(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
情報保存装置の一つであるハードディスクドライブ(HDD;Hard Disk Drive)は、記録再生ヘッド(read/write head)を使用してディスクに保存されたデータを再生したり、ディスクにデータを記録する装置である。
【0003】
このようなハードディスクドライブは、ディスクを駆動させることができるディスク駆動装置が必要で、上記ディスク駆動装置には小型スピンドルモータが用いられる。
【0004】
小型スピンドルモータには流体動圧軸受アセンブリーが用いられ、上記流体動圧軸受アセンブリーのシャフトとスリーブの間には潤滑流体が介在されて上記潤滑流体から生じる流体圧力でシャフトを支持する。
【0005】
流体動圧軸受アセンブリーのローターとスリーブの間にはスラスト軸受が形成され、上記ローターの回転を滑らかに支持することができる。
【0006】
このとき、上記スラスト軸受によって、上記潤滑流体は半径方向の外側から内側へ流れる。
【0007】
このとき、上記ローターと上記スリーブとの間隔が変化すると、上記潤滑流体が相対的に狭い間隙を通過し、その部分で低圧が発生する恐れがあり、低圧の発生により、潤滑流体の内部で気泡が発生する恐れがある。
【0008】
これはモータの性能と密接に関わるため、低圧発生を抑制するための研究が急がれている。
【0009】
下記の先行技術文献に記載された特許文献には、スラスト動圧溝が形成される部分の間隙が狭いため、低圧が発生する恐れが依然として存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の一実施例による目的は、ローターとスリーブとの間での低圧発生を防止し、潤滑流体内部における気泡発生を抑制することができるモータ及びこれを含むハードディスクドライブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施例によるモータは、潤滑流体を媒介にしてシャフトを支持するスリーブと、上記シャフトに固定されて上記シャフトと連動して回転し、上記スリーブと対向する面を備えるローターとを含み、上記ローターと上記スリーブが対向する面の何れか一面にはスラスト動圧溝が備えられ、上記ローターと上記スリーブが対向する面の他面に備えられ、一部が上記スラスト動圧溝と対向するように上記スラスト動圧溝の外側に延長されて備えられる拡張溝を備えてよい。
【0013】
本発明の一実施例によるモータの上記スラスト動圧溝は上記スリーブに形成され、上記拡張溝は上記ローターに形成されてよい。
【0014】
本発明の一実施例によるモータは、下記条件式1を満たすことができる。
[条件式1]
Rh<Rg<Rb
(ここで、Rh:シャフトの中心から拡張溝の内側端までの長さ、Rg:シャフトの中心からスラスト動圧溝の外側端までの長さ、Rb:シャフトの中心からスリーブの外周面までの長さ)
【0015】
本発明の一実施例によるモータは、下記条件式2を満たすことができる。
[条件式2]
F=(D
2+E
2)
0.5
(ここで、D=スラスト動圧溝と拡張溝が対向する部分の長さ、E=拡張溝から半径方向の内側のローターとスリーブとの間隙、F:拡張溝の内側端とスラスト動圧溝の外側端との最短距離)
【0016】
本発明の一実施例によるモータは、下記条件式3を満たすことができる。
[条件式3]
0.5<F/C<12
(ここで、F:拡張溝の内側端とスラスト動圧溝の外側端との最短距離、C:拡張溝から半径方向の内側のローターとスリーブとの間隙とスラスト動圧溝の深さの和)
【0017】
本発明の一実施例によるモータの上記ローターと上記スリーブとの間隙は、上記拡張溝と上記スラスト動圧溝が対向する部分で最も大きく形成されてよい。
【0018】
本発明の一実施例によるモータの上記スラスト動圧溝は上記スリーブの上面の一部に形成されてよい。
【0019】
本発明の一実施例によるモータの上記スラスト動圧溝はスパイラル、ヘリンボーン及び螺旋状の何れか一つの形状であってよい。
【0020】
本発明の一実施例によるモータは、上記スリーブと結合し、回転駆動力を発生させるためのコイルが巻線されるコアを備えるステータをさらに含んでよい。
【0021】
