(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように従来のカラオケ装置においては、楽曲の歌唱に関する指標として採点結果を算出、表示することが行われている。しかしながら、カラオケにおける楽しみは、歌唱の巧拙以外に、声を出して歌唱したことによるストレス発散が、ユーザーがカラオケを楽しむ上で大きな割合を占めることが分かっている。しかしながら、従来の採点機能では、各楽曲に付いての巧拙を判断すること、あるいは、特許文献1に開示されるようなグループ単位での巧拙を競う程度であって、歌唱の巧拙によらず、歌唱者の満足感を認識することはできなかった。
【0006】
本発明は、このような従来のカラオケ装置の事情を鑑みたものであって、ユーザーの歌唱に基づいて算出される新たな指標値を提案することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るカラオケ装置は、
ユーザーから各種入力を受け付ける入力手段と、
演奏情報を演奏する演奏手段と、
前記入力手段から入力される識別情報に応じてユーザーを認識する認証処理と、
前記入力手段で指定された楽曲を、前記認証処理で認証したユーザーに対応付けて登録する楽曲指定処理と、
前記楽曲指定処理にて登録した楽曲に対応する演奏情報を前記演奏手段に演奏させる演奏処理と、
前記演奏処理の実行中、前記楽曲の歌唱すべき歌唱区間において歌唱時間を計時し、前記歌唱区間の合計時間に対する前記歌唱時間の割合と、前記楽曲に対応する楽曲ポイントを演算
し、さらに歌唱の場に参加している全ユーザーの中で、所定回数以上一緒に行ったユーザーの割合で補正することで、前記演奏処理で演奏される楽曲に対応付けられたユーザーに対する指標値を算出する指標値算出処理と、を実行する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
さらに本発明に係るカラオケ装置において、前記指標値算出処理は、演奏楽曲における
歌唱すべき時間に対する歌唱時間の割合と、演奏楽曲に対応する楽曲ポイントを演算することで指標値を算出することを特徴とする。 前記楽曲ポイントは、演奏楽曲に対応する演奏情報、もしくは、演奏楽曲に対応する楽曲関連情報に基づいて算出された値であることを特徴とする。
【0010】
さらに本発明に係るカラオケ装置において、前記制御手段は、算出された指標値をユーザー毎に累積した累積指標値を算出する累積処理を実行することを特徴とする。
【0011】
さらに本発明に係るカラオケ装置において、前記歌唱時間は、演奏処理中の楽曲において、歌唱すべき期間を演奏手段で演奏した時間であることを特徴とする。
【0012】
さらに本発明に係るカラオケ装置において、前記楽曲における歌唱すべき期間は、演奏情報に対して設定されている区間情報に基づいて判定することを特徴とする。
【0013】
さらに本発明に係るカラオケ装置において、前記楽曲における歌唱すべき期間は、演奏情報に対応する歌詞情報に基づいて判定することを特徴とする。
【0014】
さらに本発明に係るカラオケ装置において、前記歌唱時間は、演奏処理中、マイクロホンからの音声入力を有りと判定した時間であることを特徴とする。
【0015】
また本発明に係るカラオケプログラムは、
入力手段から入力される識別情報に応じてユーザーを認識する認証処理と、
前記入力手段で指定された楽曲を、認証処理で認証したユーザーに対応付けて登録する楽曲指定処理と、
前記楽曲指定処理にて登録した楽曲に対応する演奏情報を演奏手段に演奏させる演奏処理と、
前記演奏処理の実行中、前記楽曲の歌唱すべき歌唱区間において歌唱時間を計時し、前記歌唱区間の合計時間に対する前記歌唱時間の割合と、前記楽曲に対応する楽曲ポイントを演算
