(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5665575
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】椅子用部品、その製造方法、金型、及び椅子
(51)【国際特許分類】
A47C 7/00 20060101AFI20150115BHJP
【FI】
A47C7/00 Z
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-18605(P2011-18605)
(22)【出願日】2011年1月31日
(65)【公開番号】特開2012-157484(P2012-157484A)
(43)【公開日】2012年8月23日
【審査請求日】2013年12月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000116596
【氏名又は名称】愛知株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】熊澤 工
【審査官】
望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3069930(JP,U)
【文献】
実開平05−053555(JP,U)
【文献】
実開昭63−085139(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 7/00
A47C 7/16
A47C 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体が取り付けられることによって椅子としての構造が完成する椅子用部品であって、
表面側が使用者の着座する着座面とされた座体と、
前記座体の裏面側に固定された間座と
を備え、
前記座体は、当該座体の形状に相当するキャビティが形成された金型間に、前記座体の原料素材を配置して当該原料素材を前記金型間に挟み込んで加圧することによって所定の形態となるように成形されたものであり、
前記間座は、前記座体が前記金型間で成形される際に、前記金型間に配置され、前記座体側との間に合成樹脂が介在した状態で前記座体の原料素材とともに前記金型間に挟み込まれて加圧されることにより、少なくとも一部が前記座体にめり込んだ状態で前記座体に固着されている
ことを特徴とする椅子用部品。
【請求項2】
前記間座には、雌ねじ部材が埋設されており、当該雌ねじ部材と螺合する雄ねじ部材を利用して、前記支持体を前記間座に対して固定可能に構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の椅子用部品。
【請求項3】
前記原料素材は、複数の単板を重ね合わせてなる積層体である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の椅子用部品。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の椅子用部品を製造する方法であって、
前記座体の形状に相当するキャビティが形成された金型間に、前記座体の原料素材と前記間座を配置する工程と、
前記座体側と前記間座側との間に合成樹脂が介在した状態で、前記座体の原料素材と前記間座を前記金型間に挟み込んで加圧することにより、前記座体を成形するとともに前記間座の一部を前記座体にめり込ませた状態で前記間座を前記座体に固着する工程と
を備えたことを特徴とする椅子用部品の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の椅子用部品の製造方法において使用される金型であって、
前記座体の形状に相当するキャビティが形成されており、
前記キャビティの一部には、前記間座を前記座体の所定の位置に保持可能な間座設置部が形成されている
ことを特徴とする金型。
【請求項6】
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の椅子用部品と、
当該椅子用部品に取り付けられた支持体と
