特許第5665041号(P5665041)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5665041ヨードニウム化合物、その製造方法、及び官能基化スピロ環状化合物とその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5665041
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】ヨードニウム化合物、その製造方法、及び官能基化スピロ環状化合物とその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 309/29 20060101AFI20150115BHJP
   C07C 303/22 20060101ALI20150115BHJP
   C07C 49/697 20060101ALI20150115BHJP
   C07C 45/63 20060101ALI20150115BHJP
   C07D 307/94 20060101ALI20150115BHJP
   C07D 209/96 20060101ALI20150115BHJP
   C07D 209/54 20060101ALI20150115BHJP
【FI】
   C07C309/29CSP
   C07C303/22
   C07C49/697
   C07C45/63
   C07D307/94
   C07D209/96
   C07D209/54
【請求項の数】7
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2010-158956(P2010-158956)
(22)【出願日】2010年7月13日
(65)【公開番号】特開2012-20952(P2012-20952A)
(43)【公開日】2012年2月2日
【審査請求日】2013年7月12日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用 発行所名 日本薬学会第130年会組織委員会 刊行物名 日本薬学会第130年会要旨集2 発行年月日 2010年3月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】593006630
【氏名又は名称】学校法人立命館
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北 泰行
(72)【発明者】
【氏名】土肥 寿文
【審査官】 太田 千香子
(56)【参考文献】
【文献】 Journal of the American Chemical Society,2005年,Vol.127,p.12230-1
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 307/94
C07D 209/54
C07D 209/96
C07C 49/587
CAplus(STN)
CASREACT(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(2−1):
【化1】
[式中、XはNR’、O、S、CH、CHR’、又はCR’R”を示し、YはC=O、NR’、O、S、CH、CHR’、又はCR’R”を示し(ここで、R’、R”は、互いに独立して、アルキル基、アリール基、アミノ基又はハロゲン原子を示す。)、又は、X及びYがともにCHの場合には、この2つが結合する炭素原子と一緒になってアリール環を形成してもよい。
はアルキル基、アリール基、又はハロゲン原子を示す。
は、
【化2】
(ここで、Rは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はトリフルオロメチル基、アリール基又はハロゲン原子を示す。の数は、下限が1であり、上限はそれぞれの環において置換可能な数である。)を示し、
は、アセチル、トリフルオロアセチル、プロパノイル、ベンゾイル、ベンゼンスルホニル、パラトルエンスルホニル、ナフタレンスルホニル、メタンスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、及びトリフルオロメタンスルホニルからなる群から選択される電子吸引基を示し、
【化3】
は、
【化4】
(ここで、各R及びR5’は、互いに独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アシル基、ニトロ基又はハロゲン原子を示す。及びR5’の数は、下限が1であり、上限はそれぞれの環において置換可能な数である。)を示す。
mは0又は1である。]、又は式(2−2):
【化5】
[式中、R2’は、
【化6】
(ここで、各R及びR4’は、互いに独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はトリフルオロメチル基、アリール基又はハロゲン原子を示す。及びR4’の数は、下限が1であり、上限はそれぞれの環において置換可能な数である。)を示す。
X、Y、R、R、R、m及び
【化7】
は、上記と同様である。]
で表されるヨードニウム化合物。
【請求項2】
式(1):
【化8】
[式中、XはNR’、O、S、CH、CHR’、又はCR’R”を示し、YはC=O、NR’、O、S、CH、CHR’、又はCR’R”を示し(ここで、R’、R”は、互いに独立して、アルキル基、アリール基、アミノ基又はハロゲン原子を示す。)、又は、X及びYがともにCHの場合には、この2つが結合する炭素原子と一緒になってアリール環を形成してもよい。
はアルキル基、アリール基、又はハロゲン原子を示す。
【化9】
は、オルト位又はパラ位がアルコキシ基で置換されたアリール基を示す。
mは0又は1である。]
で表される基質を、超原子価ヨウ素反応剤を用いてスピロ環化させる、
請求項1に記載のヨードニウム化合物の製造方法。
【請求項3】
前記超原子価ヨウ素反応剤が、
【化10】
(式中、Rは、アセチル、トリフルオロアセチル、プロパノイル、ベンゾイル、ベンゼンスルホニル、パラトルエンスルホニル、ナフタレンスルホニル、メタンスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、及びトリフルオロメタンスルホニルからなる群から選択される電子吸引基を示す。
各R及びR4’は、互いに独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はトリフルオロメチル基、アリール基又はハロゲン原子を示す。及びR4’の数は、下限が1であり、上限はそれぞれの環において置換可能な数である。
からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項2に記載のヨードニウム化合物の製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載のヨードニウム化合物を求核剤で求核置換させる、官能基化スピロ環状化合物の製造方法。
【請求項5】
式(1):
【化11】
[式中、XはNR’、O、S、CH、CHR’、又はCR’R”を示し、YはC=O、NR’、O、S、CH、CHR’、又はCR’R”を示し(ここで、R’、R”は、互いに独立して、アルキル基、アリール基、アミノ基又はハロゲン原子を示す。)、又は、X及びYがともにCHの場合には、この2つが結合する炭素原子と一緒になってアリール環を形成してもよい。
はアルキル基、アリール基、又はハロゲン原子を示す。
【化12】
は、オルト位又はパラ位がアルコキシ基で置換されたアリール基を示す。
mは0又は1である。]
で表される基質を、超原子価ヨウ素反応剤を用いてスピロ環化させることにより、式(2−1):
【化13】
[式中、XはNR’、O、S、CH、CHR’、又はCR’R”を示し、YはC=O、NR’、O、S、CH、CHR’、又はCR’R”を示し(ここで、R’、R”は、互いに独立して、アルキル基、アリール基、アミノ基又はハロゲン原子を示す。)、又は、X及びYがともにCHの場合には、この2つが結合する炭素原子と一緒になってアリール環を形成してもよい。
はアルキル基、アリール基、又はハロゲン原子を示す。
は、
【化14】