し、さらに歌唱の場に参加している全ユーザーの中で、所定回数以上一緒に行ったユーザーの割合で補正することで、前記演奏処理で演奏される楽曲に対応付けられたユーザーに対する指標値を算出する指標値算出処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、カラオケ店舗などで歌唱したことによってすっきりした満足感を指標値としてユーザーに提示することが可能となる。また、各楽曲について算出された指標値をユーザー毎に累計することができるため、例えば、過去に取得した指標値、あるいは、カラオケ店舗における1回の入店における指標値を累計し、ユーザーに提示することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係るカラオケシステムのネットワーク構成を示す図である。図中、カラオケシステムとしての主要構成は、カラオケ用ホスト5(サーバ装置)、店舗などに設置されるコマンダ2などにて構成される。コマンダ2は楽曲再生機能を有した、いわゆるカラオケ装置であって、店舗内のLAN100に接続されている。コマンダ2とカラオケ用ホスト5は、インターネットを介して接続され、新しく供給された楽曲情報やユーザー情報など、各種サービスに必要な情報の送受信を行う。本実施形態ではVPN(Virtual Private Network)を介して接続されており、セキュリティに優れた通信を行うことが可能となっている。
【0019】
店舗に設置されるコマンダ2は、リモコン装置1によりユーザーからの各種指示を受け付けることが可能となっている。また、リモコン装置1は表示画面を備え、ユーザーに対して各種情報を提供することも可能である。リモコン装置1は、LAN100上に設置されたアクセスポイント110aを介してコマンダ2と無線接続される。図中に破線で示されるように、例えばコマンダ2aにはリモコン装置1aと1bが対応付けられ、LAN100aを介して情報を送受信することが可能となっている。また、リモコン装置1とコマンダ2とは赤外線などを利用した近距離通信を行うことも可能である。
【0020】
さらに、本実施形態のカラオケシステムでは、ユーザーに各種サービスを提供するためインターネット用ホスト6が設けられている。このインターネット用ホスト6は、ユーザーのパーソナルコンピュータ、携帯情報端末(携帯電話やPDAなど)と接続され、これら機器を利用するユーザーに各種サービスを提供することができる。また、インターネット用ホスト6は、カラオケ用ホスト5とデータ共有する、例えば、カラオケ用ホスト5の第1記憶部51と、インターネット用ホスト6の第2記憶部61に記憶される各種データベースが同期することで連携を取ったサービスを提供することができる。
【0021】
図2は、店舗に設置されているカラオケシステムの構成を示す図である。本実施形態におけるカラオケシステムは、コマンダ2(カラオケ装置)と、リモコン装置1にて構成されており、これらは、LAN100にて、無線、有線で互いに接続されている。
【0022】
コマンダ2は、全体を統括制御する制御部30を中心として機能し、主な機能として、楽曲演奏処理、映像表示処理、楽曲指定処理などを実行可能としている。楽曲演奏処理は、入力部21やリモコン装置1にて、ユーザーにより指定された楽曲に対応する演奏情報をMIDI音源26などの音源部にて演奏させ、スピーカー42から放音させる処理である。このとき、スピーカー42からは歌唱用マイク44から入力される音声も合わせて放音される。映像再生処理は、映像再生部29にて各種映像情報、歌詞情報などを再生させ、モニタ41を介した視覚情報をユーザーに提供する処理である。
【0023】
楽曲指定処理は、ユーザーからの指定に基づいて楽曲を選択、予約するための処理である。本実施形態ではリモコン装置1と連携して実行することとなる。リモコン装置1の操作部17から入力されたユーザーの指令は、赤外線通信部19、23、あるいは、LAN100を介してコマンダ2に伝達される。コマンダ2での処理結果は、リモコン装置1側
