(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の無線基地局装置に接続する無線端末に対する平均周波数利用可能効率は、前記第1の単位周波数当たりスループットの前記ミューティング比率に応じた分を、前記第1の無線基地局装置が無線接続サービスするエリアにおける無線端末数で割った値として定義され、
前記第2の無線基地局装置に接続する無線端末に対する平均周波数利用可能効率は、前記第2の単位周波数当たりスループットの前記ミューティング比率に応じた分を、前記第2の無線基地局装置が無線接続サービスするエリアにおける無線端末数で割った値として定義されている、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の無線基地局パラメータ算出装置。
前記第1の無線基地局装置に接続する無線端末に対する平均周波数利用可能効率は、前記第1の単位周波数当たりスループットの前記ミューティング比率に応じた分を、前記第1の無線基地局装置が無線接続サービスするエリアの面積で割った値として定義され、
前記第2の無線基地局装置に接続する無線端末に対する平均周波数利用可能効率は、前記第2の単位周波数当たりスループットの前記ミューティング比率に応じた分を、前記第2の無線基地局装置が無線接続サービスするエリアの面積で割った値として定義されている、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の無線基地局パラメータ算出装置。
前記第1の無線基地局装置に接続する無線端末に対する平均周波数利用可能効率と前記第2の無線基地局装置に接続する無線端末に対する平均周波数利用可能効率とのうち低い方の平均周波数利用可能効率と、前記最低限満たすべき平均周波数利用可能効率との関係に基づいて、前記制約条件を満たす限界のミューティング比率が定義されている、
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の無線基地局パラメータ算出装置。
前記パラメータ演算部は、前記単位面積当たり平均周波数利用可能効率を最大化する前記第2の無線基地局装置のセル半径、前記セル中心部の半径及び前記ミューティング比率を算出する、
ことを特徴とする請求項10に記載の無線基地局パラメータ算出装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したHetNetによって十分なトラヒックの負荷分散効果を発揮するためには、セル設計において、CREバイアス値、及び、無線リソースに対してミューティングを行う比率(ミューティング比率)を適切な値に設定することが重要である。
【0009】
しかしながら、上述した特許文献1の従来技術では、HetNet特有のパラメータであるCREバイアス値及びミューティング比率を設計の対象にしていない。また、各基地局が無線端末に対して割当ることができる無線リソース量などがミューティング比率に応じて変化するので、特許文献1の従来技術においてCREバイアス値及びミューティング比率を単純に設計の対象にすることはできない。
【0010】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、CREバイアス値、及び、ミューティング比率を適切に算出することができる無線基地局パラメータ算出装置、無線基地局パラメータ算出方法、及びコンピュータプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明に係る無線基地局パラメータ算出装置は、第1の無線基地局装置のセルが第2の無線基地局装置のセルの全て又は一部分を含む無線通信システムにおいて、前記第2の無線基地局装置のセルの範囲を拡張するCREバイアス値に対応する前記第2の無線基地局装置のセル半径と、前記無線通信システムが使用する無線リソースのうち前記第1の無線基地局装置が使用する無線リソースの比率であるミューティング比率と、を算出する無線基地局パラメータ算出装置であって、前記第1の無線基地局装置が無線接続サービスするエリアにおける第1の単位周波数当たりスループットと、前記第2の無線基地局装置が無線接続サービスするエリアにおける第2の単位周波数当たりのスループットと、前記ミューティング比率とに基づいた単位面積当たり平均周波数利用可能効率が定義されてあり、前記単位面積当たり平均周波数利用可能効率を最大化する前記第2の無線基地局装置のセル半径及び前記ミューティング比率を算出するパラメータ演算部を備え、前記パラメータ演算部には、制約条件として、前記第1の無線基地局装置に接続する無線端末に対する平均周波数利用可能効率と、前記第2の無線基地局装置に接続する無線端末に対する平均周波数利用可能効率とのうち低い方の平均周波数利用可能効率が最低限満たすべき平均周波数利用可能効率が設けられた、ことを特徴とする。
【0012】
本発明に係る無線基地局パラメータ算出装置においては、前記第2の無線基地局装置は前記第1の無線基地局装置が通信を行わない無線リソース領域においてのみ無線端末との通信を行い、前記単位面積当たり平均周波数利用可能効率において、前記第1の単位周波数当たりスループットと前記第2の単位周波数当たりスループットとが前記ミューティング比率で用いられている、ことを特徴とする。
【0013】
本発明に係る無線基地局パラメータ算出装置においては、前記第2の無線基地局装置は、無線端末との通信において、前記無線通信システムが使用する全無線リソースを利用可能であり、前記単位面積当たり平均周波数利用可能効率において、前記第1の単位周波数当たりスループットが前記ミューティング比率で用いられ、前記第2の単位周波数当たりスループットが全て用いられている、ことを特徴とする。
【0014】
