特許第5665078号(P5665078)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5665078
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】エレベータ
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/18 20060101AFI20150115BHJP
【FI】
   B66B1/18 K
   B66B1/18 Q
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2010-201433(P2010-201433)
(22)【出願日】2010年9月8日
(65)【公開番号】特開2012-56700(P2012-56700A)
(43)【公開日】2012年3月22日
【審査請求日】2013年3月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100091351
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100095441
【弁理士】
【氏名又は名称】白根 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】100084618
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 貞男
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100119976
【弁理士】
【氏名又は名称】幸長 保次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100101812
【弁理士】
【氏名又は名称】勝村 紘
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(74)【代理人】
【識別番号】100134290
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 将訓
(74)【代理人】
【識別番号】100127144
【弁理士】
【氏名又は名称】市原 卓三
(74)【代理人】
【識別番号】100141933
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 元
(72)【発明者】
【氏名】真鍋 嘉章
【審査官】 大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−120348(JP,A)
【文献】 特開平06−219652(JP,A)
【文献】 特開2010−064865(JP,A)
【文献】 特許第5495871(JP,B2)
【文献】 特公昭53−044739(JP,B2)
【文献】 特公昭54−035368(JP,B2)
【文献】 実開昭59−040269(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数台の乗りかごと、
各階床の乗場において、前記乗りかごの行先階を登録するための操作を受け付ける行先階登録装置と、
前記行先階登録装置が操作されることで行先階が登録された場合に、この行先階登録装置の操作元の階床の乗客による前記乗りかごへの乗車が当該乗りかごの混雑の為に不適切であるか否かを前記複数台の乗りかごのそれぞれについて判別する乗車適否判別手段と、
前記いずれかの乗りかごへの乗車が不適切でないと前記乗車適否判別手段により判別した場合に、前記乗車が不適切でないと判別された乗りかごのうち、前記操作元の階床に応答させる乗りかごを割り当てる第1の割り当て制御手段と、
前記複数台の全ての乗りかごへの乗車が不適切であると前記乗車適否判別手段により判別した場合に、当該複数台の乗りかごのそれぞれが前記操作元の階床を通過した状況を仮定し、当該複数台の乗りかごのうち当該状況において選択された乗りかごを、前記操作元の階床を通過した後に当該操作元の階床に応答させる乗りかごとして割り当てる第2の割り当て制御手段と
を備えたことを特徴とするエレベータ。
【請求項2】
各階床の乗場に設置される表示装置と、