の表示部11に表示され、ユーザーは選曲のための各種情報を視認することが可能である。コマンダ2とリモコン装置1は、この楽曲指定処理に限らず、ユーザー個別のサービスを提供するためのログイン処理など各種処理を実行することが可能である。
【0024】
本実施形態のコマンダ2には、カメラ43が接続可能となっており、接続されたカメラ43から歌唱者や同伴客の様子を撮影することが可能となっている。カメラ41の映像を表示手段(例えば、モニタ41)にてモニタする場合には、カメラ43は、当該表示手段の上部など、表示手段の近傍に配置することが好ましい。ユーザーは、モニタ画像を鏡のように利用することが可能となる。なお、カメラ43を複数設け、同時に、あるいは、切り換えて撮影することで映像情報を取得することとしても構わない。
【0025】
図3は、本発明の実施形態に係るトップ画面、すなわち、リモコン装置1を起動した直後の画面を示す図である。本実施形態では、リモコン装置1の表示部11に表示を行うことで、リモコン装置1を操作するユーザーに対して各種情報を提供する。なお、リモコン装置1の操作部17としては、カーソルキーなどの各種機械的なスイッチの他、表示部11に表示されたボタン、アイコンなどを直接タッチして操作を行うタッチパネルを採用することができる。
【0026】
本実施形態のカラオケシステムは、複数のユーザーがログインすることが可能となっている。ユーザーのログインに関する情報は画面上方に常時表示される。ログインしたユーザーの分身像(アバター)を表示するためのログインユーザー欄103が設けられている。なお、分身像としては、人、キャラクターを模した像の他、図形や記号など各種形態を採用することができる。
【0027】
また、アカウントを有していないユーザーのためのゲストアイコン102、ユーザーを切り替えるためのユーザー切替スイッチ101が表示されている。ログインしたユーザーは、ログインユーザー欄103に表示される分身像を選択、あるいは、ユーザー切替スイッチ101を操作することで、自分のユーザー情報を利用した各種サービスを受けることが可能となる。また、アカウントを有していないユーザーは、ゲストアイコン102を操作することで、選曲など一般的なサービスを受けることが可能となっている。なお、ユーザーの切替の際には、パスワードなど認証を行うこととしてもよいが、認証を行うことなく簡易に切り替えることとしてもよい。
【0028】
図4は、各ユーザー毎に記憶されたユーザー情報を説明するための図である。本実施形態では、ユーザー情報として、個人情報、マイうたテーブル、マイアーティストテーブル、履歴テーブルなど、ユーザーに関する各種情報を含んで構成される。特に、本実施形態では、当該ユーザーの歌唱行為の指標値のための満足度テーブルを有している。
【0029】
ユーザー情報には、ユーザーがログインしてこれら情報を利用するためのユーザーID、パスワードが対応付けられている。個人情報には、ユーザー名(実際の名前に限ったものでなく、ニックネームであってもよい)、性別、年齢等を含んで構成されている。これら各種情報は、リモコン装置1、あるいは、ネットワークに接続されたパーソナルコンピュータ、携帯情報端末などにてログインして設定することができる。
【0030】
マイうたテーブルは、ユーザーによって事前に登録された楽曲を示すテーブルであって、少なくとも楽曲を識別するための楽曲識別子を含んで構成されている。この他、歌唱した際に採点された最高点(採点情報)や、自分の歌唱音域に合わせるためのキー調整値などを登録しておいてもよい。ユーザーは、このマイうたテーブルを読み出すことで、事前に登録した楽曲を容易に選曲することが可能となる。
【0031】
マイアーティストテーブルは、ユーザーによって事前に登録されたアーティスト(歌手)を示すテーブルであって、歌手識別子を含んで構成されている。ユーザーは、このマイアーティストテーブルを呼び出すことで、事前に登録したアーティストを読み出し、さらにデータベースを参照することで当該アーティストに関連する楽曲を読み出して選曲することが可能となる。
【0032】