本発明に係る無線基地局パラメータ算出装置においては、前記第1の無線基地局装置のセルが前記第2の無線基地局装置のセルの全てを含み、前記単位面積当たり平均周波数利用可能効率は、前記第1の無線基地局装置のセルの面積に対して定義されている、ことを特徴とする。
【0015】
本発明に係る無線基地局パラメータ算出装置においては、前記第1の無線基地局装置のセルが前記第2の無線基地局装置のセルの一部分のみを含み、前記単位面積当たり平均周波数利用可能効率は、前記第1の無線基地局装置のセルの面積と、前記第2の無線基地局装置のセルのうち前記第1の無線基地局装置のセルに含まれないエリアの面積との総和に対して定義されている、ことを特徴とする。
【0016】
本発明に係る無線基地局パラメータ算出装置において、前記第1の無線基地局装置に接続する無線端末に対する平均周波数利用可能効率は、前記第1の単位周波数当たりスループットの前記ミューティング比率に応じた分を、前記第1の無線基地局装置が無線接続サービスするエリアにおける無線端末数で割った値として定義され、前記第2の無線基地局装置に接続する無線端末に対する平均周波数利用可能効率は、前記第2の単位周波数当たりスループットの前記ミューティング比率に応じた分を、前記第2の無線基地局装置が無線接続サービスするエリアにおける無線端末数で割った値として定義されている、ことを特徴とする。
【0017】
本発明に係る無線基地局パラメータ算出装置において、前記第1の無線基地局装置に接続する無線端末に対する平均周波数利用可能効率は、前記第1の単位周波数当たりスループットの前記ミューティング比率に応じた分を、前記第1の無線基地局装置が無線接続サービスするエリアの面積で割った値として定義され、前記第2の無線基地局装置に接続する無線端末に対する平均周波数利用可能効率は、前記第2の単位周波数当たりスループットの前記ミューティング比率に応じた分を、前記第2の無線基地局装置が無線接続サービスするエリアの面積で割った値として定義されている、ことを特徴とする。
【0018】
本発明に係る無線基地局パラメータ算出装置においては、前記第1の無線基地局装置に接続する無線端末に対する平均周波数利用可能効率と前記第2の無線基地局装置に接続する無線端末に対する平均周波数利用可能効率とのうち低い方の平均周波数利用可能効率と、前記最低限満たすべき平均周波数利用可能効率との関係に基づいて、前記制約条件を満たす限界のミューティング比率が定義されている、ことを特徴とする。
【0019】
本発明に係る無線基地局パラメータ算出装置においては、前記第2の無線基地局装置のセル半径を、該セル半径が取り得る所定範囲の中から選択するセル半径選択部と、前記選択されたセル半径を用いて、前記制約条件を満たす限界のミューティング比率を計算するミューティング比率計算部と、前記選択されたセル半径と前記計算された前記制約条件を満たす限界のミューティング比率とを用いて、前記単位面積当たり平均周波数利用可能効率を計算するASE計算部と、前記算出された単位面積当たり平均周波数利用可能効率と、該単位面積当たり平均周波数利用可能効率の算出に使用されたセル半径及びミューティング比率とを記憶するデータ格納部と、前記算出された単位面積当たり平均周波数利用可能効率の中から最大値を判定するASE判定部と、を備えたことを特徴とする。
【0020】
本発明に係る無線基地局パラメータ算出装置においては、前記第2の無線基地局装置が無線接続サービスするエリアをセル中心部と該セル中心部の外側のセル境界部とに分け、前記第2の無線基地局装置は、前記セル中心部では前記第1の無線基地局装置が使用する無線リソース領域と同じ無線リソース領域を使用して無線端末と通信し、前記セル境界部では前記第1の無線基地局装置が通信を行わない無線リソース領域を使用して無線端末と通信し、前記単位面積当たり平均周波数利用可能効率は、前記第1の無線基地局装置が無線接続サービスするエリアにおける第1の単位周波数当たりスループットと、前記第2の無線基地局装置が無線接続サービスするエリアのうち、前記セル中心部における第3の単位周波数当たりのスループット及び前記セル境界部における第4の単位周波数当たりのスループットと、前記ミューティング比率と、から定義されている、ことを特徴とする。
【0021】
本発明に係る無線基地局パラメータ算出装置において、前記パラメータ演算部は、前記単位面積当たり平均周波数利用可能効率を最大化する前記第2の無線基地局装置のセル半径、前記セル中心部の半径及び前記ミューティング比率を算出する、ことを特徴とする。
【0022】
本発明に係る無線基地局パラメータ算出装置において、前記第2の無線基地局装置は、送信電力比率を用いて、自己の送信電力を、前記セル中心部に対する送信電力と、前記セル境界部に対する送信電力とに割り当てし、前記第3の単位周波数当たりのスループット及び前記第4の単位周波数当たりのスループットは、前記送信電力比率に基づいて定義されている、ことを特徴とする。
【0023】
本発明に係る無線基地局パラメータ算出装置においては、前記第2の無線基地局装置のセル半径を、該セル半径の取り得る値の中から選択するセル半径選択部と、前記第2の無線基地局装置のセル中心部の半径および該セル中心部の外側のセル境界部の円環の幅を、それらの取り得る値の中から選択するセル中心部半径選択部と、前記選択されたセル半径、セル中心部の半径およびセル境界部の円環の幅を用いて、前記制約条件を満たす限界のミューティング比率を計算するミューティング比率計算部と、前記選択されたセル半径、セル中心部の半径およびセル境界部の円環の幅と前記計算された前記制約条件を満たす限界のミューティング比率とを用いて、前記単位面積当たり平均周波数利用可能効率を計算するASE計算部と、前記算出された単位面積当たり平均周波数利用可能効率と、該単位面積当たり平均周波数利用可能効率の算出に使用されたセル半径、セル中心部の半径及びミューティング比率とを記憶するデータ格納部と、前記算出された単位面積当たり平均周波数利用可能効率の中から最大値を判定するASE判定部と、を備えたことを特徴とする。
