特許第5665000号(P5665000)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5665000
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】遊技機の可動装飾装置
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20150115BHJP
【FI】
   A63F7/02 304D
【請求項の数】7
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2010-259688(P2010-259688)
(22)【出願日】2010年11月22日
(65)【公開番号】特開2012-110406(P2012-110406A)
(43)【公開日】2012年6月14日
【審査請求日】2013年10月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000148287
【氏名又は名称】株式会社浅間製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】特許業務法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉田 義守
【審査官】 小河 俊弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−045271(JP,A)
【文献】 特開2004−160053(JP,A)
【文献】 特開2009−082457(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技面を装飾するための装飾部材を備えた遊技機の可動装飾装置において、
支軸が設けられたベース部と、
前記支軸に回転可能に支持された駆動力伝達ギアと、
前記駆動力伝達ギアを回転させる駆動モータと、
前記駆動力伝達ギアに対向して前記支軸に回転可能に支持された回転ドラムと、
基端が前記回転ドラムに連結されるとともに先端が前記装飾部材に連結され、前記回転ドラムの回転により前記回転ドラムに巻き取られたり前記回転ドラムから送り出されたりして前記装飾部材を昇降させる可撓性の線状体と、
前記駆動力伝達ギアが一方向に回転するときに前記駆動力伝達ギアを前記回転ドラムに係合させて前記回転ドラムを一方向に回転させ前記装飾部材を上昇させる上昇時係合手段と、
前記線状体が前記回転ドラムに巻き取られて前記装飾部材が上昇したときに前記回転ドラムに係合して前記装飾部材を上昇した状態に維持する巻上保持時係合手段と、
前記駆動力伝達ギアが他方向に回転するときに前記巻上保持時係合手段と前記回転ドラムとの係合を解除して前記装飾部材の自重により前記回転ドラムを他方に回転させ前記装飾部材を下降させる係合解除手段とを備えたことを特徴とする遊技機の可動装飾装置。
【請求項2】
前記回転ドラムと前記駆動力伝達ギアとのそれぞれの対向面に突部を形成し、前記両突部で前記上昇時係合手段を構成した請求項1に記載の遊技機の可動装飾装置。
【請求項3】
前記回転ドラムの外周部に停止用凹部を形成し、前記巻上保持時係合手段を、前記停止用凹部と、前記停止用凹部に係合可能な係合片を備えたストッパと、前記係合片を前記回転ドラムの外周部に付勢する付勢手段とで構成した請求項1または2に記載の遊技機の可動装飾装置。
【請求項4】
前記係合解除手段を、前記駆動力伝達ギアに設けられた突部からなる係合解除片で構成し、前記駆動力伝達ギアが他方向に回転したときに、前記係合解除片が、前記付勢手段に抗して前記係合片が前記回転ドラムの外周部から遠ざかるように前記ストッパを押圧するようにした請求項3に記載の遊技機の可動装飾装置。
【請求項5】
前記駆動力伝達ギアを前記ベース部に対向させて配置し、前記ベース部における前記駆動力伝達ギアとの対向面に回転規制突部を設けるとともに、前記駆動力伝達ギアに前記回転規制突部と当接可能な回転範囲規制突部を設けて、前記駆動力伝達ギアの回転範囲を1回転以内に規制した請求項1ないし4のうちのいずれか一つに記載の遊技機の可動装飾装置。
【請求項6】
前記回転ドラムを、外周部の円周に沿って設けられ前記線状体を巻き付けることのできる溝部と、前記溝部から前記回転ドラムの内部側に延び先端に前記線状体の基端が固定される固定用穴とを備えた円板体で構成した請求項1ないし5のうちのいずれか一つに記載の遊技機の可動装飾装置。
【請求項7】
伸縮可能なスライドレールの上部を前記ベース部に固定するとともに、前記スライドレールの下部を前記装飾部材に連結し、前記スライドレールを前記装飾部材の昇降に追従させて伸縮させることにより、前記装飾部材が昇降する際の軌道が一定になるようにした請求項1ないし6のうちのいずれか一つに記載の遊技機の可動装飾装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技面を装飾するための装飾部材を備えた遊技機の可動装飾装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、パチンコ機やスロットルマシン等の遊技機においては、遊技の面白さを増すためや、リーチのような遊技状態を表すために、装飾部材を移動させる可動装飾装置が設けられている(例えば、特許文献1参照。)。この可動装飾装置は、昇降機構を介して昇降する昇降体と、揺振機構を介して横方向に往復移動する揺振体とを備えている。そして、昇降体には、LEDを備えた基板や光を拡散させるためのレンズが設置されており、昇降体はLED等によって発光可能になっている。また、この可動装飾装置には、取付ベースが備わっており、この取付ベースに、上昇した昇降体の落下を制止するためのストッパが左右に進退動可能に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−245941号公報
【発明の概要】
【0004】
前述した可動装飾装置には、昇降機構を介して昇降体を昇降させるモータと、昇降体の落下を防止するためのストッパを左右に移動させるモータとが備わっている。このため、前述した可動装飾装置では、両モータを同期させるための制御が必要になり、構造が複雑になるとともにコストアップが生じる。さらに、制御基板を設置するためのスペースも必要になり、可動装飾装置が大型化するという問題もある。