履歴テーブルは、ユーザーがこれまでに選曲した履歴が記載されたテーブルであって、楽曲識別子、歌唱日時、歌唱店舗(歌唱位置)、キー調整値、採点情報などを含んで構成されている。採点情報は、歌唱したときの採点手段による結果を示す情報であり、音程情報は歌唱したときのピッチ変更を示す情報である。
【0033】
本実施形態では、この履歴テーブルに記録された楽曲を選曲することも可能となっている。ユーザーは履歴テーブルを用いた選曲を行うことで、過去に指定した楽曲を再度演奏させることが可能となっている。
【0034】
さらに本実施形態では、ユーザー情報中に満足度テーブルが含まれている。この満足度テーブルは、ユーザーが指定した楽曲の演奏に基づいて与えられる指標値に基づいて、作成されるテーブルであって、本実施形態では、各楽曲毎の演奏にて与えられた指標値(満足度)を累計した累計満足度と、最後に歌唱した日時を示す最終歌唱日時を含んで構成されている。さらに、図に示すように、楽曲(楽曲識別子)毎に歌唱日時と、付与された満足度を含んで構成してもよい。指標値としての満足度の算出については後で詳しく説明を行う。
【0035】
本実施形態では、このようなユーザー情報を利用することで、ユーザーに対し様々なサービスを提供することができる。
【0036】
図5は、このユーザー情報の送受信の様子を示した図である。カラオケ店舗に来店したユーザーは、自己のユーザーIDとパスワードで構成された識別情報を入力、あるいは、リモコン装置1などに設けられたICカードリーダーでICカードに記憶されている識別情報を読み取らせることで認証処理S101を実行する。ユーザーの識別情報を読み取った、コマンダ2あるいはリモコン装置1は、識別情報をカラオケ用ホスト5に送信し(S102)、識別情報を受信したカラオケ用ホスト5は記憶部1に記憶されたデータベースから、該当するユーザーのユーザー情報を抽出し(S121)、問い合わせのあったコマンダ2あるいはリモコン装置1に対して送信する(S122)。
【0037】
ユーザー情報を受信したコマンダ2側では(S103)、受信したユーザー情報に基づいて、選曲処理、演奏処理など各種サービス処理が提供される(S104)。ユーザーによりログアウトが要求される(S105)とサービス処理を中断し、サービス処理中における各種履歴(ログ)、あるいは、ユーザーによる設定変更を反映したユーザー情報をカラオケ用ホスト5に送信する(S106)。ここで、ユーザー情報は、全ての情報を送信することの他、更新された差分だけを送信してもよい。カラオケ用ホスト5では、受信したユーザー情報に基づいて記憶部1に記憶されたデータベースの更新を実行する(S124)。
【0038】
以上、1ユーザーが認証処理(ログイン)してから、ログアウトするまでの流れを説明したが、本実施形態のコマンダ2、リモコン装置1は、認証された複数人(認証ユーザー)が同時にログインした状態で使用することが可能となっており、
図3で説明したユーザーインターフェイスを用いることで、サービスを提供するユーザー(以下、「アクティブユーザー」という)を切り替えて使用することが可能となっている。
【0039】
図6は、本発明の実施形態に係るアクティブユーザートップ画面を示す図である。この図に示されるように、複数人がログインした状態ではログインユーザー欄103にログインしたユーザーの分身像103a〜103e(本実施形態では顔部分)が表示される。またログインユーザー欄103中、右端に背景がハイライトで示されるユーザーは、アクティブユーザー103eであって、図に示す状態では、このアクティブユーザー103eに対するサービス、すなわち、アクティブユーザー103eのユーザー情報を利用したサービスが実行されている状態となっている。
【0040】
このアクティブユーザートップ画面では、「曲を探す」を選択することで、従来の歌本と同様、歌手名、楽曲名に基づく検索を行うことができる。また、「マイルーム」を選択した場合には、ユーザー情報中のマイうたテーブルなどを利用した、アクティブユーザーに特化した楽曲検索を行うことができる。
