(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1に記載のn個(nは2以上の整数)のユニットを厚さ向きで積み重ねて一体化した構造を有し、隣接する2個のユニットは第1導体膜同士または第2導体膜同士が向き合っていて電気的に接続されており、相対する2つの面のうちの一方の面には各ユニットの第1導体膜の端縁が露出し、且つ、他方の面には各ユニットの第2導体膜の端縁が露出している直方体形状のユニット積層体と、
前記ユニット積層体の前記相対する2つの面を除く面を覆うように形成された絶縁性外装膜と、
前記ユニット積層体の前記相対する2つの面のうちの一方の面を少なくとも覆うように形成され、前記各ユニットの第1導体膜の端縁と電気的に接続された一方の外部端子と、
前記ユニット積層体の前記相対する2つの面のうちの他方の面を少なくとも覆うように形成され、前記各ユニットの第2導体膜の端縁と電気的に接続された他方の外部端子と、
を備えることを特徴とするコンデンサ。
請求項1に記載のn個(nは2以上の整数)のユニットを厚さ向きで積み重ねて一体化した構造を有し、隣接する2個のユニットは第1導体膜と第2導体膜とが向き合っていて絶縁体層を介して電気的に絶縁されており、相対する2つの面のうちの一方の面には各ユニットの第1導体膜の端縁が露出し、且つ、他方の面には各ユニットの第2導体膜の端縁が露出している直方体形状のユニット積層体と、
前記ユニット積層体の前記相対する2つの面を除く面を覆うように形成された絶縁性外装膜と、
前記ユニット積層体の前記相対する2つの面のうちの一方の面を少なくとも覆うように形成され、前記各ユニットの第1導体膜の端縁と電気的に接続された一方の外部端子と、
前記ユニット積層体の前記相対する2つの面のうちの他方の面を少なくとも覆うように形成され、前記各ユニットの第2導体膜の端縁と電気的に接続された他方の外部端子と、
を備えることを特徴とするコンデンサ。
【発明を実施するための形態】
【0020】
《コンデンサを構成する際に用いられるユニットU10》
以下、
図1〜
図9を引用して、後記コンデンサを構成する際に用いられるユニットU10の構造と好ましい作製方法について説明する。ここでの説明では、説明の便宜上、
図1の左、右、下、上、手前、奥をそれぞれ前、後、左、右、上、下と称し、
図2〜
図9のこれらに相当する方向も同様に称する。
【0021】
〈ユニットU10の構造〉
図1〜
図5に示したユニットU10は、0603サイズのコンデンサを構成する際に用いられるものであって、誘電体プレート11と、第1電極棒12と、第2電極棒13と、第1導体膜14と、第2導体膜15と、第1絶縁体膜16と、第2絶縁体膜17とを備えている。
【0022】
誘電体プレート11は、上面視輪郭が矩形で所定の厚さ(上下寸法)を有している。誘電体プレート11はAl、Ta、Nb、Ti、Zr、Hf、Zn、W、Sb等の弁金属の酸化物(=誘電体)から成り、その厚さは50〜150μmである。誘電体プレート11の前後寸法は0.6mmよりも僅かに小さく、左右寸法は0.3mmよりも僅かに小さい。
【0023】
また、誘電体プレート11の前面近傍部分及び後面近傍部分を除く部分には、断面形が円形で所定の内径を有する厚さ方向の複数(図面では計108個)の貫通孔11aが所定の配列、詳しくは各々の中心が正六角形の角に位置する正六方規則配列(
図3に記した正六角形を参照)で形成されている。各貫通孔11aの内径は15〜45nmである。
【0024】
第1電極棒12は、誘電体プレート11に形成された複数の貫通孔11aの一部(図面では54個)の内側に配置され、且つ、該内側面に密着している。各第1電極棒12はCu、Ni、Co、Cr、Ag、Au、Pd、Fe、Sn、Pb、Pt等の純金属やこれらの合金等の導体材料から成り、各々の外径は貫通孔11aの内径と同じである。
図4及び
図5から分かるように、各第1電極棒12の上端は誘電体プレート11の上面(一方の貫通孔露出面)と面一であり、該各第1電極棒12の下端は誘電体プレート11の下面(他の貫通孔露出面)よりも僅かに引っ込んでいる。つまり、各第1電極棒12の下端と誘電体プレート11の下面(他方の貫通孔露出面)との間には、空隙から成る絶縁ギャップ12aが存在する。各絶縁ギャップ12aの上下寸法は5〜15μmである。
図3から分かるように、貫通孔11aの左右方向の等間隔並び(図面では5個の並びと4個の並び)を1つの列として見た場合、前から1、2、5、6、9、10、13、14、17、18、21及び22番目の列に第1電極棒12が存するため、該第1電極棒12は左右方向において各々の中心が実線波線の頂点に位置するような並び方をしている。
【0025】
第2電極棒13は、誘電体プレート11に形成された複数の貫通孔11aの残部(図面では54個)の内側に配置され、且つ、該内側面に密着している。各第2電極棒13はCu、Ni、Co、Cr、Ag、Au、Pd、Fe、Sn、Pb、Pt等の純金属やこれらの合金等の導体材料から成り、各々の外径は貫通孔11aの内径と同じである。
図4及び
図5から分かるように、各第2電極棒13の下端は誘電体プレート11の下面(他方の貫通孔露出面)と面一であり、該各第2電極棒13の上端は誘電体プレート11の上面(一方の貫通孔露出面)よりも僅かに引っ込んでいる。つまり、各第2電極棒13の上端と誘電体プレート11の上面(一方の貫通孔露出面)との間には、空隙から成る絶縁ギャップ13aが存在する。各絶縁ギャップ13aの上下寸法は5〜15μmである。
