特許第5665191号(P5665191)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5665191
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】車両用サンバイザの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60J 3/00 20060101AFI20150115BHJP
【FI】
   B60J3/00 B
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-110467(P2011-110467)
(22)【出願日】2011年5月17日
(65)【公開番号】特開2012-240490(P2012-240490A)
(43)【公開日】2012年12月10日
【審査請求日】2013年6月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000124454
【氏名又は名称】河西工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(72)【発明者】
【氏名】金敷 昭
【審査官】 須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】 実開平03−060118(JP,U)
【文献】 特開2010−100011(JP,A)
【文献】 特開昭62−068812(JP,A)
【文献】 特開2011−057121(JP,A)
【文献】 特開2010−116460(JP,A)
【文献】 特開2002−137633(JP,A)
【文献】 特開2002−019464(JP,A)
【文献】 特開2000−255263(JP,A)
【文献】 特開平01−159235(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外表面に印刷表示を有している車両用サンバイザの製造方法であって、
車両用サンバイザの組立完成体の塩化ビニールからなる外表面に、アクリル酸エステル40〜60%、二アクリル酸ヘキサメチレン30〜35%、光重合開始剤10〜15%であって、残部が顔料、添加剤である紫外線硬化インクを直接噴射するインクジェット印刷方式を用いて、印刷表示を印刷した後、該印刷表示に対して紫外線を照射することを特徴とする車両用サンバイザの製造方法。
【請求項2】
外表面に印刷表示を有している車両用サンバイザの製造方法であって、
車両用サンバイザの組立完成体の外表面を構成しているミラーユニットのカバー外面に対してプライマリー処理を行い、前記カバー外面に、アクリル酸エステル40〜60%、二アクリル酸ヘキサメチレン30〜35%、光重合開始剤10〜15%であって、残部が顔料、添加剤である紫外線硬化インクを直接噴射するインクジェット印刷方式を用いて、印刷表示を印刷した後、該印刷表示に対して紫外線を照射することを特徴とする車両用サンバイザの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注意事項等が印刷された印刷表示(コーションラベル)を有する車両用サンバイザの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、車両用サンバイザが備えられている。車両用サンバイザは、一般に発泡ビーズを発泡させて板状の芯材を形成し、その発泡芯材の外面を表皮により被覆した構成となっており、そのような車両用サンバイザは、車両内部において、フロントガラスの上方に配置されて、格納姿勢位置と遮光姿勢位置とを取り得るようにされている。これにより、車両用サンバイザが遮光姿勢位置に位置されたときには、その車両用サンバイザにより直射日光や対向車のヘッドライトからの幻惑光が遮蔽される。
【0003】
ところで、このような車両用サンバイザの外表面には、その車両用サンバイザが目につきやすい位置にあることから、特許文献1に示すように、注意事項等を記載した印刷表示(具体的には、コーションラベル)が印刷されている。この印刷表示の印刷方法としては、スクリーン印刷方式、パッド印刷方式、ラベル熱転写等が考えられる。しかし、これらのいずれのものを用いても、組立後のサンバイザにおける表皮の外表面に発泡芯材の成形時に発生する凹凸が部分的に表れることから、組立後のサンバイザの外表面に対して印刷を適切に行うことはできない。