特許第5664952号(P5664952)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 5664952-還元水生成剤 図000028
  • 5664952-還元水生成剤 図000029
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5664952
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】還元水生成剤
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/70 20060101AFI20150115BHJP
   C02F 1/68 20060101ALI20150115BHJP
【FI】
   C02F1/70 Z
   C02F1/68 510A
   C02F1/68 520B
   C02F1/68 540H
   C02F1/68 530F
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2010-134360(P2010-134360)
(22)【出願日】2010年6月11日
(65)【公開番号】特開2011-255360(P2011-255360A)
(43)【公開日】2011年12月22日
【審査請求日】2013年5月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】392025559
【氏名又は名称】株式会社長野セラミックス
(73)【特許権者】
【識別番号】591169478
【氏名又は名称】株式会社オムコ東日本
(74)【代理人】
【識別番号】100077621
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100092819
【弁理士】
【氏名又は名称】堀米 和春
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 義雄
(72)【発明者】
【氏名】大房 康宗
【審査官】 伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−173532(JP,A)
【文献】 特開2006−281119(JP,A)
【文献】 特開平06−218379(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3150470(JP,U)
【文献】 特開2007−167696(JP,A)
【文献】 特開平08−141580(JP,A)
【文献】 特開2006−255613(JP,A)
【文献】 特開2004−041949(JP,A)
【文献】 特開平07−227600(JP,A)
【文献】 特開昭48−091853(JP,A)
【文献】 特開平09−103788(JP,A)
【文献】 特開2007−326769(JP,A)
【文献】 特開2008−142699(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/70
C02F 1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水に微溶解性である化学物質粉体と金属マグネシウム粉とが混合され、所要大きさに成形され、焼成されて、金属マグネシウム粉が前記化学物質粉体の焼結体中に分散して混入して成り、水中で前記化学物質粉体が徐々に溶出して前記金属マグネシウム粉が次々に表面に露出することを特徴とする還元水生成剤。
【請求項2】
水に微溶解性である化学物質粉体が亜硫酸カルシウム粉体であることを特徴とする請求項1記載の還元水生成剤。
【請求項3】
亜硫酸カルシウム粉体と金属マグネシウム粉とがバインダと共に混合され、成形され、焼成されてなる請求項2記載の還元水生成剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は還元水生成剤に関する。
【背景技術】
【0002】
アルカリ還元水や水素水といった水を作るために用いる材料として、金属マグネシウムの粉(粉末状、フレーク状、リボン状等)や塊(粒状、ペレット状等)が一般的に用いられている(例えば特許文献1)。
この特許文献1のものは、金属マグネシウム粒子と亜硫酸カルシウム粒子とを混在させ、処理水と接触させて、金属マグネシウム粒子により水素を発生させると共に、亜硫酸カルシウム粒子により残留塩素を除去するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−344777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載された還元水生成剤の場合、水素の発生と残留塩素の除去が同時に行えて便利である。
しかしながら、金属マグネシウム粒子は、粒径の比較的小さなものは、反応性が高く使用初期に多くの水素を発生するものの、その寿命は短く、頻繁に追加しなければならないという課題がある。また、粒径の大きな金属マグネシウム粒子を用いれば、緩やかに反応が持続するものの、時間の経過とともに金属マグネシウム粒子の表面が反応生成物である不溶性の水酸化マグネシウムの皮膜によって覆われることから、次第に反応速度が低下し、所望量の水素の発生が得られなくなるという課題がある。
【0005】
本発明は上記課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、水素を継続的に長時間発生させることができる還元水生成剤を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明は次の構成を備える。
すなわち、本発明に係る還元水生成剤は、水に微溶解性である化学物質粉体と金属マグネシウム粉とが混合され、所要大きさに成形され、焼成されて、金属マグネシウム粉が前記化学物質粉体の焼結体中に分散して混入して成り、水中で前記化学物質粉体が徐々に溶出して前記金属マグネシウム粉が次々に表面に露出することを特徴とする。
水に微溶解性である化学物質粉体として亜硫酸カルシウム粉体を用いることができる。
また、亜硫酸カルシウム粉体と金属マグネシウム粉とをバインダと共に混合し、成形し、焼成して還元水生成剤を得ることもできる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、金属マグネシウム粉が、亜硫酸カルシウム等の微溶解性の化学物質の焼結体の中に分散されていて、微溶解性の化学物質の焼結体が、ちょうど飴玉が徐々に溶けるように、処理水中に徐々に溶出し、純粋な金属マグネシウム粉が次々と連続して表面に露出して処理水と接触することから、所要量の水素を連続的に、しかも長時間に亘って発生させることができる。また、微溶解性の化学物質が亜硫酸カルシウムの場合には、同時に処理水中の残留塩素の除去も行える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】還元水生成剤10の模式的な断面図である。