前記第2の割り当て制御手段により割り当てた乗りかごが、前記行先階登録装置の操作後に最初に接近する前記操作元の階床に応答する乗りかごでない場合に、当該割り当てた乗りかごの号機情報を前記操作元の階床の前記表示装置に表示する第1の表示制御手段と、
前記第2の割り当て制御手段により割り当てた乗りかごが前記最初に接近する前記操作元の階床に応答する乗りかごである場合には、前記操作元の階床での待機案内を前記操作元の階床の前記表示装置に表示させ、当該割り当てた乗りかごが前記操作元の階床を発車した後に、当該割り当てた乗りかごの号機情報を前記操作元の階床の前記表示装置に表示させる第2の表示制御手段と
をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
【請求項3】
前記乗車適否判別手段は、
前記複数台のうち判別対象の乗りかごが前記操作元の階床に応答したと仮定した場合における当該乗りかご内に継続して乗車する乗客の数と前記操作元の階床から乗車予定の乗客の数との和が当該乗りかごの定員を超過する場合、または、前記判別対象の乗りかごが前記操作元の階床に応答したと仮定した場合における当該乗りかご内に継続して乗車する乗客の数と前記操作元の階床から乗車予定の乗客の数との和が前記定員を超過していないが、当該乗りかごが既登録の他の行先階へさらに応答したと仮定した場合における当該乗りかご内で継続して乗車する乗客の人数と当該応答した階床から乗車予定の乗客の数との和が前記定員を超過する場合に、判別対象の乗りかごへの前記操作元の階床の乗客の乗車が不適切であると判別する
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
【請求項4】
前記第2の割り当て制御手段は、
前記複数台の全ての乗りかごへの乗車が不適切であると前記乗車適否判別手段により判別した場合であって、前記複数台の乗りかごのうち、前記操作元の階床に1周目で応答予定でない乗りかごが存在する場合には、当該乗りかごを、前記操作元の階床に応答させる乗りかごとして優先して割り当てる
ことを特徴とする請求項1記載のエレベータ。
【請求項5】
前記乗車適否判別手段は、
前記行先階登録装置が操作される前に、各階床の乗客による、前記複数台の乗りかごのそれぞれへの乗車が不適切か否かを階床ごとに判別し、
ある判別対象の階床の乗客による、前記複数台の全ての乗りかごへの乗車が不適切であると前記乗車適否判別手段により判別した場合に、前記複数台のそれぞれの乗りかごが混雑している旨を前記判別対象の階床の表示装置に表示する混雑表示制御手段をさらに備えた
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、乗場から行先階の登録を受け付けて、当該行先階に応答する乗りかごを割り当てるエレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乗場に行先階登録装置が設置される群管理制御方式のエレベータにおいては、行先階登録装置の操作により行先階が登録されると、かご位置や既登録の行先階登録をもとに、複数台の乗りかごのうち、前述のように操作された行先階登録装置が設置される階床に応答させる乗りかごを割り当てる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平1−133879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した、乗場に行先階登録装置が設置される群管理制御方式のエレベータにおいては、需要が過多となった場合、複数台の乗りかごのうちいずれかを前述のように操作された行先階登録装置が設置される階床に応答させる乗りかごとして割り当てても、この乗りかごが前述のように操作された行先階登録装置が設置される階床に応答するまでに乗りかごが満員となってしまい、前述のように操作された行先階登録装置が設置される階床の乗客が乗りかごに乗車できなくなる事がある。
【0005】
