(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記金属顔料が、アルミニウム、オキシ塩化ビスマス、雲母、酸化チタン被覆雲母、酸化鉄被覆雲母、雲母状酸化鉄、酸化チタン被覆シリカ、酸化チタン被覆アルミニウム、酸化鉄被覆シリカ及び酸化鉄被覆アルミニウムからなる群から選択されていることを特徴とする、請求項1記載のコーティング組成物。
前記の更なるレオロジー助剤が、ポリウレタンベースの会合性増粘剤、カルボキシメチルセルロースアセトブチレート増粘剤、金属ケイ酸塩及びシリカから成る群から選択されていることを特徴とする、請求項7記載のコーティング組成物。
前記コーティングされるべき物体が、金属又はプラスチックから製造された自動車ボディ若しくは該ボディの部材、或いは金属又はプラスチックから製造された家電製品の部材である請求項12に項記載のコーティング組成物の使用。
【技術分野】
【0001】
本発明は、水ベースの新規のコーティング組成物に関する。更に本発明は、該コーティング組成物の製造方法に関する。そのうえ本発明は、該コーティング組成物の使用に関する。
【0002】
良好な装飾的効果及び同時に良好な腐食保護を有する被覆が所望される、殊に自動車塗装の場合に、しかしまたその他の分野においても、重ねて配置された複数の被覆層を基材に備えることが公知である。
【0003】
多層塗膜は、有利には、いわゆる"ベースコート/クリアコート"法に従って施与され、すなわち、着色ベースラッカーが予め塗られ、且つ焼き付け工程を伴わない短時間のフラッシュタイムオフ後に(ウェット・オン・ウェット法)クリアラッカーで上塗りされる。引き続き、ベースラッカー及びクリアラッカーが一緒に焼き付けされる。
【0004】
該"ベースコート/クリアコート"法は、自動車の金属効果ラッカーの塗布に際して特に重要である。
【0005】
経済的及び環境的な理由から、多層被覆の製造に際して水性ベースコーティング組成物を使用することが試みられるようになった。
【0006】
これらのベース層を製造するためのコーティング組成物は、今日では慣例の"ウェット・オン・ウェット"法に従って処理可能でなければならず、すなわち、それらは焼き付け工程を伴わない可能な限り短時間の予備乾燥後に、視覚的な外見イメージの欠陥、例えば、いわゆる"ピンホール"を生じずに透明な外層で上塗りされることができる。
【0007】
さらにまた、このラッカーは十分な貯蔵安定性も示していなければならない。慣例の試験は、40℃での材料の貯蔵である。
【0008】
ベースコート/クリアコートタイプの金属効果ラッカーの場合、それに加えて、なお更なる問題が解決されなければならない。金属効果は、相応してラッカー塗膜中の金属顔料粒子の配向に決定的に依存する。それに従って、ウェット・オン・ウェット法で処理可能な金属効果ベースラッカーは、該金属顔料が塗布後に好適な空間的な配向で存在し、且つこの配向が、それらが更なる塗装プロセスの過程で妨げられ得ぬように素早く固定されるラッカー塗膜を供給する必要がある。金属効果を特徴づける適切なパラメータは、色調の明度及びFI値(Flop−Index)である。
【0009】
公開公報DE4028386A1から、水希釈性のポリウレタン樹脂をバインダー、顔料粒子、増粘剤として、並びにポリアミドをレオロジー助剤として含有する水希釈性のコーティング組成物が公知である。このようなラッカーは、十分ではない金属効果を示し、且つ高められた温度(40℃)での貯蔵後に沈降する傾向が高い。
【0010】
US2004/0039097A1は、同様にポリアミドをレオロジー助剤として含む水性メタリックラッカーを開示する。
【0011】
EP1153989A1は、樹脂組成物及び顔料以外に、金属ケイ酸塩及びレオロジー助剤としてのポリアミド樹脂からなる顔料から構成される水ベースのメタリックコーティング組成物を開示する。しかしながら、層状ケイ酸塩の存在は、バインダーとの組み合わせに依存してピンホールの発生につながる可能性がある。
【0012】
本発明の課題は、従来技術の欠点を有さない新規のコーティング組成物を提供することである。この組成物は、改善された塗布特性を有しているべきである。そのためピンホール形成は減少されるべきであり、その際、金属効果に悪影響が及ぼされるべきでない。更に、該組成物の沈降安定性は保証されているべきである。
【0013】
