(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5665410
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】配管用の直管
(51)【国際特許分類】
F16L 1/00 20060101AFI20150115BHJP
【FI】
F16L1/00 Z
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2010-179239(P2010-179239)
(22)【出願日】2010年8月10日
(65)【公開番号】特開2012-37006(P2012-37006A)
(43)【公開日】2012年2月23日
【審査請求日】2013年8月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237374
【氏名又は名称】富士工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096448
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 嘉明
(72)【発明者】
【氏名】林 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 栄作
【審査官】
黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭53−101333(JP,U)
【文献】
実開平6−80086(JP,U)
【文献】
実公昭38−25164(JP,Y1)
【文献】
実開平4−129990(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形の直管10で、その表面10aにおける軸方向に等間隔な複数位置に、複数の小さな凹部11を円周方向に等間隔H2でそれぞれ有し、
前記小さな凹部11は、軸方向に螺旋状で、かつ円周方向に等間隔で複数列として配列され、
前記軸方向に前記等間隔にて隣接した一方の位置の小さな凹部11の円周方向位置と他方の位置の小さな凹部11の円周方向位置は、円周方向にずれ、前記直管10の軸方向に平行な直線上に位置する小さな凹部11の軸方向の間隔H3は、前記一方の位置の小さな凹部11と前記他方の位置の小さな凹部11との軸方向の間隔H1よりも大きいことを特徴とする配管用の直管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンジフードの排気用配管などに用いる配管用の直管に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レンジフードとしては、フード本体と送風機を備え、その送風機を駆動することで、調理時に発生した油煙等をフード本体内に捕集し、排気用配管、排気ダクトを通して屋外に排気するものが一般的である。
前述したレンジフードを設置する際には、フード本体を壁等に固定した後に、建物天井部等に設けられた排気ダクトと、レンジフード排気口とをダクトで接続して前述の排気用配管とする必要がある。
このダクトで接続する際には、L型ダクトや各種の角度で折れ曲がったダクト部材の組み合わせにより、前記排気ダクトとレンジフード排気口との位置ずれを補正したのち、その中間部を直管で接続するようにしている。
【0003】
しかしながら、前述した中間部をつなぐのに必要な直管の長さは、レンジフードの設置場所ごとに異なるため、必要以上に長い直管を準備し、前述したレンジフードの設置場所で必要な直管の長さを測り、前記直管に物差しを当て、その直管に、必要とする長さをマーキングする等して切断位置を特定し、その切断位置で切断して必要な長さの直管としなければならず、不便であった。
【0004】
このような不便を解消するために、直管の外周に長さを示す作業用目盛りをプリントしておき、工事の際に必要な長さを、該作業用目盛りで読み取り、切断して所定の長さの直管とすることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3116780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したように、直管を切断する際には、その切断位置を計測してマーキングする手間だけではなく、切断する際に切り口(切断端面)が直管の軸方向に対して垂直となるように切断することが難しいことや、金属製の直管である場合には、切断用としてドリルや鋸といった工具を直管の表面に当てると、その直管の表面上を工具が滑り危険であり、なかなか思うように切断することができないという問題がある。
【0007】
前述した特許文献1の直管であれば、作業用目盛りがあるので、切断位置を計測してマーキングする手間が不要で、切断位置の特定が容易であるが、前述した直管の軸方向に対して垂直に切断する難しさや、工具の直管の表面上の滑りといった、前述した問題点を解消しきれていない。
【0008】