このため、サンバイザを製造するに際しては、サンバイザの組立前(ウェルダー前)に、サンバイザの組立部品である表皮の外表面に平坦な作業面上でラベル熱転写等の上記印刷方法により印刷を行い、その表皮を用いてサンバイザの組立が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭62−68812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、注意事項等の種類は、内容、各国言語等について等、多数あり、上述のように、サンバイザの組立前において表皮の外表面に印刷表示を印刷し、それを用いて組立てる製造方法を採用した場合には、迅速な出荷に対応すべく、各種類の印刷表示をそれぞれ備えたサンバイザを多数用意しておかなければならない。このため、サンバイザについて多数の在庫を抱え、在庫管理負担が増大することになっている。
しかも、上記内容に加えて、特に印刷方法のうち、ラベル熱転写を組立部品としての表皮に行う場合には、熱を付与する必要があり(例えば130〜150℃ 5秒程度)、表皮等、サンバイザにおいて、収縮、変形のおそれがある。
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、その目的は、印刷表示の適正な印刷を確保しつつ、サンバイザの在庫数を減らして在庫管理負担を軽減できると共に、印刷に伴う変形等を防止できるサンバイザの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、下記(1)〜(7)の本発明により達成される。
【0008】
(1)外表面に印刷表示を有している車両用サンバイザの製造方法であって、
車両用サンバイザの組立完成体の外表面に、インクを直接噴射するインクジェット印刷方式を用いて、印刷表示を印刷することを特徴とする車両用サンバイザの製造方法。
上記構成によれば、車両用サンバイザの組立完成体の外表面に、多少の凹凸がある場合であっても、インクジェット印刷方式を利用して、印刷表示を明確な状態をもって随時印刷できることになり、迅速な出荷に対応すべく、種類の異なる印刷表示を有するサンバイザを多数用意しておく必要がなくなる。
しかも、インクジェット印刷方式を用いることから、印刷を行うに際して、組立完成体に対して熱を付与する必要性はなくなる。
【0009】
(2)前記組立完成体として、発泡芯材と、該発泡芯材の外面を包みこむ表皮とを備えるものを形成し、
前記表皮の外表面を前記組立完成体の外表面として構成させて、該表皮の外表面に前記印刷表示を印刷することを特徴とする(1)に記載の車両用サンバイザの製造方法。
上記構成によれば、発泡芯材の発泡成形時の凹凸が表皮に表れるとしても、インクジェット印刷方式を用いることにより、非接触状態をもってその表皮の外表面に印刷表示を適切に印刷できる。
【0010】
(3)前記表皮として、塩化ビニール樹脂からなるものが用いられ、
前記インクジェット印刷方式による印刷において用いられるインクとして、
全体に対して40〜60%のアクリル酸エステルが含有されているものを用いることを特徴とする(2)に記載の車両用サンバイザの製造方法。
上記構成によれば、塩化ビニール製表皮が用いられる場合であっても、その表皮に対して適切なインクを用いて、その表皮の外表面に印刷表示を的確に印刷できる。
【0011】
(4)前記組立完成体として、開閉蓋を備えるミラーユニットを備えるものを形成し、
前記ミラーユニットの開閉蓋の外面を前記組立完成体の外表面として構成させて、該開閉蓋の外面に前記印刷表示を印刷することを特徴とする(1)に記載の車両用サンバイザの製造方法。
上記構成によれば、ミラーユニットの開閉蓋の外面に印刷表示を適正に随時印刷することにより、異なる種類の印刷表示を有するサンバイザを、在庫として、多数抱えることをなくすことができる。
【0012】
(5)前記開閉蓋の外面に前記印刷表示を印刷する前工程として、プライマー処理を行うことを特徴とする(4)に記載の車両用サンバイザの製造方法。
上記構成によれば、ミラーユニットの開閉蓋の材質が、組立完成体の他の材質に比して、インクの特性の観点から好ましくないものであっても、開閉蓋の外面に対するプライマー処理により、その開閉蓋の外面上に、組立完成体の他の材質と同様、適正な印刷を行うことができる。
【0013】
(6)前記インクジェット印刷方式による印刷において用いられるインクとして、紫外線照射により硬化する紫外線硬化インクを用い、
前記組立完成体の外表面に対して印刷表示を印刷した後、該印刷表示に対して紫外線を照射することを特徴とする(1)に記載の車両用サンバイザの製造方法。
上記構成によれば、紫外線硬化インクに対する紫外線による紫外線硬化作用を利用して、印刷表示の速乾性を高めることができる。このため、印刷表示を有するサンバイザの生産性を高めることができる。
