(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5665300
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】伝送特性測定装置
(51)【国際特許分類】
H04L 29/14 20060101AFI20150115BHJP
H04L 12/28 20060101ALI20150115BHJP
【FI】
H04L13/00 315A
H04L12/28 200M
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2009-240523(P2009-240523)
(22)【出願日】2009年10月19日
(65)【公開番号】特開2011-87244(P2011-87244A)
(43)【公開日】2011年4月28日
【審査請求日】2012年9月11日
【審判番号】不服2014-2036(P2014-2036/J1)
【審判請求日】2014年2月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】林 秀樹
【合議体】
【審判長】
田中 庸介
【審判官】
山中 実
【審判官】
山澤 宏
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−129057(JP,A)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象からのデータ列を受信してパラレルデータへのデータ変換を行い必要な測定を行った後、前記データ列を再現して前記測定対象に送信するループバック機能を有する伝送特性測定装置において、
前記データ列はイーサネットで伝送されるデータであって、前記受信したデータ列の先頭が前記パラレルデータのどの位置にあるかを示すポジション信号を生成する手段と、
このポジション信号の出力タイミングをデータ先頭位置調整手段で生成されるデータおよび制御信号の出力タイミングに合わせるように調整するタイミング調整手段、
を設けたことを特徴とする伝送特性測定装置。
【請求項2】
前記データ列は、10ギガビットのイーサネットで伝送されるデータであることを特徴とする請求項1記載の伝送特性測定装置。
【請求項3】
前記データ列は、100メガ/10メガビットのイーサネットで伝送されるデータであることを特徴とする請求項1記載の伝送特性測定装置。
【請求項4】
前記データ列は、1ギガビットのイーサネットで伝送されるデータであることを特徴とする請求項1記載の伝送特性測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝送特性測定装置に関し、詳しくは、ループバック機能を有する測定装置の改良に関するものである。
【0002】
ネットワークの伝送特性を良好に維持するために、各種の伝送特性測定装置が用いられている。
図8は、従来から行われているネットワークの伝送特性を測定するためのシステムの一例を示す概念説明図である。
【0003】
図8において、伝送特性測定装置10A,10Bは、スイッチやルータなどの切替接続部20A,20Bを介して、測定対象となるたとえば10ギガビットのイーサネット(登録商標)(以下10GbEという)よりなるネットワーク網30に接続されている。
【0004】
伝送特性測定装置10A,10Bは同一構成であり、ループバックモード、トラフィックモード、ピング(PING)モードなどの複数の動作モードを備えていて、伝送特性測定装置10Bはループバックモードに設定されている。そして、たとえば伝送特性測定装置10Aは測定作業を行う作業者により直接操作されるが、伝送特性測定装置10Bは伝送特性測定装置10A側にいる作業者により遠隔操作される。
【0005】
このような測定システムにおいて、伝送特性測定装置10Aから伝送特性測定装置10Bに対してたとえばシーケンス番号を付けたテスト用のフレーム(パケット)を時刻データとともにシーケンス番号順に送信する。
【0006】
伝送特性測定装置10Bで受信されたフレームは、必要に応じて取捨選択または加工され、再度伝送特性測定装置10Aに向けて送信される。伝送特性測定装置10Aは戻ってきたフレームを受信し、シーケンス番号に基づき経由したネットワーク網30におけるデータの欠落や乱れの発生の有無などのフレームの正常性を測定し、時刻データに基づきネットワーク網30における遅延時間を測定する。
【0007】
図9は、伝送特性測定装置10Bにおけるループバック機能に関連する部分の一例を示すブロック図である。光モジュール11は、10GbEの着脱モジュールの業界標準規格の一つであるXFPなどの光トランシーバであり、10GbEの光インタフェースとしてスイッチやルータからの光信号を電気信号へ変換したり、測定用のSERDES(シリアライザ/デシリアライザ)デバイス12からの電気信号を光信号へ変換する。