そこで、本発明は、必要な長さに切断するための切断位置の特定が容易であると共に、直管の軸方向に対して垂直に切断することが容易であり、直管の表面上を工具が滑らずに安全に加工ができる配管用の直管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、円筒形
の直管10で、その表面10aに
おける軸方向に等間隔な複数位置に、複数の小さな凹部11を円周方向に等間隔H2
でそれぞれ有し、
前記小さな凹部11は、軸方向に螺旋状で、かつ円周方向に等間隔で複数列として配列され、
前記軸方向に前記等間隔にて隣接した一方の位置の小さな凹部11の円周方向位置と他方の位置の小さな凹部11の円周方向位置は、円周方向にずれ、前記直管10の軸方向に平行な直線上に位置する小さな凹部11の軸方向の間隔H3は、前記一方の位置の小さな凹部11と前記他方の位置の小さな凹部11との軸方向の間隔H1よりも大きいことを特徴とする配管用の直管である。
【0012】
本発明の配管用の直管10から取付用の直管8を、次のように作製できる。
本発明の配管用の直管10を、軸方向一端面10bを規準として小さな凹部11の軸方向の数を数えることで、必要とする長さに対応した位置の円周方向に間隔を置いて有した複数の小さな凹部11を切断位置とし、
前記複数の小さな凹部11の1つをドリルで穴明けし、その穴を規準として切断工具により残りの小さな凹部11を目印として円周方向に順次切断して所定の長さの取付用の直管とする。
【0013】
本発明の配管用の直管10から作製した取付用の直管8は、ダクト部材に、その直管8が外側となるように嵌め合うことで接続し、その直管8の小さな凹部11からビスをダクト部材に螺合して連結することができる。
このようにすれば、ビスを容易に螺合できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、小さな凹部11の軸方向の数を数えることで、必要とする長さに対向した小さな凹部11を切断位置とすることができ、必要とする長さに切断するための切断位置の特定が容易である。
しかも、周方向に間隔を置いた複数の小さな凹部11を目印として周方向に順次切断することができ、直管の軸方向に対して垂直に切断することが容易である。
さらに、穴明けなどの加工をする際には、小さな凹部11を利用して直管の表面上を工具が滑らずに安全に加工できる。
直管10の軸方向に平行な直線上に位置する小さな凹部11の軸方向の間隔H3は、一方の位置の小さな凹部11と他方の位置の小さな凹部11との軸方向の間隔H1よりも大きいので、直管10の強度を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施の形態を示すレンジフードの概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に示すように、レンジフード1は、フード本体2と図示しない送風機を備え、その送風機を駆動することで、調理時に発生した油煙等をレンジフード排気口3から排気用配管4を経て排気ダクト5で屋外に排気する。
前記排気用配管4は、レンジフード排気口3と連通した第1のダクト部材6と、前記排気ダクト5と接続した第2のダクト部材7と、この第2のダクト部材7と第1のダクト部材6を接続する直管8を備え、この直管8が本発明の配管用の直管を、必要な長さに切断した取付用の直管8である。
【0017】
すなわち、前記レンジフード排気口3と排気ダクト5は、左右方向、上下方向、奥行き方向の三次元方向に位置がずれているので、レンジフード排気口3に折れ曲がった第1のダクト部材6を連通し、排気ダクト5に折れ曲がった第2のダクト部材7を接続し、その第1のダクト部材6の出口部分6aと第2のダクト部材7の入口部分7aを相対向させる。
そして、第1のダクト部材6の出口部分6aと第2のダクト部材7の入り口部分7aとに亘って直管8を接続する。
【0018】
本発明の配管用の直管10は、
図2、
図3に示すように、円筒形で、その表面10aの全面がエンボス加工され、小さな凹部11が、軸方向に等間隔H1で、円周方向に等間隔H2となるように表面10aの全面に亘って有する。
すなわち、直管10の軸方向全長を軸方向に等間隔(例えば20mm間隔)で区分した軸方向に等間隔な複数位置に、小さな凹部11が円周方向に等間隔(例えば、45°間隔)で複数(例えば、8コ)有している。
【0019】
前記小さな凹部11は円形であるが、三角形、四角形、五角形などの多角形でも良い。
【0020】
前述の配管用の直管10から
図1に示す取付用の直管8を作成するには次のようにする。
まず
図1に示す第1のダクト部材6の出口部分6aと第2のダクト部材7の入口部分7aの離隔した距離L1を計測し、その計測した距離L1と、第1・第2のダクト部材6,7と直管8の接続長さ(嵌合する長さ)などから取付用の直管8の必要とする長さL2を決める。
【0021】
次に、
図2に示す配管用の直管10において、その軸方向一端面10bを基準として前記小さな凹部11の軸方向の間隔数、つまり小さな凹部11の数を読むことで、前記軸方向一端面10bからの軸方向の長さを知ることができるから、前述の必要とする長さL2に合わせて小さな凹部11の軸方向の数を数え、必要な長さに相当する位置の小さな凹部11を決める。
