【課題を解決するための手段】
【0019】
上記一般的な記載と下記詳細な記載が例示的かつ説明的であるにすぎず、特許請求する発明を制限するものではないことを理解すべきである。本明細書では、特に他に記載しない限り、単数の使用は複数を包含する。本明細書で用いる限り、“又は”の使用は、他に指定しない限り、“及び/又は”を意味する。その上、“包含する(including)”なる用語の使用並びに、例えば“包含する(includes)”及び“包含した(included)”のような、他の形態の使用は限定的ではない。さらに、例えば“要素”又は“成分”のような用語は、特に、他に指定しない限り、1つのユニットを構成する要素及び成分と、2つ以上のサブユニット(more than one subunit)を構成する要素及び成分の両方を包含する。
【0020】
本明細書で用いる項目見出しは、構成のためであるにすぎず、記載する要旨(subject matter)を限定するものと見なすべきではない。本出願に引用した、非限定的に特許、特許出願、文献、書籍及び学術論文を含めた、全ての資料又は資料の部分は、何らかのために、それらの全体で、本明細書に明確に援用される。
【0021】
A.定義
特別な定義を与えない限り、本明細書に記載する分析化学、合成有機化学並びに薬化学及び製薬化学に関連して用いた命名法と、これらの化学の手段及び技術は周知のものであり、当該技術分野で一般に用いられているものである。化学合成及び化学分析のためには、標準的技術を用いることができる。ある一定の、このような技術及び手段は、例えば、"Carbohydrate Modifications in Antisense Research" Edited by Sangvi and Cook, American Chemical Society , Washington D. C, 1994; "Remington's Pharmaceutical Sciences," Mack Publishing Co., Easton, Pa., 18th edition, 1990; and "Antisense Drug Technology, Principles, Strategies, and Applications" Edited by Stanley T. Crooke, CRC Press, Boca Raton, Florida; and Sambrook et al, "Molecular Cloning, A laboratory Manual," 2
nd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989(これらは、何らかのために、本明細書に援用される)に見出すことができる。許される場合には、本明細書の開示を通して参照される、あらゆる特許、出願、公開出願並びにその他の刊行物及びその他のデータは、それらの全体で、本明細書に援用される。
【0022】
他に指定しない限り、下記用語は下記意味を有する:
本明細書で用いる限り、“ヌクレオシド”なる用語は、核酸塩基と糖を含むグリコシルアミンを意味する。ヌクレオシドは、非限定的に、天然ヌクレオシド、非塩基性ヌクレオシド(abasic nucleosides)、修飾ヌクレオシド、及びミメティック塩基(mimetic bases)及び/又は糖基(sugar groups)を有するヌクレオシドを包含する。
【0023】
本明細書で用いる限り、“天然ヌクレオシド”又は“非修飾ヌクレオシド”なる用語は、天然核酸塩基及び天然糖を含むヌクレオシドを意味する。天然ヌクレオシドはRNAヌクレオシド及びDNAヌクレオシドを包含する。
【0024】
本明細書で用いる限り、“天然糖”なる用語は、RNA(2’−OH)又はDNA(2’−H)においてその天然生成形から修飾されていないヌクレオシドの糖を意味する。
【0025】
本明細書で用いる限り、“ヌクレオチド”なる用語は、糖に共有結合したリン酸基を有するヌクレオシドを意味する。ヌクレオチドは、多様な置換基のいずれかによって修飾されることができる。
【0026】
本明細書で用いる限り、“核酸塩基”なる用語は、ヌクレオシド又はヌクレオチドの塩基部分を意味する。核酸塩基は、他の核酸の塩基に水素結合することができる、任意の原子又は原子群を含むことができる。
【0027】
本明細書で用いる限り、“天然核酸塩基”なる用語は、RNA又はDNAにおけるその天然生成形から修飾されていない核酸塩基を意味する。
【0028】
本明細書で用いる限り、“複素環式塩基部分”なる用語は、複素環を含む核酸塩基を意味する。
【0029】
本明細書で用いる限り、“オリゴマー化合物”なる用語は、2つ以上のサブ構造を含み、核酸分子の一部にハイブリダイズすることができるポリマー構造を意味する。ある一定の実施態様では、オリゴマー化合物はオリゴヌクレオシドである。ある一定の実施態様では、オリゴマー化合物はオリゴヌクレオチドである。ある一定の実施態様では、オリゴマー化合物はアンチセンス化合物である。ある一定の実施態様では、オリゴマー化合物はアンチセンス・オリゴヌクレオチドである。ある一定の実施態様では、オリゴマー化合物はコンジュゲート基を含む。オリゴマー化合物の非限定的な例は、プライマー、プローブ、アンチセンス化合物、アンチセンス・オリゴヌクレオチド、エクスターナル・ガイド配列(external guide sequence)(EGS)オリゴヌクレオチド、選択的スプライサー及びsiRNAsを包含するが、これらに限定する訳ではない。このようなものとして、これらの化合物は一本鎖、二本鎖、環状、分枝状又はヘアーピンの形態で導入することができ、例えば、内部又は末端のバルジ又はループのような構造要素を含有することができる。オリゴマー二本鎖化合物は、二本鎖化合物を形成するようにハイブリダイズした二本鎖であるか、又は完全な若しくは部分的な二本鎖化合物のハイブリダイゼーション及び形成を可能にするほど、充分な自己相補性を有する一本鎖であることができる。
【0030】
本明細書で用いる限り、“オリゴヌクレオシド”なる用語は、ヌクレオシド間結合がリン原子を含有しないオリゴヌクレオチドを意味する。
【0031】
本明細書で用いる限り、“オリゴヌクレオチド”なる用語は、複数個の結合したヌクレオチド又はヌクレオシドを含むオリゴマー化合物を意味する。ある一定の実施態様では、オリゴヌクレオチドの1つ以上のヌクレオチドが修飾されている。ある一定の実施態様では、オリゴヌクレオチドはリボ核酸(RNA)又はデオキシリボ核酸(DNA)を含む。ある一定の実施態様では、オリゴヌクレオチドは天然及び/又は修飾核酸塩基、糖及び共有ヌクレオシド間結合から構成され、さらに、非核酸コンジュゲートを包含することができる。
【0032】
本明細書で用いる限り、“ヌクレオシド間結合”は、隣接するヌクレオシドの間の共有結合を意味する。
【0033】
本明細書で用いる限り、“天然ヌクレオチド間結合”は、3’〜5’ホスホジエステル結合を意味する。
【0034】
本明細書で用いる限り、“修飾ヌクレオシド間結合”なる用語は、天然生成ヌクレオシド間結合以外の、ヌクレオシド間又はヌクレオチド間の任意の結合を意味する。
【0035】
本明細書で用いる限り、“アンチセンス化合物”なる用語は、それがハイブリダイズする標的核酸分子に対して少なくとも部分的に相補的であるオリゴマー化合物を意味する。ある一定の実施態様では、アンチセンス化合物が、標的核酸の発現をモジュレートする(増加させる又は減少させる)。アンチセンス化合物は、非限定的に、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオシド、オリゴヌクレオチド類似体、オリゴヌクレオチド・ミメティック、及びこれらのキメラ組み合わせ(chimeric combinations)である化合物を包含する。その結果、全てのアンチセンス化合物はオリゴマー化合物であるが、オリゴマー化合物の全てがアンチセンス化合物であるとは限らない。
【0036】
本明細書で用いる限り、“アンチセンス・オリゴヌクレオチド”なる用語は、オリゴヌクレオチドであるアンチセンス化合物を意味する。
【0037】
本明細書で用いる限り、“アンチセンス活性”なる用語は、アンチセンス化合物の、その標的核酸へのハイブリダイゼーションに帰因する、任意の検出可能な及び/又は測定可能な活性を意味する。このような検出及び/又は測定は直接的でも間接的でも可能である。例えば、ある一定の実施態様では、アンチセンス活性は、標的タンパク質の量を検出及び/又は測定することによって評価される。ある一定の実施態様では、アンチセンス活性は、標的核酸及び/又は切断された標的核酸及び/又は選択的スプライスされた標的核酸の量を検出及び/又は測定することによって評価される。
【0038】
本明細書で用いる限り、“アンチセンス活性を検出する”又は“アンチセンス活性を測定する”なる用語は、アンチセンス活性を検出する又は測定するための試験をサンプルに対して行なって、対照サンプルの試験と比較することを意味する。このような検出及び/又は測定はゼロの値を包含しうる。したがって、アンチセンス活性を検出するための試験がアンチセンス活性なし(アンチセンス活性ゼロ)の所見を生じる場合に、それにも拘わらず、“アンチセンス活性を検出する”工程が行なわれている。
【0039】
本明細書で用いる限り、“対照サンプル”なる用語は、試験化合物と接触していないサンプルを意味する。ある一定の実施態様では、動物にオリゴマー化合物を投与する前に、対照サンプルを得る。ある一定の実施態様では、オリゴマー化合物が投与されない動物から対照サンプルを得る。ある一定の実施態様では、参照標準(reference standard)を対照サンプルの代わりとして用いる。
【0040】
本明細書で用いる限り、“キメラ・アンチセンス化合物”なる用語は、同じオリゴマー化合物中の他の糖、核酸塩基及びヌクレオシド間結合に比べて、差別可能に修飾されている、少なくとも1つの糖、核酸塩基及び/又はヌクレオシド間結合を有するアンチセンス化合物を意味する。残りの糖、核酸塩基及び/又はヌクレオシド間結合は、独立的に、修飾されることも、修飾されないことも可能である。一般に、キメラ・オリゴマー化合物は、単離した位置に存在しうるか又は特定モチーフを画定する領域に集合しうる修飾ヌクレオシドを有するであろう。修飾及び/又はミメティック基(modifications and/or mimetic groups)の任意の組み合わせが、本明細書に記載するようなキメラ・オリゴマー化合物を構成することができる。
【0041】
本明細書で用いる限り、“モチーフ”なる用語は、オリゴマー化合物中の修飾されない及び修飾されたヌクレオチド又は結合のパターンを意味する。
【0042】
本明細書で用いる限り、“混合主鎖アンチセンス・オリゴヌクレオチド”なる用語は、アンチセンス・オリゴヌクレオチドの少なくとも1つのヌクレオシド間結合が該アンチセンス・オリゴヌクレオチドの少なくとも1つの他のヌクレオチド間結合と異なっているアンチセンス・オリゴヌクレオチドを意味する。
【0043】
本明細書で用いる限り、“標的タンパク質”なる用語は、それをモジュレートすることが望ましいタンパク質を意味する。
【0044】
本明細書で用いる限り、“標的遺伝子”なる用語は、標的をコードする遺伝子を意味する。
【0045】
本明細書で用いる限り、“標的核酸”なる用語は、その量又は機能がアンチセンス化合物によってモジュレートされることができる、任意の核酸分子を意味する。標的核酸は、RNA(非限定的に、pre−mRNAとmRNA又はこれらの部分を包含する)、このようなRNAに由来するcDNA、並びに例えばmiRNAのような非翻訳RNAを包含するが、これらに限定される訳ではない。例えば、ある一定の実施態様では、標的核酸は、その発現が特定の障害若しくは疾病状態に関連する細胞遺伝子(又はこのような遺伝子から転写されたmRNA)、又は感染因子からの核酸分子であることができる。
【0046】
本明細書で用いる限り、“標的領域(target region)”なる用語は、1つ以上のアンチセンス化合物にハイブリダイズすることができ、このようなハイブリダイゼーションがアンチセンス活性を生じる標的核酸の部分を意味する。
【0047】
本明細書で用いる限り、“標的セグメント(target segment)”なる用語は、標的領域のより短いサブ部分(sub-portions)を意味する。
【0048】
本明細書で用いる限り、“標的部位(target site)”なる用語は、アンチセンス化合物とハイブリダイズして、アンチセンス活性を生じることができる、標的核酸の部分を意味する。
【0049】
本明細書で用いる限り、“ターゲッティング(targeting)”又は“にターゲッティングする(targeted to)”なる用語は、特定標的核酸分子又は標的核酸分子内の特定領域のヌクレオチドにアンチセンス化合物が結合することを意味する。
【0050】
本明細書で用いる限り、“設計する(designing)”又は“・・・ように設計する(designed to)”なる用語は、選択した標的核酸分子と特異的にハイブリダイズするオリゴマー化合物を設計するプロセスを意味する。
【0051】
