(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記固定具は、先に組み立てられる前記天井セグメントを前記本天井に固定し次に組み立てられる前記天井セグメントによって覆い隠される中間固定具と、最後に組み立てられる前記天井セグメントを前記本天井に固定する終端固定具と、を含む
ことを特徴とする請求項1に記載されたエレベータの乗籠。
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1の実施形態のエレベータの乗籠1について、
図1から
図7を参照して説明する。
図1に示す乗籠1は、床2と、側壁3と、天井4とを備える。床2は、上面の外周に沿って幅木となる枠21を有している。側壁3は、枠21の上に接合される複数の側部パネル31で構成され、乗口1a側を除いて籠室100の外周を囲う。隣り合う側部パネル31どうしは、籠室100の外側に向かって延びるフランジ311を側部に有し、互いにボルトとナットで締結される。また側壁3の上端は、受座32を有している。この受座32は、側部パネル31の上端をすべて同じ高さで外側に向かって折り曲げられさらに一定の距離だけ離れたところで上方へ折り曲げられることによって形成される。籠室100に対して外側になる受座32の起立部321の外側に、複数のナット322が取り付けられている。
【0011】
天井4は、
図1に示す本天井41と意匠天井42とを備える。この天井4は、乗籠1の外殻の一部を形成する本天井41の下に、籠室100内に面して意匠天井42が吊下げられた、いわゆる二重天井である。本天井41の外周縁は、側壁3の上端に形成された受座32に嵌るように、外周が下方へ折り曲げられたあと内側に折り曲げられている。本天井は、
図1に示すように、乗口1aを通過する方向を横切る方向に渡される複数の天井パネル411で構成されている。
【0012】
本天井41を側壁3の上端と接合する場合、本天井41を昇降路の外で組み上げた後で昇降路内に持ち込み、側壁3に接合してもよいし、天井パネル411を個別に籠室100へ乗口1aから搬入し、側壁3の上端に接合していくことで本天井41を組み立ててもよい。
【0013】
図2に示すように本天井41または天井パネル411は、側壁3の受座32に乗った状態で保持されるので、側壁3に対して仮固定する必要が無い。また、天井パネル411は、受座32の起立部321に取り付けられたナット322に対応する位置にボルト孔を有しており、籠室100内から装着されるボルト412によって、側壁3の上端に接合される。乗籠1に生じる捻れや歪を吸収する緩衝材として、天井パネル411と側壁3の受座32との間にゴムシートなどの弾性部材を挿入してもよい。隣り合う天井パネル411どうしは、下向きに折り曲げられる縁をボルトおよびナットで連結されるか、補強材で連結される。
【0014】
意匠天井42は、
図1や
図3に示す天井セグメント421,422と、
図5および
図6に示す固定具423と、
図6に示すエンドカバー424と、
図6および
図7に示すクイックファスナ425とを備える。意匠天井42は、
図1に示すように複数の天井セグメント421,422とエンドカバー424との下面によって意匠面を構成している。意匠天井42の外周は、側壁3に対して一定の隙間が空くように形成され、本天井41の下方に配置されている。
【0015】
天井セグメント421,422は、乗籠1の乗口1a側から奥側に向かって隙間無く並べて配置される。天井セグメント421,422は、箱型に形成されており、
図2及び
図3に示すように乗口1aを通過する方向を横切る方向において両端となる部分に懸垂アーム426を有している。懸垂アーム426は、天井セグメント421,422を構成する部材と一体に形成されていてもよいし、別部品で装着されていてもよい。
【0016】
天井パネル411は、
図1および
図2に示すようにレール43を下面に有している。このレール43は、天井セグメント421,422が並ぶ方向に沿って側壁3の近傍に配置されており、天井パネル411の補強材としても機能する。乗籠1に加わる捻れや歪による応力を緩和するために、レール43と天井パネル411との間に防振ゴムなどの弾性部材413が装着される。天井セグメント421,422は、
図2に示すように懸垂アーム426によって吊下げられるようにこのレール43に装着され、
図5および
図6に示す固定具423によって本天井41に対して固定される。
【0017】
レール43は、