【0014】
(7)前記紫外線硬化インクとして、
アクリル酸エステル:40〜60%、二アクリル酸ヘキサメチレン:30〜35%、光重合開始剤:10〜15%であって、残部が顔料、添加剤であるものを用いることを特徴とする(6)に記載の車両用サンバイザの製造方法。
上記構成によれば、組立完成体の外表面に印刷される印刷表示の速乾性等を具体的に高めることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、印刷表示を明確な状態をもって随時印刷でき、種類の異なる印刷表示を有するサンバイザを多数用意しておく必要がなくなることから、印刷表示の適正な印刷を確保しつつ、在庫数を減らして在庫管理負担を軽減できる。
しかも、印刷を行うに際して、組立完成体に対して熱を付与することにはならないことから、印刷に伴うサンバイザの変形等を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係るサンバイザの一方の面を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係るサンバイザの他方の面を示す図である。
図3図1のA−A線拡大断面図である。
図4】本発明の実施形態に係る製造工程を示す工程図である。
図5】サンバイザ本体の組立工程を示す説明図である。
図6図5の続きの工程を示す説明図である。
図7】サンバイザ本体に対する付属部品取付け工程を示す説明図である。
図8】組立完成体におけるミラーユニットのカバー外面に対するプライマー処理を示す説明図である。
図9】サンバイザ組立完成体におけるミラーユニットのカバー外面(プライマー処理済み)に対する印刷処理を示す説明図である。
図10】サンバイザ組立完成体における表皮(他方の面)に対する印刷処理を示す説明図である。
図11】サンバイザ組立完成体におけるミラーユニットのカバー外面のコーションラベルに対する紫外線照射を示す説明図である。
図12】サンバイザ組立完成体における表皮外表面のコーションラベルに対する紫外線照射を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という。)について詳細に説明する。
【0018】
先ず、本発明の実施形態に係る製造方法を説明する前に、その製造方法により製造される車両用サンバイザ(以下、サンバイザという)1について、図1図3に基づいて説明する。
サンバイザ1は、板状の発泡芯材2と、その発泡芯材2を被覆してサンバイザ1の外表面を構成する表皮3と、を備えている。発泡芯材2は、発泡ビーズ(例えばポリプロピレン)等を用いて発泡成形されたものであり、その形状は、サンバイザ1の略全体形状を形成すべく、平面視略長方形状に形成されている。表皮3としては、本実施形態においては、塩化ビニール製シートが用いられている。
【0019】
また本実施形態においては、図3に示すように、前記サンバイザ1(発泡芯材2)の一方の面4に、略中央領域において収納凹所5が形成され、その収納凹所5内にミラーユニット6が収納保持されている。ミラーユニット6は、化粧用ミラー7(ガラス製ミラー)と、収納凹所5内に保持されて化粧用ミラー7を保持する枠体8と、枠体8に回動軸9を介して回動可能に支持されて化粧用ミラー7を覆う開閉蓋としてのカバー10と、を備えており、カバー10は、図3に示すように、閉時に、サンバイザ1の一方の面4に対して略面一状態をもって収納凹所5の開口を覆うことになる。このため、カバー10の外面10aは、サンバイザ1の一方の面4において、サンバイザ1の外表面の一部を構成する。このカバー10は、本実施形態においては、ポリプロピレン樹脂を用いて成形されている。
【0020】
前記サンバイザ1の一方の面4及び他方の面11には、図1図2に示すように、印刷表示としてのコーションラベル12(注意事項表示)がそれぞれ印刷されている。サンバイザ1の一方の面4においては、前記ミラーユニット6におけるカバー外面10aにコーションラベル12が印刷されており、そのカバー外面10aとコーションラベル12との間には、印刷を的確に行うべく、プライマー層13が介在されている。そのプライマー層13は、本実施形態においては、ポリプロピレン樹脂製カバー10に対するインクの乗り性、馴染み性等を考慮した組成からなるプライマー処理液のプライマー処理により形成されている。サンバイザ1の他方の面11においては、表皮3に対して直接、コーションラベル12が印刷されている。塩化ビニール製表皮3は、インクの乗り性、馴染み性等が良く、表皮3とコーションラベル12との間にプライマー層13を介在させるまでもないからである。勿論、プライマー処理を行って、表皮3とコーションラベル12との間にプライマー層13を介在させることはより好ましい。
