(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
建設機械を駆動する油圧システムと、前記油圧システムを制御する制御システムとを備え、前記制御システムは、建設機械の各種状態信号を出力する複数のセンサと、前記油圧システムを制御するための各種動作制御圧力を出力する複数の電磁弁と、前記複数のセンサの状態信号を入力し、前記複数の電磁弁を駆動する駆動信号を出力するコントローラとを備える建設機械の情報管理装置において、
前記コントローラと情報の授受を行い、各種情報を表示するとともに、入力装置を有し、この入力装置により外部から入力を行うモニタ装置を備え、
前記コントローラは、前記モニタ装置の入力装置により選択される故障診断モードを有しており、
前記コントローラは、前記入力装置により前記故障診断モードが選択され、前記複数の電磁弁のうちの特定の電磁弁に係わる故障診断の指示があったときに、前記特定の電磁弁に故障診断用駆動信号を出力するとともに、前記複数のセンサのうちの前記特定の電磁弁に関連する特定のセンサからの出力値を入力し、この特定のセンサからの出力値に基づいて前記特定の電磁弁と前記特定のセンサが正常であるか否かの情報を前記モニタ装置に表示し、
前記建設機械は、走行体と、この走行体上に設けられた旋回体とを有する油圧ショベルであり、
前記油圧システムは、前記旋回体を旋回駆動する旋回油圧モータと、前記旋回油圧モータに供給される圧油の方向及び流量を制御する方向制御弁と、前記旋回体の旋回動作を指示する旋回パイロット圧を生成し、前記方向制御弁のパイロット圧入力部に出力する旋回レバー装置とを有し、
前記特定の電磁弁は、前記旋回レバー装置と前記方向制御弁のパイロット圧入力部との間に配置され、前記旋回レバー装置から出力される旋回パイロット圧を減圧する旋回パイロット圧減圧電磁弁であり、
前記特定のセンサは、前記旋回レバー装置から出力される旋回パイロット圧を検出し電気信号として出力する第1圧力センサであり、
前記コントローラは、前記入力装置により前記故障診断モードが選択され、前記旋回パイロット圧減圧電磁弁に係わる故障診断の指示があったときに、前記旋回パイロット圧減圧電磁弁に前記故障診断用駆動信号として最大駆動信号を出力するとともに、前記第1センサからの出力値を入力し、この第1センサからの出力値に基づいて前記旋回パイロット圧減圧電磁弁と前記第1センサが正常であるか否かの情報を前記モニタ装置に表示することを特徴とする建設機械の情報管理装置。
建設機械を駆動する油圧システムと、前記油圧システムを制御する制御システムとを備え、前記制御システムは、建設機械の各種状態信号を出力する複数のセンサと、前記油圧システムを制御するための各種動作制御圧力を出力する複数の電磁弁と、前記複数のセンサの状態信号を入力し、前記複数の電磁弁を駆動する駆動信号を出力するコントローラとを備える建設機械の情報管理装置において、
前記コントローラと情報の授受を行い、各種情報を表示するとともに、入力装置を有し、この入力装置により外部から入力を行うモニタ装置を備え、
前記コントローラは、前記モニタ装置の入力装置により選択される故障診断モードを有しており、
前記コントローラは、前記入力装置により前記故障診断モードが選択され、前記複数の電磁弁のうちの特定の電磁弁に係わる故障診断の指示があったときに、前記特定の電磁弁に故障診断用駆動信号を出力するとともに、前記複数のセンサのうちの前記特定の電磁弁に関連する特定のセンサからの出力値を入力し、この特定のセンサからの出力値に基づいて前記特定の電磁弁と前記特定のセンサが正常であるか否かの情報を前記モニタ装置に表示し、
前記建設機械は、走行体と、この走行体上に設けられた旋回体とを有する油圧ショベルであり、
前記油圧システムは、前記旋回体を旋回駆動する旋回油圧モータを有し、
前記特定の電磁弁は、前記旋回油圧モータの最大駆動圧を変更するリリーフセット圧変更電磁弁であり、
前記特定のセンサは、前記旋回油圧モータの入出力ポートの圧力を検出し電気信号として出力する第2圧力センサであり、
前記コントローラは、前記入力装置により前記故障診断モードが選択され、前記リリーフセット圧変更電磁弁に係わる故障診断の指示があったときに、前記リリーフセット圧変更電磁弁に前記故障診断用駆動信号として最大駆動信号を出力するとともに、前記第2センサからの出力値を入力し、この第2センサからの出力値に基づいて前記リリーフセット圧変更電磁弁と前記第2センサが正常であるか否かの情報を前記モニタ装置に表示することを特徴とする建設機械の情報管理装置。
建設機械を駆動する油圧システムと、前記油圧システムを制御する制御システムとを備え、前記制御システムは、建設機械の各種状態信号を出力する複数のセンサと、前記油圧システムを制御するための各種動作制御圧力を出力する複数の電磁弁と、前記複数のセンサの状態信号を入力し、前記複数の電磁弁を駆動する駆動信号を出力するコントローラとを備える建設機械の情報管理装置において、
前記コントローラと情報の授受を行い、各種情報を表示するとともに、入力装置を有し、この入力装置により外部から入力を行うモニタ装置を備え、
前記コントローラは、前記モニタ装置の入力装置により選択される故障診断モードを有しており、
前記コントローラは、前記入力装置により前記故障診断モードが選択され、前記複数の電磁弁のうちの特定の電磁弁に係わる故障診断の指示があったときに、前記特定の電磁弁に故障診断用駆動信号を出力するとともに、前記複数のセンサのうちの前記特定の電磁弁に関連する特定のセンサからの出力値を入力し、この特定のセンサからの出力値に基づいて前記特定の電磁弁と前記特定のセンサが正常であるか否かの情報を前記モニタ装置に表示し、
前記建設機械は、走行体と、この走行体上に設けられた旋回体とを有する油圧ショベルであり、
前記油圧システムは、前記旋回体を旋回駆動する旋回油圧モータと、前記旋回油圧モータに供給される圧油の方向及び流量を制御する方向制御弁と、前記旋回体の旋回動作を指示する旋回パイロット圧を生成し、前記方向制御弁のパイロット圧入力部に出力する旋回レバー装置とを有し、
前記建設機械は、前記旋回油圧モータと協調して前記旋回体を旋回駆動する旋回電動モータを有する電動システムを更に備え、
前記コントローラは、前記旋回油圧モータと前記旋回電動モータの両方が協調して前記旋回体を旋回駆動する油圧電動複合旋回モードと、前記旋回電動モータを停止させて前記旋回油圧モータのみで前記旋回体を駆動する油圧単独旋回モードとに切り換え可能であり、
前記特定の電磁弁は、前記旋回レバー装置と前記方向制御弁のパイロット圧入力部との間に配置され、前記旋回レバー装置から出力される旋回パイロット圧を減圧する旋回パイロット圧減圧電磁弁と、前記旋回油圧モータの最大駆動圧を変更するリリーフセット圧変更電磁弁のいずれかであり、
前記特定のセンサは、前記旋回レバー装置から出力される旋回パイロット圧を検出し電気信号として出力する第1圧力センサと、前記旋回油圧モータの入出力ポートの圧力を検出し電気信号として出力する第2圧力センサのいずれかであり、
前記コントローラは、前記油圧電動複合旋回モードにあるときに、前記リリーフセット圧変更電磁弁に制御用駆動信号を出力し、かつ前記油圧単独旋回モードにあるときに、前記旋回パイロット圧減圧電磁弁に制御用駆動信号を出力し、
前記コントローラは、前記入力装置により前記故障診断モードが選択され、前記旋回パイロット圧減圧電磁弁に係わる故障診断の指示があったときに、前記旋回パイロット圧減圧電磁弁に前記故障診断用駆動信号として最大駆動信号を出力するとともに、前記第1センサからの出力値を入力し、この第1センサからの出力値に基づいて前記旋回パイロット圧減圧電磁弁と前記第1センサが正常であるか否かの情報を前記モニタ装置に表示する第1故障診断処理と、前記リリーフセット圧変更電磁弁に係わる故障診断の指示があったときに、前記リリーフセット圧変更電磁弁に前記故障診断用駆動信号として最大駆動信号を出力するとともに、前記第2センサからの出力値を入力し、この第2センサからの出力値に基づいて前記リリーフセット圧変更電磁弁と前記第2センサが正常であるか否かの情報を前記モニタ装置に表示する第2故障診断処理を実行することを特徴とする建設機械の情報管理装置。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0024】
以下、建設機械としてハイブリッド式油圧ショベルを例にとって本発明の実施の形態を説明する。
【0025】
〜油圧ショベルの構成〜
図1は、本発明の情報管理装置が備えられる建設機械の一例であるハイブリッド式油圧ショベルの側面図である。
【0026】
図1において、ハイブリッド式油圧ショベルは、下部走行体10と、この下部走行体10上に旋回可能に設けられた上部
旋回体20と、ショベル機構30とを備えている。
【0027】
下部走行体10は、一対のクローラ11a,11b及びクローラフレーム
17a,17b(
図1では片側のみを示す)、各クローラ11a,11bを独立して駆動制御する一対の左右走行用油圧モータ13a,13b及びその減速機構等で構成されている。
【0028】