"ピンホール"及び"金属効果"との用語は当業者に公知であり、例えばRoempp Lexikon,Lacke und Druckfarben,Georg Thieme Verlag 1998の中で定義されている。
【0014】
意想外にも、この課題は、レオロジー助剤としてのポリアミド及びポリ(メタ)アクリル酸の組み合わせによって解決されることができる。
【0015】
それゆえ本発明の対象は、水ベースのコーティング組成物のための少なくとも1つの樹脂組成物及びレオロジー助剤として少なくとも1つのポリアミド及びポリ(メタ)アクリル酸ベースの少なくとも1つのアクリレート増粘剤を含む水ベースのコーティング組成物である。好ましくは、アクリレート増粘剤はポリアクリル酸である。
【0016】
ポリ(メタ)アクリル酸は、通常の且つ公知の化合物であり、例えばCiba Speciality Chemials社よりViscalex
(R)の商標名で販売される。
【0017】
ポリアミドは、少なくとも2つのアミド構造を分子中に有する有機化合物と理解される。このような化合物は、ポリカルボン酸とポリアミン及び/又はモノアミンとの反応によるか又はポリアミンとモノカルボン酸及び/又はポリカルボン酸との反応によって製造されることができる。ポリアミンと脂肪酸との反応によって得られるポリアミド、殊に、ポリアミンと1分子当たり16〜20個のC原子を有する脂肪酸との反応によって得られるポリアミドが有利には使用される。特に有利なのは、12−ヒドロキシステアリン酸と1,6−ヘキサンジアミンとからなる反応生成物である。適切な市販のポリアミド増粘剤は、例えばディスパロン
(R)AQ 630(楠本化成社製、日本国)の商品名で入手可能である。
【0018】
本発明によるコーティング組成物は、全体のバインダー固形分に対して、一般に0.5〜15質量%のレオロジー助剤を含有する。金属顔料が含まれていない場合には、全体のバインダー固形分に対して、0.5〜10質量%、好ましくは1.5〜8質量%のレオロジー助剤が使用される。金属顔料を含有するコーティング組成物では、全体のバインダー固形分に対して、2〜15質量%、好ましくは4〜12質量%のレオロジー助剤が使用される。
ポリアミド:アクリレート増粘剤の質量比は、その際、10:1〜1.5:1、有利には7:1〜3:1である。
【0019】
本発明によるコーティング組成物は、少なくとも1つの更なるレオロジー助剤を含有してよい。好ましくは、このレオロジー助剤は、ポリウレタンベースの会合性増粘剤、カルボキシメチルセルロースアセトブチレート増粘剤、金属ケイ酸塩及びシリカから成る群から選択されている。有利には、この更なるレオロジー助剤は金属ケイ酸塩である。
【0020】
固形分成分のポリアミド:アクリレート増粘剤:更なる増粘剤の質量比は、その際、12:1:1〜1:0.5:1、有利には7:1:1〜3:0.5:1である。
【0021】
金属ケイ酸塩は、有利にはスメクタイトの群から選択される。特に有利には、該スメクタイトは、モンモリロナイト及びヘクトライトの群から選択される。殊に、該モンモリロナイト及び該ヘクトライトは、アルミニウム−マグネシウム−ケイ酸塩並びにナトリウム−マグネシウム−及びナトリウム−マグネシウム−フッ素−リチウム層状ケイ酸塩からなる群から選択される。無機層状ケイ酸塩は、例えばRockwood社よりLaponite
(R)の商標名で販売される。金属ケイ酸塩の質量割合は、全体のバインダー固形分に対して、好ましくは2.5質量%より高くはない。
【0022】
ポリウレタンベースの会合性増粘剤は、例えばDE19945574A1に開示される。ポリウレタンベースの会合性増粘剤も、通常の且つ公知の化合物であり、例えばHenkel社よりNopco
(R)の商標名で販売される。カルボキシメチルセルロースアセトブチレート増粘剤は、例えばEastman社よりCMCAB 641−0,2の名称で販売されており、シリカは、例えばEvonik社よりAerosil
(R)の名称で販売されている。
【0023】
本発明によるコーティング組成物は、更なる通常の添加剤、例えば充填剤、可塑剤、安定化剤、湿潤剤、分散助剤、均展剤、消泡剤及び触媒も単独で又は混合して含有してよい。
【0024】