尚、図3においては、プライマー層13及びコーションラベル12の存在を明らかにするため厚みが誇張表示されている。
【0021】
上記のようなサンバイザ1は、図4に示す工程の下で製造される。
先ず、サンバイザ1の組立工程が実行され、サンバイザ1の組立完成体(コーションラベル12が印刷されていないサンバイザ)1Aが完成される。組立完成体1Aの外表面に対して印刷を行うためである。
【0022】
具体的には、上記サンバイザ1の組立工程は、サンバイザ本体(コーションラベル12が印刷されず、ミラーユニット6等、付属品が取付けられていないサンバイザ)1Bの組立工程と、サンバイザ本体1Bに対する付属部品取付け工程と、からなる。サンバイザ本体1Bの組立工程においては、先ず、前記発泡芯材2と、表皮3(塩化ビニール製シート)と、が用意される。発泡芯材2は、発泡ビーズ(例えばポリプロピレン)を発泡成形させたものであり、その形状は、前述したように、サンバイザ1の基本的形状をなし、その一方の面4には、ミラーユニット6を収納保持するための収納凹所5が形成されている。表皮3(塩化ビニール製シート)としては、発泡芯材2よりも大きなものが2枚用意される。この各表皮3の表面には、未だコーションラベル12は印刷されていない。
【0023】
サンバイザ本体1Bの組立工程においては、図5図6に示すように、2枚の表皮3を用いて、その間に発泡芯材2が挟むように被包され、その上で、発泡芯材2の周縁部に沿って表皮3に対してウエルダー溶着・溶断加工等が行われる。これにより、発泡芯材2の外面に表皮3を被覆したサンバイザ本体1Bが得られることになる。図6において、符号14はウエルダー溶断する個所を示す。このサンバイザ本体1Bの組立工程を終えると、図7に示すように、サンバイザ本体1Bに対する付属部品取付け工程が実行される。付属部品取付け工程においては、ミラーユニット6が収納凹所5内に収納保持され、ノブ15、シャフト16等が各所定個所に取付けられる。これにより、サンバイザ1の組立工程が終了し、サンバイザ1の組立完成体1Aが得られる。
【0024】
サンバイザ1の組立工程が終了して、組立完成体1Aが完成されると、組立完成体1Aは、基本的には、次のプライマー処理工程に直ちに移行せず、在庫品としてためられる。組立完成体1Aとしてためて、必要に応じて、必要なコーションラベル12を組立完成体1Aの外表面に印刷する場合の方が、種類の異なるコーションラベルを有するサンバイザを予め在庫品としてためておく場合よりも、ストック数を少なくできるからである。勿論、組立完成体1Aの完成時点で、組立完成体1Aの在庫がなく、コーションラベルを有するサンバイザ1が求められているときには、サンバイザの組立工程後、直ちに、組立完成体1Aは、次のプライマー処理工程に移行される。
【0025】
プライマー処理工程では、図4図8に示すように、サンバイザ1の組立完成体1Aの外表面を構成しているミラーユニット6のカバー外面10aに対してプライマー処理が行われる。カバー10の材質(本実施形態ではポリプロピレン)を考慮し、そのカバー外面10a上であってもコーションラベル12を適切に印刷できるようにプライマー層13(各図においては、存在を明らかにするため厚みが誇張表示されている。)を形成するためである。このため、カバー10の材質(本実施形態ではポリプロピレン)を考慮して、下記組成のプライマー処理液が用いられている。
プライマー処理液の組成
合成樹脂:1〜6%
トルエン:98%
【0026】
上記プライマー処理工程を終えると、図4図9図10に示すように、印刷処理工程が行われる。コーションラベル12を組立完成体1Aの外表面に印刷するためである。
印刷処理は、印刷すべき個所として、組立完成体1Aの外表面のうち、ミラーユニット6のカバー外面10a(プライマー処理層13を有するもの:図9参照)及び組立完成体1Aの表皮3(他方の面11:図10参照)が対象となる。
【0027】
印刷方式としては、インクを直接噴射するインクジェット印刷方式が用いられ、そのインクジェット印刷方式を用いて、上記組立完成体1Aにおけるミラーユニット6のカバー外面10a及び組立完成体1Aの表皮3(他方の面11)に対してコーションラベル12が非接触状態をもって印刷される。インクジェット印刷方式の印刷対象に対する非接触性を利用して、印刷対象(面)に多少の凹凸があっても、コーションラベル12を適正に印刷するためであり、また、表皮3、カバー外面10aに、収縮、変形の原因となる熱を付与しないためである。この印刷処理方式は、図9図10に示すように、インクジェットプリンタ17により実行されるが、そのインクジェットプリンタ17については、非接触式で、多少の凹凸を有する印刷面に対しても印刷ができる限り、そのタイプ(コンティニュアス型、オンデマンド型(ピエゾ方式、サーマル方式等))はどのようなタイプのものであってもよい。
