特許第5665153号(P5665153)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5665153-モータ速度制御装置及び方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5665153
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】モータ速度制御装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   H02P 29/00 20060101AFI20150115BHJP
【FI】
   H02P5/00 Z
【請求項の数】10
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-154639(P2013-154639)
(22)【出願日】2013年7月25日
(65)【公開番号】特開2014-54166(P2014-54166A)
(43)【公開日】2014年3月20日
【審査請求日】2013年7月25日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0098211
(32)【優先日】2012年9月5日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】グ、ボン ヤン
【審査官】 森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−059378(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータからのホールセンサ信号を検出し、検出された前記ホールセンサ信号に基づいてパルス幅変調(PWM)信号の出力時点を決定して、前記PWM信号を前記出力時点に出力するPWM信号出力部と、
前記PWM信号出力部により出力される前記PWM信号のデューティ検出するデューティ検出部と、
外部から入力されるPWMデューティと前記デューティ検出部により検出されたデューティとを比較して誤差を求める誤差演算部と、
前記誤差演算部により求められた誤差に基づいてモータの速度を制御する速度制御部と、を含むモータ速度制御装置。
【請求項2】
前記PWM信号出力部は、イ(high)たはロー(low)の前記PWM信号を出力する、請求項1に記載のモータ速度制御装置。
【請求項3】
前記PWM信号出力部は、前記ホールセンサ信号の立ち上がりエッジ(rising edge)または立ち下がりエッジ(falling edge)を検出する、請求項1または2に記載のモータ速度制御装置。
【請求項4】
前記PWM信号出力部は、前記ホールセンサ信号の立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジが検出された瞬間から、予め設定された一定時間の間にハイたはローの前記PWM信号を出力する、請求項3に記載のモータ速度制御装置。
【請求項5】
前記速度制御部は、前記誤差演算部により求められた誤差に基づいて、新しい速度指示値を前記モータに印加する、請求項1から4の何れか1項に記載のモータ速度制御装置。
【請求項6】
PWM信号出力部、デューティ検出部、誤差演算部及び速度制御部を含むモータ速度制御装置によるモータ速度制御方法であって、
a)前記PWM信号出力部により、制御対象のモータからのホールセンサ信号を検出し、検出された前記ホールセンサ信号に基づいてパルス幅変調(PWM)信号の出力時点を決定して、前記PWM信号を前記出力時点に出力する段階と、
b)前記デューティ検出部により、前記PWM信号出力部によって出力される前記PWM信号のデューティ検出する段階と、
c)前記誤差演算部により、外部から入力されるPWMデューティと前記デューティ検出部によって検出されたデューティとを比較して誤差を求める段階と、
d)前記速度制御部により、前記誤差演算部によって求められた誤差に基づいて前記モータの速度を制御する段階と、を含む、モータ速度制御方法。
【請求項7】
前記段階a)で、前記PWM信号出力部により、イ(high)たはロー(low)の前記PWM信号を出力する、請求項6に記載のモータ速度制御方法。
【請求項8】
前記段階a)で、前記PWM信号出力部により、前記ホールセンサ信号の立ち上がりエッジ(rising edge)または立ち下がりエッジ(falling edge)を検出する、請求項6または7に記載のモータ速度制御方法。
【請求項9】
前記PWM信号出力部により、前記ホールセンサ信号の立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジが検出された瞬間から、予め設定された一定時間の間にハイたはローの前記PWM信号を出力する、請求項8に記載のモータ速度制御方法。
【請求項10】