【0008】
SERDESデバイス12は、光モジュール11からの10.3125Gbitシリアル電気信号を16bitパラレル信号(XSBI)へ変換したり、16bitパラレル信号(XSBI)を10.125Gbitシリアル信号へ変換する。また、SERDESデバイス12には送信クロック供給源13から送信リファレンスクロックが入力されるとともに受信クロック供給源14から受信リファレンスクロックが入力され、これらに基づき送信XSBI(SFI−4)IF用および受信XSBI(SFI−4)IF用の送信クロックおよび受信クロックが生成されてFPGA15に出力される。
【0009】
FPGA15は、SERDESデバイス12から受信クロックおよび受信XSBIデータを受信し、受信PCS(physical coding sublayer)16→受信回路17→送信回路18→送信PCS19を経由して、送信クロックに同期した送信XSBIデータとしてSERDESデバイス12へ出力する。
【0010】
FPGA15内では、受信XSBIデータは、受信PCS16に入力され、XGMII(10 Gigabit Media Independent Interface)データに変換される。XGMIIデータは、32bitのデータと4bitの制御信号で構成されている。受信XGMIIデータは受信回路17に入力され、受信部171でフレームの先頭位置が検出されて32bitのXGMIIデータから128bitのパラレルデータと16bitの制御信号に変換され、後段のフレーム判定部172およびバッファ部173へ出力される。
【0011】
フレーム判定部172では受信したフレームがループバックすべきフレームか否かを判定し、受信ループバックIF部174へ結果を通知する。バッファ部173はフレーム判定部172でフレームの判定を行う時間だけデータをバッファする。
【0012】
受信ループバックIF部174はバッファ部173からの128bitパラレルデータをフレーム判定部172の結果を元に送信回路18へ出力する。また、その際に必要に応じてデータの加工も行う。統計部175は受信したフレーム判定部172での結果を統計処理する。
【0013】
送信回路18の送信ループバックIF部181は、受信回路17の受信ループバックIF部174から128bitパラレルデータを受信してFCS(Frame Check Sequence)演算を行い、FCSを付与してレーン調整部182へ出力する。
【0014】
レーン調整部182では、受信したデータを制御信号に基づいてプリアンブルを付与しながらデータの位置関係を調整する。調整したデータは、送信部183へ出力する。送信部183では、受信したデータ、制御信号からXGMII IF信号へ変換し送信PCS19に出力する。また、送信したフレーム情報を統計部184へ出力し、統計部184は統計処理する。
【0015】
送信PCS19では、受信した送信XGMIIデータおよび制御信号から送信XSBI(SFI−4)へ変換し、SERDESデバイス12に出力する。
【0016】
SERDESデバイス12では、送信XSBIデータから10.3125Gbitシリアルデータへ変換し、光モジュール11へ出力する。
【0017】
光モジュール11では、10.3125Gbitシリアルデータを光信号へ変換し出力する。
【0018】
図10は、受信PCS16から出力される受信XGMIIデータ例図である。
図10において、データは、72byte長フレーム(プリアンブル8byte、データ60byte、FCS 4byte)と12byteのアイドルの繰り返しを受信している。
【0019】
図中のSはスタートコードを示し、Pはプリアンブルを示し、SFD(Start of Frame Delimiter)はこの次から有効フレームであることを示すコードである。上記のプリアンブル8byteは、{Sコード+プリアンブル6byte+SFD}を示している。さらに、Dは送信データを示し、FCSは4byteコードである。Tはフレームの有効データの終わりを示す終端コードであり、IFG(Inter Frame Gap)はフレームとフレームの間のアイドルを示すコードであって、上記12byteのアイドルは、{T+IFG}を示している。
【0020】
制御ビットは対応したレーンのデータが有効かどうかを示している。S、T、I以外のデータのとき、有効で’0’を出力する。
【0021】
図11は、受信したXGMIIデータから128bitパラレルデータへ変換した直後のデータと制御信号の一例である。
図11において、受信したデータを4カラム毎にまとめ、制御信号も同様にまとめている。このとき、制御信号Bは、有効データを示す値を’0’から’1’へ変更している。また制御信号Bの有効範囲をDコードのみとしている。
【0022】
図12は、有効データであるDコードの開始データ(D
1)をデータの先頭にあわせた128パラレルデータの例である。
図11のデータからD