この場合、乗りかごは無駄な応答を行なうことになり、エレベータの運転効率の向上を妨げてしまう。また、前述したように行先階登録装置を操作したにも関わらず乗車できなかった乗客は、行先階登録装置を再度操作しなければならなくなる。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、各階床に行先階登録装置が設置される群管理制御方式のエレベータの需要の大小に関わらず運転効率を維持し、各階床の乗客の行先階登録にかかる利便性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、エレベータは、複数台の乗りかごと、各階床の乗場において、前記乗りかごの行先階を登録するための操作を受け付ける行先階登録装置と、前記行先階登録装置が操作されることで行先階が登録された場合に、前記行先階登録装置の操作元の階床の乗客による前記乗りかごへの乗車が当該乗りかごの混雑の為に不適切であるか否かを前記複数台の乗りかごのそれぞれについて判別する乗車適否判別手段とをもつ。また、このエレベータは、前記いずれかの乗りかごへの乗車が不適切でないと前記乗車適否判別手段により判別した場合に、前記乗車が不適切でないと判別された乗りかごのうち、前記操作元の階床に応答させる乗りかごを割り当てる第1の割り当て制御手段と、前記複数台の全ての乗りかごへの乗車が不適切であると前記乗車適否判別手段により判別した場合に、当該複数台の乗りかごのそれぞれが前記操作元の階床を通過した状況を仮定し、当該複数台の乗りかごのうち当該状況において選択された乗りかごを、前記操作元の階床を通過した後に当該操作元の階床に応答させる乗りかごとして割り当てる第2の割り当て制御手段とをもつ。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態におけるエレベータの構成例を示す図。
図2】第1の実施形態におけるエレベータの行先階登録装置の外観の一例を示す図。
図3】第1の実施形態におけるエレベータの割り当て制御および表示制御のための処理動作の一例を示すフローチャート。
図4】第1の実施形態におけるエレベータの行先階登録装置の表示例を示す図。
図5】第2の実施形態におけるエレベータの割り当て制御および表示制御のための処理動作の一例を示すフローチャート。
図6】第3の実施形態におけるエレベータの構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態におけるエレベータの構成例を示す図である。
図1に示すように、本実施形態におけるエレベータは、各階床の乗り場に行先階登録を行なうための行先階登録装置1を備える。行先階登録装置1は表示装置11を有する。具体的には、各階床における複数の号機の乗場の間の壁面に行先階登録装置1が設置される。なお、行先階登録装置1および表示装置11は互いに隣接する別々の装置であっても良い。
【0010】
また、建物内には、エレベータの複数台の号機の群管理制御を行う群管理制御装置2と各々の号機の乗りかご4の昇降を個別に制御するかご制御装置3とが備えられる。
また、図示はしないが、各号機の乗りかご4は当該乗りかご4に対応して設けられるシーブに巻き掛けられたロープを介してカウンタウェイトと連結されており、自号機のかご制御装置3からの制御にしたがった巻上機の駆動によるシーブの回転に伴い、カウンタウェイトとともに互いに上下反対方向に昇降する。
【0011】
また、群管理制御装置2は、第1割り当て制御部21、第2割り当て制御部22、第1表示制御部23、第2表示制御部24、行先階表示制御部25、乗車適否判別部26、記憶装置27を備える。
第1割り当て制御部21は、行先階登録装置1の操作により行先階を登録する。第1割り当て制御部21および第2割り当て制御部22は、この登録にともない、各号機の状態情報、つまり各号機のかご制御装置3からのかご位置情報や既登録の行先階登録情報等に基づいて各号機の評価値を算出し、この算出した評価値をもとに、前述のように登録した行先階へ応答する号機を選択し、この選択した割り当て号機のかご制御装置3に対し割り当て指令を出力する。これにより、同じ号機に同じ行先階の乗客を乗せるといった群管理制御を行なうことができ、輸送効率が向上する。
【0012】
この割り当て指令を入力したかご制御装置3は、自号機の乗りかご4を行先階登録のための操作を行なった行先階登録装置1の設置階に応答させた上で、この応答した乗りかご4を自号機について登録済みの行先階に応答させる。
【0013】
第1表示制御部23、第2表示制御部24は、行先階登録装置1への操作により行先階登録がなされた場合で所定の条件を満たした場合に、割り当て号機の情報を操作元の階床の行先階登録装置1の表示装置11に表示する。