【0041】
また、このアクティブユーザートップ画面には、アクティブユーザーの歌唱が歌唱することで与えられた満足度の累計値(累計満足度)が表示されている。ユーザーはこのアクティブユーザートップ画面で、指標値としての累計満足度を確認することができる。累計満足度、あるいは、満足度の履歴は、このリモコン装置1に表示されるアクティブユーザートップ画面に限らず、各種形態でユーザーに閲覧させることとしてもよい。また、リモコン装置1のみならず、コマンダ2、あるいは、
図1で説明したようにネットワークを介して接続されている形態情報端末やパーソナルコンピュータにて閲覧させることも可能である。
【0042】
図7には、アクティブユーザートップ画面にて「マイルーム」が選択されたときの画面であるマイルーム画面が示されている。このマイルーム画面には、図に示されるようにマイうた104、マイアーティスト105、りれき106といった操作ボタンが表示されており、これらを選択することでユーザー情報を利用した各種選曲方法を選択することが可能となっている。マイうた104が選択されたときにはマイうたテーブルを参照した選曲が、マイアーティスト105が選択されたときにはマイアーティストテーブルを参照した選曲が、そして、りれき106が選択されたときには履歴テーブルを参照した選曲が実行される。
【0043】
アクティブユーザーとして楽曲を選択した場合、
図8に示される楽曲確認画面にて、予約を行う楽曲に間違いがないか、楽曲名、歌手名、歌い出しなどを表示してユーザーに確認させる。このとき、選択した楽曲に対して自分の歌唱できる音程が予め分かっている場合には、「キー設定」を変更することで演奏する際のキー調整値を設定することが可能となっている。キー設定右下の「変更」ボタンを操作することで、キー設定用の画面が表示されキー調整値を設定することができる。
【0044】
では、このような楽曲確認画面で、予約が実行されたときの楽曲指定処理について説明する。
図9は、本発明の実施形態に係る楽曲指定処理を示すフロー図である。この処理では、現在、操作を行っているユーザーがアクティブユーザーであるか、ゲストユーザーであるかが判定される。アクティブユーザー(S202:Yes)の場合、
図8の予約確認画面にて楽曲が選択、すなわち、「予約」ボタンが操作される(S203)とリモコン装置1からコマンダ2に対して予約情報が送信される(S204)。このときの予約情報のデータ構成が
図10(a)に示されている。選択した楽曲の楽曲識別子、選択を実行したしたアクティブユーザーのユーザーID、キー調整を行った場合にはキー調整値が含まれている。コマンダは、受信した予約情報を予約リストに記憶させる。
【0045】
一方、アクティブユーザーでない、すなわち、ゲストユーザー(S202:No)の場合、同様の予約確認画面にて楽曲が選択される(S205)と、リモコン装置1からコマ
ンダに対して同様に、予約情報を送信する。このときの予約情報は
図10(b)のようになり、アクティブユーザーの予約時と異なり、ユーザーIDが含まれていないデータ構成となる。
【0046】
では、このような予約情報を受信して楽曲を演奏するコマンダ2側での予約楽曲演奏処理について説明する。
図11は、本発明の実施形態に係る予約楽曲演奏処理を示すフロー図である。コマンダ2側での処理が開始されると、まず、予約テーブルのチェックが実行される(S301)予約テーブルは、前述の予約情報に基づいて作成されたテーブルであって、予約情報の順列で構成されている。この予約テーブルに記憶されている予約情報を順次読み出すことで楽曲の演奏が実行される。
【0047】
S302では、予約テーブル中に次の楽曲、すなわち、まだ演奏を実行していない予約情報があるか否かが判定される。次の楽曲がある場合(S302:Yes)には、該当する予約情報を予約テーブルから読み出して、予約情報に含まれる楽曲識別子に対応する演奏情報をMIDI音源26などで演奏させる(S303)。演奏を行う際、予約情報を参照し、楽曲を予約したのはアクティブユーザー(ログインユーザー)によるものか、ゲストユーザーによるものかが判定される(S304)。
