特許第5665063号(P5665063)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5665063モータ駆動制御装置、モータ駆動制御方法及びそれを用いたモータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5665063
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】モータ駆動制御装置、モータ駆動制御方法及びそれを用いたモータ
(51)【国際特許分類】
   H02P 6/12 20060101AFI20150115BHJP
   H02P 6/18 20060101ALI20150115BHJP
【FI】
   H02P6/02 371D
   H02P6/02 371S
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-35879(P2013-35879)
(22)【出願日】2013年2月26日
(65)【公開番号】特開2014-117136(P2014-117136A)
(43)【公開日】2014年6月26日
【審査請求日】2013年2月27日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0140925
(32)【優先日】2012年12月6日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】リー、スー ウーン
【審査官】 マキロイ 寛済
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−173466(JP,A)
【文献】 特開2011−135647(JP,A)
【文献】 特開2003−111480(JP,A)
【文献】 特開2004−58768(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 6/12
H02P 6/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ装置の駆動を制御する駆動制御信号を生成する駆動信号生成部と、
前記モータ装置から発生する逆起電力を、電流を印加していない相を用いて検出する逆起電力検出部と、
前記逆起電力を用いて前記モータ装置の電流を印加している相の駆動電流の大きさを推定し、推定された前記駆動電流の大きさを基準電流の大きさと比較して、前記駆動制御信号のデューティを調節する制御部と、を含む、モータ駆動制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記逆起電力と前記駆動電流との比例関係を利用して、前記逆起電力の大きさから前記駆動電流の大きさを推定する、請求項1に記載のモータ駆動制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記逆起電力と前記駆動電流との対応関係を格納するテーブル格納部と、
前記テーブル格納部を用いて、前記逆起電力検出部から提供された逆起電力に相応する駆動電流の大きさを推定し、推定された前記駆動電流の大きさが前記基準電流の大きさを超えると過電流判断する過電流検出器と、を含む、請求項1または2に記載のモータ駆動制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記駆動電流が前記過電流と判断されると、前記駆動制御信号のデューティを変更するように前記駆動信号生成部を制御するデューティ制御器をさらに含む、請求項3に記載のモータ駆動制御装置。
【請求項5】
前記デューティ制御器は、
前記基準電流と前記過電流との差に比例するように前記変更するデューティの値を決定する、請求項4に記載のモータ駆動制御装置。
【請求項6】
前記モータ駆動制御装置は、
前記モータ装置に含まれた複数の相それぞれに、前記駆動制御信号に応じた電流を提供するインバータ部をさらに含む、請求項1から5の何れか1項に記載のモータ駆動制御装置。
【請求項7】
前記逆起電力検出部は、
前記インバータ部及び前記複数の相とそれぞれ連結された複数の逆起電力検出器を含む、請求項6に記載のモータ駆動制御装置。
【請求項8】
駆動制御信号に応じて回転動作を行うモータ装置と、
前記モータ装置に前記駆動制御信号を提供して前記モータ装置の駆動を制御し、前記モータ装置から電流を印加していない相を用いて検出された逆起電力を用いて前記モータ装置の電流を印加している相の駆動電流の大きさを推定し、推定された前記駆動電流の大きさを基準電流の大きさと比較して前記モータ装置に過電流が発生したか否かを判断するモータ駆動制御装置と、を含む、モータ。