本発明の一実施例によるハードディスクドライブは、基板を通じて印加される電源によりディスクを回転させるモータと、上記ディスクのデータを記録及び再生するための磁気ヘッドと、上記磁気ヘッドを上記ディスク上の所定位置に移動させるためのヘッド駆動部とを含んでよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によるモータ及びこれを含むハードディスクドライブによると、ローターとスリーブとの間で低圧発生を防止し、潤滑流体内部における気泡発生を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下では、添付の図面を参照し、本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0025】
図1は本発明の一実施例によるモータの概略断面図である。
【0026】
図1を参照すると、本発明の一実施例によるモータ400は、流体動圧軸受アセンブリー100、ローター200及びステータ300を含んでよい。
【0027】
まず、方向に対する用語を定義すると、軸方向は
図1を参照し、シャフト110を基準として上下方向を意味し、半径方向の外側または内側方向は上記シャフト110を基準としてローター200の外側端方向または上記ローター200の外側端を基準として上記シャフト110の中心方向を意味する。
【0028】
上記流体動圧軸受アセンブリー100はシャフト110と、スリーブ120と、スラストプレート130と、カバープレート140とを含んでよい。
【0029】
上記スリーブ120は、上記シャフト110の上端が軸方向の上側に突出するよう上記シャフト110を支持することができ、CuまたはAlを鍛造したり、Cu−Fe系合金粉末またはSUS系粉末を焼結して形成してよい。
【0030】
従って、上記スリーブ120は一種の焼結スリーブであってよく、潤滑流体が含浸されて流体動圧軸受アセンブリー100に提供される上記潤滑流体の含有量を極大化することができる。
【0031】
ここで、上記シャフト110は上記スリーブ120の軸孔と微小間隙を有するように挿入され、上記微小間隙には潤滑流体が充填され、上記シャフト110の外径及び上記スリーブ120の内径の少なくとも一つに備えられるラジアル動圧溝122により上記シャフト110の回転をさらに滑らかに支持することができる。
【0032】
上記ラジアル動圧溝122は、上記スリーブ120の軸孔の内部である上記スリーブ120の内周面に備えられてよく、上記シャフト110の回転時に上記シャフト110が上記スリーブ120の内周面と所定間隔離隔されて滑らかに回転するように圧力を形成させる。
【0033】
但し、上記ラジアル動圧溝122は、上述したように、上記スリーブ120の内周面に設けられることに限らず、上記シャフト110の外周面に設けられてもよく、その数も制限されない。
【0034】
上記ラジアル動圧溝122はヘリンボーン状、スパイラル状及び螺旋状の何れか一つであってよく、ラジアル動圧を発生させる形状であれば良い。
【0035】
また、上記スリーブ120の上面及び上記スリーブ120の上面と対向する上記ローター200の一面の少なくとも一つには、スラスト動圧溝124が備えられてよく、上記スラスト動圧溝124によって、上記ローター200は一定の浮上力が確保され、上記シャフト110と連動して回転することができる。スリーブ120の上面は、回転軸方向においてロータ200と対向するスリーブ120の面の一例であってよい。
【0036】
ここで、上記スラスト動圧溝124の形状は、上記ラジアル動圧溝122と同様に、ヘリンボーン状、スパイラル状または螺旋状であってよいが、必ずこれに限定されず、スラスト動圧が提供できる形状であれば良い。
【0037】
上記スラスト動圧溝124に対しては、
図2〜
図9を参照して後述する。
【0038】
一方、上記シャフト110の下部には、上記シャフト110の回転時、上記シャフト110の過浮上を防止するためのスラストプレート130が備えられてよい。
【0039】
上記スラストプレート130の中央に上記シャフト110の断面に相応するホールを備え、上記ホールに上記シャフト110を挿入してよい。
【0040】
このとき、上記スラストプレート130は上記スリーブ120の軸方向の下部に配置されてよく、上記スリーブ120の内周面から半径方向の外側に向かって形成される段差に収容されてよい。
【0041】
上記スラストプレート130は、別途に製造して上記シャフト110と結合してもよいが、製造時から上記シャフト110と一体に形成してもよく、上記シャフト110の回転時に上記シャフト110と連動して回転することができる。