前記段階d)で、前記速度制御部により、前記誤差演算部によって求められた誤差に基づいて、新しい速度指示値を前記モータに印加する、請求項6から9の何れか1項に記載のモータ速度制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ速度制御装置及び方法に関し、特に、従来のRPM(revolution per minute)形態の速度検出方式における速度検出演算による時間遅延及びそれによる検出速度の誤差を減らすことができるモータ速度制御装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モータ制御回路の様々な構成が公知されており、このような構成の一つがH‐ブリッジ(H‐bridge)またはフルブリッジ(full bridge)構成である。前記H‐ブリッジまたはフルブリッジ構成では、四つのトランジスタがH形態のブリッジ(bridge)を形成するように連結されたモータコイルとともにHパターンを形成する。前記トランジスタスイッチは対を成して制御される。第一のスイッチ対が導通(conduct)される場合には、第1電圧信号が前記モータコイルに提供されて前記コイルに第1方向に流れる電流を発生させ、第二のスイッチ対が導通される場合には、第2電圧信号が前記モータコイルに提供されて前記コイルに反対方向に流れる電流を発生させる。前記トランジスタ対のターンオン/ターンオフの割合によってモータの速度が制御される。
【0003】
一方、図1は従来技術によるモータ速度制御装置の一例の構成を概略的に図示した図面である。
【0004】
図1を参照すると、従来技術によるモータ速度制御装置は、外部から供給されるPWM(pulse width modulation)デューティ(duty)形態の速度指示(命令)を実際の速度値(RPM値)に変換する速度変換部110と、モータ150の実際の速度を検出する速度検出部120と、速度検出部120により検出された検出速度と前記速度変換部110によりPWMデューティ値から変換された速度との差を演算する誤差演算部130と、誤差演算部130により演算された速度誤差に基づいて、新しい速度指示値をモータ150に印加する速度制御部140と、を含んで構成される。
【0005】
ところが、上記の構成を有する従来のモータ速度制御装置において、速度検出部120によりモータ150の速度を検出するにあたり、速度検出のためのサンプルを周期的に獲得して速度検出のための演算を遂行する。従って、速度検出演算のための時間遅延が発生し、その結果、検出速度値において誤差が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国公開特許公報10−2010−0041794
【特許文献2】特開2008−148542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の従来のモータ速度制御方法の問題点を改善するために導き出されたものであって、モータの速度検出をPWM(pulse width modulation)形態で遂行し、それによりデューティを検出して、速度指示(命令)として与えられたデューティと比較して誤差を求めることにより、従来のRPM形態の速度検出方式における速度検出演算による時間遅延及びそれによる検出速度の誤差を減らすことができるモータ速度制御装置及び方法を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を果たすための本発明によるモータ速度制御装置は、モータからのホールセンサ信号を検出し、それに相当するパルス幅変換された信号を出力するPWM変換部と、前記PWM変換部により出力されるパルス幅変換された信号のデューティ値を検出するデューティ検出部と、外部から入力されるPWMデューティと前記デューティ検出部により検出されたデューティとを比較して誤差を求める誤差演算部と、前記誤差演算部により求められた誤差に基づいてモータの速度を制御する速度制御部と、を含むことを特徴とする。
【0009】
ここで、前記PWM変換部は、パルス幅変換されたハイ(high)信号またはロー(low)信号を出力する。
【0010】
また、前記PWM変換部は、ホールセンサ信号の立ち上がりエッジ(rising edge)または立ち下がりエッジ(falling edge)を検出する。
【0011】
また、前記PWM変換部は、前記ホールセンサ信号の立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジが検出された瞬間から、予め設定された一定時間の間にハイ信号またはロー信号を出力する。
【0012】
また、前記速度制御部は、前記誤差演算部により求められた誤差に基づいて、新しい速度指示値を前記モータに印加する。
【0013】
また、上記の目的を果たすための本発明によるモータ速度制御方法は、PWM変換部、デューティ検出部、誤差演算部及び速度制御部を含むモータ速度制御装置によるモータ速度制御方法であって、a)前記PWM変換部により、制御対象のモータからのホールセンサ信号を検出し、それに相当するパルス幅変換された信号を出力する段階と、b)前記デューティ検出部により、前記PWM変換部によって出力されるパルス幅変換された信号のデューティ値を検出する段階と、c)前記誤差演算部により、外部から入力されるPWMデューティと前記デューティ検出部によって検出されたデューティとを比較して誤差を求める段階と、d)前記速度制御部により、前記誤差演算部によって求められた誤差に基づいて前記モータの速度を制御する段階と、を含むことを特徴とする。