【0005】
本発明は、前述した問題に対処するためになされたもので、その目的は、構造が単純で安価につく遊技機の可動装飾装置を提供することである。なお、下記本発明の各構成要件の記載においては、本発明の理解を容易にするために、実施形態の対応箇所の符号を括弧内に記載しているが、本発明の構成要件は、実施形態の符号によって示された対応箇所の構成に限定解釈されるべきものではない。
【0006】
前述した目的を達成するため、本発明に係る遊技機の可動装飾装置の構成上の特徴は、遊技面を装飾するための装飾部材(B1,B2)を備えた遊技機の可動装飾装置(A)において、支軸(11b)が設けられたベース部(11)と、支軸に回転可能に支持された駆動力伝達ギア(13)と、駆動力伝達ギアを回転させる駆動モータ(12)と、駆動力伝達ギアに対向して支軸に回転可能に支持された回転ドラム(14)と、基端が回転ドラムに連結されるとともに先端が装飾部材に連結され、回転ドラムの回転により回転ドラムに巻き取られたり回転ドラムから送り出されたりして装飾部材を昇降させる可撓性の線状体(23)と、駆動力伝達ギアが一方向に回転するときに駆動力伝達ギアを回転ドラムに係合させて回転ドラムを一方向に回転させ装飾部材を上昇させる上昇時係合手段(13f,14i)と、線状体が回転ドラムに巻き取られて装飾部材が上昇したときに回転ドラムに係合して装飾部材を上昇した状態に維持する巻上保持時係合手段(14f,15,17)と、駆動力伝達ギアが他方向に回転するときに巻上保持時係合手段と回転ドラムとの係合を解除して装飾部材の自重により回転ドラムを他方に回転させ装飾部材を下降させる係合解除手段(13g)とを備えたことにある。
【0007】
本発明に係る遊技機の可動装飾装置では、駆動モータの作動により駆動力伝達ギアが一方向に回転したときに上昇時係合手段によって駆動力伝達ギアに回転ドラムが係合して、回転ドラムが一方向に回転し装飾部材を上昇させるようにしている。そして、線状体が回転ドラムに巻き取られて装飾部材が最上位置に上昇したときに回転ドラムが巻上保持時係合手段によって停止状態にされ装飾部材が最上位置に上昇した状態に維持される。さらに、その状態から、駆動モータの作動により駆動力伝達ギアが他方向に回転したときに、係合解除手段が巻上保持時係合手段による係合状態を解除するようにしている。これによって、装飾部材は自重により回転ドラムを他方向に回転させながら急下降する。
【0008】
駆動力伝達ギアが他方向に回転するときには、上昇時係合手段による駆動力伝達ギアと回転ドラムとの係合状態は解除されるようになる。このため、回転ドラムは駆動力伝達ギアと関係なく独自に他方向に回転する。この場合の装飾部材の急下降は、所定のタイミング、例えば、リーチのような遊技状態を表す際に生じるようにされ、これによって、遊技に面白さが増すようになる。また、本発明に係る遊技機の可動装飾装置では、駆動モータを回転させて駆動力伝達ギアを一方向に回転させたときに、装飾部材が上昇し、その駆動モータを反転させて駆動力伝達ギアを他方向に回転させたときに、装飾部材が急下降するため、駆動モータが1個で済む。このため、複雑な制御や装置が不要になるとともにコストの低下が可能になる。
【0009】
また、本発明に係る遊技機の可動装飾装置の他の構成上の特徴は、回転ドラムと駆動力伝達ギアとのそれぞれの対向面に突部を形成し、両突部で上昇時係合手段を構成したことにある。本発明によると、駆動モータの作動により駆動力伝達ギアが一方向に回転したときに駆動力伝達ギアの突部が回転ドラムの突部に係合して、駆動力伝達ギアの回転に追従して回転ドラムも一方向に回転するようになる。そして、この回転ドラムの回転によって、線状体が回転ドラムに巻き取られ装飾部材が上昇する。このように、回転ドラムと駆動力伝達ギアとにそれぞれ突部を形成するだけの簡単な構成で、駆動力伝達ギアの回転に追従させて回転ドラムを回転させることができる。また、駆動力伝達ギアが他方向に回転するときには、駆動力伝達ギアの突部は回転ドラムの突部から離れていく。
【0010】
また、本発明に係る遊技機の可動装飾装置のさらに他の構成上の特徴は、回転ドラムの外周部に停止用凹部(14f)を形成し、巻上保持時係合手段を、停止用凹部と、停止用凹部に係合可能な係合片(15b)を備えたストッパ(15)と、係合片を回転ドラムの外周部に付勢する付勢手段(17)とで構成したことにある。
【0011】
本発明によると、係合片が付勢手段によって、回転ドラムの外周部に付勢されているため、駆動モータの作動により回転ドラムが駆動力伝達ギアに追従して一方向に回転し、係合片が停止用凹部に到達したときに係合片と停止用凹部とが係合するようになる。この場合、回転ドラムが一方向に回転して線状体を巻き取り、装飾部材を最上位置に上昇させたときに、停止用凹部が係合片の位置に到達するように構成しておく。これによって、装飾部材は、リーチのような遊技状態を表す必要のない通常時には、最上位置に上昇した状態に維持される。
【0012】
また、装飾部材が最上位置に上昇した状態では、装飾部材が遊技機の表面から隠れるようにすることが好ましい。これによると、装飾部材が急下降したときの面白味がさらに増すようになる。また、係合片が停止用凹部に係合すると、回転ドラムはそれ以上回転できなくなるため、回転ドラムは、最大で係合片が停止用凹部に係合した状態から1回転以内の間で一方向または他方向に同角度回転できる。このため、装飾部材の昇降距離が一定になる。
【0013】
また、本発明に係る遊技機の可動装飾装置のさらに他の構成上の特徴は、係合解除手段を、駆動力伝達ギアに設けられた突部からなる係合解除片で構成し、駆動力伝達ギアが他方向に回転したときに、係合解除片が、付勢手段に抗して係合片が回転ドラムの外周部から遠ざかるようにストッパを押圧するようにしたことにある。
【0014】