【0048】
アクティブユーザーの場合(S304:Yes)には、演奏中に満足度算出処理(S400)を実行し、指標値としての満足度を算出する。また、この場合、演奏終了(S401)後には、S400にて算出された満足度をユーザーに提示する満足度表示処理(S402)と、算出された満足度に基づいてユーザー情報の更新が行われる(S403)。一連の処理が終了すると、S301に戻って次の楽曲の処理が行われる。一方、ゲストユーザーの場合(S304:No)には、この満足度に関する処理は実行されない。
【0049】
このように本実施形態に係る指標は、アカウントを有するユーザー(アクティブユーザー)に対してのみ実行され、アカウントを有するユーザー毎に、算出された指標値(満足度)を累計し、各種サービスに利用することが可能となっている。
【0050】
では、この満足度算出処理S400について詳しく説明する。
図12は、本発明の実施形態に係る満足度算出処理を示すフロー図である。なお、この処理はカラオケ装置としてのコマンダ2にて実行されることとなるが、コマンダ2において実行可能なプログラム(カラオケプログラム)として通信回線、あるいは、記録媒体を通じて提供することもできる。本実施形態の満足度算出処理は、楽曲演奏中の歌唱時間を判定することで実行される。この歌唱時間とは、歌唱用マイク44に音声が入力されている時間であってもよいし、音声の入力の有無にかかわらず、楽曲中において歌唱すべき期間が演奏された時間であってもよい。
【0051】
図13に1楽曲中の歌唱区間を説明するための図が記載されている。楽曲はその進行に伴って複数の区間に分けることができる。この例では前奏、Aメロディ、間奏、Bメロディ、後奏の順で楽曲が進行し、このうちAメロディとBメロディが歌唱を行う歌唱区間に相当している。本実施形態では、この歌唱区間において実際に歌唱が行われた時間、もしくは、歌唱区間を演奏した時間を歌唱時間と定義している。
【0052】
S401では、楽曲の演奏進行に伴って、現在演奏している区間が判定される。なお、区間の判定は、演奏情報に区間情報を設定しておくことで判定すること、あるいは演奏情報中のガイドメロディの有無で判定すること、演奏に同期して表示される歌詞情報(表示タイミングや色変えタイミング)で判定することができる。
【0053】
演奏時点が歌唱区間であることが判定された場合(S402:Yes)には、歌唱時間
の計時が開始される。この歌唱時間は、単に歌唱区間において演奏情報が演奏された時間であってもよいし、もしくは、歌唱区間において歌唱用マイク44から音声が入力されたことを検出した時間であってもよい。歌唱時間の計時は、次の区間が開始されるまで、もしくは、演奏が終了するまで継続される。
【0054】
演奏がユーザーの指令により途中で終了(S404)、もしくは、演奏情報を最後まで演奏すること終了(S405)されたことが判定されると、S406にて、当該楽曲に付いてS403で計時した歌唱時間が集計される。本実施形態では歌唱区間毎に計時した歌唱時間を加算することで当該楽曲の歌唱時間を集計することとしている。この場合、途中終了した場合(S404)には、途中終了した歌唱区間での歌唱時間を含めることとしてもよい。なお、ユーザーの指令により途中で終了される場合(S404)としては、歌唱途中で自身がなくなって終了させる場合や、他のユーザーによって誤って終了されるケースが考えられる。このような場合、歌唱者には不満が残ることが考えられる。このような場合、S403の歌唱時間の集計では、途中終了した歌唱区間の歌唱時間を除外して満足度を算出する、あるいは、当該楽曲についての歌唱時間を0とするなどして満足度を算出しないことが考えられる。
【0055】