【0014】
ここで、前記段階a)で、前記PWM変換部により、パルス幅変換されたハイ(high)信号またはロー(low)信号を出力する。
【0015】
また、前記段階a)で、前記PWM変換部により、ホールセンサ信号の立ち上がりエッジ(rising edge)または立ち下がりエッジ(falling edge)を検出する。
【0016】
また、前記PWM変換部により、前記ホールセンサ信号の立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジが検出された瞬間から、予め設定された一定時間の間にハイ信号またはロー信号を出力する。
【0017】
また、前記段階d)で、前記速度制御部により、前記誤差演算部によって求められた誤差に基づいて、新しい速度指示値を前記モータに印加する。
【発明の効果】
【0018】
上記の本発明によると、モータの速度検出をPWM(pulse width modulation)形態で遂行し、それによりデューティを検出して、与えられた速度指示(命令)としてのデューティと比較して誤差を求めることにより、従来のRPM形態の速度検出方式における速度検出演算による時間遅延及びそれによる検出速度の誤差を減らすことができる長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】従来技術によるモータ速度制御装置の一例の構成を概略的に図示した図面である。
図2】本発明の実施形態によるモータ速度制御装置の構成を概略的に図示した図面である。
図3】本発明の実施形態によるモータ速度制御方法の実行過程を図示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書及び請求範囲に用いられた用語や単語は、通常的かつ辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者が自らの発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則にしたがって本発明の技術的思想にかなう意味と概念に解釈されるべきである。
【0021】
明細書の全体において、ある部分がある構成要素を「含む」ということは、特別に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのでなく、他の構成要素をさらに含むことができるということを意味する。また、明細書に記載された「…部」、「…器」、「モジュール」、「装置」などの用語は、少なくとも一つの機能や動作を処理する単位を意味し、これはハードウェアやソフトウェアまたはハードウェア及びソフトウェアの結合により具現されることができる。
【0022】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0023】
図2は本発明の実施形態によるモータ速度制御装置の構成を概略的に図示した図面である。
【0024】
図2を参照すると、本発明によるモータ速度制御装置は、PWM変換部210と、デューティ検出部220と、誤差演算部230と、速度制御部240と、を含んで構成される。
【0025】
前記PWM変換部210は、モータ250からのホールセンサ信号(または逆起電力の波形)を検出し、それに相当するパルス幅変換された信号を出力する。ここで、このようにPWM変換部210がモータ250からのホールセンサ信号を検出するために、モータ250にはホールセンサ(不図示)が予め設けられる。また、モータ250にホールセンサが既に内蔵されている場合には、そのホールセンサから出力される信号をPWM変換部210によって受信できるように、簡単に回路を設備すればよい。
【0026】
また、上記のようなPWM変換部210は、ホールセンサ信号(または逆起電力の波形)を検出し、それに相当するパルス幅変換された信号を出力するにあたり、パルス幅変換されたハイ(high)信号またはロー(low)信号を出力する。
【0027】
また、前記PWM変換部210は、ホールセンサ信号の立ち上がりエッジ(rising edge)または立ち下がりエッジ(falling edge)を検出する。
【0028】
また、前記PWM変換部210は、前記ホールセンサ信号の立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジが検出された瞬間から、予め設定された一定時間の間にハイ信号またはロー信号を出力する。
【0029】
即ち、前記PWM変換部210は、ホールセンサ信号を用いる場合、ホールセンサ信号の立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジを検出し、検出された瞬間から特定時間の間にハイ信号を出力して、ロー信号を出力する。その後、次のエッジでさらに特定時間の間にハイ信号を出力して、ロー信号を出力する。このように変換されたPWM変換部210のデューティ(duty)値を検出すると、速度に対応するデューティ値となる。
