(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(3aR,5R,6aR)−5−メチル−1−(4’−(6−オキソピリダジン−1(6H)−イル)ビフェニル−4−イル)オクタヒドロピロロ[3,4−b]ピロール5−オキシド;および
(3aR,5S,6aR)−5−メチル−1−(4’−(6−オキソピリダジン−1(6H)−イル)ビフェニル−4−イル)オクタヒドロピロロ[3,4−b]ピロール5−オキシド
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
ヒスタミン−3受容体の活性の調節が治療上有益である状態または障害を有する哺乳動物を治療するための、治療有効量の請求項1に記載の式(I)の化合物を含有する、請求項3に記載の医薬組成物。
状態または障害が、アルツハイマー病、喘息、アレルギー性鼻炎、注意欠陥多動性障害、注意欠陥、双極性障害、認知機能障害、精神疾患における認知障害、記憶障害、学習障害、認知症、皮膚癌、薬物乱用、糖尿病、II型糖尿病、鬱病、てんかん、胃腸障害、炎症、インスリン抵抗症候群、時差ぼけ、甲状腺髄様癌、黒色腫、メニエール病、前庭障害、メタボリック症候群、軽度認知障害、片頭痛、気分および注意変動、乗り物酔い、ナルコレプシー、病的眠気、神経性炎症、肥満、強迫性障害、疼痛、神経障害痛、神経障害、パーキンソン病、多嚢胞性卵巣症候群、統合失調症、統合失調症の認知障害、発作、敗血症ショック、シンドロームX、トゥーレット症候群、眩暈および睡眠障害からなる群から選択される、請求項4に記載の医薬組成物。
状態または障害が、アルツハイマー病、喘息、アレルギー性鼻炎、注意欠陥多動性障害、注意欠陥、双極性障害、認知機能障害、精神疾患における認知障害、記憶障害、学習障害、認知症、皮膚癌、薬物乱用、糖尿病、II型糖尿病、鬱病、てんかん、胃腸障害、炎症、インスリン抵抗症候群、時差ぼけ、甲状腺髄様癌、黒色腫、メニエール病、前庭障害、メタボリック症候群、軽度認知障害、片頭痛、気分および注意変動、乗り物酔い、ナルコレプシー、病的眠気、神経性炎症、肥満、強迫性障害、疼痛、神経障害痛、神経障害、パーキンソン病、多嚢胞性卵巣症候群、統合失調症、統合失調症の認知障害、発作、敗血症ショック、シンドロームX、トゥーレット症候群、眩暈および睡眠障害からなる群から選択される、請求項9に記載の使用。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の化合物
本発明の化合物は、発明の主旨に記載の通りの式(I)を有することができる
【0021】
【化4】
[式中、Z
1はNまたはCHである]。
【0022】
また、式(I)の化合物および薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物が開示される。
【0023】
本発明の好ましい化合物は、(3aR,5R,6aR)−5−メチル−1−(4’−(6−オキソピリダジン−1(6H)−イル)ビフェニル−4−イル)オクタヒドロピロロ[3,4−b]ピロール5−オキシド、(3aR,5S,6aR)−5−メチル−1−(4’−(6−オキソピリダジン−1(6H)−イル)ビフェニル−4−イル)オクタヒドロピロロ[3,4−b]ピロール5−オキシド、(3aR,5R,6aR)−5−メチル−1−(4−(6−(6−オキソピリダジン−1(6H)−イル)ピリジン−3−イル)フェニル)オクタヒドロピロロ[3,4−b]ピロール5−オキシド、および(3aR,5S,6aR)−5−メチル−1−(4−(6−(6−オキソピリダジン−1(6H)−イル)ピリジン−3−イル)フェニル)オクタヒドロピロロ[3,4−b]ピロール5−オキシドである。
【0024】
より好ましいものは、(3aR,5R,6aR)−5−メチル−1−(4’−(6−オキソピリダジン−1(6H)−イル)ビフェニル−4−イル)オクタヒドロピロロ[3,4−b]ピロール5−オキシド、および(3aR,5S,6aR)−5−メチル−1−(4’−(6−オキソピリダジン−1(6H)−イル)ビフェニル−4−イル)オクタヒドロピロロ[3,4−b]ピロール5−オキシドである。
【0025】
最も好ましいものは、(3aR,5R,6aR)−5−メチル−1−(4’−(6−オキソピリダジン−1(6H)−イル)ビフェニル−4−イル)オクタヒドロピロロ[3,4−b]ピロール5−オキシドである。
【0026】
本発明の化合物は、ACD/ChemSketchバージョン5.01(Advanced Chemistry Development Inc.、カナダ、オンタリオ州、トロントによって開発)もしくはCHEMDRAW Ultra 9.0ソフトウェア(CHEMDRAWはマサチューセッツ州、CambridgeSoft Corporation of Cambridgeの登録商標である)によって命名され、またはACD(Advanced Chemistry Development)命名法に一致する名称を与えられた。構造からの化合物の名称の割当ておよび所与の化学名からの化学構造の割当ては、当業者に周知である。
【0027】
本発明の化合物は、不斉中心またはキラル中心が存在する立体異性体として存在することができる。これらの立体異性体は、キラル炭素原子の周りの置換基の構成により、「R」または「S」である。本明細書で使用される「R」および「S」という用語は、IUPAC(International Union of Pure and Applied Chemistry)1974年推奨、Section E:Fundamental Stereochemistry(Pure&Appl.Chem.、Vol.45、11−30頁(1976年))に定義の構成である。本発明は、様々な立体異性体およびそれらの混合物を企図し、これらは特に本発明の範囲内に含まれる。立体異性体には、エナンチオマーおよびジアステレオマー、ならびにエナンチオマーまたはジアステレオマーの混合物が含まれる。本発明の化合物の個々の立体異性体は、不斉中心もしくはキラル中心を含有する市販の出発材料から、または当業者に周知の分解方法に従ってラセミ混合物を調製することによって、合成的に調製することができる。これらの分解方法は、(1)Furniss、Hannaford、Smith、and Tatchell、「Vogel’s Textbook of Practical Organic Chemistry」、第5版(1989年)およびLongman Scientific&Technical、Essex CM20 2JE、Englandに記載のような、エナンチオマー混合物のキラル補助基との結合、再結晶化もしくはクロマトグラフィーによるジアステレオマーの生成混合物の分離、および補助基からの光学的に純粋な生成物の場合による遊離、または(2)キラルクロマトグラフィーカラム上の光学エナンチオマーの混合物の直接的な分離、または(3)分別再結晶化法によって例示される。
【0028】
本発明の化合物は、シスまたはトランス異性体として存在することができ、環上の置換基は、それらが互いに関して環の同じ側の上にあり(シス)、または互いに関して環の反対側上にある(トランス)ように、結合することができる。例えば、シクロブタンおよびシクロヘキサンは、シスまたはトランス構成で存在することができ、単一の異性体として、またはシスおよびトランス異性体の混合物として存在することができる。本発明の化合物の個々のシスまたはトランス異性体は、選択的有機変換を使用して市販出発材料から合成的に調製することができ、またはシスおよびトランス異性体の混合物の精製によって単一の異性体として調製することができる。かかる方法は当業者に周知であり、再結晶化またはクロマトグラフィーによる異性体の分離を含むことができる。
【0029】
本発明の化合物は、互変異性体ならびに幾何異性体を有することができ、これらが本発明の一態様を構成することも理解されたい。本発明の化合物はアイソトポマー、例えば水素、重水素および三重水素、または
12C、
11Cおよび
13C、または
19Fおよび
18Fとして存在することができ、その原子は異なる量を有することができることも理解されたい。
【0030】
本発明の方法
式(I)の本発明の化合物および組成物は、式(II)の化合物にインビボ変換され、したがって、式(II)の化合物のプロドラッグとして有用である。式(I)の化合物は、強力なヒスタミン−3受容体アンタゴニストまたは逆アゴニストではないが、式(II)の化合物は、強力なヒスタミン−3受容体アンタゴニストおよび逆アゴニストである。したがって、式(I)の化合物は、ヒスタミン−3受容体の作用の調節に有用である。特に、本発明の化合物および組成物は、ヒスタミン−3受容体によって調節される障害の治療および予防に使用することができる。一般に、かかる障害は、哺乳動物のヒスタミン−3受容体を調節することによって、好ましくは本発明の化合物または組成物を、単独で、または他の活性薬剤と組み合わせて、例えば治療レジメンの一部として投与することによって緩和することができる。かかる状態または障害は、アルツハイマー病、喘息、アレルギー性鼻炎、注意欠陥多動性障害、注意欠陥、双極性障害、認知機能障害、精神疾患における認知障害、記憶障害、学習障害、認知症、皮膚癌、薬物乱用、糖尿病、II型糖尿病、鬱病、てんかん、胃腸障害、炎症、インスリン抵抗症候群、時差ぼけ、甲状腺髄様癌、黒色腫、メニエール病、前庭障害、メタボリック症候群、軽度認知障害、片頭痛、気分および注意変動、乗り物酔い、ナルコレプシー、病的眠気、神経性炎症、肥満、強迫性障害、疼痛、神経障害痛、神経障害、パーキンソン病、多嚢胞性卵巣症候群、統合失調症、統合失調症の認知障害、発作、敗血症ショック、シンドロームX、トゥーレット症候群、眩暈および睡眠障害からなる群から選択することができる。
【0031】
特に、注意欠陥多動性障害、アルツハイマー病または認知症を有する哺乳動物は、治療有効量の式(I)の化合物の投与から利益を得ることができる。
【0032】
特に、統合失調症または統合失調症の認知障害を有する哺乳動物は、治療有効量の式(I)の化合物の投与から利益を得ることができる。
【0033】
さらに、ナルコレプシー、睡眠障害、アレルギー性鼻炎、喘息または肥満を有する哺乳類は、治療有効量の式(I)の化合物の投与から利益を得ることができる。
【0034】
動物におけるヒスタミン−3受容体の作用を調節する式(II)の化合物を生成する本発明の化合物の能力の重要な結果として、式(I)の化合物および組成物は、ヒスタミン−3受容体によって調節される疾患、状態および障害の治療および予防に有用である。したがって本発明の化合物または組成物は、単独で、または別の活性薬剤と組み合わせて、治療レジメンの一部として投与することができる。
【0035】
本発明の方法に有用な化合物には、それに限定されるものではないが、実施例に特定される化合物、およびヒスタミン−3受容体に対して親和性を有する化合物が含まれる。本明細書に開示されている方法に有用な式(I)の好ましい化合物は、(3aR,5R,6aR)−5−メチル−1−(4’−(6−オキソピリダジン−1(6H)−イル)ビフェニル−4−イル)オクタヒドロピロロ[3,4−b]ピロール5−オキシド、(3aR,5S,6aR)−5−メチル−1−(4’−(6−オキソピリダジン−1(6H)−イル)ビフェニル−4−イル)オクタヒドロピロロ[3,4−b]ピロール5−オキシド、(3aR,5R,6aR)−5−メチル−1−(4−(6−(6−オキソピリダジン−1(6H)−イル)ピリジン−3−イル)フェニル)オクタヒドロピロロ[3,4−b]ピロール5−オキシド、および(3aR,5S,6aR)−5−メチル−1−(4−(6−(6−オキソピリダジン−1(6H)−イル)ピリジン−3−イル)フェニル)オクタヒドロピロロ[3,4−b]ピロール5−オキシドである。より好ましいものは、(3aR,5R,6aR)−5−メチル−1−(4’−(6−オキソピリダジン−1(6H)−イル)ビフェニル−4−イル)オクタヒドロピロロ[3,4−b]ピロール5−オキシド、および(3aR,5S,6aR)−5−メチル−1−(4’−(6−オキソピリダジン−1(6H)−イル)ビフェニル−4−イル)オクタヒドロピロロ[3,4−b]ピロール5−オキシドである。最も好ましいものは、(3aR,5R,6aR)−5−メチル−1−(4’−(6−オキソピリダジン−1(6H)−イル)ビフェニル−4−イル)オクタヒドロピロロ[3,4−b]ピロール5−オキシドである。
【0036】
かかる化合物は、ヒスタミン−3の調節に関係する疾患、状態または障害の治療および予防に有用となり得る。かかる疾患、状態または障害の例は、例えば、アルツハイマー病、喘息、アレルギー性鼻炎、注意欠陥多動性障害、注意欠陥、双極性障害、認知機能障害、精神疾患における認知障害、記憶障害、学習障害、認知症、皮膚癌、薬物乱用、糖尿病、II型糖尿病、鬱病、てんかん、胃腸障害、炎症、インスリン抵抗症候群、時差ぼけ、甲状腺髄様癌、黒色腫、メニエール病、前庭障害、メタボリック症候群、軽度認知障害、片頭痛、気分および注意変動、乗り物酔い、ナルコレプシー、病的眠気、神経性炎症、肥満、強迫性障害、疼痛、神経障害痛、神経障害、パーキンソン病、多嚢胞性卵巣症候群、統合失調症、統合失調症の認知障害、発作、敗血症ショック、シンドロームX、トゥーレット症候群、眩暈および睡眠障害である。かかる疾患、状態または障害を予防または治療するヒスタミン−3受容体調節因子の能力、したがって本発明の化合物の能力は、以下の参考文献に見られる例によって示される。
