(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5665675
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】クライアント及びサーバにおけるリモートプロシージャコールハンドラを動作させる方法並びに当該クライアント及びサーバを含むコンピュータシステム
(51)【国際特許分類】
G06F 9/54 20060101AFI20150115BHJP
【FI】
G06F9/46 480D
【請求項の数】7
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-152629(P2011-152629)
(22)【出願日】2011年7月11日
(65)【公開番号】特開2012-27910(P2012-27910A)
(43)【公開日】2012年2月9日
【審査請求日】2014年7月3日
(31)【優先権主張番号】10305764.2
(32)【優先日】2010年7月9日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501263810
【氏名又は名称】トムソン ライセンシング
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カイ ドーラウ
(72)【発明者】
【氏名】ホルガー クロップ
【審査官】
井上 宏一
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第06321374(US,B1)
【文献】
特表2007−514990(JP,A)
【文献】
特開2003−150393(JP,A)
【文献】
特開平 9−330287(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 9/46 −9/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介してサーバに接続されたクライアントがリモートプロシージャコールプロトコルを使用して通信する方法であって、
a)複数のコールメッセージを含む集合コールメッセージを前記サーバに送信するステップと、
b)前記集合コールメッセージに含まれた前記コールメッセージの成功送信またはエラー送信を示すエラーメッセージを受信するステップと、
c)前記エラーメッセージが、少なくとも1つのコールメッセージのエラー送信を示す場合、当該少なくとも1つのエラー送信されたコールメッセージを、前記エラー送信されたコールメッセージと複数の他のコールメッセージとを含む他の集合コールメッセージにより再送信するステップと、
を含む、前記方法。
【請求項2】
ステップb)は、前記集合コールメッセージに含まれたコールメッセージ専用の少なくとも1つのリプライメッセージと前記エラーメッセージとを受信するステップを有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記リプライメッセージは、前記集合コールメッセージに含まれたコールメッセージのうちの成功送信されたものの全てに対するリプライメッセージを含む、請求項2記載の方法。
【請求項4】
ネットワークを介してクライアントに接続されたサーバがリモートプロシージャコールプロトコルを使用して通信する方法であって、
a)複数のコールメッセージを含む集合コールメッセージを前記クライアントから受信するステップと、
b)前記受信された集合コールメッセージの中の少なくとも1つのエラーを含むコールメッセージ(ERR)を検出した場合、
c)前記少なくとも1つのエラーを含むコールメッセージ(ERR)に応答して少なくとも1つのエラーメッセージを生成するステップと、
d)前記集合コールメッセージに含まれたコールメッセージ専用の少なくとも1つのリプライメッセージに前記少なくとも1つのエラーメッセージを連結するステップと、
e)前記少なくとも1つのエラーメッセージと前記少なくとも1つのリプライメッセージとを送信するステップと、
を有する、前記方法。
【請求項5】
ステップd)の前記リプライメッセージは、前記集合コールメッセージに含まれたコールメッセージのうちの成功受信されたものの全てに対するリプライメッセージである、請求項4記載の方法。
【請求項6】
サーバと、クライアントと、前記サーバおよび前記クライアントを接続するネットワークとを有するコンピュータシステムであって、前記クライアントは請求項1、2または3記載の方法を実行するリモートプロシージャコールハンドラを備える、コンピュータシステム。
【請求項7】
前記サーバは請求項4または5記載の方法を実施する別のリモートプロシージャコールハンドラを備える、請求項6記載のコンピュータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はクライアント及びサーバにおけるリモートプロシージャコールハンドラを動作させる方法に関する。また、本発明は前記クライアント及びサーバを含むコンピュータシステムにも関する。クライアント及びサーバの両方は、好ましくはリモートプロシージャコール(RPC)プロトコルを使用してネットワークを介して通信を行う。