本明細書で用いる限り、“核酸塩基相補性(nucleobase complementarity)”なる用語は、別の核酸塩基と塩基対を形成することができる核酸塩基を意味する。例えば、DNAにおいて、アデニン(A)はチミン(T)に相補的である。例えば、RNAにおいて、アデニン(A)はウラシル(U)に相補的である。ある一定の実施態様では、相補性核酸塩基は、その標的核酸の核酸塩基と塩基対を形成することができる、アンチセンス化合物の核酸塩基を意味する。例えば、アンチセンス化合物のある一定の位置における核酸塩基が標的核酸のある一定の位置における核酸塩基と水素結合を形成することができる場合には、該オリゴヌクレオチドと該標的核酸との間の水素結合の位置が、該核酸塩基対において相補性であると見なされる。
【0052】
本明細書で用いる限り、“非相補性核酸塩基 (non- complementary nucleobase)”なる用語は、相互と水素結合を形成しないか又は他の方法でもハイブリダイゼーションをサポートしない核酸塩基対を意味する。
【0053】
本明細書で用いる限り、“相補性”なる用語は、オリゴマー化合物が別のオリゴマー化合物又は核酸に、核酸塩基相補性によって、ハイブリダイズすることができることを意味する。ある一定の実施態様では、アンチセンス化合物とその標的とは、各分子中の充分な数の対応位置が、該アンチセンス化合物と該標的との間の安定な結合を可能にするように相互に結合することができる核酸塩基によって占められている場合に、相互に相補性である。オリゴマー化合物が結合に留まる可能性を排除することなく、ミスマッチが包含されることが起こりうることを、当業者は理解するであろう。それ故、本明細書には、ミスマッチであるヌクレオチド(即ち、標的の対応するヌクレオチドに相補的な核酸塩基ではない)を約20%まで含みうるアンチセンス化合物を記載する。アンチセンス化合物は、好ましくは約15%以下のミスマッチ塩基対、より好ましくは約10%以下のミスマッチ塩基対、最も好ましくは5%以下のミスマッチ塩基対を含有するか、若しくはミスマッチ塩基対を全く含有しない。残りのヌクレオチドは、相補的な核酸塩基であるか又はさもなくば、ハイブリダイゼーションを妨害しない(例えば、万能塩基)。本明細書で提供する化合物が、標的核酸に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%相補的な核酸塩基であることを、当業者は理解すると考えられる。
【0054】
本明細書で用いる限り、“ハイブリダイゼーション”なる用語は、相補的なオリゴマー化合物(例えば、アンチセンス化合物とその標的核酸)の対合(pairing)を意味する。特定のメカニズムに限定されないが、対合の最も一般的なメカニズムは、相補的なヌクレオシド又はヌクレオチド塩基(核酸塩基)間のWatson-crick、Hoogsteen又は逆Hoogsteen水素結合であることができる水素結合を包含する。例えば、天然塩基のアデニンは、水素結合の形成によって対合する、天然核酸塩基のチミジン及びウラシルに対して相補的な核酸塩基である。天然塩基のグアニンは、天然塩基のシトシン及び5−メチルシトシンに対して相補的な核酸塩基である。ハイブリダイゼーションは、種々な状況下で(under varying circumstances)起こりうる。
【0055】
本明細書で用いる限り、“特異的にハイブリダイズする”なる用語は、オリゴマー化合物がある1つの核酸部位に、それが別の核酸部位にハイブリダイズするよりも、大きいアフィニティでハイブリダイズすることができることを意味する。ある一定の実施態様では、アンチセンス・オリゴヌクレオチドは、1つより多い標的部位(more than one target site)に特異的にハイブリダイズする。ある一定の実施態様では、オリゴマー化合物は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、その標的に特異的にハイブリダイズする。
【0056】
本明細書で用いる限り、“ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件”又は“ストリンジェントな条件”なる用語は、その下でアンチセンス化合物がその標的配列にハイブリダイズするが、その他の配列には最少数にハイブリダイズするにすぎないような条件を意味する。ストリンジェントな条件は配列依存性であり、異なる状況下では異なるであろう、そしてその下でアンチセンス化合物が標的配列にハイブリダイズする“ストリンジェントな条件”は、該アンチセンス化合物の性質(nature)と組成、及び該アンチセンス化合物を試験しているアッセイによって決定される。
【0057】
本明細書で用いる限り、“相補性%(percent complementary)”なる用語は、他のオリゴマー化合物若しくは核酸の対応する核酸塩基と相補的な核酸塩基を有するオリゴマー化合物の該核酸塩基数を、該オリゴマー化合物の全長(核酸塩基数)によって分割したものを意味する。
【0058】
本明細書で用いる限り、“相補性%の領域(region of percent complementary)”なる用語は、他のオリゴマー化合物若しくは核酸の対応する核酸塩基と相補的な核酸塩基を有するオリゴマー化合物の領域の該核酸塩基数を、該オリゴマー化合物の全長(核酸塩基数)によって分割したものを意味する。
【0059】
本明細書で用いる限り、“モジュレーション(modulation)”なる用語は、モジュレーションを行なう前の機能若しくは活性のレベルに比較した、機能若しくは活性の変動(perturbation)を意味する。例えば、モジュレーションは、遺伝子発現の増加(刺激若しくは誘導)又は減少(阻害若しくは低減(reduction))のいずれにしろ、変化を包含する。さらなる例として、発現のモジュレーションは、pre−mRNAプロセシングのスプライス部位選択の変動を包含しうる。
【0060】
本明細書で用いる限り、“発現”なる用語は、遺伝子コード化情報が、細胞内に存在して、作用する構造に変換する機能及び工程の全てを意味する。このような構造は、非限定的に、転写及び翻訳の生成物を包含する。
【0061】
本明細書で用いる限り、“変異体”なる用語は、DNAの同じゲノム領域から産生されうる選択的RNA転写体(alternative RNA transcript)を意味する。変異体は、同一ゲノムDNAから産生された他の転写体とはそれらの開始位置又は終結位置のいずれかで異なり、イントロン配列とエキソン配列の両方を含有する、同一ゲノムDNAから産生される転写体である“pre−mRNA変異体”を非限定的に包含する。変異体は、さらに、選択的スプライス連結(alternate splice junctions)又は選択的開始コドンと終止コドンを有する変異体を非限定的にに包含する。
【0062】
本明細書で用いる限り、“2’-修飾”又は“2’−置換”なる用語は、2’−位置にH及びOH以外の置換基を含む糖を意味する。2’−修飾モノマーは、例えばアリル、アミノ、アジド、チオ、O−アリル、O−C
1−C
10アルキル、−OCF
3、O−(CH
2)
2−O−CH
3、2’−O(CH
2)
2SCH
3、O−(CH
2)
2−O−N(R
m)(R
n)、又はO−CH
2−C(=O)−N(R
m)(R
n)(この場合、各R
mとR
nは独立的にH又は置換若しくは非置換C
1−C
10アルキルである)のような2’−置換基を有する、BNA’s及びモノマー類(例えば、ヌクレオシド及びヌクレオチド)を非限定的に包含する。
【0063】
本明細書で用いる限り、“MOE”なる用語は、2’−O−メトキシエチル置換基を意味する。
【0064】
本明細書で用いる限り、“ギャップマー”なる用語は、中心領域(“ギャップ”)と該中心領域のいずれかの側の領域(“ウイング”)を含み、該ギャップが各ウイングに比べて少なくとも1つの異なる修飾(at least one modification difference)を含むキメラ・オリゴマー化合物を意味する。このような修飾は、核酸塩基、モノマー結合及び糖修飾、並びに修飾の不在(非修飾RNA又は非修飾DNA)を包含する。したがって、ある一定の実施態様では、ウイングの各々における該ヌクレオチド結合は、該ギャップにおけるヌクレオチド結合とは異なる。ある一定の実施態様では、各ウイングは、高アフィニティ修飾を有するヌクレオチドを含み、該ギャップは、このような修飾を含まないヌクレオチドを含む。ある一定の実施態様では、該ギャップ中のヌクレオチドと該ウイング中のヌクレオチドとは全て、高アフィニティ修飾を含むが、該ギャップにおける高アフィニティ修飾は、該ウイングの各々における高アフィニティ修飾とは異なるものである。ある一定の実施態様では、該ウイングにおける修飾は、相互に同じものである。ある一定の実施態様では、該ウイングにおける修飾は、相互に異なる。ある一定の実施態様では、該ギャップにおけるヌクレオチドは修飾されていず、該ウイングにおけるヌクレオチドは修飾されている。ある一定の実施態様では、各ウイング内の修飾(単数又は複数)は同じである。ある一定の実施態様では、1つのウイングにおける修飾(単数又は複数)は、他方のウイングにおける修飾(単数又は複数)とは異なる。
【0065】
本明細書で用いる限り、“短アンチセンス化合物”又は“ショートマー・オリゴヌクレオチド”なる用語は、独立的に1〜4個の高アフィニティ修飾ヌクレオチド長さであるウイング領域を伴う、6〜12ヌクレオチド長さのデオキシ・ギャップを有する、10、11、12、13又は14ヌクレオチド長さのギャップマー・アンチセンス化合物若しくはアンチセンス・オリゴヌクレオチドを意味する。典型的なウイング−デオキシ・ギャップ−ウイング立体配置は、4−6−4、3−6−3、2−6−2、4−7−4、3−7−3、2−7−2、4−8−4、3−8−3、2−8−2、1−8−1、2−9−2、1−9−1、2−10−2、1−10−1、1−12−1等である。
【0066】
本明細書で用いる限り、“ギャップ拡大アンチセンス・オリゴヌクレオチド”とは、独立的に、1〜8個の高アフィニティ修飾ヌクレオチド長さであるウイング領域を伴う、10ヌクレオチド長さより大きいデオキシ・ギャップ領域を有するキメラ・アンチセンス・オリゴヌクレオチドを意味する。好ましい実施態様では、該ギャップ拡大アンチセンス・オリゴヌクレオチドは、例えば、下記:
【0067】
【化1】
【0068】
から選択された、種々なウイング−ギャップ−ウイング・モチーフを有することができる、18〜24ヌクレオチド長さである。特定の実施態様では、本発明の該ギャップ拡大アンチセンス・オリゴヌクレオチドは、2−16−2、3−14−3又は4−12−4ウイング−ギャップ−ウイング・モチーフを有する。
【0069】
本明細書で用いる限り、“高アフィニティ修飾ヌクレオチド”なる用語は、標的核酸に対する、修飾ヌクレオチドを含むアンチセンス化合物のアフィニティを修飾が高めるように、少なくとも1つの修飾された核酸塩基、ヌクレオシド間結合又は糖部分を有するヌクレオチドを意味する。高アフィニティ修飾は、非限定的に、BNAs、LNAs及び2’−MOEを包含する。
【0070】
本明細書で用いる限り、“ミメティック(mimetic)”なる用語は、糖、核酸塩基及び/又はヌクレオシド間結合の代わりに用いられる基(groups that are substituted for a sugar, a nucleobase, and/or internucleoside linkage)を意味する。一般に、ミメティックは、糖又は糖−ヌクレオシド間結合組み合わせの代わりに用いられ、該核酸塩基は、選択された標的へのハイブリダイゼーションのために維持される。糖ミメティック(sugar mimetic)の代表的な例は、非限定的に、シクロヘキセニル又はモルホリノを包含する。糖−ヌクレオシド間結合組み合わせの代わりに用いられるミメティックの代表的な例は、非限定的に、無電荷アキラル結合(uncharged achiral linkage)によって連結された、ペプチド核酸(PNA)とモルホリノ基を包含する。場合によっては、核酸塩基の代わりにミメティックが用いられる。代表的な核酸塩基ミメティックは、当該技術分野で周知であり、非限定的に、三環式フェノキサジン類似体及び万能塩基(本明細書に援用されるBerger et al., Nuc Acid. Res. 2000, 28:2911-14)を包含する。糖、ヌクレオシド及び核酸塩基のミメティックの合成方法は、当業者に周知である。
【0071】
本明細書で用いる限り、“二環式ヌクレオシド”又は“BNA”なる用語は、ヌクレオシドのフラノース部分が、該フラノース環上の2原子を連結して、それによって二環式環系を形成する架橋を包含しているヌクレオシドを意味する。BNAは、非限定的に、α−L−LNA、β−D−LNA、ENA、オキシアミノBNA(2’-O−N(CH
3)−CH
2−4’)及びアミノオキシBNA(2’-O−N(CH
3)−O−CH
2−4’)を包含する。
【0072】
本明細書で用いる限り、“4’〜2’二環式ヌクレオシド”なる用語は、フラノース環の2原子を連結する架橋が、該フラノース環の4’炭素原子と2’炭素原子との橋渡をして、それによって二環式環系を形成しているBNAを意味する。
【0073】
BNAの代表的な構造は、非限定的に、下記:
【0074】
【化2】
【0075】
