(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記少なくとも2種類の周波数のパルスを前記ランプ電圧生成部に入力することに応じて、前記電圧検出部による検出電圧が前記所定の閾値以下であるか否かを検出し、
前記少なくとも2種類の周波数のパルスのうち少なくとも1種類の周波数のパルスに応じた前記電圧検出部による検出電圧が前記所定の閾値以下でないと検出した場合、
前記放電ランプが点灯していないと判定する
ことを特徴とする請求項4に記載のランプ点灯装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態による光源装置10を備えるプロジェクター100の構成の一例を示す概略ブロック図である。なお、以下の各図面においては各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
図1に示すように、プロジェクター100は、照明装置110、色分離光学系121、液晶ライトバルブ122〜124、クロスダイクロイックプリズム125、および投射光学系126を備えており、外部から入力される画像を、スクリーン127に投射する。
【0019】
照明装置110は、本実施形態による光源装置10と、第1レンズアレイ111および第2レンズアレイ112とを備えている。また、第1レンズアレイ111および第2レンズアレイ112は、それぞれ複数のレンズ111aおよびレンズ112aを備えている。そして、光源装置10から射出された光は、第1レンズアレイ111および第2レンズアレイ112を介すことにより、被照明領域である液晶ライトバルブ122〜124において、照度分布が均一化されるようになっている。
【0020】
色分離光学系121は、ダイクロイックミラー113、114と、反射ミラー115〜117と、レンズ118〜120とを備えており、照明装置110から入射された光を、赤色光LR、緑色光LG、および青色光LBに分離して、液晶ライトバルブ122〜124にそれぞれ入射する。ダイクロイックミラー113、114は、所定の波長領域の光を選択的に反射して、それ以外の波長領域の光を透過させるミラーであり、例えば透明基板上に誘電体多層膜が積層されたミラーである。ダイクロイックミラー113は、照明装置110からの光のうち赤色光LRを透過させ、緑色光LG、および青色光LBを反射する。ダイクロイックミラー114は、反射された緑色光LG、および青色光LBのうち、青色光LBを透過させ、緑色光LGを反射する。
【0021】
これにより、照明装置110からの光のうち、赤色光LRは、ダイクロイックミラー113を透過した後、反射ミラー117で反射され、赤色光用の液晶ライトバルブ122に入射される。緑色光LGは、ダイクロイックミラー113で反射された後、ダイクロイックミラー114で反射され、緑色光用の液晶ライトバルブ123に入射される。青色光LBは、ダイクロイックミラー113で反射され、ダイクロイックミラー114を透過した後、レンズ118、反射ミラー115、レンズ119、反射ミラー116、およびレンズ120を介して、青色光用の液晶ライトバルブ124に入射される。
【0022】
液晶ライトバルブ122〜124は、外部から入力される映像信号に基づいて、入射された赤色光LR、緑色光LG、および青色光LBを変調して赤色の画像光、緑色の画像光、および青色の画像光を生成し、それぞれクロスダイクロイックプリズム125に入射する。
【0023】
クロスダイクロイックプリズム125は、入射された赤色の画像光、緑色の画像光、および青色の画像光を合成してカラー画像光を生成する。クロスダイクロイックプリズム125は、直角プリズムが貼り合わされた構造となっており、その内面に赤色の画像光を反射するミラー面と青色の画像光を反射するミラー面とが十字状に形成されている。これにより、入射された赤色の画像光、緑色の画像光、および青色の画像光が、このミラー面を介して合成され、カラー画像光が生成される。
生成されたカラー画像光は、投射光学系126を介して、スクリーン127に拡大投射される。
【0024】
図2は、上述した光源装置10の構成の一例を示す概略ブロック図である。
図2に示すように、光源装置10は、放電ランプ2、およびランプ点灯装置1を備えている。放電ランプ2は、ランプ点灯装置1により点灯が制御される。放電ランプ2は、例えば、高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、およびメタルハライドランプ等である。
ランプ点灯装置1は、ランプ電圧生成部3、電圧検出部4、および制御部5を備えている。
【0025】
ランプ電圧生成部3は、制御部5から入力されるパルスの周波数(駆動周波数)に対応した周波数の交流電圧を生成して放電ランプ2に印加する。
図2に示すように、ランプ電圧生成部3は、共振用インダクタンスL31、および共振用コンデンサーC31、C32により構成されるLC直列共振回路を備えている。また、ランプ電圧生成部3は、スイッチング素子Q31〜Q34により構成されるフルブリッジ型インバーター回路を備えており、これらのスイッチング素子Q31〜Q34が制御部5に制御されることにより直流電圧VCCを交流電圧に変換して、LC直列共振回路に印加する。ここで、スイッチング素子Q31〜Q34は、寄生ダイオードを有するMOSFETである。なお、スイッチング素子Q31〜Q34は、トランジスター、および逆並列接続されたダイオードで構成されてもよい。
【0026】
ここで、ランプ電圧生成部3の備える各部の接続について説明する。
スイッチング素子Q31、Q33のそれぞれのドレイン端子は、直流電圧VCCが印加される端子に接続されている。また、スイッチング素子Q31のソース端子は、スイッチング素子Q32のドレイン端子に接続され、スイッチング素子Q33のソース端子は、スイッチング素子Q34のドレイン端子に接続されている。また、スイッチング素子Q32、Q34のそれぞれのソース端子は、それぞれGND端子に接続されている。そして、スイッチング素子Q31〜Q34のゲート端子は、それぞれ制御部5の出力端子に接続されており、制御部5によりスイッチング素子Q31〜Q34のオンまたはオフのスイッチング動作が制御される。
【0027】
