)の開度を所定の開度に設定し、圧縮機(21)と庫外ファン(24)と庫内ファン(26)とを駆動状態に設定する。
【0100】
−第2除湿制御−
この例では、第2除湿制御において、運転制御部(105)は、第1除湿制御と同様に、第1開閉弁(35)とレヒート電磁弁(70)とを開状態に設定し、膨張弁(76)の開度を所定の開度に設定し、圧縮機(21)と庫外ファン(24)と庫内ファン(26)とを駆動状態に設定する。
【0101】
また、第2除湿制御では、運転制御部(105)は、蒸発器(25)における除湿能力が第1除湿制御における除湿能力よりも高くなるように冷却部(18)を制御する。さらに、第2除湿制御では、運転制御部(105)は、除湿負荷(すなわち、湿度センサ(53)によって検知された吸込空気の湿度と予め定められた目標湿度との差)が大きくなるほど冷媒回路(16)の蒸発器(25)における除湿能力が高くなるように、除湿負荷に応じて冷却部(18)を制御する。すなわち、運転制御部(105)は、除湿負荷が高くなるのに伴って蒸発器(25)における除湿能力を高くする。
【0102】
この例では、第2除湿制御において、運転制御部(105)は、高圧圧力センサ(111)によって検知された圧縮機(21)の吐出圧力を監視し、圧縮機(21)の吐出圧力が予め定められた目標吐出圧力となるように、庫外ファン(24)を制御する。具体的には、運転制御部(105)は、圧縮機(21)の吐出圧力が目標吐出圧力よりも低い場合には、庫外ファン(24)を停止させ、圧縮機(21)の吐出圧力が目標吐出圧力よりも高い場合には、庫外ファン(24)を駆動させる。さらに、この例では、運転制御部(105)は、第2除湿制御において、除湿負荷を監視し、除湿負荷が大きくなるほど目標吐出圧力が高くなるように、除湿負荷に応じて目標吐出圧力を設定する。なお、第2除湿制御における目標吐出圧力(可変値)の最低値は、第1除湿制御における目標吐出圧力(一定値)よりも高くなっている。
【0103】
−第3除湿制御−
第3除湿制御では、運転制御部(105)は、加熱装置(17)(この例では、レヒート熱交換器(32))が停止するとともにコンテナ(C)の庫内から吸い込まれた吸込空気が冷媒回路(16)の蒸発器(25)において冷却除湿されるように、冷却部(18)を制御する。
【0104】
この例では、第3除湿制御において、運転制御部(105)は、第1開閉弁(35)を開状態に設定し、レヒート電磁弁(70)を閉状態に設定し、膨張弁(76)の開度を所定の開度に設定し、圧縮機(21)と庫外ファン(24)と庫内ファン(26)とを駆動状態に設定する。
【0105】
〈運転モードの切り換え〉
次に、
図5を参照して、運転制御部(105)による運転モードの切り換えについて説明する。この例では、運転制御部(105)は、次のように冷却運転と除湿運転との切り換えと第1〜第3除湿制御の切り換えとを行う。
【0106】
《冷却運転→除湿運転》
運転制御部(105)は、冷却運転において下記の条件の全部が満たされると、コンテナ用冷凍装置(10)の運転モードを冷却運転から除湿運転に切り換える。
・条件1:吸込検知湿度(湿度センサ(53)によって検知された吸込空気の湿度)が予め定められた目標湿度よりも高い。
・条件2:吹出検知温度(Tss)が予め定められた吹出温度範囲(目標温度(Tx)を含む温度範囲)内に収まっている。
・条件3:吸込検知温度(Trs)が予め定められた吸込温度範囲(目標温度(Tx)を含む温度範囲)内に収まっている。
【0107】
《第1除湿制御→第2除湿制御》
コンテナ用冷凍装置の運転モードが冷却運転から除湿運転に切り換えられると、運転制御部(105)は、第1除湿制御を行う。また、運転制御部(105)は、第1除湿制御において下記の条件の全部が満たされると、第1除湿制御を終了して第2除湿制御を行う。
・条件1:吸込検知湿度が目標湿度よりも高い。
・条件2:吹出検知温度(Tss)が吹出温度範囲内に収まっている。
【0108】
《第2除湿制御→第1除湿制御》
また、運転制御部(105)は、第2除湿制御において下記の条件のうち少なくとも一つが満たされると、第2除湿制御を終了して第1除湿制御を行う。
・条件1:吸込検知湿度が予め定められた基準湿度(目標湿度よりも低い湿度)よりも低い。
・条件2:吹出検知温度(Tss)が予め定められた第1基準温度(吹出温度範囲の中の温度)よりも高い。
【0109】
《第1除湿制御→第3除湿制御》
また、運転制御部(105)は、第1除湿制御において下記の条件が満たされると、第1除湿制御を終了して第3除湿制御を行う。
・条件1:吹出検知温度(Tss)が予め定められた第2基準温度(第1基準温度よりも高く吹出温度範囲の上限温度よりも低い温度)よりも高い。
【0110】
《第3除湿制御→第1除湿制御》
また、運転制御部(105)は、第3除湿制御において下記の条件の全部が満たされると、第3除湿制御を終了して第1除湿制御を行う。
・条件1:吸込検知湿度が目標湿度よりも高い。
・条件2:吹出検知温度(Tss)が吹出温度範囲内に収まっている。
【0111】
《除湿運転→冷却運転》
また、運転制御部(105)は、除湿運転(具体的には、第1〜第3除湿制御)において下記の条件のうち少なくとも一つが満たされると、コンテナ用冷凍装置(10)の運転モードを除湿運転から冷却運転に切り換える。
・条件1:吸込検知湿度が目標湿度よりも低い。
・条件2:吹出検知温度(Tss)が吹出温度範囲の下限温度よりも低い。
・条件3:吸込検知温度(Trs)が吸込温度範囲の下限温度よりも低い。
・条件4:吸込検知温度(Trs)が吸込温度範囲の上限温度よりも高い。
【0112】
〈コンテナ用冷凍装置の運転動作〉
次に、実施形態1のコンテナ用冷凍装置(10)による冷却運転および除湿運転について説明する。なお、以下では、説明の簡略化のために、第2開閉弁(36)と第3開閉弁(37)と第4開閉弁(38)とヒータ電磁弁(71)が閉状態に設定されているものとする。
【0113】
《冷却運転》
冷却運転では、第1開閉弁(35)が開状態となり、レヒート電磁弁(70)が閉状態となり、膨張弁(76)の開度が所定の開度となる。また、圧縮機(21)と庫外ファン(24)と庫内ファン(26)とが駆動状態となる。
【0114】