(ここで、Rは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はトリフルオロメチル基、アリール基又はハロゲン原子を示す。の数は、下限が1であり、上限はそれぞれの環において置換可能な数である。)を示し、
は、アセチル、トリフルオロアセチル、プロパノイル、ベンゾイル、ベンゼンスルホニル、パラトルエンスルホニル、ナフタレンスルホニル、メタンスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、及びトリフルオロメタンスルホニルからなる群から選択される電子吸引基を示し、
【化15】
は、
【化16】
(ここで、各R及びR5’は、互いに独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アシル基、ニトロ基又はハロゲン原子を示す。及びR5’の数は、下限が1であり、上限はそれぞれの環において置換可能な数である。)を示す。
mは0又は1である。]、又は式(2−2):
【化17】
[式中、R2’は、
【化18】
(ここで、各R及びR4’は、互いに独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はトリフルオロメチル基、アリール基又はハロゲン原子を示す。及びR4’の数は、下限が1であり、上限はそれぞれの環において置換可能な数である。)を示す。
X、Y、R、R、R、m及び
【化19】
は、上記と同様である。]
で表されるヨードニウム化合物を製造し、
得られたヨードニウム化合物を求核剤で求核置換させる、官能基化スピロ環状化合物の製造方法。
【請求項6】
前記超原子価ヨウ素反応剤として、キラルなヨウ素化合物を用い、光学活性な官能基化スピロ環状化合物を製造する、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
式(3):
【化20】
[式中、XはNR’、O、S、CH、CHR’、又はCR’R”を示し、YはC=O、NR’、O、S、CH、CHR’、又はCR’R”を示し(ここで、R’、R”は、互いに独立して、アルキル基、アリール基、アミノ基又はハロゲン原子を示す。)、又は、X及びYがともにCHの場合には、この2つが結合する炭素原子と一緒になってアリール環を形成してもよい。
はアルキル基、アリール基、又はハロゲン原子を示す。
は、フッ素原子、N、NO、CN、NH(C又はOCOCHを示す。
【化21】
は、
【化22】
(ここで、各R及びR5’は、互いに独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アシル基、ニトロ基又はハロゲン原子を示す。及びR5’の数は、下限が1であり、上限はそれぞれの環において置換可能な数である。)を示す。
mは0又は1である。]
で表される官能基化スピロ環状化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヨードニウム化合物、その製造方法、及び官能基化スピロ環状化合物とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スピロ[4,5]デカン及びスピロ[5,5]ウンデカン骨格は、様々な生理活性物質に変換することができる鍵中間体であり(例えば、非特許文献1等参照)、現在その骨格形成反応の研究が活発に行われている。一方、ハロゲン原子、特にフッ素原子を導入した化合物は、有効な生物活性を発現するものが多く、医薬又は農薬の分野における含ハロゲン化合物の需要は高い。
【0003】
原子価が3価のヨウ素原子を含む超原子価ヨウ素反応剤を用いてスピロ環形成反応を行う例が多数報告されているが、分子内にアミド又はカルボキシル基及びフェノールを有する基質を用いる、酸化的なC−N又はC−O結合形成によるスピロ環化反応がほとんどであった(例えば、非特許文献2、3及び4)。
【0004】
最近、分子内にメトキシ置換されたフェノール部位とアルキン部位とを併せ持つ基質に対し、I、ICl又はBr由来のハロニウムカチオンが作用することにより、選択的にハロゲン(臭素又はヨウ素原子)置換されたスピロ環が形成することが報告された(例えば、非特許文献5、6、7及び8)。この反応は、様々な基質に対し、スピロ環化反応及びハロゲン原子(臭素又はヨウ素原子)の導入が可能であるが、反応剤であるI、ICl又はBrは毒性が高いという問題があった。また、この手法を用いたフッ素、窒素、酸素及び炭素原子の導入は報告されていない。一方、フッ素原子を導入したスピロ化合物の合成例も報告されているが(例えば、非特許文献9)、鍵中間体である2,3,3−トリフルオロアクリレートの合成が煩雑であり(例えば、非特許文献10)、また、フッ素原子及びハロゲン原子以外の原子を導入できる化合物は、非常に限定されていた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Heathcock, C. H.; Graham, S .L.; Pirrung, M. C.; Plavac, F.; White, C. T. In The Total Synthesis of Natural Products, Apsimon, J. Ed.; Wiley-Interscience: New York, 1983: Vol. 5. pp 264-313.
【非特許文献2】Wardrop, D. J.; Basak, A. Org. Lett. 2001, 3, 1053-1056.
【非特許文献3】Miyazawa, E. Sakamoto, T.; Kikugawa, Y. J. Org. Chem. 2003, 68, 5429-5432.
【非特許文献4】Dohi, T.; Maruyama, A.; Minamitsuji, Y.; Takenaga, N.; Kita, Y. Chem. Commun. 2007, 1224-1226.
【非特許文献5】Appel, T. R.; Yehia, N. A. M.; Baumeister, U.; Hartung, H.; Kluge, R.; Strohl, D.; Fanghanel, E. Eur. J. Org. Chem. 2003, 47-53.
【非特許文献6】Zhang, X.; Larock R. C. J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 12230-12231.
【非特許文献7】Zhang, X.; Sarkar, S.; Larock R. C. J. Org. Chem. 2006, 71, 236-243.
【非特許文献8】Yu, Q. F.; Zhang, Y. H.; Yin, Q.; Tang, B. X.; Tang, R. Y.; Zhong, P.; Li, J. H. J. Org. Chem. 2008, 73, 3658-3661.
【非特許文献9】Peleta, O.; Duda, Z.; Holy, A.; Mendeleev Commun. 2001, 11, 17-18.
【非特許文献10】England, D. C.; Solomon, L.; Krespan, C. G. J. Fluorine Chem. 1973, 74, 63-89.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の主な目的は、スピロ環状化合物に様々な求核置換基を導入することができる新規なヨードニウム化合物を提供することである。本発明はまた、このヨードニウム化合物を中間体として用いて、求核置換基が導入されたスピロ環状化合物を簡便で収率よく製造することができる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の基質を超原子価ヨウ素反応剤と反応させると、スピロ環化反応が起こってスピロ環状化合物のヨードニウム塩が生成すること、及びこのヨードニウム塩に求核剤を作用させれば、求核置換反応が起こって官能基化スピロ環状化合物を収率よく製造することができることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、下記のヨードニウム化合物等を提供する。
1. 式(2−1):
【0009】
【化1】
【0010】