1の位置を検出して次のクロックでパラレルデータの先頭に移動させる。それに伴い、以降のデータも合わせて移動させ、制御信号も合わせて移動させる。この
図12の128bitパラレルデータは、受信ループバックIF部174から送信ループバックIF部181へ出力される。
【0023】
図13は、送信ループバックIF部181で受信した128bitパラレルデータにFCS演算をしてその結果を付与したデータ例である。制御信号Cも、付与したFCS分だけ有効範囲を変更する。
【0024】
図14は、
図13のデータにプリアンブルを付与した128bitパラレルデータ例である。
図14において、プリアンブルはレーン調整部182で制御信号に従いD
1の位置から付与されていて、プリアンブルを付与した分データを8byteずらしている。このとき、T+IFGは、1フレーム目と2フレーム目、3フレーム目と4フレーム目および4フレーム目と5フレーム目の間は8byteとなり、2フレーム目と3フレーム目の間は24byteとなっている。
【0025】
図15は、
図14のデータを送信部183でXGMIIデータへ変換したときのデータ例である。
図14でレーン調整したとおり、T+IFGは8byteまたは24byteとなっている。
【0026】
図16は、
図9における受信部171の一例を示す詳細ブロック図である。
図16において、データ変換部171aで受信XGMIIデータ(32bitデータ)を128bitパラレルデータ(データB)へ変換する。この変換にあたり、データ幅は4倍、出力タイミングは1/4になるため、受信XGMIIデータのどの位置から128bitパラレルデータに変換したかのタイミング信号をフレーム先頭検出部171bおよびフレーム終了検出部171cへ出力する。
【0027】
フレーム先頭検出部171bは、制御ビットの0出力位置を検出して受信XGMIIデータのスタートコード(Sコード)の出力位置から受信フレームの先頭位置を検出することにより、データ変換タイミング信号でタイミングを合わせ、結果を制御信号生成部171dへ通知する。なお、受信XGMIIデータからの検出は、SコードだけではなくSコードを含むプリアンブルを検出する方が確実性を増す。
【0028】
フレーム終了検出部171cは、制御ビットの1出力位置および受信XGMIIデータから終端コード(Tコード)の出力位置から受信フレームの終了位置を検出してデータ変換タイミング信号でタイミングを合わせ、結果を制御信号生成部171dへ通知する。
【0029】
制御信号生成部171dは、フレーム先頭検出部171bおよびフレーム終了検出部171cの検出結果に基づき制御信号Bを生成する。
【0030】
データ先頭位置調整部171eは、データBと制御信号BからDコードの先頭(D
1)を128パラレルデータの先頭に合わせてデータCを出力する。制御信号Bも同様に先頭位置を合わせて制御信号Cとして出力する。
【0031】
図17は、
図9におけるレーン調整部182の一例を示す詳細ブロック図である。
図17において、データ先頭位置復元部182aは、送信ループバックIF部181からのデータCに対して、フレーム先頭検出部182bからの先頭位置タイミング信号を受信すると、その受信タイミングのデータCの先頭データはD
1となるため、データCを先頭(D
1)から8byteずらしてプリアンブル(Sコード+プリアンブル6byte+SFD)を付与する。その後のデータも8byteずらしながらフレーム終了検出部182cからの終了位置タイミング信号を待つ。終了位置タイミング信号が受信されたら、その位置でフレームは終了することからTコードを付与し、それ以降は先頭位置タイミング信号を受信するまでアイドルコード(I)を付与し、データDを生成し出力する。
【0032】
フレーム先頭検出部182bは、制御信号Cからフレーム先頭位置を検出し、先頭位置タイミング信号を出力する。データ先頭位置復元部182aでは受信したら8byte固定(プリアンブル分)でずらすため、ずらすことを指示する単純なタイミング信号(パルス信号)でよい。
【0033】
フレーム終了検出部182cは、制御信号Cからフレーム終了位置を検出し、終了位置タイミング信号を出力する。フレーム終了位置が16byte(128bit)のどこに位置しているかは固定的ではないため、タイミングを合わせて16bitの制御信号を出力する。
【0034】
制御信号生成部182dは、制御信号Cと先頭位置タイミング信号と終了位置タイミング信号に基づき制御信号Dを生成し出力する。
【0035】
特許文献1には、10ギガビット・イーサネットのネットワーク伝送装置においてエラーフレーム廃棄機能の試験を行う試験装置について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0036】
【特許文献1】特開2005−184801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0037】
ところで、