圧縮機(21)の吐出冷媒は、高圧ガス管(80)を通過して凝縮器(23)へ送られる。凝縮器(23)を流れる冷媒は、凝縮器(23)を通過する空気(すなわち、庫外ファン(24)によって送られる庫外空気)と熱交換する。その結果、凝縮器(23)の冷媒は、凝縮器(23)を通過する空気(庫外空気)に放熱して凝縮する。
【0115】
凝縮器(23)から流出された液冷媒は、高圧液管(81)を流れてレシーバ(73)に流入して飽和液と飽和ガスとに分離され、飽和液となった冷媒が第1過冷却熱交換器(60)の第1高圧側流路(61)へ送られる。
【0116】
第1過冷却熱交換器(60)の第1高圧側流路(61)を通過した冷媒は、高圧液管(81)を流れて第1開閉弁(35)を通過する。第1開閉弁(35)を通過した冷媒は、ドライヤ(42)において水分を補足された後、第2過冷却熱交換器(63)の第2高圧側流路(64)に流入する。第2過冷却熱交換器(63)の第2高圧側流路(64)を通過した冷媒は、高圧液管(81)を流れ、膨張弁(76)で減圧された後、低圧液管(82)を流れて蒸発器(25)へ送られる。
【0117】
蒸発器(25)を流れる冷媒は、蒸発器(25)を通過する空気(庫内ファン(26)によって送られる庫内空気、すなわち、吸込空気)と熱交換する。その結果、蒸発器(25)を流れる冷媒は、蒸発器(25)を通過する空気(吸込空気)から吸熱して蒸発し、蒸発器(25)を通過する空気(吸込空気)が冷却される。蒸発器(25)から流出された冷媒は、低圧ガス管(83)を流れ、吸入比例弁(66)を通過し、圧縮機(21)に吸入されて再び圧縮される。
【0118】
このように、冷却運転では、コンテナ(C)の庫内から吸込口(51)を通過して庫内収納空間(S2)に吸い込まれた吸込空気は、蒸発器(25)において冷却された後に停止中のレヒート熱交換器(32)を通過して吹出口(52)から吹き出されて庫内へ戻っていく。
【0119】
また、冷却運転では、目標制御部(201)は、目標温度(Tx)を庫内設定温度(Tsp)と同一の第1設定温度に設定する。したがって、温度制御部(101)は、吹出検知温度(Tss)が庫内設定温度(Tsp)と同一の第1設定温度となるように、第1および第2冷却動作を行う。
【0120】
吹出検知温度(Tss)が第1設定温度よりも高い場合、温度制御部(101)は、第1冷却動作を行う。第1冷却動作では、温度制御部(101)は、冷媒回路(16)の吸入比例弁(66)の開度を大きくする。これにより、冷媒回路(16)における冷媒循環量が増加して、蒸発器(25)における冷却能力が上昇する。その結果、蒸発器(25)およびレヒート熱交換器(32)を順に通過してコンテナ(C)の庫内に吹き出される吹出空気の温度が低くなり、吹出検知温度(Tss)が低くなって第1設定温度(すなわち、庫内設定温度(Tsp))に近づく。
【0121】
一方、吹出検知温度(Tss)が第1設定温度よりも低い場合、温度制御部(101)は、第2冷却動作を行う。第2冷却動作では、温度制御部(101)は、吸入比例弁(66)の開度を小さくする。これにより、冷媒回路(16)における冷媒循環量が減少して、蒸発器(25)における冷却能力が低下する。その結果、蒸発器(25)およびレヒート熱交換器(32)を順に通過してコンテナ(C)の庫内に吹き出される吹出空気の温度が高くなり、吹出検知温度(Tss)が高くなって第1設定温度(すなわち、庫内設定温度(Tsp))に近づく。なお、第2冷却動作において、温度制御部(101)は、圧縮機(21)の保護のために第4開閉弁(38)を開状態に設定してもよい。
【0122】
−第1および第2過冷却熱交換器における冷媒の過冷却−
なお、冷却運転において第2開閉弁(36)が開状態に設定されている場合、第1および第2の過冷却熱交換器(60,63)において冷媒の過冷却が行われる。すなわち、冷媒回路(18)において、冷媒が次のように循環する。
【0123】
第1過冷却熱交換器(60)の第1高圧側流路(61)を通過した冷媒は、その一部が第2分岐管(86)に分流して第2開閉弁(36)を通過する一方、残りが高圧液管(81)を流れて第1開閉弁(35)を通過する。第2開閉弁(36)を通過した冷媒は、キャピラリチューブ(39)において減圧された後、第2過冷却熱交換器(63)の第2低圧側流路(65)と第1過冷却熱交換器(60)の第1低圧側流路(62)とを順に通過して圧縮機(21)の中間ポートに流入する。なお、第1過冷却熱交換器(60)では、第1高圧側流路(61)および第1低圧側流路(62)を流れる冷媒同士が熱交換して、第1高圧側流路(61)を流れる冷媒が過冷却される。
【0124】
一方、第1開閉弁(35)を通過した冷媒は、ドライヤ(42)において水分を補足された後、第2過冷却熱交換器(63)の第2高圧側流路(64)に流入する。第2過冷却熱交換器(63)では、第2高圧側流路(64)および第2低圧側流路(65)を流れる冷媒同士が熱交換して、第2高圧側流路(64)を流れる冷媒が過冷却される。第2過冷却熱交換器(63)の第2高圧側流路(64)において過冷却された冷媒は、高圧液管(81)を流れ、膨張弁(76)で減圧された後、低圧液管(82)を流れて蒸発器(25)へ送られる。
【0125】
このように、冷却運転において第2開閉弁(36)が開状態に設定されている場合、第1過冷却熱交換器(60)は、第1高圧側流路(61)を流れる冷媒と第1低圧側流路(62)を流れる冷媒とを互いに熱交換させて、第1高圧側流路(61)を流れる冷媒を過冷却する。また、第2過冷却熱交換器(63)は、第2高圧側流路(64)を流れる冷媒と第2低圧側流路(65)を流れる冷媒とを互いに熱交換させて、第2高圧側流路(64)を流れる冷媒を過冷却する。
【0126】
《除湿運転(第1除湿制御)》
コンテナ用冷凍装置(10)の運転モードが冷却運転から除湿運転に切り換えられると、第1除湿制御が行われ、レヒート電磁弁(70)が開状態となる。なお、第1除湿制御では、第1開閉弁(35)は開状態となっており、膨張弁(76)の開度は所定の開度となっており、圧縮機(21)と庫外ファン(24)と庫内ファン(26)とは駆動状態となっている。
【0127】