S407では、本実施形態において、楽曲を歌唱したユーザーに対する指標値としての満足度が算出される。ここで「満足度」とは、指標値の1つの呼び名であって実際にユーザーが満足したか否かを示すものではなく、適宜名称とすることができる。また、満足度は次の式によって算出される。
満足度=楽曲ポイント×(歌唱時間/楽曲中で歌唱すべき時間) …(式1)
【0056】
楽曲ポイントは、楽曲毎に割り当てられた値であって、楽曲の時間長、ジャンル、難易度などによって予め業者によって定められ、演奏情報に対応付けて記憶されている。
図12の実施形態では、歌唱区間中、全て歌唱したと判定された場合には、(式1)中の第2項が1となり、楽曲ポイントがそのまま満足度として算出される。このように本実施形態における満足度は、歌唱すべき期間中、どの位の時間歌唱したかの割合に基づいて算出される指標値となっている。さらに、楽曲ポイントを演算することで、楽曲の特性を考慮した指標値とすることが可能となっている。
【0057】
なお、本実施形態では、楽曲ポイントを業者が予め決めておくこととしたが、演算により求めることとしてもよい。この場合、演奏情報に対応付けられているジャンル情報、歌唱の難易度、歌唱すべき時間あるいは全演奏時間などの楽曲関連情報を用いるほか、演奏情報自体を用い、例えば、演奏情報中のノート(音程)変化などを考慮して算出することができる。例えば、音程の変化が激しい楽曲(アップテンポな楽曲)では、楽曲ポイントを高くするなどの補正を行って算出することが考えられる。なお、楽曲ポイントの算出は、楽曲を演奏した時点で演算することとしてもよいし、演算されたものを演奏情報に対応付けて記憶しておくこととしてもよい。
【0058】
S407で算出された指標値としての満足度は、各種の歌唱状況情報に基づいて補正することとしてもよい(S408)。この歌唱状況情報としては、例えば、歌唱の場に参加しているユーザー人数が考えられる。例えば、ユーザー人数が多いほど、満足度を大きくするように補正することができる。その際、ユーザー人数のカウントは、アカウントを有するユーザーについては、ログインしているユーザー数をカウントすることで容易に取得できるし、さらには、コマンダ43に接続されているカメラ43の映像を解析して得ることとしてもよい。
【0059】
ユーザー人数を利用した補正としては、所定期間内(1ヶ月、半年など)のユーザー人数の平均値を用いることとしてもよい。この平均値よりも多い人数で歌唱している場合は
満足度を上げ、少ない人数で歌唱している場合は満足度を下げる補正を行うことが可能となる。さらには、同席しているユーザーが誰であるかを特定し、過去に多く同席しているユーザーが含まれる場合は、満足度を上げることとしてもよい。この場合、同席している全ユーザーについて、歌唱しているユーザーと何回一緒にカラオケに参加したかを抽出し、同席している全ユーザーの中で所定回数以上、一緒に行った人の割合でもって補正することが考えられる。具体的には、所定回数を5回以上とした場合、5回以上のユーザーが占める割合が、
5%未満であれば、満足度×0.9
50%以上であれば、満足度×1.0
75%以上であれば、満足度×1.2
といった補正を行うことが考えられる。
【0060】
あるいは、同席しているユーザーについて一緒にカラオケに参加した回数の合計、あるいは、平均をとり、例えば、平均回数が、
2回未満であれば、満足度×0.9
5回以上であれば、満足度×1.0
10回以上であれば、満足度×1.2
といった補正を行うことが考えられる。
【0061】
この他、歌唱状況情報としては、カメラ43にて歌唱者、あるいは、カラオケの場に参加している者の動作を撮影し、大きな動作をしているときは場が盛り上がっていると判断して満足度を大きくするように補正することも可能である。あるいは、演奏している楽曲のジャンルにふさわしい動作をしているかを判定して、そのような動作をしている場合に満足度を大きくしてもよい。さらには、参加しているユーザーから各種入力手段にて受け付けた評価情報を利用して、満足度を補正することとしてもよい。