【0037】
注意欠陥多動性障害および注意欠陥を治療するための、それに限定されるものではないが、実施例に特定されている化合物を含む本発明の化合物の能力は、Cowartら、Journal of Medicinal Chemistry、Vol.48、38−55頁(2005年);Foxら、「Pharmacological Properties of ABT−239:II.Neurophysiological Characterization and Broad Preclinical Efficacy in Cognition and Schizophrenia of a Potent and Selective Histamine H3 Receptor Antagonist」、Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics、Vol.313、176−190頁(2005年);Foxら、「Effects of Histamine H3 Receptor Ligands GT−2331 and Ciproxifan in a Repeated Acquisition Avoidance Response in the Spontaneously Hypertensive Rat Pup」、Behavioural Brain Research、Vol.131(1,2)、151−161頁(2002年);Yatesら、「Identification and Pharmacological Characterization of a Series of New 1H−4−Substituted−Imidazoyl Histamine H3 Receptor Ligands」、Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics、Vol.289、1151−1159頁(1999年);Ligneauら、Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics、Vol.287、658−666頁(1998年);Tozer、Expert Opinion on Therapeutic Patents、Vol.10、1045頁(2000年);Halpern、「GT−2331」、Current Opinion in Central and Peripheral Nervous System Investigational Drugs、Vol.1、524−527頁(1999年);Shaywitzら、Psychopharmacology、Vol.82、73−77頁(1984年);Dumeryら、「Development of Amygdaloid Cholinergic Mediation of Passive Avoidance Learning in the Rat」、Exp.Brain Res.、Vol.67、61−69頁(1987年);Tedfordら、「Pharmacological Characterization of GT−2016、A Non−Thiourea−Containing Histamine H
3 Receptor Antagonist:In Vitro and In Vivo Studies」、Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics、Vol.275、598−604頁(1995年);Tedfordら、「Abstracts」、Society for Neuroscience、Vol.22、22頁(1996年);Glaseら、「Attention Deficit Hyperactivity Disorder:Pathophysiology and Design of New Treatments」、Annual Reports in Medicinal Chemistry、Vol.37、11−20頁(2002年);Schweitzerら、「Drugs Under Investigation for Attention−Deficit Hyperactivity Disorder」、Current Opinion in Investigative Drugs、Vol.3、1207頁(2002年)によって示され得る。
【0038】
認知症ならびに記憶障害および学習障害を伴う疾患を治療するための、それに限定されるものではないが、実施例に特定されている化合物を含む本発明の化合物の能力は、Foxら、Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics、Vol.305(3)、897−908頁(2003年);Fox;Inflammation Research、Vol.52(Suppl.1)、S31−S32頁(2003年);Bernaertsら、Behavioural Brain Research、Vol.154、211−219頁(2004年);Onoderaら、Nauyn−Schmiedebergs’ Arch.Pharmacol.、Vol.357、508−513頁(1998年);Prastら、Brain Research、Vol.734、316−318頁(1996年);Chenら、Brain Research、Vol.839、186−189頁(1999年);Passaniら、Neuroscience and Biobehavioral Reviews、Vol.24、107−113頁(2000年)によって示され得る。
【0039】
統合失調症、統合失調症の認知障害および認知障害を治療するための、それに限定されるものではないが、実施例に特定されている化合物を含む本発明の化合物の能力は、Foxら、「Pharmacological Properties of ABT−239:II.Neurophysiological Characterization and Broad Preclinical Efficacy in Cognition and Schizophrenia of a Potent and Selective Histamine H3 Receptor Antagonist」、Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics、Vol.313、176−190頁(2005年);Browmanら、「Enhancement of Prepulse Inhibitor of Startle in Mice by the H
3 Receptor Antagonists Thioperamide and Ciproxifan」、Behavioural Brain Research、Vol.153(1)、69−76頁(2004年);Komaterら、「H
3 Receptor Blockade by Thioperamide Enhances Cognition Without Inducing Locomotor Sensitization」、Psychopharmacology(Berlin、Germany)、Vol.167(4)、363−372頁(2003年);Rodriguesら、British Journal of Pharmacology、Vol.114(8)、1523−1524頁(1995年);Passaniら、Neuroscience and Biobehavioral Reviews、Vol.24、107−113頁(2000年);Morrisetら、Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics、Vol.288、590−596頁(1999年)によって示され得る。
【0040】
精神疾患、アルツハイマー病および軽度認知障害の機能障害を治療するための、それに限定されるものではないが、実施例に特定されている化合物を含む本発明の化合物の能力は、Meguroら、Pharmacology、Biochemistry and Behavior、Vol.50(3)、321−325頁(1995年);Esbenshadeら、「Pharmacological and Behavioral Properties of A−349821、a Selective and Potent Human Histamine H
3 Receptor Antagonist」、Biochemical Pharmacology、Vol.68、933−945頁(2004年);Huangら、Behavioural Brain Research、Vol.151、287−293頁(2004年);Mazurkiewicz−Kwileckiら、Canadian Journal of Physiology and Pharmacology、Vol.67、75−78頁(1989年);Panulaら、Neuroscience、Vol.82、993−997頁(1997年);Haasら、Behavioural Brain Research、Vol.66、41−44頁(1995年);De Almeidaら、Arch.Int.Pharmacodyn.、Vol.283、193−198頁(1986年);Kameiら、Psychopharmacology、Vol.102、312−318頁(1990年);Kameiら、Japanese Journal of Pharmacology、Vol.57、437−482頁(1991年);Schwartzら、Psychopharmacology、The Fourth Generation of Progress、Bloom and Kupfer(eds.)、Raven Press、New York、397頁(1995年);およびWadaら、Trends in Neurosciences、Vol.14、415頁(1991年)によって示され得る。
【0041】
てんかんおよび発作を治療するための、それに限定されるものではないが、実施例に特定されている化合物を含む本発明の化合物の能力は、Haradaら、Brain Research Bulletin、Vol.63、143−146頁(2004年);Yokoyamaら、European Journal of Pharmacology、Vol.234、129−133頁(1993年);Yokoyamaら、European Journal of Pharmacology、Vol.260、23頁(1994年);Yokoyamaら、CNS Drugs、Vol.5、321頁(1996年);Vohora、Life Sciences、Vol.66、297−301頁(2000年);Onoderaら、Progress in Neurobiology、Vol.42、685頁(1994年);Chenら、British Journal of Pharmacology、Vol.143、573−580頁(2004年);Leursら、Progress in Drug Research、Vol.45、170−165頁(1995年);Leursら、Progress in Drug Research、Vol.39、127頁(1992年);Yokoyamaら、CNS Drugs、Vol.5(5)321−330頁(1995年);Hurukamiら、Meth.Find.Exp.Clin.Pharmacol.、Vol.17(C)、70−73頁(1995年);およびYawataら、Molecular Brain Research、Vol.132、13−17頁(2004年)によって示され得る。
【0042】
アレルギー性鼻炎および喘息を治療するための、それに限定されるものではないが、実施例に特定されている化合物を含む本発明の化合物の能力は、McLeodら、American Journal of Rhinology、Vol.13、391−399頁(1999年);McLeodら、Allergy、Schering−Plough Research Institute、Kenilworth、NJ、USA.;Hanselら、「New Drugs for Asthma、Allergy and COPD」、Progress in Respiratory Research、Vol.31、133−136頁(2001年);Delaunoisら、European Journal of Pharmacology、Vol.277、243−250頁(1995年);Dimithadouら、Clinical Science、Vol.87、151−163頁(1994年)によって示され得る。
【0043】