除湿運転では、圧縮機(21)から吐出される冷媒の一部は、第2接続管(92)を流れ、レヒート電磁弁(70)を通過してレヒート熱交換器(32)へ流入(直接流入)する。一方、圧縮機(21)から吐出される冷媒の残り(すなわち、第2接続管(92)に流れ込まない冷媒)は、冷却運転と同様に、凝縮器(23)で凝縮して膨張弁(76)で膨張した後に蒸発器(25)で蒸発する。すなわち、蒸発器(25)を流れる冷媒は、蒸発器(25)を通過する空気(庫内ファン(26)によって送られる庫内空気、すなわち、吸込空気)と熱交換する。その結果、蒸発器(25)を流れる冷媒は、蒸発器(25)を通過する空気(吸込空気)から吸熱して蒸発し、蒸発器(25)を通過する空気(吸込空気)が冷却されて結露する。このため、吸込空気が除湿される。
【0128】
一方、レヒート熱交換器(32)を流れる冷媒(高圧のガス冷媒)は、レヒート熱交換器(32)を通過する空気(すなわち、蒸発器(25)において冷却除湿された空気)と熱交換する。その結果、レヒート熱交換器(32)を流れる冷媒(高圧のガス冷媒)は、レヒート熱交換器(32)を通過する空気へ放熱して凝縮し、レヒート熱交換器(32)を通過する空気が加熱される。
【0129】
このように、除湿運転では、コンテナ(C)の庫内から吸込口(51)を通過して庫内収納空間(S2)に吸い込まれた吸込空気は、蒸発器(25)において冷却除湿された後にレヒート熱交換器(32)において加熱され、吹出口(52)から吹き出されて庫内へ戻っていく。
【0130】
また、コンテナ用冷凍装置(10)の運転モードが冷却運転から除湿運転に切り換えられると(すなわち、第1除湿制御が行われると)、目標設定部(102)は、目標温度(Tx)を庫内設定温度(Tsp)に目標加算温度を加えた第2設定温度に設定する。したがって、温度制御部(101)は、吹出検知温度(Tss)が庫内設定温度(Tsp)に目標加算温度を加えた第2設定温度となるように、第1および第2冷却動作を行う。
【0131】
吹出検知温度(Tss)が第2設定温度よりも高い場合、温度制御部(101)は、第1冷却動作を行う。これにより、蒸発器(25)における冷却能力が上昇し、その結果、蒸発器(25)およびレヒート熱交換器(32)を順に通過してコンテナ(C)の庫内に吹き出される吹出空気の温度が低くなり、吹出検知温度(Tss)が低くなって第2設定温度(すなわち、庫内設定温度(Tsp)に目標加算温度を加えた温度)に近づく。
【0132】
一方、吹出検知温度(Tss)が第2設定温度よりも低い場合、温度制御部(101)は、第2冷却動作を行う。これにより、蒸発器(25)における冷却能力が低下し、その結果、蒸発器(25)およびレヒート熱交換器(32)を順に通過してコンテナ(C)の庫内に吹き出される吹出空気の温度が高くなり、吹出検知温度(Tss)が高くなって第2設定温度(すなわち、庫内設定温度(Tsp)に目標加算温度を加えた温度)に近づく。
【0133】
このように温度制御が行われることにより、レヒート熱交換器(32)における加熱によって吹出空気の温度が上昇して吹出検知温度(Tss)が目標温度(Tx)よりも高くなったとしても、温度制御部(101)の第1冷却動作によって蒸発器(25)における冷却能力を上昇させて、吹出空気の温度を低下させることができる。これにより、除湿運転における吹出空気の温度上昇を抑制することができる。
【0134】
《第2除湿制御》
第1除湿制御による除湿を行ってもなお、コンテナ(C)の庫内空気の除湿が不足した場合(すなわち、第1除湿制御において吸込検知湿度が目標湿度よりも高い場合)、運転制御部(105)は、第1除湿制御を終了して第2除湿制御を行う。なお、第2除湿制御では、第1開閉弁(35)とレヒート電磁弁(70)とは開状態となっており、膨張弁(76)の開度は所定の開度となっており、圧縮機(21)と庫外ファン(24)と庫内ファン(26)とは駆動状態となっている。
【0135】
また、第2除湿制御では、目標温度(Tx)は、第2設定温度(庫内設定温度(Tsp)に目標加算温度を加えた温度)に設定されている。すなわち、温度制御部(101)は、吹出検知温度(Tss)が第2設定温度となるように第1および第2冷却動作を行う。
【0136】
また、第2除湿制御では、運転制御部(105)は、除湿負荷が大きくなるほど目標吐出圧力が高くなるように、除湿負荷に応じて目標吐出圧力を設定する。そして、運転制御部(105)は、高圧圧力センサ(111)によって検知された圧縮機(21)の吐出圧力に応じて庫外ファン(24)の発停を制御する。具体的には、高圧圧力センサ(111)によって検知された圧縮機(21)の吐出圧力が目標吐出圧力よりも低くなると、運転制御部(105)は、庫外ファン(24)を停止させる。これにより、凝縮器(23)における熱交換が阻害され、圧縮機(21)の吐出圧力が高くなる。一方、高圧圧力センサ(111)によって検知された圧縮機(21)の吐出圧力が目標吐出圧力よりも高くなると、運転制御部(105)は、庫外ファン(24)を駆動させる。これにより、凝縮器(23)における熱交換が促進され、圧縮機(21)の吐出圧力が低くなる。すなわち、目標吐出圧力が高くなるほど、圧縮機(21)の吐出圧力が高くなる。
【0137】
なお、圧縮機(21)の吐出圧力が高くなるほど、レヒート熱交換器(32)に流入する冷媒の圧力が高くなり、その結果、レヒート熱交換器(32)における加熱能力が高くなる。また、レヒート熱交換器(32)における加熱能力の上昇によって吹出空気の温度が上昇して吹出検知温度(Tss)が目標温度(Tx)よりも高くなると、温度制御部(101)は、吹出検知温度(Tss)を低下させるために第1冷却動作を行う。これにより、蒸発器(25)における冷却能力が上昇して吹出空気の温度が低下し、その結果、吹出検知温度(Tss)が低下して目標温度(Tx)に近づく。また、蒸発器(25)における冷却能力が上昇すると、蒸発器(25)において結露する水分量が増加する。すなわち、蒸発器(25)における除湿能力が上昇する。
【0138】
このように、除湿負荷に応じて目標吐出圧力を設定することにより、除湿負荷が大きくなるほど蒸発器(25)における除湿能力が高くなるように、除湿負荷に応じて蒸発器(25)における除湿能力を設定することができる。
【0139】
また、第2除湿制御では、温度制御部(101)および運転制御部(105)による冷却部(18)の制御により、吹出検知温度(Tss)が目標温度(Tx)となるようにレヒート熱交換器(32)における加熱能力の上昇とともに蒸発器(25)における冷却能力を上昇させて蒸発器(25)における除湿能力を上昇させることができる。