を包含する。
【0076】
本明細書で用いる限り、“ロック核酸(locked nucleic acid)”若しくは“LNA”は、リボシル糖環の2’−ヒドロキシル基がメチレン基を介して該糖環の4’炭素原子に連結し、それによって2’−C,4’-C−オキシメチレン結合を形成するように修飾されたヌクレオチドを意味する。LNAsは、非限定的に、α−L−LNAとβ−D−LNAを包含する。
【0077】
本明細書で用いる限り、“プロドラッグ”なる用語は、身体若しくはその細胞内で、内因性酵素又はその他の化学物質及び/又は状態(conditions)の作用で活性形(即ち、薬物)に転化される不活性形で製造される治療薬を意味する。
【0078】
本明細書で用いる限り、“製薬的に受容される塩”なる用語は、活性化合物の好ましい生物学的活性を保持し、その不利な毒物学的効果を与えない、該活性化合物の塩を意味する。
【0079】
本明細書で用いる限り、“キャップ構造”又は“末端キャップ部分”なる用語は、アンチセンス化合物のいずれかの末端に取り込まれている化学的修飾を意味する。
【0080】
本明細書で用いる限り、“予防”なる用語は、状態又は疾患の発現若しくは発生を数時間〜数日間、好ましくは数週間〜数ヶ月の期間にわたって遅延させる又は食い止めることを意味する。
【0081】
本明細書で用いる限り、“回復(amelioration)”なる用語は、状態又は疾患の重症度の少なくとも1つの指標の軽減(lessening)を意味する。指標の重症度は、当業者に知られている主観的又は客観的手段によって測定することができる。
【0082】
本明細書で用いる限り、“治療(treatment)”なる用語は、疾患又は状態を変化させる若しくは改善させるために、本発明の組成物を投与することを意味する。予防、回復及び/又は治療は、疾患又は状態の経過を変化させるために、一定の間隔で又は該疾患若しくは状態の発現前に、多数回投与量の投与を必要とする可能性がある。さらに、状態若しくは疾患のそれぞれ、予防、回復及び治療のために単一個体に、単一薬剤を連続的に又は同時に用いることができる。
【0083】
本明細書で用いる限り、“薬剤(pharmaceutical agent)”なる用語は、対象に投与したときに、治療利益を与える物質を意味する。
【0084】
本明細書で用いる限り、“治療有効量(therapeutically effective amount)”なる用語は、動物に治療利益を与える、薬剤の量を意味する。
【0085】
本明細書で用いる限り、“投与する(administering)”なる用語は、動物に薬剤を与えることを意味し、非限定的に、医学専門家による投与又は自己投与(self-administering)を包含する。
【0086】
本明細書で用いる限り、“医薬組成物(pharmaceutical composition)”なる用語は、個人に投与するために適した、物質の混合物を意味する。例えば、医薬組成物は、アンチセンス・オリゴヌクレオチド及び無菌水溶液を含みうる。
【0087】
本明細書で用いる限り、“動物”なる用語は、ヒト又は、非限定的にマウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ及び非ヒト霊長類(非限定的に、サル及びチンパンジーを包含する)を含めた非ヒト動物を意味する。
【0088】
本明細書で用いる限り、“非経口投与”なる用語は、注射又は注入(infusion)による投与を意味する。非経口投与は、非限定的に、皮下投与、静脈内投与、又は筋肉内投与を包含する。
【0089】
本明細書で用いる限り、“皮下投与”なる用語は、皮膚直下への投与を意味する。“静脈内投与”は、静脈内への投与を意味する。
【0090】
本明細書で用いる限り、“投与量(dose)”なる用語は、単回投与で与えられる、薬剤の特定量を意味する。ある一定の実施態様では、投与量は、2つ以上のボラス、錠剤又は注射剤で投与することができる。例えば、皮下投与が望ましい、ある一定の実施態様では、望ましい投与量が、単回注射では容易に対応されない量を必要とする。このような実施態様では、望ましい投与量に達するために、2つ以上の注射剤を用いることができる。ある一定の実施態様では、個体における注射副作用を最小にするために、2つ以上の注射剤で投与量を投与することができる。
【0091】
本明細書で用いる限り、“投与単位(dosage unit)”なる用語は、薬剤が提供される形態を意味する。ある一定の実施態様では、投与単位は、凍結乾燥アンチセンス・オリゴヌクレオチドを含むバイアルである。ある一定の実施態様では、投与単位は、再構成アンチセンス・オリゴヌクレオチドを含むバイアルである。
【0092】
本明細書で用いる限り、“有効医薬成分(active pharmaceutical ingredient)”なる用語は、所望の効果を発揮する、医薬組成物中の物質を意味する。
【0093】
本明細書で用いる限り、“副作用(side effects)”なる用語は、治療に起因する、所望の効果以外の生理的反応を意味する。ある一定の実施態様では、副作用は、非限定的に、注射部位反応、肝機能検査異常、腎機能異常、肝毒性、腎毒性、中枢神経系異常、及びミオパシーを包含する。例えば、血清中のアミノトランスフェラーゼ・レベル上昇は、肝毒性又は肝機能異常を示唆する可能性がある。例えば、ビリルビン上昇は肝毒性又は肝機能異常を示唆する可能性がある。
【0094】
本明細書で用いる限り、“治療指数”なる用語は、毒性の何らかの尺度によって割った活性若しくは効力の何らかの尺度(some measure of activity or potency divided by some measure of toxicity)を意味する。
【0095】
本明細書で用いる限り、“アルキル”なる用語は、24個までの炭素原子を含有する飽和直鎖若しくは分枝鎖炭化水素ラジカルを意味する。アルキル基の例は、非限定的に、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、n−ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル等を包含する。アルキル基は、典型的に1〜約24個の炭素原子、より典型的には1〜約12個の炭素原子(C
1−C
12アルキル)を含み、より好ましくは1〜約6個の炭素原子を含む。本明細書で用いる“低級アルキル”なる用語は、1〜約6個の炭素原子を包含する。本明細書で用いるアルキル基は、場合によっては(optionally)、1個以上のさらなる置換基を包含することができる。
【0096】
本明細書で用いる限り、“アルケニル”なる用語は、24個までの炭素原子を含有し、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する直鎖若しくは分枝鎖炭化水素ラジカルを意味する。アルケニル基の例は、非限定的に、エテニル、プロペニル、ブテニル、1−メチル−2−ブテン−1−イル、ジエン(例えば、1,3−ブタジエン)等を包含する。アルケニル基は、典型的に2〜約24個の炭素原子、より典型的には2〜約12個の炭素原子を含み、より好ましくは2〜約6個の炭素原子を含む。本明細書で用いるアルケニル基は、場合によっては、1個以上のさらなる置換基を包含することができる。
【0097】
本明細書で用いる限り、“アルキニル”なる用語は、24個までの炭素原子を含有し、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する直鎖若しくは分枝鎖炭化水素ラジカルを意味する。アルキニル基の例は、非限定的に、エチニル、1−プロピニル、1−ブチニル等を包含する。アルキニル基は、典型的に2〜約24個の炭素原子、より典型的には2〜約12個の炭素原子を含み、より好ましくは2〜約6個の炭素原子を含む。本明細書で用いるアルキニル基は、場合によっては、1個以上のさらなる置換基を包含することができる。
【0098】
本明細書で用いる限り、本明細書で用いる“アミノアルキル”なる用語は、アミノ置換アルキル・ラジカルを意味する。この用語は、任意の位置にアミノ置換基を有するC
1−C
12アルキル基を包含する意味であり、この場合、該アルキル基は該アミノアルキル基を親分子に取り付ける。アミノアルキル基のアルキル及び/又はアミノ部分は、置換基によってさらに置換されることができる。
【0099】
本明細書で用いる限り、“脂肪族”なる用語は、24個までの炭素原子を含有し、任意の2個の炭素原子間の飽和状態(saturation between any two carbons)が単結合、二重結合又は三重結合である、直鎖若しくは分枝鎖炭化水素ラジカルを意味する。脂肪族基は、好ましくは1〜約24個の炭素原子、より典型的には1〜約12個の炭素原子を含み、より好ましくは1〜約6個の炭素原子を含む。脂肪族基の直鎖若しくは分枝鎖は、窒素、酸素、硫黄及びリンを包含する、1つ以上のヘテロ原子によって中断されることができる。ヘテロ原子によって中断される、このような脂肪族基は、ポリアルコキシ、例えばポリアルキレングリコール、ポリアミン、及びポリイミンを非限定的に包含する。本明細書で用いる脂肪族基は、場合によっては、さらなる置換基を含むことができる。
【0100】
本明細書で用いる限り、“脂環式”又は“アリサイクリル(alicyclyl)”なる用語は、環が脂肪族である環状環系(cyclic ring system)を意味する。該環系は、少なくとも1つの環が脂肪族である、1つ以上の環を含みうる。好ましい脂環式化合物(alicyclics)は、該環中に約5〜約9個の炭素原子を有する環を包含する。本明細書で用いる脂環式化合物は、場合によっては、さらなる置換基を含むことができる。
【0101】
本明細書で用いる限り、“アルコキシ”なる用語は、アルキル基と酸素原子間に形成され、酸素原子がアルコキシ基を親分子に取り付けるために用いられるラジカルを意味する。アルコキシ基の例は、非限定的に、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシ、ネオペントキシ、n−ヘキソキシ等を包含する。本明細書で用いるアルコキシ基は、場合によっては、さらなる置換基を含むことができる。
【0102】
本明細書で用いる限り、本明細書で用いる“ハロ”及び“ハロゲン”なる用語は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素から選択される原子を意味する。
【0103】
本明細書で用いる限り、“アリール”及び“芳香族”なる用語は、1つ以上の芳香環を有する単環式若しくは多環式炭素環系ラジカルを意味する。アリール基の例は、非限定的に、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、イデニル等を包含する。好ましいアリール環系は1つ以上の環に約5〜約20個の炭素原子を有する。本明細書で用いるアリール基は、場合によっては、さらなる置換基を含むことができる。
【0104】
本明細書で用いる限り、“アラルキル”及び“アリールアルキル”なる用語は、アルキル基とアリール基間に形成され、アルキル基がアラルキル基を親分子に取り付けるために用いられるラジカルを意味する。例は、非限定的に、ベンジル、フェネチル等を包含する。本明細書で用いるアラルキル基は、場合によっては、該ラジカル基を形成する該アルキル、該アリール又は両方の基に取り付けられる、さらなる置換基を含むことができる。
【0105】
本明細書で用いる限り、“複素環式ラジカル”なる用語は、少なくとも1つのヘテロ原子を含み、不飽和、部分的飽和又は完全飽和である単環式若しくは多環式炭素環系ラジカルを意味し、したがって、ヘテロアリール基を包含する。複素環式はさらに、縮合環の1つ以上の環が少なくとも1つのヘテロ原子を含み、残りの環は1つ以上のヘテロ原子を含有することも、場合によってはヘテロ原子を含有しないこともありうる縮合環系を包含する意味である。複素環式基は、典型的に、硫黄、窒素又は酸素から選択された、少なくとも1つの原子を含む。複素環式基の例は、[1,3]ジオキソラン、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、キノキサリニル、ピリダジノニル、テトラヒドロフリル等を包含する。本明細書で用いる複素環式基は、場合によっては、さらなる置換基を含むことができる。
【0106】
本明細書で用いる限り、“ヘテロアリール”及び“ヘテロ芳香族”なる用語は、環の少なくとも1つが芳香族であり、1つ以上のヘテロ原子を含む、単環式又は多環式の芳香環、環系又は縮合環系を含むラジカルを意味する。ヘテロアリールはさらに、縮合環の1つ以上がヘテロ原子を含有しない系を含めた縮合環系を包含する意味である。ヘテロアリール基は、典型的に、硫黄、窒素又は酸素から選択された1つの環原子を含む。ヘテロアリール基の例は、非限定的に、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、チオフェニル、フラニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、キノオキサリニル等を包含する。ヘテロアリール・ラジカルは、直接又は連結部分(例えば、脂肪族基若しくはヘテロ原子)を介して親分子に取り付けられることができる。本明細書で用いるヘテロアリール基は、場合によっては、さらなる置換基を含むことができる。