図3に示すように一定の間隔で切欠部431を複数有している。切欠部431の形状は、懸垂アーム426の先端部の形状に対応している。
図2に示すように、天井セグメント421,422は、側壁3までの距離を調整できる程度にレール43に対して係合する部分に調整代を有している。天井セグメント421,422の懸垂アーム426は、取り付けられる位置に近い切欠部431から通過させる。先に組み立てられた天井セグメント421に向けて
図3に示すようにスライドさせることによって、懸垂アーム426は、切欠部431どうしの間の区間に位置する。
【0018】
固定具423は、
図3および
図5に示す中間固定具423Aと
図6に示す終端固定具423Bとの2種類が用意される。中間固定具423Aは、
図3に示すように先に組み立てられる天井セグメント421を本天井41に対して固定し、次に組み立てられる天井セグメント421,422によって覆い隠される。つまり最後に本天井41に取り付けられる天井セグメント422を除きすべての天井セグメント421は、中間固定具423Aによって本天井41に固定される。
【0019】
中間固定具423Aは、
図3に示すように次に取り付けられる天井セグメント421,422に対面する部分に取り付けられる。したがって、先に取り付けた天井セグメント421を固定する中間固定具423Aが次に取り付ける天井セグメント421,422の妨げにならないように、天井セグメント421は、中間固定具423Aと連結されるタブ427を有している。そして、2番目以降に取り付けられる天井セグメント421,422は、
図3および
図4に示すように先に付けた中間固定具423Aと干渉しないように、対応する位置に切欠部428を有している。
【0020】
構造上また意匠上のいずれにおいても、天井セグメント421,422が高さ方向に十分な寸法を確保できれば、タブ427と切欠部428は、どちらか一方を備えていればよい。タブ427は、天井セグメント421をレール43に装着する際に作業の邪魔にならない程度の長さ、すなわち、懸垂アーム426よりもやや低い高さにする。中間固定具423Aを連結するためにタブ427に開けられる孔427aは、
図3および
図4に示すように高さ方向に長い長孔にする。これによって、中間固定具423Aは、本天井41に対して天井セグメント421の下面の位置を調整できる。
【0021】
中間固定具423Aは、
図5に示すように、本天井41、天井セグメント421、レール43のそれぞれに接合される。中間固定具423Aは、本天井41にボルト41bで固定され、天井セグメント421のタブ427にボルト427bとナット427cで固定され、レール43にボルト43bで固定される。中間固定具423Aが取り付けられる位置に対応する本天井41の上面には、
図2に示すように予めナット41cが取り付けられている。また中間固定具423Aが取り付けられる位置に対応するレール43には、フレア加工によって形成された孔43cにネジ溝が加工されている。ネジ溝を加工する代わりに、ナットを取り付けてもよい。
【0022】
天井セグメント421の内側に隠れるボルト427bまたはナット427cは、タブ427に形成された孔427aに対して一部が嵌り込む凸部を有すると、中間固定具423Aをタブ427に固定するときの作業性がよくなる。レール43を横切る方向に天井セグメント421,422の取り付け位置を微調整するために、タブ427と接合される部分の中間固定具423Aの孔423aは、
図5に示すようにレール43を横切る方向に長い長孔である。
【0023】
また、天井セグメント421どうしの間に隙間が生じないように、先に取り付けた天井セグメント421に対して次に取り付ける天井セグメント421を押し当てることができるように、本天井41およびレール43に接合される部分に開けられる中間固定具423Aの孔423b,423cは、
図3および
図5に示すようにレール43に沿う方向に長い長孔である。
【0024】
最後に取り付けられる天井セグメント422を除いて、天井セグメント421は、中間固定具423Aによって本天井41およびレール43に固定される。そして、中間固定具423Aは、次に組み立てられる天井セグメント421,422によって覆い隠される。
【0025】
終端固定具423Bは、
図6に示すように最後に組み立てられる天井セグメント422を本天井41に固定する。第1の実施形態において終端固定具423Bは、中間固定具423Aと同じ形状である。そこで、中間固定具423Aの部分と同じ機能を有する終端固定具423Bの部分には、同じ符号を付し、中間固定具423Aについて既に説明した記載を参酌する。また、