【0140】
《第3除湿制御》
また、第1除湿制御において吹出検知温度(Tss)が上昇した場合、運転制御部(105)は、第1除湿制御を終了して第3除湿制御を行う。第3除湿制御では、レヒート電磁弁(70)が閉状態となる。なお、第3除湿制御では、第1開閉弁(35)は開状態となっており、膨張弁(76)の開度は所定の開度となっており、圧縮機(21)と庫外ファン(24)と庫内ファン(26)とは駆動状態となっている。
【0141】
第3除湿制御では、圧縮機の吐出冷媒は、冷却運転と同様に、凝縮器(23)で蒸発して膨張弁(76)で膨張した後に蒸発器(25)で蒸発する。すなわち、蒸発器(25)を通過する空気(吸込空気)は、蒸発器(25)を流れる冷媒と熱交換して冷却されて結露する。このように、コンテナ(C)の庫内から吸い込まれた吸込空気は、蒸発器(25)において冷却除湿される。
【0142】
また、第3除湿制御では、目標設定部(102)は、目標温度(Tx)を庫内設定温度(Tsp)と同一の第1設定温度に設定する。したがって、温度制御部(101)は、吹出検知温度(Tss)が第1設定温度となるように第1および第2冷却動作を行う。
【0143】
〈冷却運転から除湿運転への切り換えに伴う吹出空気の温度変化〉
なお、除湿運転では、加熱装置(17)(この例では、レヒート熱交換器(32))を通過する空気が均一に加熱されない場合がある。例えば、レヒート熱交換器(32)の伝熱管(庫内幅方向に延びる伝熱管)内における冷媒の温度差によってレヒート熱交換器(32)から吹き出される吹出空気に温度ムラが発生してしまう。このような場合、冷却運転から除湿運転に切り換えられると、吹出温度センサ(34)によって庫内幅方向における吹出空気の最低温度を正確に検知することが困難となる。例えば、
図9に示すように、コンテナ(C)の庫内幅方向の中央部に吹出温度センサ(34)が設けられている場合に、庫内幅方向の中央部ではなく庫内幅方向の中央部よりもやや端部よりの部分において吹出空気が最低温度となっている場合、吹出温度センサ(34)によって検知される吹出空気の温度(すなわち、吹出検知温度(Tss))は、庫内幅方向における吹出空気の実際の最低温度よりも高くなってしまう。
【0144】
一方、実施形態1によるコンテナ用冷凍装置(10)では、冷却運転から除湿運転に切り換えられた場合に、目標温度(Tx)が庫内設定温度よりも高い第2設定温度(すなわち、庫内設定温度(Tsp)に目標加算温度を加えた温度)に設定されるので、コンテナ(C)の庫内に吹き出される吹出空気の温度を全体的に高くすることができる。これにより、加熱装置(17)を通過する空気がコンテナ(C)の庫内幅方向において均一に加熱されない場合であっても、コンテナ(C)の庫内幅方向における吹出空気の最低温度が庫内設定温度(Tsp)よりも低くなることを抑制することができる。
【0145】
〈第1補正部による目標温度の補正〉
次に、第1補正部(103)による目標温度(Tx)の補正について説明する。上述のように、第1補正部(103)は、吸込温度センサ(33)によって検知された吸込空気の温度(すなわち、吸込検知温度(Trs))を監視し、コンテナ用冷凍装置(10)の運転モードが冷却運転から除湿運転に切り換えられた後に、吸込検知温度(Trs)が目標温度(Tx)よりも高くなると目標温度(Tx)を低くする一方、吸込検知温度(Trs)が吸込基準温度よりも低くなると目標温度(Tx)を高くする。
【0146】
なお、蒸発器(25)および加熱装置(17)からコンテナ(C)の庫内に吹き出された空気は、コンテナ(C)の庫内を循環して再び蒸発器(25)に吸い込まれる。そのため、コンテナ(C)の庫内から吸い込まれる吸込空気は、コンテナ(C)の庫内に吹き出される吹出空気よりもコンテナ(C)の庫内幅方向における温度ムラが小さくなっている。また、吸込検知温度(Trs)の変化は、コンテナ(C)の庫内温度の変化に依存している。具体的には、コンテナ(C)の庫内温度が高くなると、吸込空気の温度が高くなって吸込検知温度(Trs)が高くなる。一方、コンテナ(C)の庫内温度が低くなると、吸込空気の温度が低くなって吸込検知温度(Trs)が低くなる。したがって、冷却運転から除湿運転に切り換えられた後に、吸込検知温度(Trs)が吸込基準温度(この例では、吸込安定温度(Trs'))よりも高くなった場合には、コンテナ(C)の庫内温度が高くなったと判断することができ、吸込検知温度(Trs)が吸込基準温度よりも低くなった場合には、コンテナ(C)の庫内温度が低くなったと判断することができる。
【0147】
そして、実施形態1によるコンテナ用冷凍装置(10)では、上述のように、第1補正部(103)は、冷却運転から除湿運転への切り換え前後における吸込検知温度(Trs)の変化に応じて目標温度(Tx)を補正する。すなわち、冷却運転から除湿運転への切り換え前後においてコンテナ(C)の庫内温度が上昇して吸込検知温度(Trs)が吸込基準温度(この例では、吸込安定温度(Trs'))よりも高くなると、第1補正部(103)は、目標温度(Tx)を低くする。これにより、吹出空気の温度を低下させることができ、その結果、コンテナ(C)の庫内温度を低下させることができる。一方、冷却運転から除湿運転への切り換え前後においてコンテナ(C)の庫内温度が低下して吸込検知温度(Trs)が吸込基準温度よりも低くなると、第1補正部(103)は、目標温度(Tx)を高くする。これにより、吹出空気の温度を上昇させることができ、その結果、コンテナ(C)の庫内温度を上昇させることができる。
【0148】
このように、冷却運転から除湿運転への切り換え前後における吸込検知温度(Trs)の変化に応じて吹出空気の温度を制御することにより、冷却運転から除湿運転への切り換えに伴うコンテナ(C)の庫内温度の変化を抑制することができる。
【0149】
〈第2補正部による目標温度の補正〉
次に、第2補正部(104)による目標温度の補正について説明する。上述のように、この例では、第2補正部(104)は、除湿運転(具体的には、第2除湿制御)において高圧圧力センサ(111)によって検知された圧縮機(21)の吐出圧力を監視し、圧縮機(21)の吐出圧力が高くなるほど目標温度(Tx)が高くなるように、圧縮機(21)の吐出圧力に応じて目標温度(Tx)を補正する。
【0150】
