(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5665064
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】モーター駆動制御装置、モーター駆動制御方法及びそれを用いたモーター
(51)【国際特許分類】
H02P 29/00 20060101AFI20150115BHJP
【FI】
H02P7/00 B
【請求項の数】13
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-97509(P2013-97509)
(22)【出願日】2013年5月7日
(65)【公開番号】特開2014-124073(P2014-124073A)
(43)【公開日】2014年7月3日
【審査請求日】2013年5月7日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0150862
(32)【優先日】2012年12月21日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】コー、ジョー ユル
【審査官】
塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−158197(JP,A)
【文献】
特開平10−337077(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モーター装置の速度信号又は外部から入力された速度指令信号の少なくとも一つを用いて速度制御信号を生成する制御部と、
前記速度制御信号のデューティ比を算出するデューティ比算出部と、
前記デューティ比を用いて前記モーター装置の駆動を制御する駆動制御信号を生成する駆動信号生成部と、を含み、
前記速度制御信号は、パルス幅変調信号又は直流電圧信号を含み、
前記デューティ比算出部は、予め設定された基準時間内に前記速度制御信号が変化するか否かにより、前記速度制御信号がパルス幅変調信号又は直流電圧信号の何れであるのかを判断して前記デューティ比を算出する、モーター駆動制御装置。
【請求項2】
前記モーター駆動制御装置は、前記駆動制御信号により、前記モーター装置の複数の相の少なくとも一つに駆動電力を供給するインバーター部をさらに含む、請求項1に記載のモーター駆動制御装置。
【請求項3】
前記デューティ比算出部は、
前記速度制御信号が前記パルス幅変調信号又は前記直流電圧信号の何れに該当するかを判断する信号識別器と、
前記信号識別器から前記直流電圧信号の提供を受けると、前記直流電圧信号から速度情報を検出し、検出された前記速度情報から前記デューティ比を算出するDCデューティ比算出器と、を含む、請求項1または2に記載のモーター駆動制御装置。
【請求項4】
前記デューティ比算出部は、前記信号識別器から前記パルス幅変調信号の提供を受けると、前記パルス幅変調信号から前記デューティ比を算出するPWMデューティ比算出器をさらに含む、請求項3に記載のモーター駆動制御装置。
【請求項5】
前記信号識別器は、前記速度制御信号をアナログ‐デジタル変換し、予め設定された前記基準時間内に前記速度制御信号が変化しなかった場合には前記速度制御信号を前記DCデューティ比算出器に提供し、変化した場合には前記速度制御信号を前記PWMデューティ比算出器に提供する、請求項4に記載のモーター駆動制御装置。
【請求項6】
外部から提供される駆動電力を用いて回転動作を行うモーター装置と、
駆動制御信号により前記モーター装置に前記駆動電力を提供して前記モーター装置の駆動を制御するモーター駆動制御装置と、を含み、
前記モーター駆動制御装置は、予め設定された基準時間内に速度制御信号が変化するか否かにより、前記速度制御信号がパルス幅変調信号又は直流電圧信号の何れであるのかを判断して前記駆動制御信号のデューティ比を決定して前記駆動制御信号を生成する、モーター。
【請求項7】
前記モーター駆動制御装置は、
前記モーター装置の速度信号又は外部から入力された速度指令信号の少なくとも一つを用いて前記速度制御信号を生成する制御部と、
前記速度制御信号の種類に関係なく前記デューティ比を算出するデューティ比算出部と、
前記デューティ比を用いて前記駆動制御信号を生成する駆動信号生成部と、を含む、請求項6に記載のモーター。
【請求項8】
前記デューティ比算出部は、
前記速度制御信号が前記パルス幅変調信号又は前記直流電圧信号の何れに該当するかを判断する信号識別器と、
前記信号識別器から前記直流電圧信号の提供を受けると、前記直流電圧信号から速度情報を検出し、検出された前記速度情報から前記デューティ比を算出するDCデューティ比算出器と、
前記信号識別器から前記パルス幅変調信号の提供を受けると、前記パルス幅変調信号から前記デューティ比を算出するPWMデューティ比算出器と、を含む、請求項7に記載のモーター。
【請求項9】
