特許第5665080号(P5665080)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5665080-粉粒体充填装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5665080
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】粉粒体充填装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 37/08 20060101AFI20150115BHJP
   B65B 1/14 20060101ALI20150115BHJP
   B65B 1/10 20060101ALI20150115BHJP
【FI】
   B65B37/08
   B65B1/14
   B65B1/10 A
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2010-274194(P2010-274194)
(22)【出願日】2010年12月9日
(65)【公開番号】特開2012-121602(P2012-121602A)
(43)【公開日】2012年6月28日
【審査請求日】2013年11月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000151461
【氏名又は名称】株式会社東京自働機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100101867
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 寿武
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 高志
【審査官】 長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−126567(JP,A)
【文献】 特開平02−152683(JP,A)
【文献】 特開2009−096572(JP,A)
【文献】 特開平08−282856(JP,A)
【文献】 米国特許第02956810(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 37/08
B65B 1/10
B65B 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体を吐出口から排出する充填筒と、
前記充填筒の吐出口の下方に回転自在に配置され、前記吐出口から排出されてきた粉粒体を上面に受けるとともに、回転に伴う遠心力をもって周囲に飛散させる円盤状の飛散ディスクと、
前記飛散ディスクの外周縁よりも下方位置で外側に突き出し、回転を停止した前記飛散ディスクの外周縁からこぼれ落ちた粉粒体を受け止める粉粒体受部と、を含み、
前記粉粒体受部は、前記受け止めた粉粒体を、前記飛散ディスクとともに回転して周囲に飛散させる構成となっていることを特徴とする粉粒体充填装置。
【請求項2】
前記飛散ディスクの下方位置に、前記粉粒体受部と連なり当該粉粒体受部へ落下してきた粉粒体を収容する貯留部を設け
前記貯留部は、前記収容した粉粒体を、前記飛散ディスクとともに回転して周囲に飛散させる構成となっていることを特徴とする請求項1の粉粒体充填装置。
【請求項3】
前記飛散ディスクの下方位置に任意の間隔をおいて当該飛散ディスクとともに回転する円盤状の補助ディスクを設け、当該補助ディスクの外周縁部を前記飛散ディスクの外周縁よりも外側に突き出して前記粉粒体受部とし、且つ当該粉粒体受部の内側で前記補助ディスクの上面と飛散ディスクの下面との間に形成した空隙により前記貯留部を形成したことを特徴とする請求項2の粉粒体充填装置。
【請求項4】
前記充填筒の吐出口から前記飛散ディスクまでの周囲を囲むように配設された円錐筒状の飛散受け傘を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の粉粒体充填装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、粉粒体を容器等に充填するための粉粒体充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粉粒体を充填する粉粒体充填装置としては、例えば、本出願人が先に出願した特許文献1及び2に記載の装置がある。