なお、蒸発器(25)における除湿能力は、圧縮機(21)の吐出圧力に依存している。すなわち、圧縮機(21)の吐出圧力が高くなると、レヒート熱交換器(32)に流入する冷媒の圧力が高くなり、その結果、レヒート熱交換器(32)における加熱能力が上昇する。また、レヒート熱交換器(32)における加熱能力の上昇により、吹出空気の温度が高くなって吹出検知温度(Tss)が目標温度(Tx)よりが高くなる。そして、温度制御部(101)は、吹出検知温度(Tss)が低くなるように冷却部(18)を制御して蒸発器(25)における冷却能力を上昇させる。これにより、蒸発器(25)における除湿能力が上昇する。
【0151】
このように、蒸発器(25)における除湿能力が圧縮機(21)の吐出圧力に依存しているので、圧縮機(21)の吐出圧力に応じて目標温度(Tx)を補正することにより、蒸発器(25)における除湿能力が高くなるほど目標温度(Tx)が高くなるように目標温度(Tx)を補正することができる。
【0152】
また、除湿運転では、蒸発器(25)において空気が冷却されて結露することにより空気が除湿される。すなわち、除湿運転において、蒸発器(25)における除湿能力(冷却能力)が高くなるほど、吹出空気の温度が下がりやすくなる傾向にある。
【0153】
そして、実施形態1によるコンテナ用冷凍装置(10)では、上述のように、第2補正部(104)は、除湿運転において蒸発器(25)における除湿能力が高くなるほど目標温度(Tx)が高くなるように、蒸発器(25)における除湿能力に応じて目標温度(Tx)を補正する。これにより、除湿運転において吹出空気の温度が下がりやすくなった場合に吹出空気の温度を高くすることができる。
【0154】
〈実施形態1による効果〉
以上のように、実施形態1によるコンテナ用冷凍装置(10)では、冷却運転から除湿運転に切り換えられた場合、目標温度(Tx)が庫内設定温度(Tsp)よりも高い第2設定温度(すなわち、庫内設定温度(Tsp)に目標補正温度を加えた温度)に設定することにより、加熱装置(17)(この例では、レヒート熱交換器(32))を通過する空気がコンテナ(C)の庫内幅方向において均一に加熱されない場合であっても、コンテナ(C)の庫内幅方向における吹出空気の最低温度が庫内設定温度(Tsp)よりも低くなることを抑制することができる。これにより、コンテナ(C)の積荷の低温障害を防止することができる。
【0155】
また、冷却運転から除湿運転への切り換え後における吸込検知温度(Trs)の変化(具体的には、吸込検知温度(Trs)と吸込安定温度(Trs')との比較の結果)に応じて目標温度(Tx)を補正することにより、冷却運転から除湿運転への切り換えに伴うコンテナ(C)の庫内温度の変化を抑制することができる。これにより、除湿運転においてコンテナ(C)の積荷の低温障害を防止しつつコンテナ(C)の庫内温度の上昇も防止することができる。
【0156】
また、吸込検知温度(Trs)の変化を判定するための吸込基準温度を吸込安定温度(Trs')に設定することにより、吸込安定温度(Trs')を基準として、冷却運転から除湿運転への切り換え前後におけるコンテナ(C)の庫内温度の変化に起因して吸込検知温度(Trs)が変化したか否かを判定することができる。
【0157】
また、除湿運転(具体的には、第2除湿制御)において蒸発器(25)における除湿能力に応じて目標温度(Tx)を補正することにより、除湿運転において吹出空気の温度が下がりやすくなった場合に、吹出空気の温度を高くすることができる。これにより、蒸発器(25)における除湿能力の上昇に伴うコンテナ(C)の庫内温度の低下を抑制することができる。
【0158】
また、目標温度(Tx)の下限を庫内設定温度(Tsp)に設定することにより、吹出空気の過剰な温度低下を防止することができる。これにより、コンテナ(C)の庫内温度が過剰に低下することを防止することができるので、除湿運転におけるコンテナ(C)の積荷の低温障害を確実に防止することができる。
【0159】
また、実施形態1によるコンテナ用冷凍装置(10)では、除湿運転(具体的には、第1除湿制御)において、コンテナ(C)の庫内から吸い込まれた吸込空気を、蒸発器(25)において冷却除湿してレヒート熱交換器(32)において加熱することができる。これにより、コンテナ(C)の庫内温度の低下を抑制しつつ、コンテナ(C)の庫内空気を除湿することができる。
【0160】
また、実施形態1によるコンテナ用冷凍装置では、除湿運転(具体的には、第2除湿制御)において、吹出検知温度(Tss)が目標温度(Tx)となるようにレヒート熱交換器(32)における加熱能力の上昇とともに蒸発器(25)における冷却能力を上昇させて蒸発器(25)における除湿能力を上昇させることができるので、コンテナ(C)の庫内温度の変化を抑制しつつ、蒸発器(25)における除湿能力を上昇させることができる。
【0161】
〈運転制御部の変形例〉
なお、運転制御部(105)は、蒸発器(25)における過熱度を監視し、蒸発器(25)における過熱度が予め定められた目標過熱度となるように、冷却部(18)の膨張弁(76)の開度を制御するように構成されていてもよい。具体的には、運転制御部(105)は、蒸発器(25)における過熱度が目標過熱度よりも低い場合には、膨張弁(76)の開度を小さくして蒸発器(25)における過熱度を高くし、蒸発器(25)における過熱度が目標過熱度よりも高い場合には、膨張弁(76)の開度を大きくして蒸発器(25)における過熱度を低くしてもよい。
【0162】
さらに、運転制御部(105)は、第2除湿制御において、圧縮機(21)の吐出圧力が最大値(限界値)となっている場合に、次のような動作を行うことによって蒸発器(25)における除湿能力を上昇させてもよい。すなわち、運転制御部(105)は、第2除湿制御において、除湿負荷を監視し、除湿負荷が大きくなるほど目標過熱度が高くなるように、除湿負荷に応じて目標過熱度を設定するように構成されていてもよい。例えば、運転制御部(105)は、除湿負荷が大きくなるのに伴って、目標過熱度を「2℃」「5℃」「8℃」「11℃」「14℃」の順で段階的に高くしてもよい。
【0163】