図3から分かるように、貫通孔11aの左右方向の等間隔並び(図面では5個の並びと4個の並び)を1つの列として見た場合、前から3、4、7、8、11、12、15、16、19、20、23及び24番目の列に第2電極棒13が存するため、該第2電極棒13は左右方向において各々の中心が破線波線の頂点に位置するような並び方をしている。要するに、
図3に実線波線で示した第1電極棒13の並びと破線波線で示した第2電極棒13の並びは、誘電体プレート11の前後方向において交互に存在する。
【0026】
第1導体膜14は、誘電体プレート11の上面(一方の貫通孔露出面)の前端部を除く矩形状の領域を覆うように形成され、且つ、該領域に密着している。第1導体膜14はCu、Ni、Cr、Ag、Au、Pd、Fe、Sn、Pb、Pt、Ir、Rh、Ru、Al、Ti等の純金属やこれらの合金等の導体材料から成り、その厚さ(上下寸法)は0.5〜1.5μmである。第1導体膜14の左右寸法は誘電体プレート11の左右寸法と同じであり、好ましい前後寸法は誘電体プレート11の前後寸法の85/100〜95/100である。
図4及び
図5から分かるように、第1導体膜14の下面は各第1電極棒12の上端と電気的に接続されているが、該下面は各第2電極棒13の上端と絶縁ギャップ13aを介して電気的に絶縁されている。第1導体膜14の後面は誘電体プレート11の後面と面一である。第1導体膜14の好ましい態様はTi膜と該Ti膜を覆うCu膜の2層構造であるが、誘電体プレート11に対する密着が良好に行え、且つ、各第1電極棒12に対する電気的接続が良好に行えるものであれば、その層数や材料に特段の制限は無い。
【0027】
第2導体膜15は、誘電体プレート11の下面(他方の貫通孔露出面)の後端部を除く矩形状の領域を覆うように形成され、且つ、該領域に密着している。第2導体膜15はCu、Ni、Cr、Ag、Au、Pd、Fe、Sn、Pb、Pt、Ir、Rh、Ru、Al、Ti等の純金属やこれらの合金等の導体材料から成り、その厚さ(上下寸法)は0.5〜1.5μmである。第2導体膜15の左右寸法は誘電体プレート11の左右寸法と同じであり、好ましい前後寸法は誘電体プレート11の前後寸法の85/100〜95/100である。
図4及び
図5から分かるように、第2導体膜15の上面は各第2電極棒13の下端と電気的に接続されているが、該上面は各第1電極棒12の下端と絶縁ギャップ12aを介して電気的に絶縁されている。第2導体膜15の前面は誘電体プレート11の前面と面一である。第2導体膜15の好ましい態様はTi膜と該Ti膜を覆うCu膜の2層構造であるが、誘電体プレート11に対する密着が良好に行え、且つ、各第2電極棒13に対する電気的接続が良好に行えるものであれば、その層数や材料に特段の制限は無い。
【0028】
第1絶縁体膜16は、誘電体プレート11の上面(一方の貫通孔露出面)の前端部、即ち、第1導体膜14が形成されていない矩形状の前側領域を覆うように形成され、且つ、該前側領域に密着しており、その後面は第1導体膜14の前面と密着している。第1絶縁体膜16はエポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル、ポリイミド等の絶縁体材料から成り、その厚さ(上下寸法)は第1導体膜14と同じである。第1絶縁体膜16の左右寸法は誘電体プレート11の左右寸法と同じであり、前後寸法は「誘電体プレート11の前後寸法」−「第1導体膜14の前後寸法」である。
図4及び
図5から分かるように、第1絶縁体膜16の前面は誘電体プレート11の前面と面一である。
【0029】
第2絶縁体膜17は、誘電体プレート11の下面(他方の貫通孔露出面)の後端部、即ち、第2導体膜15が形成されていない矩形状の後側領域を覆うように形成され、且つ、該後側領域に密着しており、その前面は第2導体膜15の後面と密着している。第2絶縁体膜17はエポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル、ポリイミド等の絶縁体材料から成り、その厚さ(上下寸法)は第2導体膜15と同じである。第2絶縁体膜17の左右寸法は誘電体プレート11の左右寸法と同じであり、前後寸法は「誘電体プレート11の前後寸法」−「第2導体膜15の前後寸法」である。
図4及び
図5から分かるように、第2絶縁体膜17の後面は誘電体プレート11の後面と面一である。
【0030】
前記ユニットU10は、誘電体プレート11内に存する各第1電極棒12が第1導体膜14に電気的に接続し、且つ、誘電体プレート11内に各第1電極棒12と非接触で存する各第2電極棒13が第2導体膜15に電気的に接続した構造にあるため、第1導体膜14と第2導体膜15との間に所定の容量(大容量)を確保することができる。
【0031】
〈ユニットU10の好ましい作製方法〉
前記ユニットU10を作製するときには、
図6に示したように、先ず、誘電体プレート11用のプレート基材BMを用意し、該プレート基材BMに陽極酸化の基点となるピットを形成した後、2段の陽極酸化処理によって深さが異なる2種類の孔BMa及びBMb(
図6のBMaは貫通した孔を示し、BMbは貫通していない孔を示す)を形成する。
【0032】
続いて、