【0042】
上記スラストプレート130は、シャフト110を含む回転部材が過浮上する場合、上記スラストプレート130の外側部がスリーブ120の底面と接触して上記回転部材の過浮上を防止することができる。
【0043】
ここで、上記スリーブ120及び上記シャフト110の下部には、上記シャフト110と間隙を維持した状態で上記スリーブ120と結合するカバープレート140が結合されてよい。
【0044】
上記カバープレート140は上記シャフト110との間に形成される間隙に潤滑流体を収容し、それ自体が上記シャフト110の下面を支持する軸受としての機能を行うことができる。
【0045】
上記ステータ300はコイル320、コア330及びベース部材310を含んでよい。
【0046】
上記ステータ300は、電源印加時に一定大きさの電磁気力を発生させるコイル320が巻線されるコア330を備える固定構造物である。
【0047】
上記コア330は、パターン回路が印刷された印刷回路基板(不図示)が備えられるベース部材310の上部に固定配置され、上記コイル320が巻線されるコア330と対応する上記ベース部材310の上部面には上記コイル320を下部に露出させるように一定大きさのコイル孔が複数個貫通形成されてよく、上記コイル320は外部電源が供給されるように上記印刷回路基板(不図示)と電気的に連結される。
【0048】
上記ローター200は、上記ステータ300に対して回転可能に備えられる回転構造物であり、上記コア330と一定間隔を置いて対応される環状のマグネット220を内周面に備えるローターケース210を含んでよい。
【0049】
ここで、上記ローターケース210は、上記シャフト110の上端に圧入されて固定されるためのハブベース212と、上記ハブベース212から外径方向に延長されて軸方向の下側に折れ曲がり、上記マグネット220を支持するマグネット支持部214とからなってよい。
【0050】
そして、上記マグネット220は円周方向にN極、S極が交互に着磁されて一定強さの磁気力を発生させる永久磁石である。
【0051】
上記ローター200の回転駆動について簡単に説明すると、上記コア330に巻線されたコイル320に電源が供給されると、上記マグネット220と上記コイル320が巻線されたコア330との電磁気的相互作用により上記ローター200が回転する駆動力が発生する。
【0052】
これにより、上記ローター200が回転し、結局、上記ローター200が固定結合される上記シャフト110が上記ローター200と連動して回転する。
【0053】
上記ローター200はスリーブ120の上側の外周面との間で潤滑流体がシールされるようにすることができ、上記潤滑流体がシールされるように上記ローター200の一面から軸方向の下側に突出形成される周壁部216を備えてよい。
【0054】
即ち、上記周壁部216は回転部材であるローター200の一面から突出形成され、固定部材であるスリーブ120との間で上記潤滑流体がシールされるようにすることができる。
【0055】
具体的には、上記周壁部216は、上記周壁部216の内周面と固定部材である上記スリーブ120の上側の外周面との間に、上記潤滑流体の界面が形成されるように上記固定部材であるスリーブ120の外周面に沿って延長形成されてよい。
【0056】
また、上記周壁部216の底面は、上記スリーブ120が固定されるベース部材310と対向するように形成されてよい。
【0057】
一方、上記ローター200と上記スリーブ120が対向する面の何れか一面にはスラスト動圧溝124が備えられ、上記ローター200と上記スリーブ120が対向する面の他面には拡張溝218が備えられてよい。
【0058】
上記拡張溝218は、一部が上記スラスト動圧溝124と対向するように上記スラスト動圧溝124の外側に延長されて備えられてよい。
【0059】
具体的には、上記拡張溝218は、上記スリーブ120の上面と対向する上記ローター200の一面から軸方向の上側に向かう溝状であってよい。
【0060】
上記拡張溝218は一部が上記スラスト動圧溝124と対向するため、上記ローター200と上記スリーブ120との間隙が変わる。
【0061】
即ち、上記ローター200と上記スリーブ120との間隙は、上記拡張溝218と上記スラスト動圧溝124が対向する部分で最も大きく形成されることができる。
【0062】
図2は本発明の一実施例による拡張溝を備えるローター及び一部が拡張溝と対向するスラスト動圧溝を備えるスリーブを示した斜視図であり、