【0024】
本発明に係る無線基地局パラメータ算出装置においては、前記第2の無線基地局装置のセル半径を、該セル半径の取り得る値の中から選択するセル半径選択部と、前記第2の無線基地局装置のセル中心部の半径および該セル中心部の外側のセル境界部の円環の幅を、それらの取り得る値の中から選択するセル中心部半径選択部と、前記送信電力比率を、該送信電力比率の取り得る値の中から選択する送信電力比率選択部と、前記選択されたセル半径、セル中心部の半径、セル境界部の円環の幅および送信電力比率を用いて、前記制約条件を満たす限界のミューティング比率を計算するミューティング比率計算部と、前記選択されたセル半径、セル中心部の半径、セル境界部の円環の幅および送信電力比率と前記計算された前記制約条件を満たす限界のミューティング比率とを用いて、前記単位面積当たり平均周波数利用可能効率を計算するASE計算部と、前記算出された単位面積当たり平均周波数利用可能効率と、該単位面積当たり平均周波数利用可能効率の算出に使用されたセル半径、セル中心部の半径、送信電力比率及びミューティング比率とを記憶するデータ格納部と、前記算出された単位面積当たり平均周波数利用可能効率の中から最大値を判定するASE判定部と、を備えたことを特徴とする。
【0025】
本発明に係る無線基地局パラメータ算出方法は、第1の無線基地局装置のセルが第2の無線基地局装置のセルの全て又は一部分を含む無線通信システムにおいて、前記第2の無線基地局装置のセルの範囲を拡張するCREバイアス値に対応する前記第2の無線基地局装置のセル半径と、前記無線通信システムが使用する無線リソースのうち前記第1の無線基地局装置が使用する無線リソースの比率であるミューティング比率と、を算出する無線基地局パラメータ算出方法であって、前記第1の無線基地局装置が無線接続サービスするエリアにおける第1の単位周波数当たりスループットと、前記第2の無線基地局装置が無線接続サービスするエリアにおける第2の単位周波数当たりのスループットと、前記ミューティング比率とに基づいた単位面積当たり平均周波数利用可能効率が定義されてあり、前記単位面積当たり平均周波数利用可能効率を最大化する前記第2の無線基地局装置のセル半径及び前記ミューティング比率を算出するパラメータ演算ステップを含み、前記パラメータ演算ステップには、制約条件として、前記第1の無線基地局装置に接続する無線端末に対する平均周波数利用可能効率と、前記第2の無線基地局装置に接続する無線端末に対する平均周波数利用可能効率とのうち低い方の平均周波数利用可能効率が最低限満たすべき平均周波数利用可能効率が設けられた、ことを特徴とする。
【0026】
本発明に係るコンピュータプログラムは、第1の無線基地局装置のセルが第2の無線基地局装置のセルの全て又は一部分を含む無線通信システムにおいて、前記第2の無線基地局装置のセルの範囲を拡張するCREバイアス値に対応する前記第2の無線基地局装置のセル半径と、前記無線通信システムが使用する無線リソースのうち前記第1の無線基地局装置が使用する無線リソースの比率であるミューティング比率と、を算出するためのコンピュータプログラムであって、前記第1の無線基地局装置が無線接続サービスするエリアにおける第1の単位周波数当たりスループットと、前記第2の無線基地局装置が無線接続サービスするエリアにおける第2の単位周波数当たりのスループットと、前記ミューティング比率とに基づいた単位面積当たり平均周波数利用可能効率が定義されてあり、前記単位面積当たり平均周波数利用可能効率を最大化する前記第2の無線基地局装置のセル半径及び前記ミューティング比率を算出するパラメータ演算ステップをコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであり、前記パラメータ演算ステップには、制約条件として、前記第1の無線基地局装置に接続する無線端末に対する平均周波数利用可能効率と、前記第2の無線基地局装置に接続する無線端末に対する平均周波数利用可能効率とのうち低い方の平均周波数利用可能効率が最低限満たすべき平均周波数利用可能効率が設けられた、ことを特徴とするコンピュータプログラムであることを特徴とする。
これにより、前述の無線基地局パラメータ算出装置がコンピュータを利用して実現できるようになる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、CREバイアス値、及び、ミューティング比率を適切に算出することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について、いくつかの実施例を挙げて説明する。なお、本実施例では、基地局における動的な送信電力制御を考慮しない。
【実施例1】
【0030】
実施例1では、
図3に示されるHetNetによる移動通信システム(以下、HetNetシステムと称する)においてCRE技術を用いるときに、適切なCREバイアス値およびミューティング比率を算出するものとする。
【0031】
図3において、小型基地局200(第2の無線基地局装置)は、マクロ基地局100(第1の無線基地局装置)よりも送信電力が小さい。マクロ基地局100のセル110は、小型基地局200のセル210を包含する。小型基地局200としては、マクロ基地局100よりも送信電力が小さい、マイクロ基地局やピコ基地局などである。マクロ基地局100のセル110の半径をR
Mとする。全ての小型基地局200のセル210の半径はR
Pであり、同一であるとする(但し、R
M>R
P)。小型基地局200からの距離がR
P以下である位置に存在するユーザ端末300は、当該小型基地局200に接続される。
【0032】