【請求項9】
前記モータ駆動制御装置は、
前記駆動制御信号を生成する駆動信号生成部と、
前記逆起電力を検出する逆起電力検出部と、
前記逆起電力を用いて前記モータ装置の駆動電流の大きさを推定し、推定された前記駆動電流の大きさを前記基準電流の大きさと比較して、前記駆動制御信号のデューティを調節する制御部と、を含む、請求項に記載のモータ。
【請求項10】
前記制御部は、
前記逆起電力と前記駆動電流との比例関係を利用して、前記逆起電力の大きさから前記駆動電流を推定する、請求項に記載のモータ。
【請求項11】
モータ装置の駆動を制御するモータ駆動制御装置により行われるモータ駆動制御方法であって、
前記モータ装置の逆起電力を、電流を印加していない相を用いて検出する段階と、
検出された前記逆起電力を用いて前記モータ装置の電流を印加している相の駆動電流の大きさを推定する段階と、
推定された前記駆動電流の大きさを基準電流の大きさと比較して、前記駆動電流が過電流であるか否かを判断して、過電流であると判断した場合に前記モータ装置の駆動制御信号のデューティを調節する段階と、を含む、モータ駆動制御方法。
【請求項12】
前記駆動電流の大きさを推定する段階は、
前記逆起電力と前記駆動電流との比例関係を利用して、前記逆起電力に該当する駆動電流の大きさを推定する段階を含む、請求項11に記載のモータ駆動制御方法。
【請求項13】
前記デューティを調節する段階は、
前記基準電流と前記駆動電流との差を算出する段階と、
算出された前記差を利用して、減少させるデューティ値を算出する段階と、を含む、請求項11または12に記載のモータ駆動制御方法。
【請求項14】
前記デューティを調節する段階は、
前記デューティ値を反映して前記モータ装置の駆動制御信号を生成する段階をさらに含む、請求項13に記載のモータ駆動制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ駆動制御装置、モータ駆動制御方法及びそれを用いたモータに関する。
【背景技術】
【0002】
モータ技術の発展に伴い、幅広い技術分野において多様な大きさを有するモータが用いられている。
【0003】
一般に、モータは、永久磁石と印加電流に応じて極性を変えるコイルとを用いて回転子(Rotor)を回転させて駆動する。最初のモータ形態は、回転子にコイルが備えられたブラシタイプのモータであったが、モータの駆動によってブラシが磨耗したり、スパークが発生するなどの問題点があった。
【0004】
これにより、最近は、多様な形態のブラシレスモータが広く用いられている。ブラシレスモータは、回転子として永久磁石を用いており、複数のコイルを固定子に備えて回転子の回転を誘導する方式である。
【0005】
このような多様なモータを制御するにあたり、過電流を制御することは共通の主要事項である。即ち、モータの制御時に駆動電流が過度に提供されると、モータの駆動面または耐久面において不安定な状況が生じ得るため、モータの駆動において過電流を防止することは重要な問題である。
【0006】
そのために、従来は、別の過電流検出回路を用いた。しかし、このような方式は、過電流検出回路により、モータの制御回路が大きくなり複雑になる問題を有し、これによって電子製品の小型化に伴うモータの小型化というニーズを満たすことができない限界性があった。
【0007】
下記先行技術文献はこのようなブラシレスモータに関するものであるが、上述した問題点を解決できない限界性を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国公開実用新案第1999−0033903号公報
【特許文献2】韓国公開特許公報 第2008−0090192号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、上記従来技術の問題点を解決するためのものであって、モータの逆起電力を用いて上記モータの過電流の発生有無を推定し、過電流の発生時に制御信号のデューティ比を調節することにより、回路の構成を単純にしながらも、発生した過電流を安定的に補正することができるモータ駆動制御装置、モータ駆動制御方法及びそれを用いたモータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1技術的な側面はモータ駆動制御装置を提案する。上記モータ駆動制御装置は、駆動信号生成部と、逆起電力検出部と、制御部と、を含む。上記駆動信号生成部は、モータ装置の駆動を制御する駆動制御信号を生成する。上記逆起電力検出部は、上記モータ装置から発生する逆起電力を検出する。上記制御部は、上記逆起電力を用いて上記モータ装置の駆動電流を推定し、推定された上記駆動電流が過電流に該当すると、上記駆動制御信号のデューティを調節する。
