(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5665753
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】ステープル留めデバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 17/072 20060101AFI20150115BHJP
【FI】
A61B17/10 310
【請求項の数】7
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2011-535777(P2011-535777)
(86)(22)【出願日】2009年11月10日
(65)【公表番号】特表2012-508078(P2012-508078A)
(43)【公表日】2012年4月5日
(86)【国際出願番号】US2009063930
(87)【国際公開番号】WO2010054404
(87)【国際公開日】20100514
【審査請求日】2012年11月8日
(31)【優先権主張番号】12/268,404
(32)【優先日】2008年11月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】バルビアーズ、ダニエル・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ハンブリー、パブロ・アール
(72)【発明者】
【氏名】スチュワート、ジェイソン・エス
(72)【発明者】
【氏名】コール、デイビッド
【審査官】
毛利 大輔
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2008/0190989(US,A1)
【文献】
特開2006−081688(JP,A)
【文献】
特開2005−160933(JP,A)
【文献】
特開2004−065679(JP,A)
【文献】
特表2005−530563(JP,A)
【文献】
米国特許第05897562(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/072
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の胃内の組織を捕捉且つステープル留めするデバイスであって、そのデバイスは胃へ経口的に挿入可能に構成された多重打ち出しステープルヘッドを備え、その多重打ち出しステープルヘッドは、
(i) ステープル保持部材であって、
各々がステープル準備位置を有する複数のステープル保持チャンバと、
各チャンバ内に保持される複数のステープルであって、各チャンバ内のステープルの一つがそのチャンバ内のステープル準備位置に位置決めされる前記複数のステープルと、
ステープル・ドライバであって、そのステープル・ドライバが第1の位置から第2の位置へ移動したときに、各チャンバ内のステープル準備位置にあるステープルに係合し、かつ、係合したステープルを駆動して前記ステープル保持部材から台座部材に向かって排出し、前記第2の位置から第1の位置への復帰移動により、各チャンバにおける新たなステープルを前記ステープル準備位置に移動させる前記ステープル・ドライバとを備える前記ステープル保持部材と、
(ii)前記台座部材と、
(iii)前記ステープル保持部材を前記台座部材に連結し、前記ステープル保持部材と前記台座部材との間の軸に沿った相対移動を許容する複数のアームであって、それら複数のアームと、前記ステープル保持部材及び台座部材の突き合わせ面との間に組織捕捉チャンバが区画され、前記ステープル保持部材と前記台座部材との間の距離の減少に伴い、前記軸に対して直交する方向における前記組織捕捉チャンバの領域を増大させるように構成される前記複数のアームと
を備えるデバイス。
【請求項2】
請求項1のデバイスにおいて、前記複数のステープル保持チャンバが前記軸の周りに配置されているデバイス。
【請求項3】
請求項2のデバイスにおいて、前記複数のステープル保持チャンバが前記軸の周りの矩形パターンに配置された四つのチャンバを含むデバイス。
【請求項4】