マクロ基地局100が無線接続サービスするエリアに対しては、ユーザ端末300が一様に分布しているとする。マクロ基地局100が無線接続サービスするエリアは、マクロ基地局100のセル110内のうち小型基地局200のセル210のエリアを除いたエリアである。小型基地局200が無線接続サービスするエリアは、マクロ基地局100のセル110内のうち小型基地局200のセル210のエリアである。但し、小型基地局200のセル210の範囲(半径R
P)は、CREバイアス値に応じた分だけ拡張される。
【0033】
本HetNetシステムでは、無線リソースの周波数方向において、マクロ基地局100が通信を行わない周波数領域(ミューティング領域)を設ける。本実施例1では、小型基地局200は、当該ミューティング領域においてのみ、ユーザ端末300との通信を行うとする。本HetNetシステムで使用する周波数幅をWとする。該周波数幅Wのうちマクロ基地局100が使用する周波数幅の比率であるミューティング比率をρとする。本HetNetシステムにおいて、マクロ基地局100に対しては「ρ×W」の周波数幅を割当てる。小型基地局200に対しては「(1−ρ)×W」の周波数幅を割当てる。これにより、マクロ基地局100と小型基地局200とは互いに干渉源とはならない。
【0034】
単位面積当たり平均周波数利用可能効率(average area spectral efficiency:ASE)を(1)式で定義する。
【0035】
【数1】
【0036】
但し、C
M(R
P)は、マクロ基地局100が無線接続サービスするエリアにおける単位周波数当たりスループット[bps/Hz]である。C
P(R
P)は、マクロ基地局100が無線接続サービスするエリア内に設置された全ての小型基地局200について、各小型基地局200が無線接続サービスするエリアにおける単位周波数当たりスループット、の総和[bps/Hz]である。C
P(R
P)は、(1a)式で定義される。N
Pは、マクロ基地局100が無線接続サービスするエリア内に設置された小型基地局200の数である。C
P,k(R
P)は、N
P台の小型基地局200のうちk番目の小型基地局200が無線接続サービスするエリアにおける単位周波数当たりスループット[bps/Hz]である。C
M(R
P)及びC
P,k(R
P)は、小型基地局200のセル210の半径R
Pに応じて値が変化する関数として予め定義される。
【0037】
本実施例1では、(1)式の単位面積当たり平均周波数利用可能効率ASEを、所定の制約条件の下で最大化する「小型基地局200のセル210の半径R
P」及び「ミューティング比率ρ」を算出する。なお、小型基地局200のセル210の半径R
PとCREバイアス値とは一対一に対応付けられている。従って、小型基地局200のセル210の半径R
Pが算出されれば、CREバイアス値が決まる。
【0038】
ここで、(1)式の単位面積当たり平均周波数利用可能効率ASEを最大化するときの制約条件について説明する。本実施例1では、小型基地局200が無線接続サービスするエリアは、マクロ基地局100が無線接続サービスするエリアよりも小さい。このため、小型基地局200に接続するユーザ端末300の数は、マクロ基地局100に接続するユーザ端末300の数よりも、一般的に少ないと考えられる。このことから、所定のスループットが得られない低スループットのユーザ端末300の数は、小型基地局200の方がマクロ基地局100よりも少ないと想定できる。この想定の下では、各小型基地局200の単位周波数当たりスループットの総和C
P(R
P)は、マクロ基地局100の単位周波数当たりスループットC
M(R
P)よりも、大きくなると仮定できる。
【0039】
このとき、(1)式の単位面積当たり平均周波数利用可能効率ASEを最大化することのみを考えると、小型基地局200のセル210の半径R
Pを小さくし、小型基地局200に接続されるユーザ端末300に対して高い変調方式を採用し、且つ、小型基地局200に全ての周波数帯域を割当てるのが良い。しかしながら、この場合には、マクロ基地局100に接続するユーザ端末300が通信できないので、マクロ基地局100に接続するユーザ端末300と小型基地局200に接続するユーザ端末300との間でスループットの観点から大きな不公平が生じる。そこで、(1)式の単位面積当たり平均周波数利用可能効率ASEを最大化するときの制約条件として、マクロ基地局100に接続するユーザ端末300に対して最低限満たすべき平均周波数利用可能効率Γ
Mを設ける。
【0040】
具体的には、(2)式に示されるように、(3)式の制約条件の下で、(1)式の単位面積当たり平均周波数利用可能効率ASEを最大化する「小型基地局200のセル210の半径R
P」及び「ミューティング比率ρ」を算出する。
【0041】
【数2】
【0042】
但し、T
M(ρ,R
P)は、マクロ基地局100に接続するユーザ端末300に対する平均周波数利用可能効率である。
【0043】
T
M(ρ,R
P)は、(4)式または(5)式で定義される。
【0044】
【数3】
【0045】
但し、UE
M(R
P)は、マクロ基地局100が無線接続サービスするエリアにおけるユーザ端末300の数である。UE
M(R
P)は、小型基地局200のセル210の半径R
Pに応じて値が変化する関数として予め定義される。
【0046】
【数4】
【0047】
但し、S
M(R
P)は、マクロ基地局100が無線接続サービスするエリアの面積である。S
M(R
P)は、小型基地局200のセル210の半径R
Pに応じて値が変化する関数として予め定義される。
【0048】
上記(2)式の演算を行う際には、(3)式の制約条件を満たす限界のミューティング比率ρ
minを定義して使用する。例えば、(4)式のT
M(ρ,R
P)を用いる場合には、(6)式によりミューティング比率ρ
minを定義する。このρ