蒸発器(25)における過熱度が高くなると、圧縮機(21)の吸入圧力が低くなって蒸発器(25)における出口蒸発温度が低くなる。これにより、蒸発器(25)において結露する水分量が増加する。なお、圧縮機(21)の吸入圧力が低くなると、蒸発器(25)を流れる冷媒の比体積が大きくなって冷媒回路(16)における冷媒循環量が減少し、その結果、蒸発器(25)における冷却能力が低下して吹出空気の温度が上昇する。そして、吹出空気の温度が上昇して吹出検知温度(Tss)が目標温度(Tx)よりも高くなると、温度制御部(101)は、第1冷却動作(具体的には、吸入比例弁(66)の開度を大きくして冷媒回路(16)における冷媒循環量を増加させる動作)を行う。これにより、蒸発器(25)における冷却能力が上昇して吹出空気の温度が低下し、その結果、吹出検知温度(Tss)が低下して目標温度(Tx)に近づく。
【0164】
このように、除湿負荷に応じて目標過熱度を設定することにより、除湿負荷が大きくなるほど蒸発器(25)における除湿能力が高くなるように、除湿負荷に応じて蒸発器(25)における除湿能力を設定することができる。
【0165】
また、温度制御部(101)および運転制御部(105)による冷却部(18)の制御により、吹出検知温度(Tss)が目標温度(Tx)となるように蒸発器(25)における出口蒸発温度の低下とともに冷媒回路(16)における冷媒循環量を増加させることができるので、コンテナ(C)の庫内温度の変化を抑制しつつ、蒸発器(25)における除湿能力を上昇させることができる。
【0166】
〔実施形態2〕
次に、実施形態2によるコンテナ用冷凍装置(10)について説明する。実施形態2によるコンテナ用冷凍装置(10)では、吸込基準温度は、吸込安定温度(Trs')ではなく、庫内設定温度(Tsp)に予め定められた吸込加算温度を加えた吸込設定温度(すなわち、コンテナ(C)の庫内温度の設定値(庫内設定温度(Tsp))に基づく値)に設定される。すなわち、第1補正部(103)は、冷却運転から除湿運転に切り換えられた後に、吸込検知温度(Trs)が吸込設定温度よりも高くなると目標温度(Tx)を低くする一方、吸込検知温度(Trs)が吸込設定温度よりも低くなると目標温度(Tx)を高くする。その他の構成は、実施形態1によるコンテナ用冷凍装置(10)と同様である。
【0167】
なお、吸込基準温度として、二種類の吸込基準温度(第1および第2吸込基準温度)が設けられていてもよい。すなわち、吸込検知温度(Trs)の上昇を判定するための第1吸込基準温度と、吸込検知温度(Trs)の低下を判定するための第2吸込基準温度とが設けられていてもよい。例えば、第1吸込基準温度は、庫内設定温度(Tsp)に第1吸込加算温度(例えば、+3.0℃)を加えた第1吸込設定温度に設定され、第2吸込基準温度は、庫内設定温度(Tsp)に第2吸込加算温度(第1吸込加算温度よりも低い温度、例えば、+0.5℃)を加えた第2吸込設定温度に設定されていてもよい。
【0168】
例えば、第1吸込基準温度が庫内設定温度(Tsp)に第1吸込加算温度(+3.0℃)を加えた第1吸込設定温度(すなわち、「Tsp+3.0℃」)に設定され、第2吸込基準温度が庫内設定温度(Tsp)に第2吸込加算温度(+0.5℃)を加えた第2吸込設定温度(すなわち、「Tsp+0.5℃」)に設定され、補正前の目標温度(Tx)が庫内設定温度(Tsp)に目標加算温度(+0.6℃)を加えた第2設定温度(すなわち、Tsp+0.6℃)に設定され、負の値を示す第1補正温度(Y)が「−0.2℃」に設定され、正の値を示す第1補正温度(Y)が「+0.2℃」に設定されているとすると、第1補正部(103)は、次のように目標温度(Tx)を補正する。
【0169】
すなわち、冷却運転から除湿運転に切り換えられた後に、吸込検知温度(Trs)が第1吸込基準温度(Tsp+3.0℃)よりも高くなった場合、第1補正部(103)は、目標温度(Tx)に負の値を示す第1補正温度(−0.2℃)を加算する。これにより、目標温度(Tx)は「Tsp+0.6℃−0.2℃」となる。そして、この補正によっても除湿運転に切り換えられた後の吸込検知温度(Trs)が第1吸込基準温度(Tsp+3.0℃)よりも高くなっている場合、第1補正部(103)は、補正後の目標温度(Tx)に負の値を示す第1補正温度(−0.2℃)をさらに加算する。これにより、目標温度(Tx)は「Tsp+0.6−(0.2℃×2)」となる。
【0170】
一方、冷却運転から除湿運転に切り換えられた後に、吸込検知温度(Trs)が第2吸込基準温度(Tsp+0.5℃)よりも低くなった場合、第1補正部(103)は、目標温度(Tx)に正の値を示す第1補正温度(+0.2℃)を加算する。これにより、目標温度(Tx)は「Tsp+0.6℃+0.2℃」となる。そして、この補正によっても除湿運転に切り換えられた後の吸込検知温度(Trs)が第2吸込基準温度(Tsp+0.5℃)よりも低くなっている場合、第1補正部(103)は、補正後の目標温度(Tx)に正の値を示す第1補正温度(+0.2℃)をさらに加算する。これにより、目標温度(Tx)は「Tsp+0.6+(0.2℃×2)」となる。
【0171】
〈実施形態2による効果〉
以上のように、吸込検知温度(Trs)の変化を判定するための吸込基準温度を、吸込設定温度(すなわち、庫内設定温度(Tsp)に吸込加算温度を加えた温度)に設定することにより、吸込設定温度を基準として、冷却運転から除湿運転への切り換え後におけるコンテナ(C)の庫内温度の変化に起因して吸込検知温度(Trs)が変化したか否かを判定することができる。
【0172】
なお、実施形態2のコンテナ用冷凍装置(10)によるその他の作用・効果は、実施形態1のコンテナ用冷凍装置(10)による作用・効果と同様である。
【0173】
〔実施形態3〕
次に、実施形態3によるコンテナ用冷凍装置(10)について説明する。実施形態3によるコンテナ用冷凍装置(10)では、加熱装置(17)は、レヒート熱交換器(32)ではなく、電気ヒータ(78)によって構成されている。また、冷媒回路(16)から、レヒート熱交換器(32)に関連する構成(具体的には、第1分岐管(85)と第2接続管(92)とレヒート電磁弁(70)とレヒート熱交換器(32))と、ドレンパンヒータ(77)に関連する構成(具体的には、第1および第3接続管(91,93)とヒータ電磁弁(71)とドレンパンヒータ(77))とが省略されている。その他の構成は、実施形態1によるコンテナ用冷凍装置(10)の構成と同様である。
【0174】