請求項2のデバイスにおいて、前記ステープルヘッドが、切断要素を更に含み、この切断要素は、前記ステープル・ドライバに対して独立に又は結合して、前記軸に沿って移動して、ステープル留めされるべき組織ひだへ穴を形成するデバイス。
【請求項5】
請求項1のデバイスにおいて、前記組織捕捉チャンバが、前記ステープル保持部材内に包含された真空チャンバであり、この組織捕捉デバイスは、組織を前記組織捕捉チャンバへ引き入れるように、該組織捕捉チャンバへ真空を加える真空ポートを更に含むデバイス。
【請求項6】
複数の組織領域をステープル留めするデバイスにおいて、
(a) ステープル保持部材であって、
各々がステープル準備位置を有する複数のステープル保持チャンバと、
各チャンバ内に保持される複数のステープルであって、各チャンバ内のステープルの一つがそのチャンバ内のステープル準備位置に位置決めされる前記複数のステープルと、
ステープル・ドライバであって、そのステープル・ドライバが第1の位置から第2の位置へ移動したときに、各チャンバ内のステープル準備位置にあるステープルに係合し、かつ、係合したステープルを駆動して前記ステープル保持部材から台座部材に向かって排出し、前記第2の位置から第1の位置への復帰移動により、各チャンバにおける新たなステープルを前記ステープル準備位置に移動させる前記ステープル・ドライバとを備える前記ステープル保持部材と、
(b)ステープル保持部材に対して可動な前記台座部材と、
(c)前記ステープル保持部材と前記台座部材との間に延在して前記ステープル保持部材及び前記台座部材との間に前記デバイスと一体の真空チャンバを形成し、ステープル留めされる組織が前記真空チャンバに引き込まれるように構成された開口を有する可撓性のシースと、
(d)前記ステープル保持部材を前記台座部材に連結し、前記ステープル保持部材と前記台座部材とが軸に沿って互いに接近する移動を許容する複数のアームとを備え、複数のアームは前記ステープル保持部材と前記台座部材との間の距離の減少に伴い、前記軸に対して直交する方向における前記真空チャンバの領域を増大させるように構成されるデバイス。
【請求項7】
請求項6のデバイスはさらに前記真空チャンバに真空を提供する真空ポートを含むデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一般に本発明は組織捕捉及びステープル留めの分野に関する。
【0002】
外科用ステープラーは、長年に亘って臨床用途に用いられている。これらは、組織付加、結紮、切除及び/又は吻合を必要とする処置において外科医によって用いられる標準的なツールである。ステープラーは、時間を要する縫合の配列の必要性を廃することにより、全体的な処置時間を削減する。ステープラーは、組織を圧縮してステープル留めした後に、組織切断/切除の実行を可能とすることにより、ステープル留めされる組織の切除に関係する特定の処置における失血を低減することができる。例えば、先ず一対のステープル列を形成し、次いで組織をステープル列の間の線に沿って切断する。
【0003】
外科用ステープラーは、一回の発射でステープル配列(例えば、ステープル・ラインのような直線配列、円形配列その他)の複数のステープルを打ち出すように構成されている。初期のステープラーは、再使用可能なハンドルと、単独のステープル配列を保持する使い捨てのステープル・カートリッジ倉からなる。それ以降のステープラーは、使い捨てのハンドルと使い捨てのカートリッジ倉を用いる。従来技術のステープラーの臨床用途期間中に、使いきって空になったカートリッジは、ハンドルから取り外して新しいカートリッジに交換しなければならない。このように、ステープルの単独の装填を支持するステープラーは、組織へ打ち出して、次いで患者から取り外される。空のカートリッジは放出されて、新しいカートリッジは次のステープル・ラインへ装填される。このステープラーは身体へ再度導入され、この処理は、組織へ適用されるステープルの次のライン又は配列について繰り返される。ステープラーの恒常的再装填の必要性は、経口自然開口部手術において特に時間を要し、これは胃若しくは他の体腔からデバイスを取り外した後にステープル・ヘッドを再位置決めするのに要する時間が僅かではないためである。更に、一回の処置あたりの複数のステープル・カートリッジについての必要条件は、処置の全体的コストを増加させる。
【発明の概要】
【0004】