minは、制約条件を満たすミューティング比率の下限値である。
【0049】
【数5】
【0050】
図1は、本実施例1に係る無線基地局パラメータ算出装置1の構成図である。
図1において、無線基地局パラメータ算出装置1は、パラメータ演算部として、初期設定部11とR
P選択部12とρ計算部13とASE計算部14とASE判定部15とデータ格納部16と終了条件判定部17とを備える。さらに、無線基地局パラメータ算出装置1は、出力部18を備える。
【0051】
初期設定部11は、マクロ基地局100のセル110の半径R
Mを設定する。また、初期設定部11は、小型基地局200のセル210の半径R
Pが取り得る所定範囲を設定する。また、初期設定部11は、制約条件となる平均周波数利用可能効率Γ
Mを設定する。また、初期設定部11は、(2)式の演算を終了する条件となる終了条件を設定する。半径R
M、半径R
Pが取り得る所定範囲、平均周波数利用可能効率Γ
M、及び終了条件はオペレータによって入力される。終了条件としては、例えば、(2)式の演算処理の繰り返し回数(反復回数)である。
【0052】
なお、
図1の無線基地局パラメータ算出装置1では、(4)式のT
M(ρ,R
P)を用い、(6)式によりミューティング比率ρ
minが定義されている。また、C
M(R
P)、C
P(R
P)、及びUE
M(R
P)は、小型基地局200のセル210の半径R
Pに応じて値が変化する関数として、予め、
図1の無線基地局パラメータ算出装置1に設定されている。
【0053】
R
P選択部12は、初期設定部11が設定した半径R
Pが取り得る所定範囲の中から無作為に半径R
Pを選択する。ρ計算部13は、R
P選択部12が選択した半径R
Pを用いて、(6)式によりミューティング比率ρ
minを計算する。ASE計算部14は、R
P選択部12が選択した半径R
Pと、ρ計算部13が算出したミューティング比率ρ
minと、初期設定部11が設定した半径R
Mとを用いて、(1)式により、単位面積当たり平均周波数利用可能効率ASEを計算する。
【0054】
ASE判定部15は、ASE計算部14が算出した最新の単位面積当たり平均周波数利用可能効率ASEと、過去に算出された単位面積当たり平均周波数利用可能効率ASEの中の最大値とを比較する。過去に算出された単位面積当たり平均周波数利用可能効率ASEの中の最大値は、データ格納部16に格納されている。ASE判定部15は、その比較の結果、最新の単位面積当たり平均周波数利用可能効率ASEの方が大きい場合には、当該最新の単位面積当たり平均周波数利用可能効率ASEと、当該最新の単位面積当たり平均周波数利用可能効率ASEの算出に使用された半径R
P及びミューティング比率ρ
minとをデータ格納部16に上書きする。これにより、データ格納部16に格納されるデータが更新される。
【0055】
データ格納部16は、過去に算出された単位面積当たり平均周波数利用可能効率ASEの中の最大値と、当該単位面積当たり平均周波数利用可能効率ASEの算出に使用された半径R
P及びミューティング比率ρ
minとを記憶する。終了条件判定部17は、初期設定部11が設定した所定の終了条件を判定する。出力部18は、終了条件判定部17が終了条件を満たすと判定した場合に、データ格納部16に格納されている「過去に算出された単位面積当たり平均周波数利用可能効率ASEの中の最大値」と「当該単位面積当たり平均周波数利用可能効率ASEの算出に使用された半径R
P及びミューティング比率ρ
min」とを出力する。
【0056】
次に、
図2を参照して、
図1に示す無線基地局パラメータ算出装置1の動作を説明する。
図2は、本実施例1に係る無線基地局パラメータ算出処理のフローチャートである。
STEP1:初期設定部11が、半径R
M、半径R
Pが取り得る所定範囲、平均周波数利用可能効率Γ
M、及び終了条件を設定する。
【0057】
STEP2:R
P選択部12が、初期設定部11が設定した半径R
Pが取り得る所定範囲の中から無作為に半径R
Pを選択する。
【0058】
STEP3:ρ計算部13が、R
P選択部12が選択した半径R
Pを用いて、(6)式によりミューティング比率ρ
minを計算する。
【0059】
STEP4:ASE計算部14が、R
P選択部12が選択した半径R
Pと、ρ計算部13が算出したミューティング比率ρ
minと、初期設定部11が設定した半径R
Mとを用いて、(1)式により、単位面積当たり平均周波数利用可能効率ASEを計算する。
【0060】
STEP5:ASE判定部15は、ASE計算部14が算出した最新の単位面積当たり平均周波数利用可能効率ASEと、データ格納部16に格納されている単位面積当たり平均周波数利用可能効率ASE_rとを比較する。この結果、最新の単位面積当たり平均周波数利用可能効率ASEの方がデータ格納部16に格納されている単位面積当たり平均周波数利用可能効率ASE_rよりも大きい場合には、STEP6に進む。一方、最新の単位面積当たり平均周波数利用可能効率ASEがデータ格納部16に格納されている単位面積当たり平均周波数利用可能効率ASE_r未満である場合には、STEP7に進む。
【0061】
STEP6:ASE判定部15は、最新の単位面積当たり平均周波数利用可能効率ASEと、当該最新の単位面積当たり平均周波数利用可能効率ASEの算出に使用された半径R
P及びミューティング比率ρ
minとをデータ格納部16に上書きする。これにより、データ格納部16では、単位面積当たり平均周波数利用可能効率ASE_rが最新の単位面積当たり平均周波数利用可能効率ASEに更新され、ミューティング比率ρ_rが当該最新の単位面積当たり平均周波数利用可能効率ASEの算出に使用されたミューティング比率ρ
minに更新され、半径R
P_rが当該最新の単位面積当たり平均周波数利用可能効率ASEの算出に使用された半径R