図7に示したように、PVD処理(物理気相成長処理)によってプレート基材BMの上面にCu等から成るシード層SLを第1導体膜14に対応した前後寸法及び左右寸法で形成した後、該シード層SLを利用した電解メッキ処理によって孔BMaに第1電極棒12用の導体材料CMを充填する。
【0033】
続いて、
図8に示したように、プレート基材BMからシード層SLを除去し、孔BMbの下端が開口するように該プレート基材BMの下面側(
図7の破線よりも下側部分)を除去して、誘電体プレート11を得る。そして、PVD処理によって誘電体プレート11の下面に第2導体膜15を形成した後、該第2導体膜15を利用した電解メッキ処理によって孔BMb(ここでは貫通した孔を示す)に第2電極棒13用の導体材料CMを充填する。
【0034】
続いて、
図9に示したように、PVD処理によって誘電体プレート11の上面に第1導体膜14を形成する。
【0035】
続いて、絶縁体材料の塗布及び硬化処理によって、誘電体プレート11の上面前端部に第1絶縁体膜16を形成すると共に、誘電体プレート11の下面後端部に第2絶縁体膜17を形成する。以上で前記ユニットU10が作製される。
【0036】
〈ユニットU10の変形例〉
(1)誘電体プレート11の前面近傍部分及び後面近傍部分を除く部分に複数の貫通孔11aを形成したものを示したが、該誘電体プレート11の全体に複数の貫通孔11aが所定の配列で形成されていても良い。この場合、作製方法如何では、第1絶縁体膜16の下側に存する貫通孔11aと第2絶縁体膜17の上側に存する貫通孔11aに第1電極棒12と第2電極棒13が幾つか設けられてしまうが、前記ユニットU10の構造からして該ユニットU10自体の性能に特段の問題は生じないし、後記コンデンサの性能にも特段の問題は生じない。勿論、第1絶縁体膜16の下側に存する貫通孔11aと第2絶縁体膜17の上側に存する貫通孔11aに、これら貫通孔11aに第1電極棒12用の導体材料CMと第2電極棒13用の導体材料CMが充填されないように該貫通孔11aの開口に予めマスクを付しておけば、該貫通孔11aを空孔として残存させることもできる。また、こえら貫通孔に第1電極棒12用の導体材料CMと第2電極棒13用の導体材料CMが充填されないように該貫通孔11aに予め適当な絶縁体材料を予め充填しておけば、該貫通孔11aを誘電体プレート11と同様の誘電体部分とすることもできる。
【0037】
(2)誘電体プレート11に計108個の貫通孔11aを形成したものを示したが、該貫通孔11aの数は108個よりも多くても少なくても良い。また、計108個のうちの半分に当たる54個の貫通孔11aに第1電極棒12を設け、残りの54個の貫通孔11aに第2電極棒13を設けたものを示したが、第1電極棒12の数と第2電極棒13の数は必ずしも一致させる必要は無い。
【0038】
(3)誘電体プレート11における第1電極棒12と第2電極棒13の並び方を
図3の実線波線と破線波線で示したが、
図10(A)〜
図10(C)のそれぞれに示した他の並び方を採用しても良い。
図10(A)にあっては、第1電極棒12は左右方向において各々の中心が実線直線上に位置するように並び、第2電極棒13は左右方向において各々の中心が破線直線上に位置するように並んでおり、第1電極棒12の並びと第2電極棒13の並びは前後方向において交互に存在する。
図10(B)にあっては、第1電極棒12は各々の中心が実線正六角形の角に位置するように並び、第2電極棒13は実線正六角形の中心に位置するように並んでいる。
図10(C)にあっては、第1電極棒12は左右方向と30度を成す斜め方向において各々の中心が実線直線上に位置するように並び、第2電極棒13は同じ斜め方向において各々の中心が破線直線上に位置するように並んでおり、第1電極棒12の並びと第2電極棒13の並びは斜め方向と直交する方向において交互に存在する。勿論、
図3と
図10(A)〜
図10(C)のそれぞれに示した並び方以外の規則的な並び方を採用しても良いし、規則性を有しない並び方を採用しても良い。
【0039】
(4)誘電体プレート11における貫通孔11aの配列を
図3に示したが、
図11(A)〜
図11(C)に示したように、前から奇数番目の列と前から偶数番目の列とが左右方向にずれていない配列(マトリクス配設)としても良い。また、このような貫通孔11aの配列の場合、第1電極棒12と第2電極棒13の並び方として
図11(A)〜
図11(C)のそれぞれに示した並び方を採用できる。
図11(A)にあっては、第1電極棒12は左右方向において各々の中心が実線波線の頂点に位置するように並び、第2電極棒13は左右方向において各々の中心が破線波線の頂点に位置するように並んでおり、第1電極棒12の並びと第2電極棒13の並びは前後方向において交互に存在する。
図11(B)にあっては、第1電極棒12は左右方向において各々の中心が実線直線上に位置するように並び、第2電極棒13は左右方向において各々の中心が破線直線上に位置するように並んでおり、第1電極棒12の並びと第2電極棒13の並びは前後方向において交互に存在する。
図11(C)にあっては、第1電極棒12は各々の中心が実線正方形の頂点と中心に位置するように並び、第2電極棒13は各々の中心が破線ひし形の頂点に位置するように並んでいる。勿論、
図11(A)〜
図11(C)のそれぞれに示した並び方以外の規則的な並び方を採用しても良いし、規則性を有しない並び方を採用しても良い。