前記信号識別器は、前記速度制御信号をアナログ‐デジタル変換し、予め設定された前記基準時間内に前記速度制御信号が変化しなかった場合には前記速度制御信号を前記DCデューティ比算出器に提供し、変化した場合には前記速度制御信号を前記PWMデューティ比算出器に提供する、請求項8に記載のモーター。
【請求項10】
モーター装置の駆動を制御するモーター駆動制御装置で行われるモーター駆動制御方法であって、
速度制御信号をデジタル信号に変換する段階と、
前記デジタル信号の値が予め設定された基準時間内に変化するかによって前記速度制御信号がパルス幅変調信号又は直流電圧信号の何れであるのかを判断する段階と、
前記速度制御信号の種類に応じて相違する方法により前記速度制御信号からデューティ比を計算する段階と、を含む、モーター駆動制御方法。
【請求項11】
前記速度制御信号が前記パルス幅変調信号又は前記直流電圧信号の何れであるのかを判断する段階は、
前記デジタル信号の値が前記基準時間内に変化するかを判断する段階と、
変化した場合には前記速度制御信号を前記パルス幅変調信号と判断する段階と、
変化しなかった場合には前記速度制御信号を前記直流電圧信号と判断する段階と、を含む、請求項10に記載のモーター駆動制御方法。
【請求項12】
前記デューティ比を計算する段階は、
前記速度制御信号が前記直流電圧信号である場合には前記デジタル信号の値から速度情報を検出する段階と、
検出された前記速度情報を用いて前記デューティ比を算出する段階と、を含む、請求項11に記載のモーター駆動制御方法。
【請求項13】
前記デューティ比を計算する段階は、前記速度制御信号が前記パルス幅変調信号である場合には前記パルス幅変調信号から前記デューティ比を算出する段階をさらに含む、請求項12に記載のモーター駆動制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モーター駆動制御装置、モーター駆動制御方法及びそれを用いたモーターに関する。
【背景技術】
【0002】
モーター技術の発展に伴い、幅広い技術分野において様々な大きさのモーターが用いられている。
【0003】
通常、モーターは、永久磁石と、印加電流に応じて極性を変えるコイルを用いて回転子(Rotor)を回転させることで駆動する。最初のモーターは回転子にコイルを設けたブラシタイプのモーターであったが、モーターの駆動によってブラシが摩耗したりスパークが発生するなどの問題点があった。
【0004】
そのため、近年、様々な形態のブラシレスモーターが汎用的に使用されている。ブラシレスモーターは、ブラシ、整流子などの機械的な接触部を除去し、その代わりに電子的な整流機器を用いて駆動する直流モーターであり、永久磁石からなるローター(rotor)と、複数の相に対応するコイルを備えて各コイルの相電圧によって発生する磁気力により回転する回転子を含むことができる。
【0005】
このようなモーターの正確な駆動のためには、モーターの速度を把握して駆動を制御することが要求される。
【0006】
ここで、このような速度制御信号としては各種の信号が用いられることができる。例えば、パルス幅変調(Pulse Width Modulation、PWM)信号やDC電圧信号が速度制御信号として用いられることができる。
【0007】
しかし、このような速度制御信号の種類が相違するため、各速度信号の種類に応じて制御回路を構成しなければならない。したがって、モーター駆動制御装置の構成が複雑になり、そのためモーター駆動制御装置の大きさが大きくなるという限界性がある。
【0008】
下記の先行技術文献はこのようなモーター技術に関するものであるが、上述した問題点を解決することができないという限界性を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】韓国公開特許公報第1998−061644号
【特許文献2】特開2012−046075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、上記した従来技術の問題点を解決することにあり、アナログ‐デジタル変換を用いて速度制御信号の種類を簡単に識別し、識別された速度制御信号の種類に応じてデューティ比を容易に計算することができるモーター駆動制御装置、モーター駆動制御方法及びそれを用いたモーターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の技術的な面は、モーター駆動制御装置を提案する。上記モーター駆動制御装置は、モーター装置の速度信号又は外部から入力された速度指令信号の少なくとも一つを用いて速度制御信号を生成する制御部と、上記速度制御信号のデューティ比を算出するデューティ比算出部と、上記デューティ比を用いて上記モーター装置の駆動を制御する駆動制御信号を生成する駆動信号生成部と、を含む。
【0012】