【背景技術】
【0002】
下記の記載においてしばしば使用されるクライアント及びサーバという用語はハードウエアエンティティ(例えば、コンピュータ、マイクロプロセッサ、専用ネットワークチップ、ネットワークカード)及びソフトウエアエンティティ(例えば、適切なハードウエア上で起動しているプログラムまたはプロセス)を意味している。また、クライアント及びサーバという用語は特定のトランザクション・処理・行為にのみ用いられる。ハードウエアエンティティまたはソフトウエアエンティティは時間が異なれば(時間によって)両方の役割を果たすように動作することもできる。さらにクライアント及びサーバという用語は従来のトランスミッタ(送信器)及びレシーバ(受信器)のような関係も意味し、従って、上記2つのエンティティの一方または両方はハードウエア及び/またはソフトウエアにより実現されることもある。リモートプロシージャコールハンドラはサーバ内もしくはクライアント内の適切なソフトウエアエンティティもしくはハードウエアエンティティであり、少なくともコール(呼び出し)メッセージ及びリプライ(返信)メッセージの送信及び受信を扱う(好ましくはRPCプロトコルを利用して)。
【0003】
コンピュータシステムという用語は、当該コンピュータシステムがクライアントとサーバとを含む場合、ネットワークを介して通信するクライアント及びサーバを有する適切なハードウエアエンティティを意味する。コンピュータシステムという用語は従来の構成(複数の標準的なコンピュータがネットワークを介して接続されている構成)に限定されるべきではない。
【0004】
このような従来のシステムでは、クライアントはネットワークを介してコールメッセージをサーバに送信することによってリモートプロシージャ動作を行う。サーバは所定動作によってレスポンスを行い、作成データをリプライメッセージの中に含めてネットワークを介してクライアントに返信する。サーバにおいてこのような動作を引き起こすためには、それぞれの動作に必要な全てのパラメータをコールメッセージ内に入れて、それらをサーバに送って処理させるという方法が考えられる。この動作の後、サーバは、上記と同じように、作成データをリプライメッセージに含めてクライアントに返す。
【0005】
リモートプロシージャコール(RPC)プロトコルの公知の仕様は非特許文献1に記載されている。この仕様はコールプロセス及びリプライプロセスの定義を示している。よって、コールする側(すなわちコーラ:caller)であるクライアントは、まずプロシージャパラメータの全てを含むコールメッセージをサーバに送る。その後、クライアントはサーバからプロシージャの結果を含むリプライメッセージが来るのを待つ(中断する)。一旦リプライメッセージが受信されると、プロシージャの結果が抽出され、クライアント側の処理が再び始まる。サーバ側では、RPCプロセスは休止状態となり、新たなコールメッセージの到着を待つ。新たなコールメッセージが到着すると、サーバはプロシージャパラメータの抽出を開始し、結果を計算し、再びリプライメッセージを送信する。その後は、次のコールメッセージを待つ。このような動作モードによれば、常に2つのプロセスのうちの1つだけ(つまり、サーバのプロセスまたはクライアントのプロセス)しかアクティブにならない。このような動作モードは同期モードと称される。
【0006】
別の動作モードが特許文献1に開示されており、これは非同期モードと称されるべきものである。複数のコールメッセージがパッケージ化され、集合コールメッセージ(collected call message)が形成される。つまり、複数のコールメッセージがRPCプロトコルを使用してまとめてクライアントからサーバに送信される。このような集合コールは、即時レスポンスを必要としない事例に有利である。即時レスポンスを必要とするコールメッセージが生成されるまで、幾つかのコールメッセージがクライアント側で集められる。即時レスポンスを必要とするコールメッセージが生成されると、コールメッセージの集合がパッケージ化されサーバに送られる。この技術によれば、リクエストの数をかなり減ずることができる。さらに、ネットワークを介して送られる各データパッケージに対してネットワークプロトコルにより生成される必要なオーバーヘッドは、幾つかのコールが1つのデータパッケージに集約されるという事実により、減少する。常に2つのプロセスのうちの1つ(サーバプロセスまたはクライアントプロセス)しかアクティブにならないという厳しい条件は無くなるので、上記した動作モードは非同期的であると言われる。
【0007】