共振用インダクタンスL31の一端は、スイッチング素子Q31のソース端子とスイッチング素子Q32のドレイン端子との接続点に接続され、他端は、共振用コンデンサーC31の一端に接続されている。また、共振用コンデンサーC31の他端は、共振用コンデンサーC32の一端に接続されている。そして、共振用コンデンサーC32の他端は、スイッチング素子Q33のソース端子とスイッチング素子Q34のドレイン端子との接続点に接続されている。また、コンデンサーC33は、電圧平滑用のコンデンサーであり、一端が直流電圧VCCが印加される端子に接続され、他端がGND端子に接続されている。
そして、ランプ電圧生成部3が交流電圧を印加する放電ランプ2の一端は、共振用インダクタンスL31と共振用コンデンサーC31との接続点に接続され、他端は、スイッチング素子Q33のソース端子とスイッチング素子Q34のドレイン端子との接続点に接続されている。
【0028】
ランプ電圧生成部3は、制御部5から入力されるパルスによってスイッチング素子Q31〜Q34のスイッチング動作を制御することで、当該パルスの周波数(駆動周波数)に応じた共振電圧をLC直列共振回路により生成し、この共振電圧を放電ランプ2に印加する。
まず、ランプ電圧生成部3は、制御部5から入力されるパルスの周波数(駆動周波数)に応じて、スイッチング素子Q31、Q34と、スイッチング素子Q32、Q33とのオン/オフが交互に切換えられることにより、直流電圧VCCを交流電圧に変換する。ランプ電圧生成部3は、この変換された交流電圧をLC直列共振回路に印加する。そして、放電ランプ2が点灯していない場合、すなわち放電ランプ2の電極間が高インピーダンスの場合、ランプ電圧生成部3は、LC直列共振回路において発生する共振現象により共振電圧を生成し、放電ランプ2に印加する。また、放電ランプ2が点灯している場合、すなわち放電ランプ2の電極間が低インピーダンスの場合、ランプ電圧生成部3は、LC直列共振回路において共振現象が発生しないため、共振電圧よりも低い電圧の交流電圧を生成し、放電ランプ2に印加する。
【0029】
この共振電圧は、LC直列共振回路の共振周波数(または共振周波数の奇数分の1の周波数)の交流電圧がLC直列共振回路に印加された場合、放電ランプ2の点灯を開始させるための始動電圧を満たすように設定されている。そして、この共振電圧は、制御部5から入力されるパルスの周波数(駆動周波数)が共振周波数と一致した場合に最大電圧となり、駆動周波数と共振周波数とに差が生じることに応じて低下する。
【0030】
電圧検出部4は、高電圧を分圧する抵抗R41〜R44、整流用のダイオードD41、電圧平滑用のコンデンサーC41、電圧検出用の抵抗R45、およびA/D変換器41を備えており、放電ランプ2の電圧を検出し、検出結果を制御部5に出力する。
電圧検出部4の抵抗R41の一端は、ランプ電圧生成部3の共振用コンデンサーC31と共振用コンデンサーC32との接続点に接続されている。抵抗R41の他端は抵抗R42の一端と接続され、抵抗R42の他端は抵抗R43の一端と接続されている。また、抵抗R43の他端はR44の一端と接続され、抵抗R44の他端はGND端子と接続されている。ダイオードD41のアノード端子は、抵抗R43と抵抗R44との接続点に接続され、カソード端子は、コンデンサーC41の一端、および抵抗R45の一端に接続されている。そして、コンデンサーC41の他端、および抵抗R45の他端は、GND端子に接続されている。また、ダイオードD41のカソード端子は、A/D変換器41の入力端子に接続され、A/D変換器41の出力端子は、制御部5の入力端子に接続されている。
【0031】
電圧検出部4は、ランプ電圧生成部3の共振用コンデンサーC31と共振用コンデンサーC32との接続点の電圧、すなわち、放電ランプ2の電圧が共振用コンデンサーC31と共振用コンデンサーC32とにより分圧された電圧を検出する。電圧検出部4は、この分圧された放電ランプ2の電圧を、抵抗R41〜R43と抵抗R44とにより更に分圧し、ダイオードD41、およびコンデンサーC41を介して整流および平滑し、電圧(ランプ検出電圧)VLを検出する。電圧検出部4のA/D変換器41は、制御部5からの検出要求に応じて、検出した電圧(ランプ検出電圧)VLをアナログ値からデジタル値に変換し、制御部5に出力する。
【0032】
制御部5は、周波数制御部51、および点灯判定部52を備えている。
周波数制御部51は、ランプ電圧生成部3が直流電圧VCCから交流電圧を生成するための、ランプ電圧生成部3のスイッチング素子Q31、Q34と、スイッチング素子Q32、Q33とを交互にオン/オフさせる駆動周波数のパルスを、ランプ電圧生成部3に出力する。
【0033】
周波数制御部51は、放電ランプ2を点灯させる始動期間における第1の期間および第2の期間において、それぞれ以下の駆動周波数のパルスをランプ電圧生成部3に出力する。
(1)第1の期間(以下、共振駆動の期間)
周波数制御部51は、放電ランプ2の放電を開始させるために、共振周波数の奇数分の1の周波数が周波数範囲の中に入るように設定された所定の周波数範囲において、所定の周波数間隔により駆動周波数を順次変化(周波数スウィープ動作)させた駆動周波数のパルスをランプ電圧生成部3に出力する。ランプ電圧生成部3において、入力された駆動周波数のパルスに応じて放電ランプ2の点灯を開始させるための共振電圧が生成され、放電ランプ2に印加される。
ここで、放電ランプ2の放電を開始させるための共振周波数の奇数分の1の周波数とは、例えば、共振周波数を300kHzとして、1/3倍した100kHz程度の高い周波数である。
【0034】
(2)第2の期間(以下、始動駆動の期間と称する)
上述の共振駆動の期間の後に、放電ランプ2の点灯を安定させるために、周波数制御部51は、共振駆動の期間における駆動周波数よりも低い周波数であって、且つ共振周波数の奇数分の1の周波数に設定した駆動周波数のパルスをランプ電圧生成部3に出力する。これにより、ランプ点灯装置1は、放電ランプ2の点灯を安定させるためのランプ電流を、放電ランプ2に流す。共振駆動の期間における駆動周波数よりも低い周波数であって、且つ共振周波数の奇数分の1の周波数のパルスとは、例えば、共振周波数を300kHzとして、1/5倍した60kHz程度の周波数である。また、周波数制御部51は、この始動駆動の期間において、少なくとも2種類の駆動周波数のパルスをランプ電圧生成部3に出力する。この少なくとも2種類の駆動周波数のパルスに応じて、後述する点灯判定部52は、放電ランプ2が点灯しているか否かを判定する。
【0035】