一実施例において、上記モーター駆動制御装置は、上記駆動制御信号により、上記モーター装置の複数の相の少なくとも一つに駆動電力を供給するインバーター部をさらに含むことができる。
【0013】
一実施例において、上記速度制御信号は、パルス幅変調信号又は直流電圧信号を含み、上記デューティ比算出部は、上記速度制御信号が上記パルス幅変調信号又は上記直流電圧信号の何れであるかを識別して上記デューティ比を算出することができる。
【0014】
一実施例において、上記デューティ比算出部は、上記速度制御信号がパルス幅変調信号又は直流電圧信号の何れに該当するかを判断する信号識別器と、上記信号識別器から上記直流電圧信号の提供を受けると、上記直流電圧信号から速度情報を検出し、検出された上記速度信号から上記デューティ比を算出するDCデューティ比算出器と、を含むことができる。
【0015】
一実施例において、上記デューティ比算出部は、上記信号識別器から上記パルス幅変調信号の提供を受けると、上記パルス幅変調信号から上記デューティ比を算出するPWMデューティ比算出器をさらに含むことができる。
【0016】
一実施例において、上記信号識別器は、上記速度制御信号をアナログ‐デジタル変換し、予め設定された基準時間内に上記速度制御信号が変化しなかった場合には上記速度制御信号を上記DCデューティ比算出器に提供し、変化した場合には上記速度制御信号を上記PWMデューティ比算出器に提供することができる。
【0017】
本発明の第2の技術的な面はモーターを提案する。上記モーターは、外部から提供される駆動電力を用いて回転動作を行うモーター装置と、駆動制御信号により上記モーター装置に上記駆動電力を提供して上記モーター装置の駆動を制御するモーター駆動制御装置と、を含む。ここで、上記モーター駆動制御装置は、速度制御信号の種類に関係なく上記駆動制御信号のデューティ比を決定して上記駆動制御信号を生成する。
【0018】
一実施例において、上記速度制御信号は、パルス幅変調信号又は直流電圧信号の何れか一つであることができる。
【0019】
一実施例において、上記モーター駆動制御装置は、上記モーター装置の速度信号又は外部から入力された速度指令信号の少なくとも一つを用いて上記速度制御信号を生成する制御部と、上記速度制御信号の種類に関係なく上記デューティ比を算出するデューティ比算出部と、上記デューティ比を用いて上記駆動制御信号を生成する駆動信号生成部と、を含むことができる。
【0020】
一実施例において、上記デューティ比算出部は、上記速度制御信号がパルス幅変調信号又は直流電圧信号の何れに該当するかを判断する信号識別器と、上記信号識別器から上記直流電圧信号の提供を受けると、上記直流電圧信号から速度情報を検出し、検出された上記速度信号から上記デューティ比を算出するDCデューティ比算出器と、上記信号識別器から上記パルス幅変調信号の提供を受けると、上記パルス幅変調信号から上記デューティ比を算出するPWMデューティ比算出器と、を含むことができる。
【0021】
一実施例において、上記信号識別器は、上記速度制御信号をアナログ‐デジタル変換し、予め設定された基準時間内に上記速度制御信号が変化しなかった場合には上記速度制御信号を上記DCデューティ比算出器に提供し、変化した場合には上記速度制御信号を上記PWMデューティ比算出器に提供することができる。
【0022】
本発明の第3の技術的な面は、モーター駆動制御方法を提案する。上記モーター駆動制御方法は、モーター装置の駆動を制御するモーター駆動制御装置で行われる。上記モーター駆動制御方法は、速度制御信号をデジタルに変換する段階と、デジタルに変化された値が予め設定された基準時間内に変化するかによって上記速度制御信号の種類を決定する段階と、上記速度制御信号の種類に応じて相違する方法により上記速度制御信号からデューティ比を計算する段階と、を含む。
【0023】
一実施例において、上記速度制御信号の種類を決定する段階は、上記デジタルに変化された値が基準時間内に変化するかを判断する段階と、変化した場合には上記速度制御信号をパルス幅変調信号と判断する段階と、変化しなかった場合には上記速度制御信号を直流電圧信号と判断する段階と、を含むことができる。
【0024】
一実施例において、上記デューティ比を計算する段階は、上記速度制御信号が上記直流電圧信号である場合には上記デジタルに変化された値から速度情報を検出する段階と、上記検出された速度情報を用いて上記デューティ比を算出する段階と、を含むことができる。
【0025】
一実施例において、上記デューティ比を計算する段階は、上記速度制御信号が上記パルス幅変調信号である場合には上記パルス幅変調信号から上記デューティ比を算出する段階をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の一実施形態によると、アナログ‐デジタル変換を用いて速度制御信号の種類を簡単に識別し、識別された速度制御信号の種類に応じてデューティ比を容易に計算することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明によるモーター駆動制御装置の一実施例を説明するための構成図である。