【0107】
本明細書で用いる限り、“ヘテロアリールアルキル”なる用語は、ヘテロアリールアルキル基を親分子に取り付けることができるアルキル・ラジカル有する、前記で定義したとおりのヘテロアリール基を意味する。例は、非限定的に、ピリジニルメチル、ピリミジニルエチル、ナフチリジニルプロピル等を包含する。本明細書で用いるヘテロアリールアルキル基は、場合によっては、ヘテロアリール部分又はアルキル部分の1つ又は両方にさらなる置換基を含むことができる。
【0108】
本明細書で用いる限り、“単環式又は多環式構造”なる用語は、単環である、又は縮合している若しくは連結している環を有する多環式である、全ての環系を包含し、脂肪族、脂環式、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アリールアルキル、複素環式、ヘテロアリール、ヘテロ芳香族、ヘテロアリールアルキルから個別に選択された、単環系及び混合環系を包含する意味である。このような単環式及び多環式構造は、均一である(uiform)か、又は完全飽和、部分的飽和若しくは完全不飽和を含めた、種々な飽和度を有する環を含有することができる。各環は、C、N、O及びSから選択された環原子を含み、例えば、1つの環が炭素環原子のみを有し、縮合環が2個の窒素原子を有するベンズイミダゾールのような混合モチーフで存在しうる、複素環並びにC環原子のみを含む環を形成することができる。該単環式又は多環式構造は、例えば、環の1つに取り付けられた2個の=O基を有するフタルイミドのような置換基によってさらに置換されることができる。別の態様では、単環式又は多環式構造は、環原子によって直接、置換基を介して又は二官能性連結部分を介して親分子に取り付けられることができる。
【0109】
本明細書で用いる限り、本明細書で用いる“アシル”なる用語は、有機酸からヒドロキシル基の除去によって形成されるラジカルを意味し、一般式−C(O)−X[式中、Xは典型的に脂肪族、脂環式又は芳香族である]を有する。例は、脂肪族カルボニル、芳香族カルボニル、脂肪族スルホニル、芳香族スルフィニル、脂肪族スルフィニル、芳香族ホスフェート、脂肪族ホスフェート等を包含する。本明細書で用いるアシル基は、場合によっては、さらなる置換基を含むことができる。
【0110】
本明細書で用いる限り、“ヒドロカルビル(hydrocarbyl)”なる用語は、C、O及びHを含む基を包含する。任意の飽和度を有する、直鎖基、分枝鎖基及び環状基が包含される。このようなヒドロカルビル基は、N、O及びSから選択された、1つ以上のヘテロ原子を含むことができ、さらに、1つ以上の置換基によって単置換又は多重置換される(poly substituted)ことができる。
【0111】
本明細書で用いる限り、“置換基(substituent and substituent group)”なる用語は、所望の性質を強化するために又は所望の効果を与えるために、他の基又は親化合物に典型的に加えられる基を包含する。置換基は保護されることも、保護されないことも可能であり、親化合物中の1つの利用可能なサイトに又は多くの利用可能なサイトに加えられることができる。置換基は他の置換基によってさらに置換されることができ、親化合物に直接又は例えばアルキル基若しくはヒドロカルビル基のような連結基を介して取り付けられることができる。このような基は、非限定的に、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アシル(−C(O)R
aa)、カルボキシル(−C(O)O−R
aa)、脂肪族基、脂環式基、アルコキシ、置換オキソ(−O−R
aa)、アリール、アラルキル、複素環式基、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アミノ(−NR
bbR
cc)、イミノ(=NR
bb)、アミド(−C(O)NR
bbR
cc又は−N(R
bb)C(O)R
aa)、アジド(−N
3)、ニトロ(−NO
2)、シアノ(−CN)、カルバミド(−OC(O)NR
bbR
cc又は−N(R
bb)C(O)OR
aa)、ウレイド(−N(R
bb)C(O)NR
bbR
cc)、チオウレイド(−N(R
bb)C(S)NR
bbR
cc)、グアニジニル(−N(R
bb)C(=NR
bb)NR
bbR
cc)、アミジニル(−C(=NR
bb)NR
bbR
cc又は−N(R
bb)C(NR
bb)R
aa)、チオール(−SR
bb)、スルフィニル(−S(O)R
bb)、スルホニル(−S(O)
2R
bb)、スルホンアミジル(−S(O)
2NR
bbR
cc又は−N(R
bb)S(O)
2R
bb)及びコンジュゲート基を包含する。この場合、各R
aa、R
bb及びR
ccは、独立的に、H、任意に連結した化学官能基、又はさらなる置換基であり、好ましいリストは、非限定的に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、脂肪族基、アルコキシ、アシル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、脂環式基、複素環式基及びヘテロアリールアルキルを包含する。
【0112】
概要
ある一定の実施態様では、化学修飾は、アンチセンス化合物の効力及び/又は有効性を改良して、経口デリバリーの可能性を改良し、並びに皮下投与を容易にし、副作用の可能性を低減し、患者の便宜性(patient convenience)の改良をもたらす。ある一定のこのような実施態様では、アンチセンス化合物の効力を高める化学修飾は、低量の投与を可能にし、投与量の減少は毒性の可能性を低減し、同時に治療法の総費用を低減する。ある一定の実施態様では、分解への耐性を高める修飾は、身体からのクリアランスを緩慢にして、このことは、ある一定の実施態様では、投与回数の減少を可能にする。
【0113】
ある一定の実施態様では、ある一定の化学修飾又はモチーフを含むオリゴマー化合物は、異なる修飾又はモチーフを含む他のオリゴマー化合物よりも低毒性である。ある一定の実施態様では、このようなオリゴマー化合物の投与は、肝毒性の低下を生じる。オリゴヌクレオチドに化学修飾を含めて、それらの活性を変化させることが、しばしば、好ましい。化学修飾は、例えば、アンチセンス・オリゴヌクレオチドのその標的RNAに対するアフィニティを高める、ヌクレアーゼ耐性を高める及び/又は該オリゴヌクレオチドの薬物動態を変えることによって、オリゴヌクレオチド活性を変化させることができる。オリゴヌクレオチドのその標的に対するアフィニティを高める化学の利用は、より短いオリゴヌクレオチド化合物の使用を可能にすることができる。ある一定の実施態様では、本発明は、in vivo投与のために好ましい特性を有するオリゴマー化合物を提供する。
【0114】
in vivo活性が高く、肝毒性の危険性が低い、より高い効力のアンチセンス化合物の必要性に対処するために、本発明のある一定のギャップマー・アンチセンス化合物が今までに設計されている。本発明のある一定のギャップマー・アンチセンス・オリゴヌクレオチドは、デオキシ・ギャップ領域、該デオキシ・ギャップの5’末端に位置する5’ウイング領域、及び該デオキシ・ギャップの3’末端に位置する3’ウイング領域を含む、この場合、該ウイング領域の少なくとも一方の、少なくとも1つのヌクレオシドは4’−2’二環式ヌクレオシドであり、残りのウイング・ヌクレオシドの少なくとも1つは非二環式高アフィニティ修飾ヌクレオチドである。高アフィニティ修飾ヌクレオチドは、非限定的に、BNA修飾、LNA修飾又は2’−MOE修飾を有するヌクレオチドを包含する。非二環式高アフィニティ修飾ヌクレオチドは、非限定的に、2’−修飾ヌクレオチドを包含する。ある一定のこのようなギャップマー・アンチセンス化合物は、場合によっては、コンジュゲート基をさらに含むことができる。本発明のある一定のギャップマー・アンチセンス化合物は、ショートマー(shortmers)及び/又はギャップ拡大(gap-widened)アンチセンス・オリゴヌクレオチドである。
【0115】
ある一定の化合物
ある一定の実施態様では、本発明は、オリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物を提供する。ある一定のオリゴヌクレオチドは8〜30個の連結したヌクレオシドを含む。ある一定の実施態様では、該オリゴマー化合物は、修飾ヌクレオシド、修飾ヌクレオシド間結合(modified internucleoside linkages)及び/又はコンジュゲート基を含む。
【0116】
本明細書で述べる化合物は1つ以上の不斉中心を含有する、したがって、エナンチオマー、ジアステレオマー、及びその他の立体異性体の立体配置を生じ、これらは、アミノ酸等に関するように、(R)若しくは(S)、α若しくはβとして又は(D)若しくは(L)として、絶対立体化学に関連して定義することができる。本明細書で提供するアンチセンス化合物には、このような可能な異性体並びにそれらのラセミ体及び光学的純粋形の全てが包含される。
【0117】
ある一定のヌクレオシド
ある一定の実施態様では、本発明は、連結したヌクレオシドを含むオリゴマー化合物を提供する。ある一定の実施態様では、該ヌクレオシドの一部又は全ては修飾ヌクレオシドである。ある一定の実施態様では、1つ以上のヌクレオシドは修飾核酸塩基を含む。ある一定の実施態様では、1つ以上のヌクレオシドは修飾糖を含む。
【0118】
一般に、核酸塩基は、別の核酸の塩基に水素結合することができる、1つ以上の原子若しくは原子群(groups of atoms)を含有する任意の基である。例えば、プリン核酸塩基アデニン(A)とグアニン(G)、及びピリミジン核酸塩基チミン(T)とシトシン(C)とウラシル(U)のような、“非修飾”若しくは“天然”核酸塩基の他に、当業者に知られた、多くの修飾核酸塩基又は核酸塩基ミメティック(nucleobase mimetics)が、本明細書に述べる化合物に適合する(amenable with the compounds described herein)。修飾核酸塩基と核酸塩基ミメティックなる用語は重複しうるが、一般には、修飾核酸塩基は、例えば、7−デアザプリン、5−メチルシトシン又はG−クランプのような、親核酸塩基に構造がかなり類似する核酸塩基を意味し、他方では、核酸塩基ミメティックは、例えば三環式フェノキサジン核酸塩基ミメティックのような、より複雑な構造を包含すると考えられる。上記修飾核酸塩基の製造方法は、当業者に周知である。
【0119】
ある一定の実施態様では、本明細書で提供するオリゴマー化合物は、修飾糖部分を有する、1つ以上のヌクレオシドを含む。ある一定の実施態様では、天然ヌクレオシドのフラノシル糖環は、置換基の付加、2つの非ジェミナル環原子(non-geminal ring atoms)の架橋による二環式核酸(BNA)の形成、4-位置の環酸素に代わる例えば−S−、−N(R)−又は−C(R
1)(R
2)のような原子若しくは基の置換を包含する、幾つかの方法で修飾されることができる。修飾糖部分は周知であり、アンチセンス化合物のその標的へのアフィニティを変える(通常は、高める)ために及び/又はヌクレアーゼ耐性を高めるために用いることができる。修飾糖の代表的なリストは、非限定的に、非二環式置換糖、特に、2’−F、2’-OCH
3若しくは2’−O(CH
2)
2−OCH
3置換基を有する非二環式2’-置換糖、及び4’−チオ修飾糖を包含する。糖は、特に糖ミメティック基によって取り替えることもできる。修飾糖の製造方法は、当業者に周知である。このような修飾糖の製造を教示する、幾つかの代表的な特許及び刊行物は、非限定的に、米国特許:4,981,957; 5,118,800; 5,319,080; 5,359,044; 5,393,878; 5,446,137; 5,466,786; 5,514,785; 5,519,134; 5,567,811; 5,576,427; 5,591,722; 5,597,909; 5,610,300; 5,627,053; 5,639,873; 5,646,265; 5,658,873; 5,670,633; 5,792,747; 5,700,920;及び 6,600,032; 並びにWO 2005/121371を包含する。
【0120】
ある一定の実施態様では、ヌクレオシドは、LNA(4’−(CH
2)−O−2’架橋)、2’−チオ−LNA(4’−(CH
2)−S−2’架橋)、2’−アミノ−LNA(4’−(CH
2)−NR−2’架橋)、ENA(4’−(CH
2)
2−O−2’架橋)、4’−(CH
2)
3−2’架橋BNA、4’−(CH
2CH(CH
3))−2’架橋BNA、cEt(4’−(CH(CH
3))−O−2’架橋)、及びcMOE・BNAs(4’−(CH(CH
2OCH