図6において終端固定具423Bを本天井41、レール43および天井セグメント422に固定するボルトは省略されているだけで、
図2や
図5同様に取り付けられる。
【0026】
なお、終端固定具423Bは、この次に組み立てられる天井セグメントが無いため、中間固定具423Aと同じ形状である必要は無い。また、天井セグメント422の重量は、懸垂アーム426によって概ね保持されるので、終端固定具423Bは、天井セグメント422がレール43に沿って移動しないように保持できればよい。したがって、天井セグメント422を本天井41に接続するために、ブラケットを天井セグメント422の中央部分に配してもよいし、天井セグメント422の一部を本天井41に達するように形成してこの部分を本天井41に固定してもよい。つまり、終端固定具423Bは、籠室100内から見えないように隠されるものであれば、形状はどのようなものであってもよい。
【0027】
また、天井セグメント421,422の端部に配置される懸垂アーム426を掛けるために、第1の実施形態においてレール43は、側壁3の近傍に配置している。懸垂アーム426を天井セグメント421,422の中央寄りに配置する場合、レール43は懸垂アーム426の位置に対応させて本天井41の中央寄りに取り付ける。
【0028】
エンドカバー424は、本天井41または本天井41に固定されている部材にスライド嵌合させて装着され、固定具423である終端固定具423Bを覆い隠す。第1の実施形態において、エンドカバー424は、
図7に示すように、最後に組み立てられた天井セグメント422にスライド嵌合させることによって装着される。天井セグメント422とエンドカバー424をスライド嵌合させる機構は、
図6に示す係合部44Aと被係合部44Bで構成される。
【0029】
第1の実施形態において、天井セグメント422は、エンドカバー424が装着される側に係合部44Aを有し、エンドカバー424は、この係合部44Aが配置された位置に対応して被係合部44Bを有している。係合部44Aおよび被係合部44Bは、エンドカバー424を天井セグメント422に対して押し当ててスライドさせることで互いに嵌合する機能を有していれば、どのような構造のものも許容される。
【0030】
図6に示す係合部44Aは、先端に鍔441を有したスタッドである。
図6に示す被係合部44Bは、係合部44Aが取り付けられた天井セグメント422の側面に対面するエンドカバー424に直接形成されている。この被係合部44Bは、係合部44Aの鍔441を通過させる孔443と、係合部44Aのステム442が通過し鍔441が引っ掛かる大きさにこの孔443から水平方向へ切り欠かれるスロット444とを設けることによってエンドカバー424に造られている。ステム442の長さは、被係合部44Bが形成されたエンドカバー424の部材の厚みよりもやや大きい。係合部44Aと被係合部44Bを嵌合させたときのがた付きをなくすために、スロットの縁を厚み方向にステム442の長さよりもやや大きく反り返らせるかうねりをつける。
【0031】
なお、天井セグメント422にエンドカバー424をスライド嵌合させる構造において、エンドカバー424に係合部44Aを取り付け、天井セグメント422に被係合部44Bを設けてもよい。また、係合部44Aと被係合部44Bの構成は、鍔つきの係合部44Aとその係合部44aに嵌合するいわゆるダルマ孔に限定されない。例えば、互いに向かって突出するタブを天井セグメント422およびエンドカバー424のそれぞれに折り起こして形成し、天井セグメント422に対してエンドカバー424を押し当てて水平方向へ滑らせたときに、タブを刳り貫いたことによって形成される孔にこれらタブどうしが刺さり合うように嵌合させてもよい。
【0032】
クイックファスナ425は、最後に組み立てられた天井セグメント422に対して装着された状態のエンドカバー424と側壁3との間から操作され、本天井41または本天井41に固定された部材に対してエンドカバー424を締め付ける。第1の実施形態においてクイックファスナ425は、
図6および
図7に示すように、本天井41に肯定された部材である最後に組み立てられた天井セグメント422とエンドカバー424との間にまたがって設置される。
【0033】
このクイックファスナ425は、
図6および