本発明によるコーティング組成物は、少なくとも1つの色付与及び/又は効果付与する顔料を含有してよい。例として、二酸化チタン、グラファイト、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、酸化クロム及びペリレンテトラカルボン酸イミドが挙げられる。色付与及び/又は効果付与する顔料は、好ましくは、有機及び無機の、色付与する、増量する、レオロジー制御する、光学効果付与する、導電性の、磁気的にシールドする、及び蛍光性の顔料、金属顔料もしくは金属粉末、有機及び無機の、透明な又は隠蔽する充填剤及びナノ粒子である。有利なのは、金属顔料を含有するコーティング組成物である。特に有利には、金属顔料は、アルミニウム、オキシ塩化ビスマス、雲母、
酸化チタン被覆雲母、酸化鉄被覆雲母、雲母状酸化鉄、酸化チタン被覆シリカ、酸化チタン被覆アルミニウム、酸化鉄被覆シリカ及び酸化鉄被覆アルミニウムからなる群から選択されている。本発明によるコーティング組成物中で金属顔料以外に更なる着色顔料が含まれている場合は、所望の金属効果が抑制されないように該着色顔料の種類及び量が選択される。全体のバインダー固形分に対する金属粉末の質量割合は、32質量%までであり、好ましくは12〜28質量%である。
【0025】
本発明は、金属顔料を有さないコーティング組成物も包含する。これらの組成物は、ソリッドカラーベースラッカー又はソリッドカラートップラッカーと呼ばれる。
【0026】
本発明によるコーティング組成物は、液状希釈剤として、場合により有機溶剤も更に含有してよい水を含有する。有機溶剤の割合は、可能な限り低く保たれる。
【0027】
水中に存在していてもよい溶剤の例として、複素環式、脂肪族又は芳香族の炭化水素、一価又は多価のアルコール、エーテル、エステル、ケトン及びアミド、例えばN−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、トルエン、キシレン、ブタノール、エチルグリコール及びブチルグリコール並びにそれらのアセテート、ブチルジグリコール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、イソホロン又はそれらの混合物が挙げられる。
【0028】
本発明によるコーティング組成物のための樹脂組成物は、水に溶解又は分散してよいバインダー、及び架橋剤を含む。有用な水希釈性のバインダーの例として、例えばEP0158099A2に開示されるような、水希釈性のポリアクリレート、水希釈性のポリエステル、水希釈性のポリエーテル、水希釈性のメラミン樹脂及び尿素樹脂及び水希釈性のポリウレタン樹脂が挙げられる。
【0029】
有利なのは、水希釈性のポリウレタン樹脂をバインダーとして含有するコーティング組成物である。特に有利なコーティング組成物は、少なくとも1つの側鎖の及び/又は少なくとも1つの末端鎖のエテニルアリーレン基を有するポリウレタンが使用される場合に得られる。これらの水性バインダーは、例えばドイツ公開公報DE19948004A1に記載されている。
【0030】
更に、5〜70の酸価を有するポリウレタン樹脂を含有するコーティング組成物が特に有利である。例えば、これらはドイツ国公開公報DE03545618A1に開示される。
【0031】
該ポリウレタン樹脂を含有するコーティング組成物は、好ましくは、付加的なバインダー成分として水希釈性のメラミン樹脂を含有する。特に好ましいのは、水希釈性のポリウレタン樹脂の割合に対して、1〜80質量%、極めて好ましくは30〜70質量%の割合である。水希釈性のメラミン樹脂は、例えばエーテル化されたメラミン−ホルムアルデヒド縮合生成物である。それらの水溶性は−可能な限り低くあるべき縮合度を除いて−エーテル化成分に依存し、その際、アルカノール−もしくはエチレングリコールモノエーテル系の最小骨格のみが水溶性の縮合物をもたらす。メタノールでエーテル化されたメラミン樹脂が最も重要である。溶解補助剤が使用される場合、ブタノールエーテル化されたメラミン樹脂も水性相中に分散されることができる。
【0032】
該縮合物中にカルボキシレート基を挿入する可能性も存在する。高エーテル化ホルムアルデヒド縮合物とオキシカルボン酸とのエーテル交換生成物は、それらのカルボキシル基によって中和後に水溶性であり、且つ本発明によるコーティング組成物中に含まれていてよい。
【0033】
記載したメラミン樹脂の代わりに、その他の水溶性又は水分散性のアミノ樹脂、例えば尿素樹脂も使用されることができる。
【0034】