3)−O−2’架橋)を包含する、二環式修飾糖(BNA’s)を含む。ある一定のこのようなBNA’sは製造されており、特許文献並びに科学文献に開示されている(例えば、Srivastava, et al. J. Am. Chem. Soc. 2007, ACS Advanced online publication, 10.1021/ja071106y, Albaek et al. J. Org. Chem., 2006, 71, 7731 -7740, Fluiter, et al. Chembiochem 2005, 6, 1104-1109, Singh et al., Chem. Commun., 1998, 4, 455-456; Koshkin et al., Tetrahedron, 1998, 54, 3607-3630; Wahlestedt et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 2000, 97, 5633-5638; Kumar et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 1998, 8, 2219-2222; WO 94/14226; WO 2005/021570; Singh et al., J. Org. Chem., 1998, 63, 10035-10039, WO 2007/090071を参照のこと)。BNAsを開示する、発行された米国特許及び公開出願は、例えば、米国特許Nos: 7,053,207; 6,268,490; 6,770,748; 6,794,499; 7,034,133;及び6,525,191; 並びに米国付与前公開 Nos:2004- 0171570; 2004-0219565; 2004-0014959; 2003-0207841; 2004-0143114; 及び 20030082807を包含する。
【0121】
リボシル糖環の2’−ヒドロキシル基が該糖環の4’炭素原子に連結して、それによって2’−C,4’−C−オキシメチレン結合を形成して、二環式糖部分を形成する“ロック核酸(Locked Nucleic Acids)(LNAs)”も本明細書で提供する(Elayadi et al.,Curr. Opinion Invens.Drugs, 2001,2,558-561; Braasch et al., Chem.Biol.,2001,8 1-7;及びOrum et al.,Curr. Opinion Mol. Ther., 2001,3,239-243において考察;米国特許No.6,268,490及び6,670,461も参照)。該結合は、2’酸素原子と4’炭素原子とを架橋するメチレン基(−CH
2−)基であることができ、これに関して、二環式部分にはLNAなる用語を用いられる;この位置におけるエチレン結合の場合には、ENA
TMなる用語が用いられる(Singth et al., Chem. Commun.,1998,4,455-456; ENA
TM:Morita et al., Bioorganic Medicinal Chemistry, 2003, 11, 2211-2226)。LNAとその他の二環式糖類似体は、相補的DNA及びRNAによる非常に高いデュープレックス熱安定性(Tm=+3〜+10℃)、3’−エキソヌクレオリティック分解(3’-exonucleolytic degradation)に対する安定性及び良好な溶解特性を示す。LNAsを含有する、強力で(potent)、非毒性のアンチセンス・オリゴヌクレオチドは記載されている((Wahlestedt et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 2000, 97, 5633-5638)。
【0122】
同様に研究されているLNA異性体は、3’−エキソヌクレアーゼに対する優れた安定性を有することが判明しているα−L−LNAである。α−L−LNAは、強力なアンチセンス活性を示す、アンチセンス・ギャップマー及びキメラに組み込まれている(Frieden et al, Nucleic Acids Research, 2003, 21, 6365-6372)。
【0123】
LNAモノマー アデニン、シトシン、グアニン、5−メチル−シトシン、チミン及びウラシルの合成及び製造は、それらのオリゴマー化及び核酸認識特性と共に、記載されている(Koshkin et al., Tetrahedron, 1998, 54, 3607-3630)。LNAsとそれらの製造も、WO98/39352及びWO99/14226に記載されている。
【0124】
LNAの類似体、ホスホロチオエート−LNAと2’−チオ−LNAsも製造されている(Kumar et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 1998, 8, 2219-2222)。核酸ポリメラーゼの基質としてのオリゴオキシリボヌクレオチド・デュープレックスを含有するロック・ヌクレオシド類似体の製造も述べられている(Wengel et al., WO 99/14226 )。その上、2’−アミノ−LNA、新規な立体配座制限された高アフィニティ・オリゴヌクレオチド類似体(a novel conformationally restricted high-affinity oligonucleotide analog)の合成も当該技術分野で記載されている(Singh et al., J. Org. Chem., 1998, 63, 10035-10039)。さらに、2’−アミノ−及び2’−メチルアミノ−LNA’sは製造され、相補的RNA及びDNA鎖とのそれらのデュープレックスの熱安定性が今までに報告されている。
【0125】
ある一定のヌクレオシド間結合
ヌクレオシド又はさもなくば修飾モノマー単位を一緒に連結して、それによってアンチセンス化合物を形成するヌクレオシド間連結基を本明細書に記載する。ヌクレオシド間連結基の2つの主要な種類は、リン原子の有無によって定義される。代表的なリン含有ヌクレオシド間結合は、非限定的に、ホスホジエステル、ホスホトリエステル、メチルホスホネート、ホスホルアミデート及びホスホロチオエートを包含する。代表的な非リン含有ヌクレオシド間連結基は、非限定的に、メチレンメチルイミノ(-CH
2−N(CH
3)−O−CH
2−)、チオジエステル(−O−C(O)−S−)、チオノカルバメート(−O−C(O)(NH)−S−)、シロキサン(−O−Si(H)
2−O−)及びN,N’−ジメチルヒドラジン(-CH
2−N(CH
3)−N(CH
3)−)を包含する。非リン含有ヌクレオシド間連結基を有するアンチセンス化合物は、オリゴヌクレオシドと呼ばれる。修飾ヌクレオシド間結合は、天然のホスホジエステル結合に比べて、アンチセンス化合物のヌクレアーゼ耐性を変える(典型的には高める)ために用いることができる。キラル原子を有するヌクレオシド間結合はラセミ、キラル又は混合物として作製することができる。典型的なキラル・ヌクレオシド間結合は、非限定的に、アルキルホスホネート及びホスホロチオエートを包含する。リン含有結合及び非リン含有結合の作製方法は、当業者に周知である。
【0126】
ある一定の実施態様では、糖の2’、3’又は5’ヒドロキシル部分にホスフェート基を連結させることができる。オリゴヌクレオチドの作製では、ホスフェート基が隣接ヌクレオシドと相互に共有結合して、線状ポリマー化合物を形成する。オリゴヌクレオチド内では、ホスフェート基がオリゴヌクレオチドのヌクレオシド間主鎖を形成するものとして一般に挙げられる。RNA及びDNAの通常の結合又は主鎖は、3’−5’ホスホジエステル結合である。
【0127】
ある一定のモチーフ
ある一定の実施態様では、オリゴマー化合物はギャップマーである。このような実施態様では、オリゴマー化合物は、3’ウイング領域と5’ウイング領域が側面に位置する中心ギャップ領域(central gap region flanked by a 3’wing region and a 5’wing region)を含む。
【0128】
ある一定のウイング
ある一定の実施態様では、オリゴマー化合物は5’ウイング及び/又は3’ウイングを含む。このような実施態様では、3’ウイングの特徴(features)と5’ウイングの特徴とは独立的に選択される。したがって、このような実施態様では、5’ウイングにおけるヌクレオシドの数と3’ウイングにおけるヌクレオシドの数(長さ)は同じであっても、異なってもよく、5’ウイングにおける修飾(もしあれば)は、3’ウイングにおける修飾(もしあれば)と同じであることができる、又はこのような修飾(もしあれば)は異なることもできる;5’ウイングにおけるヌクレオシド間結合と3’ウイングにおけるヌクレオシド間結合は同じであることも、又はこれらは異なることも可能である。
【0129】
ある一定の実施態様では、ウイングは1、2、3、4又は5個のヌクレオシドを含む(即ち、1、2、3、4又は5の長さを有する)。ある一定の実施態様では、ウイングのヌクレオシドは修飾される。ある一定のこのような実施態様では、ウイングのヌクレオシドは、アンチセンス化合物のその標的核酸に対するアフィニティを高めるように修飾される。ある一定の実施態様では、ウイングのヌクレオシドはヌクレオシド又はヌクレオチドである。ある一定のこのような実施態様では、該ウイングのヌクレオシド又はヌクレオチドは2’修飾を含む。ある一定のこのような実施態様では、ウイングのヌクレオシド(ヌクレオシド又はヌクレオチド)はBNA’sである。ある一定のこのような実施態様では、ウイングのヌクレオシドは、α−L−メチレンオキシ(4’−CH
2−O−2’)BNA、β−D−メチレンオキシ(4’−CH
2−O−2’)BNA、エチレンオキシ(4’−(CH
2)
2−O−2’)BNA、アミノオキシ(4’−CH
2−O−N(R)−2’)BNA、及びオキシアミノ(4’−CH
2−N(R)−O−2’)BNAから選択される。ある一定の実施態様では、ウイングのヌクレオシドは、アリル、アミノ、アジド、チオ、O−アリル、O−C
1−C
10アルキル、−OCF
3、O−(CH
2)
2−O−CH
3、2’−O(CH
2)
2SCH
3、O−(CH
2)
2−O−N(R
m)(R
n)、及びO−CH
2−C(=O)−N(R
m)(R
n)(この場合に、各R
mとR
nは、独立的に、H又は置換若しくは非置換C
1−C
10アルキルである)から選択される置換基を2’位置に含む。ある一定の実施態様では、ウイングのヌクレオシドは2’MOEヌクレオチドである。
【0130】
ある一定の実施態様では、ウイングにおけるヌクレオシド間結合は天然生成ヌクレオシド間結合である。ある一定の実施態様では、ウイングにおけるヌクレオシド間結合は非天然生成ヌクレオシド間結合若しくはヌクレオシド間結合である。ある一定のこのような実施態様では、ウイングにおけるヌクレオシド間結合は、天然生成ヌクレオシド間結合よりも、1種類以上のヌクレアーゼに対して大きく耐性である。ある一定のこのような実施態様では、ウイングにおけるヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合(P=S)である。ウイングが1つより多いヌクレオシド間結合を有する、ある一定の実施態様では、該ヌクレオシド間結合は相互に同じものである。ウイングが1つより多いヌクレオシド間結合を有する、ある一定の実施態様では、該ヌクレオシド間結合は相互に異なるものである。
【0131】
上記で考察した特徴と修飾を任意に組み合わせて用いて、ウイングを作製することができることを、当業者は認識するであろう。以下の表は、ある一定の数のヌクレオシド、ヌクレオシド修飾(あるとすれば)及びヌクレオシド間結合の両方をウイング内で選択することによって、ウイングをどのように作製することができるかを示す非限定例を提供する。
【0132】
【化3】
【0133】
ウイングが2、3、4又は5個のヌクレオシドを含む、ある一定の実施態様では、これらのヌクレオシドのうちの該2、3、4又は5個のヌクレオシドはそれぞれ独立的に選択される。したがって、ウイングが2、3、4又は5個のヌクレオシドを含む、ある一定の実施態様では、該2、3、4又は5個のヌクレオシドは全て、同じ修飾(あるとすれば)を含む。ウイングが2、3、4又は5個のヌクレオシドを含む、ある一定の実施態様では、該2、3、4又は5個のヌクレオシドのうちの1つ以上は、残りのヌクレオシドの1つ以上の修飾の1つ以上とは異なる、1つ以上の修飾を含む。
【0134】
ある一定の実施態様では、5’−ウイングの1つ以上のヌクレオシドが該5’−ウイングの他の少なくとも1つのヌクレオシドとは異なる。
【0135】
ある一定の実施態様では、3’−ウイングの1つ以上のヌクレオシドが該3’−ウイングの他の少なくとも1つのヌクレオシドとは異なる。
【0136】
ある一定の実施態様では、5’−ウイングの1つ以上のヌクレオシドが3’−ウイングの少なくとも1つのヌクレオシドとは異なる。
【0137】
ある一定の実施態様では、5’−ウイングの全てのヌクレオシドが3’−ウイングの全てのヌクレオシドとは異なる。
【0138】
ある一定の実施態様では、5’−ウイングの1つ以上のヌクレオシド間結合が該5’−ウイングの少なくとも1つの他のヌクレオシド間結合とは異なる。
【0139】
ある一定の実施態様では、3’−ウイングの1つ以上のヌクレオシド間結合が該3’−ウイングの少なくとも1つの他のヌクレオシド間結合とは異なる。
【0140】