上部旋回体20は、旋回フレーム21を備え、旋回フレーム21上には、原動機としてのエンジン22と、エンジン22により駆動される油圧ポンプ51と、エンジン22により駆動される発電機23と、発電機23により発生された電力を蓄えるためのバッテリ81と、油圧ポンプ51の吐出油により駆動される旋
回油圧モータ52と、バッテリ81からの電力により駆動される旋
回電動モータ53と、旋
回油圧モータ52及び旋
回電動モータ53の駆動力により下部走行体10に対して上部旋回体20(旋回フレーム21)を旋回駆動させる旋回機構26と、旋回電動モータ53とバッテリ81間の電力の授受を制御するインバータ82等の各種機器が配置されている。上部旋回体20は主として旋
回油圧モータ52により駆動され、旋
回電動モータ53が旋
回油圧モータ52と強調して駆動することで、上部旋回体20は補助的に旋
回電動モータ53により駆動される。
【0029】
ショベル機構30は、ブーム31と、ブーム31を駆動するためのブームシリンダ32と、ブーム31の先端部近傍に回転自在に軸支されたアーム33と、アーム33を駆動するためのアームシリンダ34と、アーム33の先端に回転可能に軸支されたバケット35と、バケット35を駆動するためのバケットシリンダ36等で構成されている。
【0030】
〜システム構成〜
図2は、本発明の一本実施の形態における情報管理装置を備えたハイブリッド式油圧ショベルの電気油圧システムを示す図である。
【0031】
電気油圧システムは、ハイブリッド式油圧ショベルを駆動する油圧システム100及び電動システム200と、油圧システム100及び電動システム200を制御する制御システム300とを備えている。
【0032】
油圧システム100は、ハイブリッド式油圧ショベルが備える油圧システムのうち、旋回セクションに係わる部分のみを示すものである。
【0033】
油圧システム100は、前述した油圧ポンプ51と、旋回体20を旋回駆動する旋回油圧モータ52とを備えている。
【0034】
また、油圧システム100は、油圧ポンプ51から旋回油圧モータ52に供給される圧油の流れ(方向と流量)を制御し、旋回油圧モータ52の回転方向と回転速度を制御する旋回方向制御弁12と、旋回方向制御弁12の左側アクチュエータポート及び右側アクチュエータポートと旋回油圧モータ52の左側ポート及び右側ポートをそれぞれ接続する左側アクチュエータライン52a及び右側アクチュエータライン52bにそれぞれ接続され、旋回油圧モータ52の左側ポート及び右側ポートのそれぞれの第1最高圧を規定する高圧リリーフ弁57a,57bと、左側アクチュエータライン52a及び右側アクチュエータライン52bにそれぞれ接続され、旋回油圧モータ52の左側ポート及び右側ポートが負圧になった場合、タンクから作動油を導入するためのメイクアップバルブ58a,58bと、左側アクチュエータライン52a及び右側アクチュエータライン52bにそれぞれ接続され、高圧リリーフ弁57a,57bより低圧にセットされ、旋回油圧モータ52の左側ポート及び右側ポートの第2最高圧を規定する低圧リリーフ弁61a,61bと、左側アクチュエータライン52a及び右側アクチュエータライン52bと低圧リリーフ弁61a,61bとの間にそれぞれ接続され、旋回油圧モータ52の左側ポート及び右側ポートの最高圧を低圧リリーフ弁61a,61bで規定される第2最高圧に切り換えるリリーフ圧切換弁62a,62bと、左側アクチュエータライン52a及び右側アクチュエータライン52bと低圧リリーフ弁61a,61bとの間にそれぞれ接続され、リリーフ圧切換弁62a,62bが切り替わっているときに旋回油圧モータ52の左側ポート及び右側ポートが負圧になった場合、タンクから作動油を導入するためのメイクアップバルブ60a,60bと、旋回体20の旋回動作を規制して旋回体20を停止保持するための旋回パーキングブレーキ54と、旋回体20の旋回動作を指示する左右のパイロット圧(旋回パイロット圧)を生成し、旋回方向制御弁12の左右のパイロット圧入力部12a,12bに出力する左右のパイロット弁(減圧弁)を内蔵した操作レバー装置(旋回レバー装置)55と、操作レバー装置55から出力される左右操作パイロット圧のうち高圧を選択して出力するシャトル弁56と、旋回パーキングブレーキ54に設けられ、シャトル弁56から出力される操作レバー装置55の操作パイロット圧がチェック弁54aを介して導かれ、その操作パイロット圧により駆動されて旋回パーキングブレーキ54の制動を解除するブレーキ解除シリンダ54bとを備えている。
【0035】
電動システム200は、前述した旋回電動モータ53と、バッテリ81と、インバータ82とを備えている。旋回電動モータ53は、旋回油圧モータ52と協調して動作し、旋回体20を旋回駆動する。
【0036】
制御システム300は、建設機械の各種状態信号を出力する複数のセンサ64a,64b,66a,66b,67と、油圧システムを制御するための各種動作制御圧力を出力する複数の電磁弁63a,63b,65a,65b,68と、複数のセンサ64a,64b,66a,66b,67の状態信号を入力し、複数の電磁弁63a,63b,65a,65b,68を駆動する駆動信号を出力するコントローラ14とを備えている。
電磁弁63a,63bは、コントローラ14からの指令信号を受けてリリーフ圧切換弁62a,62bの切換圧を発生させ、旋回油圧モータ52の最大駆動圧を変更する旋回左右の低圧リリーフ電磁弁(リリーフセット圧変更電磁弁)であり、電磁弁65a,65bは、旋回レバー装置55と方向制御弁12のパイロット圧入力部12a,12bとの間に配置され、コントローラ14からの指令信号を受けて操作レバー装置55の左右の操作パイロット圧を減圧して旋回方向制御弁12に出力する旋回
左右のパイロット圧減圧電磁弁であり、電磁弁68は、旋回パーキングブレーキ54のブレーキ解除シリンダ54bをタンクに連通させ、旋回パーキングブレーキ54をONさせる緊急停止弁である。
【0037】
センサ64a,64bは、旋回油圧モータ52の左側入出力ポート及び右側入出力ポートの圧力(左側アクチュエータライン52a及び右側アクチュエータライン52bの圧力)を検出し電気信号としてコントローラ14に出力する旋回左右の圧力センサであり、センサ66a,66bは、操作レバー装置55から電磁弁65a,65bに出力される左右の操作パイロット圧を検出し電気信号としてコントローラ14に出力する旋回
左右のパイロット圧センサであり、センサ67は、旋回パーキングブレーキ54をON/OFFさせるブレーキライン圧を検出し電気信号としてコントローラ14に出力する旋回ブレーキ圧センサである。
【0038】
制御システム300は、緊急停止弁68を作動させるためのスイッチ71と、旋回パーキングブレーキ用バッテリ72とを更に備えている。また、コントローラ14は、旋回油圧モータ52と旋回電動モータ53の両方が協調して旋回体20を旋回駆動する油圧電動複合旋回モードと、旋回電動モータ53を停止させて旋回油圧モータ52のみで旋回体20を駆動する油圧単独旋回モードとに切り換え可能である(後述)。
【0039】
本発明の一本実施の形態における情報管理装置は、以上のような油圧システム100,電動システム200及び制御システム300を備える建設機械(ハイブリッド式油圧ショベル)に備えられており、コントローラ14と、モニタ用の表示器(モニタ装置)15と、緊急停止弁68を駆動するための電源ラインを流れる電流を検出する電流センサ73と、旋回体20の回転数を検出する回転センサ74とを備えている。
【0040】
コントローラ14は、表示器15の操作により通常制御モードと故障診断モードに切り換え可能であり、コントローラ14が通常制御モードにあるときは、制御システム300の一構成要素として機能し、故障診断モードにあるときは、情報管理装置の一構成要素として機能する。
【0041】
図1に戻り、上部旋回体20の前部に運転室を構成するキャビン38が設置されており、キャビン38内の運転席の左右前側に、旋回用の操作レバー装置55を含む左右の操作レバー装置が配置され、運転席の下側にコントローラ14が配置されている。また、キャビン38内にはモニタ用の表示器15と、スイッチ71を操作するための緊急旋回停止レバーが配置されている。緊急旋回停止レバーは、例えば、運転席の入側に設けられる公知のゲートロックレバー(図示せず)で兼用することができる。
【0042】
〜コントローラ及び表示器の構成〜
図3はコントローラ14の内部構成とその周辺機器の構成を示す図である。
【0043】
コントローラ14は、上述した各種センサ64a,64b,66a,66b,67から出力される状態信号を入力する状態信号
入力部14aと、所定の演算処理を行う中央演算部(CPU)14bと、中央演算部14bの演算結果を指令信号として上述した電磁弁63a,63b,65a,65b,68に出力する指令信号出力部14cと、記憶部14dと、端末装置接続部14eと、モニタ接続部14fを備えている。記憶部14dには、通常制御モードにおける処理機能のプログラムや故障診断モードにおける処理機能のプログラムと、故障診断モードにおける処理機能で使用するセンサの正常値(判定値)が記憶され、中央演算部14bはそれらのプログラムに基づいて所定の演算処理を実行する。