図7に示すように係止受座425Aと基台425Bとレバー425Cと係止片425Dとを含む。係止受座425Aは、最後に組み立てられる天井セグメント422に固定されている。基台425Bは、エンドカバー424に固定されている。レバー425Cは、基台425Bに連結されており、エンドカバー424から離れる方向に回動する。係止片425Dは、レバー425Cの回動中心から離れた位置に連結されたリングであって、係止受座425Aに掛けられる。
【0034】
以上のように構成されたクイックファスナ425は、エンドカバー424を天井セグメント422にスライド嵌合させた状態で、エンドカバー424から離れる方向へ
図6に示すようにレバー425Cを起こすと、係止片425Dが係止受座425Aに届くようになる。
図7に示すようにレバー425Cをエンドカバー424に沿うように倒すと係止片425Dが係止受座425Aを引っ張るので、エンドカバー424は、天井セグメント422に締め付けられる。エンドカバー424は、天井セグメント422との間に隙間を生じないし、がたつくこともない。
【0035】
第1の実施形態の乗籠1において、意匠天井42は、
図1に示すように最初に組み立てられる天井セグメント421と乗口1aとの間に化粧パネル45を有している。この化粧パネル45は、天井セグメント421を組み立てる前に本天井41にブラケット451で取り付けられる。また、籠室100内部を照明する照明器具は、天井セグメント421,422に搭載されていてもよいし、本天井41に固定されていてもよい。照明器具の配置および照明デザインに応じて、天井セグメント421,422の下面に投光部が設けられる。
【0036】
以上のように構成されたエレベータの乗籠1は、天井4を構成する本天井41および意匠天井42を乗籠1の中から組み立てることができる。そして、本天井41および意匠天井42を固定するためのボルト412,41b,427b,43bやナット322,41c,427c,43cの締結具、係合部44Aおよび被係合部44B、固定具423、並びにクイックファスナ425が、籠室100内部から見えないように隠される。したがって、籠室100内からみた場合の天井4の意匠性が優れている。さらに、締結具や固定具が見えないので、悪戯されることによって、意匠天井42が外されない。意匠天井42を分解する場合、エンドカバー424を固定しているクイックファスナ425を解除し、組み立てたときと逆の手順でエンドカバー424および天井セグメント421,422を分解すればよい。
【0037】
第2の実施形態のエレベータの乗籠1について、
図8から
図14を参照して説明する。第1の実施形態の乗籠1と同じ機能を有する構成は、各図中において同一の符号を付し、細部の説明は、第1の実施形態において乗籠1の構造を説明する記載および図面を参酌する。
図8に示す天井セグメント421は、最初に本天井41に取り付けられる天井セグメントであって、4つのブラケット423Cを有している。このブラケット423Cは、固定具の一形態であり、籠室100の乗口1aから奥へ向かう方向を横切る側部に取り付けられている。籠室100の奥側に面した側部に取り付けられたブラケット423Cは、中間固定具423Aに相当する。
【0038】
図9に示す天井セグメント421,422は、2番目以降に本天井41に取り付けられる天井セグメントであって、1つの連結具423Dと2つのブラケット423C有している。連結具423Dは、
図9に示すように先に組み立てられた天井セグメント421に面した本天井41側の縁に取り付けられたプレートであり、
図11及び
図12に示すように乗口1a側に配置され、先に本天井41に組み立てられた天井セグメント421の縁と本天井41との間に差し込まれる。ブラケット423Cは、固定具の一形態であり、籠室100の奥側に面した側部の内側に取り付けられている。
【0039】
最後に取り付けられる天井セグメント422以外の天井セグメント421のブラケット423Cは、中間固定具423Aに相当し、次の天井セグメント421,422を装着することによって覆い隠される。最後に取り付けられる天井セグメント422のブラケット423Cは、終端固定具423Bに相当する。
図10から
図12に示すようにブラケット423Cが固定される部分に対応する本天井41には、籠室100内からボルト41bを締め付けられるように、ナット41cが取り付けられている。
【0040】
図9に示した天井セグメント421,422は、籠室100に面した下面に投光部46を有し、アクリル製樹脂などで作られた投光板461が取り付けられている。天井セグメント421,422の内部に照明器具を内蔵してもよい。照明器具の配置は、照明のデザインによるので、どのように配置するか適宜選択される。したがって、投光部46は、