【
図2】
図1のインバーター部の一例を説明するための簡単な回路図である。
【
図3】
図1のデューティ比算出部の一実施例を説明するための構成図である。
【
図4】パルス幅変調信号と直流電圧を識別するための信号識別器を説明するための参考グラフである。
【
図5】パルス幅変調信号と直流電圧を識別するための信号識別器を説明するための参考グラフである。
【
図6】本発明によるモーター駆動制御方法の一実施例を説明するためのフローチャートである。
【
図7】本発明によるモーター駆動制御方法の他の実施例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0029】
以下では、説明の便宜上、ブラシレスモーターに基づいて本発明を説明する。しかし、これは説明の便宜上のことであり、本発明の権利範囲はブラシレスモーターに限定されない。
【0030】
また、以下では、モーターそのものはモーター装置200と称し、モーター装置200の駆動を制御するモーター駆動制御装置100とモーター装置200を併せてモーターと称して説明する。
【0031】
図1は本発明によるモーター駆動制御装置の一実施例を説明するための構成図である。
【0032】
モーター装置200は、駆動制御信号により回転動作を行うことができる。例えば、インバーター部130から提供される駆動電流により、モーター装置200の各コイルに磁界が発生することができる。このようなコイルで発生する磁界によってモーター装置200に備えられた回転子が回転することができる。
【0033】
モーター駆動制御装置100は、駆動制御信号によりモーター装置200に駆動電源を提供してモーター装置200の駆動を制御することができる。ここで、モーター駆動制御装置100は、速度制御信号の種類に関係なく駆動制御信号のデューティ比を決定して駆動制御信号を生成することができる。
【0034】
一実施例において、駆動制御信号は、可変的なデューティ比を有するパルス幅変調信号であることができる。また、速度信号は、モーター装置200の駆動速度を意味する信号であり、速度制御信号は、速度変化を制御するための信号を意味する。また、速度指令信号は、モーター駆動制御装置100の外部から入力される速度制御要請に関する信号を意味する。
【0035】
図1に図示されたように、モーター駆動制御装置100は、電源供給部110と、駆動信号生成部120と、インバーター部130と、速度検出部140と、制御部150と、デューティ比算出部160と、を含むことができる。
【0036】
電源供給部110は、モーター駆動制御装置100の各構成要素に電源を供給することができる。例えば、電源供給部110は、常用電源の交流電圧を直流電圧に変換して供給することができる。図示された例において、点線で表した部分は、電源供給部110から所定の電源が供給されることを意味する。
【0037】
駆動信号生成部120は、インバーター部130に駆動制御信号を提供することができる。具体的には、駆動信号生成部120は、デューティ比算出部160から提供されたデューティ比を用いてモーター装置200の駆動を制御する駆動制御信号を生成することができる。
【0038】
ここで、駆動制御信号はパルス幅変調信号(PWM、Pulse Width Modulation)であることができる。このような場合、駆動信号生成部120は、所定の基準波形(例えば、三角波)に可変的な直流レベルを適用してパルス幅変調信号のデューティを調節することができる。
【0039】
インバーター部130はモーター装置200を動作させることができる。具体的には、インバーター部130は、駆動信号生成部120から提供された駆動制御信号により、モーター装置の複数の相の少なくとも一つに駆動電力を供給することができる。例えば、インバーター部130は、駆動制御信号により直流電圧を複数の相(例えば、3相又は4相)電圧に変換してモーター装置200のコイル(上記複数の相に対応)にそれぞれ印加して磁界を発生させることができる。
【0040】
このようなインバーター部130については、
図2を参照して以下でより詳細に説明する。
【0041】
速度検出部140はモーター装置200の回転速度を検出することができる。速度検出部140は、回転速度に対する速度信号を制御部150に提供することができ、制御部150は、これに基づいて速度制御信号を生成することができる。
【0042】
一実施例において、速度検出部140は、逆起電力を検出してモーター装置200の回転速度を算出することができる。または、速度検出部140は、検出された逆起電力を制御部150に提供してモーター装置200の相転換時点を決定するために用いることができる。
【0043】