乗り物酔い、眩暈(dizziness)、メニエール病、前庭障害および眩暈(vertigo)を治療するための、それに限定されるものではないが、実施例に特定されている化合物を含む本発明の化合物の能力は、Panら、Methods and Findings in Clinical Pharmacology、Vol.20(9)、771−777頁(1998年);O’Neillら、Methods and Findings in Clinical Pharmacology、Vol.21(4)、285−289頁(1999年);Chavezら、Brain Research、Vol.1064、1−9頁(2005年);Leursら、Progress in Drug Research、Vol.45、170−165頁(1995年);およびLozadaら、BioMed Central Neuroscience、Vol.5、32頁(2004年)によって示され得る。
【0044】
肥満、糖尿病、II型糖尿病、シンドロームX、インスリン抵抗症候群およびメタボリック症候群を治療するための、それに限定されるものではないが、実施例に特定されている化合物を含む本発明の化合物の能力は、Hancock、European Journal of Pharmacology、Vol.487、183−197頁(2004年);Hancockら、Inflamm.Res.、Vol.53、Supplement 1、S47−S48(2004年);Itohら、Biological Psychiatry、Vol.45(4)、475−481頁(1999年);Yatesら、Abstracts、Society for Neuroscience、102.10:219(November、2000);Malmlofら、International Journal of Obesity、Vol.29、1402−1412頁(2005年);およびBjenningら、Abstracts、International Sendai Histamine Symposium、Sendai、Japan、#P39(2000年11月);Sakataら、Brain Research、Vol.537(1−2)、303−306頁(1990年)によって示され得る。
【0045】
神経障害痛を含む疼痛および神経障害を治療するための、それに限定されるものではないが、実施例に特定されている化合物を含む本発明の化合物の能力は、Malmberg−Aielloら、British Journal of Pharmacology、Vol.111(4)、1269−1279頁(1994年);Hriscu、Farmacia、Vol.49(2)、23−30頁(2001年)によって示され得る。
【0046】
ナルコレプシーおよび病的眠気を含む睡眠障害ならびに時差ぼけを治療するための、それに限定されるものではないが、実施例に特定されている化合物を含む本発明の化合物の能力は、Barbierら、British Journal of Pharmacology、1−13頁(2004年);Montiら、Neuropsychopharmacology、Vol.15、31−35頁(1996);Linら、Brain Research、Vol.523、325−330頁(1990年);Montiら、Neuropsychopharmacology、Vol.15、31−35頁(1996年);Ligneauら、Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics、Vol.287、658−666頁(1998年);Sakaiら、Life Sciences、Vol.48、2397−2404頁(1991年);Mazurkiewicz−Kwileckiら、Canadian Journal of Physiology and Pharmacology、Vol.67、75−78頁(1989年);Panulaら、Neuroscience、Vol.44、465−481頁(1998年);Wadaら、Trends in Neuroscience、Vol.14、415頁(1991年);Montiら、European Journal of Pharmacology、Vol.205、283頁(1991年);Dvorakら、Journal of Medicinal Chemistry、Vol.48、2229−2238頁(2005年)によって示され得る。
【0047】
薬物乱用を治療するための、それに限定されるものではないが、実施例に特定されている化合物を含む本発明の化合物の能力は、Claphamら、European Journal of Pharmacology、Vol.259(2)、107−14頁(1994年)によって示され得る。アンフェタミンは、ヒトにおいて乱用されている覚醒剤である。アンフェタミンおよび乱用されている類似の薬物は、動物の自発運動を刺激し、ヒスタミン−3アンタゴニストチオペラミド(thioperamide)が、アンフェタミンによって誘発される運動刺激を抑制することが見出されている。したがって、ヒスタミン−3アンタゴニストは、Claphamら、European Journal of Pharmacology、Vol.259(2)、107−14頁(1994年)によって示され得るように、薬物乱用の治療に有用である可能性が高い。
【0048】
気分変動、双極性障害、鬱病、強迫性障害およびトゥーレット症候群を治療するための、それに限定されるものではないが、実施例に特定されている化合物を含む本発明の化合物の能力は、Lambertiら、British Journal of Pharmacology、Vol.123、1331−1336頁(1998年);Perez−Garciaら、Psychopharmacology、(Berlin)Vol.142(2)、215−20頁(1999年)によって示され得る。
【0049】
パーキンソン病(患者が運動を開始する能力に障害を有し、患者の脳が低いドーパミンレベルを有する疾患)を治療するための、それに限定されるものではないが、実施例に特定されている化合物を含む本発明の化合物の能力は、Sanchez−Lemusら、Neuroscience Letters、Vol.364、179−184頁(2004年);Sakaiら、Life Sciences、Vol.48、2397−2404頁(1991年);Foxら、Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics、Vol.313、176−190頁(2005年);Chenら、British Journal of Pharmacology、Vol.143、573−580頁(2004年)によって示され得る。
【0050】
甲状腺髄様癌、黒色腫、多嚢胞性卵巣症候群を治療するための、それに限定されるものではないが、実施例に特定されている化合物を含む本発明の化合物の能力は、Polish Med.Sci.Mon.、Vol.4(5)、747頁(1998年);Szelag、Medical Science Monitor、Vol.4(5)、747−755頁(1998年);およびFitzsimonsら、Inflammation Res.、Vol.47(Suppl.1)、S50−S51頁(1998年)によって示され得る。
【0051】
本発明の化合物は、特に、注意欠陥多動性、アルツハイマー病または認知症に影響を及ぼす状態または障害の治療および予防に有用である。本発明の化合物は、特に、統合失調症または統合失調症の認知障害に影響を及ぼす状態または障害の治療および予防に有用である。本発明の化合物は、特に、ナルコレプシー、睡眠障害、アレルギー性鼻炎、喘息または肥満に影響を及ぼす状態または障害の治療および予防に有用である。
【0052】
本発明の医薬組成物における有効成分の実際の用量レベルを変化させて、特定の患者、組成物および投与形態に合わせて、所望の治療反応を達成するのに有効な量の活性化合物(複数可)を得ることができる。選択された用量レベルは、特定の化合物の活性、投与経路、治療を受ける状態の重篤度、ならびに治療を受ける患者の状態および既往歴によって変わることになる。しかし、所望の治療効果を達成するために必要なレベルよりも低いレベルの用量の化合物で出発し、所望の効果が達成されるまで用量を次第に増加することは当業者に公知である。
【0053】
先の治療もしくは他の治療で使用される場合、治療有効量の本発明の化合物の1つは、純粋な形態で使用することができ、またはかかる形態は、薬学的に許容できる塩、エステル、アミドまたはプロドラッグ形態として存在する。あるいは化合物は、対象となる化合物を、1つまたは複数の薬学的に許容できる担体と組み合わせて含有する医薬組成物として投与することができる。「治療有効量」の本発明の化合物という句は、任意の医療に適用できる合理的な損益比で障害を治療するのに十分な量の化合物を意味する。しかし、本発明の化合物および組成物の1日当たりの総使用量は、適切な医療判断の範囲内で、担当医によって決定されることが理解されよう。任意の特定の患者に合わせた治療上有効な特定の用量レベルは、治療を受ける障害および障害の重篤度;使用される特定の化合物の活性;使用される特定の組成物;患者の年齢、体重、一般的な健康状態、性別および食事;使用される特定の化合物の投与時間、投与経路および排出率;治療期間;使用される特定の化合物と組み合わせてまたは同時に使用される薬物;ならびに医療分野で周知の類似の要素を含む様々な要素に応じて変わることになる。例えば、所望の治療効果を達成するために必要なレベルよりも低いレベルの用量の化合物で出発し、所望の効果が達成されるまで用量を次第に増加することは当業者に周知である。
【0054】
疾患の治療または予防に関して、ヒトまたは下等動物に投与される本発明の化合物の1日当たりの総用量は、体重1kg当たり約0.0003mgから約30mgの範囲を取り得る。経口投与目的では、より好ましい用量は、体重1kg当たり約0.001mgから約0.1mgの範囲を取り得る。所望ならば、1日当たりの有効用量を、投与目的に合わせて複数用量に分割することができる。その結果、単一の投与組成物は、かかる量またはその分量を含有して、その1日当たりの用量を構成することができる。
【0055】
本発明の化合物の調製方法
本発明の化合物は、該化合物を調製することができる手段を例示する以下の合成スキームおよび方法に関連して、より良好に理解することができる。
【0056】
以下のスキームの説明および実施例に使用されている略語は、Xantphosが4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン、[161265−03−8];BINAPが2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル;Bocがブチルオキシカルボニル;EtOAcが酢酸エチル;HPLCが高速液体クロマトグラフィー;IPAがイソプロピルアルコール;Meがメチル;MeOHがメタノール;Msがメタンスルホニル;Pdがパラジウム;tBuがtert−ブチル;TEAがトリエチルアミン;TFAがトリフルオロ酢酸;THFがテトラヒドロフラン;Tsがパラ−トルエンスルホニル;dbaがジベンジリジンアセトン;DCMがジクロロメタン、NH
4OHが飽和水酸化アンモニウム水溶液;rtが適切には17−30℃の範囲である室温または周囲温度である。ヨウ化銅はCuIであり;酢酸パラジウムはPd(OAc)
2である。Emrys法のバイアルは、PersonalChemistry AB(ウプサラ)製のマイクロ波法バイアル(封止キャップ付きの10mlまたは30mlのガラスバイアル)とする。全てのマイクロ波照射実験を、PersonalChemistry AB(ウプサラ)製のEmrys合成機を使用して実施した。全ての実験を、マイクロ波法の封止バイアル中で、標準の吸収レベル(最大出力300W)を利用して実施した。別段指定されない限り、マイクロ波条件下の反応時間は、照射の開始から計測した総放射時間を反映する。文献に報告されている説明から利用可能な、または市販されている化合物の識別名として、CAS番号を使用することができる。CAS番号は、American Chemical SocietyのChemical Abstracts Serviceによって化合物に割り当てられた識別数であり、当業者に周知である。
【0057】
本発明の化合物は、様々な合成手順によって調製することができる。式(I)の化合物の調製についての特別な手順を示す。
【0058】
参照例A
以下の参照例は、実施例に記載の化合物の調製に使用される化合物の合成を記載している。かかる方法は、単にかかる化合物をどの位得ることができるかについての例を提供するものであり、所望の化合物をどのようにして提供するかについて包括的に列挙するものではない。
【0059】
参照例A
エチル(3aR,6aR)−ヘキサヒドロピロロ[2,3−c]ピロール−5(1H)−カルボキシレートジベンゾイル−D−酒石酸塩
実施例A1
((R)−1−フェニル−エチルアミノ)−酢酸メチルエステル
反応器に、R−メチルベンジルアミン10g、EtOAc100mLおよびEt
3N9.19gを充填した。ブロモ酢酸メチル(15.15g)を添加し、混合物を撹拌しながら50−60℃で10時間加熱した。次いで混合物を周囲温度に冷却し、次いで水50mLで洗浄し、その後15%のNaCl溶液50mLで洗浄して、(1−フェニル−エチルアミノ)−酢酸メチルエステル15g(収率96%)を含有するEtOAc溶液100gを得た。
