特許第5665438号(P5665438)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5665438-蒸気ボイラ 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5665438
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】蒸気ボイラ
(51)【国際特許分類】
   F22B 35/00 20060101AFI20150115BHJP
【FI】
   F22B35/00 H
【請求項の数】2
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2010-198139(P2010-198139)
(22)【出願日】2010年9月3日
(65)【公開番号】特開2012-57805(P2012-57805A)
(43)【公開日】2012年3月22日
【審査請求日】2013年8月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000130651
【氏名又は名称】株式会社サムソン
(72)【発明者】
【氏名】高畠 重俊
(72)【発明者】
【氏名】西山 将人
【審査官】 正木 裕也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−044404(JP,A)
【文献】 特開昭63−135702(JP,A)
【文献】 特開2010−113879(JP,A)
【文献】 特開2010−054062(JP,A)
【文献】 特開平09−075214(JP,A)
【文献】 特開昭61−184306(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22B 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を加熱して蒸気を発生する蒸気ボイラであって、蒸気圧力値を検出する蒸気圧力検出装置と、ボイラの運転を制御する運転制御装置を持ち、運転制御装置は蒸気圧力値に基づいてボイラの運転を制御するようにしている蒸気ボイラにおいて、蒸気温度値を検出する蒸気温度検出装置を設けておき、前記運転制御装置は、蒸気圧力検出装置に断線が発生するなど蒸気圧力検出装置から明らかに異常な値が出力されている場合には、蒸気温度検出装置で検出する蒸気温度値から蒸気圧力値を算出し、算出した蒸気圧力値に基づいてボイラの運転を制御し、蒸気圧力検出装置からの出力は断線のような明らかに異常な値ではないが、蒸気圧力検出装置で検出している蒸気圧力値と、蒸気温度検出装置で検出している蒸気温度値から算出した蒸気圧力値の差が一定の値よりも大きくなった場合には、二つの蒸気圧力値のうち、より大きな値に基づいてボイラの運転を制御するものであることを特徴とする蒸気ボイラ。
【請求項2】
請求項1に記載の蒸気ボイラにおいて、蒸気圧力検出装置と蒸気温度検出装置はボイラの別の部位に接続していることを特徴とする蒸気ボイラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蒸気圧力値に基づいて運転の制御を行っている蒸気ボイラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
水を加熱して蒸気を発生している蒸気ボイラでは、発生している蒸気の圧力値を検出する蒸気圧力検出装置(圧力センサや圧力スイッチ)を設けておき、検出した蒸気圧力値に基づいて運転の制御を行っている。オン−オフ制御であれば、蒸気圧力値が圧力調節範囲の上限値まで上昇すると燃焼を停止し、下限値まで低下すると燃焼を開始する。三位置制御や比例制御であれば、蒸気圧力値が圧力調節範囲の上限値近くまで上昇すると燃焼量を小さくし、下限値近くまで低下すると燃焼量を大きくするようにしている。また、特開2004−353978号公報に記載があるように、蒸気の温度を検出する温度検出装置を設けておき、蒸気温度に基づく制御を組み合わせることもある。
【0003】
蒸気圧力値に基づいてボイラの運転を制御している場合、蒸気圧力検出装置に異常が発生すると、適切な制御を行うことができなくなる。蒸気圧力検出装置の異常が信号線の断線などによるものであって、あり得ない値を出力するものであった場合には、蒸気圧力検出装置に異常が発生していることをすぐに検出することができ、異常を検出するとボイラの運転を停止する。しかし蒸気圧力検出装置の異常は、正しい値から少しずれた値を出力するというものであった場合、異常が発生していることを検出しにくいため、誤った値に基づいて運転制御を行うことがあった。蒸気圧力検出装置の異常が実際の圧力値よりも低い値を出力するものであった場合、誤った蒸気圧力値に基づいてボイラの運転を制御していると、実際の蒸気圧力値が圧力調節範囲の上限圧力より高くなっても燃焼を継続してしまい、安全弁が吹くこともある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−353978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、蒸気圧力値を正しく検出することができなくなった場合でも可能な限り正しい運転制御を行うことができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