を備えることを特徴とする椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椅子用部品、その製造方法、椅子用部品製造用の金型、及び椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載のように、樹脂含浸合板製の着座部の裏面に合成樹脂製のねじ座が設けられ、そのねじ座に脚部を固定した構造とされた椅子がある。この特許文献1に記載された椅子の場合、着座部は、熱プレス機で型により熱プレス成形され、この熱プレス成形時に、ねじ座が着座部の裏面に熱加圧で接着される。
【0003】
また、特許文献2に記載のように、合成樹脂を原料素材として中空成形法によって成形される椅子がある。この特許文献2に記載された椅子は、合成樹脂製の座体にボルトが埋設された構造になっており、このボルトを利用して脚部を座体に固定できるようになっている。ボルトは、座体を成形する際に座体成形用の型枠内に配置され、この型枠内で座体の成形を行うことにより、座体に埋設された状態とされたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平4−7801
【特許文献2】実開昭52−3911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の技術には、以下に述べるような問題があった。
まず、特許文献1に記載の技術のような方法でねじ座を着座部底面に固着すると、着座部底面の傾きに依存してねじ座の傾きが決まってしまう。そのため、例えば、着座部底面が曲面になっている場合のように、複数のねじ座それぞれを固着すべき箇所の傾きが互いに異なる場合には、それらの固着箇所に同形状のねじ座を固着しても、複数のねじ座それぞれの傾きが固着箇所ごとに変わってしまい、ねじ座にボルトを平行にねじ込むことができなくなる、という問題がある。
【0006】
あるいは、傾きが異なる複数の固着箇所に合わせて、ねじ座側の固着面の傾きを最適化すれば、ねじ座の傾きがばらつくのを抑制することはできる。しかし、その場合は、個々のねじ座ごとに、ねじ座の向きを着座部底面の傾きに合わせて適切な向きに調節しつつ、ねじ座を着座部に固着しなければならず、その固着作業が著しく面倒な作業となる。
【0007】
また、特許文献2に記載の技術の場合、溶融させた樹脂組成物を型に流し込んで座体が成形されるので、このような手法では、合成樹脂製の座体を利用することが必須となる。そのため、合板などの木質材料製の座体を利用したい場合には、特許文献2に記載されているような成形法を利用することもできない。
【0008】
さらに、木質材料製の二部品を固着するための一般的な方法として、二部品間の界面に接着剤を塗工して、両部品を固着するという手法も知られている。しかし、固着される二部品の形態が、両者の界面に隙間ができやすい形態となっている場合(例えば、一方の界面が曲面、他方の界面が平面になっている場合)、そのような隙間を接着剤で埋めるようにして両部品が固着されるため、接着剤が通常よりも厚塗りされることになり、十分な固着強度を確保することが難しくなる、という問題があった。
【0009】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、座体及び座体に固着される部品が、高い固着強度を確保可能な椅子用部品、その椅子用部品の製造方法、その製造方法で利用する金型、及び椅子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下、本発明において採用した構成について説明する。
上述の目的を達成するために、請求項1に記載の椅子用部品は、支持体が取り付けられることによって椅子としての構造が完成する椅子用部品であって、表面側が使用者の着座する着座面とされた座体と、前記座体の裏面側に固定された間座とを備え、前記座体は、当該座体の形状に相当するキャビティが形成された金型間に、前記座体の原料素材を配置して当該原料素材を前記金型間に挟み込んで加圧することによって
所定の形態となるように成形されたものであり、前記間座は、前記座体が前記金型間で成形される際に、前記金型間に配置され、前記座体側との間に合成樹脂が介在した状態で前記座体の原料素材とともに前記金型間に挟み込まれて加圧されることにより、少なくとも一部が前記座体にめり込んだ状態で前記座体に固着されていることを特徴とする。
【0011】