そして、前述の円周方向に間隔を置いた複数の小さな凹部11を必要な長さに切断するための切断位置とする。
このようであるから、切断位置を容易に特定できる。
【0022】
例えば、前記直管8の必要とする長さL2が310mmであれば、配管用の直管10の軸方向一端面10bから軸方向に16番目の小さな凹部11を切断位置(a)とする。この場合、切断した直管の長さは320mmで、必要とする長さよりも10mm長いが、前述の第1・第2の接続ダクト6,7との接続長さを調節することで、その長さのちがいを吸収することができる。
すなわち、切断した直管の長さが必要とする長さと若干異なっても問題がなく、前述の小さな凹部11の軸方向の間隔は、前述のように第1・第2のダクト部材6,7と直管8の接続長さを調節することで、切断した直管の長さと必要とする直管の長さのちがいを吸収できる値としてある。
【0023】
前述のように、切断位置(a)とした小さな凹部11の円周方向のいずれか1つを、ドリル等の穴明用工具の回転軸中心として切断開始用の穴を明ける。このとき、ドリルが小さな凹部11で回転ガイドされるので、直管10の表面10a上を滑ることがなく、安全に加工できる。
そして、切断開始用の穴から、金切りはさみ等の切断工具で直管10を円周方向に順次切断する。
その際に、同一円周状にある隣の小さな凹部11を目印として切り進むことで、直管10の軸方向に垂直に切断することが容易である。
前述の軸方向に垂直に切断とは、切断した端面10cが軸方向と直角となることである。
【0024】
前述のようにして配管用の直管10を切断して作製した取付用の直管8は、
図1に示すように、第1のダクト部材6の出口部分6a、第2のダクト部材7の入口部分7aに、その直管8が外側として嵌め合うことで接続する。つまり、直管8の軸方向両端部の内周面に、第1・第2のダクト部材6,7の出口部分6a、入口部分7aを嵌め合うことで、直管8の表面が外部に露出するようにする。
【0025】
このようにすることで、前記直管8と第1・第2のダクト部材6,7をビスで連結する際に、前記小さな凹部11を、そのビス止め用の回転軸中心とすることで、容易にビスを螺合することができる。
つまり、直管8から第1・第2のダクト部材6,7にビスを螺合するときに、小さな凹部11の底部にビスを押しつけて回転操作しながら螺合することで、その小さな凹部11がビスのガイドの役目を果たすから、容易にビスを螺合することができる。
【0026】
前記小さな凹部11は、軸方向に螺旋状で、かつ円周方向に等間隔で複数列として配列されている。
このようにすることで、
図2に仮想線で示す軸方向に平行な直線(b)上に位置する小さな凹部11の軸方向の間隔H3、つまり、軸方向に平行に並ぶ小さな凹部11の軸方向の間隔H3が、前述の小さな凹部11の軸方向の間隔H1よりも大きく、配管用の直管10の強度を保つことができる。
【0027】
つまり、前記小さな凹部11を、軸方向に螺旋状ではなく前述の直線(b)に沿って有した場合(小さな凹部11を軸方向に平行に配列した場合)には、前述した軸方向に平行に並ぶ小さな凹部11の軸方向の間隔が、前述の小さな凹部11の軸方向の間隔H1と同一となるので、その部分の強度が弱くなり、直管10の断面視形状(円周方向の形状)が、真円ではなく、略多角形のように歪みが生じてしまうので、直管10の強度が弱くなってしまう。
これに比べて、小さな凹部11を軸方向に螺旋状に配列することで、軸方向に平行に並ぶ小さな凹部11の軸方向の間隔H3が大きくなり、前述のように歪みが生じることがなく断面視形状が真円となるから、前述のように、小さな凹部11を軸方向に平行に配列した場合に比べて、直管10の強度を保つことができる。
【0028】
前述のことは、直管10の厚さが薄いほど顕著であるから、厚さの薄い直管10の場合には、小さな凹部11を軸方向に螺旋状に配列することが好ましく、厚さ1mm以下の直管において特に顕著である。なお、本実施例は厚さ0.6mmの直管である。
また、厚さの厚い直管10の場合には、小さな凹部11を軸方向に平行に配列しても問題はない。
【0029】
前述のように、小さな凹部11を軸方向に螺旋状で、かつ円周方向に等間隔で複数列として配列した直管10を作製するには、所定の長さと幅と厚さを有する矩形状で、表面に、小さな凹部11を、軸方向と平行に対して斜めに軸方向に間隔を置いて幅方向に複数列有した板材を作製し、その板材を幅方向に円形状に折り曲げ、その幅方向の両端部を溶接して連結すれば良い。
【0030】
前述の説明では、レンジフードの排気用の配管に用いる直管8としたが、本発明の配管用の直管10から作製した取付用の直管8は、他の配管に用いることができることは勿論である。例えば、換気用の配管などに用いることができる。
【符号の説明】
【0031】
2…フード本体、3…レンジフード排気口、5…排気ダクト、6…第1のダクト部材、7…第2のダクト部材、8…取付用の直管、10…配管用の直管、11…小さな凹部。