【0060】
実施例A2
(1−(R)−フェニル−エチルアミノ)−酢酸
(1−(R)−フェニル−エチルアミノ)−酢酸メチルエステルの溶液(EtOAc中溶液21.7g)を濃縮し、残渣を水24mLに溶解し、13時間加熱還流した。完了時、混合物を減圧下で濃縮し、イソプロパノール30mLを添加した。得られた沈殿物を濾過し、イソプロパノール10mLですすぎ、次いで減圧下で乾燥させて、標題化合物2.4gを得た。
【0061】
実施例A3
エチル1−((R)−フェニルエチル)ヘキサヒドロピロロ[2,3−c]ピロール−5(1H)−カルボキシレート
(1−(R)−フェニル−エチルアミノ)−酢酸(25.6g)のトルエン384mL中溶液を、90℃に加熱した。これに、アリル−(2−オキソ−エチル)−カルバミン酸エチルエステル(米国特許第5,071,999号明細書)のトルエン中15.84wt%溶液170g(1.1当量)を20分かけて添加し、混合物を90℃で14時間撹拌し、次いで95℃で12時間撹拌した。冷却後、生成物を20%クエン酸溶液115g×2で抽出した。クエン酸溶液を酢酸イソプロピル205mLで希釈し、混合物をK
2CO
351.2gの水120g中溶液で中和し、十分に振とうした。各層を分離し、水層を酢酸イソプロピル102mLで再度抽出した。有機抽出物を混合し、減圧下で希釈して油を得、次いでそれをMeOH125mLで希釈して、標題化合物140g(収率100%)を、MeOH中30重量%溶液として得た。
【0062】
実施例A4
エチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキシレート
活性炭(13.9g、水中50%w/w)上の5%水酸化パラジウムを、加圧反応器に添加した。実施例A3の生成物(エチル1−((R)−1−フェニルエチル)ヘキサヒドロピロロ[2,3−c]ピロール−5(1H)−カルボキシレート(131.3g)のMeOH中25.9wt%溶液506.8gとしてを添加し、その後MeOHのすすぎ液(37g)を添加した。混合物を、水素雰囲気下(40psi)で4時間、50℃に加熱した。混合物を、HYFLO Filter Aid(HYFLOは、カリフォルニア州、ロサンゼルスのCelite Products Companyの登録商標である)を介して濾過し、MeOH200mLですすいで、標題化合物78.9gを含有する溶液を得た。
【0063】
実施例A5
エチル(3aR,6aR)−ヘキサヒドロピロロ[2,3−c]ピロール−5(1H)−カルボキシレートジベンゾイル−D−酒石酸塩
エチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキシレート150gの溶液(MeOH中約11.2%wt)を、60℃に加熱した。これに、MeOH(591mL+すすぎ液95mL)に溶解したD−ベンゾイル酒石酸一水和物(231.5g)の溶液を添加し、混合物を60±5℃で2時間撹拌し、その間に結晶化が生じた。スラリーを6時間かけて18℃に冷却し、生成物を濾過によって収集し、MeOHですすいだ(2×330mL)。生成物を40−45℃で乾燥させて、標題化合物198gを得た。Cbz−誘導体((3aR,6aR)−1−ベンジル5−エチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−1,5−ジカルボキシレートのキラルHPLC分析。Cbz基は、生成物のカルボベンジルオキシ保護基の略語であり、その生成物が99%エナンチオマー過剰で得られたことを示している。
【0064】
実施例A6
(3aR、6aR)−5−メチル−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−b]ピロール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
(3aR、6aR)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−b]ピロール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(18.31g、0.86mol)のMeOH(450ml)中溶液に、パラホルムアルデヒド(52g、1.72モル)を添加し、混合物を室温で1時間撹拌した。次いでシアノ水素化ホウ素ナトリウムを添加し、混合物を室温で10時間撹拌し、1NのNaOH(450ml)で希釈し、ジクロロメタンで抽出した(5×200ml)。混合有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、濃縮して標題化合物を得た。
1H NMR(300MHz,DMSO−d
6)δ ppm 4.18(m,1H)3.47−3.59(m,1H)3.34−3.46(m,2H)2.75−2.90(m,1H)2.71(m,1H)2.44−2.60(m,2H)2.29(s,3H)1.89−2.06(m,1H)1.65−1.81(m,1H)1.42−1.49(m,9H)。MS:(M+H)
+=226。
【0065】
(3aR、6aR)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−b]ピロール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(CAS#370880−09−4)は、キラルカラムクロマトグラフィーもしくはジアステレオマー塩の分別結晶化によって分解できるラセミ体を提供する、Schenkeら、「Preparation of 2,7−Diazabicyclo[3.3.0]octanes」、米国特許第5,071,999号(1991年)に記載のように、またはBashaら、「Substituted Diazabicycloalkane Derivatives」、米国特許出願公開第2005/0101602号明細書(2005年)に記載のように調製することができる。
【0066】
実施例A7
(3aR、6aR)−5−メチル−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−b]ピロール
実施例A6の生成物(20.8g、0.86モル)のMeOH(450ml)中溶液に、3NのHCl水溶液(300ml)を添加した。混合物を終夜室温で撹拌し、次いで真空下、30℃で濃縮乾燥させた。残渣を1NのNaOH水溶液で処理して、pH9−10を得た。混合物を濃縮乾燥させた。粗材料をクロマトグラフィーによって精製して(ジクロロメタン中10%MeOHおよび1%NH
4OH混合物で溶出)、標題化合物を得た。
1H NMR(300MHz,CDCl
3)δ ppm 4.12−4.17(m,1H)3.31−3.43(m,1H)3.19−3.30(m,1H)3.12(d,J=11.53Hz,1H)2.88−3.01(m,1H)2.69(dd,J=9.49,2.37Hz,1H)2.40−2.52(m,2H)2.33(s,3H)2.12−2.28(m,1H)1.82−1.95(m,1H)。MS:(M+H)
+=127。
【0067】
実施例A8
(3aR、6aR)−1−(4−ブロモ−フェニル)−5−メチル−オクタヒドロ−ピロロ[3,4−b]ピロール
実施例A7の生成物(2.30g、18.2mmole)、1,4−ジブロモベンゼン(5.16g、20.9mmole)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(340mg、0.36mmole)、ラセミ−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(460mg、0.73mmole)およびナトリウムtert−ブトキシド(2.63g、27.3mmole)を、トルエン20mlに溶解し、N
2下で16時間、70℃に加熱した。混合物を室温に冷却し、水で希釈し、ジクロロメタンで抽出した(×5)。混合有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、クロマトグラフィーによって精製して(ジクロロメタン中5%MeOH混合物で溶出)、標題化合物を得た。
1H NMR(300MHz,CDCl
3)δ ppm 7.25−7.30(m,2H)6.41−6.46(m,2H)4.07(m,1H)3.47(ddd,J=9.1,7.7,5.9Hz,1H)3.19(dt,J=8.9,7.3Hz,1H)2.95(m,1H)2.68(dd,J=9.0,3.0Hz,1H)2.55−2.60(m,3H)2.32(s,3H)2.13−2.22(m,1H)1.88−1.98(m,1H)。MS:(M+H)
+=281/283。
【0069】
実施例
本発明の化合物および方法は、例示的であり本発明の範囲を制限するものではない以下の実施例を参照することによって、よりよく理解されよう。
【0070】
別段の記載がない限り、反応は、周囲条件(17−27℃の範囲)下、窒素下で実施した。別段の記載がない限り、「カラムクロマトグラフィー」は、有機合成の技術者に周知の技術であるシリカゲルを使用して実施されるフラッシュクロマトグラフィーを意味する。
【0071】
実施例1
(3aR,5R,6aR)−5−メチル−1−(4’−(6−オキソピリダジン−1(6H)−イル)ビフェニル−4−イル)オクタヒドロピロロ[3,4−b]ピロール5−オキシドおよび(3aR,5S,6aR)−5−メチル−1−(4’−(6−オキソピリダジン−1(6H)−イル)ビフェニル−4−イル)オクタヒドロピロロ[3.4−b]ピロール5−オキシド
実施例1A
(3aR、6aR)−1−(4’−ブロモ−ビフェニル−4−イル)−5−メチル−オクタヒドロ−ピロロ[3,4−b]ピロール
標題化合物は、実施例A8の手順に従って、1,4−ジブロモベンゼンの代わりに4,4’−ジブロモビフェニルを使用して調製した。
1H NMR(300MHz,CDCl
3)δ ppm 7.39−7.53(m,6H)6.60−6.66(m,2H)4.17−4.23(m,1H)3.52−3.61(m,1H)3.26−3.35(m,1H)2.98−3.05(m,1H)2.70−2.80(m,2H)2.58−2.64(m,2H)2.38(s,3H)2.15−2.26(m,1H)1.97(m,1H)。MS:(M+H)
+=357/359。
【0072】
実施例1B
2−{4’−[(3aR,6aR)−5−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−1(2H)−イル]−1,1’−ビフェニル−4−イル}ピリダジン−3(2H)−オン
実施例1Aの生成物(4.54g、12.6mmole)、3(2H)−ピリダジジノン(2.41g、25.2mmole)、銅粉末(1.60g、25.2mmole)および炭酸カリウム(5.21g、37.7mmole)を、キノリン63mlに溶解し、N
2下、150℃で48時間加熱した。混合物を室温に冷却し、ヘキサン(15ml)で希釈し、CELITEフィルター(CELITEは、コロラド州、デンバーのJohns−Manville Corporationの登録商標である)を介して濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をクロマトグラフィーによって精製して(まずジエチルエーテルで溶出し、その後ジクロロメタンで溶出し、次いでジクロロメタン中5%MeOH混合物で溶出)、標題化合物、2−{4’−[(3aR,6aR)−5−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−1(2H)−イル]−1,1’−ビフェニル−4−イル}ピリダジン−3(2H)−オンを得た。
1H NMR(300MHz,CDCl
3)δ ppm 7.91(dd,J=3.73,1.70Hz,1H)7.61−7.65(m,4H)7.51(d,J=8.48Hz,2H)7.25(dd,dd,J=9.40,4.07Hz,1H)7.07(dd,J=9.49,1.70Hz,1H)6.64(d,J=8.81Hz,2H)4.19−4.27(m,1H)3.54−3.64(m,1H)3.28−3.38(m,1H)3.00−3.11(m,1H)2.56−2.85(m,4H)2.40(s,3H)2.10−2.29(m,1H)1.89−2.05(m,J=6.78Hz,1H);MS(M+H)
+=373。得られた固体(3aR、6aR)−2−[4’−(5−メチル−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−b]ピロール−1−イル)−ビフェニル−4−イル]−2H−ピリダジン−3−オンは、204−207℃(分解)の溶融範囲を示した。
【0073】
あるいは、実施例1Bの生成物である(3aR、6aR)−2−[4’−(5−メチル−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−b]ピロール−1−イル)−ビフェニル−4−イル]−2H−ピリダジン−3−オンは、以下の手順に従って調製することができる。