該コーティング組成物がメラミン樹脂を含有する場合、それらは好ましくは付加的に更なるバインダー成分として、水希釈性のポリエステル樹脂及び/又は水希釈性のポリアクリレート樹脂を含有してよい。その際、ポリエステル樹脂/ポリアクリレート樹脂に対するメラミン樹脂の質量比は2:1〜1:4であり、且つポリウレタン樹脂に対するメラミン樹脂+ポリエステル樹脂及び/又はポリアクリレート樹脂の質量比は、好ましくは4:1〜1:4、有利には2:1〜1:2、特に有利には1.3:1〜1:1.3である。水希釈性のポリエステル樹脂として、好ましくはヒドロキシル基を有する飽和及び不飽和のポリエステル樹脂が使用され、それらは例えば公開公報DE4028386A1及びDE4437535A1の中で言及される。
【0035】
該ポリエステル樹脂は、有利には重合性二重結合を有する。特に有利なのはポリエステルジオールである。極めて有利なのは、400〜5000の数平均分子量を有するポリエステルジオールである。
【0036】
本発明により使用されるポリエステル樹脂は、可溶性基として、好ましくはカルボキシレート基を有する。
【0037】
好ましくは、水希釈性のポリアクリレート樹脂として、ポリウレタン変性ポリアクリレートが使用される。これは例えば公開公報DE4437535A1に開示されている。
【0038】
本発明によるコーティング組成物は、5〜30質量%、有利には10〜25質量%の水希釈性のバインダー構成成分を含有する。
【0039】
適した架橋剤の例は、アミノプラスト樹脂、無水物基を有する化合物又は樹脂、エポキシド基を有する化合物又は樹脂、トリス(アルコキシカルボニルアミノ)トリアジン、カーボネート基を有する化合物又は樹脂、ブロック化及び/又は非ブロック化ポリイソシアネート、β−ヒドロキシアルキルアミド並びに平均して少なくとも2個のエステル交換可能な基を有する化合物、欧州特許明細書EP0596460A1に記載されるような、例えばマロン酸ジエステル及びポリイソシアネートの反応生成物又はマロン酸の多価アルコールとモノイソシアネートとのエステル及び部分エステルの反応生成物である。
【0040】
非ブロック化ポリイソシアネートが架橋剤として選択される場合、本発明による水ベースのコーティング組成物は2成分組成物として調製される。
【0041】
このような架橋剤は当業者に公知であり、また多数の企業より市販品として提供される。
【0042】
架橋剤に対するバインダーの質量割合は、好ましくは、両成分の全体量に対して50〜90質量%である。有利なのは、65〜85質量%の範囲である。
【0043】
本発明は、更に本発明によるコーティング組成物の製造方法に関する。
【0044】
本発明によるコーティング組成物は、上記のコーティング組成物のそれぞれの成分を、水ベースの媒体中で、例えば高速攪拌機、溶解機又はインライン溶解機を用いて混合及び分散させることによって製造されることができる。
【0045】
そのうえ本発明は、コーティングされるべき物体、例えば金属又はプラスチックから製造されたボディ及び自動車、例えば乗用車、トラック、オートバイ及びバスのそれらの部材、及び金属又はプラスチックから製造された家電製品の部材への塗装としての本発明によるコーティング組成物の、それも直接的な又はコーティングされるべき物体へのプライマーコーティング組成物、例えばカチオン電着性コーティング組成物、及び必要な場合には中塗りコーティング組成物の先立つ施与後の使用及びこれらのコーティング塗膜の引き続く硬化に関する。好ましくは、該コーティング組成物は塗装として自動車ボディ及びそれらの部材に施与される。コーティングされるべき金属物体は、前もって有利にはホスフェート及びクロメートによる化成処理に供される。更に、従来公知の材料が、下塗りコーティング組成物として及び中塗りコーティング組成物として使用されることができる。
【0046】
本発明によるコーティング組成物は、コーティングされるべきこれらの物体(下塗りコーティング組成物でコーティングされており、且つ更に適した方法において中間コーティング組成物でコーティングされているものを含む)に、静電塗装によって、エアースプレー塗装によって及びエアーレススプレー塗装によってコーティングされることができる。その被覆塗膜の厚さは、適切には、硬化された被覆塗膜として、通常5〜35μm、殊に10〜25μmの範囲に含まれる。
【0047】
該被覆塗膜は、それを約10〜約40分間のあいだ約100〜約180℃で加熱することによって硬化されることができる。
【0048】
本発明による金属顔料を含有するコーティング組成物から形成される被覆塗膜中には、金属顔料が一様にコーティング表面上に、且つ該コーティング表面と平行に配向されており、また得られた被覆塗膜は、従来の金属被覆塗膜と比較して優れたフリップフロップ特性を有する。それに加えて、顕著な効果が得られ、これらのメタリック顔料は一様に分散し、且つメタリックマーブリングがほとんど観察されなくなる。