〈電気ヒータ〉
電気ヒータ(78)は、コントローラ(100)による制御に応答してその加熱容量を変更可能に構成されている。また、電気ヒータ(78)は、コンテナ(C)の庫内から吸い込まれた吸込空気の流れ方向において蒸発器(25)の下流側に設けられ、蒸発器(25)と略平行となるようにコンテナ(C)の庫内幅方向に延びている。
【0175】
〈運転制御部〉
この例では、運転制御部(105)は、冷却運転および除湿運転(具体的には、第1〜第3除湿運転)において電気ヒータ(78)を次のように制御する。なお、運転制御部(105)による運転モードの切り換えた第1〜第3除湿制御の切り換え動作は、実施形態1と同様である。
【0176】
《冷却運転における制御》
冷却運転では、運転制御部(105)は、電気ヒータ(78)を停止させる。なお、冷却運転では、運転制御部(105)は、実施形態1と同様に、第1開閉弁(35)を開状態に設定し、膨張弁(76)の開度を所定の開度に設定し、圧縮機(21)と庫外ファン(24)と庫内ファン(26)とを駆動状態に設定する。
【0177】
《第1除湿制御》
第1除湿制御では、運転制御部(105)は、電気ヒータ(78)を駆動させる。なお、第1除湿制御では、運転制御部(105)は、実施形態1と同様に、第1開閉弁(35)を開状態に設定し、膨張弁(76)の開度を所定の開度に設定し、圧縮機(21)と庫外ファン(24)と庫内ファン(26)とを駆動状態に設定する。
【0178】
《第2除湿制御》
第2除湿制御では、運転制御部(105)は、第1除湿制御と同様に、電気ヒータ(78)を駆動させ、第1開閉弁(35)を開状態に設定し、膨張弁(76)の開度を所定の開度に設定し、圧縮機(21)と庫外ファン(24)と庫内ファン(26)とを駆動状態に設定する。さらに、第2除湿制御では、運転制御部(105)は、除湿負荷を監視し、除湿負荷が大きくなるほど電気ヒータ(78)の加熱容量が大きくなるように、除湿負荷に応じて電気ヒータ(78)の加熱容量を設定する。なお、第2除湿制御における電気ヒータ(78)の加熱容量(可変値)の最低値は、第1除湿制御における電気ヒータ(78)の加熱容量(一定値)よりも高くなっている。
【0179】
《第3除湿制御》
第3除湿制御では、運転制御部(105)は、電気ヒータ(78)を停止させる。なお、第3除湿制御では、運転制御部(105)は、実施形態1と同様に、第1開閉弁(35)を開状態に設定し、膨張弁(76)の開度を所定の開度に設定し、圧縮機(21)と庫外ファン(24)と庫内ファン(26)とを駆動状態に設定する。
【0180】
〈コンテナ用冷凍装置の運転動作〉
次に、実施形態3のコンテナ用冷凍装置(10)による冷却運転および除湿運転について説明する。なお、第1および第2補正部(103,104)による目標温度(Tx)の補正は、実施形態1と同様である。また、以下では、説明の簡略化のために、第2開閉弁(36)と第3開閉弁(37)と第4開閉弁(38)とヒータ電磁弁(71)が閉状態に設定されているものとする。
【0181】
《冷却運転》
冷却運転では、電気ヒータ(78)が停止し、第1開閉弁(35)が開状態となり、膨張弁(76)の開度が所定の開度となる。また、圧縮機(21)と庫外ファン(24)と庫内ファン(26)とが駆動状態となる。これにより、冷却運転では、コンテナ(C)の庫内から吸込口(51)を通過して庫内収納空間(S2)に吸い込まれた吸込空気は、蒸発器(25)において冷却された後に停止中の電気ヒータ(78)を通過して吹出口(52)から吹き出されて庫内へ戻っていく。
【0182】
また、実施形態1と同様に、冷却運転では、目標制御部(201)は、目標温度(Tx)を庫内設定温度(Tsp)と同一の第1設定温度に設定する。したがって、温度制御部(101)は、吹出検知温度(Tss)が庫内設定温度(Tsp)と同一の第1設定温度となるように、第1および第2冷却動作を行う。
【0183】
《除湿運転(第1除湿制御)》
コンテナ用冷凍装置(10)の運転モードが冷却運転から除湿運転に切り換えられると、第1除湿制御が行われ、電気ヒータ(78)が駆動する。なお、第1除湿制御では、第1開閉弁(35)は開状態となっており、膨張弁(76)の開度は所定の開度となっており、圧縮機(21)と庫外ファン(24)と庫内ファン(26)とは駆動状態となっている。
【0184】
除湿運転では、圧縮機(21)から吐出された冷媒は、冷却運転と同様に、凝縮器(23)で凝縮して膨張弁(76)で膨張した後に蒸発器(25)で蒸発する。すなわち、蒸発器(25)を流れる冷媒は、蒸発器(25)を通過する空気(庫内ファン(26)によって送られる庫内空気、すなわち、吸込空気)と熱交換する。その結果、蒸発器(25)を流れる冷媒は、蒸発器(25)を通過する空気(吸込空気)から吸熱して蒸発し、蒸発器(25)を通過する空気(吸込空気)が冷却されて結露する。このため、吸込空気が除湿される。一方、電気ヒータ(78)を通過する空気(すなわち、蒸発器(25)において冷却除湿された空気)は、電気ヒータ(78)によって加熱される。
【0185】
このように、除湿運転では、コンテナ(C)の庫内から吸込口(51)を通過して庫内収納空間(S2)に吸い込まれた吸込空気は、蒸発器(25)において冷却除湿された後に電気ヒータ(78)において加熱され、吹出口(52)から吹き出されて庫内へ戻っていく。
【0186】
また、コンテナ用冷凍装置(10)の運転モードが冷却運転から除湿運転に切り換えられると(すなわち、第1除湿制御が行われると)、目標設定部(102)は、目標温度(Tx)を庫内設定温度(Tsp)に目標加算温度を加えた第2設定温度に設定する。したがって、温度制御部(101)は、吹出検知温度(Tss)が庫内設定温度(Tsp)に目標加算温度を加えた第2設定温度となるように、第1および第2冷却動作を行う。
【0187】
このように温度制御が行われることにより、電気ヒータ(78)による加熱によって吹出空気の温度が上昇して吹出検知温度(Tss)が目標温度(Tx)よりも高くなったとしても、温度制御部(101)の第1冷却動作によって蒸発器(25)における冷却能力を上昇させて、吹出空気の温度を低下させることができる。これにより、除湿運転における吹出空気の温度上昇を抑制することができる。
【0188】
《第2除湿制御》