このように、周波数制御部51は、放電ランプ2を点灯させる始動期間における共振駆動の期間において、放電ランプ2の放電を開始させる駆動周波数のパルスを出力し、その後、始動駆動の期間において、放電ランプ2の点灯を安定させるための駆動周波数のパルスを出力する。また、周波数制御部51は、放電ランプ2の点灯が安定した後、始動駆動の期間より更に低い周波数に設定した駆動周波数のパルスを出力し、放電ランプ2の点灯を継続させる定常駆動に移行する。
【0036】
なお、共振駆動の期間における駆動周波数、始動駆動の期間における駆動周波数、および定常駆動における駆動周波数は、放電ランプ2の始動特性、およびLC直列共振回路の素子の回路定数などから決まる、放電ランプ2の駆動に適した周波数に設定されている。
また、周波数制御部51が共振駆動の期間においてランプ電圧生成部3に出力するパルスは、周波数スウィープ動作させて出力する複数のパルスに限らず、例えば、所定の1種類の周波数、または所定の複数の周波数のパルスであってもよい。
また、周波数制御部51は、共振駆動、および始動駆動を、それぞれ所定の期間において実行する。共振駆動の期間は、高い共振電圧を生成するため、回路の損失が大きい。そのため、放電ランプ2の点灯が開始されているか否かによらず、周波数制御部51は、所定の期間において共振駆動を実行した後に、始動駆動の期間に移行し、所定の期間において始動駆動を実行する。
【0037】
点灯判定部52は、電圧検出部4の検出結果であるランプ検出電圧VLが所定の閾値(電圧Vth)以下であるか否かを検出する。そして、点灯判定部52は、ランプ検出電圧VLが所定の閾値(電圧Vth)以下であるか否かを検出した結果に基づいて、放電ランプ2が点灯しているか否かを判定する。
ここで所定の閾値(電圧Vth)とは、ランプ電圧生成部3で生成される放電ランプ2を点灯させるための共振電圧よりも低い、放電ランプ2が点灯している際のランプ電圧を判定するための閾値である。よって、点灯判定部52は、ランプ検出電圧VLが所定の閾値(電圧Vth)以下である場合、放電ランプ2が点灯している電圧であることを検出(点灯検出)し、ランプ検出電圧VLが所定の閾値(電圧Vth)以下でない場合、放電ランプ2が点灯していない電圧であることを検出(不点灯検出)する。点灯判定部52は、この放電ランプ2が点灯しているか否かの電圧を検出した1または複数の結果に基づいて、放電ランプ2が点灯しているか否かを判定する(点灯判定または不点灯判定)。
【0038】
次に、制御部5において、放電ランプ2が点灯しているか否かを判定する制御について説明する。
制御部5は、少なくとも2種類の周波数(駆動周波数)のパルスをランプ電圧生成部3に入力することに応じてそれぞれ生成される交流電圧に基づいて、放電ランプ2が点灯しているか否かを判定する。
また、制御部5は、少なくとも2種類の周波数のパルスをランプ電圧生成部3に入力することに応じて、電圧検出部4による検出電圧(ランプ検出電圧VL)が所定の閾値(電圧Vth)以下であるか否かを検出し、電圧検出部4により検出された各周波数に対応する全ての検出電圧(ランプ検出電圧VL)が所定の閾値(電圧Vth)以下であると検出した場合、放電ランプ2が点灯していると判定する。一方、ランプ電圧生成部3に入力した少なくとも2種類の周波数のパルスのうち少なくとも1種類の周波数のパルスに応じた電圧検出部4による検出電圧(ランプ検出電圧VL)が所定の閾値(電圧Vth)以下でないと検出した場合、放電ランプ2が点灯していないと判定する。
【0039】
つまり、制御部5は、放電ランプ2が点灯しているか否かを判定する場合、以下の制御を実行する。制御部5の周波数制御部51は、少なくとも2種類の周波数(駆動周波数)のパルスをランプ電圧生成部3に出力する。ランプ電圧生成部3は、入力される少なくとも2種類の周波数(駆動周波数)のパルスに応じて、交流電圧を生成する。制御部5は、この生成された交流電圧に基づいた放電ランプ2のランプ検出電圧VLを、電圧検出部4に検出させる。そして、制御部5の点灯判定部52は、電圧検出部4により検出されたランプ検出電圧VLが所定の閾値(電圧Vth)以下であるか否かを検出する。点灯判定部52は、少なくとも2種類の周波数(駆動周波数)のパルスをランプ電圧生成部3に出力する度に、電圧検出部4に検出させたランプ検出電圧VLが、全て所定の閾値(電圧Vth)以下であることを検出(点灯検出)した場合、放電ランプ2が点灯していると判定する(点灯判定)。一方、点灯判定部52は、少なくとも2種類の周波数(駆動周波数)のパルスをランプ電圧生成部3に出力する度に、電圧検出部4に検出させたランプ検出電圧VLのうち、少なくとも1種類の周波数(駆動周波数)に対応するランプ検出電圧VLが所定の閾値(電圧Vth)以下でないことを検出(不点灯検出)した場合、放電ランプ2が点灯していないと判定する(不点灯判定)。
【0040】
以上のように、制御部5は、放電ランプ2を点灯させる始動期間における共振駆動の期間(第1の期間)および始動駆動の期間(第2の期間)のうち、共振駆動の期間においては、点灯を開始させるための周波数のパルスをランプ電圧生成部3に入力し、共振駆動の期間の後の始動駆動の期間においては、少なくとも2種類の周波数のパルスをランプ電圧生成部3に入力し、放電ランプ2が点灯しているか否かを判定する。
【0041】
次に、
図3から
図7の波形図を用いて、ランプ点灯装置1により、始動期間において放電ランプ2が点灯しているか否かを判定する制御について説明する。
まず、
図3から
図5を用いて、従来のランプ点灯装置1が、1種類の駆動周波数により点灯しているか否かを判定する場合について説明し、続いて、
図6および
図7を用いて、本実施形態におけるランプ点灯装置1が、2種類の駆動周波数により点灯しているか否かを判定する場合について説明する。
図3から
図5、および
図7は、放電ランプ2の点灯を開始させる始動期間において放電ランプ2に印加される電圧(ランプ電圧)、放電ランプ2に流れる電流(ランプ電流)、および電圧検出部4によるランプ検出電圧VLの一例を示す波形図である。
図3から
図5、および
図7の横軸は時刻であり、縦軸は電圧または電流である。
【0042】
まず、
図3は、従来のランプ点灯装置1による2回の共振駆動の期間において、放電ランプ2が点灯しなかった場合の一例を示す波形図である。