【0011】
一実施形態において、上記制御部は、上記逆起電力と上記駆動電流との比例関係を利用して、上記逆起電力の大きさから上記駆動電流を推定することができる。
【0012】
一実施形態において、上記制御部は、テーブル格納部と、過電流検出器と、を含むことができる。上記テーブル格納部は、上記逆起電力と上記駆動電流との対応関係を格納することができる。上記過電流検出器は、上記テーブル格納部を用いて、上記逆起電力検出部から提供された逆起電力に相応する駆動電流の大きさを推定し、推定された上記駆動電流の大きさが過電流に該当するか否かを判断することができる。
【0013】
一実施形態において、上記制御部は、デューティ制御器をさらに含むことができる。上記デューティ制御器は、上記駆動電流が上記過電流と判断されると、上記駆動制御信号のデューティを変更するように上記駆動信号生成部を制御することができる。
【0014】
一実施形態において、上記デューティ制御器は、所定の基準電流と上記過電流との差に比例して、上記変更するデューティの値を決定することができる。
【0015】
一実施形態において、上記モータ駆動制御装置は、インバータ部をさらに含むことができる。上記インバータ部は、上記モータ装置に含まれた複数の相それぞれに、上記駆動制御信号に応じた電流を提供することができる。
【0016】
一実施形態において、上記逆起電力検出部は、上記インバータ部及び上記複数の相とそれぞれ連結された複数の逆起電力検出器を含むことができる。
【0017】
一実施形態において、上記逆起電力検出部は、現在動作していない相と連結された逆起電力検出器を用いて上記逆起電力を検出することができる。
【0018】
本発明の第2技術的な側面はモータを提案する。上記モータは、モータ装置と、モータ駆動制御装置と、を含む。上記モータ装置は、駆動制御信号に応じて回転動作を行う。上記モータ駆動制御装置は、上記モータ装置に上記駆動制御信号を提供して上記モータ装置の駆動を制御し、上記モータ装置から検出された逆起電力を用いて上記モータ装置に過電流が発生したか否かを判断する。
【0019】
一実施形態において、上記モータ駆動制御装置は、駆動信号生成部と、逆起電力検出部と、制御部と、を含むことができる。上記駆動信号生成部は、上記駆動制御信号を生成することができる。上記逆起電力検出部は、上記逆起電力を検出することができる。上記制御部は、上記逆起電力を用いて上記モータ装置の駆動電流を推定し、推定された上記駆動電流が過電流に該当すると、上記駆動制御信号のデューティを調節することができる。
【0020】
一実施形態において、上記制御部は、上記逆起電力と上記駆動電流との比例関係を利用して、上記逆起電力の大きさから上記駆動電流を推定することができる。
【0021】
本発明の第3技術的な側面はモータ駆動制御方法を提案する。上記モータ駆動制御方法は、モータ装置の駆動を制御するモータ駆動制御装置により行われる。上記モータ駆動制御方法は、上記モータ装置の逆起電力を検出する段階と、検出された上記逆起電力を用いて上記モータ装置の駆動電流を推定する段階と、推定された上記駆動電流が過電流であるか否かをを判断し、もし、過電流であると、上記モータ装置の駆動制御信号のデューティを調節する段階と、を含む。
【0022】
一実施形態において、上記駆動電流を推定する段階は、上記逆起電力と上記駆動電流との比例関係を利用して、上記逆起電力に該当する駆動電流の大きさを推定する段階を含むことができる。
【0023】
一実施形態において、上記デューティを調節する段階は、所定の基準電流と上記駆動電流との差を算出する段階と、算出された上記差を利用して、減少させるデューティ値を算出する段階と、を含むことができる。
【0024】
一実施形態において、上記デューティを調節する段階は、上記デューティ値を反映して上記モータ装置の駆動制御信号を生成する段階をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一実施形態によると、モータの逆起電力を用いて上記モータの過電流の発生有無を推定し、過電流の発生時に制御信号のデューティ比を調節することにより、回路の構成を単純にしながらも、発生した過電流を安定的に補正することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】モータ駆動制御装置の一例を説明するための構成図である。
図2図1の過電流検出部の一例を説明するための概略的な回路図である。
図3】本発明によるモータ駆動制御装置の一実施形態を説明するための構成図である。