図8に示す天井セグメント421に設けられてもよい。また、2番目以降に取り付けられる天井セグメント421,422であっても、
図9に示す投光部46がなくてもよい。
【0041】
天井セグメント421,422は、
図10から
図12に示す手順で本天井41に設置される。
図8に示した天井セグメント421が
図10に示すようにブラケット423Cによってまず本天井41に固定される。次に
図11に示すように、先に取り付けた天井セグメント421と本天井41との間に連結具423Dを差し込まれ、
図9に示した天井セグメント421,422が本天井41に固定される。意匠天井42を構成する天井セグメント421,422の数だけ最後に取り付けられる天井セグメント422まで
図11に示す手順で本天井41に固定される。すべての天井セグメント421,422が取り付けられたのち、乗口1a側および奥側にエンドカバー424A,424Bが装着される。
【0042】
意匠天井42の一部として籠室100の乗口1a側に装着される第1のエンドカバー424Aは、
図13に示す。第1のエンドカバー424Aは、最初に本天井41に設置された天井セグメント421の乗口1a側のブラケット423Cを覆い隠す。意匠天井42の一部として籠室100の奥側に装着される第2のエンドカバー424Bは、
図14に示す。第2のエンドカバー424Bは、最後に本天井41に設置された天井セグメント422の奥側のブラケット423Cを覆い隠す。いずれのエンドカバー424A,424Bも、第1の実施形態のエンドカバー424と同様に、天井セグメント421,422に当接する部分に対して水平方向へスライド嵌合する機構を有している。
【0043】
図13に示す第1のエンドカバー424Aは、専用に用意された支持ブラケット47と最初に本天井41に固定された天井セグメント421にそれぞれ貫通するプッシュ式のクイックファスナ425を備えている。このクイックファスナ425は、天井セグメント421に固定される係止受座425Aと、第1のエンドカバー424Aに固定される基台425Bと、基台425Bを貫通して係止受座425Aに差し込まれた状態で基台425Bと嵌合するピン425Eとで構成される。
【0044】
ピン425Eは、第1のエンドカバー424Aと天井セグメント421とを連結させる先端側の第1のロッド425Fと、支持ブラケット47と第1のエンドカバー424Aとを連結される操作側の第2のロッド425Gとを備えている。第2のロッド425Gは、第1のロッド425Fよりも一回り太い。第1のロッド425Fは、第1のエンドカバー424Aを天井セグメント421にスライド嵌合させるまでは天井セグメント421に対して引っ込んでいる。係止受座425Aは、第1のエンドカバー424Aが天井セグメント421にスライド嵌合した状態で第1のロッド425Fが差し込まれる位置に配置されている。
【0045】
支持ブラケット47は、第1のエンドカバー424Aを天井セグメント421に装着する際に第1のロッド425Fが通過するガイドスロット471と、第1のエンドカバー424Aが天井セグメント421にスライド嵌合した位置で第2のロッド425Gが差し込まれるロック穴472とを有している。第1のエンドカバー424Aが天井セグメント421に嵌合した位置で、第1のエンドカバー424Aと側壁3との間からピン425Eを押し込むことによって、第1のロッド425Fが係止受座425Aに、第2のロッド425Gが支持ブラケット47のロック穴472にそれぞれ差し込まれ、第1のエンドカバー424Aは天井セグメント421および本天井41と結合される。
【0046】
図14に示す籠室100の奥側に装着される第2のエンドカバー424Bは、第1の実施形態と同様に、最後に本天井41に固定された天井セグメント422に対してスライド嵌合された状態で第2のエンドカバー424Bを天井セグメント422に固定するプッシュ式のクイックファスナ425を有している。このクイックファスナ425は、乗口1a側のクイックファスナ425と同様に係止受座425Aと基台425Bとピン425Eとを有している。ピン425Eの構造は、乗口1a側のクイックファスナ425よりも簡単な構造で、第1のロッド425Fのみである。第2のエンドカバー424Bが天井セグメント422にスライド嵌合した位置で、第2のエンドカバー424Bと側壁3との間から操作してピン425Eを押し込むことによって、第1のロッド425Fが係止受座425Aに差し込まれ、第2のエンドカバー424Bは天井セグメント422に結合される。