図3は
図2のB−B'の概略断面図であり、
図4は本発明の一実施例によるスラスト動圧溝を備えるスリーブの上面を示した平面図であり、
図5は回転速度7200、10000及び15000rpmに対し、Rgを変化させながらPminを計算した結果を示すグラフである。
【0063】
以下では、
図2〜
図5を参照し、本発明の一実施例によるスラスト動圧溝124及び拡張溝218について説明する。
【0064】
上記スラスト動圧溝124は、上記ローター200と上記スリーブ120が対向する面の何れか一面に備えられてよい。
【0065】
また、上記拡張溝218は上記ローター200と上記スリーブ120が対向する面の他面に備えられてよい。具体的には、上記スラスト動圧溝124は上記スリーブ120に備えられ、上記拡張溝218は上記ローター200に備えられることができる。
【0066】
また、上記拡張溝218は、一部が上記スラスト動圧溝124と対向するように上記ローター200に形成されることができ、上記スラスト動圧溝124の外側に延長されて備えられることができる。
【0067】
上記スラスト動圧溝124の形状はヘリンボーン状、スパイラル状または螺旋状であってよく、上記スリーブ120の上面の一部に形成されてよい。
【0068】
ここで、上記シャフト110の中心から上記拡張溝218の内側端までの長さをRh、上記シャフト110の中心から上記スラスト動圧溝124の外側端までの長さをRg、上記シャフト110の中心から上記スリーブ120の外周面までの長さをRbと定義する。
【0069】
Rh、Rg及びRbの関係を下記条件式1のように表すことができる。
【0071】
即ち、上記シャフト110の中心から上記スラスト動圧溝124の外側端までの長さRgは、上記シャフト110の中心から上記拡張溝218の内側端までの長さRhより長く、上記シャフト110の中心から上記スリーブ120の外周面までの長さRbよりは短くてよい。
【0072】
従って、上記拡張溝218の一部が上記スラスト動圧溝124と対向することができる。
【0073】
上記ローター200が回転する時、上記ローター200と上記スリーブ120との間隙では半径方向の外側から内側への潤滑流体の流れが発生する。
【0074】
このとき、RhとRgの長さが同一の場合(Rh=Rg)について説明すると、上記ローター200と上記スリーブ120との間隙は三つの大きさに分かれる。
【0075】
即ち、上記拡張溝218から半径方向の内側に位置する上記ローター200と上記スリーブ120との間隙、上記拡張溝218の内側端と上記スリーブ120との間隙、上記拡張溝218と上記スラスト動圧溝124の外側との間隙に分けることができる。
【0076】
ここで、上記ローター200と上記スリーブ120との間隙は、上記拡張溝218の内側端と上記スリーブ120との間隙で最も狭くなることができる。
【0077】
従って、潤滑流体が狭くなる間隙を通過するため、上記拡張溝218の内側端と上記スリーブ120との間で低圧が発生することがある。
【0078】
低圧が発生すると、潤滑流体の内部に気泡が発生することがあり、上記気泡によりNRRO(Non Repeatable Run Out)が急激に大きくなり、モータの性能に悪影響を及ぼす恐れがある。
【0079】
しかし、本発明の一実施例のように、RhよりRgの長さが長い場合(Rh<Rg)には、上記拡張溝218の内側端と上記スリーブ120との間A(低圧発生部)で上記潤滑流体が流れる間隙が広くなるため、A部分で低圧が発生することを防止することができる。
【0080】
RgとRbの長さが同一の場合(Rg=Rb)は、上記スリーブ120の上面全体に上記スラスト動圧溝124が備えられることを意味する。
【0081】
従って、上記拡張溝218の内側端と上記スリーブ120との間A(低圧発生部)で間隙の変化が少ないため、同様に、A部分で低圧が発生することを防止することができる。
【0082】
しかし、上記スリーブ120の上面全体にスラスト動圧溝124を備えることは工程の効率面で好ましくない。
【0083】
図4及び
図5を参照し、本発明の一実施例によるモータ400の効果について説明する。
【0084】
図4に示されたように、Rhは上記シャフト110の中心から上記拡張溝218の内側端までの長さ、Rgは上記シャフト110の中心から上記スラスト動圧溝124の外側端までの長さ、Rbは上記シャフト110の中心から上記スリーブ120の外周面までの長さである。