水を加熱して蒸気を発生する蒸気ボイラであって、蒸気圧力値を検出する蒸気圧力検出装置と、ボイラの運転を制御する運転制御装置を持ち、運転制御装置は蒸気圧力値に基づいてボイラの運転を制御するようにしている蒸気ボイラにおいて、蒸気温度値を検出する蒸気温度検出装置を設けておき、前記運転制御装置は、蒸気圧力検出装置に断線が発生するなど蒸気圧力検出装置から明らかに異常な値が出力されている場合には、蒸気温度検出装置で検出する蒸気温度値から蒸気圧力値を算出し、算出した蒸気圧力値に基づいてボイラの運転を制御し、蒸気圧力検出装置からの出力は断線のような明らかに異常な値ではないが、蒸気圧力検出装置で検出している蒸気圧力値と、蒸気温度検出装置で検出している蒸気温度値から算出した蒸気圧力値の差が一定の値よりも大きくなった場合には、二つの蒸気圧力値のうち、より大きな値に基づいてボイラの運転を制御する。
【0007】
また、蒸気圧力検出装置と蒸気温度検出装置はボイラの別の部位に接続しておくことで、蒸気圧力検出装置と蒸気温度検出装置による検出が同時に行えなくなることを防止する。
【発明の効果】
【0008】
蒸気圧力検出装置に異常が発生した場合でも、ボイラの運転を制御することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明を実施しているボイラの概要図
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施例を図面を用いて説明する。図1は本発明を実施している蒸気ボイラの概要図である。ボイラは中央に燃焼室、燃焼室の上方に燃焼装置を設けており、燃焼室内で火炎の燃焼を行うことで、燃焼室周囲に設けている水管を加熱し、水管内の缶水を蒸発させて蒸気を発生するものである。水管の上部は上部管寄せ2に接続し、下部は下部管寄せ3に接続しており、下部管寄せ3に給水した缶水を水管部で加熱することで蒸気とし、各水管の蒸気は上部管寄せ2へ集合させる。上部管寄せ2に集合させた蒸気は、気水分離器4で気体と液体に分離するようにしており、蒸気は気水分離器4の上部から取り出し、分離した液体は気水分離器4の下部から下部管寄せ3へ環流させる。
【0011】
ボイラには蒸気圧力を検出するための蒸気圧力検出装置5と、蒸気温度を検出するための蒸気温度検出装置6を設けておく。蒸気圧力検出装置5で検出した蒸気圧力値と、蒸気温度検出装置6で検出した蒸気温度値は、運転制御装置1へ出力するようにしておき、運転制御装置1は検出した蒸気圧力値と蒸気温度値に基づいてボイラの運転制御を行う。
【0012】
運転制御装置1は通常時には蒸気圧力値に基づいた運転制御を行い、蒸気圧力検出装置5に異常が発生した場合や異常が発生している可能性があるという場合には、蒸気温度検出装置6で検出している蒸気温度値を加味した運転制御を行う。具体的には、蒸気圧力検出装置5に断線が発生するなどの異常が発生しており、蒸気圧力検出装置5から明らかに異常な値が出力されている場合には、蒸気圧力検出装置5が故障していると判断する。この場合、点検出力又は異常出力を行い、蒸気圧力検出装置5からの蒸気圧力値は使用せず、蒸気温度検出装置6で検出している蒸気温度値から算出した蒸気圧力値に基づいて運転制御を行う。
【0013】
また、蒸気圧力検出装置5で検出している蒸気圧力値と、蒸気温度検出装置6で検出している蒸気温度値から算出した蒸気圧力値を比較し、その差が一定の値よりも大きくなった場合には、どちらかの検出装置が故障していると判断する。この場合、点検出力又は異常出力を行い、蒸気圧力検出装置5で検出している蒸気圧力値と、蒸気温度検出装置6で検出している蒸気温度値から算出した蒸気圧力値のうち、より高い方の値を採用して運転制御を行う。
【0014】
ボイラの蒸気は飽和蒸気であり、蒸気温度値から蒸気圧力値を換算することができるため、蒸気温度値に基づいてボイラの運転を制御することも可能である。しかし、蒸気温度値に基づく制御の場合、蒸気圧力値に基づく制御に比べると精度が低くなるため、蒸気圧力検出装置5が正常なら蒸気圧力検出装置5で検出している蒸気圧力値に基づく制御を行う方がよい。また、蒸気圧力検出装置5に異常が発生した場合には、蒸気圧力検出装置5が検出している蒸気圧力値に基づく制御は行えなくなる。この場合でも、蒸気温度検出装置6が検出している蒸気温度値があれば、蒸気温度値から算出した蒸気圧力値に基づいて運転制御を行うことができる。
【0015】
蒸気圧力検出装置5の異常が断線のような明らかに異常な値ではなく、正常な値から少しずれているという場合、異常の判断は難しくなる。この場合は、蒸気圧力検出装置5で検出している蒸気圧力値と、蒸気温度検出装置6で検出した蒸気温度値から算出した蒸気圧力値を比較することで異常の発生を判定する。蒸気圧力検出装置5又は蒸気温度検出装置6のいずれかで異常が発生した場合には二つの値にずれが生じる。そのため、二つの値の差が大きくなった場合には、蒸気圧力検出装置5と蒸気温度検出装置6のどちらかで異常が発生したことが分かる。ただしこの場合、蒸気圧力検出装置5と蒸気温度検出装置6のどちらに異常が発生しているのかは分からない。蒸気ボイラで危険なのは、検出した蒸気圧力値が実際の値よりも低いことで蒸気圧力値が適正範囲よりも高くなることである。そのため、蒸気圧力検出装置5による蒸気圧力値と蒸気温度検出装置6の蒸気温度値から算出した蒸気圧力値のうち、高い値に基づいてボイラの運転を制御することで、ボイラ内の圧力が適正範囲よりも高くなることを防止しながらボイラの運転を行うようにする。
【0016】
また、蒸気圧力検出装置5と蒸気温度検出装置6は、共通の引き出し管に設けてもそれぞれの値は検出することができる。しかし、同一の配管上に二つの検出装置を設置した場合、配管が詰まることによって蒸気圧力値と蒸気温度値が同時に検出できなくなることがあるため、蒸気圧力検出装置5と蒸気温度検出装置6は別の部位に設置しておく。
【符号の説明】
【0017】
1 運転制御装置
2 上部管寄せ
3 下部管寄せ
4 気水分離器
5 蒸気圧力検出装置
6 蒸気温度検出装置
図1