【0040】
(5)各第1電極棒12の絶縁ギャップ12aとして空隙を示し、各第2電極棒13の絶縁ギャップ13aとして空隙を示したが、各々の空隙にポリイミド等の絶縁体材料を充填して、該充填物を絶縁ギャップ12a及び13aとして採用しても良い。
【0041】
《ユニットU10を用いて構成されたコンデンサC20》
以下、
図12〜
図18を引用して、前記ユニットU10を4個用いて構成されたコンデンサC20(コンデンサの第1実施形態)の構造と好ましい製造方法について説明する。ここでの説明では、説明の便宜上、
図13の左、右、手前、奥、上、下をそれぞれ前、後、左、右、上、下と称し、
図12及び
図15〜
図18のこれらに相当する方向も同様に称する。
【0042】
〈コンデンサC20の構造〉
図12及び
図13に示したコンデンサC20は、従前の0603サイズの積層型コンデンサと互換性を有するものであって、ユニット積層体21と、絶縁性外装膜22と、下地導体膜23と表面導体膜24とから構成された一対の外部端子25とを備えており、前後寸法は0.6mmで左右寸法は0.3mmである。
【0043】
ユニット積層体21は、4個のユニットU10を厚さ向きで上下方向に積み重ねて一体化した構造を有しており、全体が直方体形状を成している。4個のユニットU10の3次元向きについて詳しく述べれば、上から1及び3番目のユニットU10は第1導体膜14及び第1絶縁体膜16が上に位置し該第1絶縁体膜16が前に位置する3次元向きにあり、上から2及び4番目のユニットU10は第2導体膜15及び第2絶縁体膜17が上に位置し該第2絶縁体膜17が後に位置する3次元向きにある。つまり、上から1番目のユニットU10の第2導体膜15は上から2番目のユニットU10の第2導体膜15と向き合い、上から1番目のユニットU10の第2絶縁体膜17は上から2番目のユニットU10の第2絶縁体膜17と向き合っている。上から2番目のユニットU10の第1導体膜14は上から3番目のユニットU10の第1導体膜14と向き合い、上から2番目のユニットU10の第1絶縁体膜16は上から3番目のユニットU10の第1絶縁体膜16と向き合っている。上から3番目のユニットU10の第2導体膜15は上から4番目のユニットU10の第2導体膜15と向き合い、上から3番目のユニットU10の第2絶縁体膜17は上から4番目のユニットU10の第2絶縁体膜17と向き合っている。
【0044】
また、上から1番目のユニットU10の第2導体膜15の下面と上から2番目のユニットU10の第2導体膜15の上面とが結合していて電気的に接続され、上から2番目のユニットU10の第1導体膜14の下面と上から3番目のユニットU10の第1導体膜14の上面とが結合していて電気的に接続され、上から3番目のユニットU10の第2導体膜15の下面と上から4番目のユニットU10の第2導体膜15の上面とが結合していて電気的に接続されている。これら電気的接続には、拡散接合(熱圧着接合)等の直接接合法の他、ハンダや導電性接着剤等の導電性接合材を用いた間接接合法が採用されている。
【0045】
即ち、各ユニットU10の第1導体膜14の後端縁と第2絶縁体膜17の後端縁はユニット積層体21の後面において露出し、各ユニットU10の第2導体膜15の前端縁と第1絶縁体膜16の前端縁はユニット積層体21の前面において露出している。
【0046】
絶縁性外装膜22は、ユニット積層体21の左面、右面、上面及び下面を連続して覆うように形成されている。絶縁性外装膜22はエポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル、ポリイミド等の絶縁体材料から成り、その厚さ(上下寸法)は1.5〜4.5μmである。
【0047】
前側の外部端子25を構成する前側の下地導体膜23は、ユニット積層体21の前面と絶縁性外装膜22の左面前端部、右面前端部、上面前端部及び下面前端部とを連続して覆うように形成されている。後側の外部端子25を構成する後側の下地導体膜23は、ユニット積層体21の後面と絶縁性外装膜22の左面後端部、右面後端部、上面後端部及び下面後端部とを連続して覆うように形成されている。各下地導体膜23は導電性プラスチックから成り、その厚さは5〜15μmである。導電性プラスチックのプラスチック成分はエポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル、ポリイミド等から成り、金属成分はAg粒子、Pd粒子、Cu粒子、Ni粒子等から成る。
図13から分かるように、前側の下地導体膜23の内面は各ユニットU10の第2導体膜15の前端縁と電気的に接続し、後側の下地導体膜23の内面は各ユニットU10の第1導体膜14の後端縁と電気的に接続している。各下地導体膜23は導電性を確保するのに適した量(例えば80〜90wt%)の金属成分を含んでいるため、第1導体膜14と第2導体膜15に対する電気的接続を良好に行える。各下地導体膜23は密着性を確保するのに適した量(例えば10〜20wt%)のプラスチック成分を含んでいるため、ユニット積層体21と絶縁性外装膜22に対する密着を良好に行える。
【0048】
前側の外部端子25を構成する前側の表面導体膜24は、前側の下地導体膜23を覆うように形成されている。後側の外部端子25を構成する後側の表面導体膜24は、後側の下地導体膜23を覆うように形成されている。各表面導体膜24はNi、Sn、Au等の導体材料から成り、その厚さは5〜15μmである。