制御部150は、モーター装置200の相転換時点を確認し、確認した相転換時点を用いて駆動制御信号を生成するように駆動信号生成部120を制御することができる。例えば、制御部150は、逆起電力のゼロクロス(Zero‐Crossing)時点で相転換を行うように駆動信号生成部120を制御することができる。
【0044】
また、制御部150は、モーター装置200の速度信号又は外部から入力された速度指令信号の少なくとも一つを用いて速度制御信号を生成することができる。
【0045】
ここで、速度制御信号は、各種の信号を包括して示すことができる。例えば、速度制御信号は、パルス幅変調信号又は直流電圧信号を含むことができる。
【0046】
デューティ比算出部160は、制御部150から提供された速度制御信号のデューティ比を算出することができる。デューティ比算出部160は、算出されたデューティ比を駆動信号生成部120に提供することができ、駆動信号生成部120は、デューティ比算出部160から提供されたデューティ比又は制御部150から提供された相転換信号を用いて、駆動制御信号を生成することができる。
【0047】
このようなデューティ比算出部160については、
図3から
図5を参照して以下でより詳細に説明する。
【0048】
図2は
図1のインバーター部の一例を説明するための簡単な回路図である。
【0049】
図1及び
図2を参照すると、インバーター部130は、+電源端に連結される複数の上位スイッチ素子SW1〜SW3と、上位スイッチ素子SW1〜SW3それぞれと−電源端との間に備えられる複数の下位スイッチ素子SW4〜SW6と、からなり、各上位スイッチ素子SW1〜SW3と下位スイッチ素子SW4〜SW6との接点は、モーター装置200の各コイルU、V、Wに連結される。
【0050】
インバーター部130の上位スイッチ素子SW1〜SW3は順にターンオンし、下位スイッチ素子SW4〜SW6は連結された上位スイッチ素子SW4〜SW6と反対の状態にオン/オフ動作を行うが、この際、スイッチ素子SW1がターンオンすると、モーター装置200のUコイルに+電圧が印加され、動作中に、スイッチ素子SW6がターンオンしてWコイルには‐電圧が印加される。これにより、UコイルとWコイルとの間に反対極性の磁気力が発生し、磁気力の交互作用によって回転子が60度回転する。次に、スイッチ素子SW1はオフし、スイッチ素子SW2がオンして、Wコイルに発生した磁気力と反対極性の磁気力がVコイルに発生し、この磁気力によってモーター装置200がさらに60度回転する。同様に、スイッチ素子SW2がオン状態である間にスイッチ素子SW6がオフし、スイッチ素子SW4がオンして、UコイルにVコイルの磁気力と反対極性の磁気力が発生し、回転子がさらに60度回転する。次に、スイッチ素子SW2がオフし、スイッチ素子SW3がオンして、UコイルとWコイルに反対極性の磁気力が発生し、これによりモーター装置200がさらに60度回転し、次にスイッチ素子SW4がオフし、スイッチ素子SW5がオンして、VコイルとWコイルの磁気力によって回転子がまた60度回転する。
【0051】
このような過程が繰り返して行われて回転子が回転し続けることによりモーター装置200が動作する。
【0052】
図3は
図1のデューティ比算出部の一実施例を説明するための構成図であり、
図4及び
図5はパルス幅変調信号と直流電圧を識別するための信号識別器について説明するための参考グラフである。
【0053】
以下では、
図3から
図5を参照してデューティ比算出部160についてより詳細に説明する。
【0054】
デューティ比算出部160は、速度制御信号がパルス幅変調信号又は直流電圧信号の何れであるかを識別してデューティ比を算出することができる。
図3を参照してより詳細に説明すると、デューティ比算出部160は、信号識別器161と、DCデューティ比算出器162と、PWMデューティ比算出器163と、を含むことができる。
【0055】
信号識別器161は、速度制御信号がパルス幅変調信号又は直流電圧信号の何れに該当するかを判断することができる。
【0056】
一実施例において、信号識別器161は、速度制御信号をアナログ‐デジタル変換し、予め設定された基準時間内に速度制御信号が変化した場合には、上記速度制御信号を直流(DC)電圧信号と判断することができる。一方、予め設定された基準時間内に速度制御信号が変化しかった場合には、速度制御信号をパルス幅変調信号(PWM)と判断することができる。
【0057】
図4及び
図5を参照して、信号識別器161の動作についてより詳細に説明すると、信号識別器161は、入力を受けた速度制御信号に対してアナログ‐デジタル変換を行うことができる。このために、信号識別器161は、アナログ‐デジタル変換器(Analog‐to‐Digital Converter)で具現されることができる。
【0058】
次に、信号識別器161は、予め設定された基準時間内に速度制御信号の値が変化するかを判断する。
【0059】