特許文献1の粉体充填装置は、オーガ筒内にあるオーガスクリュー軸の下端部に飛散ディスクを取り付けている。粉体は、オーガスクリュー軸の回転によって下方に搬送され、飛散ディスクによって一時的に受け止められるともに、オーガスクリュー軸の回転にともなって開放部分から周囲に飛散される。この装置はオーガスクリュー軸の回転によって所定量の粉粒体を供給する装置であり、飛散ディスクはオーガスクリュー軸下端から粉粒体が落下するのを防止している。
【0003】
特許文献2の粉粒体充填装置は、オーガスクリュー軸を廃止してその代わりに棒状の回転シャフトを配設し、この回転シャフトの下端に飛散ディスクを設けた構成となっている。かかる構成によれば、オーガスクリューを用いずに粉粒体を落下させているため、この粉粒体に大きな圧力をかけることがなく、粉粒体の破砕を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−91242号公報
【特許文献2】特開2009−126567号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来技術のように、飛散ディスクの回転により粉粒体を周囲に飛散させて落下させ、下方に配置した容器へ挿入する仕組みの粉粒体充填装置にあっては、飛散ディスクの回転が停止したとき、飛散ディスクの上面に堆積した粉粒体の一部が外周縁からこぼれ落ちてしまう、いわゆる「後だれ」という現象の生じるおそれがあった。粉粒体の後だれが生じた場合、容器内へ充填される粉粒体の重量が僅かながらも変動してしまい、定量充填の精度低下を招く要因となっていた。
なお、特許文献2の粉粒体充填装置では、飛散ディスクを軸方向に移動させて、充填筒の吐出口を閉じるようにすることで、粉粒袋の後だれを防止する構成も開示されているが、そのように飛散ディスクを移動させる構造は複雑であり、制御も煩雑であった。
【0006】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたもので、後だれした粉粒体の容器や包装袋内への入り込みを、簡易な構造で防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明の粉粒体充填装置は、粉粒体を吐出口から排出する充填筒と、
充填筒の吐出口の下方に回転自在に配置され、吐出口から排出されてきた粉粒体を上面に受けるとともに、回転に伴う遠心力をもって周囲に飛散させる円盤状の飛散ディスクと、
飛散ディスクの外周縁よりも下方位置で外側に突き出している粉粒体受部と、を含むことを特徴とする。
【0008】
上記構成の本発明装置によれば、飛散ディスクの外周縁から粉粒体が後だれしても、当該外周縁よりも下方位置に設けた粉粒体受部でその粉粒体を受け止めることができるので、さらに下方位置に配置してある容器や包装袋に後だれした粉粒体が入り込むおそれがない。
【0009】
また本発明装置は、飛散ディスクの下方位置に、粉粒体受部と連なり当該粉粒体受部へ落下してきた粉粒体を収容する貯留部を設けた構成とすることもできる。
このように構成すれば、飛散ディスクの外周縁からこぼれ落ちる粉粒体の量が多くても、粉粒体受部で受け止めてさらに貯留部へ収容しておくことができるので、後だれした粉粒体の容器や包装袋への入り込みをいっそう確実に防止することができる。
【0010】
上述した本発明装置は、例えば、飛散ディスクの下方位置に任意の間隔をおいて円盤状の補助ディスクを設け、当該補助ディスクの外周縁部を飛散ディスクの外周縁よりも外側に突き出して粉粒体受部とし、且つ当該粉粒体受部の内側で補助ディスクの上面と飛散ディスクの下面との間に形成した空隙により貯留部を形成した構成とすることができる。
このように構成すれば、飛散ディスクの下方位置に円盤状の補助ディスクを設けるだけの簡単な構造で、後だれした粉粒体の容器や包装袋内への入り込みを防止することができる。
【0011】
さらに本発明装置は、充填筒の吐出口から飛散ディスクまでの周囲を囲むように配設された円錐筒状の飛散受け傘を備えた構成とすることもできる。