図3に示すように、ランプ点灯装置1の制御部5は、時刻t0から時刻t1において共振駆動を実行している。共振駆動の期間において、放電ランプ2が点灯していないため、ランプ電圧は、ランプ電圧生成部3から印加される共振電圧であり、放電ランプ2には、ランプ電流は流れていない。
【0043】
次に、制御部5は、共振駆動の期間の後、時刻t1から時刻t3において、始動駆動を実行している。この場合、放電ランプ2が点灯していないため、始動駆動の期間におけるランプ電圧は、ランプ電圧生成部3により共振駆動の期間の駆動周波数より低い駆動周波数で生成され印加される共振電圧であって、共振駆動の期間のランプ電圧より低い交流電圧であり、放電ランプ2には、ランプ電流は流れていない。この始動駆動の期間のうちの時刻t2から時刻t3の期間において、制御部5は、放電ランプ2に印加される交流電圧に基づいて、放電ランプ2が点灯しているか否かを判定している。制御部5は、電圧検出部4に検出させたランプ検出電圧VLが、所定の閾値(電圧Vth)より高い電圧であるため、放電ランプ2が点灯していない電圧であることを検出(不点灯検出)し、放電ランプ2が点灯していないと判定している。そして、放電ランプ2が点灯していないと判定されたため、制御部5は、時刻t3から時刻t4において、放電ランプ2を点灯させる共振駆動を再び実行(リトライ)している。
【0044】
時刻t3から時刻t4における2回目の共振駆動の期間においても、放電ランプ2が点灯していないため、時刻t4から時刻t6の始動駆動の期間は、時刻t1から時刻t3の期間と同様であり、制御部5は、時刻t5から時刻t6の期間において、放電ランプ2が点灯していない電圧であることを検出(不点灯検出)し、放電ランプ2が点灯していないと判定している。
【0045】
図4は、従来のランプ点灯装置1による1回の共振駆動の期間において、放電ランプ2が点灯した場合の一例を示す波形図である。
図4に示すように、
図3と同様に、ランプ点灯装置1の制御部5は、時刻t0から時刻t1において共振駆動を実行し、時刻t1から時刻t3において始動駆動を実行している。放電ランプ2は、共振駆動の期間のうち時刻tLにおいて点灯を開始している。そのため、放電ランプ2のランプ電圧は、時刻t0から時刻tLにおいては点灯していない場合の共振電圧であり、時刻tLから時刻t1においては点灯していることにより点灯していない場合の共振電圧より低いランプ電圧である。また、時刻t0から時刻tLにおいては放電ランプ2が点灯していないため、放電ランプ2にはランプ電流が流れていないが、時刻tLから時刻t1においては点灯しているため、放電ランプ2にはランプ電流が流れている。
【0046】
次に、放電ランプ2が点灯しているため、始動駆動の期間におけるランプ電圧は、共振駆動の期間の駆動周波数より低い周波数の電圧であり、放電ランプ2には、点灯を安定させるためのランプ電流が流れている。始動駆動の期間のうちの時刻t2から時刻t3の期間において、制御部5は、
図3の時刻t2から時刻t3の期間と同様に、放電ランプ2が点灯しているか否かを判定している。制御部5は、電圧検出部4に検出させたランプ検出電圧VLが、所定の閾値(電圧Vth)以下の電圧であるため、放電ランプ2が点灯している電圧であることを検出(点灯検出)し、放電ランプ2が点灯していると判定している。そして、放電ランプ2が点灯していると判定されたため、制御部5は、時刻t3以降も始動駆動の期間を継続し、放電ランプ2の点灯が安定した時刻t4において、放電ランプ2の点灯を継続させる定常駆動に移行している。
【0047】
図5は、従来のランプ点灯装置1による共振駆動の期間において、放電ランプ2が点灯しなかった場合であって、始動駆動の期間において、放電ランプ2が点灯していると誤判定された場合の一例を示す波形図である。
図5に示すように、
図3と同様に、ランプ点灯装置1の制御部5は、時刻t0から時刻t1において共振駆動を実行し、時刻t1から時刻t3において始動駆動を実行している。放電ランプ2は点灯していないため、始動駆動の期間におけるランプ電圧は、ランプ電圧生成部3により共振駆動の期間の駆動周波数より低い駆動周波数で生成され印加される共振電圧であって、共振駆動の期間のランプ電圧より低い交流電圧であり、放電ランプ2には、ランプ電流は流れていない。
しかし、
図5に示した始動駆動の期間のランプ電圧は、以下に説明するように、
図3に示した始動駆動の期間のランプ電圧より低い電圧である。
【0048】
前述したように、始動駆動の期間において、ランプ点灯装置1の制御部5は、共振駆動の期間よりも低い周波数、且つ共振周波数の奇数分の1の周波数に設定した駆動周波数のパルスをランプ電圧生成部3に出力する。しかし、ランプ電圧生成部3のLC直列共振回路を構成する素子の回路定数のばらつきにより、LC直列共振回路の共振周波数にはばらつきが発生する。また、制御部5の周波数制御部51が出力するパルスの駆動周波数にもばらつきがある。そのため、周波数制御部51が共振周波数の奇数分の1の周波数に設定して出力する駆動周波数と、LC直列共振回路における共振周波数の奇数分の1の周波数とには、周波数の差が生じる。そして、LC直列共振回路における共振電圧は、LC直列共振回路の駆動周波数が共振周波数の奇数分の1の周波数と一致していない場合には、LC直列共振回路をまたは共振周波数の奇数分の1の周波数で駆動した場合よりも低下してしまう。
【0049】
このように、
図5に示した始動駆動の期間におけるランプ電圧が、
図3に示した始動駆動の期間におけるランプ電圧より低い電圧であるのは、共振周波数の奇数分の1の周波数と駆動周波数とに差が生じたことによるものである。
図5に示すように、始動駆動の期間における時刻t2から時刻t3の期間において、制御部5は、
図3の時刻t2から時刻t3の期間と同様に、放電ランプ2が点灯しているか否かを判定している。放電ランプ2が点灯していないにもかかわらず、始動駆動の期間におけるランプ電圧が低いため、制御部5は、電圧検出部4に検出させたランプ検出電圧VLが、所定の閾値(電圧Vth)以下の電圧であることから、放電ランプ2が点灯している電圧であることを検出(点灯検出)し、放電ランプ2が点灯していると誤判定している。
制御部5は、放電ランプ2が点灯していると誤判定したため、放電ランプ2を点灯させる共振駆動を再び実行(リトライ)することなく、時刻t3から時刻t4まで始動駆動の期間を継続している。そして、制御部5は、その後定常駆動に移行してしまうため、放電ランプ2を点灯させることはできない。
【0050】