また、第2表示制御部24は、行先階登録装置1への操作により行先階登録がなされた場合で所定の条件を満たした場合に、乗車へ待機を案内する為の待機指示を操作元の階床の行先階登録装置1の表示装置11に表示する。
行先階表示制御部25は、新たに登録された行先階の情報を行先階登録のための操作元の行先階登録装置1の表示装置11に表示させる。
【0014】
本実施形態では、行先階登録装置1は、乗客の行先階とともに、当該行先階まで乗車予定の乗客の人数の入力を受け付ける機能を有する。
群管理制御装置2の乗車適否判別部26は、この入力された人数、かご位置情報、既登録の行先階登録情報等をもとに、各階床にいる乗車予定の乗客の人数および各号機の乗りかご4内の乗客の人数を認識する。乗車適否判別部26は、行先階登録装置1の操作により新たに行先階登録がなされた場合に、判別対象の号機を各号機から1つ選択し、前述した各階床にいる乗車予定の乗客の人数、各号機の乗りかご4内の乗客の人数、かご位置情報、既登録の行先階登録情報等をもとに、選択済みの号機の乗りかご4が操作元の行先階登録装置1の設置階に応答したと仮定した状況において、当該設置階の乗客による当該位置した乗りかご4への乗車が当該乗りかごの混雑の為に不適切であるか否かを号機ごとに判別し、この判別を各号機のそれぞれについて行なう。
【0015】
乗車適否判別部26は、操作元の行先階登録装置1の設置階から乗車予定の乗客の一部または全員が当該設置階に応答した乗りかご4に乗り込むことに起因して、当該設置階または他の階床から当該乗りかご4に乗り込めなくなる乗客が生じる場合には、この乗りかご4への乗車が不適切であると判別する。
【0016】
具体的には、乗車適否判別部26は、判別対象の号機の乗りかご4が操作元の行先階登録装置1の設置階に応答したと仮定した状況において、当該乗りかご4内の乗車を継続する予定の乗客の人数と当該設置階から当該乗りかご4に乗車予定の乗客の人数との和が当該乗りかご4の定員を超える場合には、当該設置階から乗りかご4へ乗り込めない乗客が生じてしまうとみなして、当該乗りかご4への操作元の行先階登録装置1の設置階の乗客の乗車が不適切であると判別する。
【0017】
また、乗車適否判別部26は、判別対象の号機の乗りかご4が操作元の行先階登録装置1の設置階に応答したと仮定した状況において、当該乗りかご4内の乗車を継続する予定の乗客の人数と当該設置階にいた乗客の人数との和が当該乗りかご4の定員を超えないが、当該乗りかご4が自号機についての既登録の他の行先階へさらに応答したと仮定した状況において、当該乗りかご4内の乗車を継続する乗客の人数と当該乗りかご4に乗車予定である乗客の人数の和が当該乗りかご4の定員を超える場合には、当該乗りかご4へ乗り込めない乗客が生じてしまうとみなして、当該号機の乗りかご4への乗車が不適切であると判別する。
【0018】
記憶装置27は不揮発性メモリなどの記憶媒体であり、第1割り当て制御部21、第1割り当て制御部22、第1表示制御部23、第2表示制御部24、行先階表示制御部25乗車適否判別部26といった各部による処理動作のためのプログラムを記憶する。
【0019】
図2は、第1の実施形態におけるエレベータの行先階登録装置の外観の一例を示す図である。
図3に示すように、各階床の行先階登録装置1は、表示装置11、入力釦12および車椅子釦13を備える。入力釦12は行先階の階床の入力を受け付ける。車椅子釦13が操作された上で入力釦12が操作されて行先階が入力されると、応答する号機のかご制御装置3は、乗りかごの戸開時間を、通常の戸開時間に対して延長する。
表示装置11は例えば液晶ディスプレイであり、当該表示装置11の設置階における行先階登録装置1の操作により行先階が登録された場合に、この行先階を表示する。
【0020】
図3は、第1の実施形態におけるエレベータの割り当て制御および表示制御のための処理動作の一例を示すフローチャートである。
ここでは、行先階登録装置1の操作による行先階登録にともなう乗りかご4の割り当て、および当該操作された行先階登録装置1の表示装置11への表示について説明する。
まず、いずれかの階床の行先階登録装置1の入力釦12を乗客が操作することで所望の行先階および乗車予定人数が入力されると、操作元の行先階登録装置1の設置階、行先階、乗車予定人数を示す信号が群管理制御装置2に出力される。
【0021】