図4図3の逆起電力検出部の一実施形態を説明するための概略的な回路図である。
図5】駆動電流と逆起電力との関係を示す参考グラフである。
図6図3の制御部の一実施形態を説明するためのブロック構成図である。
図7図3の制御部の一実施形態を説明するための概略的な回路図である。
図8】本発明によるモータ駆動制御方法の一実施形態を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下では、添付の図面を参照し、本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。なお、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0028】
以下では、説明の便宜上、ブラシレスモータを基準として本発明を説明する。しかし、これは説明の便宜のためのものであるため、本発明の権利範囲が必ずしもブラシレスモータに限定されないということは明確である。
【0029】
また、以下では、モータそのものはモータ装置200と称し、モータ装置200を駆動するためのモータ駆動制御装置100とモータ装置200とを含んでモータと称して説明する。
【0030】
図1はモータ駆動制御装置の一例を説明するための構成図であり、図2図1の過電流検出部の一例を説明するための概略的な回路図である。
【0031】
図1及び図2を参照すると、モータ駆動制御装置100は、電源供給部110と、駆動信号生成部120と、インバータ部130と、逆起電力検出部140と、制御部150と、過電流検出部160と、を含むことができる。
【0032】
電源供給部110は、モータ駆動制御装置100の各構成要素に電源を供給することができる。例えば、電源供給部110は、常用電源の交流電圧を直流電圧に変換して供給することができる。図示した例において、点線で示された部分は、電源供給部110から所定の電源が供給されることを意味する。
【0033】
駆動信号生成部120は、インバータ部130に駆動制御信号を提供することができる。
【0034】
一実施形態において、駆動制御信号は、パルス幅変調信号(PWM、Pulse Width Modulation)であることができる。この場合、駆動信号生成部120は、所定の基準波形(例えば、三角波)に可変的な直流レベルを適用することで、パルス幅変調信号のデューティを調節することができる。例えば、三角波の低い電圧レベルに近い直流レベルを適用するほど、パルス幅変調信号のデューティは大きくなる。
【0035】
インバータ部130は、モータ装置200の動作を制御することができる。例えば、インバータ部130は、駆動制御信号に応じて直流電圧を複数の相(例えば、3相または4相)電圧に変換することで、モータ装置200のコイル(上記複数の相に対応)にそれぞれ印加することができる。
【0036】
逆起電力検出部140は、モータ装置200の逆起電力を検出することができる。
【0037】
制御部150は、逆起電力検出部140から提供される逆起電力を用いて駆動制御信号を生成するように駆動信号生成部120を制御することができる。例えば、制御部150は、逆起電力のゼロ交差(Zero−Crossing)時点に相転換が行われるように駆動信号生成部120を制御することができる。
【0038】
過電流検出部160は、モータ装置200の駆動電流が過電流であるか否かを検出することができる。過電流検出部160は、過電流が発生すると、モータ装置200の駆動を停止するようにすることができる。
【0039】
図2に示されているように、過電流検出部160は、ローパスフィルター161と、比較器162と、センス抵抗163と、を含むことができる。より詳細に説明すると、過電流検出部160は、センス抵抗163を用いてモータ装置200に流れる電流を電圧に変換し、変換された電圧を抵抗Rf及びキャパシターCfからなるローパスフィルター161を通過させることができる。ローパスフィルター161によってフィルタリングされた上記電圧を所定の基準電圧と比較し、基準電圧以上であると、ゲートドライバ(図示せず)をオフにする。
【0040】
モータ装置200は、駆動制御信号に応じて回転動作を行うことができる。例えば、モータ装置200は、インバータ部130から提供される各相に流れる電流により、モータ装置200の各コイルに磁場を発生させることができる。このような各コイルから発生する磁場により、モータ装置200に備えられた回転子が回転することができる。
【0041】