図6は、ランプ電圧生成部3の備えるLC直列共振回路の共振用インダクタンスL31のL値のばらつきと、制御部5の周波数制御部51から出力される駆動周波数のばらつきとに応じた共振電圧の変化を示す波形図の一例である。そして、
図6は、L値のばらつきと駆動周波数のばらつきとにより、LC直列共振回路により生成される共振電圧が変化することを示している。
図6の横軸は周波数(駆動周波数)であり、縦軸は電圧(ランプ検出電圧VL)である。
【0051】
図6における波形L1から波形L5は、共振用インダクタンスL31の各L値についての、駆動周波数とランプ検出電圧VLとの関係を示している。
共振用インダクタンスL31のばらつきは、波形L3のL値を中心値として、波形L1のL値から波形L5のL値までばらつきがある。例えば、共振用インダクタンスL31におけるL値のばらつきは、58μH±5%であって、波形L3のL値が58μH、波形L1のL値58μH−5%、および波形L5のL値が58μH+5%である。
【0052】
共振用インダクタンスL31のL値が変化することに応じて共振周波数が変化するため、波形L1から波形L5のそれぞれの波形において、共振電圧に基づくランプ検出電圧VLが最も高い電圧となる駆動周波数が変化している。
例えば、波形L1で表されるランプ検出電圧VLは、図中に示す周波数f1の駆動周波数において、共振周波数の奇数分の1の周波数になり、最も高い電圧になる。また、波形L1で表されるランプ検出電圧VLは、駆動周波数と周波数f1とに差が生じるに応じて低下している。波形L2から波形L5についても同様に、それぞれ周波数f2から周波数f5の駆動周波数においてランプ検出電圧VLが最も高い電圧となり、それぞれの駆動周波数と周波数f2から周波数f5とに差が生じるに応じて、ランプ検出電圧VLは低下している。
【0053】
そして、
図6の符号Xで示した周波数範囲において駆動周波数によっては、波形L3から波形L5のランプ検出電圧VLは、所定の閾値(電圧Vth)以下に低下している。また、
図6の符号Yで示した周波数範囲において、波形L1のランプ検出電圧VLは、所定の閾値(電圧Vth)以下に低下している。そして、ランプ検出電圧VLが所定の閾値(電圧Vth)以下に低下している場合、
図5に示したように、従来のランプ点灯装置1における制御部5は、放電ランプ2が点灯していない場合であっても、放電ランプ2が点灯している電圧であることを検出(点灯検出)し、放電ランプ2が点灯していると誤判定してしまう。
ここで、制御部5の周波数制御部51の出力する駆動周波数のばらつきは、周波数制御部51に設定される周波数に対して、周波数制御部51から出力されるパルスの周波数がばらつくことによるものである。
【0054】
本実施形態のランプ点灯装置1においては、制御部5が、少なくとも2種類の周波数(駆動周波数)のパルスを出力することにより、上述の放電ランプ2が点灯していない場合であっても、点灯していると誤判定してしまうことを防止している。
図6において、制御部5の周波数制御部51は、周波数faおよび周波数fbの2種類の駆動周波数を出力している。周波数faおよび周波数fbは、異なる周波数であり、周波数制御部51から出力されるパルスの周波数において、図中にそれぞれ矢印で示した範囲の周波数のばらつきがある。
【0055】
制御部5が周波数faの駆動周波数を出力した場合、周波数faのばらつきによって、波形L4および波形L5のランプ検出電圧VLは、所定の閾値(電圧Vth)以下に低下する場合がある。この場合、制御部5は、放電ランプ2が点灯していない場合であっても、放電ランプ2が点灯している電圧であることを検出(点灯検出)する。しかし、制御部5が次に周波数fbの駆動周波数を出力した場合、波形L4および波形L5のランプ検出電圧VLは、所定の閾値(電圧Vth)より高いため、放電ランプ2が点灯していない電圧であることを正しく検出(不点灯検出)する。制御部5は、周波数faおよび周波数fbの駆動周波数のうち少なくとも一方の周波数(ここでは、周波数fb)の駆動周波数において、放電ランプ2が点灯していない電圧であることを検出(不点灯検出)するため、放電ランプ2が点灯していないと正しく判定することができる。
【0056】
ここで、
図6に示すように、周波数faおよび周波数fbは、駆動周波数のばらつきとLC直列共振回路を構成する素子の回路定数のばらつきとにより、周波数faおよび周波数fbのうち少なくとも一方の駆動周波数において、ランプ検出電圧VLが所定の閾値(電圧Vth)以下にならないような周波数が選択されている。
【0057】
なお、
図6において、2種類の駆動周波数により放電ランプ2が点灯しているか否かを判定する場合を説明したが、駆動周波数のばらつき、およびLC直列共振回路を構成する素子の回路定数のばらつきによっては、2種類以上の駆動周波数により判定してもよい。この場合、制御部5は、2種類以上の駆動周波数のうち少なくとも1種類の駆動周波数においてランプ検出電圧VLの電圧が、所定の閾値(電圧Vth)以下にならないように設定された2種類以上の駆動周波数を出力して、放電ランプ2が点灯しているか否かを判定してもよい。
【0058】
また、制御部5は、所定の周波数範囲において所定の周波数間隔により周波数を変化させた少なくとも2種類の駆動周波数を出力して、放電ランプ2が点灯しているか否かを判定してもよい。この場合、制御部5は、例えば以下のような制御を実行する。
制御部5は、ランプ電圧生成部3の備えるLC直列共振回路の共振周波数(または共振周波数の奇数分の1の周波数)よりも高い(または低い)周波数から、所定の周波数間隔により、共振周波数(または共振周波数の奇数分の1の周波数)に近づくように駆動周波数を変化させたパルスを、ランプ電圧生成部3に出力する。制御部5は、ランプ電圧生成部3に駆動周波数を変化させたパルスを出力するたびに電圧検出部4にランプ検出電圧VLを検出させ、ランプ検出電圧VLの電圧が、所定の閾値(電圧Vth)以下であるか否かを検出する。そして、制御部5は、少なくとも1種類の駆動周波数においてランプ検出電圧VLの電圧が、所定の閾値(電圧Vth)より高い電圧であることを検出した場合、放電ランプ2が点灯していないと判定する。また、制御部5は、所定の周波数範囲において、ランプ検出電圧VLの電圧が、全て、所定の閾値(電圧Vth)以下の電圧であることを検出した場合、放電ランプ2が点灯していると判定する。
【0059】