図2】本実施の形態における還元水生成剤と比較例としての金属マグネシウム粒子を水道水に浸漬した場合の、経過週ごとにおけるORP低下量(ΔORP)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下本発明の実施の形態を添付図面に基づき詳細に説明する。
本実施の形態における還元水生成剤は、上記のように、亜硫酸カルシウム等の水に微溶解性(難溶性)である化学物質粉体(以下では亜硫酸カルシウム粉体で説明する)と金属マグネシウム粉とが混合され、所要大きさに成形され、焼成されて、金属マグネシウム粉が前記化学物質粉体の焼結体中に分散して混入していることを特徴とする。
なお、微溶解性(難溶性)である化学物質粉体としては、亜硫酸カルシウム粉体の他に、炭酸カルシウムや炭酸マグネシウム等がある。
【0010】
図1は還元水生成剤10の模式的な断面図である。
図1において、12は亜硫酸カルシウム粉体が焼結された焼結体部分、14は金属マグネシウム粉であり、亜硫酸カルシウム粉体の焼結体12中に分散されて、亜硫酸カルシウム焼結体12部分と一体に焼結されている。16は適宜な芯材である。
【0011】
亜硫酸カルシウム粉体と金属マグネシウム粉とは、適宜なバインダを用いて混合し、造粒機により適宜な大きさに造粒して成形するとよい。バインダとしては例えばエチルセルロース等の有機バインダを用いることができる。造粒後、乾燥して、250〜300℃程度の温度で焼成して還元水生成剤10を得ることができる。
なお、造粒機による造粒でなく、圧縮成形によって、適宜な大きさの粒状に成形してもよい。
【0012】
還元水生成剤10の粒径は特に限定されないが、5mm程度のものが、焼成処理上、取り扱い上、あるいは通水性上好ましい。
亜硫酸カルシウム粉体12と金属マグネシウム粉14との配合割合も特に限定されないが、反応性、造粒性などを考慮して決定するとよい。概ね亜硫酸カルシウム粉体と金属マグネシウム粉の重量比は、80:20〜50:50程度が良好である。
【0013】
亜硫酸カルシウム粉体は市販のものを使用できる。
金属マグネシウム粉の大きさは特に限定されるものではないが、亜硫酸カルシウム粉体の焼結体が徐々に溶出し、次々に露出してくる金属マグネシウム粉が露出している間に全て処理水と反応する程度の大きさが好ましい。例えば、金属マグネシウム粉の大きさは、概ね粒径が80〜200μm程度が好適である。
【0014】
本実施の形態に係る還元水生成剤10は上記のように、金属マグネシウム粉が亜硫酸カルシウムの焼結体中に分散して混入しているので、処理水中に適宜量投入することにより、亜硫酸カルシウムの焼結体が徐々に溶出し、金属マグネシウム粉が次々に露出してくるので、長時間に亘り水素を発生させることができ、アルカリ還元水を長時間に亘って得ることができる。また、亜硫酸カルシウムにより処理水中の残留塩素の除去も行える。
【実施例】
【0015】
実施例1
金属マグネシウム粉末(粒度:約106μm以下)20wt%、亜硫酸カルシウム粉末75wt%、エチルセルロース5wt%とを粉末の偏りがないようによく混合した。この混合粉末に、水で希釈したエチルアルコール溶液を添加し、直径2mmの芯材ボールとともに造粒機内に投入し、芯材ボールに混合粉末を絡めて付着させる造粒処理を行った。直径5mm程度の大きさまで造粒が進んだところで、造粒機から造粒したボールを取り出し、乾燥させた。乾燥後、約280℃にて焼成を行い、還元水生成剤を得た。
【0016】
表1〜表8は、上記のようにして得た還元水生成剤10gを水道水100mlに浸漬して、経過時間ごとにpH、ORP(mV)(比較電極:銀・塩化銀電極)、電気伝導率(μS/cm)、残留塩素濃度(mg/l)を測定した結果を示す。なお、水道水は、毎日交換した。
水素の発生に伴いORPが低下するという特性を利用し、検体を水道水に投入してからの経過時間ごとのORPの値を測定することで、検体の能力およびその持続力の比較を行ったものである(比較例は表9〜表16に示す)。
【0017】
表1
【0018】
表2
【0019】
表3
【0020】
表4
【0021】
表5
【0022】
表6
【0023】
表7
【0024】
表8
【0025】
表9
【0026】
表10
【0027】
表11
【0028】
表12
【0029】
表13〜表24は、比較例として、金属マグネシウム粒子(直径約5mm)10gを水道水100mlに浸漬して、経過時間ごとにpH、ORP(mV)(比較電極:銀・塩化銀電極)、電気伝導率(μS/cm)、残留塩素濃度(mg/l)を測定した結果を示す。なお、水道水は、毎日交換した。
【0030】
表13
【0031】
表14
【0032】
表15
【0033】
表16
【0034】
表17
【0035】
表18
【0036】
表19
【0037】
表20
【0038】
表21
【0039】
表22
【0040】
表23
【0041】
表24
【0042】
表25は、上記還元水生成剤のORP低下量(ΔORP)をまとめたものである。また、表26は、上記金属マグネシウム粒子のORP低下量(ΔORP)をまとめたものである。さらに、図2は、表25、表26をグラフ化したものである。
【0043】
表25
【0044】
表26
【0045】
表25、表26および図2から明らかなように、本実施の形態における還元水生成剤は、単なる金属マグネシウム粒子に比較して、ORPの低下量が大きく、水素発生量が多いことがわかる。また、長期間に亘って持続していることがわかる。
これは、金属マグネシウム粉が亜硫酸カルシウムの焼結体中に分散して混入しているので、処理水中に適宜量投入することにより、亜硫酸カルシウムの焼結体が徐々に溶出し、金属マグネシウム粉が次々に露出してくるので、長時間に亘り水素を発生させることができるからであり、アルカリ還元水を長時間に亘って得ることができる。また、亜硫酸カルシウムにより処理水中の残留塩素の除去も行える。
【0046】
次に、実施例1で得られた還元水生成剤と比較例としての金属マグネシウム粒子を、各8g、水道水1lに投入し、密閉状態にて24時間放置後の水の溶存水素量を測定したところ、前者は567μg/lであったのに対し、後者は155μg/lであり、本実施例の還元水生成剤の方が、長時間に亘って明らかに多くの水素を発生させることができる。
【符号の説明】
【0047】
10 還元水生成剤
12 亜硫酸カルシウム粉体
14 金属マグネシウム粉
16 芯材
図1
図2