このように構成された椅子用部品において、間座は、座体側との間に合成樹脂が介在した状態で座体に固着される。間座と座体との間に介在する合成樹脂は、例えば、間座と座体との間に塗工される接着剤であればよく、この場合、接着剤である合成樹脂が介在した状態で座体と間座が固着されることになる。また、例えば、間座や座体が、樹脂含浸合板のような合成樹脂を含有する原料素材で形成されている場合、間座と座体との間に介在する合成樹脂は、原料素材中に含有されている合成樹脂であってもよく、この場合は、接着剤を別途塗工しなくても、熱加圧等を行うだけで、原料素材中に含まれる合成樹脂分が介在した状態で座体と間座が固着されることになる。
【0012】
さらに、上記のような固着方法で固着される間座は、加圧されることにより座体にめり込んだ状態で固着されているので、間座を座体にめり込ませることなく座体の表面に固着する場合に比べ、座体と間座との間に余分な隙間ができにくくなる。
【0013】
したがって、座体と間座との間に隙間ができやすい従来品とは異なり、接着剤が厚塗りされにくくなり、これにより、座体と間座との間の固着強度を向上させることができる。
請求項2に記載の椅子用部品は、請求項1に記載の椅子用部品において、前記間座には、雌ねじ部材が埋設されており、当該雌ねじ部材と螺合する雄ねじ部材を利用して、前記支持体を前記間座に対して固定可能に構成されていることを特徴とする。
【0014】
このように構成された椅子用部品によれば、間座に雌ねじ部材が埋設されているので、椅子用部品に支持体を取り付ける際には、例えば木ねじのような自己穿孔式のねじのみで支持体を固定する場合などに比べ、支持体の取り付け強度を上げることができる。
【0015】
請求項3に記載の椅子用部品は、請求項1又は請求項2に記載の椅子用部品において、前記原料素材は、複数の単板を重ね合わせてなる積層体であることを特徴とする。
このように構成された椅子用部品によれば、座体が、複数の単板を重ねてなる積層体とされているので、比較的容易に強度の高い座体を成形することができ、無垢材などに比べ容易に強度が確保できることから、座体を薄くて軽いものにすることも可能となる。
【0016】
なお、本発明の椅子用部品の製造方法は、請求項4に記載のように、前記座体の形状に相当するキャビティが形成された金型間に、前記座体の原料素材と前記間座を配置する工程と、前記座体側と前記間座側との間に合成樹脂が介在した状態で、前記座体の原料素材と前記間座を前記金型間に挟み込んで加圧することにより、前記座体を成形するとともに前記間座の一部を前記座体にめり込ませた状態で前記間座を前記座体に固着する工程とを備えたことを特徴とする。
【0017】
このような椅子用部品の製造方法によれば、間座を座体にめり込ませた状態で固着することができるので、座体と間座との間に接着剤が厚塗りされるのを抑制でき、座体と間座との間の固着強度が向上した椅子用部品を製造することができる。
【0018】
また、請求項4に記載の製造方法で使用される金型は、請求項5に記載のように、前記座体の形状に相当するキャビティが形成されており、前記キャビティの一部には、前記間座を前記座体の所定の位置に保持可能な間座設置部が形成されていることを特徴とする。
【0019】
このような金型によれば、間座設置部に間座を設置しておけば、座体が成形される際に、間座は座体に対する相対位置がずれない状態で座体に対して押し当てられ、その結果、座体が成形されるのと同時に、間座が座体裏面の所定位置にめり込んだ状態で固着される。したがって、設計通りの適正な位置に間座が固着された座体を容易に製造することができる。
【0020】
請求項6に記載の椅子は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の椅子用部品と、当該椅子用部品に取り付けられた支持体とを備えることを特徴とする。
このように構成された椅子によれば、座体と間座とは接着剤の層が厚くならないように固着されているので、座体と間座との固着強度が高い椅子を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】(a)は椅子の平面図、(b)は椅子の正面図、(c)は椅子の右側面図、(d)は間座付近(
図1(c)中に二点鎖線で示した範囲)の拡大図である。
【
図3】(a)は椅子用部品の右側面図、(b)は椅子用部品の底面図である。
【
図5】(a)は金型の説明図、(b)は金型の左側面図、(c)は金型の背面図である。
【
図7】(a)はA−A線断面図、(b)は間座が座体の形状に沿って固着した場合の断面図である。
【