本発明によると、駆動力伝達ギアは、上昇時係合手段を構成する駆動力伝達ギアの突部と回転ドラムの突部とが離れる他方向に回転するため、駆動力伝達ギアは単独で回転し、回転ドラムは静止状態に維持される。そして、駆動力伝達ギアの係合解除片がストッパに当接して、係合片が回転ドラムの外周部から遠ざかるようにストッパを押圧したときに、停止用凹部と係合片との係合が解除され、回転ドラムは線状体を介して装飾部材に引っ張られ他方向に回転する。この回転ドラムの他方向への回転により装飾部材は急下降する。
【0015】
また、本発明に係る遊技機の可動装飾装置のさらに他の構成上の特徴は、駆動力伝達ギアをベース部に対向させて配置し、ベース部における駆動力伝達ギアとの対向面に回転規制突部(11c)を設けるとともに、駆動力伝達ギアに回転規制突部と当接可能な回転範囲規制突部(13d)を設けて、駆動力伝達ギアの回転範囲を1回転以内に規制したことにある。本発明によると、駆動力伝達ギアは、最大で回転範囲規制突部の一方側が回転規制突部の他方側に当接した状態から回転範囲規制突部の他方側が回転規制突部の一方側に当接するまでの1回転以内の間で一方向または他方向に同角度回転できる。
【0016】
また、本発明に係る遊技機の可動装飾装置のさらに他の構成上の特徴は、回転ドラムを、外周部の円周に沿って設けられ線状体を巻き付けることのできる溝部と、溝部から回転ドラムの内部側に延び先端に線状体の基端が固定される固定用穴(14k)とを備えた円板体で構成したことにある。本発明によると、回転ドラムが回転したときに、線状体を確実に回転ドラムの外周部に巻き取ることができる。また、線状体の基端が溝部から回転ドラムの内部に延びる固定用穴に固定されるため、線状体が回転ドラムに巻き取られる際に、線状体の基端が邪魔になることがなくなる。この回転ドラムは、一対の円板体を組み付けて構成することができ、この場合、固定用穴の形成が容易になる。
【0017】
また、本発明に係る遊技機の可動装飾装置のさらに他の構成上の特徴は、伸縮可能なスライドレール(21,22)の上部をベース部に固定するとともに、スライドレールの下部を装飾部材に連結し、スライドレールを装飾部材の昇降に追従させて伸縮させることにより、装飾部材が昇降する際の軌道が一定になるようにしたことにある。本発明によると、装飾部材が左右に揺動することなくスライドレールに沿って一定の方向に移動するため、装飾部材は安定して移動するようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る可動装飾装置における装飾部材が上昇した状態を示しており、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る可動装飾装置における装飾部材が下降する状態を示しており、(a)は正面図、(b)は側面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る可動装飾装置における装飾部材が下降した状態を示しており、(a)は正面図、(b)は側面図である。
図4】可動装飾装置の要部を示した正面図である。
図5】可動装飾装置の本体の分解斜視図である。
図6】ベース部の表面側を示した斜視図である。
図7】駆動力伝達ギアの裏面側を示した斜視図である。
図8】駆動力伝達ギアの表面側を示した斜視図である。
図9】回転ドラムの分解斜視図である。
図10】回転ドラムの裏面側を示した斜視図である。
図11】ストッパを示した斜視図である。
図12】ストッパとセンサとの関係を示した側面図である。
図13】装飾部材が上昇したときの可動装飾装置の要部を示しており、(a)はベース部と駆動力伝達ギアとの関係を示した正面図、(b)は駆動力伝達ギアと回転ドラムの関係を示した正面図、(c)は線状体の状態を示した正面図である。
図14】ストッパの係合片と回転ドラムの停止用凹部との係合が解除されるときの可動装飾装置の要部を示しており、(a)はベース部と駆動力伝達ギアとの関係を示した正面図、(b)は駆動力伝達ギアと回転ドラムの関係を示した正面図、(c)は線状体の状態を示した正面図である。
図15】装飾部材が下降したときの可動装飾装置の要部を示しており、(a)はベース部と駆動力伝達ギアとの関係を示した正面図、(b)は駆動力伝達ギアと回転ドラムの関係を示した正面図、(c)は線状体の状態を示した正面図である。
図16】線状体を巻き上げるときの可動装飾装置の要部を示しており、(a)はベース部と駆動力伝達ギアとの関係を示した正面図、(b)は駆動力伝達ギアと回転ドラムの関係を示した正面図、(c)は線状体の状態を示した正面図である。
図17】線状体を巻き上げたときの可動装飾装置の要部を示しており、(a)はベース部と駆動力伝達ギアとの関係を示した正面図、(b)は駆動力伝達ギアと回転ドラムの関係を示した正面図、(c)は線状体の状態を示した正面図である。
図18】ストッパの係合片と回転ドラムの停止用凹部とが係合したときの可動装飾装置の要部を示しており、(a)はベース部と駆動力伝達ギアとの関係を示した正面図、(b)は駆動力伝達ギアと回転ドラムの関係を示した正面図、(c)は線状体の状態を示した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。図1ないし図3は同実施形態に係る遊技機の可動装飾装置Aのそれぞれ異なる状態を示しており、図4は、可動装飾装置Aの要部を示している。この可動装飾装置Aは、本発明に係る遊技機としてのパチンコ機(図示せず)の遊技面に組み込まれ、遊技面に形成された窓部の内部側で2個1組みの装飾部材B1,B2を昇降させることにより遊技面に変化を生じさせるものである。可動装飾装置Aは、装置本体10に、装飾部材B1,B2をそれぞれガイドする一対のスライドレール21,22と、先端が装飾部材B1に連結された本発明に係る線状体としてのワイヤ23とを設けて構成されている。
【0020】
装置本体10は、図5に示したように、ベース部11に、駆動モータ12、駆動力伝達ギア13、回転ドラム14、ストッパ15およびワイヤ押さえ部材16を組み付けて構成されており、図5は、これらを分解した状態を示している。なお、図5においては、左下側が表面側で右上側が裏面側であり、以下、表面側を前側、裏面側を後側として説明する。ベース部11は、平面状の板体の周縁部に前後方向の長さが短い壁部を設けて構成されており、その表面における右側上部にリング状の突条11aが形成されている。そして、突条11aの中央に、ベース部11の表面から前方に延びる円筒状の支軸11bが形成され、支軸11bの下方に矩形の突部からなる回転規制突部11cが形成されている。