群管理制御装置2の第1割り当て制御部21は、行先階登録装置1からの信号を入力すると、乗客がエレベータを利用して前述した設置階から行先階へ移動するための操作、つまり操作元の行先階登録装置1の設置階にて行先階登録のための操作がなされたとして、行先階登録装置1からの信号で示される行先階を登録する。
【0022】
このように行先階が登録されると(ステップS1のYES)、群管理制御装置2の行先階表示制御部25は、登録された行先階の情報を前述した操作元の階床の行先階登録装置1の表示装置11に表示させる(ステップS2)。そして、第1割り当て制御部21は、この行先階および操作元の行先階登録装置1の設置階の情報、当該操作元の階床からの乗車予定人数、現在のかご位置情報、既登録の行先階登録情報等を乗車適否判別部26に出力する(ステップS3)。
【0023】
乗車適否判別部26は、前述した操作元の階床を含む各階床からの乗車予定人数、現在のかご位置情報や既登録の行先階登録情報等をもとに、各号機のうち判別対象の乗りかご4が操作元の行先階登録装置1の設置階に応答したと仮定した状況において、当該設置階の乗客による当該各号機の乗りかご4への乗車が不適切であるか否かを判別する(ステップS4)。
【0024】
いずれかの乗りかご4への乗車が不適切でないと乗車適否判別部26により判別した場合(ステップS4のNO)、第1割り当て制御部21は、乗車が不適切と判別された号機以外の号機の評価値を算出し、評価値が最も高い号機である割り当て号機を1周目に操作元の階床に応答させる号機、つまり行先階登録後において最初に接近する操作元の階床に応答させる号機として選択して、この選択した号機のかご制御装置3に割り当て指令を出力する(ステップS5)。そして、第1表示制御部23は、当該割り当てた乗りかご4の号機情報を操作元の行先階登録装置1に送信し、この行先階登録装置1の表示装置11に表示される行先階の情報に替えて当該表示装置11に表示する(ステップS11,S12)。
【0025】
一方、複数台の全ての乗りかご4への乗車が不適切であると乗車適否判別部26により判別した場合(ステップS4のYES)、第2割り当て制御部22は、複数台の号機の乗りかご4のそれぞれが1周目で操作元の階床に応答しなかった状況、つまり複数台の乗りかご4のそれぞれが前述した行先階登録後において最初に接近する操作元の階床に応答せずに通過した状況を仮定し、この状況において各号機の評価値を算出し、評価値が最も高い号機である割り当て号機を2周目以降に操作元の階床に応答させる号機、つまり行先階登録後において最初に接近する操作元の階床に応答せずに通過した後の走行において当該操作元の階床に応答させる号機として選択して、この選択した号機のかご制御装置3に割り当て指令を出力する(ステップS6)。
【0026】
第2の割り当て制御部22により割り当てた乗りかご4が、既登録の行先階登録等により操作元の階床に1周目で応答予定でない場合には(ステップS7のNO)、第1表示制御部23は、当該割り当てた乗りかご4の号機情報を操作元の行先階登録装置1に送信し、この行先階登録装置1の表示装置11に表示される行先階の情報に替えて当該表示装置11に表示する(ステップS11,S12)。
【0027】
一方、第2の割り当て制御部22により割り当てた乗りかご4が操作元の行先階登録装置1が設置される階床に現在応答しているもしくは1周目で応答予定である場合には(ステップS7のYES)、第2表示制御部24は、当該割り当てた乗りかご4への乗車が行なえない旨を示す待機指令を操作元の行先階登録装置1に送信し、この行先階登録装置1の表示装置11に表示される行先階の情報とともに、待機指示のメッセージを当該表示装置11に表示する(ステップS8,S9)。
【0028】
そして、第2表示制御部24は、当該割り当てた乗りかご4が操作元の行先階登録装置1が設置される階床を通過した場合、つまり応答して発車した場合には(ステップS10のYES)、当該割り当てた乗りかご4の号機情報を操作元の行先階登録装置1に送信し、この行先階登録装置1の表示装置11に表示される待機指示のメッセージ及び行先階の情報に替えて当該表示装置11に表示する(ステップS11,S12)。
【0029】
図4は、第1の実施形態におけるエレベータの行先階登録装置の表示例を示す図である。
図4に示すように、本実施形態におけるエレベータは、乗客が行先階登録装置1を操作して行先階を入力し、1周目における全号機への乗車が不適切と判別された場合で、2周目以降で操作元の階床に応答するように割り当てられた乗りかご4が操作元の階床に1周目で応答予定でない場合は、操作元の行先階登録装置1の表示装置11に割り当て号機の情報が、行先階登録装置1の操作後すぐに表示されることになる。