[式中、XはNR’、O、S、CH、CHR’、又はCR’R”を示し、YはC=O、NR’、O、S、CH、CHR’、又はCR’R”を示し(ここで、R’、R”は、互いに独立して、アルキル基、アリール基、アミノ基又はハロゲン原子を示す。)、又は、X及びYがともにCHの場合には、この2つが結合する炭素原子と一緒になってアリール環を形成してもよい。
はアルキル基、アリール基、又はハロゲン原子を示す。
は、
【0011】
【化2】
【0012】
(ここで、Rは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はトリフルオロメチル基、アリール基又はハロゲン原子を示す。)を示し、
は、電子吸引基を示し、
【0013】
【化3】
【0014】
は、
【0015】
【化4】
【0016】
(ここで、各R及びR5’は、互いに独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アシル基、ニトロ基又はハロゲン原子を示す。)を示す。
mは0又は1である。]、又は式(2−2):
【0017】
【化5】
【0018】
[式中、R2’は、
【0019】
【化6】
【0020】
(ここで、各R及びR4’は、互いに独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はトリフルオロメチル基、アリール基又はハロゲン原子を示す。)を示す。
X、Y、R、R、R、m及び
【0021】
【化7】
【0022】
は、上記と同様である。]
で表されるヨードニウム化合物。
2. 式(1):
【0023】
【化8】
【0024】
[式中、XはNR’、O、S、CH、CHR’、又はCR’R”を示し、YはC=O、NR’、O、S、CH、CHR’、又はCR’R”を示し(ここで、R’、R”は、互いに独立して、アルキル基、アリール基、アミノ基又はハロゲン原子を示す。)、又は、X及びYがともにCHの場合には、この2つが結合する炭素原子と一緒になってアリール環を形成してもよい。
はアルキル基、アリール基、又はハロゲン原子を示す。
【0025】
【化9】
【0026】
は、オルト位又はパラ位がアルコキシ基で置換されたアリール基を示す。
mは0又は1である。]
で表される基質を、超原子価ヨウ素反応剤を用いてスピロ環化させる、
上記項1に記載のヨードニウム化合物の製造方法。
3. 前記超原子価ヨウ素反応剤が、
【0027】
【化10】
【0028】
(式中、Rは、電子吸引基を示す。
各R及びR4’は、互いに独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はトリフルオロメチル基、アリール基又はハロゲン原子を示す。)
からなる群から選択される少なくとも1種である、上記項2に記載のヨードニウム化合物の製造方法。
4. 上記項1に記載のヨードニウム化合物を求核剤で求核置換させる、官能基化スピロ環状化合物の製造方法。
5. 分子内にメトキシ置換されたアリール部位及びアルキン部位を有する基質を、超原子価ヨウ素反応剤を用いてスピロ環化させることにより、式(2−1):
【0029】
【化11】
【0030】
[式中、XはNR’、O、S、CH、CHR’、又はCR’R”を示し、YはC=O、NR’、O、S、CH、CHR’、又はCR’R”を示し(ここで、R’、R”は、互いに独立して、アルキル基、アリール基、アミノ基又はハロゲン原子を示す。)、又は、X及びYがともにCHの場合には、この2つが結合する炭素原子と一緒になってアリール環を形成してもよい。
はアルキル基、アリール基、又はハロゲン原子を示す。
は、
【0031】
【化12】
【0032】
(ここで、Rは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はトリフルオロメチル基、アリール基又はハロゲン原子を示す。)を示し、
は、電子吸引基を示し、
【0033】
【化13】
【0034】
は、
【0035】
【化14】
【0036】
(ここで、各R及びR5’は、互いに独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アシル基、ニトロ基又はハロゲン原子を示す。)を示す。
mは0又は1である。]、又は式(2−2):
【0037】
【化15】
【0038】
[式中、R2’は、
【0039】
【化16】
【0040】
(ここで、各R及びR4’は、互いに独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はトリフルオロメチル基、アリール基又はハロゲン原子を示す。)を示す。
X、Y、R、R、R、m及び
【0041】
【化17】
【0042】
は、上記と同様である。]
で表されるヨードニウム化合物を製造し、
得られたヨードニウム化合物を求核剤で求核置換させる、官能基化スピロ環状化合物の製造方法。
6. 前記超原子価ヨウ素反応剤として、キラルなヨウ素化合物を用い、光学活性な官能基化スピロ環状化合物を製造する、上記項5に記載の製造方法。
7. 式(3):
【0043】
【化18】
【0044】
[式中、XはNR’、O、S、CH、CHR’、又はCR’R”を示し、YはC=O、NR’、O、S、CH、CHR’、又はCR’R”を示し(ここで、R’、R”は、互いに独立して、アルキル基、アリール基、アミノ基又はハロゲン原子を示す。)、又は、X及びYがともにCHの場合には、この2つが結合する炭素原子と一緒になってアリール環を形成してもよい。
はアルキル基、アリール基、又はハロゲン原子を示す。
は、フッ素原子、N、NO、CN、NH(C又はOCOCHを示す。
【0045】
【化19】
【0046】
は、
【0047】
【化20】
【0048】
(ここで、各R及びR5’は、互いに独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アシル基、ニトロ基又はハロゲン原子を示す。)を示す。
mは0又は1である。]
で表される官能基化スピロ環状化合物。
【発明の効果】
【0049】
本発明によれば、スピロ環状化合物に様々な求核置換基を導入することができる新規なヨードニウム化合物を提供することができる。このヨードニウム化合物を中間体として用いれば、ハロゲン原子だけでなく、様々な求核置換基が導入されたスピロ環状化合物を高収率で合成することができる。また、適切な超原子価ヨウ素反応剤を用いることで、光学活性スピロ環状化合物を合成することもできる。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0051】
本発明は、式(2−1):
【0052】
【化21】
【0053】
[式中、XはNR’、O、S、CH、CHR’、又はCR’R”を示し、YはC=O、NR’、O、S、CH、CHR’、又はCR’R”を示し(ここで、R’、R”は、互いに独立して、アルキル基、アリール基、アミノ基又はハロゲン原子を示す。)、又は、X及びYがともにCHの場合には、この2つが結合する炭素原子と一緒になってアリール環を形成してもよい。
はアルキル基、アリール基、又はハロゲン原子を示す。
は、
【0054】
【化22】
【0055】
(ここで、Rは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はトリフルオロメチル基、アリール基又はハロゲン原子を示す。)を示す。
は、電子吸引基を示す。
【0056】
【化23】
【0057】
は、
【0058】
【化24】
【0059】
(ここで、各R及びR5’は、互いに独立して、水素原子;アルキル基、アリール基等の電子供与基;又はアシル基、ニトロ基、ハロゲン原子等の電子吸引基を示す。)を示す。
mは0又は1である。]、又は式(2−2):
【0060】
【化25】
【0061】
[式中、R2’は、
【0062】
【化26】
【0063】
(ここで、各R及びR4’は、互いに独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はトリフルオロメチル基、アリール基又はハロゲン原子を示す。)を示す。
X、Y、R、R、m及び
【0064】
【化27】
【0065】
は、上記と同様である。]
で表されるヨードニウム化合物である。このヨードニウム化合物は新規化合物である。
【0066】
式(2−1)及び(2−2)において、上記のX及びYがともにCHの場合、この2つが結合する炭素原子と一緒になって形成してもよいアリール環として、ベンゼン環及びナフタレン環が挙げられる。