図9に示すような測定装置では、フレームを送信する送信回路18は送信クロックを基準クロックとし、フレームを受信する受信回路17は受信クロックを基準クロックとして動作する。そのため、ループバックを行うのにあたっては、非同期の送受信クロックの偏差を吸収する回路を追加するか、送信回路18を受信クロックで動作させる必要がある。
【0038】
送信回路18を受信クロックで動作させるためには、SERDESデバイス12へ供給している送信系リファレンスクロックをSERDESデバイス12から出力する受信クロックに同期させる必要がある。これにより、SERDESデバイス12から出力する送信クロックが受信クロックに同期したクロックとなり、FPGA15の送信回路18は意識することなく受信データを扱うことができる。
【0039】
一方、非同期の送受信クロックの偏差を吸収する回路を用いた場合には、偏差を吸収するためのアイドルコードの追加削除が発生し、受信した通りのデータ列を再現させてループバックすることができなくなってしまう。
【0040】
また、SERDESデバイス12の中にはデバイス内でループバックを行うことができるデバイスが存在する。これを使用すれば、受信したフレームをループバックし送信することが可能になる。しかし、この場合、必要に応じてフレームの破棄や加工ができず、受信したフレームをそのまま送信することしかできない。
【0041】
また、
図10から
図15に示したように受信データを変換してループバックするのにあたり、送受信回路18で取り扱う128bitパラレルデータは有効データを先頭に移動させるため、受信時は12byteだったアイドルが送信時には8byteまたは24byteとなってしまい、受信したデータ列を再現できなくなってしまう。
【0042】
ループバックデータとして、128bitパラレルデータではなく、32bitパラレルデータであるXGMIIデータを取り扱えば、上記のようにアイドルが変更することはないが、処理速度が4倍になってしまう。すなわち、128bitパラレルデータのクロック周波数が78.125MHzであるのに対してXGMIIデータのクロック周波数は312.5MHzとなり、高速処理が可能なFPGA15が不可欠となる。
【0043】
本発明は、これらの問題点を解決するものであり、その目的は、高速処理を必要とすることなく受信したデータ列を再現してループバックさせることができる伝送特性測定装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0044】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、
測定対象からのデータ列を受信してパラレルデータへのデータ変換を行い必要な測定を行った後、前記データ列を再現して前記測定対象に送信するループバック機能を有する伝送特性測定装置において、
前記データ列はイーサネットで伝送されるデータであって、前記受信したデータ列の先頭が前記パラレルデータのどの位置にあるかを示すポジション信号を生成する手段
と、
このポジション信号の出力タイミングをデータ先頭位置調整手段で生成されるデータおよび制御信号の出力タイミングに合わせるように調整するタイミング調整手段、
を設けたことを特徴とする。
【0045】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の伝送特性測定装置において、
前記データ列は、10ギガビットのイーサネットで伝送されるデータであることを特徴とする。
【0046】
請求項3記載の発明は、請求項1に記載の伝送特性測定装置において、
前記データ列は、100メガ/10メガビットのイーサネットで伝送されるデータであることを特徴とする。
【0047】
請求項4記載の発明は、請求項1に記載の伝送特性測定装置において、
前記データ列は、1ギガビットのイーサネットで伝送されるデータであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0048】
本発明によれば、高速処理を必要とすることなく受信したデータ列を再現してループバックさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】本発明に係る伝送特性測定装置の受信部171の一実施例を示すブロック図である。
【
図2】本発明に係る伝送特性測定装置のレーン調整部182の一実施例を示すブロック図である。
【
図3】受信したXGMIIデータから128bitパラレルデータへ変換した直後のデータと制御信号の具体例である。
【
図4】128bitパラレルデータを有効データであるDコードの開始データ(D
1)をデータの先頭にあわせた128パラレルデータである。
【
図5】送信ループバックIF部181で受信した128bitパラレルデータにFCS演算を施し、その結果を付与したデータである。
【
図6】