一つの態様において、本発明は、被験者の胃へ経口的に導入されることにより、被験者の胃内の複数の組織領域を捕捉且つステープル留めするデバイスを含む。このデバイスは、作動状態で、(a)多重打ち出しステープル・ヘッドであり、このヘッドを胃へ経口的に挿入可能な収縮状態と、拡張された組織捕捉状態との間で軸に沿って往復運動するように設計された多重打ち出しステープル・ヘッドと、(b)このヘッドが取り付けられ、且つそのヘッドをその収縮状態で経口的に胃へ導入可能とするシャフトと、(c)胃内の組織を捕捉する組織捕捉デバイスとを備える。
【0005】
多重打ち出しステープル・ヘッドは、(i)ステープル保持部材を備え、このステープル保持部材は、軸の周りのパターンに配列された複数のステープル保持チャンバであり、各チャンバはステープル準備位置において終端するステープル保持チャンバと、各チャンバ内のステープルの一つをそのチャンバにおける前記ステープル準備位置に位置させる各チャンバ内の複数のステープル・ヘッドと、ステープル・ドライバであり、このステープル・ドライバが第1の位置から第2の位置へ移動したときに、各チャンバ内のステープル準備位置にあるステープルを係合させて、この係合されたステープルを駆動して組織接触面を横断させて前記ステープル保持部材から出し、このステープル・ドライバのその第2の位置から第1の位置への移動は各チャンバにおける新たなステープルをステープル準備位置へ前進させるステープル・ドライバとを有する。
【0006】
更にステープル・ヘッドに含まれているのは、(ii)台座部材、(iii)ステープル保持部材と台座部材との突き合せ面の間に規定された組織捕捉チャンバ、及び(iv)ステープル保持部材と台座部材とを軸に沿って往復移動させ、収縮状態と、組織捕捉チャンバが拡張された面積寸法を有して、且つチャンバ内の組織ひだをステープル保持部材と台座部材との間に捕捉させる拡張状態との間で、互いに接近及び離間するように結合する構造である。
【0007】
複数のステープル保持チャンバは軸の周りに対称的に配置してもよい。一つの例示的な実施形態において、複数のステープル保持チャンバは、軸の周りの矩形パターンで配置された四つのチャンバを含む。
【0008】
ステープル・ヘッドは、切断要素を更に含んでもよく、これは、ステープル・ドライバに対して独立に又は結合して軸に沿って移動して、ステープル留めすべき組織ひだに穴を形成する。
【0009】
組織捕捉デバイスは、ステープル保持部材内に包含された真空チャンバとしてもよく、このデバイスは、組織をチャンバへ引き込むように、チャンバへ真空を加える真空ポートを更に含んでもよい。代替的に、組織捕捉デバイスは、組織ひだに係合して、この係合したひだを組織捕捉チャンバへ引き入れる機械的な把持器を含んでもよい。
【0010】
被験者の胃内の複数の組織領域を捕捉及びステープル留めするためのデバイスのより一般的な態様では、多重打ち出しステープル・ヘッドは、収縮状態と拡張状態との間の往復運動、又は開放状態と閉止状態との間の旋回運動との何れのためにも設計されていてもよく、後者の実施形態のステープル・ヘッドにおける複数のステープル保持チャンバは、捕捉組織におけるステープルの非直線配列を形成するために配置される。
【0015】
複数の組織領域をステープル留めするためのデバイスも開示される。このデバイスは、操作状態において、(a)ステープル保持部材であり、このステープル保持部材は、複数のステープル保持チャンバの複数の列と、各チャンバ内に保持された少なくとも一つのステープルとを有し、各チャンバにおける少なくとも一つのステープルは、そのチャンバにおけるステープル準備位置にあるステープル保持部材と、(b)ステープル保持部材に対して可動な台座部材であり、ステープル保持部材と台座との間に支持された組織をステープル留めするための台座部材と、(c)第1の位置から第2の位置への移動のために前記ステープル保持部材に支持されたステープル・ドライバとを備え、その第2の位置では、ステープル保持チャンバの選択された列内のステープル準備位置におけるステープルが、ステープル保持チャンバから台座部材に対して前進して、これら二つの部材の間に支持された組織を通じてステープルの直線配列を形成する。
【0016】
デバイスはチャンバの各直線配列について個別のステープル・ドライバを含んでもよい。