【0028】
印刷処理に用いるインクとしては、基本的に、表皮3(塩化ビニール)、プライマー処理されたカバー外面10a(ポリプロピレン)に対して適正な印刷(乗り性、馴染み性、速乾性等)が行える観点から、その組成が決められている。
【0029】
特に本実施形態においては、インクとして、紫外線の照射により重合反応を起こして硬化、定着する紫外線硬化インク(UV系顔料インク)が用いられる。コーションラベル12のインクを瞬時に乾燥させることができること、プラスチック(非吸収性素材)にも直接、印刷できること、揮発性有機化合物(VOC)の発生をなくすことができること、耐摩擦性、耐薬品性等に優れていること等が考慮されたからである。本実施形態においては、上記内容等を考慮し、紫外線硬化インクの好ましいものとして、下記組成のものが用いられる。
(1)紫外線硬化インク(ブラック)
アクリル酸エステル :40〜60%
二アクリル酸ヘキサメチレン:30〜35%
光重合開始剤 :10〜15%
カーボンブラック :0.1〜5%
添加剤 :0.1〜5%
(2)紫外線硬化インク(マゼンタ)
アクリル酸エステル :40〜60%
二アクリル酸ヘキサメチレン:30〜35%
光重合開始剤 :10〜15%
キナクリドン化合物 :0.1〜5%
添加剤 :0.1〜5%
(3)紫外線硬化インク(イエロー)
アクリル酸エステル :40〜60%
二アクリル酸ヘキサメチレン :30〜35%
光重合開始剤 :10〜15%
ニッケル化合物 :0.1〜5%
添加剤 :0.1〜5%
(4)紫外線硬化インク(シアン)
アクリル酸エステル :40〜60%
二アクリル酸ヘキサメチレン:30〜35%
光重合開始剤 :10〜15%
銅フタロシアニン化合物 :0.1〜5%
添加剤 :0.1〜5%
(5)紫外線硬化インク(ホワイト)
アクリル酸エステル :40〜60%
二アクリル酸ヘキサメチレン:20〜30%
ジフェニル−2,4,6−トリメチルベンゾイルホスフィン−オキシド(光重合開始剤) :10〜15%
酸化チタン :10〜15%
添加剤 :0.1〜5%
【0030】
上記印刷処理工程が終了すると、図4図11図12に示すように、紫外線照射工程が行われる。表皮3、プライマー処理されたカバー外面10aに印刷のために噴射されたインク(コーションラベル12)を光重合反応させて、直ちに硬化、定着させるためである。
紫外線UVは、図示を略す紫外線照射装置により照射されるが、その照射される紫外線の波長は、インクの組成、インク厚み等を考慮して決められる。具体的には、波長254nm、365nmのものが用いられる。
【0031】
この紫外線照射工程を経ることにより、図1図3に示すサンバイザ1、すなわち、コーションラベル12が印刷されたサンバイザ1を得ることになる。
【0032】
したがって、サンバイザ1の組立完成体1Aの完成後に、その組立完成体1Aの外表面に、多少の凹凸がある場合であっても、コーションラベル12を明確な状態をもって印刷できることから、コーションラベル12を有していない組立完成体1Aだけを作っておき、その組立完成体1Aの外表面に必要な種類のコーションラベル12を随時印刷できる。このため、種類の異なるコーションラベル12を有するサンバイザ1を多数、在庫として抱えることをなくすことができ、在庫管理負担は軽減される。
しかも、インクジェット印刷方式により印刷が行われて、表皮3及びカバー外面10aに熱を付与する必要がないことから、表皮3、カバー10が収縮、変形等することが防止される。
【0033】
以上実施形態について説明したが本発明にあっては、次の態様を包含する。
(1)コーションラベル12をサンバイザ1の片方の面のみに印刷すること。
(2)プライマー処理は、ミラーユニット6のカバー外面10aに限らず、サンバイザ1の他の部分(表皮3部分(塩化ビニール部分))に対しても行ってもよいこと。
(3)本発明を、ミラーユニット6を備えないサンバイザ1に対して適用すること。
【0034】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0035】
1 サンバイザ
1A 組立完成体
2 発泡芯材
3 表皮
6 ミラーユニット
10 カバー
10a カバー外面(組立完成体の外表面)
12 コーションラベル(印刷表示)
13 プライマー層
17 インクジェットプリンタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12