【0074】
実施例1C
エチル(3aR,6aR)−ヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキシレート
実施例A5の生成物(205g)およびCH
2Cl
2(1L)を混合し、0℃に冷却した。20%KOH溶液1.54Lを0℃に冷却し、次いで塩のスラリーにゆっくり添加し、二相性の反応混合物を0℃で激しく撹拌した。2.75時間後、各層を分離し、水層をCH
2Cl
2(1L)で抽出した。有機層を混合し、減圧下で濃縮し、次いでトルエン(1.6L)を添加して、生成物の19wt%溶液386g(100%)を得た。
【0075】
実施例1D
エチル(3aR,6aR)−1−(4’−ブロモ−1,1’−ジフェニル−4−イル)ヘキサヒドロピロロ[3.4−b]ピロール−5(1H)−カルボキシレート
4,4’−ジブロモビフェニル(12.48g、2.0当量)および炭酸セシウム(13.04g、2.0当量)を入れた容器に、実施例1Cの生成物(17.9wt%、20.6g、1.0当量)を添加し、その後その容器を排気し、パージした。Xantphos(0.77g、0.067当量)および酢酸パラジウム(II)(0.22g、0.049当量)を混合することによって、触媒溶液を分離容器内で調製し、脱ガスした後、トルエン17.3gを撹拌しながら添加した。
【0076】
触媒溶液を、4,4’−ジブロモビフェニル、炭酸セシウムおよび実施例41Cの生成物を入れた容器に添加し、その混合物を12時間、98℃に加熱した。混合物を20℃に冷却し、ジクロロメタン80gを添加した。得られた混合物を撹拌し、次いで濾過して触媒を除去した。得られた溶液を減圧下で濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物5.65gを得た。
【0077】
実施例1E
エチル(3aR,6aR)−1−[4’−(6−オキソピリダジン−1(6H)−イル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]ヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキシレート
ヨウ化銅(I)1.98g(10.4mmole、0.10当量)、8−ヒドロキシキノリン1.66g(11.44mmole、0.11当量)、炭酸カリウム4.0g(28.94mmole、0.29当量)のジメチルホルムアミド(DMF)18.8g中混合物を、周囲温度で混合した。混合物を、実施例1Dの生成物41.6g(100.16mmole、1.00当量)、炭酸カリウム23.6g(170.75mmole、1.70当量)および3(2H)−ピリダジノン14.4g(149.86mmole、1.50当量)を入れた別のフラスコに添加した。追加のDMF(226g)を使用して、触媒スラリーを移した。得られた混合物を脱酸素化し、次いで約18時間、140℃に加熱した。周囲温度に冷却した後、混合物をTHF567gおよび10%NaCl溶液384gで希釈した。混合物を濾過して、可溶の塩を除去し、水相を分離し、追加のTHF177gで逆抽出した。次いで、混合有機相を10%NaCl溶液で洗浄した(3×384g)。有機相を減圧下で濃縮し、MeOH(253g)を添加し、内容物を減圧下で濃縮した。追加のMeOH(158g)を添加した後、内容物を0℃に冷却し、濾過し、冷却したMeOHで洗浄した。得られた固体を真空オーブンに移して、35.31gを得た(収率81.9%)。質量分析:431.5(m.w.430.5)。
1H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ ppm 1.15(s,3H)、1.78−1.88(m,1H)、2.10(ddd,J=12.49,6.17,6.04Hz,1H)、3.03(s,1H)、3.24−3.35(m,5H)、3.53(ddd,J=9.23,6.86,6.69Hz,2H)、3.67(s,1H)、4.00(s,2H)、4.22(s,1H)、6.63(d,J=8.51Hz,2H)、7.07(dd,J=9.47,1.51Hz,1H)、7.48(dd,J=9.47,3.84Hz,1H)、7.53−7.60(m,4H)、7.68(d,J=8.64Hz,2H)、8.06(dd,J=3.84,1.51Hz,1H)。
13C NMR(100MHz,DMSO−d6)δ ppm 14.79(CH3)、28.89(CH
2)、47.71(CH
2)、60.24(CH
2)、112.34(CH)、124.87(CH)、125.27(CH)、126.02(C)、126.89(CH)、130.05(CH)、131.69(CH)、136.87(CH)、138.78(C)、139.31(C)、145.61(C)、153.53(C)、158.64(C)。
【0078】
実施例1F
2−{4’−[(3aR,6aR)−ヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロロ−1(2H)−イル]−1,1’−ビフェニル−4−イル}ピリダジン−3(2H)−オン
酢酸(37mL、205.57mmol、11.8当量)中33%HBrにおける実施例1Eの生成物(7.50g、17.42mmol)の混合物を、少なくとも6時間、65−70℃に加熱すると同時に、HPLC分析によって完了をモニタした。反応が完了すると、混合物を45℃以下に冷却し、MeOH(111mL)で希釈する。混合物を20−25℃に冷却し、生成物を濾過によって収集し、新しいMeOH(50mL)で洗浄する。湿ケーキを55℃以下の真空オーブン中で乾燥させて、標題化合物を得る(7.25g、94.8%)。
【0079】
実施例1G
2−[4’−(3aR,6aR)−(5−メチルヘキサヒドロピロロ[3.4−b]ピロロ−1(2H)−イル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]ピリダジン−3(2H)−オン
実施例1Fの生成物(13.80g、31.41mmol)のジメチルアセトアミド(500mL)中撹拌溶液に、37%ホルムアミド水溶液(7.2mL、94.23mmol、3.0当量)を添加し、その後トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(20.0g、94.23mmol、3.0当量)を添加した。混合物を25+/−5℃で30分間撹拌し、その間に出発材料を消費し、透明な溶液を得た。混合物を1NのHCl(94mL、94mmol、3当量)で希釈し、1時間撹拌した。混合物を1NのNaOH(335mL)でpH9.0+/−0.5に調節した。混合物を1時間撹拌し、次いで濾過した。湿ケーキを水で洗浄し、約50℃の真空オーブン内で乾燥させて、標題化合物、2−[4’−(3aR,6aR)−(5−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−1(2H)−イル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]ピリダジン−3(2H)−オン(10.40g、88.9%)を得た。
【0080】
実施例1H
(3aR,5R,6aR)−5−メチル−1−(4’−(6−オキソピリダジン−1(6H)−イル)ビフェニル−4−イル)オクタヒドロピロロ[3,4−b]ピロール5−オキシド
実施例1Gの生成物(5g、13.44mmol)のDCM(80mL)およびMeOH(40mL)中溶液を、過酸化水素(5.2mL、H
2O中30%、53.8mmol)で処理した。混合物を48時間、50℃に加熱した。混合物を減圧下で濃縮して、溶液のまま小体積にした。溶液をANALOGIX SuperFlashシリカゲルカラム(ANALOGIXは、ウィスコンシン州、バーリントンのAnalogix Inc.の登録商標である)に搭載し、NH
4OH/MeOH/DCM(1/10/90)で溶出して、動きの速い成分(実施例1Iと比較)を、標題生成物として得た。
1H NMR(300MHz,DMSO)δ ppm 8.06(m,1H)、7.69(d,J=9Hz,2H)、7.57(d,J=9Hz,4H)、7.50(d,J=6Hz,1H)、7.08(dd,dd,J=9,4.0Hz,1H)、6.70(d,J=9Hz,2H)、4.72(d,J=6Hz,1H)、3.75−3.82(m,1H)、3.52−3.59(m,2H)、3.36−3.45(m,3H)、3.15−3.21(m,1H)、3.14(s,3H)、2.05−2.12(m,1H)、1.80−1.86(m,1H);MS(DCI,)M
+=388。
【0081】
実施例1I
(3aR,5S,6aR)−5−メチル−1−(4’−(6−オキソピリダジン−1(6H)−イル)ビフェニル−4−イル)オクタヒドロピロロ[3,4−b]ピロール5−オキシド
実施例1Gの生成物(5g、13.44mmol)のDCM(80mL)およびMeOH(40mL)中溶液を、過酸化水素(5.2mL、H2O中30%、53.8mmol)で処理した。混合物を48時間、50℃に加熱した。混合物を減圧下で濃縮して、溶液のまま小体積にした。溶液をANALOGIX SuperFlashシリカゲルカラム(ANALOGIXは、ウィスコンシン州、バーリントンのAnalogix Inc.の登録商標である)に搭載し、NH
4OH/MeOH/DCM(1/10/90)で溶出して、動きの遅い成分(実施例1Hと比較)を、標題生成物として得た。
1H NMR(300MHz,DMSO)δ ppm 8.07(m,1H)、7.70(d,J=9Hz,2H)、7.57(d,J=9Hz,4H)、7.50(d,J=6Hz,1H)、7.08(dd,dd,J=9,4.0Hz,1H)、6.65(d,J=9Hz,2H)、4.48−4.54(m,1H)、3.81−3.87(m,1H)、3.66−3.74(m,2H)、3.36−3.42(m,2H)、3.24(m,1H)、3.09(s,3H)、2.11−2.17(m,1H);MS(DCI,)M
+=388。
【0082】
実施例2
2−(5−{4−[(3aR,6aR)−5−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−1(2H)−イル]フェニル}ピリジン−2−イル)ピリダジン−3(2H)−オン
実施例2A
tert−ブチル(3aR,6aR)−1−(4−ブロモフェニル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキシレート
tert−ブチル(3aR,6aR)−ヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキシレート(1、1.5g、7.0mmol)、1,4−ジブロモベンゼン(2.8g、20.4mmol)、Pd
2(dba)
3(275mg、0.3mmol)、BINAP(375mg、0.6mmol)およびナトリウムtert−ブトキシド(1.93g、20.0mmol)の混合物を、ガラス製のマイクロ波管に入れ、次いでN
2ガスで3回パージし、その後トルエン(45mL)を添加した。混合物を、マイクロ波反応器中、15分間140℃に加熱した。次いで、混合物を室温に冷却し、濾過し、クロマトグラフィー(SiO
2、0−25%EtOAc:ヘキサン)を介して粗混合物を精製して、標題化合物を得た。
1H NMR(300MHz,CDCl
3):δ=7.30ppm(m,2H)、7.39(m,2H)、4.11(m,1H)、3.57(m,3H)、3.31(m,3H)、2.99(m,1H)、2.15(m,1H)、1.92(m,1H)、1.43(s,9H)。MS(ESI,M+1):310.9。
【0083】
tert−ブチル(3aR,6aR)−ヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキシレート(CAS#370882−39−6)は、Schrimpfら、「Diazabicyclic Central Nervous System Active Agents」、国際公開第2001/081347(A2)号パンフレット(2001年)に記載の方法によって調製することができる。
【0084】
実施例2B
(3aR,6aR)−1−(4−ブロモフェニル)−5−メチルオクタヒドロピロロ[3,4−b]ピロール
23℃の(3aR,6aR)−tert−ブチル1−(4−ブロモフェニル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキシレート(1.86g、5.1mmol)のCH
2Cl
2(50mL)中溶液に、TFA(8mL)を添加し、混合物を2時間撹拌した。溶媒を真空下で除去し、残渣をMeOH(50mL)に溶解し、その後ホルムアルデヒド(37%、3mL、40mmol)およびNaBH
3CN(950mg、15.1mmol)を添加した。混合物を23℃で10時間撹拌し、減圧下で濃縮し、残渣をCH
2Cl