【0044】
コントローラ14の端末装置接続部14eには、例えば携帯式パソコンからなる端末装置(モニタ装置)16が接続される。この端末装置16は、入出力部16a及びスクリーン16bを備え、かつ記憶部(不図示)、論理判断及び演算処理を行う演算部(不図示)を内蔵する。
【0045】
コントローラ14のモニタ接続部
14fには、モニタ用の表示器15が接続される。モニタ用の表示器15は操作パネル(入力装置)15aとスクリーン15bを備え、操作パネル15aは、上ボタン、下ボタン、右ボタン、左ボタン、決定ボタン、戻りボタン、終了ボタンを含む複数の操作ボタンを備えている(
図4参照)。例えば油圧ショベルの出荷検査時、或いは出荷後のメンテナンス時、作業者(メーカの検査員或いは保守点検員)は、スクリーン15bに表示される画面を用いて、操作パネル15aの所望の操作ボタンを操作することにより、外部からの情報をコントローラ14に入力して一連の故障診断処理を行うことができる。
【0046】
端末装置16は、表示器15に代え、或いは表示器15と併用して必要に応じて使用可能である。また、情報管理装置の処理モードには、例えば作業者による手動測定が含まれる「手動測定モード」と、自動測定が含まれる「半自動測定モード」とが選択可能である(後述)。
【0047】
〜通常制御モードにおける動作〜
コントローラ14が通常制御モードにあるときの各機器(旋回左右の低圧リリーフ電磁弁63a,63b、リリーフ圧切換弁62a,62b、旋回左右のパイロット圧減圧電磁弁65a,65b等)の動作を、油圧電動複合旋回モードと油圧単独旋回モードとに分けて説明する。コントローラ14は、通常時は油圧電動複合旋回モードを選択し、バッテリ81のフル充電時や、電動システ
ム200の異常発生時等に、油圧電動複合旋回モードから油圧単独旋回モードに切り換える。
【0048】
<<油圧電動複合旋回モード>>
<操作レバー装置55の操作レバー中立時>
まず、コントローラ14が油圧電動複合旋回モードを選択している場合について説明する。
【0049】
図2は、油圧電動複合旋回モードで、操作レバー装置55の操作レバーが中立位置にあるとき(アクチュエータの非駆動時)の状態を示している。
【0050】
操作レバー装置55の操作レバーが中立位置にあるときは、旋回左右の低圧リリーフ電磁弁63a,63bは出力圧をタンク圧にする位置にあり、リリーフ圧切換弁62a,62bはバネで押されて図示の閉位置にあり、低圧リリーフ弁61a,61bは旋回油圧モータ52のポートにつながるアクチュエータライン52a,52bから遮断され、動作不能状態にある。
【0051】
また、コントローラ14から旋回
左右のパイロット圧減圧電磁弁65a,65bに出力される信号はOFFであり、旋回
左右のパイロット圧減圧電磁弁65a,65bは図示の位置(開位置)にある。
【0052】
<操作レバー装置55の操作レバー入力時>
操作レバー装置55の操作レバーを例えば図示右方向に操作すると、旋回右パイロット圧減圧電磁弁65bは図示の位置(開位置)にあるため、操作レバー装置55で発生した操作パイロット圧は減圧されずにそのまま旋回方向制御弁12の図示右側のパイロット圧入力部12bに与えられ、旋回方向制御弁12は左方向に切り換わり、左側アクチュエータライン52aを介して旋回油圧モータ52に油圧ポンプ51からの圧油が供給され、旋回油圧モータ52は回転駆動し、旋回体20を旋回させる。このとき、コントローラ14は油圧電動複合旋回モードを選択しているので、インバータ82に制御信号を出力して、旋回電動モータ53も回転駆動し、旋回油圧モータ52と旋回電動モータ53の両方の駆動力で旋回体20は旋回する。
【0053】
また、操作レバー装置55の操作レバーを右方向に操作するのと同時に、コントローラ14は旋回右低圧リリーフ電磁弁63bにON信号を出力し、旋回右低圧リリーフ電磁弁63bは図示の位置から切り換わって制御圧力を出力し、リリーフ圧切換弁62bは開位置に切り換わり、低圧リリーフ弁61bが動作可能な状態となる。すなわち、右側アクチュエータライン52bは低圧リリーフ圧設定状態となる。
【0054】
一方、左側アクチュエータライン52aは、リリーフ圧切換弁62aが閉位置のままであるため、高圧リリーフ弁57aは依然として作動可能な状態にあり、高圧リリーフ圧設定状態にある。
【0055】
したがって、操作レバー装置55の操作レバーを右方向に操作した場合の旋回起動時は、左側アクチュエータライン52aを介して旋回油圧モータ52に供給される圧油の圧力は高圧リリーフ弁57aの設定圧力まで上昇し、旋回油圧モータ52は大きな駆動力(トルク)を発生し、この旋回油圧モータ52の駆動力と旋回電動モータ53の駆動力とで旋回体20のスムーズで力強い起動が可能となる。
【0056】
<レバー装置55の戻し時>
一方、旋回体20を停止させるため、操作レバー装置55の操作レバーを中立方向に戻すよう操作した場合は、旋回体
20の慣性回転により旋回油圧モータ52が油圧ポンプとして機能し、右側アクチュエータライン52bが高圧側となり、その圧力(旋回油圧モータ52の背圧)は低圧リリーフ弁61bの設定圧力まで上昇し、旋回油圧モータ52にその設定圧力に応じた制動力が発生する。
【0057】
また、コントローラ14は、旋回電動モータ53を駆動モードから回生モード(発電モード)に切り換えて、旋回電動モータ53の発電による制動力を発生させ、旋回油圧モータ52の背圧(アクチュエータライン52bの圧力)による制動力と旋回電動モータ53の発電による制動力の両方で旋回体20は速やかに減速する。また、この間、旋回電動モータ53の発電で生じた電力はインバータ82を介してモータ用バッテリ81に蓄電され、電力が回生される。
【0058】
操作レバー装置55の操作レバーが中立位置まで戻されると、コントローラ14から旋回右低圧リリーフ電磁弁63bへ出力される信号はOFFとなり、旋回右低圧リリーフ電磁弁63bは図示の位置に切り換わって出力側の圧力がタンク圧となる。このためリリーフ圧切換弁62bはバネの力で閉位置に切り換わり、低圧リリーフ弁61bが動作不能な状態となる。その結果、右側アクチュエータライン52bの圧力(旋回油圧モータ52の背圧)は高圧リリーフ弁57bの設定圧力まで上昇し、旋回油圧モータ52にその設定圧力に応じた制動力が発生し、この制動力と旋回電動モータ53の発電作用による制動力とにより旋回油圧モータ52は速やかに停止する。
【0059】
<操作レバー装置55の操作レバー逆方向操作時>
操作レバー装置55の操作レバーを逆方向(操作レバーを図示左方向)に操作したときの動作も、左右が逆になるだけであり、操作レバーを右方向に操作した場合の動作と実質的に同じである。
【0060】
<<油圧単独旋回モード>>
<操作レバー装置55の操作レバー中立時>
次に、コントローラ14が油圧単独旋回モードに切り換えた場合について説明する。
【0061】
油圧単独旋回モードでは、コントローラ14から左右の低圧リリーフ電磁弁63a,63bに出力される信号はOFFであり、左右の低圧リリーフ電磁弁63a,63bは出力圧をタンク圧とする図示の位置にあり、リリーフ圧切換弁62a,62bはバネで押されて閉位置にあり、低圧リリーフ弁61a,61bは動作不能状態にある。このため、高圧リリーフ弁57a,57bはいずれも動作可能な状態にあり、左右いずれのアクチュエータライン52a,52bも高圧リリーフ設定状態にある。
【0062】
また、油圧単独旋回モードで操作レバー装置55の操作レバーが中立位置にあるときは、コントローラ14から旋回
左右のパイロット圧減圧電磁弁65a,65bに出力される信号もOFFであり、旋回
左右のパイロット圧減圧電磁弁65a,65bは図示の位置(開位置)にある。
【0063】
<操作レバー装置55の操作レバー入力時>
操作レバー装置55の操作レバーを例えば図示右方向に操作すると、旋回右パイロット圧減圧電磁弁65bは図示の位置(開位置)にあるため、操作レバー装置55で発生した操作パイロット圧は減圧されずにそのまま旋回方向制御弁12の図示右側のパイロット圧入力部12bに与えられ、旋回方向制御弁12が左方向に切り換わり、左側アクチュエータライン52を介して旋回油圧モータ52に圧油が供給され、旋回油圧モータ52は回転駆動し、旋回体20を旋回させる。
【0064】
また、このときは、左右いずれのアクチュエータラインも高圧リリーフ設定状態にあるため、操作レバー装置55の操作レバーを図示右方向に操作した場合の旋回起動時は、左側アクチュエータライン52aを介して旋回油圧モータ52に供給される圧油の圧力は高圧リリーフ弁57aの設定圧力まで上昇し、旋回油圧モータ52は大きな駆動力(トルク)を発生し、旋回体20のスムーズな起動が可能となる。
【0065】
<操作レバー装置55の操作レバー戻し時>
一方、旋回体20を停止させるため、操作レバー装置55の操作レバーを中立方向に戻すよう操作した場合は、旋回体
