【実施例1】
【0017】
本発明の実施例1を
図1〜
図12に基づいて詳細に説明する。
図1及び
図2はラジコンボートを示し、このラジコンボート1は、搭載されたアンテナ2a付の遠隔制御器2によりその走行が自動制御される。
【0018】
符号の3は、
図1〜
図4において、ラジコンボート1の船尾に設置されたクレーンであって、このクレーン3のアーム4はアーム軸4aを介して駆動装置5により180°旋回することができると共にアーム4の先端側を上下に振ることができ、このアーム4の運動は陸上から前記制御器2を介して遠隔操作される。
【0019】
6a、6b、6cは
図5に示すようにアーム4の先端に取り付けられたガイドリングであって、6aは開閉ワイヤーリング、6bは昇降ワイヤーリング、6cは水中カメラコードリング、7は船上に設置された吊り上げ物仮置き場、8は土砂採集器又は採水器(後述)を先端に吊設する昇降ワイヤー9を捲き揚げたり下降させるためのウインチ、10は前記土砂採集器又は採水器29の開閉操作を行うための開閉ワイヤー11を引いたり弛めたりするためのウインチであって、このウインチ8、10は前記制御器2を介して陸上から遠隔操作される。
【0020】
符号の12はアーム受け台、13は後述する水中カメラのコード41を捲き揚げるためのモータ15で駆動される電動リール、16は捲き揚げたカメラコード41を前記電動リール13の下方で受けるためのコード受けであって、捲き揚げられたコード14は
図1に示すように自重でコード受け16内に落下し、自身の弾性の作用でとぐろ巻きに巻き取られる。
【0021】
図6は土砂採集器17を示すもので、この採集器17は、外筒18の天板19の中央に栓シート20を形成し、下部開口部21に左右に分けて軸23、23aを中心にして下部開口部21を閉塞したり、開放できるアーム24b付のショベル24、24aを取り付けると共に前記栓シート20に内部から密着して栓シート20を閉塞することができる栓体25を取付軸26に対してネジ26a、ナット26bを介して位置調整可能に取り付け、この取付軸26の上端はフック26aにより前記した開閉ワイヤー11の先端に連結自在である。
【0022】
27は外筒18の上部にフック27aにより取り付けられた吊り下げワイヤーであって、前記昇降ワイヤー9の先端にフック27bを介して連結自在である。
【0023】
28、28aは前記栓体25の取付軸26の下端部に取り付けられた駆動板であって、前記アーム24bはこの駆動板28、28a間に係合していて、取付軸26が下るとショベル24、24aを開放し、上がると閉じることができる。
【0024】
図
10、
11は採水器29を示すもので、この採水器29は、筒
体30の天板31の中央に断面ハ字状の上部バルブシート32を形成し、底板33の中央に断面ハ字状の下部バルブシート34を形成すると共に前記上部バルブシート32と下部バルブシート34を貫通する上下動軸35の上部であって、前記上部バルブシート32の内側に位置する上部ボールバルブ36を取り付け、上下動軸35の下部であって、下部バルブシート34の外側に位置する下部ボールバルブ37を取り付け、上下動軸35の上端はフック26aを介して前記開閉ワイヤー11の先端に連結自在であって、開閉ワイヤー11が引かれると図
11に示すように上下動軸35が上昇して上部ボールバルブ36と下部ボールバルブ37がそれぞれのバルブシート32、33に密着する。
【0025】
38は筒
体30の上部のフック30aに取り付けられた吊り下げワイヤーであって、前記昇降ワイヤー9の先端にフック38aを介して連結自在である。
【0026】
図8〜10において、39は上下動軸35において、上部及び下部ボールバルブ36、37が取り付けられる部分に切設されたネジ部であって、上下のボールバルブ36、37はこのネジ部39においてナット40により取り付けられていると共にナット40の調整により上下のボールバルブ36、37の位置を微調整してバルブシート32、33に対する密着タイミングを調整することができる。