図7は、本実施形態におけるランプ点灯装置1において、2種類の周波数のパルスを用いることにより、放電ランプ2が点灯していないことが正しく判定された場合の一例を示す波形図である。
図7における時刻t0から時刻t1の期間は、
図5における時刻t0から時刻t1の期間と対応しており、制御部5により共振駆動が実行される。この共振駆動の期間において、
図5の場合と同様に、放電ランプ2は点灯していない。
【0060】
次に、
図7における時刻t1から時刻t4の期間は、
図5における時刻t1から時刻t3の期間と対応しており、制御部5により始動駆動が実行される。
図7と
図5との相違点は、制御部5により時刻t2から時刻t3おいて放電ランプ2の点灯/不点灯検出が実行された後に、時刻t3から時刻t4おいて2回目の放電ランプ2の点灯/不点灯検出が実行されることである。時刻t2から時刻t3おける1回目の放電ランプ2の点灯/不点灯検出(
図7の(1))においては、
図5の場合と同様に、制御部5は、電圧検出部4に検出させたランプ検出電圧VLが、所定の閾値(電圧Vth)以下の電圧であるため、放電ランプ2が点灯している電圧であることを検出(点灯検出)している。次に、時刻t3から時刻t4おける2回目の放電ランプ2の点灯/不点灯検出(
図7の(2))においては、制御部5は、電圧検出部4に検出させたランプ検出電圧VLが、所定の閾値(電圧Vth)より高い電圧であるため、放電ランプ2が点灯していない電圧であることを検出(不点灯検出)している。
【0061】
制御部5は、この1回目の点灯検出結果と、2回目の不点灯検出結果とに基づいて、少なくとも1種類の周波数のパルスに応じた電圧検出部4によるランプ検出電圧VLが所定の閾値(電圧Vth)以下でない不点灯検出であるため、放電ランプ2が点灯していないと判定する。そして、制御部5は、時刻t4から時刻t5において、放電ランプ2を点灯させる共振駆動を再び実行(リトライ)している。
図7における、時刻t4から時刻t8の期間は、時刻t0から時刻t4までの期間と同様の制御が繰り返されており、制御部5は、放電ランプ2が点灯していないと判定する。
【0062】
図8は、本実施形態における点灯制御処理の一例を示すフロー図である。
以下、
図8が示すフロー図を用いて、ランプ点灯装置1が、放電ランプ2を点灯させる始動期間において、2種類の駆動周波数により放電ランプ2が点灯しているか否かを判定する処理について説明する。
【0063】
まず、ランプ点灯装置1の制御部5は、放電ランプ2を点灯させるための共振駆動の実行回数(点灯リトライ回数)が、所定の規定回数以内であるか否かを判定する(ステップS101)。ステップS101において、点灯リトライ回数が規定回数以内である場合(YES)、制御部5は、ステップS102に処理を進める。また、点灯リトライ回数が規定回数以内でない場合(NO)、制御部5は、ステップS110に処理を進め、エラー処理(不点灯時処理)を実行する。ここで、エラー処理(不点灯時処理)とは、例えば警告音を鳴らす、警告ランプを点灯させる、または、警告表示を表示させる等の処理である。
【0064】
次に、ステップS102において、制御部5は、共振駆動を実行する。放電ランプ2の放電を開始させるために、制御部5の周波数制御部51は、駆動周波数を共振周波数の奇数分の1の周波数に設定して、駆動周波数のパルスをランプ電圧生成部3に出力する。ランプ電圧生成部3のLC直列共振回路において、放電ランプ2の点灯を開始させるための共振電圧が生成され、放電ランプ2に印加される。
【0065】
ここで、制御部5の周波数制御部51は、周波数の上限から下限までの間に共振周波数の奇数分の1の周波数が入るように設定された所定の周波数範囲の中において、所定の周波数間隔により駆動周波数を順次変化(周波数スウィープ動作)させ、当該駆動周波数のパルスをランプ電圧生成部3に出力する。制御部5は、所定の周波数間隔により駆動周波数を変化させた駆動周波数を出力するたびに、電圧検出部4にランプ検出電圧VLを検出させる。電圧検出部4におけるランプ検出電圧VLの検出結果により、制御部5は、ランプ検出電圧VLの電圧が高くなる方向に駆動周波数を変化させ、ランプ検出電圧VLの上昇が飽和した場合(駆動周波数が、共振周波数の奇数分の1に最も近づいた場合)、当該駆動周波数を所定の時間出力する。その後、制御部5は、ランプ検出電圧VLの電圧が低くなる方向に駆動周波数を変化させる。すなわち、制御部5は、駆動周波数を共振周波数の奇数分の1の周波数となるように、所定の周波数範囲の中で、駆動周波数をスウィープさせる動作を繰り返し、ランプ電圧生成部3にパルスを出力する。これにより、ランプ点灯装置1は、放電ランプ2に、共振周波数の奇数分の1の周波数で生じる共振電圧を印加する。
【0066】
次に、制御部5は、共振駆動を所定の期間実行した後、始動駆動に移行し、放電ランプ2が点灯しているか否かを検出する動作を実行する。制御部5の周波数制御部51は、共振周波数の奇数分の1の周波数に設定した駆動周波数のパルスをランプ電圧生成部3に出力する。ランプ電圧生成部3は、入力された駆動周波数のパルスに応じて生成された交流電圧または共振電圧を、放電ランプ2に印加する(ステップS103)。
【0067】
そして、制御部5の点灯判定部52は、電圧検出部4にランプ検出電圧VLを検出させ、検出されたランプ検出電圧VLが、所定の閾値(電圧Vth)以下であるか否かを検出する(ステップS104)。ステップS104において、ランプ検出電圧VLが、所定の閾値(電圧Vth)以下である場合(YES)、制御部5は、ステップS105に処理を進める。また、ランプ検出電圧VLが、所定の閾値(電圧Vth)以下でない場合(NO)、制御部5は、ステップS101に処理を戻す。
【0068】
ステップS105において、制御部5は、放電ランプ2が点灯しているか否かを検出する2回目の動作を実行する。制御部5の周波数制御部51は、1回目に設定した駆動周波数から所定の周波数間隔分ずらした駆動周波数のパルスをランプ電圧生成部3に出力する。ランプ電圧生成部3は、入力された駆動周波数のパルスに応じて生成された交流電圧または共振電圧を、放電ランプ2に印加する。
【0069】
そして、制御部5の点灯判定部52は、電圧検出部4にランプ検出電圧VLを検出させ、検出されたランプ検出電圧VLが、所定の閾値(電圧Vth)以下であるか否かを検出する(ステップS106)。ステップS106において、ランプ検出電圧VLが所定の閾値(電圧Vth)以下である場合(YES)、制御部5は、ステップS107に処理を進める。また、ランプ検出電圧VLが、所定の閾値(電圧Vth)以下でない場合(NO)、制御部5は、ステップS101に処理を戻す。