このような飛散受け傘を備えることで、充填筒の吐出口から排出され、飛散ディスクの回転に伴う遠心力をもって周囲に飛散した粉粒体を、飛散受け傘の内周面で受けて速やかに下方へ落下させることができる。そのため、下方位置に配置される容器や包装袋へ、迅速且つ確実に粉粒体を挿入することができる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明の粉粒体充填装置によれば、後だれした粉粒体の容器や包装袋内への入り込みを、簡易な構造で防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る粉粒体充填装置の概略構造を示す正面断面図である。
図2】同装置の飛散ディスクと補助ディスクの構成を拡大して示す正面断面図である。
図3】同装置の飛散ディスクの変形例を示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図面は、本発明の実施形態に係る粉粒体充填装置を示す図であり、図1は、粉粒体充填装置の概略構造を示す正面断面図である。
同図に示すように、本実施形態の粉粒体充填装置は、粉粒体供給用漏斗1と、充填筒2と、回転シャフト3と、飛散ディスク4と、補助ディスク5と、飛散受け傘6と、ホッパー7と、を備えた構成である。
【0015】
粉粒体供給用漏斗1は、逆円錐形状に形成され、上部に粉粒体を供給する供給口1aが設けられている。この粉粒体供給用漏斗1の下端部には、粉粒体を下方に落下させる円筒状の充填筒2が連通して接続してある。
充填筒2は、上下方向に延在して配置してあり、下端部が粉粒体の吐出口2aとなっている。
【0016】
回転シャフト3は、充填筒2の中空部内に同軸上に配置される棒状の部材である。この回転シャフト3は、充填筒2の中空部内を軸方向に延在し、下端部が充填筒2の吐出口2aから突き出している。
この回転シャフト3は、回転モータ10から回転駆動力を受けて回転する。
回転シャフト3の下端部には、飛散ディスク4と補助ディスク5が取り付けられる。
【0017】
図2は、飛散ディスクと補助ディスクの構成を拡大して示す正面断面図である。
飛散ディスク4は、充填筒2の内径よりも大きな直径の円盤状に形成されており、充填筒2の吐出口2aから落下してくる粉粒体を受ける構成である。これにより飛散ディスク4は、回転モータ10の回転停止時に充填筒2から排出される粉粒体を堆積し、回転時に堆積してある粉粒体及び充填筒2から排出される粉粒体を遠心力によって周囲に飛散させる。また飛散ディスク4の外周縁4aは中心部周辺よりも高い位置に形成してあり、これにより粉粒体のこぼれ落ちを抑制し、飛散ディスク4の上面に粉粒体を堆積しやすくしてある。
【0018】
補助ディスク5は、飛散ディスク4の下方位置に任意の間隔をおいて配置してある。本実施形態では、円盤状の補助ディスク5の外周縁部を飛散ディスクの外周縁よりも外側に突き出して粉粒体受部5aを形成してある。さらに、この粉粒体受部5aの内側で補助ディスクの上面と飛散ディスクの下面との間に形成された空隙により粉粒体の貯留部5bを形成してある。この補助ディスク5は、飛散ディスク4とともに回転シャフト3の下端部に取り付けられている。
【0019】
粉粒体受部5aは、飛散ディスクの外周縁からこぼれ落ちる粉粒体を、当該外周縁よりも下方位置で粉粒体を受け止める機能を有している。この粉粒体受部5aを設けることで、飛散ディスク4から後だれした粉粒体が、さらに下方位置に配置してある容器Wに入り込むことを防止できる。
【0020】
粉粒体の貯留部5bは、粉粒体受部5aと連なっており、粉粒体受部5aに落下してきた粉粒体を収容する機能を有している。この貯留部5bを形成することで、飛散ディスク4の外周縁からこぼれ落ちる粉粒体の量が多くても、粉粒体受部5aで受け止めてさらに貯留部5bへ収容しておくことができるので、後だれした粉粒体の容器Wへの入り込みをいっそう確実に防止することができる。
【0021】
飛散受け傘6は、円錐筒状の部材であり、充填筒2の外周面に上端が固定され、充填筒2の吐出口2aから飛散ディスク4までの周囲を囲むように配設してある。この飛散受け傘6を配設することで、充填筒2の吐出口2aから排出され、飛散ディスク4の回転に伴う遠心力をもって周囲に飛散した粉粒体を、飛散受け傘6の内周面で受けて速やかに下方へ落下させることができる。
【0022】
ホッパー7は、逆円錐形状に形成され、飛散ディスク4を中空部上に配置させ、その周囲を取り囲むように設置されている。これによりホッパー7は、飛散ディスク4から飛散した粉粒体を内周面で受けることが可能となる。またホッパー7は、下端部に粉粒体を排出する注出筒8が設けられており、この注出筒8の下方位置に搬送装置(図示せず)から搬送されてきた容器Wが自動配置される。この容器Wには注出筒8から粉粒体が充填される。