20の慣性回転により旋回油圧モータ52が油圧ポンプとして機能し、右側アクチュエータライン52bが高圧側となり、その圧力(旋回油圧モータ52の背圧)が上昇する。このとき、操作レバー装置55の操作レバーを中立方向に戻し操作するのと同時に、コントローラ14は旋回右パイロット圧減圧電磁弁65bに駆動信号を出力し、旋回右パイロット圧減圧電磁弁65bはその駆動信号に基づいて動作し、操作パイロット圧を減圧して出力する。これにより旋回方向制御弁12のストロークが減少してメータアウトの開口面積が減少するため、右側アクチュエータライン52bの圧力(旋回油圧モータ52の背圧)が高圧リリーフ弁57bの設定圧力まで上昇するまでの間、右側アクチュエータライン52bの圧力(旋回油圧モータ52の背圧)は、操作パイロット圧が減圧されない場合に比べて速やかに上昇し、旋回油圧モータ52に与える制動力を確実に増加させる。
【0066】
その後、右側アクチュエータライン52bの圧力(旋回油圧モータ52の背圧)が高圧リリーフ弁57bの設定圧力まで上昇すると、旋回油圧モータ52に高圧リリーフ弁57bの設定圧力に応じた大きな制動力が発生する。
【0067】
操作レバー装置55の操作レバーが中立位置まで戻されると、コントローラ14から旋回左パイロット圧減圧電磁弁65bへ出力される信号はOFFとなり、旋回左パイロット圧減圧電磁弁65bは図示の開位置に戻される。
【0068】
また、右側アクチュエータライン52bの圧力(旋回油圧モータ52の背圧)は高圧リリーフ弁57bの設定圧力まで上昇したままであり、旋回油圧モータ52にその高圧の設定圧力に応じた大きな制動力が発生し、旋回油圧モータ52は速やかに停止する。
【0069】
このように油圧単独旋回モードであっても、旋回体20をスムーズに停止させることができる。
【0070】
<<旋回パーキングブレーキ54の動作>>
上述の油圧電動複合旋回モードと油圧単独旋回モードのいずれに場合においても、操作レバー装置55の操作レバーを操作し、操作パイロット圧が発生すると、そのパイロット圧がシャトル弁56で選択されて、旋回パーキングブレーキ54のブレーキ解除シリンダ54bに与えられる。その結果、旋回パーキングブレーキ54の制動が解除され、旋回体20が旋回可能な状態となる。操作レバー装置55の操作レバーを中立に戻すと、操作レバー装置55からの操作パイロット圧の供給は停止するとともに、ブレーキ解除シリンダ54bのブレーキ室内の圧油は、チェック弁54aの経路と並列に設けられた経路の絞り54cを介してタンクに抜けて、操作レバー中立位置復帰後、概ね5〜7秒で旋回パーキングブレーキ54が制動状態となり、旋回体20が停止する。
【0071】
また、油圧電動複合旋回モードでは、旋回油圧モータ52と旋回電動モータ53の両方の駆動力で旋回体20は旋回する。このとき、万一何らかの原因で旋回電動モータ53の駆動力が増加した場合は、大きな旋回トルクが意図せずに発生してしまう。緊急停止弁68はそのような場合に備えて設けられたものであり、オペレータが図示しない緊急停止レバー(例えばゲートロックレバー)を操作すると、スイッチ71が閉じて緊急停止弁68が図示の閉位置から開位置に切り換わり、旋回パーキングブレーキ54のブレーキ解除シリンダ54bの圧油が瞬時に抜け、緊急停止レバー操作後、概ね0.5秒くらいでブレーキがかかるようになっている。
【0072】
〜情報管理装置の故障診断機能及び動作〜
次に、本実施の形態における情報管理装置の故障診断機能と動作について
図4〜
図22を用いて説明する。
【0073】
<故障診断モードへの遷移>
図4は、表示器15のスクリーン15bに表示される故障診断モードの選択画面を示す図である。
図12は、
図4の選択画面が操作されたときのコントローラ14の処理機能を示すフローチャートである。
【0074】
図4に示すように、選択画面には各種機能の選択メニューが表示される。選択メニューには「モニタリング」、「故障診断」などの項目が含まれる。例えば、油圧ショベルの出荷検査時に、作業者は、操作パネル15aの操作入力用の上下ボタンで「故障診断」をハイライト選択し、決定ボタンを押すと、コントローラ14は通常制御モードから故障診断モードに入り、スクリーン15bの画面は下層の故障診断メニュー画面(
図5)に遷移する(ステップS100→S110)。故障診断モードでは、通常制御モードの制御は無効とされる。故障診断モードの下層の画面に遷移した後、作業者は、操作パネル15aの終了ボタンを押すことで、コントローラ14は故障診断モードから通常制御モードに復帰し、スクリーン15bの画面は
図4に示す選択画面に遷移する(ステップS120→S130)。通常制御モードに復帰すると、通常制御モードの制御は再び有効となる。
【0075】
<故障診断処理の概要>
図5は、
図4の選択画面において、操作パネル15aの操作入力用の上下ボタンで「故障診断」をハイライト選択し、決定ボタンを押したときに遷移する、初期画面としての故障診断メニュー画面を示す図である。
図13は、
図5の故障診断メニュー画面が操作されたときのコントローラ14の処理機能を示すフローチャートである。
【0076】
図5に示すように、故障診断メニュー画面には「旋回右減圧電磁弁」、「旋回左減圧電磁弁」、「旋回右低圧リリーフ電磁弁」、「旋回左低圧リリーフ電磁弁」、「旋回緊急停止」のメニュー項目が表示される。「旋回右減圧電磁弁」は旋回右パイロット圧減圧電磁弁65bに係わる診断のメニュー項目であり、「旋回左減圧電磁弁」は旋回左パイロット圧減圧電磁弁65aに係わる診断のメニュー項目であり、「旋回右低圧リリーフ電磁弁」は低圧右リリーフ用減圧電磁弁63bに係わる診断のメニュー項目であり、「旋回左低圧リリーフ電磁弁」は低圧左リリーフ用減圧電磁弁63aに係わる診断のメニュー項目であり、「旋回緊急停止」は旋回緊急停止弁68に係わる診断のメニュー項目である。
【0077】
作業者は、操作パネル15aの操作入力用の上下ボタンで診断したいメニュー項目をハイライト選択し、決定ボタンを押すと、コントローラ14は対応する故障診断機能を立ち上げる。また、スクリーン15bの画面は下層の診断画面に遷移する。
【0078】
すなわち、作業者が、
図5に示すように「旋回右減圧電磁弁」をハイライト選択し、決定ボタンを押すと、スクリーン15bの画面は下層の診断画面(
図6A)に遷移し、コントローラ14は、旋回右パイロット圧減圧電磁弁65bの系統の故障診断機能(
図14)を立ち上げる(
図13のステップS200−1→S200−2)。「旋回左減圧電磁弁」をハイライト選択し、決定ボタンを押した場合も同様であり、スクリーン15bの画面は下層の診断画面に遷移し、コントローラ14は、旋回左パイロット圧減圧電磁弁65aの系統の故障診断機能を立ち上げる(
図13のステップS200−3→S200−4)。
【0079】
作業者が、
図7に示すように「旋回右低圧リリーフ電磁弁」をハイライト選択し、決定ボタンを押すと、スクリーン15bの画面は下層の診断画面(
図8)に遷移し、コントローラ14は、旋回右低圧リリーフ電磁弁63bの系統の故障診断機能(
図15)を立ち上げる(ステップS300−1→S300−2)。「旋回左低圧リリーフ電磁弁」をハイライト選択し、決定ボタンを押した場合も同様であり、スクリーン15bの画面は下層の診断画面に遷移し、コントローラ14は、旋回左低圧リリーフ
電磁弁63aの系統の故障診断機能を立ち上げる(ステップS300−3→S300−4)。
【0080】
作業者が、
図9に示すように「旋回緊急停止」をハイライト選択し、決定ボタンを押すと、スクリーン15bの画面は下層の診断画面(
図10)に遷移し、コントローラ14は、緊急停止弁68の系統の故障診断機能(
図16)を立ち上げる(ステップS400−1→S400−2)。
【0081】
ここで、前述したように、故障診断モードには、例えば作業者による手動測定が含まれる「手動測定モード」と例えば自動測定が含まれる「半自動測定モード」とがある。作業者は、例えば操作入力用のボタンの押し方で「手動測定モード」か「半自動測定モード」かを選択することができる。
【0082】
以下に、「旋回右減圧電磁弁」、「旋回左減圧電磁弁」、「旋回右低圧リリーフ電磁弁」、「旋回左低圧リリーフ電磁弁」、「旋回緊急停止」のそれぞれの故障診断機能の詳細を、「手動測定モード」と「半自動測定モード」に分けて説明する。
【0083】
<<手動測定モード>>
まず、「手動測定モード」の場合について説明する。
【0084】
<「旋回右減圧電磁弁」の故障診断機能>
図6Aは、作業者が、
図5に示すように「旋回右減圧電磁弁」をハイライト選択して決定ボタンを押したときに、
図13のステップS200−2において遷移する診断画面であり、
図6Bは、
図6Aで電磁弁ONをハイライト選択した場合の診断画面である。
図14は、同じく前述したように、「旋回右減圧電磁弁」をハイライト選択して決定ボタンを押したときに、
図13のステップS200−2において立ち上がる故障診断機能を示すフローチャートである。
【0085】
図6Aの診断画面には、「電磁弁OFF」及び「電磁弁ON」の選択メニューと、「旋回レバー右を入れて下さい」のガイダンスと、パイロット圧センサ66a(旋回左)又は66b(旋回右)で検出した旋回パイロット圧を数値で示すモニタ領域とが表示されている。
【0086】