しかしながら、同期モードも非同期モードも、誤った送信コールメッセージ及び送信リプライメッセージについては標準の対処法を適用している。例えば、公知のタイムアウト法もしくは再送信法が用いられている。本明細書においてエラー送信されたコールメッセージ及びリプライメッセージとは、受け取り側でエラーを含んで受信されたメッセージを意味する(当該エラーが、送信側、送信媒体もしくは受信側によって発生したかどうかに拘わらず)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,321,374号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】R.Srinivasan著「RPC:Remote Procedure Call Protocol Specification」第2版、1995年8月(RFC1831)
【発明の概要】
【0010】
本発明の目的はクライアント内及びサーバ内のリモートプロシージャコールハンドラを動作させる方法(動作方法・操作方法)を提供することである。この方法はエラー送信されたコールメッセージ及びリプライメッセージの扱い方について改良されている。本発明の他の目的は、このようなクライアント及びサーバを含むコンピュータシステムを提供することである。
【0011】
上記目的は独立請求項に記載された内容・事項によって達成される。有利な実施形態の内容については従属請求項に記載されている。
【0012】
本発明によれば、ネットワークを介してサーバに接続されたクライアントにおいてリモートプロシージャコールハンドラを動作させる方法が提供される。つぎのステップが実行される。
a)複数のコールメッセージを含む集合コールメッセージをサーバに送信するステップ。
b)前記集合コールメッセージに含まれたコールメッセージの成功送信もしくはエラー送信を示すエラーメッセージを受信するステップ。エラーメッセージは、少なくとも1つのコールメッセージのエラー送信を示し、当該少なくとも1つのエラー送信されたコールメッセージは次のステップcにより再送信される。
c)前記エラー送信されたコールメッセージと複数の他のコールメッセージとを含む別の集合コールメッセージをサーバに送信するステップ。
【0013】
本発明によれば、サーバ内のリモートプロシージャハンドラはクライアントの動作に応答して補完的な動作を行う。即ち、本発明によれば、ネットワークを介してクライアントに接続されたサーバにおいてリモートプロシージャコールハンドラを動作させる方法は、つぎのステップを有する。
【0014】
a)複数のコールメッセージ(16)を含む集合コールメッセージ(12)をクライアント(4)から受信するステップ、
b)受信した集合コールメッセージ(16)の中から少なくとも1つのエラーコールメッセージ(ERR:erroneous calls message)を検出するステップ、
c)前記少なくとも1つのエラーコールメッセージ(ERR)に応答して少なくとも1つのエラーメッセージ(20)を生成するステップ、
d)複数のリプライメッセージ(24)を含む集合リプライメッセージ(14)をクライアント(4)に送信する準備ができるまで、前記少なくとも1つのエラーメッセージ(20)を保持するステップ、
e)前記少なくとも1つのエラーメッセージ(20)を前記集合リプライメッセージ(14)の前記リプライメッセージ(24)に連結するステップ、
f)前記少なくとも1つのエラーメッセージ(20)と複数の他のリプライメッセージ(24)とを含む前記集合リプライメッセージ(14)を送信するステップ。
【0015】
クライアントのリモートプロシージャコールハンドラを動作させる方法及びサーバのリモートプロシージャコールハンドラを動作させる方法は次の考察に基づいている。
【0016】
ネットワークにおいて、サーバとクライアントとを接続する(両者はリモートプロシージャコールプロトコルに基づいて通信する)と、エラーメッセージの送信及びエラー送信されたデータパケットの再送信のために、大量のネットワークトラフィックが生成されることになる(コールメッセージ及びリプライメッセージはデータパケットであると考える)。本発明によれば、エラーメッセージの送信及びエラー送信されたデータパケットの再送信を別個に行う必要は排除される。
【0017】
本発明の場合、クライアントは一般的にネットワークにおけるリクエスト側のエンティティと考えられ、サーバは一般的にネットワークにおける回答側のエンティティと考えられる。
【0018】
以下の記載において、本発明による方法の典型的な適用例として、クライアントが集合コールメッセージをサーバに送り、当該コールメッセージがエラー送信される場合を説明する。
【0019】
当該エラー送信されたコールメッセージを受信するサーバは、エラーメッセージだけを返信する代わりに、次のリプライメッセージがクライアントに送られるまで、当該エラーメッセージを保持する。エラーメッセージは前記リプライメッセージに連結される。その結果、サーバとクライアントとの間の通信回数が減少する。2つ以上のエラー送信されたコールメッセージが送信された場合、2つ以上のエラーメッセージがリプライメッセージに連結され、よって、送信回数が増えることはない。