【0067】
R’、R”、R、R及びRで示されるアルキル基としては、C1−20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が挙げられ、好ましくはC1−10のアルキル基である。具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、sec−ブチル、イソブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル等が挙げられる。
【0068】
R’、R”、R、R及びRで示されるアリール基としては、単環又は2環のアリール基が挙げられ、具体的にはフェニル、ナフチル等が挙げられる。
【0069】
R’、R”、R、R及びRで示されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0070】
で示される電子吸引基としては、アシル基、アリールスルホニル基、アルキルスルホニル基等が挙げられる。アシル基としては、アセチル、トリフルオロアセチル、プロパノイル、ベンゾイル等が挙げられる。アリールスルホニル基としては、ベンゼンスルホニル、パラトルエンスルホニル、ナフタレンスルホニル等が挙げられる。アルキルスルホニル基としては、メタンスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、トリフルオロメタンスルホニル等が挙げられる。
【0071】
で示されるアルコキシ基としては、C1−20の直鎖又は分岐鎖のアルキルオキシ基が挙げられ、好ましくはC1−10のアルキルオキシ基である。具体的には、メトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、n−ブチルオキシ等が挙げられる。
【0072】
で示されるアシル基としては、アセチル、トリフルオロアセチル、プロパノイル、ベンゾイル等が挙げられる。
【0073】
及びR2’で示される環上に存在するR及びR4’の数、及び
【0074】
【化28】
【0075】
で示される環上に存在するR及びR5’の数は、下限が1であり、上限はそれぞれの環において置換可能な数である。
【0076】
本発明は、不斉炭素原子を有するすべての化合物については、すべての立体異性体を本発明の範囲に含む。本発明の化合物がラセミ体である場合には、通常の光学分割手段を用いて光学分割することにより光学活性体を得ることができる。又は、光学活性な原料から光学活性体を製造することもできる。そして、各々の光学活性体及びラセミ体のいずれについても、本発明の範囲に含む。
【0077】
上記ヨードニウム化合物は、分子内にメトキシ置換されたアリール部位及びアルキン部位を有する基質を、超原子価ヨウ素反応剤を用いてスピロ環化させることにより製造することができる。
【0078】
基質は、分子内にメトキシ置換されたアリール部位と、アルキン部位とを有する化合物である。具体的には、式(1):
【0079】
【化29】
【0080】
[式中、XはNR’、O、S、CH、CHR’、又はCR’R”を示し、YはC=O、NR’、O、S、CH、CHR’、又はCR’R”を示し(ここで、R’、R”は、互いに独立して、アルキル基、アリール基、アミノ基又はハロゲン原子を示す。)、又は、X及びYがともにCHの場合には、この2つが結合する炭素原子と一緒になってアリール環を形成してもよい。
はアルキル基、アリール基、又はハロゲン原子を示す。
【0081】
【化30】
【0082】
は、オルト位又はパラ位がアルコキシ基で置換されたアリール基を示す。
mは0又は1である。]
で表される化合物である。
【0083】
式(1)において、X及びYが形成してもよいアリール環、R’、R”、Rで示されるアルキル基、アリール基、及びハロゲン原子は、上記式(2−1)と同様である。
【0084】
【化31】
【0085】
で示されるオルト位又はパラ位がアルコキシ基で置換されたアリール基としては、例えば、2−メトキシフェニル、2−エトキシフェニル、4−メトキシフェニル、4−エトキシフェニル、2−メトキシナフチル、2−エトキシナフチル、4−メトキシナフチル、4−エトキシナフチル等が挙げられる。
【0086】
超原子価ヨウ素反応剤は、原子価が3価のヨウ素原子を含む反応剤である。このような反応剤として、1分子中に超原子価ヨウ素原子を1個有する化合物、及び1分子中に超原子価ヨウ素原子を2個有する化合物が挙げられる。具体的には、1分子中に超原子価ヨウ素原子を1個有する反応剤として、
【0087】
【化32】
【0088】
(ここで、R及びRは、上記式(I)中のR及びRと同様である。)
を挙げることができる。1分子中に超原子価ヨウ素原子を2個有する反応剤として、
【0089】
【化33】
【0090】
(ここで、R、R及びR4’は、上記式(2−1)中のR、R及びR4’と同様である。)
を挙げることができる。
【0091】
上記の1分子中に超原子価ヨウ素原子を2個有する反応剤は、軸不斉を持つため、2つの光学異性体が存在する。ラセミ体である場合には、通常の光学分割手段を用いて光学分割することにより、光学活性体を得ることができる。又は、光学活性な原料から光学活性体を製造することもできる。そして、各々の光学活性体及びラセミ体のいずれについても、本発明の範囲に含む。反応剤として光学活性体(キラルなヨウ素化合物)を用いれば、光学活性なスピロ環状化合物を製造することが可能となる。
【0092】
ヨウ素反応剤は、基質に対して、通常0.5〜1.3倍モル程度、好ましくは0.5〜1.0倍モル程度添加される。
【0093】
スピロ環化反応は、反応に悪影響を及ぼさない慣用の溶媒、例えば、TFE(2,2,2−トリフルオロエタノール)、HFIP(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロパノール)、アセトニトリル(CHCN)、ジクロロメタン(CHCl)、クロロホルム(CHCl)等の溶媒又はそれらの混合物中で行われる。これらの溶媒の中でも、TFE又はアセトニトリルが好ましい。
【0094】
反応温度は、通常、−78〜40℃程度で行われ、室温下で行うことも可能である。
【0095】
反応時間は、通常1〜12時間程度、好ましくは3〜5時間程度である。
【0096】
超原子価ヨウ素反応剤を用いたスピロ環化反応は、緩和な条件で、様々な基質に対して、高ipso選択的、且つ、高収率で進行して、スピロ環状化合物に超原子価ヨウ素が結合したヨードニウム化合物を製造することができる。
【0097】
本発明のヨードニウム化合物は、様々な求核剤を用いた求核置換反応により、超原子価ヨウ素の位置に求核置換基を導入したスピロ環状化合物を製造することができる。求核剤を変えることにより、ハロゲン原子をはじめとして、今まで導入することができなかった様々な官能基をスピロ環状化合物に導入することができるので、置換基を有するスピロ環状化合物を製造するための中間体として有用である。
【0098】
よって、本発明のヨードニウム化合物を求核剤で求核置換させることにより、様々な置換基が導入された官能基化スピロ環状化合物を製造することができる。本発明は、上記ヨードニウム化合物を求核剤で求核置換させる、官能基化スピロ環状化合物の製造方法を提供する。
【0099】
求核置換反応に用いる求核剤としては、CsF、BuNF、BuNBr、NaN、KSCN、NaNO、KOCOCH、NH(C、NaCN等が挙げられる。
【0100】
求核剤は、ヨードニウム化合物1モルに対して、通常1.0〜5.0倍モル程度、好ましくは1.0〜1.5倍モル程度添加される。
【0101】
求核置換反応は、反応に悪影響を及ぼさない慣用の溶媒、例えば、アセトニトリル(CHCN)、ジクロロメタン(CHCl)、クロロホルム(CHCl)等の溶媒又はそれらの混合物中で行われる。これらの溶媒の中でも、アセトニトリルが好ましい。
【0102】
反応温度は、通常、0〜80℃程度で行われ、好ましくは62〜72℃程度である。
【0103】
反応時間は、通常1〜24時間程度、好ましくは3〜5時間程度である。
【0104】
この求核置換反応は、緩和な条件で進行し、置換されたスピロ環状化合物を高収率で生成する。また、ハロゲン化に当たり、反応剤として、従来用いられていた毒性の強いI、ICl又はBrを用いる必要がなく、毒性が低く取り扱いが容易なCsF、BuNF、BuNBr等を用いることができる点で、好ましい方法といえる。