<「電磁弁OFF」選択>
まず、作業者は、
図6Aに示すように「電磁弁OFF」をハイライト選択し、決定ボタンを押すと、コントローラ14は、旋回右パイロット圧減圧電磁弁65bにOFF信号を出力し(駆動信号を出力せず)、そのときの旋回右パイロット圧センサ66bで検出した旋回パイロット圧を
図6Aの診断画面のモニタ領域に数値で表示する状態とする(
図14のステップS210−2→S210−4)。操作レバー装置55の操作レバーが操作されていない場合は、旋回右パイロット圧センサ66bが検出する旋回パイロット圧はタンク圧であり、モニタ領域には例えば0.0MPaが表示される。
【0087】
次いで、作業者は、
図6Aのガイダンスにしたがって、操作レバー装置55の操作レバーを
図2の図示右方向にフル操作する。このとき、旋回右パイロット圧減圧電磁弁65bには駆動信号は出力されておらず、旋回右パイロット圧減圧電磁弁65bは動作せずに開位置にあるため、操作レバー装置55に備えられる右パイロット弁が正常であれば、規定圧である4.0MPa近くの操作パイロット圧を出力し、その右操作パイロット圧は減圧されずにそのまま旋回方向制御弁12の図示右側のパイロット圧入力部12bに与えられ、旋回方向制御弁12は左方向に切り換わる。また、操作レバー装置55の右パイロット弁で発生した右操作パイロット圧は、シャトル弁56で選択されて、旋回パーキングブレーキ54のブレーキ解除シリンダ54bに与えられ、旋回パーキングブレーキ54の制動が解除され、旋回体20が旋回可能な状態となる。その結果、左側アクチュエータライン52aを介して旋回油圧モータ52に油圧ポンプ51からの圧油が供給され、旋回油圧モータ52は回転駆動し、旋回体20が旋回する。
【0088】
また、操作レバー装置55で発生した右操作パイロット圧は旋回右パイロット圧センサ66bによって検出され、コントローラ14は検出した操作パイロット圧を
図6Aの診断画面のモニタ領域に数値で表示する(
図14のステップS210−4)。
【0089】
作業者は、操作レバー装置55の操作レバーを図示右方向にフル操作したとき、旋回体20が旋回したかどうかと、診断画面のモニタ領域に表示される右操作パイロット圧の数値がどの位の値であるかを確認する。
【0090】
ここで、操作レバー装置55の操作レバーを図示右方向にフル操作したとき、操作レバー装置55に備えられる右パイロット弁が正常であれば、規定圧である4.0MPa近くの操作パイロット圧を出力する。また、旋回右パイロット圧センサ66bが正常であれば、診断画面のモニタ領域には4.0MPa近くの値が表示される。
【0091】
作業員は、旋回体20が旋回し、かつ診断画面のモニタ領域に表示される右操作パイロット圧の数値が規定圧である4.0MPa近くの値、例えば3.5MPaよりも高い値であれば、操作レバー装置55の右パイロット弁及び旋回右のパイロット圧センサ66bは、いずれも、正常であると判断する。それ以外の場合は、操作レバー装置55の右パイロット弁及び旋回右のパイロット圧センサ66bのいずれかに不具合があると判断する。例えば、旋回体20が適正に旋回せず、診断画面のモニタ領域に表示される右操作パイロット圧の数値が3.5MPaよりも高い値である場合、或いは、旋回体20が適正に旋回したにも係わらず、診断画面のモニタ領域に表示される右操作パイロット圧の数値が3.5MPa以下であれば、旋回右のパイロット圧センサ66bに不具合があると判断する。旋回体20が適正に旋回せず、診断画面のモニタ領域に表示される右操作パイロット圧の数値が3.5MPa以下であれば、操作レバー装置55の右パイロット弁に不具合があると判断する。
【0092】
右パイロット弁及び旋回右のパイロット圧センサ66bのいずれか或いは両方に不具合があると判断された場合は、該当する機器の部品或いは機器そのものを交換するなどして不具合を解消する。
【0093】
このように
図6Aの診断画面において、「電磁弁OFF」を選択して決定ボタンを押し、操作レバー装置55の操作レバーを
図2の図示右方向にフル操作することで、右パイロット弁及び旋回右のパイロット圧センサ66bの正常、異常を判断することができる。
【0094】
<「電磁弁ON」選択>
次いで、作業者は、
図6Bに示すように「電磁弁ON」をハイライト選択し、決定ボタンを押すと、コントローラ14は、旋回右パイロット圧減圧電磁弁65bに、この電磁弁65bを全閉するON信号(最大駆動信号)を出力し、そのときの旋回右パイロット圧センサ66bで検出した旋回パイロット圧を
図6Bの診断画面のモニタ領域に数値で表示する状態とする(
図14のステップS210−2→S210−6→ステップS210−8)。このとき、操作レバー装置55の操作レバーは操作されていない場合は、旋回右パイロット圧センサ66bが検出する旋回パイロット圧はタンク圧であり、旋回右パイロット圧センサ66bが正常であれば、モニタ領域には例えば0.0MPaが表示される。
【0095】
次いで、作業者は、
図6Bのガイダンスにしたがって、操作レバー装置55の操作レバーを、例えば、
図2の図示右方向にフル操作する。このとき、旋回右パイロット圧減圧電磁弁65bに最大駆動信号が出力されているため、旋回右パイロット圧減圧電磁弁65bが正常であれば、旋回右パイロット圧減圧電磁弁65bは動作して全閉状態となり、操作レバー装置55で発生した右操作パイロット圧を遮断し、旋回方向制御弁12は中立位置に保持される。その結果、油圧ポンプ51から旋回油圧モータ52に圧油は供給されず、旋回油圧モータ52は回転駆動せず、旋回体20は旋回しない。
【0096】
また、操作レバー装置55で発生した右操作パイロット圧は旋回右パイロット圧センサ66bによって検出され、コントローラ14は検出した操作パイロット圧を
図6Aの診断画面のモニタ領域に数値で表示する(
図14のステップS210−8)。
【0097】
作業者は、操作レバー装置55の操作レバーを図示右方向にフル操作したとき、旋回体20が旋回したかどうかと、診断画面のモニタ領域に表示される右操作パイロット圧の数値がどの位の値であるかを確認する。
【0098】
ここで、操作レバー装置55の操作レバーを図示右方向にフル操作したとき、旋回右パイロット圧減圧電磁弁65bが正常であれば全閉状態となるため、旋回体20は旋回しない。また、好ましくは、ここでの「電磁弁ON」の故障診断は、上述した「電磁弁OFF」の故障診断で、右パイロット弁及び旋回右のパイロット圧センサ66bが正常であることを確認してから行うものとする。このようにすれば、「電磁弁ON」の故障診断において旋回右パイロット圧減圧電磁弁65bの正常、異常を診断することができる。
【0099】
作業員は、旋回体20が旋回せず、診断画面のモニタ領域に表示される右操作パイロット圧の数値が規定圧である4.0MPa近くの値、例えば3.5MPaよりも高い値であれば、旋回右パイロット圧減圧電磁弁65bは、正常であると判断する。旋回体20が旋回すれば、旋回右パイロット圧減圧電磁弁65bに不具合があると判断する。
【0100】
このように
図6Aの診断画面において、旋回右パイロット弁及び旋回右のパイロット圧センサ66bが正常であることを確認した後、
図6Bの診断画面において、「電磁弁ON」を選択して決定ボタンを押し、操作レバー装置55の操作レバーを
図2の図示右方向にフル操作することで、旋回右パイロット圧減圧電磁弁65bの正常、異常を判断することができる。
【0101】
<「旋回左減圧電磁弁」の故障診断機能>
「旋回左減圧電磁弁」の故障診断機能は、
図6A及び
図6B、
図14において、「右」が「左」に変わる点を除いて上述した「旋回右減圧電磁弁」の故障診断機能と実質的に同じであり、診断画面において「電磁弁OFF」を選択して決定ボタンを押し、操作レバー装置55の操作レバーを
図2の図示左方向にフル操作することで、左パイロット弁及び旋回左のパイロット圧センサ66aの正常、異常を判断することができる。また、旋回左パイロット弁及び旋回左のパイロット圧センサ66aが正常であることを確認した後、「電磁弁ON」を選択して決定ボタンを押し、操作レバー装置55の操作レバーを
図2の図示左方向にフル操作することで、旋回左パイロット圧減圧電磁弁65aの正常、異常を判断することができる。
【0102】
<「旋回右低圧リリーフ電磁弁」の故障診断機能>
図8は、作業者が、
図7のように「旋回右低圧リリーフ電磁弁」をハイライト選択して決定ボタンを押したときに、
図13のステップS300−2において遷移する診断画面であり、
図15は、同じく前述したように、「旋回右低圧リリーフ電磁弁」をハイライト選択して決定ボタンを押したときに、
図13のステップS300−2において立ち上がる故障診断機能を示すフローチャートである。
【0103】
図8の診断画面には、「旋回レバー右を入れて下さい。その後、旋回レバー右を戻して下さい」のガイダンスと、左側アクチュエータライン52a及び右側アクチュエータライン52bの圧力を数値で示す「旋回右圧」及び「旋回左圧」のモニタ領域とが表示されている。
【0104】