【0049】
透明なコーティング組成物が、本発明によるコーティング組成物からなる被覆塗膜上に、その硬化後に又は硬化せずに、すなわち、そのコーティング面に"2コート1ベーク"(2C1B)法又は"2コート2ベーク"(2C2B)法によってコーティングされることができる。
【0050】
更に、本発明によるコーティング材料は、2度塗り(ウェットオンウェット塗装)での使用にも適しており、該コーティング材料上に短時間の予備乾燥後にクリアラッカーが塗られ、該クリアラッカーは、最初に塗られた層と一緒に焼き付けされる(3C1B)。
【0051】
透明なコーティング組成物は、最初に本発明によるコーティング組成物を、コーティングされるべき物体に上記の方法で積層し、そして該透明なコーティング組成物を、該コーティング組成物中で約30〜約80質量%に制御された固体含有率でそのコーティング表面上に、静電塗装、エアースプレー塗装及びエアーレススプレー塗装によって、加熱によるその被覆塗膜の硬化後に又は非硬化状態で積層することによって積層されることができる。透明なコーティング組成物の塗膜厚さは、適切には、硬化された被覆塗膜に対して、通常5〜100μm、殊に20〜80μmの範囲に含まれる。該被覆塗膜は、それを約10〜約40分間のあいだ約100〜約180℃に加熱することによって硬化してよい。
【0052】
以下で、本発明を実施例を手がかりにして詳細に説明する。
【0053】
例
以下で挙げられる組成物の"部"は、"質量部"と解されるべきである。
【0054】
I.水性メタリックベースラッカー
Ia.該ラッカーの製造
例1
DE19948004A1、第20頁、第9行目〜第21行目に記載の水性バインダー分散液17.5部を、強力に攪拌しながら、Laponite
(R)RDの3%の水性分散液27部と混合する。攪拌しながら、DE4437535A1、第7頁、第55行目〜第8頁、第23行目に記載のアクリレート変性ポリウレタン樹脂4.5部、Surfinol
(R)104(Air Products)50部及びブチルグリコール50部とからなる溶液1.8部並びにメラミン樹脂Luwipal
(R)052(BASF)4.5部、ブチルグリコール2部、DE4009858A1、第16欄、第37行目〜第59行目に記載されたポリエステル4部を添加する。
【0055】
引き続き、ブチルグリコール8部中のアルミニウム顔料Stapa
(R)Hydrolux 2192(Eckert)5.4gの滑らかに攪拌した混合物を添加する。pHをジメチルエタノールアミン(水中で10%)で8.0に調節し、そして粘度を水で1000s
-1及び23℃にて70mPasに調節する(Physica社製Rheolab MC1、Z2測定システム)。
【0056】
例2
DE19948004A1、第20頁、第9行目〜第21行目に記載の水性バインダー分散液17.5部に、攪拌しながら、アクリレート変性ポリウレタン樹脂(DE4437535A1、第7頁、第55行目〜第8頁、第23行目)4.5部、Surfinol
(R)104(Air Products)50部及びブチルグリコール50部とからなる溶液1.8部並びにメラミン樹脂Luwipal
(R)052(BASF)4.5部、ブチルグリコール2部、DE4009858A1、第16欄、第37行目〜第59行目に記載されたポリエステル4部及び水中で20%のポリアミド増粘剤ディスパロン
(R)AQ 630の水性予備混合物30部を添加する。引き続き、ブチルグリコール8部中のアルミニウム顔料Stapa
(R)Hydrolux 2192(Eckart)5.4gの滑らかに攪拌した混合物を添加する。pHをジメチルエタノールアミン(水中で10%)で8.0に調節し、そして粘度を水で1000s
-1及び23℃にて70mPasに調節する(Physica社製Rheolab MC1、Z2測定システム)。
【0057】
例3(本発明による例)
DE19948004A1、第20頁、第9行目〜第21行目に記載された水性バインダー分酸液17.5部に、攪拌しながら、アクリレート変性ポリウレタン樹脂(DE4437535A1、第7頁、第55行目〜第8頁、第23行目)4.5部、Surfinol
(R)104(Air Products)50部及びブチルグリコール50部とからなる溶液1.8部、並びにメラミン樹脂Luwipal