Pに更新される。
【0062】
STEP7:終了条件判定部17は、初期設定部11が設定した所定の終了条件を判定する。この結果、終了条件を満たす場合にはSTEP8に進む。一方、終了条件を満たさない場合にはSTEP2に戻る。
【0063】
STEP8:出力部18は、データ格納部16に格納されている、単位面積当たり平均周波数利用可能効率ASE_rとミューティング比率ρ_rと半径R
P_rとを出力する。なお、CREバイアス値は、半径R
P_rから決まる。
【0064】
本実施例1によれば、HetNetシステム特有のパラメータであるCREバイアス値及びミューティング比率を適切に算出することができる。これにより、HetNetシステムによる高い負荷分散効果を得ることが期待できる。
【実施例2】
【0065】
本実施例2は、上述した実施例1と同様である。但し、上述した実施例1では、小型基地局200はミューティング領域においてのみユーザ端末300との通信を行うが、本実施例2では、小型基地局200は、ユーザ端末300との通信において、HetNetシステムで使用する全周波数幅Wを利用可能とする。このため、単位面積当たり平均周波数利用可能効率ASEを(7)式で定義する。
【0066】
【数6】
【0067】
なお、本実施例2に係る無線基地局パラメータ算出装置において、実施例1と異なる点は、この単位面積当たり平均周波数利用可能効率ASEの定義のみである。
【実施例3】
【0068】
本実施例3では、HetNetシステムの構成が実施例1と異なる。上述した実施例1では、
図1に示されるように、マクロ基地局100のセル110は、小型基地局200のセル210を包含する。これに対して、本実施例3のHetNetシステムでは、小型基地局200のセル210は、マクロ基地局100のセル110と重複するエリアを有するが、全てはマクロ基地局100のセル110に包含されない。このため、単位面積当たり平均周波数利用可能効率ASEを(8)式で定義する。
【0069】
【数7】
【0070】
但し、Sは、マクロ基地局100のセル110の面積と、小型基地局200のセル210のうちマクロ基地局100のセル110に含まれないエリアの面積との総和である。
【0071】
なお、本実施例3に係る無線基地局パラメータ算出装置において、実施例1と異なる点は、この単位面積当たり平均周波数利用可能効率ASEの定義のみである。
【0072】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、上述の実施例では、無線リソースの周波数方向においてマクロ基地局が通信を行わない領域(ミューティング領域)を設けたが、時間方向においてミューティング領域を設けるようにしてもよい。又は、無線リソースの周波数方向および時間方向の両方においてミューティング領域を設けるようにしてもよい。
【0073】
また、(2)式の演算方法として、遺伝的アルゴリズムなど、他の演算方法を用いてもよい。
【0074】
また、上述の実施例では、マクロ基地局(第1の無線基地局装置)のセルが、小型基地局(第2の無線基地局装置)のセルの全て又は一部分を含むHetNetシステムにおいて、各小型基地局の単位周波数当たりスループットの総和C
P(R
P)は、マクロ基地局の単位周波数当たりスループットC
M(R
P)よりも、大きくなると仮定した。しかしながら、HetNetシステムの運用形態によっては、マクロ基地局の単位周波数当たりスループットC
M(R
P)の方が、各小型基地局の単位周波数当たりスループットの総和C
P(R
P)よりも、大きくなることが想定される場合があり得る。この場合には、単位面積当たり平均周波数利用可能効率ASEを最大化するときの制約条件として、小型基地局に接続するユーザ端末に対して最低限満たすべき平均周波数利用可能効率を設ける。具体的には、小型基地局に接続するユーザ端末に対する平均周波数利用可能効率は、(9)式で定義される。制約条件は(10)式で定義される。
【0075】
【数8】
【0076】
但し、UE
P(R
P)は、マクロ基地局が無線接続サービスするエリア内に設置された全ての小型基地局について、各小型基地局が無線接続サービスするエリアにおけるユーザ端末の総数である。UE
P(R
P)は、(9a)式で定義される。
UE
P,k(R
P)は、N
P台の小型基地局のうちk番目の小型基地局が無線接続サービスするエリアにおけるユーザ端末の数である。N
P及びC
P,k(R
P)は(1a)式と同じである。
【0077】
【数9】
【0078】
ここで、(10)式に(9)式を代入して式を変形すると、(11)式が得られる。
【0079】
【数10】
【0080】
そして、(11)式から、小型基地局のセルの半径R
Pと、制約条件を満たす限界のミューティング比率ρ
maxとの関係を表す(12)式が導き出される。このρ
maxは、制約条件を満たすミューティング比率の上限値である。
【0081】
【数11】
【0082】
このように、本発明では、単位面積当たり平均周波数利用可能効率ASEを最大化するときの制約条件として、第1の無線基地局装置に接続する無線端末に対する平均周波数利用可能効率と、第2の無線基地局装置に接続する無線端末に対する平均周波数利用可能効率とのうち低い方の平均周波数利用可能効率が最低限満たすべき平均周波数利用可能効率を設定する。
【0083】
また、本発明に係る他の実施例4を以下に説明する。
【実施例4】
【0084】
実施例4は実施例1の変形例である。
図6に、実施例4に係る小型基地局200のセル210の構成を示す。
図7に、実施例4に係る周波数帯域および送信電力の割当の構成を示す。実施例1では、
図3に示す小型基地局200のセル210において、小型基地局200は、マクロ基地局100が通信を行わない周波数領域(ミューティング領域)においてのみ、ユーザ端末300との通信を行う。