2(100mL)に溶解し、水(2×50mL)、ブライン(1×30mL)で逐次的に洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物の混合物を、クロマトグラフィー(SiO
2、CH
2Cl
2中0−10%MeOH)によって精製して、標題化合物を得た。
1H NMR(300MHz,CDCl
3):δ=7.28ppm(m,2H)、6.44(m,2H)、4.05(m,1H)、3.45(m,1H)、3.19(m,1H)、2.94(m,1H)、2.67(m,1H)、2.52(m,3H)、2.30(s,3H)、2.16(m,1H)、1.95(m,1H)。MS(ESI,M+1):280.8。
【0085】
実施例2C
(3aR,6aR)−5−メチル−1−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)オクタヒドロピロロ[3,4−b]ピロール
(3aR,6aR)−1−(4−ブロモフェニル)−5−メチルオクタヒドロピロロ[3,4−b]ピロール(1.0g、3.6mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(4,4,4’,4’,5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ(1,3,2−ジオキサボロラン(1.0g、3.9mmol)、Pd(dppf)Cl
2CH
2Cl
2(100mg、0.12mmol)およびKOAc(1150mg、11.7mmol)を、封止したマイクロ波反応管に入れ、N
2ガスで3回パージした。ジオキサン(20mL)を添加し、混合物を150℃で15分間加熱した。23℃に冷却した後、混合物を濾過し、溶媒を減圧下で除去した。次いで混合物をクロマトグラフィー(SiO
2、ヘキサン中10−60%EtOAc)によって精製して、標題化合物を得た。
1H NMR(300MHz,CDCl
3):δ=7.67ppm(m,2H)、6.54(m,2H)、4.21(m,1H)、3.52(m,1H)、3.33(m,1H)、2.97(m,1H)、2.67(m,2H)、2.57(m,2H)、2.34(br,3H)、2.15(m,1H)、1.95(m,1H)、1.32(s,12H)。MS(ESI,M+1):329.1。
【0086】
実施例2D
2−(5−ブロモピリジン−2−イル)ピリダジン−3(2H)−オンおよび2−(6−ブロモピリジン−3−イル)ピリダジン−3(2H)−オン
3−ピリダジノン(300mg、3.1mmol)、2,5−ジブロモピリジン(1.0g、4.2mmol)、銅粉末(200mg、3.1mmol)およびK
2CO
3(1.29g、9.3mmol)を、封止したマイクロ波管に入れ、N
2ガスで3回パージし、その後ピリジン(15mL)を添加した。混合物を、マイクロ波反応器中、40分間120℃に加熱した。混合物を減圧下で濃縮し、その後残渣をCH
2Cl
2/MeOHに溶解し、濾過し、減圧下で濃縮した。粗混合物をクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン中10−80%EtOAc)によって精製して、標題化合物を得た。
【0087】
2−(5−ブロモピリジン−2−イル)ピリダジン−3(2H)−オン。
1H NMR(300Mhz,CDCl
3):δ=8.72ppm(s(br),1H)、7.99(m,2H)、7.68(d(br),J=8.4Hz,1H)、7.29(dd(br),J=8.4,3.7Hz,1H)、7.07(dd,J=9.5,1.7Hz,1H)。MS(ESI,M+1):253.8。
【0088】
2−(6−ブロモピリジン−3−イル)ピリダジン−3(2H)−オン。
1H NMR(300MHz,CDCl
3):δ=8.76ppm(d,J=3.4Hz,1H)、7.98(dd,J=8.5,2.7Hz,1H)、7.94(dd,J=2.7,1.7Hz,1H)、7.59(d,J=8.4Hz,1H)、7.29(dd,J=8.4,3.4Hz,1H)、7.06(dd,J=8.5,1.7Hz,1H)。MS(ESI,M+1):253.8。
【0089】
実施例2E
2−(5−(4−((3aR,6aS)−5−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−1(2H)−イル)フェニル)ピリジン−2−イル)ピリダジン−3(2H)−オン
(3aR,6aR)−5−メチル−1−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)オクタ−ヒドロ−ピロロ[3,4−b]ピロール(50mg、0.15mmol)、2−(5−ブロモピリジン−2−イル)ピリダジン−3(2H)−オン(42mg、0.17mmol)、Pd(PPh
3)
2Cl
2(11mg、0.01mmol)、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル(5.6mg、0.016mmol)およびNa
2CO
3(1M、225μL)を、マイクロ波管に入れ、N
2でパージし、溶媒混合物(EtOH:ジオキサン=1:1、1mL)を添加した。混合物をマイクロ波反応器中、15分間140℃に加熱し、周囲温度に冷却し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をクロマトグラフィー(SiO
2、CH
2Cl
2中0−10%MeOH)によって精製して、標題化合物、2−(5−(4−((3aR,6aS)−5−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−1(2H)−イル)フェニル)ピリジン−2−イル)ピリダジン−3(2H)−オンを得た。
1H NMR(300MHz,CDCl
3):δ=8.82ppm(d,J=2.8Hz,1H)、7.98(m,2H)、7.73(d,J=8.2Hz,1H)、7.52(m,2H)、7.28(dd,J=10.1,3.7Hz,1H)、7.09(dd,J=10.1,1.7Hz,1H)、6.67(m,2H)、4.39(m,1H)、3.66(m,1H)、3.30(m,3H)、2.87(m,2H)、2.59(s(br),3H)、2.23(m,2H)、2.05(m,1H)。MS(ESI,M+1):374.2。
【0090】
実施例2F
(3aR,5R,6aR)−5−メチル−1−(4−(6−(6−オキソピリダジン−1(6H)−イル)ピリジン−3−イル)フェニル)オクタヒドロピロロ[3,4−b]ピロール5−オキシド
実施例2Eの生成物(23mg、0.062mmol)のDCM(0.5mL)およびMeOH(1mL)中溶液を、過酸化水素(0.04mL、H
2O中30%、0.24mmol)で処理した。混合物を4mLのバイアルに入れてねじ口を閉め、24時間50℃に加熱した。混合物を減圧下で濃縮して、溶液のまま小体積にした。溶液をANALOGIX SuperFlashシリカゲルカラム(ANALOGIXは、ウィスコンシン州、バーリントンのAnalogix Inc.の登録商標である)に搭載し、NH4OH/MeOH/DCM(1/10/90)で溶出して、動きの速い成分(実施例2Gと比較)を、標題生成物、(3aR,5R,6aR)−5−メチル−1−(4−(6−(6−オキソピリダジン−1(6H)−イル)ピリジン−3−イル)フェニル)オクタヒドロピロロ[3,4−b]ピロール5−オキシドとして得た。1H NMR(500MHz,メタノール−D4)δ ppm 1.25−1.31(m,1H)1.94−2.00(m,J=19.22Hz,1H)2.21−2.29(m,J=37.84Hz,1H)3.26−3.28(m,3H)3.47(d,J=27.77Hz,1H)3.55(d,J=25.33Hz,1H)3.66(不明,1H)4.03(dd,J=11.44,8.09Hz,1H)6.78(d,J=8.54Hz,1H)7.12(dd,J=9.76,1.53Hz,1H)7.53(dd,J=9.61,3.81Hz,1H)7.62(d,J=8.85Hz,2H)7.65(d,J=8.54Hz,1H)8.19(dd,J=8.24,2.44Hz,1H)8.76(d,J=2.14Hz,1H)。MS(DCI,)M
+=389。
【0091】
実施例2G
(3aR,5S,6aR)−5−メチル−1−(4−(6−(6−オキソピリダジン−1(6H)−イル)ピリジン−3−イル)フェニル)オクタヒドロピロロ[3,4−b]ピロール5−オキシド
実施例2Eの生成物(23mg、0.062mmol)のDCM(0.5mL)およびMeOH(1mL)中溶液を、過酸化水素(0.04mL、H2O中30%、0.24mmol)で処理した。混合物を4mLのバイアルに入れてねじ口を閉め、24時間50℃に加熱した。混合物を減圧下で濃縮して、溶液のまま小体積にした。溶液をANALOGIX SuperFlashシリカゲルカラム(ANALOGIXは、ウィスコンシン州、バーリントンのAnalogix Inc.の登録商標である)に搭載し、NH4OH/MeOH/DCM(1/10/90)で溶出して、動きの遅い成分(実施例2Fと比較)を、標題生成物、(3aR,5S,6aR)−5−メチル−1−(4−(6−(6−オキソピリダジン−1(6H)−イル)ピリジン−3−イル)フェニル)オクタヒドロピロロ[3,4−b]ピロール5−オキシドとして得た。(3aR,5S,6aR)−5−メチル−1−(4−(6−(6−オキソピリダジン−1(6H)−イル)ピリジン−3−イル)フェニル)オクタヒドロピロロ[3,4−b]ピロール5−オキシド。1H NMR(501MHz,メタノール−D4)δ ppm 1.27−1.30(m,1H)2.25−2.30(m,1H)3.25(s,3H)3.35−3.48(m,3H)3.52−3.57(m,J=21.09Hz,1H)3.71(q,1H)3.82(dd,J=11.41,8.34Hz,1H)4.02(dd,J=12.08,6.52Hz,1H)4.62−4.67(m,J=19.36Hz,1H)6.73(d,J=8.82Hz,1H)7.09(dd,J=9.39,1.53Hz,1H)7.49(dd,J=9.39,3.83Hz,1H)7.59(d,J=8.82Hz,1H)7.61(d,J=8.43Hz,1H)8.03(dd,J=3.83,1.53Hz,1H)8.15(dd,J=8.24,2.49Hz,1H)8.72(d,J=2.11Hz,1H)。MS(DCI)M
+=389。
【0092】
本発明の医薬組成物
本発明はまた、治療有効量の式(I)の化合物またはその適切な塩および多形体を、薬学的に許容できる担体と組み合わせて含む医薬組成物を提供する。該組成物は、1つまたは複数の非毒性の薬学的に許容できる担体と一緒に製剤化された本発明の化合物を含む。医薬組成物は、経口投与に合わせて固体または液体の形態で、非経口注射または直腸投与に合わせて製剤化することができる。
【0093】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容できる担体」という用語は、非毒性の、不活性な固体、半固体または液体の充填剤、希釈剤、封入材料または任意の種類の製剤用助剤を意味する。薬学的に許容できる担体として働くことができる材料のいくつかの例には、ラクトース、グルコースおよびショ糖などの糖;トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプンなどのデンプン;カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなどのセルロースおよびその誘導体;粉末化トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;カカオ脂および坐剤用ワックス;ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油および大豆油などの油;プロピレングリコールなどのグリコール;オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル;寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;アルギン酸;発熱物質を含まない水;等張食塩水;リンガー溶液;エチルアルコールおよびリン酸緩衝溶液、ならびにラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなどの他の非毒性の相溶性のある潤滑剤、ならびに製剤の技術者の判断に従ってやはり組成物中に存在することができる着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤および香料、保存剤および抗酸化剤がある。
【0094】
本発明の医薬組成物は、ヒトおよび他の哺乳動物に、経口、直腸、非経口、嚢内、膣内、腹腔内、局所(粉末、軟膏またはドロップとして)、口腔、または経口もしくは鼻腔スプレーとして投与することができる。「非経口」という用語は、本明細書で使用される場合、静脈内、筋肉内、腹腔内、胸骨内、皮下、関節内注射および注入を含む投与形態を指す。
【0095】