図13から分かるように、前側の表面導体膜24の内面は前側の下地導体膜23の表面に電気的に接続し、後側の表面導体膜24の内面は後側の下地導体膜23の表面に電気的に接続している。各表面導体膜24の好ましい態様はNi膜と該Ni膜の表面を覆うSn膜の2層構造であるが、各下地導体膜23に対する電気的接続が良好に行え、且つ、回路基板のパッドへのハンダ付けが良好に行えるものであれば、その層数や材料に特段の制限は無い。
【0049】
前記コンデンサC20は、各ユニットU10の第1導体膜14が後側の外部端子25に電気的に接続し、且つ、各ユニットU10の第2導体膜15が前側の外部端子25に電気的に接続した構造にあるため、該コンデンサC20の等価回路は
図14に示したようになる。つまり、1つのユニットU10で得られる容量をC-U10とした場合、前記コンデンサC20は4個の容量C-U10が一対の外部端子25の間に並列接続された等価回路を有している。
【0050】
〈コンデンサC20の好ましい製造方法〉
前記コンデンサC20を製造するときには、先ず、
図15及び
図16に示したように、下から1番目のユニットU10の第2導体膜15及び第2絶縁体膜17の上面に下から2番目のユニットU10の第2導体膜15及び第2絶縁体膜17の下面を重ね、そして、該2番目のユニットU10の第1導体膜14及び第1絶縁体膜16の上面に下から3番目のユニットU10の第1導体膜14及び第1絶縁体膜16の下面を重ね、そして、該3番目のユニットU10の第2導体膜15及び第2絶縁体膜17の上面に下から4番目のユニットU10の第2導体膜15及び第2絶縁体膜17の下面を重ねた後、下から1番目のユニットU10の第2導体膜15と下から2番目のユニットU10の第2導体膜15とを接合し、下から2番目のユニットU10の第1導体膜14と下から3番目のユニットU10の第1導体膜14とを接合し、下から3番目のユニットU10の第2導体膜15と下から4番目のユニットU10の第2導体膜15とを接合してユニット積層体21を作製する。
【0051】
続いて、
図17に示したように、ローラ塗布機、噴霧塗布機等の塗布装置を用いてユニット積層体21の左面、右面、上面及び下面を連続して覆うように絶縁性外装膜22用の絶縁体材料IMa(未硬化のもの)を塗布した後、該絶縁体材料IMaを硬化させて絶縁性外装膜22を作製する。
【0052】
続いて、
図18に示したように、ローラ塗布機、ディップ塗布機等の塗布装置を用いてユニット積層体21の前面と絶縁性外装膜22の左面前端部、右面前端部、上面前端部及び下面前端部とを連続して覆うように下地導体膜23用の導電性プラスチック材料CMa(未硬化のもの)を塗布し、ユニット積層体21の後面と絶縁性外装膜22の左面後端部、右面後端部、上面後端部及び下面後端部とを連続して覆うように下地導体膜23用の導電性プラスチック材料CMa(未硬化のもの)を塗布した後、該各導電性プラスチック材料CMaを硬化させて各下地導体膜23を作製する。
【0053】
続いて、電解メッキ処理によって各下地導体膜23の表面のそれぞれに表面導体膜24を作製する。表面導体膜24の層数が2以上の場合には、各層に対応した電解メッキ処理を続けて行う。以上で前記コンデンサC20が製造される。
【0054】
〈コンデンサC20の変形例〉
(1)コンデンサC20として各下地導体膜23が導電性プラスチックから成るものを示したが、各下地導体膜23はTi、Cu、Ni、Ag、Pd等の導体材料から形成されていても良い。各下地導体膜23の好ましい態様はTi膜と該Ti膜を覆うCu膜の2層構造であるが、第1導体膜14と第2導体膜15に対する電気的接続を良好に行え、且つ、ユニット積層体21及び絶縁性外装膜22に対する密着が良好に行えるものであれば、その層数や材料に特段の制限は無い。
【0055】
(2)コンデンサC20として前記ユニットU10を4個用いて構成されたものを示したが、コンデンサを構成する該ユニットU10の数は2個、または、3個以上であっても良い。前記ユニットU10を3個用いてコンデンサを構成する場合には、
図19に示したように、前記コンデンサC20の上から4番目のユニットU10を排除した構造とすれば良く、該コンデンサC20-1では3個の容量C-U10が一対の外部端子25の間に並列接続された等価回路(
図20を参照)が得られる。図示を省略したが、前記ユニットU10を2個用いてコンデンサを構成する場合には、前記コンデンサC20の上から3番目と4番目のユニットU10を排除した構造とすれば良く、該コンデンサでは2個の容量C-U10が一対の外部端子25の間に並列接続された等価回路が得られる。前記ユニットU10を5個用いてコンデンサを構成する場合には、前記コンデンサC20の上から4番目のユニットU10の下側に上から1番目のユニットU10と同じ3次元向きにあるユニットU10を追加すれば良く、該コンデンサでは5個の容量C-U10が一対の外部端子25の間に並列接続された等価回路が得られる。前記ユニットU10を6個以上用いてコンデンサを構成する場合も、前記コンデンサC20の各ユニットU10の3次元向きに合わせてユニットU10を追加すれば良い。
【0056】
《ユニットU10を用いて構成されたコンデンサC30》
以下、