【0105】
このヨードニウム化合物の求核置換反応により、ヨードニウム化合物の超原子価ヨウ素が求核置換基により置換された官能基化スピロ環状化合物が高収率で得られる。
【0106】
上記のヨードニウム化合物を製造する方法、及びヨードニウム化合物から官能基化スピロ環状化合物を製造する方法を連続して行うことにより、基質から官能基化スピロ環状化合物を製造する方法を提供することができる。
【0107】
よって、本発明は、分子内にメトキシ置換されたアリール部位及びアルキン部位を有する基質から官能基化スピロ環状化合物を製造する方法を提供する。
【0108】
本発明の官能基化スピロ環状化合物の製造方法は、分子内にメトキシ置換されたアリール部位及びアルキン部位を有する基質を、超原子価ヨウ素反応剤を用いてスピロ環化させることによりヨードニウム化合物を製造する工程(第1工程)、及び、得られたヨードニウム化合物を求核剤で求核置換させることにより官能基化スピロ環状化合物を製造する工程(第2工程)を含む。
【0109】
第1工程は、分子内にメトキシ置換されたアリール部位及びアルキン部位を有する基質を、超原子価ヨウ素反応剤を用いてスピロ環化させる工程である。
【0110】
この第1工程は、上述したヨードニウム化合物の製造方法と同様であり、基質、超原子価ヨウ素反応剤、及び反応条件は上記のとおりである。第1工程で生成したヨードニウム化合物は単離してもよいし、単離することなく第2工程に進んでもかまわない。
【0111】
第2工程は、第1工程で得られたヨードニウム化合物を求核剤で求核置換させる工程である。
【0112】
この第2工程は、上述したヨードニウム化合物から官能基化スピロ環状化合物を製造する方法と同様であり、求核剤、及び反応条件は上記のとおりである。
【0113】
スピロ環化反応と求核置換反応とを組み合わせた本発明の製造方法によれば、毒性の高いI、ICl又はBrを用いなくてもハロゲン原子をスピロ環に導入することができる。また、合成が困難なフッ素、窒素、酸素又は炭素原子を導入したスピロ環状化合物を簡単に製造することができるとともに、ハロゲン原子以外の置換基を簡便な方法で収率良く製造することが可能になる。
【0114】
さらに、超原子価ヨウ素反応剤としてキラルな超原子価ヨウ素反応剤を用いると、光学活性なスピロ環状化合物を製造することができる。
【0115】
得られたスピロ環状化合物の中で、スピロ環に、フッ素原子、N、NO、CN、NH(C又はOCOCHが導入された化合物、すなわち、式(3):
【0116】
【化34】
【0117】
[式中、XはNR’、O、S、CH、CHR’、又はCR’R”を示し、YはC=O、NR’、O、S、CH、CHR’、又はCR’R”を示し(ここで、R’、R”は、互いに独立して、アルキル基、アリール基、アミノ基又はハロゲン原子を示す。)、又は、X及びYがともにCHの場合には、この2つが結合する炭素原子と一緒になってアリール環を形成してもよい。
はアルキル基、アリール基、又はハロゲン原子を示す。
は、フッ素原子、N、NO、CN、NH(C又はOCOCHを示す。
【0118】
【化35】
【0119】
は、
【0120】
【化36】
【0121】
(ここで、各R及びR5’は、互いに独立して、水素原子;アルキル基、アリール基等の電子供与基;又はアシル基、ニトロ基、ハロゲン原子等の電子吸引基を示す。)を示す。
mは0又は1である。]
で表される化合物は、いずれも新規化合物である。
【0122】
式(3)において、X及びYが形成してもよいアリール環、R’、R”、Rで示されるアルキル基、アリール基、及びハロゲン原子、及び
【0123】
【化37】
【0124】
は、上記式(2−1)と同様である。
【実施例】
【0125】
以下、実施例を示して本発明を更に詳細に説明する。
実施例1(第1工程):ヨードニウム化合物(2a)の合成
窒素雰囲気下、50 mLのナス型フラスコに2,2,2-トリフルオロエタノール (TFE)(3 mL)、基質1a (0.030 g, 0.1 mmmol) を加え、懸濁させた。次いで室温下、ヨウ素反応剤1A(PhI(OH)OTs)(0.043 g, 0.11 mmol) を加え、同温で3時間撹拌した。反応の終了はTLCにより確認した。TFE留去後、残渣をMeCN (1.0 ml)に溶解させた。このMeCN溶液を50 mLナス型フラスコ中のEt2O (15 ml)、n-ヘキサン (5 ml) の混合溶液に撹拌しながら滴下した。沈澱したヨードニウム化合物2aをろ過により回収し、乾燥させた。
【0126】
【化38】
【0127】
2a: 1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ 2.33 (3H, s), 6.41 (1H, d, J=10.4 Hz), 6.85 (1H, d, J=10.4 Hz), 6.87 (2H, d, J=8.0 Hz), 6.97 (1H, d, J=8.0 Hz), 7.08 (2H, d, J=8.0 Hz), 7.24 (2H, dd, J=8.0, 8.0 Hz), 7.30 (2H, dd, J=8.0, 8.0 Hz), 7.37-7.44 (2H, m), 7.49 (1H, dd, J=8.0, 8.0 Hz), 7.51-7.58 (3H, m), 7.74 (2H, d, J=8.0 Hz), 8.05 (1H, d, J=8.0 Hz) ppm; 13C NMR (CDCl3, 125 MHz) δ 21.27, 86.18, 111.17, 116.75, 125.88, 125.93, 127.23, 127.54, 128.46, 128.74, 129.11, 130.33, 131.02, 131.44, 131.67, 131.79, 132.27, 133.70, 134.63, 135.19, 140.12, 140.95, 141.64, 167.50, 173.87, 182.35 ppm
【0128】
実施例2(第1工程):ヨードニウム化合物(2h)の合成
50 mLのナス型フラスコに2,2,2-トリフルオロエタノール (TFE) (3 mL)、下記に示すヨウ素反応剤2A (0.036 g, 0.055 mmol)、及びp−トルエンスルホン酸(TsOH・H2O)(0.021 g, 0.11 mmol)を加え、0.5時間撹拌した。その後、下記表3に示す基質1h (0.030 g, 0.1 mmol) を反応溶液に加えて室温下、同温で3時間撹拌した。反応の終了はTLCにより確認した。TFE留去後、残渣をMeCN (1.0 ml)に溶解させた。このMeCN溶液を50 mLナス型フラスコ中のEt2O (15 ml)、n-ヘキサン (5 ml) の混合溶液に撹拌しながら滴下した。沈澱したヨードニウム化合物2hをろ過により回収し、乾燥させた。
【0129】
【化39】
【0130】
2h: 1H NMR (CD3OD, 400 MHz) δ 1.86 (6H, s), 2.14 (6H, s), 2.40 (6H, s), 6.36 (2H, d, J=10.0 Hz), 6.43 (2H, d, J=10.0 Hz), 6.70 (2H, d, J=10.0 Hz), 6.80 (4H, m), 7.19 (2H, s), 7.25 (4H, d, J=8.0 Hz), 7.36 (4H, d, J=7.2 Hz), 7.59 (4H, t, J=7.6 Hz), 7.64 (4H, d, J=8.4 Hz), 7.74 (2H, t, J=7.6 Hz);13C NMR (CD3OD, 100 MHz) δ 21.3×2, 22.18, 86.87, 120.86, 127.05, 129.13, 219.41, 130.17, 131.09, 133.77, 134.12, 134.22, 137.72, 137.81, 140.78, 140.93, 141.017, 141.77, 142.33, 142.73, 144.83, 157.98, 167.44, 174.38, 184.41 ppm; HRFABMS calcd for C53H42I2O9S [M-OTs]+ 1108.0639, found 1108.0631.