【0030】
一方、前記デューティ検出部220は、前記PWM変換部210により出力されるパルス幅変換された信号、即ち、パルス幅変換されたハイ信号またはロー信号のデューティ値を検出する。例えば、パルス幅変換された信号の1周期を50μsとし、そのうちハイまたはローである時間を25μsとすると、この時のパルス幅変換されたハイ信号またはロー信号のデューティ値は(25μs/50μs)×100%=50%となり、デューティ検出部220はこのような方式で、前記PWM変換部210により出力されるパルス幅変換された信号(即ち、パルス幅変換されたハイ信号またはロー信号)のデューティ値を検出(演算)する。
【0031】
前記誤差演算部230は、外部から入力されるPWMデューティと前記デューティ検出部220により検出されたデューティとを比較して、その二つのデューティ間の誤差を求める。
【0032】
また、前記速度制御部240は、前記誤差演算部230により求められた誤差(デューティ誤差)に基づいてモータ250の速度を制御する。例えば、速度制御部240は、前記誤差演算部230により求められた誤差(デューティ誤差)に基づいて、新しい速度指示値を前記モータ250に印加する。
【0033】
次に、上記の構成を有する本発明のモータ速度制御装置によるモータ速度制御方法について説明する。
【0034】
図3は本発明の実施形態によるモータ速度制御方法の実行過程を図示したフローチャートである。
【0035】
図3を参照すると、本発明によるモータ速度制御方法は、上述のPWM変換部210、デューティ検出部220、誤差演算部230及び速度制御部240を含むモータ速度制御装置によるモータ速度制御方法であって、まず、前記PWM変換部210により、制御対象のモータ250からのホールセンサ信号(または逆起電力の波形)を検出し、それに相当するパルス幅変換された信号を出力する(段階S301)。この際、前記PWM変換部210により、パルス幅変換されたハイ信号またはロー信号を出力する。
【0036】
また、前記段階S301で、前記PWM変換部210により、ホールセンサ信号の立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジを検出する。
【0037】
また、この際、前記PWM変換部210により、前記ホールセンサ信号の立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジが検出された瞬間から、予め設定された一定時間の間にハイ信号またはロー信号を出力する。
【0038】
上記のように前記PWM変換部210によりパルス幅変換された信号が出力されると、前記デューティ検出部220により、前記PWM変換部210によって出力されるパルス幅変換された信号のデューティ値を検出する(段階S302)。ここで、デューティ値を検出することについては上記で説明したため、ここでは省略する。
【0039】
デューティ検出部220によりパルス幅変換された信号のデューティ値が検出されると、前記誤差演算部230により、外部から入力されるPWMデューティと前記デューティ検出部220によって検出されたデューティとを比較して、その二つのデューティ間の誤差を求める(段階S303)。
【0040】
その後、前記速度制御部240により、前記誤差演算部230によって求められた誤差(デューティ誤差)に基づいて前記モータ250の速度を制御する(段階S304)。即ち、前記速度制御部240により、前記誤差演算部230によって求められた誤差に基づいて、新しい速度指示値を前記モータ250に印加する。これにより、印加された新しい速度指示値によってモータ250の回転速度が制御される。
【0041】
上述したように、本発明によるモータ速度制御装置及び方法は、モータの速度検出をPWM(pulse width modulation)形態で遂行し、それによりデューティを検出して、与えられた速度指示(命令)としてのデューティと比較して誤差を求めることにより、従来のRPM形態の速度検出方式における速度検出演算による時間遅延及びそれによる検出速度の誤差を減らすことができる長所がある。
【0042】
以上、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の技術的思想を外れない範囲内で多様に変更、応用され得るということは、当該技術分野の通常の技術者において自明である。従って、本発明の真の保護範囲は添付の請求範囲により解釈されるべきであり、それと同等な範囲内の全ての技術的思想は本発明の権利範囲に含まれると解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0043】
110 速度変換部
120 速度検出部
130、230 誤差演算部
140、240 速度制御部
150、250 モータ
210 PWM変換部
220 デューティ検出部
図1
図2
図3