【0027】
次に、上記構成の環境無人調査船を用いて行う環境調査であって、水底の土砂を採集する例を先ず説明する。
【0028】
先ず、土砂を採集する水底までの水深をあらかじめ測定しておき、この水底に採集器17が届く長さに昇降ワイヤー9と開閉ワイヤー11の長さを調整し、昇降ワイヤー9の先端に採集器17の吊りワイヤー27をフック27bを介して連結し、開閉ワイヤー11の先端に取付軸26の上端をフック26aを介して連結する。
【0029】
この作業は陸上において行い、次にリモコンボート1上のウインチ8、9を捲いてそれぞれのワイヤー9、11をクレーン3のアーム4を上げた状態で水面に届かないところまで捲き取っておく。
【0030】
この状態でリモコンボート1を操作して採集ポイントのところまで移動し、アーム4を上下及び旋回させて位置を定めたのち、ウインチ8、10を解いて採集器17を水中に降す。
【0031】
採集器17が水底に届くとあらかじめ定めた昇降ワイヤーの延長距離で判るので、この距離になったところでウインチ8、10を止める。
【0032】
なお、この採集器17の下降時に、開閉ワイヤー11は弛めて取付軸26を下げて栓体25を開き、ショベル24、24aは垂直方向に開いたままとしておくことにより、採集器17内を水が通るために採集器17は水底まで円滑に沈みながら到達し、やがてショベル24、24aの先端が重量で水底の土砂に突き刺る(
図6)。
【0033】
この突き刺った状態で開閉ワイヤー11をウインチ10で引き上げると、取付軸26が上昇し、栓体25が栓シート20に密着して閉塞すると同時にアーム24bによりショベル24、24aが土砂を掻き集めるようにして外筒18内に採集し、外筒18の底部を閉じる(
図7)。
【0034】
この状態で昇降ワイヤー9と開閉ワイヤー11を捲き揚げることにより採集器17が水上に現われるので、あとはクレーン3を180°旋回させて採集器17を船上に置き、そのままラジコンボート1を操作して陸上の基地のところに帰還させる。
【0035】
次に、採水作業について説明する。採水器29の吊設ワイヤー38のフック38aを昇降ワイヤー9に連結し、上下動軸35を開閉ワイヤー11に連結するのは上記採集器17の場合と同じである。
【0036】
また、採水ポイントと水深もあらかじめ測定しておくことにより、それぞれのワイヤー9、11の長さを陸上で設定しておく点も同じである。
【0037】
なお、本実施例1では、陸上において筒
体30内に水を入れ、栓体36、37を
図9に示すよう閉じて水を封じ、この水の重さを利用して採水器29を水中に降下させているが、採水器29がある程度重い場合には必ずしもこの水の封入の必要はない。
【0038】
ラジコンボート1がポイントに到達すると、開閉ワイヤー11を弛めてボールバルブ36、37を開き、昇降ワイヤー9を上下に揺らすことにより筒
体30内の水を水中に排出し、その上でポイントの水を筒
体30内に流入させて(入れ替えさせて開閉ワイヤー11を引いて)ボールバルブ36、37を閉じることにより採水を終る。この採水状態を
図9に示す。
【0039】
以上の採水が終るとウインチ8を駆動して昇降ワイヤー9を引き上げることにより採水器29を採集器17と同じようにラジコンボート1上に置き、ラジコンボート1を陸上の基地に帰還させる。
【0040】
このようにしてラジコンボート1がポイントまで移動して帰還するまでの動作及びウインチ9、10及び採集器17と採水器29の動作は、すべて陸上においてリモコンを作業員が操作することによりラジコンボート1上の制御器2を介して自動制御で行われる。
【0041】
なお、採集器17及び採水器29は、好ましくはステンレス等の防錆金属製とすることが必要であるが、条件によってはガラス製としても良い。