【0021】
また、ベース部11における突条11aの上部右側には、前後に貫通する挿通穴11dが形成され、ベース部11の表面における突条11aの下部左側には、ワイヤ23をガイドするワイヤガイド部11e(図6参照)が形成されている。ワイヤガイド部11eの前面には上下に延びる溝が形成されており、ワイヤ23はこの溝内で上下に移動する。また、ベース部11の表面における突条11aの上部左側と突条11aの下方とにはそれぞれ円筒状のねじ穴部11f,11gが形成され、ベース部11の表面におけるワイヤガイド部11eとねじ穴部11fとの左側には、スライドレール21,22を設置するためのレール設置部11h,11iが形成されている。レール設置部11h,11iは、平行して上下に延び下方がそれぞれ開放された枠状に形成されている。また、ベース部11の壁部の下部には、後述するばね17を係止するための側面視がL形の突起からなる係止部11jが形成されている。
【0022】
駆動モータ12は、円柱状のモータ本体12aと、モータ本体12aの前面中央から前方に延びる回転軸12bと、回転軸12bの先端外周に取り付けられた駆動ギア12cとを備えている。そして、モータ本体12aの前面の縁部には挿通穴を備えた一対の固定片12d,12eが180度の間隔を保って取り付けられている。駆動モータ12は、駆動ギア12cを挿通穴11dにベース部11の裏面側から表面側に向かって挿通させ、モータ本体12aの前面をベース部11の裏面に当接させた状態で、ベース部11に設置されている。そして、固定片12d,12eの挿通穴にねじ(図示せず)を挿通してベース部11に螺合させることにより、ベース部11に固定されている。
【0023】
駆動力伝達ギア13は、図7および図8に示したように構成されており、支軸11bが挿通できる円筒状の軸穴部13aが中央に形成され、駆動ギア12cが歯合できるギア部13bが外周部に形成された円板体からなっている。駆動力伝達ギア13の裏面における軸穴部13aの外周側には、ベース部11の突条11aよりも直径が小さいリング状の突条13cが形成されており、この突条13cの内周側に外周側が広がったV形の突起からなる回転範囲規制突部13dが形成されている。また、駆動力伝達ギア13の表面における軸穴部13aの外周側には、突条13cと同じ直径のリング状の突条13eが形成されており、この突条13eの内周側に、突条13eの内周面から軸穴部13aに向かって延びるI形の突起からなるギア側係合部13fが形成されている。
【0024】
そして、駆動力伝達ギア13の表面における外周側には、矩形の突部からなる係合解除片13gが形成されている。このように構成された駆動力伝達ギア13は、軸穴部13aに支軸11bを挿通させ、ギア部13bを駆動モータ12の駆動ギア12cに歯合させた状態で、ベース部11に組み付けられている。駆動力伝達ギア13は、駆動モータ12の作動により一方向(時計周り方向)または他方向(反時計周り方向)に反転可能に回転する。その際、駆動力伝達ギア13は、回転範囲規制突部13dの一方の側部が回転規制突部11cに当接した状態から回転範囲規制突部13dの他方の側部が回転規制突部11cに当接するまでの間で回転できる。
【0025】
すなわち、図7に示した状態の回転範囲規制突部13dの右側部分(正面から見た状態では左側部分になる)は、駆動力伝達ギア13の正面視による時計周り方向への回転を規制し、回転範囲規制突部13dの左側部分(正面から見た状態では右側部分になる)は、駆動力伝達ギア13の正面視による反時計周り方向への回転を規制する。これによって、駆動力伝達ギア13は、支軸11bを中心として1回転弱回転可能になっている。なお、突条13cは、突条11aの内周側に位置している。また、ギア部13bの歯数は、駆動ギア12cの歯数よりも多くなっており、駆動モータ12の回転速度は減速されて駆動力伝達ギア13に伝達される。
【0026】
回転ドラム14は、図9に示したように、ともに円板状に形成された後面部14Aと前面部14Bとを組み合わせて構成されている。後面部14Aの中央には前後に延びる円筒状の軸受部14cが形成され、前面部14Bの中央には、軸受部14cの前部が嵌合できる嵌合孔14dが形成されている。後面部14Aと前面部14Bは、軸受部14cの前部を嵌合孔14dに嵌合させることにより互いに組み付けられている。また、軸受部14cの内部には、支軸11bが挿通でき、回転ドラム14は、軸受部14cに支軸11bを挿通させ、裏面を駆動力伝達ギア13の表面に対向させてベース部11に組み付けられている。
【0027】
後面部14Aの後面における外周側には、図10に示したように、突条13eよりも直径が大きな略リング状の突条14eが形成されており、この突条14eの一部は後面部14Aの中心側に突出して外周側が窪んでいる。この外周側が窪んだ部分で、本発明に係る停止用凹部14fが構成される。また、後面部14Aにおける突条14eに沿った部分には、後面部14Aを前後に貫通する4個のねじ穴14gが一定間隔を保って形成されており、前面部14Bには、ねじ穴14gと同じ間隔で4個のねじ挿通穴14hが形成されている。
【0028】
後面部14Aと前面部14Bとを組み付けた状態で、ねじ挿通穴14hにねじ(図示せず)を通し、そのねじをねじ穴14gに螺合させることにより、後面部14Aと前面部14Bは互いに固定される。また、後面部14Aの後面における軸受部14cと突条14eとの間で、かつ停止用凹部14fの近傍にはL形の突起からなるドラム側係合部14iが形成されている。このドラム側係合部14iは、後面部14Aの外周側から中心に向かって延びる係合部分と、その係合部分の外周側端部から係合部分に直交して延びる部分とで構成されている。
【0029】