前述したように、操作レバー装置55の操作レバーが操作されていないときは、左右の低圧リリーフ電磁弁63a,63bは出力圧をタンク圧にする位置にあり、リリーフ圧切換弁62a,62bはバネで押されて図示の閉位置にあり、低圧リリーフ弁61a,61bは旋回油圧モータ52のポートにつながるアクチュエータライン52a,52bから遮断され、動作不能状態にある。また、旋回油圧モータ52を回転駆動していないときは、左側アクチュエータライン52a及び右側アクチュエータライン52bの圧力はタンク圧であり、「旋回右圧」及び「旋回左圧」のモニタ領域には例えば0.0MPaが表示される。
【0105】
作業者が、
図7に示すように「旋回右低圧リリーフ電磁弁」をハイライト選択し、決定ボタンを押すと、スクリーン15bの画面は
図8の診断画面に遷移すると同時に、コントローラ14は、旋回右低圧リリーフ電磁弁63bにON信号(最大駆動信号)を出力する(
図15のステップS310)。このとき、旋回右低圧リリーフ電磁弁63bは図示の位置から切り換わって制御圧力を出力し、リリーフ圧切換弁62bは開位置に切り換わり、低圧リリーフ弁61bが動作可能な状態となる。すなわち、右側アクチュエータライン52bは低圧リリーフ圧設定状態となる。一方、左側アクチュエータライン52aは、リリーフ圧切換弁62aが閉位置のままであるため、高圧リリーフ弁57aは依然として作動可能な状態にあり、高圧リリーフ圧設定状態にある。
【0106】
次いで、作業者は、
図8のガイダンスにしたがって、操作レバー装置55の操作レバーを
図2の図示右方向にステップ状にフル操作すると、旋回方向制御弁12は左方向に切り換わり、旋回油圧モータ52は回転駆動し、旋回体20を旋回させる。旋回起動時は、左側アクチュエータライン52aは高圧リリーフ弁57aの設定圧力まで上昇し、旋回油圧モータ52にその設定圧力に応じた駆動力が発生する。次いで、作業者は、
図8のガイダンスにしたがって、操作レバー装置55の操作レバーをステップ状に中立方向に戻すと、右側アクチュエータライン52bの圧力(旋回油圧モータ52の背圧)は低圧リリーフ弁61bの設定圧力まで上昇し、旋回油圧モータ52にその設定圧力に応じた制動力が発生する。
【0107】
また、アクチュエータライン52a,52bの圧力は旋回左右の圧力センサ64a,64bで検出で検出され、コントローラ14は、検出したアクチュエータライン52a,52bの圧力を
図8の診断画面の「旋回右圧」及び「旋回左圧」のモニタ領域に数値で表示する(
図15のステップS310→S312)。
【0108】
作業員は、操作レバー装置55の操作レバーをステップ状に中立方向に戻した旋回制動時に、
図8の診断画面の「旋回右圧」のモニタ領域に表示される圧力が低圧リリーフ弁61bの設定圧力近傍の値であれば、旋回右低圧リリーフ電磁弁63b、リリーフ圧切換弁62b及び低圧リリーフ弁61bのいずれも正常であると判断する。それ以外の場合は、旋回右低圧リリーフ電磁弁63b、リリーフ圧切換弁62b及び低圧リリーフ弁61bのいずれかに不具合があると判断する。
【0109】
旋回右低圧リリーフ電磁弁63b、リリーフ圧切換弁62b及び低圧リリーフ弁61bのいずれかに不具合があると判断された場合は、機器の部品或いは機器そのものを交換するなどして不具合を解消する。
【0110】
このように
図8の診断画面において、操作レバー装置55の操作レバーを
図2の図示右方向にステップ状にフル操作して旋回起動し、その後、操作レバー装置55の操作レバーをステップ状に中立方向に戻して旋回制動することにより、旋回右低圧リリーフ電磁弁63b、リリーフ圧切換弁62b及び低圧リリーフ弁61bの正常、異常を判断することができる。
【0111】
<「旋回左低圧リリーフ電磁弁」の故障診断機能>
「旋回左低圧リリーフ電磁弁」の故障診断機能は、
図8及び
図15において、「右」が「左」に変わり、「左」が「右」に変わる点を除いて上述した「旋回右低圧リリーフ電磁弁」の故障診断機能と実質的に同じであり、操作レバー装置55の操作レバーを
図2の図示左方向にステップ状にフル操作して旋回起動し、その後、操作レバー装置55の操作レバーをステップ状に中立方向に戻して旋回制動することにより、旋回左低圧リリーフ電磁弁63a、リリーフ圧切換弁62a及び低圧リリーフ弁61aの正常、異常を判断することができる。
【0112】
<「旋回緊急停止」の故障診断機能>
図10は、作業者が、
図9のように「旋回緊急停止」をハイライト選択して決定ボタンを押したときに、
図13のステップS400−2において遷移する診断画面であり、
図16は、同じく前述したように、「旋回緊急停止」をハイライト選択して決定ボタンを押したときに、
図13のステップS400−2において立ち上がる故障診断機能を示すフローチャートである。
【0113】
図10の診断画面には、「スイッチをONにして下さい」のガイダンスと、電流センサ73で検出した緊急停止弁68の電源ラインを流れる電流を数値で示す「電流値」のモニタ領域が表示されている。
【0114】
作業者は、
図10のガイダンスにしたがって、スイッチ71をONにすると、緊急停止弁68の電源ラインに電流が流れる。また、その電流は、電流センサ73で検出され、コントローラ14は、検出した電流を
図10の診断画面の「電流値」のモニタ領域に数値で表示する(
図16のステップS412)。
【0115】
作業員は、スイッチ71をONにしたときに、
図10の診断画面の「電流値」のモニタ領域に表される電流が既定値近傍の値であれば、旋回緊急停止弁68は正常であると判断する。電流が既定値より小さい値であれば、旋回緊急停止弁68に不具合があると判断する。旋回緊急停止弁68に不具合があると判断された場合は、部品を交換するなどして不具合を解消する。
【0116】
このように
図10の診断画面において、スイッチ71をONにすることにより、旋回緊急停止弁68の正常、異常を判断することができる。
【0117】
なお、必要に応じ、操作レバー装置55を操作したときの旋回ブレーキ圧センサ67の検出値を診断画面に表示させ、旋回緊急停止弁68の診断に用いることができる。
【0118】
<端末装置(パソコン)の診断画面>
図11は、コントローラ14の端末装置接続部14eに接続される端末装置(パソコン)16のスクリーン16bに表示される診断画面を示す図である。
【0119】
端末装置(パソコン)16のスクリーン16bには、「旋回右減圧電磁弁」の「ON(右旋回無効)」及び「OFF(右旋回有効)」の選択メニュー、「旋回左減圧電磁弁」の「ON(左旋回無効)」及び「OFF(左旋回有効)」の選択メニュー、「旋回右低圧リリーフ電磁弁」の「ON(右低圧設定)」及び「OFF(右通常設定)」の選択メニュー、「旋回左低圧リリーフ電磁弁」の「ON(左低圧設定)」及び「OFF(左通常設定)」の選択メニュー、「旋回右パイロット圧」のモニタ領域、「旋回左パイロット圧」のモニタ領域、「旋回右メイン圧」のモニタ領域、「旋回左メイン圧」のモニタ領域、「旋回右メイン圧最大値」のモニタ領域、「旋回左メイン圧最大値」のモニタ領域が表示される。
【0120】
「旋回右減圧電磁弁」は旋回右パイロット圧減圧電磁弁65bに係わる診断であり、「ON(右旋回無効)」をハイライト選択してエンターボタンを押すと、旋回右減圧電磁弁65bはONとなり、「旋回右パイロット圧」のモニタ領域にその状態での旋回右パイロット圧センサ66bの検出値である右旋回パイロット圧が表示される。「OFF(右旋回有効)」をハイライト選択してエンターボタンを押すと、旋回右パイロット圧減圧電磁弁65bはOFFとなり、「旋回右パイロット圧」のモニタ領域にその状態での旋回右パイロット圧センサ66bの検出値である右旋回パイロット圧が表示される。
【0121】
「旋回左減圧電磁弁」は旋回左パイロット圧減圧電磁弁65aに係わる診断であり、「ON(左旋回無効)」をハイライト選択してエンターボタンを押すと、旋回左パイロット圧減圧電磁弁65aはONとなり、「旋回左パイロット圧」のモニタ領域にその状態での旋回左パイロット圧センサ66aの検出値である左旋回パイロット圧が表示される。「OFF(左旋回有効)」をハイライト選択してエンターボタンを押すと、旋回左パイロット圧減圧電磁弁65aはOFFとなり、「旋回左パイロット圧」のモニタ領域にその状態での旋回左パイロット圧センサ66aの検出値である左旋回パイロット圧が表示される。
【0122】
「旋回右低圧リリーフ電磁弁」は旋回右低圧リリーフ電磁弁63bに係わる診断であり、「ON(右低圧設定)」をハイライト選択してエンターボタンを押すと、旋回右低圧リリーフ電磁弁63bはONとなり、「旋回右メイン圧」のモニタ領域にその状態での旋回右圧力センサ64bの検出値である右旋回圧(アクチュエータライン52bの圧力)の現在値が表示され、「旋回右メイン圧最大値」のモニタ領域には、「ON(右低圧設定)」をハイライト選択してエンターボタンを押した後の右旋回圧(アクチュエータライン52bの圧力)の最大値が表示される。
【0123】