図21及び
図22を引用して、前記ユニットU10を4個用いて構成された別タイプのコンデンサC30(コンデンサの第2実施形態)の構造と好ましい製造方法について説明する。ここでの説明では、説明の便宜上、
図21の左、右、手前、奥、上、下をそれぞれ前、後、左、右、上、下と称する。
【0057】
〈コンデンサC30の構造〉
図21に示したコンデンサC30は、、従前の0603サイズの積層型コンデンサと互換性を有するものであって、ユニット積層体31と、絶縁性外装膜32と、下地導体膜33と表面導体膜34とから構成された一対の外部端子35とを備えており、前後寸法は0.6mmで左右寸法は0.3mmである。
【0058】
ユニット積層体31は、4個のユニットU10を厚さ向きで上下方向に積み重ねて一体化した構造を有しており、全体が直方体形状を成している。4個のユニットU10の3次元向きについて詳しく述べれば、各ユニットU10は第1導体膜14及び第1絶縁体膜16が上に位置し該第1絶縁体膜16が前に位置する3次元向きにある。つまり、上から1番目のユニットU10の第2導体膜15は上から2番目のユニットU10の第1導体膜14と向き合っているものの、上から1番目のユニットU10の第2絶縁体膜17は上から2番目のユニットU10の第1絶縁体膜16と向き合っていない。上から2番目のユニットU10の第2導体膜15は上から3番目のユニットU10の第1導体膜14と向き合っているものの、上から2番目のユニットU10の第2絶縁体膜17は上から3番目のユニットU10の第1絶縁体膜16と向き合っていない。上から3番目のユニットU10の第2導体膜15は上から4番目のユニットU10の第1導体膜14と向き合っているものの、上から3番目のユニットU10の第2絶縁体膜17は上から4番目のユニットU10の第1絶縁体膜16と向き合っていない。
【0059】
また、上から1番目のユニットU10の第2導体膜15と上から2番目のユニットU10の第1導体膜14とが両者に密着する絶縁体層31aを介して電気的に絶縁され、上から2番目のユニットU10の第2導体膜15と上から3番目のユニットU10の第1導体膜14とが両者に密着する絶縁体層31aを介して電気的に絶縁され、上から3番目のユニットU10の第2導体膜15と上から4番目のユニットU10の第1導体膜14とが両者に密着する絶縁体層31aを介して電気的に絶縁されている。各絶縁体層31aはエポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル、ポリイミド等の絶縁体材料から成り、その厚さ(上下寸法)は1.5〜4.5μmである。
【0060】
即ち、各ユニットU10の第1導体膜14の後端縁と第2絶縁体膜17の後端縁はユニット積層体31の後面において露出し、各ユニットU10の第2導体膜15の前端縁と第1絶縁体膜16の前端縁はユニット積層体31の前面において露出している。
【0061】
絶縁性外装膜32は、ユニット積層体31の左面、右面、上面及び下面を連続して覆うように形成されている。絶縁性外装膜32の材料及び厚さ等は前記コンデンサC20の絶縁性外装膜22と同じであるためその説明を省略する。
【0062】
前側の外部端子35を構成する前側の下地導体膜33は、ユニット積層体31の前面と絶縁性外装膜32の左面前端部、右面前端部、上面前端部及び下面前端部とを連続して覆うように形成されている。後側の外部端子35を構成する後側の下地導体膜33は、ユニット積層体31の後面と絶縁性外装膜22の左面後端部、右面後端部、上面後端部及び下面後端部とを連続して覆うように形成されている。
図21から分かるように、前側の下地導体膜33の内面は各ユニットU10の第2導体膜15の前端縁と電気的に接続し、後側の下地導体膜33の内面は各ユニットU10の第1導体膜14の後端縁と電気的に接続している。各下地導体膜33の材料及び厚さ等は前記コンデンサC20の下地導体膜23と同じであるためその説明を省略する。
【0063】
前側の外部端子35を構成する前側の表面導体膜34は、前側の下地導体膜33を覆うように形成されている。後側の外部端子35を構成する後側の表面導体膜34は、後側の下地導体膜33を覆うように形成されている。
図21から分かるように、前側の表面導体膜34の内面は前側の下地導体膜33の表面に電気的に接続し、後側の表面導体膜34の内面は後側の下地導体膜33の表面に電気的に接続している。各表面導体膜34の材料及び厚さ等は前記コンデンサC20の表面導体膜24と同じであるためその説明を省略する。
【0064】
前記コンデンサC30は、各ユニットU10の第1導体膜14が後側の外部端子35に電気的に接続し、且つ、各ユニットU10の第2導体膜15が前側の外部端子35に電気的に接続した構造にあるため、該コンデンサC30の等価回路は
図22に示したようになる。つまり、1つのユニットU10で得られる容量をC-U10とした場合、前記コンデンサC30は4個の容量C-U10が一対の外部端子35の間に並列接続された等価回路を有している。
【0065】
〈コンデンサC30の好ましい製造方法〉
前記コンデンサC30を製造するときには、先ず、
図23及び