【0085】
本実施例では、具体的に、Rh=2.5mm、Rb=3.44mmとし、Rgを多様に変化させながら実験を行った。
【0086】
また、低圧発生部Aでの最小圧力をMinimum Pressure(Pmin)と定義した。
【0087】
図5を参照すると、Rg≧2.525mmである場合、低圧発生が著しく減少することが分かる。
【0088】
即ち、RgがRhより0.025mm長いだけでも、約57%の低圧低減効果が得られる。
【0089】
Rg=Rbである場合には、約65%の低圧低減効果が得られるが、スリーブ120の上面全体にスラスト動圧溝124を備えなければならず、工程効率を考慮すると、RgはRbより短く形成することが好ましい。
【0090】
図6〜
図9を参照し、本発明の一実施例によるスラスト動圧溝124及び拡張溝218について詳しく説明する。
【0091】
図6及び
図7を参照し、C、D、E及びFを定義すると、以下の通りである。
【0092】
E=拡張溝218から半径方向の内側に位置するローター200とスリーブ120との間隙。
【0093】
C=拡張溝218から半径方向の内側に位置するローター200とスリーブ120との間隙Eとスラスト動圧溝124の深さの和。
【0094】
D=スラスト動圧溝124と拡張溝218が対向する部分の長さ。
【0095】
F=拡張溝218の内側端とスラスト動圧溝124の外側端との最短距離。
【0096】
ここで、Fは下記条件式2を満たすことができる。
【0097】
[条件式2]
F=(D
2+E
2)
0.5
【0098】
上述と同様に、拡張溝218の一部がスラスト動圧溝124と対向し、DとFが所定値を有する場合には、上記拡張溝218の内側端と上記スリーブ120との間A(低圧発生部)で上記潤滑流体が流れる通路が広くなるため、A部分で低圧が発生することを防止することができる。
【0099】
ここで、
図8を参照すると、Fが約0.012mmより大きい場合、低圧発生が著しく減少することが分かる。
【0100】
図9を参照し、本実施例によるFの長さに対する条件を詳しく説明する。
【0101】
図9は、Cに対するFの比を変化させながら、夫々の比率に対応するmax(Pmin)に対するPminの比を示すグラフである。
【0102】
ここで、PminはFの変化による低圧発生部Aでの最小圧力を示し、max(Pmin)はDが最大のときの低圧発生部Aでの最小圧力を示す。
【0103】
ここで、F/C<0.5のとき、Pmin/max(Pmin)>1.5である。
【0104】
図9から、F/C<0.5で、Pmin/max(Pmin)>1.5のときには、低圧低減効果が低いことが分かる。
【0105】
また、F/C>12のとき、即ち、Pmin/max(Pmin)<1.1のときには、スリーブ120の上面にスラスト動圧溝124を長く形成しなければならないため、工程の効率面で好ましくない。
【0106】
従って、本実施例では、下記条件式3を満たすようにスラスト動圧溝124を形成した。
【0108】
図10は本発明の一実施例によるモータを利用するディスク駆動装置の概略断面図である。
【0109】
図10を参照すると、本発明によるモータが装着された記録ディスク駆動装置800はハードディスク駆動装置であり、モータ400と、ヘッド駆動部810と、ハウジング820とを含んでよい。
【0110】
上記モータ400は、上述した本発明によるモータの特徴を全て有し、記録ディスク830を搭載することができる。
【0111】
上記ヘッド駆動部810は、上記モータ400に搭載された記録ディスク830の情報を検出する磁気ヘッド815を、検出しようとする記録ディスクの面に移送させることができる。
【0112】
ここで、上記磁気ヘッド815は、上記ヘッド駆動部810の支持部817上に配置されてよい。
【0113】
上記ハウジング820は、上記モータ400と上記ヘッド駆動部810を収容する内部空間を形成するためにモータ搭載プレート822と、上記モータ搭載プレート822の上部を遮蔽するトップカバー824とを含んでよい。
【0114】
以上の実施例により、本発明によるモータ及びこれを含むハードディスクドライブは、ローターとスリーブとの間での低圧発生を防止し、潤滑流体の内部における気泡発生を抑制することができるということが分かる。
【0115】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。