「旋回左低圧リリーフ電磁弁」は旋回左低圧リリーフ電磁弁63aに係わる診断であり、「ON(左低圧設定)」をハイライト選択してエンターボタンを押すと、旋回左低圧リリーフ電磁弁63aはONとなり、「旋回左メイン圧」のモニタ領域にその状態での旋回左圧力センサ64aの検出値である左旋回圧(アクチュエータライン52aの圧力)の現在値が表示され、「旋回左メイン圧最大値」のモニタ領域には、「ON(左低圧設定)」をハイライト選択してエンターボタンを押した後の左旋回圧(アクチュエータライン52aの圧力)の最大値が表示される。
【0124】
これにより端末装置(パソコン)16のスクリーン16bに表示される1つの画面で、旋回右パイロット圧減圧電磁弁65bの系統の故障診断と、旋回左パイロット圧減圧電磁弁65aの系統の故障診断と、旋回右低圧リリーフ電磁弁63bの系統の故障診断と、旋回左低圧リリーフ電磁弁63aの系統の故障診断を行うことができる。
【0125】
<<半自動測定モード>>
次に、「半自動測定モード」の場合について説明する。
【0126】
<「旋回右減圧電磁弁」の故障診断機能>
図17Aは、「半自動モード」において、作業者が、
図5に示すように「旋回右減圧電磁弁」をハイライト選択して決定ボタンを押したときに遷移する診断画面であって、「手動測定モード」の
図6Aに相当する図である。
図17Bは、
図17Aで電磁弁ONをハイライト選択した場合の診断画面であって、「手動測定モード」の
図6Bに相当する図である。
図20は、「半自動モード」において、「旋回右減圧電磁弁」をハイライト選択して決定ボタンを押したときに、
図13のステップS300−2において立ち上がる故障診断機能を示すフローチャートであって、「手動測定モード」の
図20に相当する図である。
【0127】
図17Aの診断画面には、「電磁弁OFF」及び「電磁弁ON」の選択メニューと、「旋回レバー右を入れて下さい」のガイダンスと、診断結果がOK(正常)であるか、NG(異常)であるかを示す判定領域とが表示されている。
【0128】
<「電磁弁OFF」選択>
まず、作業者は、
図17Aに示すように「電磁弁OFF」をハイライト選択し、決定ボタンを押すと、コントローラ14は、旋回右パイロット圧減圧電磁弁65bにOFF信号を出力する(駆動信号を出力しない)。また、コントローラ14は、そのときの旋回右パイロット圧センサ66bで検出した旋回パイロット圧と回転センサ74で検出した旋回体20の回転数を入力し、右パイロット弁及び旋回右のパイロット圧センサ66bの正常、異常を判断できる状態とする(
図20のステップS210−10→S210−20)。
【0129】
次いで、作業者は、
図17Aのガイダンスにしたがって、操作レバー装置55の操作レバーを
図2の図示右方向にフル操作する。このとき、旋回右パイロット圧減圧電磁弁65bには駆動信号は出力されておらず、旋回右パイロット圧減圧電磁弁65bは動作せずに開位置にあるため、操作レバー装置55に備えられる右パイロット弁が正常であれば、規定圧である4.0MPa近くの操作パイロット圧を出力し、その右操作パイロット圧は減圧されずにそのまま旋回方向制御弁12の図示右側のパイロット圧入力部12bに与えられ、旋回方向制御弁12は左方向に切り換わる。また、操作レバー装置55の右パイロット弁で発生した右操作パイロット圧は、シャトル弁56で選択されて、旋回パーキングブレーキ54のブレーキ解除シリンダ54bに与えられ、旋回パーキングブレーキ54の制動が解除され、旋回体20が旋回可能な状態となる。その結果、左側アクチュエータライン52aを介して旋回油圧モータ52に油圧ポンプ51からの圧油が供給され、旋回油圧モータ52は回転駆動し、旋回体20が旋回する。
【0130】
また、操作レバー装置55で発生した右操作パイロット圧は旋回右パイロット圧センサ66bによって検出され、旋回体20の回転数は回転センサ74によって検出される。
【0131】
コントローラ14は検出した操作パイロット圧が規定圧である4.0MPa近くの値、例えば3.5MPaよりも高い値であるかどうかを判定し(
図20のステップS210−12)、判定結果がYesであれば、更に検出した旋回体20の回転数がゼロかどうか(すなわち、旋回体20が旋回していないかどうか)を判定し(
図20のステップS210−14)、判定結果がNoであれば、
図17Aの診断画面の判定領域にOK表示をする(
図20のステップS210−16)。それ以外の場合は、NG表示をする(
図20のステップS210−18,S210−20)。
【0132】
作業員は、
図17Aの診断画面の判定領域にOK表示がされたときは、操作レバー装置55の右パイロット弁及び旋回右のパイロット圧センサ66bは、いずれも、正常であると判断し、
図17Aの診断画面の判定領域にNG表示がされると、操作レバー装置55の右パイロット弁及び旋回右のパイロット圧センサ66bのいずれかに不具合があると判断する。
【0133】
<「電磁弁ON」選択>
次いで、作業者は、
図17Bに示すように「電磁弁ON」をハイライト選択し、決定ボタンを押すと、コントローラ14は、旋回右パイロット圧減圧電磁弁65bにON信号(駆動信号)を出力する(
図20のステップS210−22)。また、コントローラ14は、そのときの旋回右パイロット圧センサ66bで検出した旋回パイロット圧と回転センサ74で検出した旋回体20の回転数を入力し、右パイロット弁及び旋回右のパイロット圧センサ66bの正常、異常を判断できる状態とする(
図20のステップS210−24→S210−32)。
【0134】
次いで、作業者は、
図17Bのガイダンスにしたがって、操作レバー装置55の操作レバーを
図2の図示右方向にフル操作する。このとき、旋回右パイロット圧減圧電磁弁65bに駆動信号が出力されているため、旋回右パイロット圧減圧電磁弁65bが正常であれば、旋回右パイロット圧減圧電磁弁65bは動作して全閉状態となり、操作レバー装置55で発生した右操作パイロット圧を遮断し、旋回方向制御弁12は中立位置に保持される。その結果、油圧ポンプ51から旋回油圧モータ52に圧油は供給されず、旋回油圧モータ52は回転駆動せず、旋回体20は旋回しない。
【0135】
また、操作レバー装置55で発生した右操作パイロット圧は旋回右パイロット圧センサ66bによって検出され、旋回体20の回転数は回転センサ74によって検出される。
【0136】
コントローラ14は検出した操作パイロット圧が規定圧である4.0MPa近くの値、例えば3.5MPaよりも高い値であるかどうかを判定し(
図20のステップS210−24)、判定結果がYesであれば、更に検出した旋回体20の回転数がゼロかどうか(すなわち、旋回体20が旋回していないかどうか)を判定し(
図20のステップS210−26)、判定結果がYesであれば、
図17Bの診断画面の判定領域にOK表示をする(
図20のステップS210−28)。それ以外の場合は、NG表示をする(
図20のステップS210−30,S210−32)。
【0137】
作業員は、好ましくは、ここでの「電磁弁ON」の故障診断は、上述した「電磁弁OFF」の故障診断で、右パイロット弁及び旋回右のパイロット圧センサ66bが正常であることを確認してから行うものとし、
図17Bの診断画面の判定領域がOK表示であった場合は、旋回右パイロット圧減圧電磁弁65bは、正常であると判断する。また、
図17Bの診断画面の判定領域がNG表示であった場合は、旋回右パイロット圧減圧電磁弁65bに不具合があると判断する。
【0138】
<「旋回左減圧電磁弁」の故障診断機能>
「半自動モード」における「旋回左減圧電磁弁」の故障診断機能は、
図17A及び
図17B、
図20において、「右」が「左」に変わる点を除いて上述した「旋回右減圧電磁弁」の故障診断機能と実質的に同じであり、診断画面において「電磁弁OFF」を選択して決定ボタンを押し、操作レバー装置55の操作レバーを
図2の図示左方向にフル操作することで、左パイロット弁及び旋回左のパイロット圧センサ66aの正常、異常を判断することができる。また、旋回左パイロット弁及び旋回左のパイロット圧センサ66aが正常であることを確認した後、「電磁弁ON」を選択して決定ボタンを押し、操作レバー装置55の操作レバーを
図2の図示左方向にフル操作することで、旋回左パイロット圧減圧電磁弁65aの正常、異常を判断することができる。
【0139】
<「旋回右低圧リリーフ電磁弁」の故障診断機能>
図18は、「半自動モード」において、作業者が、
図7に示すように「旋回右低圧リリーフ電磁弁」をハイライト選択して決定ボタンを押したときに、
図13のステップS300−2において遷移する診断画面であって、「手動測定モード」の
図8に相当する図である。
図21は、「半自動モード」において、「旋回右低圧リリーフ電磁弁」をハイライト選択して決定ボタンを押したときに、
図13のステップS300−2において立ち上がる故障診断機能を示すフローチャートであって、「手動測定モード」の
図15に相当する図である。
【0140】
図18の診断画面には、「旋回レバー右を入れて下さい。その後、旋回レバー右を戻して下さい」のガイダンスと、旋回左右の圧力センサ64a,64bで検出した左側アクチュエータライン52a及び右側アクチュエータライン52bの圧力の診断結果がOK(正常)であるか、NG(異常)であるかを示す「旋回左圧」及び「旋回右圧」の判定領域とが表示されている。
【0141】
作業者が、