(R)052(BASF)4.5部、ブチルグリコール2部、DE4009858A1、第16欄、第37行目〜第59行目に記載されたポリエステル4部及び水中で20%のポリアミド増粘剤ディスパロン
(R)AQ 630の水性予備混合物30部、及びアクリレート増粘剤Viscalex
(R)HV30 0.75部と水0.75部とからなる混合物を添加する。引き続き、ブチルグリコール8部中のアルミニウム顔料Stapa
(R)Hydrolux 2192(Eckart)5.4gの滑らかに攪拌した混合物を添加する。pHをジメチルエタノールアミン(水中で10%)で8.0に調節し、そして粘度を水で1000s
-1及び23℃にて70mPasに調節する(Physica社製Rheolab MC1、Z2測定システム)。
【0058】
例4
DE19948004A1、第20頁、第9行目〜第21行目に記載された水性バインダー分散液17.5部を、Laponite
(R)RDの3%の水性分散液6部と混合する。攪拌しながら、DE4437535A1、第7頁、第55行目〜第8頁、第23行目に記載のアクリレート変性ポリウレタン樹脂4.5部、Surfinol
(R)104(Air Products)50部及びブチルグリコール50部とからなる溶液1.8部、並びにメラミン樹脂Luwipal
(R)052(BASF)4.5部、ブチルグリコール2部、DE4009858A1、第16欄、第37行目〜第59行目に記載されたポリエステル4部、及びアクリレート増粘剤Viscalex
(R)HV30 0.75部と水0.75部とからなる混合物を添加する。
【0059】
引き続き、ブチルグリコール8部中のアルミニウム顔料Stapa
(R)Hydrolux 2192(Eckart)5.4gの滑らかに攪拌した混合物を添加する。pHをジメチルエタノールアミン(水中で10%)で8.0に調節し、そして粘度を水で1000s
-1及び23℃にて70mPasに調節する(Physica社製Rheolab MC1、Z2測定システム)。
【0060】
例5(本発明による例)
DE19948004A1、第20頁、第9行目〜第21行目に記載された水性バインダー分散液17.5部を、Laponite
(R)RDの3%の水性分散液6部と混合する。攪拌しながら、DE4437535A1、第7頁、第55行目〜第8頁、第23行目に記載のアクリレート変性ポリウレタン樹脂4.5部、Surfinol
(R)104(Air Products)50部及びブチルグリコール50部とからなる溶液1.8部、並びにメラミン樹脂Luwipal
(R)052(BASF)4.5部、ブチルグリコール2部、DE4009858A1、第16欄、第37行目〜第59行目に記載されたポリエステル4部及び水中で20%のポリアミド増粘剤ディスパロン
(R)AQ 630の水性予備混合物15部、並びにアクリレート増粘剤Viscalex
(R)HV30 0.75部と水0.75部とからなる混合物を添加する。
【0061】
引き続き、ブチルグリコール8部中のアルミニウム顔料Stapa
(R)Hydrolux 2192(Eckart)5.4gの滑らかに攪拌した混合物を添加する。pHをジメチルエタノールアミン(水中で10%)で8.0に調節し、そして粘度を水で1000s
-1及び23℃にて70mPasに調節する(Physica社製Rheolab MC1、Z2測定システム)。
【0062】
例6
DE19948004A1、第20頁、第9行目〜第21行目に記載された水性バインダー分散液17.5部を、Laponite
(R)RDの3%の水性分散液6部と混合する。攪拌しながら、DE4437535、第7頁、第55行目〜第8頁、第23行目に記載のアクリレート変性ポリウレタン樹脂4.5部、Surfinol
(R)104(Air Products)50部及びブチルグリコール50部とからなる溶液1.8部、並びにメラミン樹脂Luwipal
(R)052(BASF)4.5部、ブチルグリコール2部、DE4009858A1、第16欄、第37行目〜第59行目に記載されたポリエステル4部及び水中で20%のポリアミド増粘剤ディスパロン
(R)AQ 630の水性予備混合物30部を添加する。引き続き、ブチルグリコール8部中のアルミニウム顔料Stapa
(R)Hydrolux 2192(Eckart)5.4gの滑らかに攪拌した混合物を添加する。pHをジメチルエタノールアミン(水中で10%)で8.0に調節し、そして粘度を水で1000s