【0070】
ステップS107において、制御部5の点灯判定部52は、1回目と2回目との両方の駆動周波数において、ランプ検出電圧VLが所定の閾値(電圧Vth)以下である、すなわち放電ランプ2が点灯している電圧であることを検出(点灯検出)したため、放電ランプ2が点灯していると判定する。
次に、制御部5は、放電ランプ2の点灯が安定するまでの所定の期間、始動駆動の期間を継続する(ステップS108)。そして、制御部5は、始動駆動を所定の期間継続した後、放電ランプ2の点灯を継続させる定常駆動に移行する(ステップS109)。
【0071】
以上のように、本実施形態におけるランプ点灯装置1は、少なくとも2種類の周波数(駆動周波数)のパルスに応じてそれぞれ生成する交流電圧に基づいて、放電ランプ2が点灯しているか否かを判定する。したがって、本実施形態におけるランプ点灯装置1は、従来、1種類の周波数(駆動周波数)のパルスに応じて生成する交流電圧に基づいて、放電ランプ2が点灯しているか否かを判定していた場合に発生することがある誤判定を防止することができ、放電ランプ2が点灯しているか否かを精度良く判定することができる。
【0072】
なお、本発明のランプ点灯装置1は、入力されるパルスの周波数に対応した周波数の交流電圧を生成して放電ランプ2に印加するランプ電圧生成部3と、少なくとも2種類の周波数のパルスをランプ電圧生成部3に入力することに応じてそれぞれ生成される交流電圧に基づいて、放電ランプ2が点灯しているか否かを判定する制御部5とを備える。
また、本発明のランプ点灯装置1において、放電ランプ2の電圧を検出する電圧検出部4を備え、制御部5は、少なくとも2種類の周波数のパルスをランプ電圧生成部3に入力することに応じて、電圧検出部4による検出電圧が所定の閾値以下であるか否かを検出し、電圧検出部4による少なくとも2種類の全ての検出電圧が所定の閾値以下であると検出した場合、放電ランプ2が点灯していると判定する。
また、本発明のランプ点灯装置1において、制御部5は、少なくとも2種類の周波数のパルスをランプ電圧生成部3に入力することに応じて、電圧検出部4による検出電圧が所定の閾値以下であるか否かを検出し、少なくとも2種類の周波数のパルスのうち少なくとも1種類の周波数のパルスに応じた電圧検出部4による検出電圧が所定の閾値以下でないと検出した場合、放電ランプ2が点灯していないと判定する。
【0073】
つまり、ランプ点灯装置1の制御部5の周波数制御部51は、少なくとも2種類の周波数(駆動周波数)のパルスをランプ電圧生成部3に出力する。ランプ電圧生成部3は、入力される少なくとも2種類の周波数(駆動周波数)のパルスに応じて交流電圧を生成する。制御部5は、この生成された交流電圧に基づいた放電ランプ2のランプ検出電圧VLを、電圧検出部4に検出させる。そして、制御部5の点灯判定部52は、電圧検出部4により検出されたランプ検出電圧VLが所定の閾値(電圧Vth)以下であるか否かを検出する。そして、点灯判定部52は、少なくとも2種類の周波数(駆動周波数)のパルスをランプ電圧生成部3に出力する度に、電圧検出部4に検出させたランプ検出電圧VLが、全て所定の閾値(電圧Vth)以下であることを検出(点灯検出)した場合、放電ランプ2が点灯していると判定(点灯判定)する。一方、点灯判定部52は、少なくとも2種類の周波数(駆動周波数)のパルスをランプ電圧生成部3に出力する度に、電圧検出部4に検出させたランプ検出電圧VLのうち、少なくとも1種類の周波数(駆動周波数)におけるランプ検出電圧VLが所定の閾値(電圧Vth)以下でないことを検出(不点灯検出)した場合、放電ランプ2が点灯していないと判定(不点灯判定)する。
【0074】
これにより、制御部5は、放電ランプ2が点灯しているか否かを判定する場合、少なくとも2種類の周波数のパルスに応じて判定するため、従来、1種類の周波数のパルスに応じて判定する際に発生することがある誤判定を防止することができる。
また、放電ランプ2が点灯している場合、少なくとも2種類の周波数のパルスに応じた電圧検出部4によるランプ検出電圧VLの全てが所定の閾値以下になるため、ランプ点灯装置1の制御部5は、放電ランプ2が点灯していると正しく判定することができる。
また、放電ランプ2が点灯していない場合、電圧検出部4によるランプ検出電圧VLが所定の閾値以下にならないため、ランプ点灯装置1の制御部5は、放電ランプ2が点灯していないと正しく判定することができる。更に、放電ランプ2が点灯していないにもかかわらず、1種類の周波数のパルスに応じた電圧検出部4によるランプ検出電圧VLが所定の閾値以下になった場合でも、少なくとも2種類の周波数のパルスに応じた電圧検出部4によるランプ検出電圧VLの全てが所定の閾値以下にはならないため、制御部5は、放電ランプ2が点灯していると誤判定することはない。よって、本発明のランプ点灯装置1は、放電ランプ2が点灯しているか否かを精度良く判定することができる。
【0075】
つまり、ランプ点灯装置1の制御部5は、ランプ電圧生成部3に出力する1種類の駆動周波数が共振周波数(または、共振周波数の奇数分の1)から差が発生したことにより、放電ランプ2が点灯していないにもかかわらず共振電圧が低下し、所定の閾値(電圧Vth)以下であることを検出(点灯検出)する場合がある。しかし、制御部5は、少なくとも2種類の駆動周波数をランプ電圧生成部3に出力することにより、共振電圧が所定の閾値(電圧Vth)以下でないことを検出(不点灯検出)することができる。これにより、ランプ点灯装置1は、放電ランプ2が点灯していないと正しく判定(不点灯判定)することができる。
【0076】
また、本発明のランプ点灯装置1において、制御部5は、放電ランプ2を点灯させる始動期間における第1の期間および第2の期間において、第1の期間においては、点灯を開始させるための周波数をランプ電圧生成部3に入力し、第1の期間の後の第2の期間においては、少なくとも2種類の周波数のパルスをランプ電圧生成部3に入力する。
これにより、ランプ点灯装置1は、第1の期間において、放電ランプ2に点灯を開始させるための交流電圧を印加し、次に、第1の期間において放電ランプ2の点灯が開始できたか否かを、第2の期間において、少なくとも2種類の周波数のパルスに応じて検出して判定する。すなわち、ランプ点灯装置1は、放電ランプ2に点灯を開始させるための交流電圧を印加したことにより放電ランプ2が点灯を開始できたか否かを、その後の期間において放電ランプ2が点灯しているか否かの状態を検出するため、正しく判定することができる。