図5のデータをレーン調整部182で制御信号とポジション信号に従いプリアンブルを付与した128bitパラレルデータである。
【
図7】
図6のデータを送信部183でXGMIIデータへ変換したときのデータである。
【
図8】従来から行われているネットワークの伝送特性を測定するためのシステムの一例を示す概念説明図である。
【
図9】伝送特性測定装置10Bにおけるループバック機能に関連する部分の一例を示すブロック図である。
【
図10】受信PCS16から出力される受信XGMIIデータ例図である。
【
図11】受信したXGMIIデータから128bitパラレルデータへ変換した直後のデータと制御信号の一例である。
【
図12】有効データであるDコードの開始データ(D
1)をデータの先頭にあわせた128パラレルデータの例である。
【
図13】送信ループバックIF部181で受信した128bitパラレルデータにFCS演算をしてその結果を付与したデータ例である。
【
図14】
図13のデータにプリアンブルを付与した128bitパラレルデータ例である。
【
図15】
図14のデータを送信部183でXGMIIデータへ変換したときのデータ例である。
【
図16】
図9における受信部171の一例を示す詳細ブロック図である。
【
図17】
図9におけるレーン調整部182の一例を示す詳細ブロック図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
以下、図面を参照して、本発明を詳細に説明する。本発明に係る伝送特性測定装置全体のブロック図は
図9に示した従来と同様であるが、受信回路17を構成する受信部171および送信回路18を構成するレーン調整部182の具体的な構成が異なる。
【0051】
図1は本発明に係る伝送特性測定装置の受信部171の一実施例を示すブロック図であり、
図16と共通する部分には同一の符号を付けている。
図1と
図16の相違点は、
図1ではポジション信号を生成するPOSIT生成部171fを設けていることである。
【0052】
POSIT生成部171fは、受信XGMIIデータと制御ビットおよびデータ変換部171aから出力されるタイミング信号に基づき、受信XGMIIデータを128bitパラレルデータに変換した際に、受信フレームの先頭(Sコード)が128bitパラレルデータのどの位置にあるかを示すポジション信号を生成する。Sコードは必ずレーン0に存在するため、4カラムの内、どのカラムにSコードが存在するかを示す信号(ビットアサインで4bit)となる。
【0053】
タイミング調整部171gでは、POSIT生成部171fで生成したポジション信号をデータ先頭位置調整部171eで生成されるデータCおよび制御信号Cの出力タイミングに合わせるように出力タイミングを調整する。
【0054】
図2は本発明に係る伝送特性測定装置のレーン調整部182の一実施例を示すブロック図であって、
図17と共通する部分には同一の符号を付けている。
図1と
図17の相違点は、
図2では先頭位置比較部182eを設けていることと、フレーム先頭検出部182bから出力される先頭位置タイミング信号の仕様である。
【0055】
先頭位置比較部182eは、受信部171から生成出力されるポジション信号と制御信号Cの出力タイミングを比較する。これらの信号は、同一のタイミングで出力される場合とポジション信号の方が1CLK早いタイミングで出力する場合の2通りがあり、これらを検出してどちらの出力タイミングだったかをフレーム先頭検出部182bへ通知する。後述する
図5の3、4フレーム目の関係が後者に該当し、その他のフレームの関係が前者に該当する。
【0056】
フレーム先頭検出部182bでは、ポジション信号と先頭位置比較部182eからの出力タイミング信号を元に、先頭位置タイミング信号を出力する。出力タイミングはポジション信号の入力タイミングから判断し、どの程度ずらす必要があるかをポジション信号の内容と出力タイミング信号から判断する。
【0057】
これらの判断結果を4bitの先頭位置タイミング信号として出力する。
図16の従来構成では8byteを固定的にずらせばよかったため、単純な1bitのタイミング信号だったが、ポジション信号により任意のカラムにずらすため4bitにしている。逆に言い換えると、
図16の従来構成では、ポジション信号は0001に固定されていて、制御信号と同じタイミングでフレームを復元していたことになる。
【0058】
フレーム終了検出部182cでは、ポジション信号と制御信号Cに基づき、
図16の従来構成と同様に16bitの制御信号を出力する。
図16の従来構成との違いは、ポジション信号分のずらしを考慮する必要があることである。
【0059】
データ先頭位置復元部182aの
図16の従来構成との違いは、データCに対してフレーム先頭検出部182bからの先頭位置タイミング信号を受信したら、その内容に対応した位置にプリアンブルを付与し、その位置を考慮してデータもずらす必要があることである。
【0060】