図24に示したように、下から1番目のユニットU10の第1導体膜14及び第1絶縁体膜16の上面に絶縁体層31a用の絶縁体材料IMb(未硬化のもの)を塗布し、その上に下から2番目のユニットU10の第2導体膜15及び第2絶縁体膜17の下面を重ね、そして、該2番目のユニットU10の第1導体膜14及び第1絶縁体膜16の上面に絶縁体層31a用の絶縁体材料IMb(未硬化のもの)を塗布し、その上に下から3番目のユニットU10の第2導体膜15及び第2絶縁体膜17の下面を重ね、そして、該3番目のユニットU10の第1導体膜14及び第1絶縁体膜16の上面に絶縁体層31a用の絶縁体材料IMb(未硬化のもの)を塗布し、その上に下から4番目のユニットU10の第2導体膜15及び第2絶縁体膜17の下面を重ねた後、各絶縁体材料IMbを硬化させて
図13に示したユニット積層体31を作製する。
【0066】
続いて、
図25に示したように、ローラ塗布機、噴霧塗布機等の塗布装置を用いてユニット積層体31の左面、右面、上面及び下面を連続して覆うように絶縁性外装膜32用の絶縁体材料IMa(未硬化のもの)を塗布した後、該絶縁体材料IMaを硬化させて絶縁性外装膜32を作製する。
【0067】
続いて、
図26に示したように、ローラ塗布機、ディップ塗布機等の塗布装置を用いてユニット積層体31の前面と絶縁性外装膜32の左面前端部、右面前端部、上面前端部及び下面前端部とを連続して覆うように下地導体膜33用の導電性プラスチック材料CMa(未硬化のもの)を塗布し、ユニット積層体31の後面と絶縁性外装膜32の左面後端部、右面後端部、上面後端部及び下面後端部とを連続して覆うように下地導体膜33用の導電性プラスチック材料CMa(未硬化のもの)を塗布した後、該各導電性プラスチック材料CMaを硬化させて各下地導体膜33を作製する。
【0068】
続いて、電解メッキ処理によって各下地導体膜33の表面のそれぞれに表面導体膜34を作製する。表面導体膜34の層数が2以上の場合には、各層に対応した電解メッキ処理を続けて行う。以上で前記コンデンサC30が製造される。
【0069】
〈コンデンサC30の変形例〉
(1)コンデンサC30として各下地導体膜33が導電性プラスチックから成るものを示したが、各下地導体膜33はTi、Cu、Ni、Ag、Pd等の導体材料から形成されていても良い。各下地導体323の好ましい態様はTi膜と該Ti膜を覆うCu膜の2層構造であるが、第1導体膜14と第2導体膜15に対する電気的接続を良好に行え、且つ、ユニット積層体31及び絶縁性外装膜32に対する密着が良好に行えるものであれば、その層数や材料に特段の制限は無い。
【0070】
(2)コンデンサC30として前記ユニットU10を4個用いて構成されたものを示したが、コンデンサを構成する該ユニットU10の数は2個、または、3個以上であっても良い。前記ユニットU10を3個用いてコンデンサを構成する場合には、
図27に示したように、前記コンデンサC20の上から4番目のユニットU10と上から3番目の絶縁体層31aを排除した構造とすれば良く、該コンデンサC30-1では3個の容量C-U10が一対の外部端子35の間に並列接続された等価回路(
図28を参照)が得られる。図示を省略したが、前記ユニットU10を2個用いてコンデンサを構成する場合には、前記コンデンサC30の上から3番目と4番目のユニットU10と上から2番目と3番目の絶縁体層31aを排除した構造とすれば良く、該コンデンサでは2個の容量C-U10が一対の外部端子35の間に並列接続された等価回路が得られる。前記ユニットU10を5個用いてコンデンサを構成する場合には、前記コンデンサC20の上から4番目のユニットU10の下側に該4番目のユニットU10と同じ3次元向きにあるユニットU10を追加すれば良く、該コンデンサでは5つの容量C-U10が一対の外部端子35の間に並列接続された等価回路が得られる。前記ユニットU10を6個以上用いてコンデンサを構成する場合も、前記コンデンサC30の各ユニットU10の3次元向きに合わせてユニットU10を追加すれば良い。
【0071】
《ユニットU10とコンデンサC20、C20-1、C30及びC30-1等による効果》
(1)前記ユニットU10は、第1導体膜14と第2導体膜15との間に大きな容量C-U10を確保できる構造にあると共に、n個(nは2以上整数)を厚さ向きに積み重ねて一体化したときに該容量C-U10を並列接続するのに適した第1絶縁体膜16及び第2絶縁体膜17を有している。また、前記ユニットU10は構造がシンプルであるため、その作製は容易でコストもさほどかからない。
【0072】
つまり、前記ユニットU10を用いれば、前記《ユニットU10を用いて構成されたコンデンサC20》で説明したように、n個のユニットU10を厚さ向きに積み重ねて一体化した構造を有するユニット積層体21として、隣接する2個のユニットU10の第1導体膜14同士または第2導体膜15同士が向き合っていて電気的に接続され、後面に各ユニットU10の第1導体膜14の後端縁が露出し、且つ、前面に各ユニットU10の第2導体膜15の前端縁が露出した直方体形状のものを容易に作製できるし、該ユニット積層体21に絶縁性外装膜22と一対の外部端子25を作製することによって、n個の容量C-U10が一対の外部端子25の間に並列接続されたコンデンサC20及びC20-1等を容易に製造できる。即ち、ユニットU10を予め用意しておけば簡単なプロセスでコンデンサC20及びC20-1等を製造できるため、その製造コストを従前の積層型コンデンサの製造コストと同等或いはそれ以下として部品単価の高騰を回避できる。
【0073】