【0047】
以上のように構成された第2の実施形態の乗籠1は、第1の実施形態の乗籠1と同様に、天井4を構成する本天井41および意匠天井42の両方を籠室100から組み立てることができる。先に本天井41に組み立てた天井セグメント421を利用して次に設置する天井セグメント421,422を取り付けていくので、作業も迅速に進む。また、この乗籠1において、固定具となるブラケット423Cは第1のエンドカバー424Aおよび第2のエンドカバー424Bで覆われてしまうので、天井4を籠室100側から見たときの意匠性にも優れている。またエンドカバー424は、クイックファスナ425によって天井セグメント421,422に固定される。クイックファスナ425は、エンドカバー424と側壁の隙間から操作される。したがって、いたずらなどによってエンドカバー424が外される心配がないとともに、作業員が意匠天井42を分解する場合にも操作が簡単である。
【0048】
なお、先に取り付けられた天井セグメント421に対して次に設置する天井セグメント421,422を引っ掛けて留める構造は、
図9に示した連結具423Dに限らず、エンドカバー424A,424Bを天井セグメント421,422に結合させる係合部44Aと被係合部44Bのようにスライド嵌合する構造でもよい。
【0049】
第3の実施形態のエレベータの乗籠1について、
図15および
図16を参照して説明する。乗籠1の全体構造は、第1の実施形態の乗籠1と同じであるので、同じ機能を有する構成は、各図において同一の符号を付し、細部の説明は、第1の実施形態において乗籠1の構造を説明した記載及び図面を参酌する。
【0050】
第3の実施形態の乗籠1は、エンドカバー424を天井セグメント422に結合させるためのクイックファスナ425の構造が異なる。
図15に示すクイックファスナ425は、最後に組み立てられる天井セグメント422に固定される係止受座425Aと、エンドカバー424に固定される係止ブロック425Hとを含む。係止ブロック425Hは、天井セグメント422に対してエンドカバー424をスライドさせることによって係止受座425Aと嵌合され、かつ、
図16に示すように嵌合された位置で係止受座425Aに引っ掛かりエンドカバー424を天井セグメント422に固定する爪425Kを有している。係止ブロック425Hは、爪425Kを解除するための操作部425Lを有している。
【0051】
このクイックファスナ425は、第1の実施形態のように奥側のエンドカバー424のみならず、第2の実施形態のように乗口1a側および奥側の両側にエンドカバー424A,424Bが採用される場合は、これらのエンドカバー424A,424Bにも適用される。このクイックファスナ425を備えると、スライド嵌合させると同時にエンドカバー424が天井セグメント422に結合され、操作が簡単である。また、作業員が意匠天井42を分解する場合にもクイックファスナ425を解除する操作が簡単である。
【0052】
第4の実施形態のエレベータの乗籠1について、
図17および
図18を参照して説明する。乗籠1の全体構造は、第1の実施形態の乗籠1と同じであるので、同じ機能を有する構成は、各図において同一の符号を付し、細部の説明は、第1の実施形態において乗籠1の構造を説明した記載及び図面を参酌することとする。
【0053】
第4の実施形態の乗籠1は、エンドカバー424を天井セグメント422に結合させるためのクイックファスナ425の構造が異なる。このクイックファスナ425は、エンドカバー424を天井セグメント422にスライド嵌合させるために天井セグメント422側に用意された
図17に示す係合部44Aと、エンドカバー424に取り付けられた係止フック425Mとを含む。係合部44Aは、第1の実施形態に示したスタッドと同形状のものである。係止フック425Mは、エンドカバー424に被係合部44Bとして設けられたいわゆるだるま穴の近傍に用意され、係合部44Aが被係合部44Bに嵌合する位置において
図18に示すように係合部44Aのステム442に引っ掛かり、この係合部44Aを拘束する。係止フック425Mは、回動させることによって係合部44Aに掛けられているので、エンドカバー424と側壁3の間から簡単に操作することができる。
【0054】
第5の実施形態のエレベータの乗籠1について、