【0020】
前記エラーメッセージを含むリプライメッセージを受信するクライアントも、同じような処理をする。1つのコールメッセージをサーバに再送信する代わりに、次の集合コールメッセージをサーバに送信すべきときまで、当該コールメッセージをクライアント側で保持する。エラー送信されたコールメッセージは単に集合コールメッセージに連結されるだけである。ここでもまた、少なくとも1つの送信を省略することになる。もし複数のエラー送信されたコールメッセージがある場合には、複数(回)の送信を省略することができる。
【0021】
本発明の方法はクライアントサーバ通信に適用することができるし、反対に、サーバクライアント通信に適用することもできる。換言すると、クライアントが誤った集合コールメッセージをサーバに送信する場合だけでなく、サーバが誤ったリプライメッセージをクライアントに送信する場合にも適用することができる。後者の場合、実施される方法は上記した方法と全く同様である。
【0022】
請求項1に係るクライアントにおいてリモートプロシージャコールハンドラを動作させる方法及び請求項4に係るサーバにおいてリモートプロシージャコールハンドラを動作させる方法は相補的であり、共通の技術思想により関連づけることができる。
【0023】
好ましくは、クライアントにおいてリモートプロシージャコールハンドラを動作させる方法のステップb)はさらに、前記集合コールのコールメッセージ専用の少なくとも1つのリプライメッセージと前記集合エラーメッセージとを含む集合リプライメッセージを受信するステップを有する。さらに好ましくは、前記集合リプライメッセージは前記集合コールの中の送信が成功したコールメッセージの全てに対するリプライメッセージを含む。
【0024】
ネットワークの反対側では、サーバにおいてリモートプロシージャコールハンドラを動作させる方法のステップf)はさらに、ステップa)で前記集合エラーメッセージとともに受信された集合コールのコールメッセージ専用の少なくとも1つのリプライメッセージを含む集合リプライメッセージを送信するステップを含む。さらに好ましくは、前記集合リプライメッセージは、前記集合コールに含まれた受信コールメッセージのうちの正しく受信されたメッセージの全てに対するリプライメッセージを含む。
【0025】
有利には、クライアントとサーバはコールメッセージ及びリプライメッセージを再送信するだけでなく、次に送信される予定になっているコールメッセージ及びリプライメッセージとともに再送信を行う。クライアントは、次のリプライメッセージにおいて前記少なくとも部分的に送信された集合コールへの完全な回答を受信する。こうすることにより、ネットワーク通信量はさらに減じられる。
【0026】
有利には、もし緊急の(アージェント)リクエストがサーバに送られてきた場合、リプライメッセージの連結は中断され、当該緊急のリクエストが先に実行される。好ましくは、たとえ集合リプライメッセージが通常の場合のように多くのリプライメッセージを含んでいなくても、そのときまでに生成されたリプライメッセージはサーバによって集合リプライメッセージの中に入れられて送信される。
【0027】
以下の記載において本発明は図面に基づいてさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】クライアントとサーバとを含むネットワークを示す図である。
【
図2】コールメッセージを送信している間のクライアント/サーバ通信を示す概略フローチャートである。
【
図3】コールメッセージを送信している間のクライアント/サーバ通信を示す概略フローチャートである。
【
図4】リプライメッセージを送信している間のサーバ/クライアント通信を示す概略フローチャートである。
【
図5】リプライメッセージを送信している間のサーバ/クライアント通信を示す概略フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1はクライアント4とサーバ6とを含むコンピュータシステム2を示している。クライアントとサーバとはネットワーク8を介して相互接続されている。クライアント4とサーバ6とは適切なハードウエアエンティティ10(例えば、コンピュータ、マイクロプロセッサ、ネットワークカード、インターフェースチップ等)により構成されている。
図1に示された例示的な実施形態によれば、クライアント4とサーバ6とはそれぞれのハードウエア10上で動作しているアプリケーションである。ここで、クライアント4とサーバ6とはリモートプロシージャコール(RPC)プロトコル(好ましくはRFC1831に基づいてプロトコル)を使用してデータを交換する。クライアント4は集合コールメッセージ12をネットワーク8を介してサーバ6に送信する。前記集合コールメッセージ12は複数のコールメッセージを含み、当該複数のコールメッセージは、サーバ6によって実行されるべきプロセスための数個(複数)のパラメータを含む。得られたデータ(上記のパラメータに基づいて計算されたもの)は集合リプライメッセージ14に含められてサーバ6からクライアント4へ送信される。集合コールメッセージ12と同様に、集合リプライメッセージ14は複数のリプライメッセージを含む。集合コールメッセージ12への回答としての集合リプライメッセージ14は例えばクライアント4によって表示されるべきデータを含むことができる。集合コールメッセージ12及び集合リプライメッセージ14のデータ経路12'、14'は