【0062】
S409では、S408の補正処理にて最終的に得られた満足度を集計する。ここにおける満足度の集計は、例えば、楽曲を歌唱したユーザーについて、当該ユーザーがこれまでに取得した満足度の集計を意味している。また、集計する期間としては、当該ユーザーについて過去に取得した満足度に、今回取得した満足度を加算し、当該ユーザーの累計満足度を算出することができる。この他、過去の所定期間に取得した満足度に、今回取得した満足度を加算してもよい。所定期間としては、歌唱当日、あるいは、週毎、月毎とする他、ログインしてからの期間などが考えられる。
【0063】
以上、満足度算出処理について説明したが、本実施形態では、歌唱区間中に歌唱したか否かを条件として、歌唱すべき期間中に歌唱した割合に基づいて指標値としての満足度を算出しており、ユーザーが実際に歌唱した、あるいは、歌唱したと推定される経過時間に基づいて指標値が算出される。また、楽曲毎に対応付けられた楽曲ポイントを演算することで、楽曲の難易度などの特性に応じた指標値を得ることができる。
【0064】
本実施形態では、1楽曲単位で満足度を算出することとしたが、さらに詳細に楽曲の歌唱区間毎に満足度を算出、提示することとしてもよい。ユーザーは、歌唱区間毎の満足度を知ることができ、どの部分で満足度が高くなるかを知ることが可能となる。さらには、各歌唱区間について、楽曲区間ポイントを用意しておき、この楽曲区間ポイントと歌唱時間に基づいて満足度を算出してもよい。このような場合、例えば、サビ区間や英語の歌詞の区間など、歌い切ることでスッキリする区間については楽曲区間ポイントを高くしておくことが可能となる。
【0065】
図11に戻り、S400で算出された満足度は、演奏終了後にユーザーに対して表示される(S305)。
図14は、本発明の実施形態に係る歌唱終了時のモニタ画面を示す図
であって、コマンダ2は、演奏終了後の所定期間、このような画面をモニタ41に表示する。ここでは、演奏した楽曲の楽曲名、歌手名の他、楽曲を選択(予約)したユーザー(Aさん)のユーザー名、分身像(アバター)が表示されている。さらに、歌唱に基づいて得られた満足度、そして、ユーザーAがこれまでに取得した累計満足度が表示されている。
【0066】
S306では、今回の歌唱で得られた満足度に基づいて、ユーザーAのユーザー情報について満足度テーブルを更新し、一連の予約楽曲演奏処理を終了する。
【0067】
また指標値としての満足度は、各種装置、各種タイミングでユーザーに提示することができる。例えば、ユーザーが、ログアウトする際に表示することとしてもよい。
図15は、ログアウト時におけるリモコン装置の画面を示す図であって、この実施形態では、ユーザー(Aさん)がログインしてからログアウトするまでに選択し、演奏された各楽曲についての満足と、その合計値、そして、ユーザーがこれまでに取得した累計満足度が表示されている。
【0068】
さらに満足度の確認は、
図1で説明したネットワークに接続されている形態情報端末、パーソナルコンピュータなどの外部機器からの指定に応じて提示することとしてもよい。自分の満足度を確認したいユーザーは、これらの外部機器からインターネット用ホスト6にアクセスし、ログインすることでユーザー情報を呼び出して、各種満足度の確認を行うことができる。
【0069】
以上、本実施形態では、アカウントを有する各ユーザーについて楽曲演奏時における歌唱時間に基づいて、ユーザー毎の指標値を算出するものであって、ユーザーに対して歌唱したことの実績を示すことが可能となる。さらに、この指標値は、歌唱の実績としてのみならず、景品交換の対象、あるいは、有価ポイントとして利用可能とすることとしてもよい。ユーザーに対する歌唱参加への動機付けとすることができる。
【0070】
なお、本発明はこれらの実施形態のみに限られるものではなく、それぞれの実施形態の構成を適宜組み合わせて構成した実施形態も本発明の範疇となるものである。