しかし、図1及び図2に示された例では、別の過電流検出部160を必要とするため、モータ駆動回路の大きさが大きくなり、構成が複雑になる限界がある。また、過電流が検出される場合、ゲートドライバをオフにしてモータ装置200の駆動そのものを停止させるため、モータ装置200の駆動が安定的ではなく断絶的に行われるようになって電力消耗が増加する限界性も有している。
【0042】
以下では、図3から図8を参照して本発明の多様な実施形態について説明する。
【0043】
後述する本発明の多様な実施形態に関する説明において、図1から図2を参照して詳述した内容と同一であるか、それに相応する内容については繰り返し説明しない。しかし、当業者にとって、上述した説明から本発明の具体的な内容が明確に理解できることは明白である。
【0044】
図3は本発明によるモータ駆動制御装置の一実施形態を説明するための構成図であり、図4図3の逆起電力検出部の一実施形態を説明するための概略的な回路図である。
【0045】
図3及び図4を参照すると、モータ駆動制御装置100は、電源供給部110と、駆動信号生成部120と、インバータ部130と、逆起電力検出部140と、制御部150と、を含むことができる。
【0046】
電源供給部110は、モータ駆動制御装置100の各構成要素に電源を供給することができる。
【0047】
駆動信号生成部120は、制御部150の制御に従い、モータ装置200の駆動制御信号を生成することができる。例えば、所定のデューティ比を有するパルス幅変調信号(以下、PWM信号)を生成してインバータ部130に提供することで、モータ装置200を駆動するようにすることができる。
【0048】
インバータ部130は、モータ装置200の複数の相それぞれに、駆動制御信号による駆動電流を提供することができる。
【0049】
逆起電力検出部140は、モータ装置200において発生する逆起電力を検出することができる。
【0050】
一実施形態において、逆起電力検出部140は、モータ装置200の複数の相と連結された複数の逆起電力検出器を含むことができる。逆起電力検出器は、複数の相のうちいずれか一つとインバータ部130と共通に連結されることができる。図4には、一つの相(A相)に対する逆起電力検出器の例のみが示されているが、これは図面を簡略に表記するためであって、実際には、図示された3相の全てに対してそれぞれ逆起電力検出器を有してもよい。
【0051】
一実施形態において、逆起電力検出部140は、現在動作していない相と連結された逆起電力検出器を用いることで、逆起電力を検出することができる。これは、現在駆動電流が提供される相によって回転子が回転する場合、現在動作していない相に逆起電力が誘導されるためである。
【0052】
制御部150は、逆起電力を用いてモータ装置の駆動電流を推定することができる。即ち、逆起電力及び駆動電流は比例関係を有することができ、制御部150はこのような比例関係を利用して逆起電力から駆動電流を推定することができる。
【0053】
制御部150は、推定された駆動電流が過電流に該当すると、駆動制御信号のデューティを調節することができるようになる。
【0054】
このような制御部150については、図5から図7を参照して以下でより詳細に説明する。
【0055】
図5は駆動電流と逆起電力との関係を示す参考グラフである。
【0056】
図5のグラフを参照すると、逆起電力と駆動電流は比例することが分かる。これは、駆動電流が大きくなるほど、モータ装置の回転子の回転速度が速くなり、上記回転子の回転速度が速くなるほど、回転によって誘発される逆起電力の大きさが大きくなるためである。
【0057】
つまり、本発明は、このような点、即ち、逆起電力と駆動電流との比例関係を利用して逆起電力から駆動電流を推定することができ、これにより、別の過電流検出回路を用いることなく過電流の発生有無を判断することができる。
【0058】
図6図3の制御部の一実施形態を説明するためのブロック構成図である。また、図7図3の制御部の一実施形態を説明するための概略的な回路図である。
【0059】
図3図6及び図7を参照すると、制御部150は、テーブル格納部151と、過電流検出器152と、デューティ制御器153と、を含むことができる。
【0060】
テーブル格納部151は、逆起電力と駆動電流との対応関係を格納することができる。
【0061】
過電流検出器152は、テーブル格納部151を用いることで、逆起電力検出部から提供された逆起電力に相応する駆動電流の大きさを推定することができる。過電流検出器152は、推定された駆動電流の大きさが過電流に該当するか否かを判断することができる。
【0062】
デューティ制御器153は、駆動電流が過電流と判断されると、駆動制御信号のデューティを変更するように駆動信号生成部120を制御することができる。
【0063】
【表1】