図1に示されている。
【0030】
以下の記載において、コールメッセージを送信する間のクライアント/サーバ通信が、
図2及び
図3を参照して説明される。
【0031】
図2に示されているように、クライアント4は8個のコールメッセージ16を含む集合コールメッセージ12をサーバ6に送信する。尚、図示の都合上、参照符号はコールメッセージのいくつかにのみ付されている。
図2に示された概略フローチャートにおいて、集合コールメッセージ12は「CALL 0」として示されている。ここで、8個のコールメッセージ16のうちの2個(即ち、コールメッセージ番号4と6)は正しく送信されたがサーバ6により受信される際に壊れてしまった(たとえば送信エラーやネットワークの故障により)と仮定する。これらコールメッセージ12は「ERR」として図示されており、その他のコールメッセージは「OK」として図示されている。サーバ6は例えばCRC比較その他のリダンダンシーチェック(冗長検査)により、欠陥のあるメッセージを検出する。このようなエラー検出18の結果、コールメッセージ16の成功配信と失敗配信を示すエラー状態(
図2に示されているもの)が生成される。
図2に示されているように、エラー状態は8ビットからなり、各ビットは集合コールメッセージ12のそれぞれのコールメッセージ16に対応している。ここで、「0」はコールメッセージ16の成功配信を示し、「1」は失敗配信を示している。
【0032】
その後、成功配信されたコールメッセージ16に含まれたデータに基づいて、サーバ6は結果を計算しそれを集合リプライメッセージ14に含めてクライントに返信する。この集合リプライメッセージ14は上記結果をペイロード22として含んでいる。さらに、集合リプライメッセージ14はエラーメッセージ20を含んでいる。エラーメッセージはエラー状態を16進コードで示したものである。集合リプライメッセージ14は
図2において「REPLY 0」として示されている。
【0033】
クライアント4はエラーメッセージ20を復号化することができるので、クライアント4はコールメッセージ16番号4と6がエラー送信されたという情報を認識する。従って、クライアント4は上記コールメッセージ16を、次に送信する予定になっている集合コールメッセージ12と共に再送信する。
【0034】
上記次に送信されることになっている集合コールメッセージ12は
図3において「CALL 1」と示されている。上記の2つのエラー送信されたコールメッセージ16番号4と6である「CALL 0」は
図3において「REP」と示されており、6個の新しいメッセージ16に連結され、上記集合コールメッセージ12「CALL 1」を形成する。この手法により、エラー送信されたコールメッセージ16の再送信が行われる。
【0035】
図3に示された例示的な実施形態によれば、全てのブロック(つまり、集合コールメッセージ12「CALL 1」のコールメッセージ16の全て)はサーバ6に正しく送信され、そのエラー検出18の結果は、集合コールメッセージ12の全てのコールメッセージ16が成功配信されたことを示す新しいエラー状態を示す(
図3に示されているとおり)。従って、「REPLY 1」と称される集合リプライメッセージ14は、この成功配信を示すエラーメッセージ20を含む。
【0036】
以下の記載において、集合リプライメッセージ14を送信している間のサーバ/クライアント通信が、
図4及び
図5を参照して説明される。
【0037】
最初に、「CALL 0」と称される集合コールメッセージ12がクライアント4からサーバ6に成功送信されたと仮定する。従って、サーバ側のエラー検出18の結果は、成功配信を示すエラー状態を示す。集合リプライメッセージ14において、当該成功配信を示すエラーメッセージ20はペイロードデータ(すなわち集合コールメッセージ12により受信されたパラメータの結果)を有する複数のリプライメッセージ24の中に含まれる。尚、説明(図示)の都合上、リプライメッセージ24のうちの幾つかにだけ、参照符号が付されている。
【0038】
例えば、リプライメッセージ24番号1と3(これらは正しく送信されたとする)は、クライアント4で受信される際に例えばネットワークの故障によって壊れてしまったとする。これらリプライメッセージ24は「ERR」として示されており、その他のリプライメッセージは「OK」として示されている。よって、クライアント側のエラー検出18の結果はリプライメッセージ番号1と3が間違った形で送信されたことを示すエラー状態となり、これは「1」で示されている。クライアントのエラー検出18はCRC比較等によって実施される。