ある一定の実施態様では、5’−ウイングの1つ以上のヌクレオシド間結合が3’−ウイングの少なくとも1つのヌクレオシド間結合とは異なる。
【0141】
ある一定の実施態様では、5’−ウイングの全てのヌクレオシド間結合が3’−ウイングの全てのヌクレオシド間結合とは異なる。
【0142】
ある一定の混合ウイング
ある一定の実施態様では、本発明は、1つのウイングの少なくとも1つのヌクレオシドが同じウイングの少なくとも1つの他のヌクレオシドに比べて異なって修飾されているギャップマー化合物を提供する。このようなオリゴマー化合物は、混合ウイング・オリゴマー化合物と呼ばれる。ある一定の実施態様では、3’−ウイングの1つ以上のヌクレオシドの修飾(又は非修飾)が該3’−ウイングの1つ以上の他のヌクレオシドのものとは異なる。このようなオリゴマー化合物は、3’混合ウイング・ギャップマーと呼ぶことができる。ある一定の実施態様では、5’−ウイングの1つ以上のヌクレオシドの修飾(又は非修飾)が該5’−ウイングの1つ以上の他のヌクレオシドのものとは異なる。このようなオリゴマー化合物は、5’混合ウイング・ギャップマーと呼ぶことができる。ある一定の実施態様では、3’−ウイングの1つ以上のヌクレオシドの修飾(又は非修飾)が該3’−ウイングの1つ以上の他のヌクレオシドのものとは異なり、5’−ウイングの1つ以上のヌクレオシドの修飾(又は非修飾)が該5’−ウイングの1つ以上の他のヌクレオシドのものとは異なる。このようなオリゴマー化合物は、3’,5’混合ウイング・ギャップマーと呼ぶことができる。このような実施態様では、3’ウイングと5’末端における修飾及び修飾組み合わせが同じであることも、それらが異なることも可能である。
【0143】
ある一定の実施態様では、混合ウイング化合物は、好ましい特性を有する。ある一定のヌクレオシド修飾は、オリゴマー化合物に、好ましい特性、例えば、標的に対するアフィニティ上昇又はヌクレアーゼ耐性強化を与えるが、好ましくない性質、例えば、毒性上昇をも与える。ある一定の他のヌクレオシド修飾の組み込みは、性質の異なるプロフィルを有するオリゴマー化合物を生成する。ある一定の実施態様では、ウイングの1つ又は両方における修飾を組み合わせて、好ましい特徴を最適化し、及び/又は好ましくない特徴を最小化することができる。ある一定の実施態様では、混合ウイング・オリゴマー化合物のウイングは、標的核酸に対する該オリゴマー化合物のアフィニティを、非修飾ヌクレオシドを含むオリゴマー化合物に比べて高める第1修飾を含む1つ以上のヌクレオシドと;全てが第1修飾を含むヌクレオシドを含むウイングを有するオリゴマー化合物に比べて、毒性低下を生じる第2修飾を含む1つ以上のヌクレオシドを含む。
【0144】
ある一定の実施態様では、オリゴマー化合物は、少なくとも1つのMOE置換ヌクレオシドと少なくとも1つのLNAを含む、少なくとも1つのウイングを含む。ある一定のこのような実施態様では、該少なくとも1つのMOE置換ヌクレオシドと該少なくとも1つのLNAは3’ウイング中に存在する。ある一定のこのような実施態様では、該少なくとも1つのMOE置換ヌクレオシドと該少なくとも1つのLNAは5’ウイング中に存在する。
【0145】
上記で考察した特徴と修飾を任意の組み合わせで用いて、混合ウイングを製造することができることを、当業者は認識するであろう。以下の表は、ある一定の数のヌクレオシド、ヌクレオシド修飾(あるとすれば)及びヌクレオシド間結合を各ウイング内で及びウイングを通して選択することによって、混合ウイング・オリゴヌクレオチドをどのように作製することができるかを示す非限定例を提供する。
【0146】
【化4】
【0147】
ある一定の非対称ウイング
ある一定の実施態様では、オリゴマー化合物は非対称ウイングを含む。このような実施態様では、3’ウイングのヌクレオシド(単数又は複数)の各々は、同じ修飾(又は非修飾)を含み、5’ウイングのヌクレオシド(単数又は複数)の各々は、同じ修飾(又は非修飾)を含むが、該5’ウイングと該3’ウイングの修飾は相互に異なる。
【0148】
ある一定のギャップ
ある一定の実施態様では、オリゴマー化合物は、5’ウイングと3’ウイングとの間にギャップを含む。ある一定の実施態様では、該ギャップは5、6、7、8、9、10、11、12、13又は14個のヌクレオシドを含む。ある一定の実施態様では、該ギャップのヌクレオシドは非修飾デオキシリボヌクレオチドである。ある一定の実施態様では、該ギャップのヌクレオシドは非修飾リボヌクレオチドである。ある一定の実施態様では、ギャップのギャップ修飾(あるとすれば)は、標的核酸に結合したときに、RNアーゼ(非限定的に、RNアーゼHを包含する)による切断を支持するアンチセンス化合物を生成する。
【0149】
ある一定の実施態様では、ギャップ中のヌクレオシド間結合は、天然生成ヌクレオシド間結合である。ある一定の実施態様では、ギャップ中のヌクレオシド間結合は、非天然生成ヌクレオシド間結合である。ある一定のこのような実施態様では、ギャップ中のヌクレオシド間結合は、天然生成ヌクレオシド間結合よりも、1種類以上のヌクレアーゼに対してより大きく耐性である。ある一定のこのような実施態様では、ギャップ中のヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエート結合(P=S)である。ある一定の実施態様では、ギャップ内のヌクレオシド間結合は、相互に全て同じである。ある一定の実施態様では、ギャップ内のヌクレオシド間結合は、全てが同じとは限らない。
【0150】
ある一定の実施態様では、ギャップは、少なくとも2個のヌクレオシドを含む。ある一定の実施態様では、ギャップは、少なくとも3個のヌクレオシドを含む。ある一定の実施態様では、ギャップは、少なくとも4個のヌクレオシドを含む。ある一定の実施態様では、ギャップは、少なくとも5個のヌクレオシドを含む。ある一定の実施態様では、ギャップは、少なくとも6個のヌクレオシドを含む。ある一定の実施態様では、ギャップは、少なくとも7個のヌクレオシドを含む。ある一定の実施態様では、ギャップは、少なくとも8個のヌクレオシドを含む。ある一定の実施態様では、ギャップは、少なくとも9個のヌクレオシドを含む。ある一定の実施態様では、ギャップは、少なくとも10個のヌクレオシドを含む。ある一定の実施態様では、ギャップは、少なくとも11個のヌクレオシドを含む。ある一定の実施態様では、ギャップは、少なくとも12個のヌクレオシドを含む。ある一定の実施態様では、ギャップは、少なくとも13個のヌクレオシドを含む。ある一定の実施態様では、ギャップは、少なくとも14個のヌクレオシドを含む。ある一定の実施態様では、ギャップは、少なくとも15個のヌクレオシドを含む。ある一定の実施態様では、ギャップは、少なくとも16個のヌクレオシドを含む。ある一定の実施態様では、ギャップは、少なくとも17個のヌクレオシドを含む。ある一定の実施態様では、ギャップは、少なくとも18個のヌクレオシドを含む。ある一定の実施態様では、ギャップは、少なくとも19個のヌクレオシドを含む。ある一定の実施態様では、ギャップは、少なくとも20個のヌクレオシドを含む。ある一定の実施態様では、ギャップは、少なくとも22個のヌクレオシドを含む。ある一定の実施態様では、ギャップは、少なくとも23個のヌクレオシドを含む。ある一定の実施態様では、ギャップは、少なくとも24個のヌクレオシドを含む。ある一定の実施態様では、ギャップは、少なくとも25個のヌクレオシドを含む。ある一定の実施態様では、ギャップは、少なくとも26個のヌクレオシドを含む。
【0151】
上記で考察した特徴と修飾を任意の組み合わせで用いて、ギャップを製造することができることを、当業者は認識するであろう。以下の表は、ある一定の数のヌクレオシド、ヌクレオシド修飾(あるとすれば)及びヌクレオシド間結合をギャップ領域内で選択することによって、ギャップをどのように作製することができるかを示す非限定例を提供する。
【0152】
【化5】
【0153】
ある一定のギャップ含有オリゴマー化合物(gapped oligomeric compounds)
上記で考察したウイングとギャップを選択してから、多様な組み合わせで用いて、ギャップ含有オリゴマー化合物(非限定的に、ギャップ含有アンチセンス・オリゴマー化合物及びギャップ含有アンチセンス・オリゴヌクレオチドを包含する)を作製することができることを、当業者は認識するであろう。5’ウイングと3’ウイングの特徴(長さ、修飾、結合)は相互から独立的に選択することができる。ギャップの特徴は、5’ウイングの特徴に比べて修飾の少なくとも1つの差異を有し、3’ウイングの特徴に比べて少なくとも1つの差異を有する(即ち、該隣接領域を相互から識別するために、該隣接領域間に修飾の少なくとも1つの差異が存在しなければならない)。さもなければ、ギャップの特徴を独立的に選択することができる。
【0154】
ある一定の実施態様では、ウイング内の結合と、ギャップ内のヌクレオシド間結合とは同じである。ある一定の実施態様では、ウイング内のヌクレオシド間結合と、ギャップ内のヌクレオシド間結合とは異なる。ある一定のこのような実施態様では、ウイングとギャップとを架橋するヌクレオシド間結合は、ウイングにおけるモノマー結合(monomeric linkages)と同じである。ある一定の実施態様では、ウイングとギャップとを架橋するヌクレオシド間結合は、ギャップにおけるヌクレオシド間結合と同じである。ある一定の実施態様では、オリゴマー化合物は、該化合物全体を通して均一な結合を有する。ある一定のこのような実施態様では、結合の全てはホスホロチオエート(P=S)結合である。
【0155】
上記で考察した、3’ウイング、5’ウイング、ギャップ及び結合を任意の組み合わせで用いて、ギャップマーを製造することができることを、当業者は認識するであろう。下記表は、5’ウイング、ギャップ、3’ウイング及び該ギャップと各ウイングとを架橋する結合に関する特徴を独立的に選択することによって、どのようにしてギャップマーを製造することができるかを示す非限定的例を提供する。
【0156】
【化6】
【0157】
ある一定の実施態様では、例えば、混合ウイングと任意のギャップとのある一定のセットを例示する上記表を組み合わせることによって、オリゴマー化合物を設計することができる。
【0158】
ある一定の実施態様では、本発明は、多様な範囲の長さのいずれかを有するオリゴマー化合物を提供する。ある一定の実施態様では、本発明は、X−Y連結ヌクレオシドからなるオリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物を提供する、この場合、XとYは、それぞれ、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49及び50から、X≦Yという条件で、独立的に選択される。例えば、ある一定の実施態様では、本発明は、下記:
【0159】
【化7】
【0160】
から成るオリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物を提供する。
【0161】
ある一定の実施態様では、オリゴマー化合物は混合ウイング・ギャップマーである。ある一定のこのような実施態様では、オリゴマー化合物の1つ又は両方のウイングが1つ以上の非二環式2’置換ヌクレオシドと1つ以上のBNAヌクレオシドを含む。このようなモチーフは、非限定的に、下記:
【0162】
【化8】
【0163】
を含み、この場合、“2’mod”は2’位置に置換基を含む、任意の非二環式修飾ヌクレオシドであり、“BNA”は任意の二環式核酸である。ある一定の実施態様では、2’modは、MOE、2’−F、2’−アルキル及び2’−O−アルキルから選択され、BNAは、α−L−LNA、β−D−LNA、ENA、オキシアミノBNA(2’−O−N(CH
3)−CH
2−4’)及びアミノオキシBNA(2’−N(CH
3)−O−CH
2−4’)から選択される。2つ以上の2’modヌクレオシドを含む実施態様では、これらの2つ以上の2’modヌクレオシドの各々は、独立的に選択されるので、相互に同じものでも異なるものでもありうる。2つ以上のBNAヌクレオシドを含む実施態様では、これらの2つ以上のBNAヌクレオシドの各々は、独立的に選択されるので、相互に同じものでも異なるものでもありうる。ある一定の実施態様では、上記リストの各“2’mod”はMOEを表し、上記リストの各“BNA”はLNAを表す。
【0164】
ある一定のヌクレオシド(例えば、ある一定のBNAヌクレオシド)は、オリゴマー化合物に、他のヌクレオシド(例えば、MOE)に比べて、増強した効力及び/又は活性を与えるが、増強した毒性をも与える。ある一定の実施態様では、混合ウイングを含むオリゴマー化合物は、均一なMOEウイングを有するオリゴマー化合物よりも良好な効力を有し、均一なBNA化合物よりも低い毒性を有する。ある一定のこのような実施態様では、混合ウイング・オリゴマー化合物は、均一なBNAウイングを含むオリゴマー化合物又は均一なMOEウイングを含むオリゴマー化合物のいずれよりも高い治療指数を有する。ある一定のこのような実施態様では、BNAは、α−L−LNA、β−D−LNA、ENA、オキシアミノBNA(2’−O−N(CH
3)−CH
2−4’)及びアミノオキシBNA(2’−N(CH
3)−O−CH