【0131】
実施例3〜5
TsOH・H2Oの代わりにトリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)を加えたこと以外は実施例2と同様に反応させた(実施例3)。基質として1a、及びヨウ素反応剤として下記に示す3Aを用い、TfOHを加えたこと以外は実施例2と同様に反応させた(実施例4)。基質として1aを用い、TfOHを加えたこと以外は実施例2と同様に反応させた(実施例5)。各反応により得られたヨードニウム化合物及び収率を、実施例1及び2の結果とともに表1に示す。
【0132】
【化40】
【0133】
【表1】
【0134】
各生成物のスペクトルデータは以下のとおりである。
2h’: 1H NMR (CD3OD, 400 MHz) δ 1.89 (6H, s), 2.24 (6H, s), 2.40 (6H, s), 6.43 (4H, m), 6.72 (2H, d, J=10.0 Hz), 6.82 (2H, d, J=10.0 Hz), 6.80 (4H, m), 7.22 (2H, s), 7.29 (2H, s), 7.37 (4H, d, J=8.0 Hz), 7.62 (4H, t, J=7.6 Hz), 7.75 (2H, t, J=7.6 Hz);
2h”: 1H NMR (CD3OD, 400 MHz) δ 1.86 (6H, s), 6.76-6.95 (4H, m), 7.18-7.55 (6H, m), 7.60-7.64 (6H, m), 7.98 (2H, t, J=7.6 Hz);
2h”’: 1H NMR (CD3OD, 400 MHz) δ 1.86 (6H, s), 2.24 (6H, s), 6.76-6.95 (4H, m), 7.18-7.55 (4H, m), 7.60-7.64 (6H, m), 7.98 (2H, t, J=7.6 Hz);
【0135】
実施例6(第1工程+第2工程):臭素置換されたスピロ[4,5]デカン化合物(3a)の合成
窒素雰囲気下、50 mLのナス型フラスコに2,2,2-トリフルオロエタノール (TFE) (3 mL)、基質1a (0.030 g, 0.1 mmol) を加え、懸濁させた。次いで室温下、ヨウ素反応剤1A (0.036 g, 0.055 mmol) を加え、同温で3時間撹拌した。反応の終了はTLCにより確認した。反応終了後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣 (ヨードニウム化合物2a) は単離精製することなく、全量次操作に付した。窒素雰囲気下、2aにアセトニトリル (3 mL) を加え溶解し、次いで室温下nBuN4Br (0.035g, 0.18 mmol) を加えた後、浴温62-72℃で終夜 (18時間) 撹拌した。反応液を室温まで冷却後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (n-ヘキサン/AcOEt (9:1〜8:2))により精製することで 3a (0.33 g, 92%) が無色固体として得られた。基質の構造、生成物の構造、反応条件、収率等を表2に示す。
3a : 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 6.56 (1H, d, J=10.2 Hz), 6.73 (1H, d, J=10.2 Hz), 6.97-7.05 (2H, m), 7.20-7.31 (2H, m), 7.31-7.42 (2H, m), 7.63 (1H, td, J=7.7, 1.1 Hz), 7.70 (1H, td, J=7.7, 1.5 Hz), 8.16 (1H, dd, J=7.7, 1.5 Hz); HRFABMS calcd for C19H1279BrO3[M+H]+ 366.9969, found 366.9973.
【0136】
実施例7〜17
表2及び3に示す基質を用い、表2及び3に記載の反応条件で実施例6と同様に反応させることにより、表2及び3に示す生成物が得られた。
【0137】
なお、表2及び3のb)は単離収率を示しており、表3のe)は、5−エキソ環化した化合物が混在している可能性があることを示している。
【0138】
【表2】
【0139】
【表3】
【0140】
各生成物のスペクトルデータは以下のとおりである。
3b: 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 6.18 (1H, d, J=9.9 Hz), 6.97 (2H, d, J=7.5 Hz), 7.25 (1H, d, J=9.9 Hz), 7.27 (1H, d, J=7.5 Hz), 7.30-7.44 (4H, m), 7.49 (1H, d, J=5.4 Hz), 7.50 (1H, d, J=5.4 Hz) ppm;
13C NMR (CDCl3, 75.5 MHz) δ 77.21, 87.50, 110.67, 124.22, 127.45, 127.94, 128.63, 128.71, 130.34, 130.49, 130.63, 130.76, 131.25, 134.05, 146.50, 160.60, 190.31 ppm;
3c: 1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ 6.59 (1H, d, J=10.5 Hz), 6.63 (1H, d, J=10.5 Hz), 6.86 (1H, d, J=7.5 Hz), 6.93 (1H, d, J=7.5 Hz), 7.10-7.28 (6H, m), 7.32-7.41 (2H, m), 7.44 (1H, dd, J=7.5, 7.5 Hz), 7.59 (1H, d, J=7.5 Hz), 8.19 (1H, dd, J=7.5, 1.0 Hz) ppm;
13C NMR (CDCl3, 125 MHz) δ 61.68, 121.65, 122.22, 123.38, 126.78, 127.07, 128.05, 128.16, 128.22, 128.31, 128.58, 128.67, 130.15, 132.37, 133.02, 133.07, 140.72, 143.08, 145.12, 146.51, 148.08, 184.89 ppm;
3d: 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 6.50 (1H, d, J=10.2 Hz), 6.71 (1H, d, J=10.2 Hz), 6.85 (2H, d, J=7.5 Hz), 7.15-7.35 (4H, m), 7.47 (1H, d, J=7.5 Hz), 7.53 (1H, t, J=7.5 Hz), 7.60-7.70 (1H, m), 8.11 (1H, d, J=7.5 Hz) ppm;
13C NMR (CDCl3, 75.5 MHz) δ 65.52, 117.92, 126.27, 127.33, 127.58, 128.53, 129.58, 129.87, 130.09, 131.46, 131.68, 133.76, 137.52, 144.64, 157.32, 168.45, 182.97 ppm;
3e: 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 2.45 (1H, ddd, J=14.1, 8.0, 6.1 Hz), 2.52 (1H, ddd, J=14.1, 8.0, 6.1 Hz), 3.12 (1H, ddd, J=14.1, 8.0, 6.1 Hz), 3.16 (1H, ddd, J=14.1, 8.0, 6.1 Hz), 6.40 (1H, d, J=9.8 Hz), 6.92 (2H, dd, J=7.9, 1.2 Hz), 7.05 (1H, d, J=9.8 Hz), 7.07-7.16 (3H, m), 7.35-7.40 (1H, m), 7.48 (1H, d, J=7.9 Hz), 7.52-7.58 (1H, m), 8.12 (1H, d, J=7.9 Hz) ppm;
13C NMR (CDCl3, 75.5 MHz) δ 39.74, 39.79, 57.14, 122.49, 126.74, 127.09, 127.45, 127.69, 127.92, 127.95, 128.00, 131.17, 133.01, 133.90, 143.26, 146.76, 152.73, 184.45 ppm;
3f: 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 2.14 (1H, ddd, J=14.6, 8.6, 6.8 Hz), 2.50 (1H, ddd, J=14.6, 9.3, 5.3 Hz), 2.95 (1H, ddd, J=16.1, 8.6, 5.3 Hz), 3.13 (1H, ddd, J=16.1, 9.3, 6.8 Hz), 6.22 (1H, d, J=9.7 Hz), 6.55 (1H, d, J=9.7 Hz), 7.10-7.20 (6H, m), 7.32 (1H, dd, J=7.5, 7.5 Hz), 7.52 (1H, dd, J=7.5, 7.5 Hz), 8.00 (1H, d, J=7.5 Hz) ppm;