-1及び23℃にて70mPasに調節する(Physica社製Rheolab MC1、Z2測定システム)
例7
製造を例6と同じように、ただしLaponite
(R)分散液6部の代わりに15部及びディスパロン
(R)予備混合物30部の代わりに15部を使用するという変更点を伴って実施する。
【0063】
例8
製造を例6と同じように、ただしLaponite
(R)分散液6部の代わりに27部及びディスパロン
(R)予備混合物30部の代わりに5部を使用するという変更点を伴って実施する。
【0064】
Ib.ラッカーの試験
得られた水性ベースラッカーを、市販の水系サーフェーサー(例えばSecuBloc,BASF Coatings AG)が塗られている30cm×60cmの金属パネル上に12μの層厚で塗り、引き続き室温で5分間及び80℃で10分間予備乾燥する。この予備乾燥した金属薄板を、引き続き市販のクリアラッカー(例えばEvergloss,BASF AG)でコーティングし、そして140℃で30分間焼き付けする。
【0065】
明度の測定
色調の判断は、比色測定によって行う。明度は15°の測定角度で判断した(X−Rite社のX−Rite MA 68 IIを用いた比色測定)。
【0066】
FI値の測定
FI値は、比色法により種々の測定角について測定した明度値から、次式:
FI値=2.69(L
*15−L
*110)
1.11/(L
*45)
0.86、
[式中、Lは、それぞれの測定角(15°、45°及び110°)において測定した明度値を表す]に従って算出する。
【0067】
ピンホールの測定
耐ピンホール性の試験のために、ベースラッカーを金属薄板(30cm×60cm)上にくさび状に施与する形で10〜30μmの層厚で塗り、引き続き室温で5分間及び80℃で10分間予備乾燥する。この予備乾燥した金属薄板を、引き続き市販のクリアラッカー(例えばEvergloss,BASF AG)で30〜35μmの層厚でコーティングし、そして140℃で30分間焼き付けする。ピンホールの数を視覚的に決定する。
【0068】
沈降安定性の測定
得られたラッカーを、ガラス容器(直径5cm、充填高さ10cm)中に40℃で10日間貯蔵する。引き続き、沈降物の上の上澄み部分を算出する。
【0069】
【表1】
【0070】
ポリアミド増粘剤とアクリレート増粘剤との組み合わせ(例3)又はポリアミド増粘剤、ポリ(メタ)アクリレート増粘剤及び層状ケイ酸塩との組み合わせ(例5)は、(明度及びFI値によって表される)金属効果に関する良好な特性プロフィール、耐ピンホール性及び耐沈降性を示す。
これに対して層状ケイ酸塩及びポリアミドをレオロジー助剤として有するが、ポリ(メタ)アクリル酸を有さない水性メタリックベースラッカーは、沈降の増加を示すか(例6)もしくは多数のピンホール(例7及び8)を示す。
【0071】
II.水性ソリッドカラーベースラッカー
IIa.該ラッカーの製造
例9:顔料ペーストの製造
DE−A4010176の例1に従って製造されたグラインディングバインダー(Anreibebindemittel)39部を、強力に攪拌しながら、市販の分散剤6部、水25部及びIrgazine
(R)Red A2BN(Ciba社)30部と混合し、30分間溶解し、引き続き40分間ビーズミルにて最大50℃で粉砕する。
【0072】
例10
水中で3%のLaponite RDの分散液15部に、攪拌しながら、DE4437535A1、第7頁、第55行目〜第8頁、第23行目に記載のアクリレート変性ポリウレタン樹脂1.7部、引き続きSurfinol
(R)104(Air Products)50部及びブチルグリコール50部とからなる溶液1.5部、並びにEP0228003B2、第8頁、第6行目〜第18行目に記載されたポリウレタン樹脂29部を添加する。引き続き、市販のメラミン樹脂(Luwipal
(R)052、BASF)5.5部、DE4009858A1、第16欄、第37行目〜第59行目に記載されたポリエステル4.5部、ブチルグリコール8部及び水中で10%のジメチルエタノールアミンの溶液1.5部を攪拌しながら添加する。その後、例9に記載の顔料ペースト18部、並びに2−エチルヘキサノール2.5部を添加する。水により1000s
-1で90mPasの粘度に調節する(Physica社製Rheolab MC1、Z2測定システム)。
【0073】
例11