【0085】
これに対して、本実施例4では、
図7に示すように、小型基地局200に対して、HetNetシステム全体での周波数帯域幅Wを割り当てる。マクロ基地局100に対しては、実施例1と同様に、無線リソースの周波数方向においてマクロ基地局100が通信を行わない周波数領域(ミューティング領域)を設け、ミューティング比率ρにより周波数帯域幅「ρ×W」のみを割当てる。
【0086】
そして、
図6に示す小型基地局200のセル210において、小型基地局200は、セル中心部400では、マクロ基地局100が使用する周波数幅「ρ×W」の周波数帯域と同じ周波数帯域を使用する。一方、小型基地局200は、セル210において、セル中心部400の外側のセル境界部410では、ミューティング領域である周波数幅「(1−ρ)×W」の周波数帯域を使用する。セル中心部400の半径はR
Pinである。セル境界部410の円環の幅はR
Pedgeである。セル210の半径R
Pは、「R
P=R
Pin+R
Pedge」である。セル210の半径R
Pは、CREバイアス値に対応した値である。マクロ基地局100のセル110の半径はR
Mであり、小型基地局200のセル210の半径R
Pとは「R
M>R
P」である。
【0087】
小型基地局200のセル中心部400は、CRE技術を用いなくても、ユーザ端末が小型基地局200に接続される領域である。このため、セル中心部400では、マクロ基地局100が使用する周波数幅「ρ×W」の周波数帯域と同じ周波数帯域を使用する。これにより、小型基地局200のみに割当てる周波数領域を、CRE技術を用いたときに課題となる電波干渉の回避に要する必要最低限に抑えることができるので、周波数利用効率の向上に寄与することができる。
【0088】
又、
図7に示されるように、小型基地局200は、自己の送信電力P
pに関し、送信電力比率tを用いて、セル中心部400で使用する周波数幅「ρ×W」の周波数帯域に対して送信電力「t×P
p」を割当し、一方、セル境界部410で使用する周波数幅「(1−ρ)×W」の周波数帯域に対して送信電力「(1−t)×P
p」を割当てる。
【0089】
マクロ基地局100の信号対干渉雑音電力比(Signal to Interference Noise power Ratio:SINR)は(13)式により算出できる。小型基地局200のセル中心部400に係るSINRは(14)式により算出できる。小型基地局200のセル境界部410に係るSINRは(15)式により算出できる。
【0090】
【数12】
【0091】
【数13】
【0092】
【数14】
【0093】
但し、P
Mはマクロ基地局100の送信電力である。P
Nは雑音電力である。|h
m,l|
2はマクロ基地局mから地点lまでの伝搬ロスである。|h
p,l|
2は小型基地局pから地点lまでの伝搬ロスである。
【0094】
地点lにおいて、各SINRによる周波数利用効率は、(16)式、(17)式、(18)式により算出できる。
【0095】
【数15】
【0096】
【数16】
【0097】
【数17】
【0098】
但し、η
W及びη
SINRは周波数利用効率を算出する上での補正係数である。η
W及びη
SINRは予め与えられる。
【0099】
マクロ基地局100に係る1Hzあたりのエリアスループットの平均値は(19)式により算出できる。小型基地局200のセル中心部400に係る1Hzあたりのエリアスループットの平均値は(20)式により算出できる。小型基地局200のセル境界部410に係る1Hzあたりのエリアスループットの平均値は(21)式により算出できる。
【0100】
【数18】
【0101】
【数19】
【0102】
【数20】
【0103】
但し、S
Mはマクロ基地局100のカバレッジエリアの面積を示す。S
Pinは小型基地局200のセル中心部400のカバレッジエリアの面積を示す。S
Pedgeは小型基地局200のセル境界部410のカバレッジエリアの面積を示す。S
M、S
Pin、S
Pedgeは、R
M、R
P、R
Pin、R
Pedgeから算出できる。
【0104】
単位面積当たり平均周波数利用可能効率(ASE)を(22)式で定義する。
【0105】
【数21】
【0106】
(22)式において、1Hzあたりのエリアスループットの平均値は、小型基地局200の送信電力、又は、カバーする半径(R
Pin、R
Pedge)が変わると値が変わるので、関数として定義される。
【0107】
(22)式の単位面積当たり平均周波数利用可能効率ASEを最大化するときの制約条件として、マクロ基地局100に接続するユーザ端末300に対する単位面積あたりのエリアスループット、小型基地局200のセル中心部400に位置するユーザ端末300に対する単位面積あたりのエリアスループット、又は、小型基地局200のセル境界部410に位置するユーザ端末300に対する単位面積あたりのエリアスループットのうち、最も低い単位面積当たりのエリアスループットが最低限満たすべき平均周波数利用可能効率を設ける。
【0108】
具体的には、(23)式に示されるように、(24)式で示される平均周波数利用可能効率の制約条件の下で、(22)式の単位面積当たり平均周波数利用可能効率ASEを最大化する「小型基地局200のセル210の半径R
P」、「ミューティング比率ρ」及び「送信電力比率t」を算出する。
【0109】
【数22】
【0110】
(24)式の制約条件において、(24)式の左辺の各項が最小値であるとき、それぞれに(25)式、(26)式、(27)式が得られる。
【0111】
【数23】
【0112】
【数24】
【0113】
【数25】
【0114】
又、(22)式の単位面積当たり平均周波数利用可能効率ASEを変形すると、(28)式が得られる。
【0115】
【数26】
【0116】
これにより、小型基地局200に係るセル中心部400の半径R