2−4’)から選択される。ある一定の実施態様では、このようなオリゴマー化合物は、混合主鎖(mixed backbones)を含む。ある一定の実施態様では、このようなオリゴマー化合物は、均一な主鎖を含む。ある一定の実施態様では、少なくとも1つのヌクレオシド間結合はホスホロチオエートである。ある一定の実施態様では、各ヌクレオシド間結合はホスホロチオエートである。
【0165】
コンジュゲート基
ある一定の実施態様では、オリゴマー化合物は、1つ以上のコンジュゲート基の共有結合によって修飾される。一般に、コンジュゲート基は、非限定的に、薬理学、薬物動態、結合、吸収、細胞分配(cellular distribution)、細胞取り込み、電荷及びクリアランスを包含する、オリゴマー化合物の1つ以上の性質を修飾する。コンジュゲート基は、化学技術分野でルーチンに用いられており、親化合物(例えば、オリゴマー化合物)に、直接又は任意の連結部分若しくは連結基を介して連結する。コンジュゲート基の好ましいリストは、非限定的に、インターカレーター、レポーター分子、ポリアミン、ポリアミド、ポリエチレングリコール、チオエーテル、ポリエーテル、コレステロール、チオコレステロール、コール酸部分、ホレート(folate)、脂質、リン脂質、ビオチン、フェナジン、フェナントリジン、アントラキノン、アダマンタン、アクリジン、フルオレセイン、ローダミン、クマリン及び染料(dyes)を包含する。
【0166】
本発明に受容される(amenable to the invention)、ある一定のコンジュゲート基は、例えばコレステロール部分のような脂質部分(Letsinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1989, 86, 6553);コール酸 (Manoharan et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 1994, 4, 1053); チオエーテル、例えば、ヘキシル−S−トリチルチオール(Manoharan et al., Ann. N.Y. Acad. Sci., 1992, 660, 306; Manoharan et al., Bioorg. Med. Chem. Let., 1993, 3, 2765); チオコレステロール(Oberhauser et al., Nucl. Acids Res., 1992, 20, 533); 脂肪族鎖、例えば、ドデカンジオール若しくはウンデシル残基(undecyl residues )(Saison-Behmoaras et al., EMBO J., 1991, 10, 111; Kabanov et al., FEBS Lett., 1990, 259, 327; Svinarchuk et al., Biochimie, 1993, 75, 49); リン脂質、例えば、ジ−ヘキサデシル−rac−グリセロール若しくはトリエチル−アンモニウム−1,2−ジ−O−ヘキサデシル−rac−グリセロ−3−H−ホスホネート(Manoharan et al., Tetrahedron Lett., 1995, 36, 3651; Shea et al., Nucl. Acids Res., 1990, 18, 3777); ポリアミン若しくはポリエチレングリコール鎖 (Manoharan et al., Nucleosides & Nucleotides, 1995, 14, 969); アダマンタン酢酸 (Manoharan et al., Tetrahedron Lett., 1995, 36, 3651); パルミチル部分(Mishra et al., Biochim. Biophys. Acta, 1995, 1264, 229); 又はオクタデシルアミン若しくはヘキシル−アミノ−カルボニル−オキシコレステロール部分 (Crooke et al, J. Pharmacol. Exp. Ther., 1996, 277, 923)を包含する。
【0167】
当該技術分野で知られているような、連結基若しくは二官能性連結部分は、本明細書で提供する該化合物に受容されうる。連結基は、化学官能基、コンジュゲート基、レポーター基及びその他の基を親化合物(例えば、オリゴマー化合物)中の選択的部位に取り付けるために有用である。一般に、二官能性連結部分は、2つの官能基を有するヒドロカルビル部分を含む。官能基の1つは、親分子若しくは問題の化合物(compound of interest)に結合するように選択され、他方は、本質的に任意の選択した基(例えば、化学官能基若しくはコンジュゲート基)を結合するように選択される。幾つかの実施態様では、リンカー(linker)は、鎖構造又は、例えばエチレングリコール若しくはアミノ酸単位のような、反復単位のオリゴマーを含む。二官能性連結部分にルーチンに用いられる官能基の例は、非限定的に、求核基と反応するための求電子試薬(electrophiles)と、求電子基と反応するための求核試薬(nucleophiles)を包含する。幾つかの実施態様では、二官能性連結部分は、アミノ、ヒドロキシル、カルボン酸、チオール、不飽和(例えば、二重結合若しくは三重結合)等を包含する。二官能性連結部分の幾つかの非限定的例は、8−アミノ−3,6−ジオキサオクタン酸(ADO)、スクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)及び6−アミノヘキサン酸(AHEX若しくはAHA)を包含する。他の連結基は、非限定的に、置換C
1−C
10アルキル、置換若しくは非置換C
2−C
10アルケニル、又は置換若しくは非置換C
2−C
10アルキニルを包含し、この場合、好ましい置換基の非限定的リストは、ヒドロキシル、アミノ、アルコキシ、カルボキシ、ベンジル、フェニル、ニトロ、チオール、チオアルコキシ、ハロゲン、アルキル、アリール、アルケニル及びアルキニルを包含する。
【0168】
アンチセンス機構
ある一定の実施態様では、本発明は、アンチセンス化合物であるオリゴマー化合物を提供する。アンチセンス機構は化合物の標的核酸とのハイブリダイゼーションに関与するもの全てであり、該ハイブリダイゼーションの成果若しくは効果は、例えば転写又はスプライシングに関与する細胞マシーナリー(cellular machinery)の同時停止(concomitant stalling)による標的分解又は標的占有(target occupancy)のいずれかである。
【0169】
ある一定の実施態様では、本発明の化合物は、RNA:DNAデュープレックスのRNA鎖を切断する細胞エンドヌクレアーゼであるRNアーゼHを介して生物学的効果を発揮する。“DNA様”である一本鎖アンチセンス化合物は、RNアーゼHを誘出することは当業者に知られている。それ故、RNアーゼHの活性化はRNA標的の切断を生じて、それによって、遺伝子発現のDNA様オリゴヌクレオチド仲介阻害の効率を非常に強化する。ギャップがDNA様であり、少なくとも4ヌクレオチド長さであるならば、ギャップマーがRNアーゼH切断を誘出することができることは、知られている。
【0170】
アンチセンス機構は、標的核酸へのアンチセンス化合物のハイブリダイゼーションに依存する。したがって、ある一定の実施態様では、本発明は、標的核酸に相補的であるオリゴマー化合物を提供する。
【0171】
本明細書で用いる限り、“ターゲッティング”又は“ターゲッティングする”は、化合物が選択した核酸分子に特異的にハイブリダイズするように、オリゴマー化合物を設計するプロセスを意味する。
【0172】
特定の標的核酸分子へのオリゴマー化合物の“ターゲッティング”は、多段階プロセスでありうる。該プロセスは、通常、その発現をモジュレートすべきである標的核酸の同定によって始まる。本明細書で用いる限り、“標的核酸”及び“標的遺伝子をコードする核酸”なる用語は、選択した標的遺伝子をコードするDNA、このようなDNAから転写されたRNA(pre−mRNAとmRNAを包含する)、及びさらにこのようなRNAから誘導されるcDNAを包含する。例えば、標的核酸は、その発現が特定の障害若しくは疾患状態に関与する細胞遺伝子(若しくは該遺伝子から転写されたmRNA)、又は感染因子からの核酸分子でありうる。
【0173】
当業者は、異なる核酸塩基配列のオリゴマー化合物を設計し、合成し、スクリーニングして、アンチセンス活性を生じる配列を同定することができるであろう。例えば、当業者は、標的タンパク質の発現を阻害するオリゴマー化合物を設計することも可能である。所定の標的核酸に対するアンチセンス活性に関して、オリゴマー化合物を設計し、合成し、スクリーニングする方法は、例えば、"Antisense Drug Technology, Principles, Strategies, and Applications" Stanley T. Crookeによって編集, CRC Press, Boca Raton, Florida(これは、目的に応じて、その全体で本明細書に援用される)に見出すことができる。
【0174】
相補性
アンチセンス化合物の活性を排除することなく、ミスマッチ(mismatches)の包含が可能であることを、当業者は理解する。それ故、標的へのアンチセンス化合物の塩基対を分裂させるヌクレオチドを約20%まで含有しうるアンチセンス化合物を、本明細書に記載する。該化合物は、好ましくは約15%以下、より好ましくは約10%以下のミスマッチを含有する、最も好ましくは5%以下のミスマッチを含有するか又はミスマッチを全く含有しない。残りのヌクレオチドはハイブリダイゼーションを分裂させない(例えば、万能塩基)。本明細書で提供する化合物が標的核酸に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%相補性であることを、当業者は認識すると考えられる。オリゴヌクレオチドの相補性%(percent complementarity)は、オリゴヌクレオチドの核酸塩基の総数によって、相補性核酸塩基数を割ることによって算出される。オリゴヌクレオチドのある領域の相補性%は、該領域の核酸塩基の総数によって、該領域の相補性核酸塩基数を割ることによって算出される。
【0175】
ヌクレオチドのアフィニティ修飾を組み込むことが、非修飾化合物に比べて、より多数のミスマッチ(mismatches)を可能にすることは、当該技術分野で理解される。同様に、ある一定のオリゴヌクレオチド配列が、ミスマッチに対して他のオリゴヌクレオチド配列よりも耐性であることは考えられる。当業者は、オリゴヌクレオチド間又はオリゴヌクレオチドと標的核酸との間のミスマッチの適当数を、例えば溶融温度(melting temperature)(T
m)の測定によって知ることが可能である。T
m若しくはΔT
mは、当業者によく知られている手法によって算出することができる。例えば、Freier et al. (Nucleic Acids Research, 1997, 25, 22: 4429-4443)に記載されている手法によって、当業者はヌクレオチド修飾を、それらがRNA:DNAデュープレックスの溶融温度を上昇させる可能性に関して、評価することができる。
【0176】
同一性
アンチセンス化合物若しくはその部分は、配列番号に関して一定の同一性%(percent identity to a SEQ ID NO.)を有するか又は化合物は特定のIsis数(Isis number)を有することができる。本明細書で用いる限り、配列は、同じ核酸塩基対形成能力(nucleobase pairing ability)を有するならば、本明細書で開示する配列と同じである。例えば、本明細書で述べる化合物の開示配列におけるチミジンの代わりにウラシルを含有するRNAは、それらが両方ともアデニンと対を形成するので、同一であると見なされることになる。この同一性は、オリゴマー化合物の全長にわたることも又はアンチセンス化合物の一部においてであることも可能である(例えば、27マーのうちの核酸塩基1−20を20マーと比較して、該配列番号に関する該オリゴマー化合物の同一性%を決定することができる)。アンチセンス化合物が、本明細書に述べるアンチセンス化合物と同様に機能するために、本明細書に述べるアンチセンス化合物と全く同じ配列を有する必要が無いことは、当業者によって理解される。本明細書で教示するアンチセンス化合物の短縮バージョン(shortened version)又は本明細書で教示するアンチセンス化合物の同一でないバージョン(non-identical version)も、本明細書に提供する。同一でないバージョンとは、各塩基が、本明細書に開示するアンチセンス化合物と同じ対形成活性(pairing activity)を有さないバージョンである。塩基は、短いか又は少なくとも1つの非塩基性部位(abasic site)を有することによって、同じ対形成活性を有さない。或いは、同じでないバージョンは、異なる対形成活性を有する異なる塩基と置き換えられた塩基を少なくとも1つ包含することができる(例えば、GはC、A又はTによって置き換えることができる)。同一性%は、比較すべき配列番号又はアンチセンス化合物に対応して、同じ塩基対(base pairing)を有する塩基の数によって算出される。同一でない塩基は相互に隣接して、又は該オリゴヌクレオチド全体にわたって分散して、又はこれらの両方で存在しうる。