【0039】
対応する2進(バイナリ)エラーメッセージ20は、
図5に示されているように、さらなる集合コールメッセージ12の中のコールメッセージ16に含まれる。上記集合コールメッセージ12は「CALL 1」と称され、クライアント4からサーバ6へ配信される。サーバ6はエラーメッセージ20を読むことができ、従って、間違った形で送信されたリプライメッセージ24番号1と3(
図5において「REP」として示されている)を、次の集合リプライメッセージ14「REPLY 1」に含めて再送信する。クライアント側のエラー検出18の結果は、全てのリプライメッセージ24が成功配信されたことを示す新しいエラー状態となる(
図5に示されているとおり)。次の集合コールメッセージ12「CALL 2」には、配信が完全に成功したことを示すエラーメッセージ20が組み込まれる。
本発明は以下の態様を含む。
(付記1)
ネットワーク(8)を介してサーバ(6)に接続されたクライアント(4)においてリモートプロシージャコールハンドラを動作させる方法であって、
a)複数のコールメッセージ(16)を含む集合コールメッセージ(12)を前記サーバ(6)に送信するステップと、
b)前記集合コールメッセージ(12)に含まれたコールメッセージ(16)の成功送信またはエラー送信を示すエラーメッセージ(20)を受信するステップと、を有し、
前記エラーメッセージ(20)は、少なくとも1つのコールメッセージ(16)のエラー送信を示し、
当該少なくとも1つのエラー送信されたコールメッセージ(16)は、
c)前記エラー送信されたコールメッセージと複数の他のコールメッセージ(16)とを含む他の集合コールメッセージ(12)を送信するステップ
により再送信される、前記方法。
(付記2)
ステップb)は、前記集合コールメッセージ(12)に含まれたコールメッセージ(16)専用の少なくとも1つのリプライメッセージ(24)と前記エラーメッセージ(20)とを含む集合リプライメッセージ(14)を受信するステップを有する、付記1記載の方法。
(付記3)
前記集合リプライメッセージ(14)は、前記集合コールメッセージ(12)に含まれたコールメッセージ(16)のうちの成功送信されたものの全てに対するリプライメッセージ(24)を含む、付記2記載の方法。
(付記4)
ネットワーク(2)を介してクライアント(4)に接続されたサーバ(6)においてリモートプロシージャコールハンドラを動作させる方法であって、
a)複数のコールメッセージ(16)を含む集合コールメッセージ(12)を前記クライアント(4)から受信するステップと、
b)前記受信された集合コールメッセージ(16)の中の少なくとも1つのエラー送信されたコールメッセージ(ERR)を検出するステップと、
c)前記少なくとも1つのエラー送信されたコールメッセージ(ERR)に対して少なくとも1つのエラーメッセージ(20)を生成するステップと、
d)複数のリプライメッセージ(24)を含む集合リプライメッセージ(14)を前記クライアント(4)に送信する準備ができるまで、前記少なくとも1つのエラーメッセージ(20)を保持するステップと、
e)前記集合リプライメッセージ(14)の中の前記リプライメッセージ(24)に前記少なくとも1つのエラーメッセージを連結するステップと、
f)前記少なくとも1つのエラーメッセージ(20)とその他の複数のリプライメッセージ(24)とを含む前記集合リプライメッセージ(14)を送信するステップと、
を有する、前記方法。
(付記5)
ステップf)が、ステップa)で受信された集合コールメッセージ(12)のコールメッセージ(16)専用の少なくとも1つのリプライメッセージ(24)を含む集合リプライメッセージ(14)を送信するステップを含む、付記4記載の方法。
(付記6)
ステップe)の前記リプライメッセージ(24)は、前記集合コール(12)に含まれたコールメッセージ(16)のうちの成功受信されたすべてのものに対するリプライメッセージ(24)である、付記5記載の方法。
(付記7)
サーバ(6)と、クライアント(4)と、前記サーバ(6)を前記クライアント(4)に接続するネットワーク(8)とを有するコンピュータシステムであって、前記クライアント(4)は付記1、2または3記載の方法を実行するリモートプロシージャコールハンドラを備える、コンピュータシステム(2)。
(付記8)
前記サーバ(6)は付記4または6記載の方法を実施する別のリモートプロシージャコールハンドラを備える、付記7記載のコンピュータシステム(2)。
【符号の説明】
【0040】
4 クライアント
6 サーバ
8 ネットワーク
10 ハードウエア
12 集合コールメッセージ
14 集合リプライメッセージ
16 コールメッセージ
18 エラー検出
20 エラーメッセージ
22 ペイロード(payload)
24 リプライメッセージ