第1除湿制御による除湿を行ってもなお、コンテナ(C)の庫内空気の除湿が不足した場合(すなわち、第1除湿制御において吸込検知湿度が目標湿度よりも高い場合)、運転制御部(105)は、第1除湿制御を終了して第2除湿制御を行う。なお、第2除湿制御では、電気ヒータ(78)が駆動し、第1開閉弁(35)は開状態となっており、膨張弁(76)の開度は所定の開度となっており、圧縮機(21)と庫外ファン(24)と庫内ファン(26)とは駆動状態となっている。
【0189】
また、第2除湿制御では、目標温度(Tx)は、第2設定温度(庫内設定温度(Tsp)に目標加算温度を加えた温度)に設定されている。すなわち、温度制御部(101)は、吹出検知温度(Tss)が第2設定温度となるように第1および第2冷却動作を行う。
【0190】
また、第2除湿制御では、運転制御部(105)は、除湿負荷が大きくなるほど電気ヒータ(78)の加熱容量が大きくなるように、除湿負荷に応じて電気ヒータ(78)の加熱容量を設定する。なお、電気ヒータ(78)の加熱容量が大きくなるほど、電気ヒータ(78)における加熱能力が高くなる。また、電気ヒータ(78)における加熱能力の上昇によって吹出空気の温度が上昇して吹出検知温度(Tss)が目標温度(Tx)よりも高くなると、温度制御部(101)は、吹出検知温度(Tss)を低下させるために第1冷却動作を行う。これにより、蒸発器(25)における冷却能力が上昇して吹出空気の温度が低下し、その結果、吹出検知温度(Tss)が低下して目標温度(Tx)に近づく。また、蒸発器(25)における冷却能力が上昇すると、蒸発器(25)において結露する水分量が増加する。すなわち、蒸発器(25)における除湿能力が上昇する。
【0191】
このように、除湿負荷に応じて電気ヒータ(78)の加熱容量を設定することにより、除湿負荷が大きくなるほど蒸発器(25)における除湿能力が高くなるように、除湿負荷に応じて蒸発器(25)における除湿能力を設定することができる。
【0192】
また、第2除湿制御では、温度制御部(101)および運転制御部(105)による冷却部(18)の制御によって、吹出検知温度(Tss)が目標温度(Tx)となるように電気ヒータ(78)における加熱能力の上昇とともに蒸発器(25)における冷却能力を上昇させて蒸発器(25)における除湿能力を上昇させることができる。
【0193】
《第3除湿制御》
また、第1除湿制御において吹出検知温度(Tss)が上昇した場合、運転制御部(105)は、第1除湿制御を終了して第3除湿制御を行う。第3除湿制御では、電気ヒータ(78)が停止する。なお、第3除湿制御では、第1開閉弁(35)は開状態となっており、膨張弁(76)の開度は所定の開度となっており、圧縮機(21)と庫外ファン(24)と庫内ファン(26)とは駆動状態となっている。
【0194】
第3除湿制御では、圧縮機の吐出冷媒は、冷却運転と同様に、凝縮器(23)で蒸発して膨張弁(76)で膨張した後に蒸発器(25)で蒸発する。すなわち、蒸発器(25)を通過する空気(吸込空気)は、蒸発器(25)を流れる冷媒と熱交換して冷却されて結露する。このように、コンテナ(C)の庫内から吸い込まれた吸込空気は、蒸発器(25)において冷却除湿される。
【0195】
また、第3除湿制御では、目標設定部(102)は、目標温度(Tx)を庫内設定温度(Tsp)と同一の第1設定温度に設定する。したがって、温度制御部(101)は、吹出検知温度(Tss)が第1設定温度となるように第1および第2冷却動作を行う。
【0196】
〈実施形態3による効果〉
以上のように、実施形態3によるコンテナ用冷凍装置(10)では、冷却運転から除湿運転に切り換えられた場合、目標温度(Tx)が庫内設定温度(Tsp)よりも高い第2設定温度(すなわち、庫内設定温度(Tsp)に目標補正温度を加えた温度)に設定することにより、加熱装置(17)(この例では、電気ヒータ(78))を通過する空気がコンテナ(C)の庫内幅方向において均一に加熱されない場合であっても、コンテナ(C)の庫内幅方向における吹出空気の最低温度が庫内設定温度(Tsp)よりも低くなることを抑制することができる。これにより、コンテナ(C)の積荷の低温障害を防止することができる。
【0197】
また、実施形態3によるコンテナ用冷凍装置(10)では、除湿運転(具体的には、第1除湿制御)において、コンテナ(C)の庫内から吸い込まれた吸込空気を、蒸発器(25)において冷却除湿して電気ヒータ(78)において加熱することができるので、コンテナ(C)の庫内温度の低下を抑制しつつ、コンテナ(C)の庫内空気を除湿することができる。
【0198】
また、実施形態3によるコンテナ用冷凍装置では、除湿運転(具体的には、第2除湿制御)において、吹出検知温度(Tss)が目標温度(Tx)となるように電気ヒータ(78)における加熱能力の上昇とともに蒸発器(25)における冷却能力を上昇させて蒸発器(25)における除湿能力を上昇させることができるので、コンテナ(C)の庫内温度の変化を抑制しつつ、蒸発器(25)における除湿能力を上昇させることができる。
【0199】
なお、実施形態3のコンテナ用冷凍装置(10)によるその他の作用・効果は、実施形態1のコンテナ用冷凍装置(10)による作用・効果と同様である。
【0200】
〔その他の実施形態〕
以上の説明において、圧縮機(21)の回転数(具体的には、圧縮機モータの回転数)が一定速となっている場合を例に挙げたが、圧縮機(21)は、コントローラ(100)による制御に応答してその回転数を変更可能に構成されていてもよい。この場合、温度制御部(101)は、吹出検知温度(Tss)が目標温度(Tx)となるように圧縮機(21)の回転数を制御するように構成されていてもよい。具体的には、温度制御部(101)は、第1冷却動作において圧縮機(21)の回転数を上昇させる。これにより、冷媒回路(16)における冷媒循環量を増加させて蒸発器(25)における冷却能力を上昇させることができる。また、温度制御部(101)は、第2冷却動作において圧縮機(21)の回転数を低下させる。これにより、冷媒回路(16)における冷媒循環量を減少させて蒸発器(25)における冷却能力を低下させることができる。
【0201】
なお、以上の実施形態を適宜組み合わせて実施してもよい。以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。