そして、ドラム側係合部14iは、駆動モータ12の作動により駆動力伝達ギア13が時計周り方向に回転するときに、ギア側係合部13fに当接し、ギア側係合部13fに押されて回転ドラム14を回転させる。このとき、ドラム側係合部14iの係合部分がギア側係合部13fに当接する。ギア側係合部13fとドラム側係合部14iとで本発明に係る上昇時係合手段が構成される。この場合、突条14eは、突条13eの外周側に位置している。また、ギア側係合部13fとドラム側係合部14iとは、回転範囲規制突部13dが回転規制突部11cの近傍左側に位置しているときに当接する。このため、駆動力伝達ギア13が時計周り方向に回転すると回転ドラム14は駆動力伝達ギア13とともに時計周り方向に回転し、回転範囲規制突部13dは回転規制突部11cから離れるように略半回転したのちに回転規制突部11cの右側に近づいていく。
【0030】
また、後面部14Aの前面における外周側には、略リング状の突条からなるガイド壁14jが形成されている。ガイド壁14jの所定部分は切り欠かれており、その切り欠かれた部分から後面部14Aの内部側に向かって直線溝状の固定用穴14kが延びている。この固定用穴14kは、回転ドラム14が時計周り方向に回転するときに、内部側が外部側よりも回転方向の前方に位置し、回転ドラム14が反時計周り方向に回転するときに、内部側が外部側よりも回転方向の後方に位置するように傾斜している。
【0031】
ガイド壁14jを設けることによって、後面部14Aと前面部14Bとを組み付けたときに、後面部14Aと前面部14Bとの外周側に隙間が生じる。この後面部14Aと前面部14Bとの外周側部分の対向面とガイド壁14jの外周面とで本発明に係る溝部が構成される。また、ワイヤ23の基端部は、固定用穴14kの奥端の円形部分に固定され、ワイヤ23は、溝部内に巻き付け可能な状態で、回転ドラム14に組み付けられている。このため、回転ドラム14が時計周り方向に回転するときに、ワイヤ23は溝部に巻き取られ、回転ドラム14が反時計周り方向に回転するときに、ワイヤ23は溝部から繰り出される。
【0032】
ストッパ15は、図11に示したように、斜め左下から斜め右上に延びる細長い板状の本体15aと、本体15aの先端上部から斜め左上に突出した係合片15bと、本体15aの基端部の上部側に形成された解除壁部15cと、本体15aの基端部から左側に延びるばね係止片15dと、本体15aの先端に設けられたシャッター部15eとからなるレバー状の部材で構成されている。そして、本体15aとばね係止片15dとの境界部に支持穴15fが形成されている。係合片15bは、回転ドラム14の停止用凹部14fに係合可能な矩形の突部で構成されており、解除壁部15cは、略垂直に延びる縁部と略水平に延びる縁部とを備えた正面視が略三角形の突部で構成されている。
【0033】
また、ばね係止片15dは先細り板状に形成されており、その先端上部にばね17の上部を係止するための凹部が設けられている。そして、シャッター部15eは、ストッパ15を構成する他の部分よりも薄肉に形成された矩形の小突部で構成されている。このストッパ15は、支持穴15fにねじ穴部11gを挿通させて、ねじ穴部11gを中心として回転可能な状態でベース部11に組み付けられている。この場合、ストッパ15における係合片15bや係合片15b側の一部は、駆動力伝達ギア13と回転ドラム14との間の外周側部分に位置するようになる。なお、ねじ穴部11gには、ストッパ15の表面側から挿入されるねじ15g(図12参照)が螺合しており、このねじ15gの頭部によってストッパ15はねじ穴部11gから外れなくなっている。
【0034】
また、ばね17は、ばね部17aと、ばね部17aの上端に設けられた略リング状の係合部17bと、ばね部17aの下端に設けられた略リング状の係合部17cとで構成されている。そして、ばね17は、係合部17bをばね係止片15dの凹部に係合させ、係合部17cをベース部11の係止部11jに係合させて、ばね係止片15dを下方に引っ張ることにより、係合片15bを回転ドラム14の突条14eの外周面に押圧している。
【0035】
駆動モータ12の作動により駆動力伝達ギア13が時計周り方向に回転するとともに、駆動力伝達ギア13の回転に伴って回転ドラム14が回転して、停止用凹部14fが、ストッパ15の係合片15bに到達したときに、ばね17の付勢力により係合片15bは停止用凹部14f内に入る。また、その状態で、駆動モータ12の作動により駆動力伝達ギア13が反時計周り方向に回転していき、係合解除片13gがストッパ15の位置に到達すると、係合解除片13gの解除面(図8に示した係合解除片13gの右上面)が解除壁部15cの略垂直に延びる縁部に当接する。
【0036】
さらに、駆動力伝達ギア13が反時計周り方向に回転していくと、係合解除片13gは、ばね17の弾性に抗して係合片15bが回転ドラム14から離れる方向にストッパ15を回転させて、係合片15bと停止用凹部14fとの係合を解除させる。これによって、回転ドラム14は、回転自在の状態になり、装飾部材B1,B2の重さによって、反時計周り方向に回転する。この場合、回転ドラム14は1回転弱、すなわち、ドラム側係合部14iとギア側係合部13fとが回転ドラム14の1周分近く離れた状態からドラム側係合部14iとギア側係合部13fとが当接するまでの間で回転する。なお、停止用凹部14f、ストッパ15およびばね17で本発明に係る巻上保持時係合手段が構成され、係合解除片13gで本発明に係る係合解除手段が構成される。
【0037】
また、図4および図12に示したように、ベース部11におけるストッパ15のシャッター部15eに対応する部分には、センサ18が設けられている。なお、図1〜3および後述する図13〜18においては、センサ18の図示は省略している。また、図1〜3においては、シャッター部15eの図示も省略している。センサ18は、発光部と受光部とを備えており、係合片15bと停止用凹部14fとが係合しているときに、シャッター部15eが、発光部と受光部との間に位置して発光部から受光部への光を遮断することによりオフ状態になる。
【0038】
また、係合片15bと停止用凹部14fとの係合が解除されているときに、シャッター部15eが、発光部と受光部との間から移動して発光部からの光を受光部が受光することによりオン状態になる。このセンサ18は基板18aに取り付けられており、基板18aは、固定ねじ18bによってベース部11に固定されている。また、基板18aには、センサ18を外部の制御装置(図示せず)に接続するためのコネクタ18cも取り付けられている。
【0039】