13C NMR (CDCl3, 75.5 MHz) δ 36.92, 39.56, 64.39, 123.04, 124.58, 127.15, 127.42, 127.72, 127.88, 128.03, 128.06, 129.04, 134.34, 134.59, 137.15, 137.99, 141.71, 200.21 ppm;
3g: 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 2.21 (1H, ddd, J=13.0, 8.6, 5.8 Hz), 2.67 (1H, ddd, J=13.0, 8.6, 5.8 Hz), 3.05 (1H, ddd, J=14.4, 8.6, 5.8 Hz), 3.14 (1H, ddd, J=14.4, 8.6, 5.8 Hz), 6.14 (1H, d, J=9.9 Hz), 6.88-6.98 (2H, m), 7.04-7.16 (3H, m), 7.22-7.32 (2H, m), 7.32-7.45 (3H, m) ppm;
13C NMR (CDCl3, 75.5 MHz) δ 39.99, 40.71, 67.26, 122.68, 124.98, 127.36, 127.55, 127.60, 127.86, 128.12, 129.04, 129.51, 130.45, 134.17, 142.24, 144.85, 145.47, 201.29 ppm;
3h: 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 6.40-6.50 (2H, m), 6.65-6.75 (2H, m), 7.38-7.55 (5H, m) ppm;
13C NMR (CDCl3, 75.5 MHz) δ 82.94, 112.26, 127.41, 128.57, 129.00, 131.33, 132.19, 141.63, 159.77, 166.88, 183.43 ppm;
3i: 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 6.38 (2H, d, J=10.3 Hz), 6.65 (2H, d, J=10.3 Hz), 7.26 (1H, s), 7.38-7.24 (5H, m);
3j: 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 6.63 (1H, d, J=10.3 Hz), 6.72 (1H, d, J=10.3 Hz), 7.23 (1H, dd, J=7.5, 1.3 Hz), 7.61 (1H, ddd, J=7.5, 6.2, 1.3 Hz), 7.67 (1H, ddd, J=7.5, 6.2, 1.3 Hz), 8.21 (1H, dd, J=7.5, 1.3 Hz) ppm;
13C NMR (CDCl3, 75.5 MHz) δ 85.06, 115.75, 125.23, 127.43, 130.55, 130.99, 133.36, 133.81, 134.45, 140.27, 150.46, 165.73, 182.42 ppm;
3k: 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 1.94 (2H, m), 2.02 (2H, m), 2.84 (1H, m), 6.11 (2H, d), 6.91-6.96 (5H, m), 7.20-7.22 (2H, m) ppm;
3l: 1H NMR (CDCl3,400 MHz) δ 1.68 (3H, s), 6.54 (1H, d, J=10.8 Hz), 6.59 (1H, d J=10.8 Hz), 7.10 (1H, dd, J=8.0, 1.6 Hz), 7.48-7.59 (2H, m), 8.13 (1H, dd, J=8.0, 1.6 Hz) ppm;
【0141】
実施例18(第1工程+第2工程):ヨウ素置換されたスピロ[4,5]デカン化合物(3m)の合成
50 mLのナス型フラスコに2,2,2-トリフルオロエタノール (TFE) (3 mL)、ヨウ素反応剤2A (0.036 g, 0.055 mmol)、及びTsOH・H2O (0.021 g, 0.11 mmol)を加え、0.5時間撹拌した。その後、基質1m (0.025 g, 0.1 mmol) を反応溶液に加えて室温下、同温で3時間撹拌した。反応終了後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣 (ヨードニウム化合物2m) は単離精製することなく、全量次操作に付した。窒素雰囲気下、2mにアセトニトリル (3 mL) を加え溶解し、次いで室温下nBuN4I (0.045g, 0.18 mmol) を加えた後、浴温62-72℃で終夜 (18時間) 撹拌した。反応液を室温まで冷却後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (n-ヘキサン/AcOEt (9:1〜8:2))により精製することで 3m (0.35 g, 100%) が無色固体として得られた。基質の構造、生成物の構造、反応条件、収率等を表4に示す。
【0142】
実施例19〜22
表4に示す基質を用い、表4に記載の反応条件で実施例18と同様に反応させることにより、表4に示す生成物が得られた。
【0143】
【表4】
【0144】
各生成物のスペクトルデータは以下のとおりである。
3m: 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 1.84 (3H, s), 6.16 (1H, s), 6.30 (1H, d, J=10.0), 6.56 (1H, d, J=10.0), 7.22-7.36 (5H, m) ppm;
【0145】
3n: 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 6.43 (1H, d, J=10.0), 6.56 (1H, s), 6.70 (1H, d, J=10.0 Hz), 7.31 (2H, dd, J=7.2, 1.6 Hz), 7.39-7.48 (3H, m) ppm;
【0146】
3o: 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 2.36 (3H, s), 6.48 (1H, d, J=10.0 Hz), 6.61 (1H, d, J=10.0 Hz), 6.79 (1H, s), 7.18-7.21 (2H, m), 7.28-7.42 (3H, m) ppm;
【0147】
3p: 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ6.51 (1H, d, J=10.0 Hz), 6.63 (1H, d, J=10.0 Hz), 7.19-7.21 (3H, m), 7.36-7.43 (3H, m) ppm;
【0148】
3q: 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 3.64 (3H, s), 5.45 (1H, s), 6.31 (1H, d, J=10.0 Hz), 6.59 (1H, d, J=10.0 Hz), 7.28-7.41 (5H, m) ppm;
【0149】
実施例23:フッ素置換されたスピロ[4,5]デカン化合物(3r)の合成
窒素雰囲気下、50 mLのナス型フラスコに2,2,2-トリフルオロエタノール(TFE) (6 mL)、基質1a (0.0902 g, 0.3 mmmol) を加え、懸濁させた。次いで室温下、ヨウ素反応剤1A(PhI(OH)OTs)(0.1288 g, 0.33 mmol) を加え、同温で2時間撹拌した。反応の終了はTLCにより確認した。反応終了後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣 (ヨードニウム化合物2a) は単離精製することなく、全量次操作に付した。窒素雰囲気下、50 mLナス型フラスコにCsF (0.0685 g, 0.45 mmol) を加え、次いで室温下、2a のアセトニトリル (3 mL)溶液を加えた。浴温62-72℃で終夜 (13.5時間) 撹拌した後、反応液を室温まで冷却した。溶媒を減圧留去後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (n-ヘキサン/AcOEt (9:1〜8:2))により精製することで 3r (0.0818 g, 89%) が淡黄色固体として得られた。基質の構造、生成物の構造、反応条件、収率等を表5に示す。
【0150】
3r : 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 6.69 (1H, d, J=10.1 Hz), 6.76 (1H, d, J=10.1 Hz), 7.25-7.40 (6H, m), 7.59 (1H, td, J=7.3, 1.8 Hz), 7.64 (1H, td, J=7.3, 1.8 Hz), 8.22-8.32 (1H, m); HRFABMS calcd for C19H12FO3[M+H]+ 307.0770, found 307.0766.