【0177】
例えば、20マーのうちの核酸塩基2−17と同じ配列を有する16マーは、該20マーと80%同じである。或いは、該20マーと同じでない4核酸塩基を含有する20マーも、該20マーと80%同じである。18マーのうちの核酸塩基1−14と同じ配列を有する14マーは、該18マーと78%同じである。このような計算は、充分、当業者の能力の範囲内である。
【0178】
同一性%は、修飾配列の一部に存在するオリジナル配列中の核酸塩基の割合に基づいている。それ故、20核酸塩基・活性標的区分の補体(complement)の完全配列を含む30核酸塩基・アンチセンス化合物は、該20核酸塩基・活性標的区分の補体との100%同一性の部分を有し、さらに付加的な10核酸塩基部分を含むと考えられる。本明細書に関連して、活性標的区分の補体は単一部分を構成することができる。好ましい実施態様では、本明細書で提供するオリゴヌクレオチドは、本明細書で提供する活性標的区分の補体の少なくとも一部に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%同じである。オリゴヌクレオチドの同一性%は、該オリゴヌクレオチドの核酸塩基の総数によって同じ核酸塩基数を割ることによって算出される。オリゴヌクレオチドのある領域の同一性%は、該領域中の同じ核酸塩基数(the number of identity nucleobases)を該領域の核酸塩基の総数によって割ることによって算出される。
【0179】
オリゴマー合成
ある一定の実施態様では、例えば、ホスホジエステル及びホスホロチオエート・ヌクレオシド間結合を包含するヌクレオシド間結合を形成するために有用な反応性リン基(reactive phosphorus groups)を有する化合物を本明細書において提供する。前駆体若しくはアンチセンス化合物の製造方法及び/又は精製方法は、本明細書で提供する組成物又は方法を限定するものではない。DNA、RNA及びアンチセンス化合物の合成及び精製方法は、当業者に周知である。
【0180】
修飾ヌクレオシドと非修飾ヌクレオシドのオリゴマー化は、DNAの文献方法(Protocols for Oligonucleotides and Analogs, Ed. Agrawal (1993), Humana Press)及び/又はRNAの文献方法(Scaringe, Methods (2001), 23, 206-217. Gait et al, Applications of Chemically synthesized RNA in RNA: Protein Interactions, Ed. Smith (1998), 1-36. Gallo et al., Tetrahedron (2001), 57, 5707-5713)に従ってルーチンに行なうことができる。
【0181】
本明細書で提供するアンチセンス化合物は、固相合成の周知の方法によって、好都合にかつルーチンに製造することができる。このような合成のための装置は、例えば、Applied Biosystems(Foster City, CA)を含めた、幾つかの供給メーカーによって販売されている。当該技術分野に知られた、このような合成のための任意の他の手段を付加的に又は代替的に用いることができる。同様な方法を用いて、ホスホロチオエート及びアルキル化誘導体のようなオリゴヌクレオチドを製造することは、周知である。本発明は、アンチセンス化合物の合成方法によって限定されるわけではない。
【0182】
オリゴマーの精製と分析
オリゴヌクレオチドの精製及び分析方法は、当業者に知られている。分析方法は、毛管電気泳動(CE)及びエレクトロスプレー質量分析法(electrospray-mass spectroscopy)を包含する。このような合成及び分析方法は、マルチウェルプレートで行なうことができる。本発明の方法は、オリゴマー精製方法によって限定されるわけではない。
【0183】
塩、プロドラッグ及び生物学的同等性
本明細書で提供するアンチセンス化合物は、任意の製薬的に受容される塩、エステル又はこのようなエステルの塩或いは、ヒトを含めた動物への投与時に、その生物学的活性な代謝産物若しくは残渣を(直接的若しくは間接的に)生じうる、任意の他の機能的化学同等物を含む。したがって、例えば、アンチセンス化合物のプロドラッグと製薬的に受容される塩、このようなプロドラッグの製薬的に受容される塩、及びその他の生物学的同等物も開示する。
【0184】
“プロドラッグ”なる用語は、不活性形若しくは低活性形で製造され、体内若しくは体細胞内で内因性酵素、化学物質及び/又は条件の作用によって活性形(即ち、薬物)に転化される治療薬を意味する。特に、オリゴヌクレオチドのプロドラッグ・バージョンを、WO93/24510又はWO94/26764に開示された方法によって、SATE((S−アセチル−2−2−チオエチル)ホスフェート)誘導体として製造する。プロドラッグは、活性化合物を製造するために切断される(例えば、両末端にホスホロジエステル主鎖結合を組み込むことによって)核酸塩基を一方の末端若しくは両方の末端が含むアンチセンス化合物をも包含することができる。
【0185】
“製薬的に受容される塩”なる用語は、本明細書に述べる化合物の生理的かつ製薬的に受容される塩:即ち、親化合物の好ましい生物学的活性を保持し、好ましくない有害な効果を親化合物に与えない塩を意味する。アンチセンス・オリゴヌクレオチドのナトリウム塩は、ヒトに治療的に投与するいために有用であり、充分に受容される。別の実施態様では、dsRNA化合物のナトリウム塩も提供する。
【0186】
製剤
本明細書で提供するアンチセンス化合物は、他の分子、分子構造又は化合物混合物と、混合する、カプセル封入する、コンジュゲート化する、又は他のやり方で関連付けることも可能である。
【0187】
さらに、本明細書で提供するアンチセンス化合物を包含する医薬組成物及び製剤も、本明細書に記載する。該医薬組成物は、局所治療又は全身治療のいずれが望ましいかに、及び治療すべき部位に依存して、多くの形式で投与することができる。好ましい実施態様では、気道の表面、特に肺に対して、投与は、例えば、口及び/又は鼻による、粉末若しくはエーロゾルの噴霧化療法、吸入又はガス注入法(insufflation)によって局所的である。
【0188】
単位投与形で好都合に与えられうる、本明細書で述べる医薬製剤は、製薬業界で周知の慣用的方法によって製造することができる。このような方法は、有効成分を、製薬的キャリヤー(単数若しくは複数)又は賦形剤(単数若しくは複数)と一緒にする(bring into association)工程を含む。一般に、製剤は、有効成分を液体キャリヤー又は微粉状固体キャリヤー又は両方と均質にかつ密接に一緒にし、次に、生成物を必要に応じて成形する(例えば、デリバリーのために特定の粒度に)ことによって製造される。好ましい実施態様では、肺投与のための医薬製剤は、適当な溶媒(例えば、水若しくは標準の生理食塩水)中で、できるならば無菌処方で、吸入器、鼻腔デリバリー用デバイス、ネブライザー及びその他の肺デリバリー用デバイスを用いるデリバリーのために好ましい直径の小滴の形成を可能にするキャリヤー又はその他の作用剤を用いて製造される。或いは、医薬製剤は、乾燥粉末吸入器に用いるための乾燥粉末として処方することができる。
【0189】
“製薬的キャリヤー”又は“賦形剤”は、1種類以上の核酸を動物にデリバリーするための、製薬的に受容される溶媒、懸濁化剤又は、任意の他の薬理学的に不活性なビヒクルであることができ、当該技術分野で知られている。賦形剤は液体又は固体であることができ、特定の医薬組成物の核酸及びその他の成分と一緒にしたときに、所望の嵩(bulk)、粘稠度(consistency)等を生じるように、計画した投与方法に留意して選択される。
【0190】
組み合わせ
本明細書で提供する組成物は、2種類以上のアンチセンス化合物を含有することができる。他の関連実施態様では、組成物は、第1核酸にターゲッティングする、1種類以上のアンチセンス化合物(特に、オリゴヌクレオチド)と、第2核酸標的にターゲッティングする、1種類以上の付加的アンチセンス化合物を含有することができる。或いは、組成物は、同一核酸標的の異なる領域にターゲッティングする、2種類以上のアンチセンス化合物を含有することができる。2種類以上の組み合わせ化合物は、一緒に又は連続して用いることができる。組成物は、他の非アンチセンス化合物治療薬と組み合わせることもできる。
【0191】
キット、研究試薬及び診断法
本明細書で提供するアンチセンス化合物は、診断法に及び研究試薬とキットとして用いることができる。その上、特異的に遺伝子発現を阻害する又は遺伝子発現をモジュレートすることができるアンチセンス化合物は、特定の遺伝子の機能を解明するため又は生物学的経路の種々なメンバーの機能を識別するために、当業者によってしばしば用いられる。
【0192】
キット及び診断法に用いるために、本明細書に述べるアンチセンス化合物を、単独で又は他の化合物若しくは治療法と組み合わせて、細胞及び組織内で発現される遺伝子の一部若しくは完全補体の発現パターンを解明するために、示差分析及び/又はコンビナトリアル分析におけるツールとして用いることができる。遺伝子発現分析の方法は、当業者に周知である。
【0193】
治療法
本明細書で提供するアンチセンス化合物を用いて、動物(例えば、ヒト)における標的遺伝子の発現をモジュレートすることができる。さらに、提供する化合物を用いて、代謝障害を治療する、又は1つ以上の疾患徴候(disease indications)をモジュレートすることもできる。1つの非限定的実施態様では、この方法は、標的遺伝子に関連した疾患若しくは状態のために治療を必要とする前記動物に、該標的遺伝子の発現をモジュレートする有効量のアンチセンス化合物を投与する段階を含む。標的RNAの発現又は発現のタンパク質産物を効果的にモジュレートする、本明細書で提供するアンチセンス化合物は、活性アンチセンス化合物と見なされる。活性アンチセンス化合物はさらに、例えば、代謝及び心血管系の疾患徴候を含めた、多くの疾患徴候(その例は以下で説明する)の1つ以上を効果的にモジュレートする化合物も包含する。
【0194】
標的遺伝子の発現のモジュレーションは、体液中で評価することができ、この体液は動物の細胞、組織又は器官を含有するものでも、含有しないものでもよい。例えば、体液(例えば、喀痰、血清、尿)、組織(例えば、バイオプシー)又は器官のような、分析のためのサンプルを得る方法と、分析を可能にするための該サンプルの調製方法は、当業者に周知である。RNAレベル及びタンパク質レベルの分析方法は上記で考察したが、当業者に周知である。治療効果は、当該技術分野で知られた、ルーチンの臨床的方法によって本明細書で述べる1種類以上の化合物と接触した動物から回収した上記体液、組織又は器官中の標的遺伝子発現に関連した、バイオマーカー若しくは疾患徴候を測定することによって、評価することができる。これらのバイオマーカーは、非限定的に、肝トランスアミナーゼ、ビリルビン、アルブミン、血液尿素窒素、クレアチン、及び腎臓機能と肝臓機能のその他のマーカー、インターロイキン、腫瘍壊死因子、細胞内付着分子、C反応性タンパク質、ケモカイン、サイトカイン、並びにその他の炎症マーカーを包含する。
【0195】
分析のための血清若しくは血漿サンプルを得る方法と、分析を可能にするための該サンプルの調製方法は、当業者に周知である。リポタンパク質、コレステロール、トリグリセリド及びコレステリルエステルの測定に関して、“血清”及び“血漿”なる用語は、本明細書では、相互交換可能に用いられる。
【0196】
本明細書で提供するアンチセンス化合物は、適当な、製薬的に受容される希釈剤又はキャリヤーに有効量の化合物を加えることによって、医薬組成物に用いることができる。受容されるキャリヤー及び希釈剤は、当業者に周知である。希釈剤又はキャリヤーの選択は、非限定的に、化合物の溶解性及び投与経路を包含する、多くの要素に基づいて行なわれる。このような考察は、当業者によって充分に理解される。1態様では、本明細書で述べるアンチセンス化合物は標的遺伝子の発現を阻害する。該化合物は、標的遺伝子に関連した疾患及び障害の治療薬の製造にも用いることができる。
【0197】
体液、器官又は組織を、本明細書で提供する1種類以上のアンチセンス化合物又は組成物の有効量と接触させる方法も、考慮される。体液、器官又は組織を1種類以上の該化合物と接触させて、体液、器官又は組織の細胞における標的遺伝子発現をモジュレートすることができる。標的核酸若しくはそれらの産物に対するアンチセンス化合物(単数又は複数)又は組成物のモジュレート効果(modulatory effect)を当業者にルーチンな方法によってモニターすることによって、有効量を決定することができる。
【0198】
非限定的開示と参考による援用
本明細書で提供する、ある一定の化合物、組成物及び方法を、特にある一定の実施態様に従って説明してきたが、下記実施例は、本明細書で述べる化合物の説明に役立つに過ぎず、本発明の限定を意図するものではない。本出願に列挙する参考文献、GenBank受け入れ番号等の各々はその全体で本明細書に援用される。