ワイヤ押さえ部材16は、段違い状に屈曲した板状部材で構成されており、取付部16aと、ワイヤ押さえ部16bと、表面部16cとを備えている。取付部16aは、下部側の縁部が回転ドラム14の外周面に沿える円弧状になった略三角形に形成され、ワイヤ押さえ部16bは、取付部16aの下部側の縁部から前方に延び回転ドラム14の外周面を覆うことのできる湾曲した壁部で構成されている。また、表面部16cは、ワイヤ押さえ部16bの前縁部から下方に延びて、回転ドラム14の表面中央部分までを覆うことのできる略三角形に形成されている。そして、取付部16aの略中央にねじ挿通穴16dが形成され、表面部16cの下部にねじ挿通穴16eが形成されている。
【0040】
ワイヤ押さえ部材16は、ねじ挿通穴16dにねじ(図示せず)を挿通させ、そのねじをねじ穴部11fの内部に螺合させるとともに、ねじ挿通穴16eにねじ(図示せず)を挿通させ、そのねじを支軸11bの内部に螺合させることにより、ベース部11に固定されている。このとき、ワイヤ押さえ部16bは、回転ドラム14の外周面の近傍に位置して、ワイヤ23が、回転ドラム14における後面部14Aと前面部14Bとの間に形成された溝部から外れることを防止する。
【0041】
また、表面部16cの裏面側には、回転ドラム14の回転に抵抗力を付与するためのダンパ19が設けられている。このダンパ19は、オイルの粘性抵抗により発生する制動力を利用した回転系のダンパであり、本体ケースの内部にロータとシリコンオイルを充填し、ロータの回転軸を外部に突出させた状態で本体ケースをキャップで閉塞した構成をしている。また、外部に突出した回転軸の周面には、歯車が設けられ、回転ドラム14の前面から突出する軸受部14cの周面には、この歯車に歯合できる歯部(図示せず)が形成されている。そして、ダンパ19の歯車を軸受部14cの周面に形成された歯部と歯合させることにより、回転ドラム14の回転に抵抗力を付与する。
【0042】
スライドレール21は、アウターメンバー21a、インターメンバー21bおよびインナーメンバー21cからなる3メンバースライド式のスライドレールに、下部スライダー21dを組み付けるとともに、各メンバー等の部材間にそれぞれ一対のボールベアリング21e,21f,21gを配置した構成をしている。すなわち、アウターメンバー21aとインターメンバー21bとの両側は左右一対のボールベアリング21eを介して組み付けられ、インターメンバー21bは、アウターメンバー21aの前面でアウターメンバー21aに重なった状態とアウターメンバー21aの下方に突出した状態との間で移動可能になっている。
【0043】
インターメンバー21bとインナーメンバー21cとの両側は左右一対のボールベアリング21fを介して組み付けられ、インナーメンバー21cは、インターメンバー21bの前面でインターメンバー21bに重なった状態とインターメンバー21bの下方に突出した状態との間で移動可能になっている。また、インナーメンバー21cと下部スライダー21dとの両側は左右一対のボールベアリング21gを介して組み付けられ、下部スライダー21dは、インナーメンバー21cの前面でインナーメンバー21cに重なった状態とインナーメンバー21cの下方に突出した状態との間で移動可能になっている。
【0044】
このため、スライドレール21は、上下方向に伸縮することができ、図1(b)の状態から図2(a)の状態を経て、図3(a)の状態まで伸長することができるとともに、図3(a)の状態から図2(a)の状態を経て、図1(b)の状態まで収縮することができる。なお、アウターメンバー21a、インターメンバー21bおよびインナーメンバー21cは、この記載の順に幅が小さくなっており、下部スライダー21dは、インターメンバー21bと略同じ幅に形成されている。
【0045】
また、下部スライダー21dには、逆T形板状のホルダー24が取り付けられている。このホルダー24には、装飾部材B1が固定されているとともに、ワイヤ23の先端部が連結されている。したがって、図1(b)の状態で回転ドラム14が回転可能な状態になると、装飾部材B1の重さによって、回転ドラム14が反時計周り方向に回転してワイヤ23は回転ドラム14から繰り出されていく。同時に、スライドレール21が伸長して装飾部材B1はスライドレール21の下部スライダー21dとともに下降していく。
【0046】
また、図3(a)の状態から回転ドラム14が時計周り方向に回転すると、ワイヤ23が回転ドラム14に巻き取られる。これによって、スライドレール21が収縮し装飾部材B1はスライドレール21の下部スライダー21dとともに上昇していく。装飾部材B1は、表面に所定の装飾画が施され、上部よりも下部が前部に位置する段違いになった略板状の部材で構成されており、裏面下部には、後方に突出する支持棚25が形成されている。このように構成された装飾部材B1の左右方向の中央における下部が、ホルダー24に固定されている。
【0047】
スライドレール22は、アウターメンバー22a、インターメンバー22bおよびインナーメンバー22cからなる3メンバースライド式のスライドレールにおける各メンバー間に、それぞれ一対のボールベアリング22d,22eを配置した構成をしている。すなわち、アウターメンバー22aとインターメンバー22bとの両側は左右一対のボールベアリング22dを介して組み付けられ、インターメンバー22bは、アウターメンバー22aの前面でアウターメンバー22aに重なった状態とアウターメンバー22aの下方に突出した状態との間で移動可能になっている。
【0048】
インターメンバー22bとインナーメンバー22cとの両側は左右一対のボールベアリング22eを介して組み付けられ、インナーメンバー22cは、インターメンバー22bの前面でインターメンバー22bに重なった状態とインターメンバー22bの下方に突出した状態との間で移動可能になっている。このため、スライドレール22は、上下方向に伸縮することができ、図1(b)の状態から図3(a)の状態まで伸長することができるとともに、図3(a)の状態から図1(b)の状態まで収縮することができる。また、インナーメンバー22cには、縦長板状のホルダー26が取り付けられている。このホルダー26には、装飾部材B2が固定されている。
【0049】