【0030】
また、乗客が行先階登録装置1を操作して行先階を入力し、1周目における全号機への乗車が不適切と判別された場合で、2周目以降で操作元の階床に応答するように割り当てられた乗りかご4が操作元の階床に1周目で応答中もしくは応答予定である場合は、この乗りかご4が操作元の階床での戸閉が完了して通過するまでは、行先階の情報とともに待機指示のメッセージである「しばらくお待ちください」が操作元の行先階登録装置1の表示装置11に表示され、通過した後は、行先階の情報や待機指示のメッセージに替えて、割り当て号機の情報が当該表示装置11に表示されることになる。
【0031】
ところで、2周目以降で操作元の階床に応答するように割り当てられた乗りかご4が当該操作元の階床に1周目で応答中もしくは応答予定であるにも関わらず、この乗りかご4が操作元の階床を通過する前に割り当て号機の情報が操作元の行先階登録装置1の表示装置11に表示されると、操作元の階床から乗車予定の乗客を、この割り当て号機の乗車口の前に誘導してしまことになる。
【0032】
しかし、2周目以降で操作元の階床に応答するように割り当てられた乗りかご4が当該操作元の階床に1周目で応答中もしくは応答予定である場合に、この乗りかご4が操作元の階床を通過するまで割り当て号機の情報を操作元の行先階登録装置1の表示装置11に表示させないようにすれば、操作元の階床から乗車予定の乗客は、2周目以降に応答するように割り当てられた乗りかご4の号機の情報については、当該乗りかご4が操作元の階床を通過するまでは把握できない。よって、前述したように、1周目における全号機への乗車が不適切であるにも関わらず、この乗客を2周目以降に操作元の階床に応答するように割り当てられた号機の乗車口の前に誘導してしまう事が無くなるので、乗客への不必要な誘導を未然に防止できる。
【0033】
以上のように、第1の実施形態におけるエレベータでは、各階床の乗場において行先階登録装置の操作元の階床の乗客による、複数台の乗りかごのそれぞれへの乗車が当該乗りかごの混雑の為に不適切であるか否かを判別し、複数台の全ての乗りかごへの乗車が不適切と判別された場合には、操作元の階床を通過した上で当該操作元の階床に応答させる乗りかごを割り当て、割り当てた乗りかごが操作元の階床に最初に接近する際に当該階床に応答予定である場合には、当該割り当てた乗りかごが操作元の階床への応答を完了して発車するまでは待機指示を操作元の行先階登録装置の表示装置に表示させ、当該割り当てた乗りかごが操作元の階床を発車した後は、当該割り当てた乗りかごの号機情報を表示装置に表示させる。よって、乗りかごの無駄な応答を防ぐことができるので、エレベータの運転効率の向上を妨げる事はなくなる。また、乗客は、行先階登録装置を一度操作すれば、エレベータが混雑している事に起因して行先階登録装置を再度操作しなくてもよくなるので、乗客の利便性を向上させることができる。
【0034】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。なお、以下の各実施形態におけるエレベータの構成のうち、第1の実施形態で説明した部分と同一部分の説明は省略する。
第1の実施形態では、行先階登録装置1への操作により行先階が登録された際に、複数台の全ての乗りかご4への乗車が不適切であると乗車適否判別部26により判別した場合、第2割り当て制御部22は、複数台の号機の乗りかご4のそれぞれが1周目で操作元の階床に応答しなかった状況を仮定し、この状況下において各号機の評価値を算出し、評価値が最も高い号機である割り当て号機を選択して、この選択した号機のかご制御装置3に割り当て指令を出力すると説明した。
【0035】
この場合、操作元の行先階登録装置1の設置階から乗車予定の乗客は、2周目以降に応答するように割り当てられた乗りかご4の号機の情報については、当該乗りかご4が操作元の行先階登録装置1が設置される階床を通過するまでは把握できないので、誤誘導を防止できる効果は生じるものの、行先階登録後に割り当て号機をすぐに表示できない事になる。
【0036】
これに対し、この第2の実施形態では、行先階登録装置1への操作により行先階が登録された際に、複数台の全ての乗りかご4への乗車が不適切であると乗車適否判別部26により判別した場合、操作元の行先階登録装置1が設置される階床に応答予定の無い乗りかご4があれば、この乗りかご4を2周目以降で応答させる乗りかごとして優先して割り当てるようにしている。