制御信号生成部182dの
図16の従来構成との違いは、先頭位置タイミング信号の内容に対応して制御信号をずらす必要があることである。
【0061】
本発明の動作について、データ説明図を用いて説明する。
図3は、
図11と同様、受信したXGMIIデータから128bitパラレルデータへ変換した直後のデータと制御信号の具体例である。
図3では、
図11にポジション信号4bitを追加している。
【0062】
このポジション信号は、32bitのXGMIIデータを4カラムにまとめて128bitパラレルデータにしたときに、Sコードが何番目のカラムに位置していたかを示すものであり、1カラム目にある場合は''0001''、2カラム目にある場合は''0010''、3カラム目にある場合は''0100''、4カラム目にある場合は''1000''とする。
【0063】
図4は、
図12と同様、128bitパラレルデータを有効データであるDコードの開始データ(D
1)をデータの先頭にあわせた128パラレルデータである。ポジション信号はSコードが位置しているタイミングと同じ位置にあるが、D
1と制御信号Cの関係と同様にSコードを検出して次のクロックの位置に移動する。
【0064】
図5は、
図13と同様、送信ループバックIF部181で受信した128bitパラレルデータにFCS演算を施し、その結果を付与したデータである。
【0065】
図6は、
図14に準じて、
図5のデータをレーン調整部182で制御信号とポジション信号に従いプリアンブルを付与した128bitパラレルデータである。ここで、プリアンブルを付与するのにあたり、D
1の位置から付与していくのではなく、ポジション信号の位置から付与していく。
【0066】
具体的には、ポジション信号が''0001''の場合は1カラム目、ポジション信号が''0010''の場合は2カラム目、ポジション信号が''0100''の場合は3カラム目、ポジション信号が''1000''の場合は4カラム目からプリアンブルを配置していく。D
1は配置されたプリアンブルの続きに合わせるようにずらす。この結果、アイドル(T+IFG)は全て12byteとなる。
【0067】
図7は、
図15と同様、
図6のデータを送信部183でXGMIIデータへ変換したときのデータである。
図6でレーン調整したとおり、アイドル(T+IFG)は12byte一定となっている。
【0068】
これにより、受信回路17で受信したフレームデータおよびアイドルよりなるデータ列に必要に応じてフレームの破棄や加工を行うことができるとともに、受信した通りの128bitパラレルデータのデータ列を再現させて送信回路18からループバック送信することができ、高速処理を必要としない回路で伝送特性測定装置を実現できる。
【0069】
なお、上記実施例では、10ギガビットのイーサネットの例について説明したが、100メガ/10メガビットのイーサネットでは、MII(Media Independent Interface)IFがあり、4bit単位でデータ処理を行っている。しかし、FPGA内では複数byteにまとめて処理を行う。これにより、4bit単位から複数byteへの変換を行う際にポジション信号を用いて変換時の先頭位置を保持することにより、ループバック機能などで逆変換を行う際、再現させることが可能となる。
【0070】
また、同様に1ギガビットのイーサネットでは、GMII(Gigabit Media Independent Interface)IFがあり、1byte単位でデータ処理を行っている。よって1byte単位から複数byteへの変換を行う際にポジション信号を用いて変換時の先頭位置を保持することにより、ループバック機能などで逆変換を行う際、再現させることができる。
【0071】
以上説明したように、本発明によれば、高速処理を必要とすることなく受信したデータ列を再現してループバックさせることができる伝送特性測定装置が実現でき、各種イーサネットの伝送特性測定に好適である。
【符号の説明】
【0072】
10 伝送特性測定装置
11 光モジュール
12 SERDES(シリアライザ/デシリアライザ)デバイス
13 送信クロック供給源
14 受信クロック供給源
15 FPGA
16 受信PCS(physical coding sublayer)
17 受信回路
171 受信部
171a データ変換部
171b フレーム先頭検出部
171c フレーム終了検出部
171d 制御信号生成部
171e データ先頭位置調整部
171f POSIT生成部
171g タイミング調整部
172 フレーム判定部
173 バッファ部
174 受信ループバックIF部
175 統計部
18 送信回路
181 送信ループバックIF部
182 レーン調整部
182a データ先頭位置復元部
182b フレーム先頭検出部
182c フレーム終了検出部
182d 制御信号生成部
182e 先頭位置比較部
183 送信部
184 統計部
19 送信PCS