装飾部材B2は、装飾部材B1よりも小型に形成され、装飾部材B1と同様、表面に所定の装飾画が施された段違いの略板状の部材で構成されている。この装飾部材B2は、装飾部材B1よりも後部で、スライドレール22に下部スライダー21dが備わっていない分、装飾部材B1よりも上方に位置するように配置されている。そして、図1(b)のように装飾部材B1が最上位置に位置しているときには、装飾部材B2は、装飾部材B1の支持棚25に支持されて上昇した状態に維持される。また、図3(a)のように、装飾部材B1が最下位置に位置しているときには、装飾部材B2は、装飾部材B1の支持棚25から離れ、ホルダー26を介してインナーメンバー22cに支持されて下降した状態に維持される。
【0050】
また、このように構成された可動装飾装置Aを備えるパチンコ機には、駆動モータ12の作動を制御する制御装置や、制御装置に駆動モータ12を作動させるための作動信号を発信する信号発信装置などが備わっている。そして、制御装置は、信号発信装置から送られる信号や、コネクタ18cを介してセンサ18から送られる信号に基づいて、駆動モータ12を作動させる。この駆動モータ12の作動により、装飾部材B1,B2は降下したり、上昇したりする。パチンコ機を使用して遊技が行われている際に、装飾部材B1,B2の下降・上昇が信号に基づいた所定のタイミングで発生することにより、遊技の面白さが増加する。また、遊技状態が、大当たりの前のリーチの状態になったときに、装飾部材B1,B2を降下させたり、上昇させたりするように設定することもできる。
【0051】
つぎに、装飾部材B1,B2が降下・上昇する際の、ベース部11の回転規制突部11cと駆動力伝達ギア13の回転範囲規制突部13dとの位置関係、ギア側係合部13fとドラム側係合部14iとの位置関係、駆動力伝達ギア13の係合解除片13gとストッパ15の解除壁部15cとの位置関係、回転ドラム14の停止用凹部14fとストッパ15の係合片15bとの位置関係およびワイヤ23の回転ドラム14からの送り出しの状態を、図13ないし図18を用いて説明する。図13ないし図15は、装飾部材B1,B2を下降させるときの状態を示しており、まず、図13(a)ないし図13(c)は、装飾部材B1,B2が最上位置に位置したときの状態を示している。
【0052】
この状態では、図13(a)に示したように、回転範囲規制突部13dは、回転規制突部11cの左側の近傍に位置している。また、図13(b)に示したように、ドラム側係合部14iは回転ドラム14の回転方向の右側に位置して、ギア側係合部13fは、ドラム側係合部14iの下方の近傍に位置している。係合解除片13gは、解除壁部15cの左側の近傍に位置し、係合片15bは、停止用凹部14fの内部に位置している。そして、図13(c)に示したように、ワイヤ23は回転ドラム14に巻き取られ、ワイヤ23の先端部は、ベース部11の下縁部の近傍に位置している。
【0053】
図14(a)ないし図14(c)は、駆動モータ12の作動により、駆動力伝達ギア13が反時計周り方向に回転して、係合片15bと停止用凹部14fとの係合を解除するときの状態を示している。この状態では、図14(a)に示したように、回転範囲規制突部13dは、回転規制突部11cにさらに接近して当接した状態になる。また、図14(b)に示したように、ギア側係合部13fは、図13(b)の状態よりもさらにドラム側係合部14iに近づいた位置になる。係合解除片13gは、解除壁部15cを右側に押圧し、係合片15bは、回転ドラム14の外周側に移動して停止用凹部14fの外部に位置する。
【0054】
係合片15bが移動したことにより、係合片15bと停止用凹部14fとの係合が解除され、回転ドラム14は独自に回転可能な状態になる。このため、装飾部材B1,B2の重さで回転ドラム14が回転するとともに、ワイヤ23の先端部が下降して、可動装飾装置Aは、図15(a)ないし図15(c)に示した状態になる。この場合、駆動力伝達ギア13は停止し、回転ドラム14だけが反時計周り方向に回転する。
【0055】
ワイヤ23の先端部が下降した状態では、図15(a)に示したように、回転範囲規制突部13dは、回転規制突部11cに当接した状態を維持する。また、このとき、ドラム側係合部14iは、回転ドラム14の回転に伴いギア側係合部13fの左側に当接し、慣性による回転ドラム14のオーバーランを防止する。係合解除片13gは、解除壁部15cを右側に押圧した状態を維持し、係合片15bは、回転ドラム14の外周側に移動して停止用凹部14fの外部に位置した状態を維持している。そして、図15(c)に示したように、ワイヤ23は、回転ドラム14から繰り出され、その先端部は、最下位置まで降下している。
【0056】
この場合、装飾部材B1,B2は、最初は一体となって下降し、スライドレール22が延びきったところで装飾部材B2は停止する。そして、装飾部材B1は装飾部材B2から離れてさらに下降しスライドレール21が延びきったところで停止する。このため、装飾部材B1,B2が、上下に広がりながら急下降するようになりその動きが興趣に富むものとなる。
【0057】
図16ないし図18は、装飾部材B1,B2を上昇させるときの状態を示しており、まず、図16(a)ないし図16(c)は、上昇を開始するときの状態を示している。この状態では、駆動モータ12の作動により、駆動力伝達ギア13が時計周り方向に回転することにより、図16(a)に示したように、回転範囲規制突部13dは、回転規制突部11cから離れて駆動力伝達ギア13の回転方向の左側に位置している。また、図16(b)に示したように、ギア側係合部13fは、ドラム側係合部14iの右側部を押圧してドラム側係合部14iとともに、下方やや左側に位置している。係合解除片13gと停止用凹部14fとは、それぞれ回転範囲の左側に位置している。そして、図16(c)に示したように、ワイヤ23の先端部は、図15(c)の状態よりも僅かに上方に位置している。
【0058】