非経口注射のための医薬組成物は、薬学的に許容できる、滅菌水性または非水性溶液、分散液、懸濁液またはエマルション、ならびに注射可能な滅菌溶液または分散液に入れて再構成するための滅菌粉末を含む。適切な水性および非水性担体、希釈剤、溶剤または賦形剤の例には、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール等およびそれらの適切な混合物)、オリーブ油などの植物油およびオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルまたはそれらの適切な混合物が含まれる。組成物の適切な流動性は、例えばレシチンなどのコーティングを使用することによって、分散液の場合には必要な粒径を維持することによって、および界面活性剤を使用することによって維持することができる。
【0096】
これらの組成物は、保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤などの助剤を含有することもできる。微生物の作用の予防は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸等によって確保することができる。組成物はまた、等張剤、例えば糖、塩化ナトリウム等を含むがことが望ましい。注射可能な医薬形態の持続吸収は、吸収遅延剤、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを使用することによってもたらすことができる。
【0097】
いくつかの場合、薬物の効果を延長するために、皮下または筋肉内注射によって薬物の吸収を遅らせることがしばしば望ましい。このことは、水溶性の低い結晶または非晶質材料の懸濁液を使用することによって達成することができる。次に、薬物の吸収速度はその溶解速度に依存し、したがって結晶の大きさおよび結晶形に依存し得る。あるいは、非経口投与薬物形態の遅延吸収は、薬物を油の賦形剤に溶解または懸濁することによって達成される。
【0098】
懸濁液は、活性化合物に加えて、懸濁化剤、例えばエトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド(metahydroxide)、ベントナイト、寒天、トラガカントおよびそれらの混合物を含有することができる。所望ならば、より効果的な分布のために、本発明の化合物を、ポリマーマトリックス、リポソームおよびマイクロスフィアなどの徐放系または標的送達系に組み込むことができる。それらは、例えば細菌保持フィルターによる濾過によって、または使用直前に滅菌水もしくはいくつかの他の注射可能な滅菌媒体に溶解することができる滅菌固体組成物の形態に滅菌剤を組み込むことによって、滅菌することができる。
【0099】
注射可能なデポー形態は、ポリラクチド−ポリグリコリドなどの生分解可能なポリマー内に、薬物のマイクロ封入マトリックスを形成することによって製造される。薬物対ポリマー比および使用される特定のポリマーの性質に応じて、薬物の放出速度を制御することができる。他の生分解可能なポリマーの例には、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が含まれる。注射可能なデポー製剤は、身体組織と相溶性のあるリポソームまたはマイクロエマルション内に薬物を封入することによっても調製される。
【0100】
注射可能な製剤は、例えば細菌保持フィルターによる濾過によって、または使用直前に滅菌水もしくは他の注射可能な滅菌媒体に溶解もしくは分散することができる滅菌固体組成物の形態に滅菌剤を組み込むことによって、滅菌することができる。
【0101】
注射可能な調製物、例えば注射可能な滅菌水性または油性懸濁液は、公知の技術に従って、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を使用して製剤化することができる。注射可能な滅菌調製物は、1,3−ブタンジオール中溶液などの、非毒性の非経口として許容できる希釈剤または溶剤中の注射可能な滅菌溶液、懸濁液またはエマルションであってもよい。使用することができる許容できる賦形剤および溶剤の中には、水、リンガー溶液、U.S.P.および塩化ナトリウム等張溶液がある。さらに滅菌固定油は、溶剤または懸濁化媒体として従来使用されている。この目的では、合成モノまたはジグリセリドを含む任意の無刺激性の固定油を使用することができる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸が、注射可能物の調製物中に使用される。
【0102】
経口投与のための固体剤形には、カプセル、錠剤、丸薬、粉末および顆粒が含まれる。かかる固体剤形では、本発明の1つまたは複数の化合物は、クエン酸ナトリウムもしくは第2リン酸カルシウムなどの少なくとも1つの不活性な薬学的に許容できる担体と、および/またはa)デンプン、ラクトース、ショ糖、グルコース、マンニトールおよびサリチル酸などの充填剤もしくは増量剤、b)カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖およびアカシアなどの結合剤、c)グリセロールなどの保湿剤、d)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、e)パラフィンなどの溶解遅延剤、f)第4級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、g)セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤、h)カオリンおよびベントナイト粘土などの吸収剤、ならびにi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムおよびそれらの混合物などの潤滑剤と混合される。カプセル、錠剤および丸薬の場合、剤形は緩衝剤を含むこともできる。
【0103】
類似の種類の固体組成物も、ラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量のポリエチレングリコールを使用する軟性および剛性充填ゼラチンカプセル内の充填剤として使用することができる。
【0104】
錠剤、糖衣錠、カプセル、丸薬および顆粒の固体剤形は、腸溶コーティングおよび医薬製剤技術分野で周知の他のコーティングなどのコーティングおよびシェルを用いて調製することができる。それらは、場合によって乳白剤を含有することができ、それらが有効成分(複数可)のみを放出し、または優先的に腸管の特定の一部において遅延方式で放出する組成物であってもよい。活性剤の遅延放出に有用となり得る材料の例には、ポリマー物質およびワックスが含まれ得る。
【0105】
直腸または経膣投与のための組成物は、好ましくは、本発明の化合物と、周囲温度で固体であるが体温で液体となり、したがって直腸または膣腔内で溶融し活性化合物を放出する、カカオ脂、ポリエチレングリコールまたは坐剤用ワックスなどの適切な非刺激性担体とを混合することによって調製できる坐剤である。
【0106】
経口投与のための液体剤形には、薬学的に許容できるエマルション、マイクロエマルション、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシルが含まれる。活性化合物に加えて、液体剤形は、例えば水またはエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実、落花生、トウモロコシ、胚芽、オリーブ、ヒマシおよびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、およびそれらの混合物などの他の溶剤、可溶化剤および乳化剤などの当技術分野で一般に使用される不活性な希釈剤を含有することができる。
【0107】
経口組成物は、不活性希釈剤の他に、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味剤、香味剤および香料などの助剤を含むこともできる。
【0108】
本発明の化合物の局所または経皮投与のための剤形には、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、粉末、溶液、スプレー、吸入剤またはパッチが含まれる。本発明の望ましい化合物は、滅菌条件下で、薬学的に許容できる担体および必要とされ得る、任意の必要な保存剤または緩衝剤と混合される。眼科用製剤、点耳剤、眼軟膏剤、粉末および溶液も、本発明の範囲にあることを企図される。
【0109】
軟膏、ペースト、クリームおよびゲルは、本発明の活性化合物に加えて、動物性および植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルクおよび酸化亜鉛またはそれらの混合物を含有することができる。
【0110】
粉末およびスプレーは、本発明の化合物に加えて、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物を含有することができる。スプレーは、クロロフルオロ炭化水素などの通常の推進剤をさらに含有することができる。本発明の化合物はまた、リポソーム形態として投与することができる。当技術分野で公知の通り、リポソームは、一般にリン脂質または他の脂質物質に由来している。リポソームは、水性媒体に分散する単一層または多層の含水液体結晶によって形成される。リポソームを形成することができる、任意の非毒性の、生理的に許容でき代謝可能な脂質を使用することができる。リポソーム形態の本組成物は、本発明の化合物に加えて、安定化剤、保存剤等を含有することができる。好ましい脂質は、個別でまたは一緒に使用される天然および合成リン脂質およびホスファチジルコリン(レシチン)である。
【0111】
リポソームを形成するための方法は、当技術分野で公知である。例えば、Prescott、Ed.、Methods in Cell Biology、Volume XIV、Academic Press、New York、N.Y.、(1976年)、33頁以下参照。
【0112】
本発明の化合物の局所投与のための剤形には、粉末、スプレー、軟膏および吸入剤が含まれる。活性化合物は、滅菌条件下で、薬学的に許容できる担体および必要とされ得る、任意の必要な保存剤、緩衝剤または推進剤と混合される。眼科用製剤、眼軟膏剤、粉末および溶液は、本発明の範囲にあることを企図される。本発明の化合物を含む水性液体組成物も企図される。
【0113】
本発明の化合物は、無機もしくは有機酸由来の薬学的に許容できる塩、エステルまたはアミドの形態で使用することができる。「薬学的に許容できる塩、エステルおよびアミド」という句は、本明細書で使用される場合、適切な医療判断の範囲内にあり、過度の毒性、刺激、アレルギー反応等なしにヒトおよび下等動物の組織と接触させて使用するのに適しており、合理的な損益比に見合っており、それらの所期の使用に効果的である式(I)の化合物のカルボン酸塩、アミノ酸付加塩、双性イオン、エステルおよびアミドを指す。
【0114】
「薬学的に許容できる塩」という用語は、適切な医療判断の範囲内にあり、過度の毒性、刺激、アレルギー反応等なしにヒトおよび下等動物の組織と接触させて使用するのに適しており、合理的な損益比に見合うような塩を指す。薬学的に許容できる塩は、当技術分野で周知である。塩は、本発明の化合物の最終単離および精製中にその場で調製することができ、または遊離塩基官能基を、適切な有機酸もしくは無機酸と反応させることによって別個に調製することができる。
【0115】
代表的な酸付加塩には、それに限定されるものではないが、アスコルビン酸、(D)−酒石酸、(L)−酒石酸、リン酸、サリチル酸、硫酸、トリフルオロ酢酸および塩酸が含まれる。
【0116】
塩基性窒素含有基は、塩化、臭化およびヨウ化メチル、エチル、プロピルおよびブチルなどの低級アルキルハロゲン化物;硫酸ジメチル、ジエチル、ジブチルおよびジアミルなどの硫酸ジアルキル;塩化、臭化およびヨウ化デシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリルなどの長鎖ハロゲン化物;臭化ベンジルおよびフェネチルなどのアリールアルキルハロゲン化物などの薬剤で四級化することができる。したがって、水または油に溶解または分散できる生成物が得られる。
【0117】
塩基付加塩は、カルボン酸含有部分を、薬学的に許容できる金属カチオンの水酸化物、炭酸塩もしくは重炭酸塩と、またはアンモニアもしくは第1、第2もしくは第3有機アミンと反応させることによって、本発明の化合物の最終単離および精製中にその場で調製することができる。薬学的に許容できる塩には、それに限定されるものではないが、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムおよびアルミニウム塩などのアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属系のカチオン、ならびにアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、エチルアミン等を含む非毒性の第4級アンモニアおよびアミンカチオンが含まれる。塩基付加塩の形成に有用な他の代表的な有機アミンには、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジンおよびピペラジンが含まれる。