図8】は4つの椅子用部品が1つの支持体に取り付けられた構造とされたスタンド用シートの正面図である。
【
図9】(a)は支持体が床に固定された椅子の右側面図、(b)は支持体が壁に固定された椅子の右側面図、(c)は支持体が階段状の床に固定された椅子の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明の実施形態について一例を挙げて説明する。
[椅子の構造]
椅子1は、
図1(a)〜同図(d)に示すように、表面側が着座面とされた座体2と、座体2の裏面側に固定された間座3と、パイプ脚5と、間座3とパイプ脚5との間に備えられている受け板6とで形成されている。さらに間座3には爪付きナット4が埋め込まれている。
【0023】
これらのうち、座体2及び間座3によって構成される部分が、本発明でいう椅子用部品に相当する(以下、座体2及び間座3によって構成される部分のことを、椅子用部品1aとも呼ぶ。)(
図2、
図3参照。)。また、パイプ脚5と受け板6によって構成される部分が、本発明でいう支持体に相当する。
【0024】
本実施形態において、パイプ脚5は受け板6に溶接されている。また、
図2に示すように、受け板6には貫通孔7が形成されており、この貫通孔7に通された雄ねじ8と間座3に埋め込まれた爪付きナット4を螺合させることで、パイプ脚5及び受け板6が椅子用部品1aにねじ止めされている。
【0025】
座体2は、本実施形態においては、10枚の単板9を積層して、その積層体を所定の形態となるように成形した成形合板10によって構成されている。
間座3は、本実施形態においては木材で作られており、円柱形状とされている。間座3の内部には、爪付きナット4が埋め込まれている。この爪付きナット4は間座3の下面側から上面側に向かって雄ねじ8をねじ込み可能な向きで、間座3に埋め込まれている(
図4参照。)。
【0026】
[椅子用部品及び椅子の製造方法]
次に椅子用部品1aと椅子1の製造方法について一例を説明する。
椅子用部品1aを製造する際には、以下に説明するような金型11を利用する。なお、以下の説明においては、金型の相対的な位置関係を簡潔にするため、
図5(a)中に併記した上下左右前後の各方向を利用して説明をおこなう。
【0027】
金型11は、上側金型12と下側金型13とで構成されている。これら上側金型12及び下側金型13は、両者間にほぼ座体2相当のキャビティをなす形態とされており、そのようなキャビティをなす部分のうち、下側金型13の上面側には、4つの穴14が設けられている。
【0028】
これら4つの穴14は、間座3が配置される部分に形成されており(本発明でいう間座設置部の一例に相当。)、穴14の開口部は、金型内(上側金型12と下側金型13とが形成するキャビティ内)に面している(
図5(a)、(b)参照。)。穴14の高さ方向寸法は、間座3の高さ方向寸方よりも低い高さ寸法とされている。
【0029】
座体2を成形するに当たっては、まず、下側金型13に形成された4つの穴14それぞれに間座3を設置し、間座3の上面には接着剤を塗布する。また、あらかじめスチーム処理が施されて柔らかくされた10枚の単板9を、隣接する単板9間に接着剤を介在させた状態で積層し、その積層体を上側金型12と下側金型13との間に配置する。
【0030】
その後、圧締し接着剤を熱硬化させる。なお、金型11からはみ出した部位は脱型後、裁断、除去される。
以上のような熱プレス成形の結果、金型11内では、座体2相当の形状を持った成形合板10が成形されることになり、また、同時に座体2に対して間座3が固着され、所期の椅子用部品1aが完成する。
【0031】
なお、このような工程を経て完成する椅子用部品1aには、さらに上述のようなパイプ脚5及び受け板6からなる支持体が取り付けられる(
図2参照。)。
[効果]
以上説明したような椅子1によれば、熱プレス成形時に間座3の一部が座体2にめり込み、その状態のまま座体2と間座3が固着される(
図6参照。)。このような手法で座体2と間座3を固着すれば、座体2の底面が曲面になっているような場合でも、座体2底面の形態に影響されることなく、円柱状の間座3の上面を座体2側に密接させることができる(
図7(a)参照。)。
【0032】
したがって、座体2と間座3との間には無駄な隙間ができず、そのような隙間部分において接着剤が厚塗りされてしまうこともないので、座体2と間座3を高い固着強度で固着することができる。
【0033】