【0064】
上記表1は、速度、駆動制御信号のデューティ、逆起電力及び駆動電流間の関係の一例を示すものである。表1の例と共に、モータ装置200は、10000rpmまで動作するモータと仮定しており、駆動電流が1Aの80%以下は一般的な状態、80%超過は過電流と判断する。
【0065】
過電流検出器152は、テーブル格納部151を用いることで、入力された逆起電力に該当する駆動電流を推定することができる。例えば、入力された逆起電力のレベルが4.5Vに該当する場合、過電流検出器152は、駆動電流が900mAであると推定することができる。
【0066】
過電流検出器152は推定された駆動電流が過電流であると判断し、デューティ制御器153はそれに応じてデューティ比を調節するようにデューティ補正信号を出力することができる。
【0067】
デューティ制御器153は、所定の基準電流と過電流との差に比例して、変更するデューティ値を決定することができる。上述した例を挙げて説明すると、駆動電流が900mAであると、現在の駆動制御信号は90%のデューティを有することから、デューティ制御器153は、駆動電流が安定した一般的な状態、即ち、デューティ80%以下になるようにデューティ補正値を計算するようになる。即ち、上述した例において、デューティ補正値は10%となり、このようなデューティ10%を減少させるようにデューティ補正信号を出力することができる。
【0068】
ここで、デューティ制御器153は、デューティ補正信号として、パルス幅変調信号の生成に用いられる直流レベルを提供することができる。よって、減少させるデューティ比に応じて電圧が高くなった直流レベルを駆動信号生成部120に提供することができ、駆動信号生成部120は、このような直流レベルを所定の基準信号(三角波など)と合成してパルス幅変調信号を生成することができる。
【0069】
図7に示された概略的な回路図において、第1から第3参照信号はテーブル格納部151として機能することができ、デコーダは過電流検出器152及びデューティ制御器153の機能を提供することができる。
【0070】
図8は本発明によるモータ駆動制御方法の一実施形態を説明するためのフローチャートである。
【0071】
以下では、図8を参照して本発明によるモータ駆動制御方法の一実施形態を説明する。本発明によるモータ駆動制御方法の一実施形態は、図3から図7を参照して詳述したモータ駆動制御装置100において行われるものであるため、上述した説明と同一であるか、それに相応する内容については繰り返し説明しない。
【0072】
図8を参照すると、モータ駆動制御装置100は、モータ装置200の逆起電力を検出することができる(S810)。
【0073】
モータ駆動制御装置100は、検出された逆起電力を用いてモータ装置200の駆動電流を推定することができ、推定された駆動電流を用いることで、駆動電流が過電流であるか(過電流状態であるか)否かを確認することができる(S820)。
【0074】
もし、過電流状態であれば(S830、はい)、モータ駆動制御装置100は、デューティ補正値を計算し、デューティ補正値を反映して駆動制御信号を生成することができる(S840、S850)。
【0075】
もし、過電流状態でなければ(S830、いいえ)、モータ駆動制御装置100は、S810からS830を繰り返し行うことができる。
【0076】
S820に対する一実施形態において、モータ駆動制御装置100は、逆起電力と駆動電流との比例関係を利用して、逆起電力に該当する駆動電流の大きさを推定することができる。
【0077】
S840に対する一実施形態において、モータ駆動制御装置100は、所定の基準電流と駆動電流との差を算出し、算出された上記差を利用して、減少させるデューティ値(デューティ補正値)を算出することができる。
【0078】
S850に対する一実施形態において、モータ駆動制御装置100は、S840で算出されたデューティ値(デューティ補正値)を反映してモータ装置200の駆動制御信号を生成することができる。
【0079】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有するものには明らかである。
【符号の説明】
【0080】
100 モータ駆動制御装置
110 電源供給部
120 駆動信号生成部
130 インバータ部
140 逆起電力検出部
150 制御部
151 テーブル格納部
152 過電流検出器
153 デューティ制御器
160 過電流検出部
161 ローパスフィルター
162 比較器
163 センス抵抗
200 モータ装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8