図4の例において、基準時間内に速度制御信号Spwmの値が変化したため、信号識別器161は、該速度制御信号をパルス幅変調信号と判断することができる。これは、パルス幅変調信号の場合、可変的なパルス幅を有するが所定周期を有するためである。したがって、ここで、基準時間はパルス幅変調信号の少なくとも一つの周期より大きい時間が好ましい。
【0060】
反面、
図5の例では、予め設定された基準時間後に速度制御信号Svspの値が変更されたため、信号識別器161はこれを直流電圧信号と判断することができる。これは、直流電圧信号の場合、所定周期を有しないためである。
【0061】
一方、直流電圧信号であっても、基準時間内に可変的な値を有する場合が少なくとも1回発生することができる。したがって、一実施例において、信号識別器161は、予め設定された基準時間内に速度制御信号の値が変化するかを判断する過程を複数回行って速度制御信号の種類を判断することができる。
【0062】
図3を再度参照すると、信号識別器161は、速度制御信号が直流電圧信号である場合にはこれをDCデューティ比算出器162に提供することができる。一方、速度制御信号がパルス幅変調信号である場合には速度制御信号をPWMデューティ比算出器163に提供することができる。
【0063】
DCデューティ比算出器162は、信号識別器161から直流電圧信号の提供を受けると、直流電圧信号から速度情報を検出し、検出された上記速度信号からデューティ比を算出することができる。
【0064】
一実施例において、DCデューティ比算出器162は、信号識別器161からアナログ‐デジタル変換された直流電圧信号の入力を受け、アナログ‐デジタル変換された直流電圧信号に対してデューティ比を算出することができる。例えば、所定クロック(例えば、10,000)を基準として、アナログ‐デジタル変換された直流電圧信号がハイ値を有する個数(例えば、2,000)を検出してデューティ比(20%)を算出することができる。
【0065】
PWMデューティ比算出器163は、信号識別器161からパルス幅変調信号の提供を受けると、パルス幅変調信号からデューティ比を算出することができる。
【0066】
ここで、信号識別器161から提供された速度制御信号がパルス幅変調信号であるため、PWMデューティ比算出器163は、信号識別器161に入力された速度制御信号をそのまま受信することができる。すなわち、PWMデューティ比算出器163は、信号識別器161でバイパスされたパルス幅変調信号の入力を受けることができる。
【0067】
図6及び
図7は本発明によるモーター制御方法の一実施例を説明するためのフローチャートである。
【0068】
以下では、
図6及び
図7を参照して、本発明によるモーター駆動制御方法の一実施例を説明する。本発明によるモーター駆動制御方法の一実施例は、
図1から
図5を参照して上述したモーター駆動制御装置100で行われるため、上述した説明と同一又はそれに対応する内容については重複して説明しない。
【0069】
図6を参照すると、モーター駆動制御装置100は、速度制御信号をデジタルに変換することができる(S610)。
【0070】
次に、モーター駆動制御装置100は、デジタルに変化された値が予め設定された基準時間内に変化するかによって速度制御信号の種類を決定することができる(S620)。
【0071】
モーター駆動制御装置100は、速度制御信号の種類に応じて相違する方法により速度制御信号からデューティ比を計算することができる(S630)。
【0072】
図7を参照すると、モーター駆動制御装置100は、速度制御信号をデジタルに変換することができる(S710)。
【0073】
次に、モーター駆動制御装置100は、デジタルに変化された速度制御信号が基準時間内に変化するかを判断することができる(S720)。
【0074】
デジタルに変化された速度制御信号が基準時間内に変化した場合には(S720、いいえ)、モーター駆動制御装置100は速度制御信号をパルス幅変調信号と判断し(S731)、パルス幅変調信号からデューティ比を算出することができる(S741)。
【0075】
反面、デジタルに変化された速度制御信号が基準時間内に変化しなかった場合には(S720、はい)、モーター駆動制御装置100は速度制御信号を直流電圧信号と判断することができる(S730)。
【0076】
次に、モーター駆動制御装置100は、デジタルに変化された値から速度情報を検出し(S730)、検出された速度情報を用いてデューティ比を算出することができる(S740)。
【0077】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0078】
100 モーター駆動制御装置
110 電源供給部
120 駆動信号生成部
130 インバーター部
140 速度検出部
150 制御部
160 デューティ比算出部
161 信号識別器
162 DCデューティ比算出器
163 PWMデューティ比算出器
200 モーター装置