図19を参照して説明する。乗籠1の全体構造は、第1の実施形態の乗籠1と同じであるので、同じ機能を有する構成は、各図において同一の符号を付し、細部の説明は、第1の実施形態において乗籠1の構造を説明した記載及び図面を参酌することとする。
【0055】
図19に示す第5の実施形態の乗籠1の意匠天井42は、乗口1a側から奥側に向かって並ぶ複数の天井セグメント421,422と、乗口1a側に装着される始端側の第1のエンドカバー424Aと、奥側に装着される第2のエンドカバー424Bとを備える。第5の実施形態における意匠天井42の天井セグメント421,422は、第1の実施形態と同じくレール43によって天井セグメント421,422を簡単に本天井41に組み付けられ、第2に実施形態と同じ構造の第1のエンドカバー424Aと第2のエンドカバー424Bを後から装着する。
【0056】
最初に本天井41に組み立てられる天井セグメント421は、乗口1a側に設置される第1のエンドカバー424Aがないので、レール43または本天井41に用意される当り止めに当接させて位置決めされる。最初に本天井41に組み立てられる天井セグメント421は、乗口1a側をブラケット423Cとボルト41bで本天井41に固定してもよい。
【0057】
第6の実施形態のエレベータの乗籠1について、
図20を参照して説明する。乗籠1の全体構造は、第1の実施形態の乗籠1と同じであるので、同じ機能を有する構成は、各図において同一の符号を付し、細部の説明は、第1の実施形態において乗籠1の構造を説明した記載及び図面を参酌することとする。
【0058】
図20に示す第6の実施形態の乗籠1の意匠天井42は、乗口1aから奥に向かう方向を横切る方向へ並ぶ複数の天井セグメント429と、乗口1a側に装着される第1のエンドカバー424Aと奥側に挿着される第2のエンドカバー424Bとを備える。第6の実施形態における意匠天井42の各天井セグメント429は、乗口1a側の端部及び奥側の端部に固定具の一形態である接合片423Eを有している。接合片423Eは、天井セグメント429の部材を延長して形成されていてもよいし、別部品で取り付けられたものであってもよい。接合片423Eは、天井セグメント429を本天井41に固定する。接合片423Eが取り付けられる位置に対応する本天井41の上には、ナットまたはスタッドボルトがあらかじめ用意されている。
【0059】
すべての天井セグメント429を本天井41に取り付けたあと、第1のエンドカバー424Aおよび第2のエンドカバー424Bは、第1から第4の実施形態に示したクイックファスナ425のいずれかによって、固定される。第1のエンドカバー424A及び第2のエンドカバー424Bのそれぞれ係合部44Aと連結される被係合部44Bは、係合部44Aに対応する位置にある天井セグメント429の外周に取り付けられている。クイックファスナ425の構造および操作については、先の実施形態において説明済であるので、対応する記載および図面を参酌する。
【0060】
なお、第1の実施形態から第6の実施形態において、エンドカバーを固定するための被係合部やクイックファスナの係止受部は、天井セグメントの外周に配置されているだけでなく、本天井に取り付けられる専用のブラケットに配置したり、本天井そのものに直接エンドカバーを固定するように配置したりしてもよい。
【0061】
また、第1の実施形態から第6の実施形態の乗籠1は、いずれも乗口1aが1つの乗籠1を示している。第1から第6の実施形態に示した乗籠1の天井4の構造を組み合わせて応用すれば、乗口1aを2つ有した乗籠1にも第1から第6の実施形態に示した乗籠1の天井4を採用できる。例えば、乗籠1の対面する側壁3に乗口1aが配置される場合、最初に本天井41に対して固定する
図8に示した天井セグメント421を、乗籠1の中央に取り付ける。そして、それぞれの乗口側へと残りの天井セグメント421,422を装着し、最後に乗口側のエンドカバー424Bをそれぞれ装着する。
【0062】
また、乗籠1の隣り合う側壁3に乗口1aが配置される場合、どちらか一方の乗口1a側から順番に天井セグメント421を装着し、最後に装着された天井セグメント422の終端固定具423Bを覆うようにエンドカバー424を装着する。そして、天井セグメントを装着し始めた乗口に隣り合う乗口に面した部分、すなわち天井セグメント421が並ぶ側部に、第6の実施形態に示した乗口側のエンドカバー424Aと同じような構造のエンドカバー424を装着する。
【0063】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。