【0023】
ここで、充填筒2の吐出口2aに対する飛散ディスク4の高さ位置は、回転モータ10の停止時に堆積する粉粒体の安息角、飛散ディスク4の面積や形状等に応じて、こぼれ落ちを抑制できるように調整することが好ましい。一般に、粉粒体は、自然落下させて山形に堆積した状態において、崩落が始まる限界の稜線が底面に対してなす安息角を特性として有している。この安息角が小さい粉粒体に対しては、充填筒2の吐出口2aと飛散ディスク4との間隔を狭めに調節することで、飛散ディスク3の回転停止時における粉粒体のこぼれ落ちを防止することができる。一方、安息角が大きい粉粒体に対しては、充填筒2の吐出口2aと飛散ディスク4との間隔を広めに調節し、飛散ディスク3の回転時において粉粒体の飛散量を多くし、充填速度を早めることが可能となる。
このような構成からなる粉粒体充填装置は、回転モータ10を制御して飛散ディスク4を間欠的に回転させることより、粉粒体を容器Wに定量充填することが可能となる。
【0024】
次に、本実施形態の粉粒体充填装置の動作について説明する。
粉粒体は、供給口1aから粉粒体供給用漏斗1内に供給されると、粉粒体供給用漏斗1内に一時的に溜められ、さらに漏斗の傾斜にしたがって移動していき充填筒2内に流れ込む。図2に示すように、充填筒2内では粉粒体がそのまま落下し、吐出口2aから飛散ディスク4に排出される。ここで、飛散ディスク4の回転停止時には、吐出口2aから落下した粉粒体が飛散ディスク4の上面に堆積していき、吐出口2aを閉塞した状態となる。
【0025】
次いで、回転モータ10を駆動させると、回転シャフト3を介して飛散ディスク4も回転する。よって、回転停止時に飛散ディスク4の上面に堆積していた粉粒体が、この回転時の遠心力によって外周の開放部分から周囲に飛散する。続いて、充填筒2内に溜まっていた粉粒体が、飛散ディスク4から飛散した分だけ吐出口2aから飛散ディスク4上に排出される。すなわち、飛散ディスク4の回転時には、粉粒体が充填筒2の吐出口2aから吐き出されて、飛散ディスク4の外周縁4aから飛散するスムーズな流れがつくられることになる。
【0026】
飛散ディスク4によって飛散した粉粒体は、飛散受け傘6の内周面に衝突して、自重によって下方に落下し、ホッパー7と注出筒8の中空部内を通って、容器W内に充填される。
【0027】
回転モータ10の駆動停止により、回転シャフト3、飛散ディスク4及び補助ディスク5の回転が停止しても、充填筒2内の粉粒体はそのまま落下して、吐出口2aから飛散ディスク4の上面に排出されて堆積していく。これは、堆積した粉粒体によって吐出口2aが閉塞されるまで続く。
この状態において、飛散ディスク4の上面に堆積した粉粒体が、僅かながら飛散ディスク4の外周縁からこぼれ落ちることがある。このようにこぼれ落ちた粉粒体は、その下方に設けられた補助ディスク5の粉粒体受部5aによって受け止められ、容器Wへの落下は防止される。こぼれ落ちる粉粒体の量が多くても、粉粒体受部5aで受け止めた後、さらに貯留部5bへ収容されるので、容器Wへ粉粒体が落下するおそれはない。
【0028】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の応用実施または変形実施が可能であることは勿論である。
例えば、上述した実施形態では、棒状の回転シャフト3の下端に飛散ディスク4と補助ディスク5を装着した構成であったが、既述した特許文献1に開示されているようなオーガスクリュー軸の下端に飛散ディスク4と補助ディスク5を装着した構成とすることもできる。
【0029】
また、上述した実施形態では、粉粒体充填装置にホッパー7を用いる構成としたが、このホッパー7を設けずに、飛散ディスク4から飛散して飛散受け傘6に衝突した粉粒体を容器Wへ落下させる構成としてもよい。さらに、ホッパー7及び飛散受け傘6のいずれも設けずに、飛散ディスク4の下方に容器Wを配置して、粉粒体を直接容器Wで受けて充填する構成としてもよい。
【0030】
さらに、飛散ディスク4とは別体の補助ディスク5を設けることなく、図3に示すように、飛散ディスク4に粉粒体受部5aと粉粒体の貯留部5bを一体形成することもできる。
【符号の説明】
【0031】
1:粉粒体供給用漏斗、1a:供給口、2:充填筒、2a:吐出口、3:回転シャフト、4:飛散ディスク、4a:外周縁、5:補助ディスク、5a:粉粒体受部、5b:貯留部、6:飛散受け傘、7:ホッパー、8:注出筒、10:回転モータ
図1
図2
図3