EP0228003B2、第8頁、第6行目〜第18行目に記載されたポリウレタン樹脂29部に、攪拌しながら、DE4437535A1、第7頁、第55行目〜第8頁、第23行目に記載のアクリレート変性ポリウレタン樹脂1.7部、Surfinol
(R)104(Air Products)50部及びブチルグリコール50部とからなる溶液1.5部を添加する。引き続き、市販のメラミン樹脂(Luwipal
(R)052、BASF)5.5部、DE4009858A1、第16欄、第37行目〜第59行目に記載されたポリエステル4.5部、ブチルグリコール8部及び水中で10%のジメチルエタノールアミンの溶液1.5部を攪拌しながら添加する。その後、例9に記載の顔料ペースト18部並びに2−エチルヘキサノール2.5部を添加する。次いで攪拌しながら、水中で20%のディスパロン
(R)AQ 630の分散液20部を加え、そして水により1000s
-1で90mPasの粘度に調整する(Physica社製Rheolab MC1、Z2測定システム)。
【0074】
例12(本発明によるベースラッカー)
水中で3%のLaponite
(R)RDの分散液6部に、攪拌しながら、DE4437535A1、第7頁、第55行目〜第8頁、第23行目に記載のアクリレート変性ポリウレタン樹脂1.7部、Surfinol
(R)104(Air Products)50部及びブチルグリコール50部とからなる溶液1.5部及びEP0228003B2、第8頁、第6行目〜第18行目に記載されたポリウレタン樹脂29部を添加する。引き続き、市販のメラミン樹脂(Luwipal
(R)052、BASF)5.5部、DE4009858A1、第16欄、第37行目〜第59行目に記載されたポリエステル4.5部、ブチルグリコール8部及び水中で10%のジメチルエタノールアミンの溶液1.5部を攪拌しながら添加する。その後、例9に記載の顔料ペースト18部並びに2−エチルヘキサノール2.5部を添加する。次いで攪拌しながら、水中で20%のディスパロン
(R)AQ 630の分散液20部を加え、並びにアクリレート増粘剤Viscalex
(R)HV30 0.5部及び水0.5部とからなる混合物を加え、そして水により1000s
-1で90mPasの粘度に調整する(Physica社製Rheolab MC1、Z2測定システム)。
【0075】
例13(本発明によるベースラッカー)
EP0228003B2、第8頁、第6行目〜第18行目に記載されたポリウレタン樹脂29部に、攪拌しながら、DE4437535A1、第7頁、第55行目〜第8頁、第23行目に記載のアクリレート変性ポリウレタン樹脂1.7部、Surfinol
(R)104(Air Products)50部及びブチルグリコール50部とからなる溶液1.5部を添加する。引き続き、市販のメラミン樹脂(Luwipal
(R)052、BASF)5.5部、DE4009858A1、第16欄、第37行目〜第59行目に記載されたポリエステル4.5部、ブチルグリコール8部及び水中で10%のジメチルエタノールアミンの溶液1.5部を攪拌しながら添加する。その後、例9に記載の顔料ペースト18部並びに2−エチルヘキサノール2.5部を添加する。次いで攪拌しながら、水中で20%のディスパロン
(R)AQ 630の分散液20部を加え、並びにアクリレート増粘剤Viscalex
(R)HV30 0.5部及び水0.5部とからなる混合物を加え、そして水により1000s
-1で90mPasの粘度に調整する(Physica社製Rheolab MC1、Z2測定システム)。
【0076】
IIb.ラッカーの試験
ピンホールの測定
耐ピンホール性の試験のために、ベースラッカーを金属薄板(30cm×60cm)上に10〜35μmの層厚で塗り、引き続き5分間室温で、そして10分間80℃で予備乾燥する。予備乾燥した金属薄板を、引き続き市販のクリアラッカー(Evergloss,BASF AG)で30〜35μmの厚さに被覆し、そして140℃で30分間焼き付けする。ピンホールの数を視覚的に決定する。
【0077】
垂れの評価
耐垂れ性の試験のためにベースラッカーを、その長手方向に沿って相当数の孔が打ち抜かれた金属薄板(30cm×60cm)上に10〜35μmの層厚で塗り、引き続き5分間室温で、そして10分間80℃で垂直に位置決めして予備乾燥する。予備乾燥した金属薄板を、引き続き140℃で30分間焼き付けする。孔に垂れが形成する層厚を視覚的に測定する。
【0078】
【表2】
【0079】
本発明による例12及び13が、ピンホール及び垂れ形成に対する抵抗性に関して最適値を示していることがわかる。