【0118】
生物活性の決定
ヒスタミン−3受容体リガンドとしての本発明の代表的な化合物の有効性を決定するために、以下の試験を、過去に説明されている方法に従って実施した(Arrangら、「Histamine H
3 Receptor Binding Sites in Rat Brain Membranes:Modulations by Guanine Nucleotides and Divalent Cations」、European Journal of Pharmacology、Vol.188、219−227頁(1990年);Tedfordら、「Pharmacological Characterization of GT−2016、A Non−Thiourea−Containing Histamine H
3 Receptor Antagonist:In Vitro and In Vivo Studies」、The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics、Vol.275、598−604頁(1995年);Leursら、「Histamine Homologues Discriminating Between Two Functional H
3−Receptor Assays.Evidence for H
3 Receptor」、Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics、Vol.276、No.3、1009−1015頁(1996年);およびChengら、「Relationship Between the Inhibition Constant(K1) and the Concentration of Inhibitor which Causes 50% Inhibition(I50) of an Enzymatic Reaction」、Biochemical Pharmacology、Vol.22.、3099−3108頁(1973年)参照)。
【0119】
インビトロ結合アッセイ
ラットのヒスタミン−3受容体をクローン化し、細胞中で発現させ、既に記載されている方法に従って競合結合アッセイを実施した(Esbenshadeら、「Pharmacological Properties of ABT−239[4−(2−{2−[(2R)−2−Methylpyrrolidinyl]ethyl}−benzofuran−5−yl)benzonitrile]:I.Potent and Selective Histamine H3 Receptor Antagonist with Drug−Like Properties」、Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics、Vol.313、165−175頁(2005年);Esbenshadeら、「Pharmacological and Behavioral Properties of A−349821、a Selective and Potent Human Histamine H
3 Receptor Antagonist」、Biochemical Pharmacology、Vol68、933−945頁(2004年);Kruegerら、「G Protein−Dependent Pharmacology of Histamine H
3 Receptor Ligands:Evidence for Heterogeneous Active State Receptor Conformations」、Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics、Vol.314、271−281頁(2005年)参照)。膜は、ラットのヒスタミン−3受容体を発現するC6またはHEK293細胞から、TE緩衝液(5mMのEDTAを含有する50mMのトリス−HCl緩衝液、pH7.4)、1mMのベンズアミジン、アプロチニン2μg/ml、ロイペプチン1μg/mlおよびペプスタチン1μg/ml中、氷上でホモジナイズすることによって調製した。ホモジネートを4℃で20分間、40,000gで遠心分離にかけた。このステップを反復し、得られたペレットをTE緩衝剤に再懸濁した。必要になるまで、一定分量を−70℃に凍結した。アッセイの日に膜を解凍し、TE緩衝液で希釈した。
【0120】
膜調製物を、ヒスタミン−3受容体競合結合のために、式(I)および式(II)のリガンドの濃度増加を伴って、または伴わずに、[H
3]−N−α−メチルヒスタミン(0.5−1.0nM)でインキュベートした。結合インキュベーションを、最終体積0.5mlのTE緩衝液中、25℃で実施し、30分後に終了した。チオペラミド(30μM)を使用して、非特異的結合を定義付けた。全ての結合反応を、真空下、ポリエチレンイミン(0.3%)を予浸したPERKINELMER UniFilterプレート(PERKINELMERは、マサチューセッツ州、ウェルズリーのPerkinElmer、Inc.の登録商標である)への濾過によって、またはWHATMAN GF/Bフィルター(WHATMANは、英国のWhatman Paper Limited Companyの登録商標である)への濾過によって終了し、次いで氷冷TE緩衝液2mlで3回、簡単に洗浄した。結合した放射性同位体を、液体シンチレーション計数によって決定した。放射性リガンド競合結合アッセイの全てについて、IC
50値およびHill傾斜を、データのHill変換によって決定し、pK
i値をCheng−Prusoff式によって決定した。
【0121】
表1に示されるように、式(I))の化合物について得られた高いK
i値は、これらの化合物が、ヒスタミン−3受容体に強力に結合しないことを示している。
【0123】
式(I)の化合物は、式(II)の化合物の経口投与またはインビボ投与後に変換される。式(II)の化合物を、ヒスタミン−3受容体競合結合について、先に示したように試験した。表2に示すように、式(II)の化合物は、低いK
i値を有する。このことは、式(II)の化合物が、ヒスタミン−3受容体として極度に強力であることを示している。
【0125】
動物モデルにおけるインビボアッセイ
化合物のヒスタミン−3の結合親和性を特徴付けるためのインビトロ法の利用に加えて、ヒトの疾患、状態または障害を治療するための本発明の化合物の利用を示す、ヒトの疾患に利用できる動物モデルがある。ヒトの疾患である注意欠陥多動性障害および関連のヒトの注意障害の一動物モデルは、SHRラットの子(ラットの子の自然発生高血圧症系)における抑制回避試験である。このモデルは、あるいはPAR(受動回避反応)モデルとも呼ばれている。この試験の方法論および実用性は、文献に、例えばKomaterら、Psychopharmacology(Berlin、Germany)、Vol.167(4)、363−372頁(2003年);Foxら、「Two Novel and Selective Nonimidazole H3 Receptor Antagonists A−304121 and A−317920:IL In vivo Behavioral and Neurophysiologies Characterization」、Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics、Vol.305(3)、897−908頁(2003年);Cowartら、J.Med.Chem.、Vol.48、38−55頁(2005年);Foxら、「Pharmacological Properties of ABT−239:IL Neurophysiological Characterization and Broad Preclinical Efficacy in Cognition and Schizophrenia of a Potent and Selective Histamine H3 Receptor Antagonist」、Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics、Vol.313、176−190頁(2005年);Foxら、「Effects of Histamine H
3 Receptor Ligands GT−2331 and Ciproxifan in a Repeated Acquisition Avoidance Response in the Spontaneously Hypertensive Rat Pup」、Behavioural Brain Research、Vol.131(1,2)、151−161頁(2002年)に記載されている。このモデルでは、式(II)の両方の化合物が活性であり、腹腔内注射によって単一で投与する場合、体重1kg当たり0.01−0.03mgを投与した後に、統計的に有意な有益な効果を示し、血漿濃度範囲を超える行動効果が実現した。プロドラッグとしての式(I)の化合物は、1mg/kgでインビボ投与した場合、有効性に必要なレベルをはるかに超える式(II)の化合物の持続的な血漿濃度をもたらしており、したがって式(II)の化合物の好ましい用量は、0.003−0.1mg/kgの範囲である。
【0126】
式(II)の化合物への式(I)の化合物のインビボ変換
式(I)の化合物は、式(II)の化合物にインビボ変換され、したがって式(I)の化合物は、式(II)の化合物のプロドラッグであると見なすことができる。これは、以下の実験によって示される。プロドラッグの薬物動態挙動を、CD−1マウス、Sprague−Dawleyラット、カニクイザルおよびビーグル犬で評価した。
【0127】
プロドラッグは、0.1−2mg/mlの範囲の濃度の、20%EtOH:30%プロピレングリコールの賦形剤のD5W(水中デキストロース5%)中溶液として調製した。3匹のラット、イヌまたはサルの群に、静脈または経口用量1mg/kg(0.5−1ml/kg)の例示的プロドラッグを投与し、30匹のマウスの追加の群に、静脈または経口用量1mg/kg(10ml/kg)の該プロドラッグを投与した。静脈用量を頸静脈(ラット)、橈側皮静脈(イヌ)または伏在静脈(サル)に投与し、強制経口投与によって経口用量を投与した。一連の血液サンプルを、各動物から、投与の0.1(IVのみ)、0.25、0.5、1、1.5、2、4、6、9、12、15(イヌのみ)および24時間後に得た。血漿を遠心分離によって分離し、分析するまで冷凍保存した。
【0128】
投与プロドラッグおよび対応するヒスタミン−3受容体リガンドの血漿濃度を、HPLC−MS/MSによって決定した。対象となる化合物を、タンパク質沈殿を使用して、アセトニトリルを用いて血漿から除去した。遠心分離後、上清を透明な容器に移し、蒸発させて窒素で乾燥させた。プロドラッグおよび親化合物を、逆相HPLCを使用して、MS/MS検出および定量を用いて共抽出汚染物質から分離した。スパイク標準を、サンプルと当時に分析した。各サンプルの血漿薬物濃度を、スパイク血漿標準対濃度のピーク領域比(プロドラッグまたは親/内部標準)の最小二乗線形回帰分析(非加重)によって算出した。
【0129】
投与したプロドラッグおよび親薬物の両方についてのピーク血漿濃度(C
最大)およびピーク血漿濃度に対する時間(T
最大)を、各ラットの血漿濃度データから直接読み取った。血漿濃度データは、WINNONLIN Professional Version 4.0ソフトウェア(WINNONLINは、カリフォルニア州、パロアルトのPharsight Corporationの登録商標である)を使用して、多重指数関数曲線適合に提示した。特徴付けられたプロドラッグを、全ての研究においてヒスタミン−3受容体リガンドに変換した。プロドラッグからの変換を測定した。プロドラッグの完全な変換が、サルにおいて観測された(プロドラッグは検出されなかった)。ラットにおいては約50%の変換が見られ(プロドラッグ:親比は約1:1)、マウスでは約30%の変換が見られ(プロドラッグ:親比は約2:1)、イヌにおいても変換が見られたが(プロドラッグ:親比は約10:1)、サル、ラットおよびマウス未満であった。
【0130】
先の詳細な説明および添付の実施例は、単に例示的なものであり、添付の請求の範囲およびそれらの等価物によってのみ定義される本発明の範囲を制限するものと解釈されるべきではないことを理解されたい。開示の実施形態に対する様々な変更および改変は、当業者に明らかとなろう。それに制限されるものではないが、化学構造、置換基、誘導体、中間体、合成、製剤化もしくは方法に関連するものを含むかかる変更および改変、または本発明の使用のかかる変更および改変の任意の組合せは、本発明の精神および範囲から逸脱することなく行うことができる。