Pin、セル境界部410の円環幅R
Pedge、及び、送信電力比率tを固定した場合において、(24)式の制約条件を満たすミューティング比率ρの最適値は、(29)式により算出できる。
【0117】
【数27】
【0118】
図8は、本実施例4に係る無線基地局パラメータ算出装置1の構成図である。
図8に示す無線基地局パラメータ算出装置1は、実施例1に係る
図1の構成と同様であるが、R
Pin選択部21及びt選択部22をさらに備える。
【0119】
R
Pin選択部21は、小型基地局200のセル中心部400の半径R
Pinの取り得る値の中から一つの値を選択する。R
Pin選択部21は、その選択したR
PinとR
P選択部12が選択したR
Pとを用いて、「R
P=R
Pin+R
Pedge」の関係からR
Pedgeを算出する。
【0120】
t選択部22は、R
P選択部12が選択したR
P、R
Pin選択部21が選択したR
Pin及びR
Pedgeの組に対して、送信電力比率tの取り得る値の中から一つの値を選択する。
【0121】
次に、
図9を参照して、
図8に示す無線基地局パラメータ算出装置1の動作を説明する。
図9は、本実施例4に係る無線基地局パラメータ算出処理のフローチャートである。
STEP11:初期設定部11が、半径R
M、半径R
Pの取り得る値、半径R
Pinの取り得る値、送信電力比率tの取り得る値、(24)式に用いる平均周波数利用可能効率、及び終了条件を設定する。終了条件としては、例えば、半径R
Pの繰り返し回数を設定する。又、ミューティング比率ρ、送信電力比率t、半径R
P、半径R
Pin、及び単位面積当たり平均周波数利用可能効率ASEの最適値を保持するための記憶領域regを、0に設定する。記憶領域regはデータ格納部16に設けられる。
【0122】
STEP12:R
P選択部12が、初期設定部11が設定した半径R
Pの取り得る値の中から半径R
Pを選択する。この選択された半径R
Pに対して、STEP13からSTEP19までを繰り返す。
【0123】
STEP13:R
Pin選択部21が、STEP12で選択された半径R
Pに対して、初期設定部11が設定した半径R
Pinの取り得る値の中から半径R
Pinを選択する。この選択された半径R
Pinに対して、STEP14からSTEP19までを繰り返す。
【0124】
STEP14:R
Pin選択部21が、STEP12で選択された半径R
P及びSTEP13で選択された半径R
Pinを用いて、「R
P=R
Pin+R
Pedge」の関係からR
Pedgeを算出する。
【0125】
STEP15:t選択部22が、STEP12で選択された半径R
P、STEP13で選択された半径R
Pin及びR
Pedgeの組に対して、初期設定部11が設定した送信電力比率tの取り得る値の中から送信電力比率tを選択する。この選択された送信電力比率tに対して、STEP16からSTEP19までを繰り返す。
【0126】
STEP16:ρ計算部13が、STEP12で選択された半径R
P、STEP13で選択された半径R
Pin、R
Pedge及びSTEP15で選択された送信電力比率tを用いて、(13)〜(21)式および(29)式によりミューティング比率ρ
optを計算する。
【0127】
STEP17:ASE計算部14が、STEP16で計算したミューティング比率ρ
optを用いて、(13)〜(22)式により単位面積当たり平均周波数利用可能効率ASEを計算する。
【0128】
STEP18:ASE判定部15が、STEP17で算出された単位面積当たり平均周波数利用可能効率ASEと、データ格納部16の記憶領域regに保持される単位面積当たり平均周波数利用可能効率ASE
optとを比較する。この結果、STEP17で算出された単位面積当たり平均周波数利用可能効率ASEの方が大きい値である場合にはSTEP19に進む。一方、STEP17で算出された単位面積当たり平均周波数利用可能効率ASEが記憶領域regに保持される単位面積当たり平均周波数利用可能効率ASE
opt以下である場合には、繰り返し処理を行う。
【0129】
STEP19:ASE判定部15は、STEP17で算出された単位面積当たり平均周波数利用可能効率ASEと、当該単位面積当たり平均周波数利用可能効率ASEの算出に使用されたミューティング比率ρ
opt、送信電力比率t、半径R
P及び半径R
Pinを、データ格納部16の記憶領域regに上書きする。これにより、データ格納部16の記憶領域regでは、単位面積当たり平均周波数利用可能効率ASE、ミューティング比率ρ、送信電力比率t、半径R
P及び半径R
Pinの最適値が更新される。この後、繰り返し処理を行う。
【0130】
STEP20:終了条件判定部17は、初期設定部11が設定した所定の終了条件を判定する。この結果、終了条件を満たさない場合には繰り返し処理を継続する。一方、終了条件を満たす場合には、出力部18が、データ格納部16の記憶領域regに保持されている、単位面積当たり平均周波数利用可能効率ASE、ミューティング比率ρ、送信電力比率t、半径R
P及び半径R
Pinを出力する。なお、CREバイアス値は、半径R
Pから決まる。
【0131】
以上が実施例4の説明である。
【0132】
また、
図2又は
図9に示す各ステップを実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、無線基地局パラメータ算出処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disk)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0133】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。