ちなみに、
図7(b)に示すように、上記実施形態で示した座体2に対し、後付けで間座3を固着すると、座体2底面の形態に沿って間座3が傾くので、座体2と間座3との間に隙間が生じやすくなる。そのため、このような隙間を埋めるように接着剤を塗工すると、接着剤が厚塗りされることとなり、十分な固着強度を確保することが難しくなる。
【0034】
図7(a)に示すように間座3を座体2にめり込ませて固着した場合と、
図7(b)に示すように間座3を座体2にめり込ませることなく固着した場合について、それぞれの固着強度(間座3を座体2から引き剥がしたときの破壊強度)を、実験的に測定したところ、めり込ませるように固着した場合は、引き剥がしの破壊強度 4.53N/cm
2(0.46Kgf/cm
2)、めり込ませないで固着した場合は、引き剥がしの破壊強度 2.68N/cm
2(0.27Kfg/cm
2)となり、約1.7倍取り付け強度が向上していた。
【0035】
また、上述のような手法で間座3を座体2に固着すれば、
図6中に点線で示すように、座体2の底面の傾きに影響されることなく、円柱状の間座3の底面を金型11で規定した通りの傾き(
図6では水平)にすることができ、4つの間座3の底面をぴったりと同一面上に揃えることができる(
図7(a)参照。)。したがって、各間座3に埋設された4つの爪付きナット4も平行度の高い状態で配置されることになり、雄ねじ8を平行にねじ込んで、受け板6をしっかりと固定することができる。
【0036】
ちなみに、
図7(b)に示すように、座体の底面が曲面になっている場合、それに合わせて間座を固着すると、間座の底面が傾くことになり、その結果、間座にねじ込まれる4つの雄ねじも、平行にねじ込めない状態になるおそれがある。したがって、見栄えが悪くなるのはもちろんのこと、雄ねじや間座に無理な負荷がかかる原因にもなり、所望の取り付け強度を確保できなくなるおそれもある。
【0037】
加えて、上記のような方法で間座3を座体2に固着すれば、固着強度を向上させるための特別な追加工程は必要なく、座体2を成形するために必要な工程内で、座体2及び間座3の圧締を行うだけで、固着強度の高い座体2及び間座3を得ることができる。
【0038】
[変形例等]
本発明の実施形態について説明をしたが、本発明は上記の具体的な一実施形態に限定されず、この他にも種々の実施形態で実施することができる。
【0039】
上記実施形態では、1つの支持体に1つの椅子用部品1aがねじ止めされた椅子を示したが、1つの支持体に複数の椅子用部品が固定されていてもよく、例えば、
図8に示すような、複数(
図8では4つ)の椅子用部品1aが1つの支持体16に固定されたスタンド用シート15(ホールや競技場の観客席に備えてあるシート)のようなものであってもよい。
【0040】
図8に示したスタンド用シート15の場合、支持体16は、
図9(a)に示すように、壁19に固定されるタイプとなっているが、これは、
図9(b)に示すように、支持体17が床20に固定されるタイプとなっていてもよい。あるいは、階段状の床21が形成されている場合は、
図9(c)に示すように、
図9(b)に示した支持体17よりも高さ方向寸法が低いタイプの支持体18を利用してもよい。これらいずれのタイプの支持体を利用する場合でも、座体2に対して間座3の一部をめり込ませた状態で接合してある点は、上述の実施形態とまったく同様である。
【0041】
また、上記実施形態においては、間座3に爪付きナット4を埋め込む例を示したが、爪付きナット4は埋め込まれていなくてもよい。このような場合は、例えば、間座に対して支持体側から例えば木ねじのような自己穿孔式のねじを直接ねじ込むことにより、上記実施形態同様に支持体を取り付けることができる。このような方法であれば、雌ねじ部材を間座に埋め込まなくても済むので、椅子用部品の製造工程をさらに削減することができる。
【0042】
また、上記実施形態においては、パイプ脚5は4箇所でねじ止めされているが、ねじ止め箇所の個数については限定されず、3箇所以下あるいは5箇所以上であってもよい。
【符号の説明】
【0043】
1…椅子、1a…椅子用部品、2…座体、3…間座、4…爪付きナット、5…パイプ脚、6…受け板、7…貫通孔、8…雄ねじ、9…単板、10…成形合板、11…金型、12…上側金型、13…下側金型、14…穴、15…スタンド用シート、16,17,18…支持体、19…壁、20…床、21…階段状の床。