図7に示すように「旋回右低圧リリーフ電磁弁」をハイライト選択し、決定ボタンを押すと、スクリーン15bの画面は
図18の診断画面に遷移すると同時に、コントローラ14は、旋回右低圧リリーフ電磁弁63bにON信号(最大駆動信号)を出力する(
図21のステップS318)。このとき、旋回右低圧リリーフ電磁弁63bは図示の位置から切り換わって制御圧力を出力し、リリーフ圧切換弁62bは開位置に切り換わり、低圧リリーフ弁61bが動作可能な状態となる。すなわち、右側アクチュエータライン52bは低圧リリーフ圧設定状態となる。一方、左側アクチュエータライン52aは、リリーフ圧切換弁62aが閉位置のままであるため、高圧リリーフ弁57aは依然として作動可能な状態にあり、高圧リリーフ圧設定状態にある。
【0142】
次いで、作業者は、
図18のガイダンスにしたがって、操作レバー装置55の操作レバーを
図2の図示右方向にステップ状にフル操作すると、旋回方向制御弁12は左方向に切り換わり、旋回油圧モータ52は回転駆動し、旋回体20を旋回させる。旋回起動時は、左側アクチュエータライン52aは高圧リリーフ弁57aの設定圧力まで上昇し、旋回油圧モータ52にその設定圧力に応じた駆動力が発生する。次いで、作業者は、
図18のガイダンスにしたがって、操作レバー装置55の操作レバーをステップ状に中立方向に戻すと、右側アクチュエータライン52bの圧力(旋回油圧モータ52の背圧)は低圧リリーフ弁61bの設定圧力まで上昇し、旋回油圧モータ52にその設定圧力に応じた制動力が発生する。
【0143】
また、アクチュエータライン52a,52bの圧力は旋回左右の圧力センサ64a,64bで検出され、コントローラ14は、検出したアクチュエータライン52a,52bの圧力を入力し、旋回右低圧リリーフ電磁弁63b、リリーフ圧切換弁62b及び低圧リリーフ弁61bの正常、異常を判断する(
図21のステップS320−S332)。
【0144】
すなわち、コントローラ14は、旋回左圧力センサ64aで検出した圧力(旋回左圧)が旋回右圧力センサ64bで検出した圧力(旋回右圧)よりも高いかどうかを判定し(
図21のステップS320)、判定結果がYesであれば、操作レバー装置55の操作レバーを
図2の図示右方向にステップ状にフル操作した旋回起動時であるため、旋回左圧力センサ64aで検出した旋回左圧が高圧リリーフ弁57aの設定圧(例えば36MPa)近くの値、例えば34MPaより高い値であるかどうかを判定し(
図21のステップS322)、判定結果がYesであれば、
図18の診断画面の「旋回左圧」の判定領域にOK表示をする(
図21のステップS324)。判定結果がNoであれば、NG表示をする(
図21のステップS326)。
【0145】
また、ステップS322の判定結果がNoであった場合は、操作レバー装置55の操作レバーをステップ状に中立方向に戻した旋回制動であるため、旋回右圧力センサ64bで検出した旋回右圧が低圧リリーフ弁61bの設定圧(例えば28MPa)近くの値、例えば26MPaより高い値であるかどうかを判定し(
図21のステップS328)、判定結果がYesであれば、
図18の診断画面の「旋回右圧」の判定領域にOK表示をする(
図21のステップS330)。判定結果がNoであれば、NG表示をする(
図21のステップS332)。
【0146】
作業員は、
図18の診断画面の「旋回右圧」の判定領域がOK表示であれば、旋回右低圧リリーフ電磁弁63b、リリーフ圧切換弁62b及び低圧リリーフ弁61bのいずれも正常であると判断する。NG表示の場合は、旋回右低圧リリーフ電磁弁63b、リリーフ圧切換弁62b及び低圧リリーフ弁61bのいずれかに不具合があると判断する。
【0147】
<「旋回左低圧リリーフ電磁弁」の故障診断機能>
「旋回左低圧リリーフ電磁弁」の故障診断機能は、
図18及び
図21において、「右」が「左」に変わり、「左」が「右」に変わる点を除いて上述した「旋回右低圧リリーフ電磁弁」の故障診断機能と実質的に同じであり、操作レバー装置55の操作レバーを
図2の図示左方向にステップ状にフル操作して旋回起動し、その後、操作レバー装置55の操作レバーをステップ状に中立方向に戻して旋回制動することにより、旋回左低圧リリーフ電磁弁63a、リリーフ圧切換弁62a及び低圧リリーフ弁61aの正常、異常を判断することができる。
【0148】
<「旋回緊急停止」の故障診断機能>
図19は、「半自動モード」において、作業者が、
図9に示すように「旋回緊急停止」をハイライト選択して決定ボタンを押したときに、
図13のステップS400−2において遷移する診断画面であって、「手動測定モード」の
図10に相当する図である。
図22は、「半自動モード」において、「旋回緊急停止」をハイライト選択して決定ボタンを押したときに、
図13のステップS400−2において立ち上がる故障診断機能を示すフローチャートであって、「手動測定モード」の
図16に相当する図である。
【0149】
図19の診断画面には、「スイッチをONにして下さい」のガイダンスと、電流センサ73で検出した緊急停止弁68の電源ラインを流れる電流の診断結果がOK(正常)であるか、NG(異常)であるかを示す「電流値」の判定領域とが表示されている。
【0150】
作業者は、
図19のガイダンスにしたがって、スイッチ71をONにすると、緊急停止弁68の電源ラインに電流が流れる。また、その電流は、電流センサ73で検出され、コントローラ14は、検出した電流を入力し、旋回緊急停止弁68の正常、異常を判断する(
図22のステップS422→S426)。
【0151】
すなわち、コントローラ14は、緊急停止弁68の電源ラインを流れる電流lが既定値l0よりも大きければ、「電流値」の判定領域にOK表示をし、電流lが既定値l0以下であれば、「電流値」の判定領域にNG表示をする。
【0152】
作業員は、「電流値」の判定領域がOK表示であれば、旋回緊急停止弁68は正常であると判断する。NG表示であれば、旋回緊急停止弁68に不具合があると判断する。
【0153】
なお、必要に応じ、操作レバー装置55を操作したときの旋回ブレーキ圧センサ67の検出値をコントローラ14に入力し、旋回緊急停止弁68の診断に用いることができる。
【0154】
〜効果〜
以上のように構成した本実施の形態によれば、故障診断モードにおいて、通常制御と切り離して電磁弁63a,63b,65a,65bを駆動することで、電磁弁63a,63b,65a,65b及びセンサ64a,64b,66a,66bの故障診断を容易に精度良く行うことができる。また、電磁弁63a,63b,65a,65bとセンサ64a,64b,66a,66bの故障を併せて判定可能なので、効率の良い故障診断が可能となる。また、スイッチ71をONにすることで、旋回緊急停止弁68の故障診断も行うことができる。
【0155】
<その他のバリエーション>
上述した実施の形態は、旋回体を油圧モータと電動モータで駆動するハイブリッド式油圧ショベルに本発明を適用したが、本発明の適用はそのような油圧ショベルに限定されるものではない。例えば、ショベル機構を通常長さのショベル機構からそれよりも長いスーパーロングと呼ばれるショベル機構に交換可能とした油圧ショベルでは、スーパーロングのショベル機構に交換した場合は、ショベル機構の長さが長くなった分、旋回モーメントが増すため、旋回リリーフ圧を通常の設定圧よりも高い圧力に切り換える必要がある。また、方向制御弁の開口面積をスーパーロングのショベル機構に合わせて設計した場合は、通常長さのショベル機構を装着した場合は、旋回レバー操作量(旋回パイロット圧)に対する方向制御弁の開口面積が狭すぎるため、旋回パイロット圧を適宜減圧してレバー操作量に対する開口面積を開き方向に調整する必要がある。そのような旋回リリーフ圧の切り換えと旋回パイロット圧の減圧のためには、上述した実施の形態のハイブリッド式油圧ショベルと同様、高圧リリーフ弁57a,57b、低圧リリーフ弁61a,61b、リリーフ圧切換弁62a,62bを油圧システムに設け、低圧リリーフ電磁弁63a,63b、旋回左右の圧力センサ64a,64b、旋回
左右のパイロット圧減圧電磁弁65a,65b、旋回
左右のパイロット圧センサ66a,66bを制御システムに設ける必要がある。本発明、そのような油圧ショベルにも適用が可能である。
【0156】
また、本発明は、建設機械を駆動する油圧システムと、油圧システムを制御する制御システムとを備え、制御システムは複数のセンサと複数の電磁弁とコントローラとを備えるものであれば、油圧ショベル以外の建設機械(例えば油圧クレーン、ホイールショベル等)にも適用が可能である。
【0157】
更に、上述した実施の形態では、コントローラから電磁弁に故障診断用駆動信号として最大駆動信号を出力したが、それ以外の所定のレベル(例えば中間レベル)の駆動信号を出力して圧力値を表示させ、更に詳細な診断を行えるようにしてもよい。
【0158】
また、本発明の情報管理装置による故障診断は、建設機械の出荷検査時或いは出荷後のメンテナンス時に行うものとしたが、エンドユーザー側でも所望のタイミングで実行することができるものであり、故障診断の実施時機或いは実施者について特に限定されるものではない。