【0151】
実施例24〜27
表5に示す基質を用い、表5に記載の反応条件で実施例6と同様に反応させることにより、表5に示す生成物が得られた。
【0152】
【表5】
【0153】
各生成物のスペクトルデータは以下のとおりである。
3s: 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 1.96-2.10 (1H, m), 2.21-2.35 (1H, m), 2.68-2.83 (1H, m), 2.86-3.05 (1H, m), 6.28 (1H, d, J=9.7 Hz), 6.63 (1H, d, J=9.7 Hz), 7.05-7.23 (5H, m), 7.30 (1H, d, J=7.5 Hz), 7.39 (1H, dd, J=7.5, 7.5 Hz), 7.61 (1H, dd, J=7.5, 7.5 Hz), 8.10 (1H, d, J=7.5 Hz) ppm;
13C NMR (CDCl3, 75.5 MHz) δ 28.56 and 28.84 (d, JC-F=21.7 Hz), 33.20 and 33.32 (d, JC-F=8.7 Hz), 59.42 and 59.51 (d, JC-F=6.8 Hz), 118.04 and 118.11 (d, JC-F=5.6 Hz), 124.18, 126.87 and 126.94 (d, JC-F=5.6 Hz), 126.97 and 126.99 (d, JC-F= 1.9 Hz), 127.51 and 127.59 (d, JC-F=6.2 Hz), 128.15 and 128.25 (d, JC-F=7.4 Hz), 128.68, 128.83, 130.57, 131.84 and 131.90 (d, JC-F=4.3 Hz), 134.72, 138.04, 139.26 and 139.29 (d, JC-F=1.9 Hz), 158.89 and 162.70 (d, JC-F=288.0 Hz), 200.57 and 200.59 (d, JC-F=1.9 Hz), ppm;
【0154】
3t: 1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ 6.54 (2H, d, J=10.4 Hz), 6.72 (2H, d, J=10.4 Hz), 7.38-7.50 (3H, m), 7.55-7.61 (2H, m) ppm;
13C NMR (CDCl3, 125 MHz) δ 76.83 and 76.89 (d, JC-F=8.2 Hz), 125.97 and 126.02 (d, JC-F=6.2 Hz), 127.76 and 127.81 (d, JC-F=6.2 Hz), 129.35, 131.62 and 131.63 (d, JC-F=2.1 Hz), 132.33, 136.20, 142.62 and 142.64 (d, JC-F=2.1 Hz), 143.52 and 145.77 (d, JC-F=281.7 Hz), 162.64 and 162.88 (d, JC-F=30.9 Hz), 183.55 ppm;
【0155】
3v: 1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ 1.80-1.88 (2H, m), 2.00-2.09 (2H, m), 2.51 (2H, dt, J=6.1, 2.4 Hz), 6.16 (2H, d, J=10.5 Hz), 6.95 (2H, d, J=10.4 Hz), 7.00-7.07 (2H, m), 7.16-7.25 (3H, m) ppm;
13C NMR (CDCl3, 125 MHz) δ 18.86 and 18.94 (d, JC-F=10.3 Hz), 25.72 and 25.92 (d, JC-F=24.7 Hz), 34.84 and 34.85 (d, JC-F=2.1 Hz), 45.14 and 45.18 (d, JC-F=5.1 Hz), 116.75 and 116.86 (d, JC-F=13.4 Hz), 127.58, 127.83, 128.74, 129.07, 133.85 and 133.86 (d, JC-F=13.4 Hz), 153.73 and 153.74 (d, JC-F=2.1 Hz), 156.84 and 158.91 (d, JC-F=259.1 Hz), 185.37 ppm;
【0156】
実施例28
窒素雰囲気下、50 mLのナス型フラスコに1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP) (8 mL)、基質1a (245 mg, 0.81 mmmol) を加え、溶解させた。次いで室温下、ヨウ素反応剤1A (PhI(OH)OTs) (350 mg, 0.89 mmol) を加え、同温で1.5時間撹拌した。反応の終了はTLCにより確認した。反応終了後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣にジエチルエーテルを適量加え結晶を析出させ、室温で終夜撹拌した。デカンテーションで溶媒(上澄液)を取り除き、減圧乾燥する事で、ヨードニウム化合物 2a (398.7 mg, 74%) が無色固体として得られた。窒素雰囲気下、10 mLナス型フラスコに、2a (77.3 mg, 0.12 mmol)、アセトニトリル (1.2 mL) を加え溶解し、次いで室温下NaNO2 (9.4 mg, 0.14 mmol) を加えた後、浴温70℃で終夜撹拌した。反応液を室温まで冷却後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (n-ヘキサン/AcOEt (4:1))により精製することで 3y (27.6 mg, 71%) が黄色固体として得られた。
【0157】
3y : 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 6.64 (1H, d, J=10.3 Hz), 6.81 (1H, d, J=10.3 Hz), 6.80-6.90 (2H, m), 7.16-7.31 (2H, m), 7.35-7.51 (2H, m), 7.66 (1H, td, J=7.5, 1.5 Hz), 7.76 (1H, td, J=7.5, 1.5 Hz), 8.19 (1H, dd, J=7.5, 1.5 Hz); HRFABMS calcd for C19H12NO5[M+H]+ 334.0716, found 334.0728.
【0158】
実施例29〜34
表6に示す基質を用い、表6に記載の反応条件で実施例6と同様に反応させることにより、表6に示す生成物が得られた。
【0159】
【表6】
【0160】
各生成物のスペクトルデータは以下のとおりである。
3w : 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 6.60 (1H, d, J=10.3 Hz), 6.71 (1H, d, J=10.3 Hz), 6.80-6.90 (2H, m), 7.21-7.44 (6H, m), 7.56-7.64 (2H, m), 8.24 (1H, dd, J=7.5, 1.5 Hz) ppm;
【0161】
3x : 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 6.60 (1H, d, J=10.3 Hz), 6.71 (1H, d, J=10.3 Hz), 6.80-6.90 (2H, m), 7.23-7.31 (2H, m), 7.35-7.44 (4H, m), 7.65 (1H, td, J=7.5, 1.5 Hz), 7.74 (1H, td, J=7.5, 1.5 Hz), 8.17 (1H, dd, J=7.5, 1.5 Hz) ppm;
【0162】
3z: 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 6.52 (1H, d, J=10.0 Hz), 6.73 (1H, d, J=10.0 Hz), 6.84-6.87 (2H, m), 7.23-7.39 (4H, m), 7.68 (1H, td, J=7.5, 1.5 Hz), 7.72 (1H, td, J=7.5, 1.5 Hz), 8.13 (1H, dd, J=7.5, 1.5 Hz) ppm;
【0163】
3aa:1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ6.13 (2H, d, J=10.0 Hz), 6.66 (2H, d, J=10.0 Hz), 7.31-7.35 (3H, m), 7.59-7.61 (2H, m) ppm;
【0164】
3ab: 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 2.24 (3H, s), 6.35 (2H, d, J=10.0 Hz), 6.67 (2H, d, J=10.0 Hz), 6.76 (1H, s), 7.18-7.21 (2H, m), 7.30-7.34 (5H, m) ppm;
【0165】
3ac: 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ6.27 (1H, s), 6.40 (2H, d, J=10.0 Hz), 6.64 (2H, d, J=10.0 Hz), 6.76 (1H, s), 7.18-7.21 (2H, m), 7.30-7.34 (5H, m) ppm;
;
【0166】
実施例35:エナンチオ選択的な臭素置換されたスピロ[4,5]デカン化合物(3d’)の合成
窒素雰囲気下、50 mLのナス型フラスコに2,2,2-トリフルオロエタノール(TFE) (3 mL)、基質1d (0.030 g, 0.1 mmmol) を加え、懸濁させた。次いで室温下、下記のキラルなヨウ素反応剤((R)-4A)(0.045 g, 0.055 mmol) を加え、同温で3時間撹拌した。反応の終了はTLCにより確認した。反応終了後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣 (ヨードニウム化合物) は単離精製することなく、全量次操作に付した。窒素雰囲気下、ヨードニウム化合物にアセトニトリル (3 mL) を加え溶解し、次いで室温下nBuN4Br (0.035 g, 0.18 mmol) を加えた後、浴温62-72℃で終夜 (18時間) 撹拌した。反応液を室温まで冷却後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (n-ヘキサン/AcOEt (9:1〜8:2))により精製することで 3d’((R)-3d)(0.33 g, 92 %, 28 %ee) が無色固体として得られた。
【0167】
【化41】
【0168】
3d’: 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 6.50 (1H, d, J=10.2 Hz), 6.71 (1H, d, J=10.2 Hz), 6.85 (2H, d, J=7.5 Hz), 7.15-7.35 (4H, m), 7.47 (1H, d, J=7.5 Hz), 7.53 (1H, t, J=7.5 Hz), 7.60-7.70 (1H, m), 8.11 (1H, d, J=7.5 Hz) ppm;
13C NMR (CDCl3, 75.5 MHz) δ 65.52, 117.92, 126.27, 127.33, 127.58, 128.53, 129.58, 129.87, 130.09, 131.46, 131.68, 133.76, 137.52, 144.64, 157.32, 168.45, 182.97 ppm;