【0037】
図5は、第2の実施形態におけるエレベータの割り当て制御および表示制御のための処理動作の一例を示すフローチャートである。
本実施形態では、第1の実施形態で説明したステップS3までの処理がなされた後、複数台の全ての乗りかご4への乗車が不適切であると乗車適否判別部26により判別した場合(ステップS4のYES)、第2割り当て制御部22は、各号機のうち、操作元の行先階登録装置1が設置される階床に応答予定の無い号機があり(ステップS21のYES)、この応答予定の無い号機が複数であれば、これらの各号機の評価値を算出し、評価値が最も高い号機である割り当て号機を2周目以降に操作元の階床に応答させる号機として選択して、この選択した号機のかご制御装置3に割り当て指令を出力する(ステップS22)。なお、第2割り当て制御部22は、応答予定の無い号機が1台であれば、評価値の算出を行なうことなく、この号機のかご制御装置3に割り当て指令を出力する。
【0038】
ステップS22の処理後は、第1表示制御部23は、当該割り当てた乗りかご4の号機情報を操作元の行先階登録装置1に送信し、この行先階登録装置1の表示装置11に表示される行先階の情報に替えて当該表示装置11に表示する(ステップS11,S12)。また、各号機のうち、操作元の行先階登録装置1が設置される階床に応答予定の無い号機が無ければ(ステップS21のNO)、ステップS6の処理に移行し、この処理後は、ステップS8以降の処理がなされる。
【0039】
以上のように、第2の実施形態におけるエレベータでは、第1の実施形態で説明した特徴に加え、行先階登録装置1への操作により行先階が登録された際に、複数台の全ての乗りかご4への乗車が不適切であると判別した場合、操作元の行先階登録装置1が設置される階床に応答予定の無い乗りかご4があれば、この乗りかご4を2周目以降で操作元の階床に応答させる乗りかごとして割り当てるようにして、この乗りかご4が操作元の行先階登録装置1の設置階の通過を待つことなく当該設置階の行先階登録装置1の表示装置11に表示させる。よって、操作元の行先階登録装置1の設置階にいる乗車予定の乗客は、2周目以降に応答するように割り当てられた乗りかご4の号機の情報を早く把握する事ができる。
【0040】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。図6は、第3の実施形態におけるエレベータの構成例を示す図である。
図6に示すように、本実施形態におけるエレベータは、第1の実施形態と比較して、群管理制御装置2は、混雑表示制御部31をさらに備える。
【0041】
本実施形態では、乗車適否判別部26は、行先階登録装置1への操作がなされていない場合でも、各階床の乗客による、複数台の乗りかご4のそれぞれへの乗車が当該乗りかごの混雑の為に不適切か否かを階床ごとに判別する。
【0042】
この混雑表示制御部31は、判別対象の階床の乗客による、複数台の全ての乗りかご4への乗車が不適切であると乗車適否判別部26により判別した場合に、それぞれの乗りかごが混雑している旨を示すメッセージ、例えば「エレベータが混雑しています。しばらくお待ちください」を前述した判別対象の階床の行先階登録装置1の表示装置11に表示する。よって、乗客による行先階登録装置1の操作の頻度自体を抑制する事ができるので、運行効率が向上する。
【0043】
これらの各実施形態によれば、各階床に行先階登録装置が設置される群管理制御方式のエレベータの需要の大小に関わらず運転効率を維持し、各階床の乗客の行先階登録にかかる利便性を向上させることが可能になるエレベータを提供することができる。
発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0044】
1…行先階登録装置、2…群管理制御装置、4…かご制御装置、5…乗りかご、11…表示装置、12…入力釦、13…車椅子釦、21…第1割り当て制御部、22…第2割り当て制御部、23…第1表示制御部、24…第2表示制御部、25…行先階表示制御部、26…乗車適否判別部、27…記憶装置、31…混雑表示制御部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6