また、前記ユニットU10を用いれば、前記《ユニットU10を用いて構成されたコンデンサC30》で説明したように、n個のユニットU10を厚さ向きに積み重ねて一体化した構造を有するユニット積層体31として、隣接する2個のユニットU10の第1導体膜14と第2導体膜15とが向き合っていて絶縁体層31aを介して電気的に絶縁され、後面に各ユニットU10の第1導体膜14の後端縁が露出し、且つ、前面に各ユニットU10の第2導体膜15の前端縁が露出した直方体形状のものを容易に作製できるし、該ユニット積層体31に絶縁性外装膜32と一対の外部端子35を作製することによって、n個の容量C-U10が一対の外部端子35の間に並列接続されたコンデンサC30及びC30-1等を容易に製造できる。即ち、ユニットU10を予め用意しておけば簡単なプロセスでコンデンサC30及びC30-1等を製造できるため、その製造コストを従前の積層型コンデンサの製造コストと同等或いはそれ以下として部品単価の高騰を回避できる。
【0074】
要するに、前記ユニットU10は、従前の積層型コンデンサと互換性があり、且つ、さらなる大容量化の要求を満たすコンデンサを構成するのに極めて有用である。また、前記コンデンサC20、C20-1、C30及びC30-1等は、従前の積層型コンデンサと互換性があり、且つ、さらなる大容量化の要求を確実に満足する。しかも、ユニットU10の使用個数を変えることによって、コンデンサ自体の容量をニーズに応じて簡単に変更できる。
【0075】
(2)前記ユニットU10の第1導体膜14及び第2導体膜15の左右寸法が誘電体プレート11の左右寸法と同じであるため、該ユニットU10をn個用いて構成されたコンデンサC20、C20-1、C30及びC30-1等において、各ユニットU10の第1導体膜14の後端縁と後側の外部端子(25、35)との電気的接続、並びに、各ユニットU10の第2導体膜15の前端縁と前側の外部端子(25、35)との電気的接続を良好に行って、一対の外部端子(25、35)の間にn個の容量C-U10を確実に並列接続できる。
【0076】
(3)前記ユニットU10の第1絶縁体膜16及び第2絶縁体膜17の左右寸法が誘電体プレート11の左右寸法と同じであるため、該ユニットU10をn個用いて構成されたコンデンサC20、C20-1、C30及びC30-1等において、各ユニットU10の第1導体膜14と前側の外部端子(25、35)との絶縁、並びに、各ユニットU10の第2導体膜15と後側の外部端子(25、35)との絶縁を確実に行って、一対の外部端子(25、35)の間にn個の容量C-U10を確実に並列接続できる。
【0077】
(4)前記《ユニットU10を用いて構成されたコンデンサC20》で説明したように、互いに向き合う第1導体膜14と互いに向き合う第2導体膜15を拡散接合(熱圧着接合)等の直接接合法によって結合して電気的に接続すれば、導電性接合材を用いた間接接合法によって結合する場合に比べてユニット積層体21の上下寸法を小さくできるので、コンデンサC20及びC20-1等の小型化により一層貢献できる。
【0078】
《ユニットU10の作製方法とコンデンサC20、C20-1、C30及びC30-1等の製造方法に関する補足》
以上の説明では、ユニットU10の構造と、コンデンサC20、C20-1、C30及びC30-1等の構造を明らかとするために、ユニットU10を単一のコンデンサに対応するサイズのものとして示したが、
図1〜
図5に示したユニットU10が前後方向及び左右方向で連続して並ぶ態様のユニット母材、即ち、格子状に切断することで多数のユニットU10が得られるユニット母材を作製すれば、該ユニット母材を用いてコンデンサをより容易に製造することができる。
【0079】
つまり、コンデンサC20、C20-1、C30及びC30-1等を構成するn個(nは2以上の整数)のユニットの3次元向きと整合するようにn枚のユニット母材を積み重ねて一体化してから、該積み重ね物を単一のユニットU10のサイズに合わせて格子状に切断すれば、
図16と
図24に示したようなユニット積層体(21、31)をより容易に、且つ、低コストで作製できる。勿論、多数個取りのユニット母材を作製することによって、ユニットU10の1個当たりの作製コストも低減できる。
【0080】
要するに、コンデンサC20、C20-1、C30及びC30-1等が小型である場合には、前記の如きユニット母材を作製し、該ユニット母材を積み重ねて一体化した後に切断してユニット積層体を得る方法を採用した方が効率的であり、コンデンサC20、C20-1、C30及びC30-1等の製造コストもより低減できる。
【0081】
《他のサイズのコンデンサへの適用》
以上の説明では、0603サイズのコンデンサを構成する際に用いられるユニットU10と、該ユニットU10を用いて構成された0603サイズのコンデンサC20、C20-1、C30及びC30-1等を示したが、ユニットU10と同じ構造で該ユニットU10よりも前後寸法及び左右寸法が小さなユニットを作製すれば、該ユニットを複数個用いて0402サイズ等の0603サイズよりも小さなコンデンサを構成することができるし、また、ユニットU10と同じ構造で該ユニットU10よりも前後寸法及び左右寸法が大きなユニットを作製すれば、該ユニットを複数個用いて3225サイズや4532サイズ等の0603サイズよりも大きなコンデンサを構成することができる。