【0077】
また、本発明のランプ点灯装置1において、少なくとも2種類の周波数のパルスは、所定の周波数範囲において所定の周波数間隔により周波数が変化されたそれぞれのパルスであってもよい。この場合、ランプ点灯装置1の制御部5は、所定の周波数範囲において所定の周波数間隔により順次変化させた周波数のパルスに応じて、放電ランプ2が点灯しているか否かを判定する。そのため、ランプ点灯装置1の備える回路部品のばらつきや周波数ばらつきに基づく様々な条件においても、ランプ点灯装置1は、放電ランプ2が点灯しているか否かを検出するために適した周波数により検出することが可能であり、放電ランプ2が点灯しているか否かを正確に判定することができる。
【0078】
また、本発明のランプ点灯装置1において、ランプ電圧生成部3は、LC共振回路を備え、制御部5から入力されるパルスの周波数に基づいてLC共振回路において生成する共振電圧を、放電ランプ2に印加することを特徴としている。
これにより、ランプ点灯装置1は、LC共振回路における共振周波数がばらついても、少なくとも2種類の周波数に基づいて共振電圧を生成するため、LC共振回路における素子の特性ばらつきを吸収できる。よって、LC共振回路の備える部品に要求される精度を緩和することが可能であって、コストの低減が可能である。
【0079】
また、本発明における光源装置10は、放電ランプ2と本発明におけるランプ点灯装置1とを備えているため、光源装置10が備える放電ランプ2が点灯しているか否かを精度良く判定することができる。
また、本発明における光源装置10を備えた照明装置110により画像が拡大投射されるプロジェクター100は、上述の光源装置10を備えているため、光源装置10が備える放電ランプ2が点灯しているか否かを精度良く判定することができる。
【0080】
また、本発明のランプ点灯方法は、入力されるパルスの周波数に対応した周波数の交流電圧を生成して放電ランプに印加するランプ電圧生成部3を備えるランプ点灯装置1のランプ点灯方法であって、制御部5が、少なくとも2種類の周波数のパルスをランプ電圧生成部3に入力することに応じてそれぞれ生成される交流電圧に基づいて、放電ランプ2が点灯しているか否かを判定する手順を備えることを特徴としている。
これにより、ランプ点灯方法の制御手順は、従来、1種類の周波数のパルスに応じて放電ランプが点灯しているか否かを検出し判定しているのに対して、少なくとも2種類の周波数のパルスに応じて点灯しているか否かを検出し、それぞれの検出結果に基づいて判定する。これにより、制御手順は、従来、放電ランプが点灯しているか否かを判定する場合、1種類の周波数のパルスに応じて判定する際に発生することがある誤判定を防止することができる。よって、本発明のランプ点灯方法は、放電ランプ2が点灯しているか否かを精度良く判定することができる。
【0081】
以上、本発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
例えば、上述した本実施形態におけるランプ電圧生成部3は、直流電圧から交流電圧に変換するためのフルブリッジ型インバーター回路を備えている場合について説明したが、本発明はこれに限らず、ハーフブリッジ型インバーター回路等、その他のインバーター回路を備えてもよい。また、上述した本実施形態におけるランプ電圧生成部3は、放電ランプ2に放電を開始させるための電圧を生成するためのLC直列共振回路を備えている場合について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、その他のイグナイター回路を備えてもよい。
【0082】
また、上述した本実施形態におけるランプ点灯装置1は、始動駆動の期間(第2の期間)において、少なくとも2種類の周波数(駆動周波数)のパルスに応じて、放電ランプ2のランプ検出電圧VLが所定の閾値電圧(Vth)以下であるか否かを検出する場合について説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、共振駆動の期間(第1の期間)、または共振駆動の期間(第1の期間)と始動駆動の期間(第2の期間)との両方の期間において検出してもよい。
【0083】
また、上述した本実施形態におけるランプ点灯装置1を備える光源装置10は、プロジェクター100において画像を拡大投射させるための照明装置110の備える光源装置10である形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本実施形態における光源装置10は、屋内または屋外における照明のための照明装置110の備える光源装置10であってもよい。
更に、上述した本実施形態における光源装置10を備える照明装置110は、光を透過する液晶ライトバルブ122〜124を備える透過型のプロジェクター100の照明装置110である形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本実施形態における光源装置10を備える照明装置110は、光を反射する液晶ライトバルブ122〜124を備える反射型のプロジェクター100の照明装置110であってもよい。また、上述した本実施形態におけるプロジェクター100は、フロント投射型のプロジェクター100であっても、リア投射型のプロジェクター100であってもよい。
【0084】
なお、本実施形態における制御部5における周波数制御部51、および点灯判定部52の各部は専用のハードウェアにより実現されるものであってもよく、また、メモリおよびCPU(Central Processing Unit)により構成され、上述の制御部5の各部の機能を実現するためのプログラムをメモリにロードして実行することによりその機能を実現させるものであってもよい。
【0085】
また、上述の制御部5における各部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述の制御部5における各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0086】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。