図17(a)ないし図17(c)は、駆動力伝達ギア13および回転ドラム14が1回転近く回転し、係合片15bと停止用凹部14fとが係合するときの状態を示している。この状態では、図17(a)に示したように、回転範囲規制突部13dは、回転規制突部11cに接近して回転規制突部11cの右側部に当接した状態になる。また、図17(b)に示したように、ギア側係合部13fは、ドラム側係合部14iとともに、回転範囲の右側に位置した状態になる。係合解除片13gは、回転範囲の最下部よりもやや右側に位置し、係合片15bは、停止用凹部14fの内部における上部側に位置している。そして、図17(c)に示したように、ワイヤ23の先端部は、ベース部11の下縁部よりもやや上方に位置している。
【0059】
この状態になる場合には、回転ドラム14の回転により、まず、装飾部材B1が上昇し、装飾部材B1の支持棚25が装飾部材B2の下端部に当接すると、装飾部材B2が装飾部材B1に持ち上げられて、装飾部材B1,B2は一体となって上昇する。また、係合片15bが移動したことにより、センサ18がオフ状態になると、駆動モータ12は制御装置の制御により停止する。なお、センサ18からオフ信号を受けた制御装置は、この時点を動作の基準位置として、その後の動作に必要な駆動モータ12への制御信号を発生する。
【0060】
図18(a)ないし図18(c)は、図17(a)ないし図17(c)の状態から、駆動力伝達ギア13を反時計周り方向に回転させて、装飾部材B1,B2を下降させるための始動準備位置に位置させる状態を示している。この状態では、図18(a)に示したように、回転範囲規制突部13dは、回転規制突部11cの左側近傍に位置している。また、図18(b)に示したように、ドラム側係合部14iは回転ドラム14の右側に位置して、ギア側係合部13fは、ドラム側係合部14iの下方近傍に位置している。係合解除片13gは、解除壁部15cの左側近傍に位置し、係合片15bは、停止用凹部14fの内部下部側に位置している。そして、図18(c)に示したように、ワイヤ23の先端部は、ベース部11の下縁部の近傍に位置している。
【0061】
すなわち、図18(a)ないし図18(c)に示した状態は、図13(a)ないし図13(c)に示した状態と同じであり、図17(a)ないし図17(c)に示した状態から、駆動力伝達ギア13を反時計周り方向に回転させることによりこの状態になる。このとき、回転ドラム14は静止した状態を維持する。そして、遊技機がリーチの状態になった時等、所定のタイミングで、前述した図13ないし図18に示した動作が順次行われる。すなわち、制御装置は、駆動モータ12をパルス制御することにより、可動装飾装置Aが、図17図18図13)、図14図15図16そして図17に示した状態に、前述した順番で順次変化するように制御する。
【0062】
以上のように、本実施形態に係る可動装飾装置Aでは、駆動モータ12の作動により駆動力伝達ギア13が時計周り方向に回転したときに、ギア側係合部13fがドラム側係合部14iに係合して、回転ドラム14を時計周り方向に回転させて装飾部材B1,B2を上昇させる。そして、装飾部材B1,B2が最上位置に上昇したときに、ストッパ15の係合片15bが、回転ドラム14の停止用凹部14fに係合して装飾部材B1,B2は最上位置に上昇した状態に維持される。
【0063】
さらに、その状態から、駆動モータ12の作動により駆動力伝達ギア13が反時計周り方向に回転したときに、駆動力伝達ギア13の係合解除片13gが、ストッパ15の解除壁部15cを押圧して、係合片15bと停止用凹部14fとの係合を解除する。これによって、装飾部材B1,B2は自重により回転ドラム14を反時計周り方向に回転させながら急下降する。このため、可動装飾装置Aを作動させるための駆動モータが1個の駆動モータ12で済み、複雑な制御や装置が不要になるとともにコストの低下が可能になる。
【0064】
また、ギア側係合部13fとドラム側係合部14iとを簡単な構造の突部で構成したため上昇時係合手段を簡単な構成にすることができる。さらに、回転ドラム14が回転できる時計周り方向への角度と反時計回り方向の角度とが同じになるため、装飾部材B1,B2の昇降距離が一定になる。また、ベース部11に回転規制突部11cを設けるとともに、駆動力伝達ギア13に回転範囲規制突部13dを設けたため、駆動力伝達ギア13の回転範囲を一定に規制することができる。
【0065】
さらに、回転ドラム14に、溝部を設けるとともに、溝部から回転ドラム14の内部側に延び固定用穴14kを設け、固定用穴14kの奥端部にワイヤ23の基端部を固定したため、ワイヤ23が回転ドラム14の溝部に巻き取られる際に、ワイヤ23の基端部が邪魔になることがなくなる。また、スライドレール21,22を設けたため、装飾部材B1,B2が左右に揺動することなくスライドレール21,22に沿って一定の方向に移動するため、装飾部材B1,B2は安定して上下移動するようになる。
【0066】
本発明に係る遊技機の可動装飾装置は、前述した各実施形態に限定するものでなく、適宜変更することができる。例えば、前述した実施形態では、一方向を時計周り方向とし、他方向を反時計周り方向としているが、この回転方向は逆であってもよい。また、上昇時係合手段、巻上保持時係合手段および係合解除手段の構成についても前述した実施形態に限定されるものでなく、前述した実施形態に係る上昇時係合手段、巻上保持時係合手段および係合解除手段と同様の作用効果を奏する構成のものであれば用いることができる。また、ワイヤ23に代えて、ひも、ロープ、チェーン等を用いてもよいし、ばね17に代えて錘を用いてもよい。さらに、遊技機としては、パチンコ機に限らず、スロットマシンやスマートボール等を用いてもよい。また、本発明に係る遊技機の可動装飾装置のそれ以外の部分の構成についても本発明の技術的範囲内で適宜変更して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0067】
11…ベース部、11b…支軸、11c…回転規制突部、12…駆動モータ、13…駆動力伝達ギア、13d…回転範囲規制突部、13f…ギア側係合部、13g…係合解除片、14…回転ドラム、14f…停止用凹部、14i…ドラム側係合部、14j…ガイド壁、14k…固定用穴、15…ストッパ、15b…係合片、15c…解除壁部、17…ばね、21,22…スライドレール、23…ワイヤ、A…可動装飾装置、B1,B2…装飾部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18