【0017】
ステープル・ドライバはステープル係合楔を含んでもよく、これは直線配列におけるステープルの列に沿って移動し、チャンバの単独の直線配列内のステープル準備位置におけるステープルを連続的に係合させる。
【0018】
ステープル・チャンバの列は、列位置に対する連続回転のために回転バレルに配置でき、その列位置では、選択された列が前記台座に隣接して位置して、定位置ステープル・ドライバの起動が、台座に対抗する列におけるチャンバからのステープルの放出を有効にするようにされているので、チャンバ列と台座との間に捕捉された組織がステープル留めされる。
【0019】
更に他の態様において、本発明は、被験者の中空器官内の多重ステープル留め操作を実行するためのデバイスを含む。このデバイスは、(a)ステープル保持部材であり、カートリッジ・ハウジングと、ステープル保持部材内で第1の位置と第2の位置との間で可動なステープル・ドライバとを有するステープル保持部材と、(b)ステープル留め位置に対して接近離間する移動のために枢動するようにステープル保持部材に装着された台座部材と、 (c)複数のステープル・カートリッジであり、その各カートリッジは、(i)複数のステープルと、(ii)少なくとも一つのドライバ・スロットであり、これを通じてステープル・ドライバがその第1の位置から第2の位置へ移動でき、前記ステープル保持部材及び前記台座部材がそれらのステープル留め位置へ移動したときに、一つ以上のステープルをカートリッジから排出するドライバ・スロットと、(iii)カートリッジがステープル保持部材へ導入されたとき、カートリッジ・ハウジング内にカートリッジを係止する係止構造とを有するステープル・カートリッジと、(d)カートリッジのステープルが放出された後に、ステープル保持部材からカートリッジを解除するようにステープル保持部材に関係した解除機構と、(e)ステープル保持部材に対してカートリッジを連続的に装填及び解除するようにカートリッジを支持する手段とを含む。
【0020】
解除機構は、スプリング装填ステープル・ドライバレバーを含んでもよく、これは、ステープル・ドライバがスプリング偏倚に抗してその第2の位置へ移動した後に、カートリッジをステープル保持部材から押すように働いて、ステープルをカートリッジから放出する。
【0021】
ステープル・ドライバはステープル契合楔を含んでもよく、これは直線配列におけるステープルの列に沿って移動して、カートリッジ・ステープルに連続的に契合する。
【0022】
カートリッジは、一連のカートリッジとしてステープル保持部材のカートリッジ・チャンバへ連続的に装填するように支持されてもよく、且つ支持手段は(e)一方のカートリッジの出口端を他方の入口端へ結合する可撓な繋留体又は枢動結合継手を含む。
【0023】
開示された多重打ち出しステープル・ハウジング及びカートリッジは、胃内の多重組織捕捉及びステープル留め段階の実行、例えば胃内の組織の結合により胃が内側から仕切られる胃の分割処置中(共有に係る米国出願番号第12/119,329号、2008年5月12日出願、発明の名称“DEVICES AND METH0DS F0R ST0MACH PARTITI0NING”を参照されたい)、或いは胃インプラントの保持に用いる胃内の組織ひだ形成(共有に係る米国出願番号第12/175,242号、2008年7月17日出願、発明の名称“END0SC0PIC IMPLANT SYSTEM AND METH0D”及び米国出願番号第12/050,169号、2008年3月18日出願、発明の名称“END0SC0PIC STAPLING DEVICES AND METH0DS”を参照されたい)に特に有益である。
【0024】
本発明の上述及び他の目的及び特徴は、添付図面を参照して以下の本発明の詳細な説明を解釈するとより完全に明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1A】
図1Aは多重打ち出しステープラー・ヘッドの第1実施形態の斜視図であり、開放状態にある顎及び前置打ち出し状態にあるステープル・ドライバを示す。
【0026】
【
図1B】
図1Bは
図1Aと同様な図であって、閉止状態にある顎及び前置打ち出し状態にあるステープル・ドライバを示す。
【0027】
【
図1C】
図1Cは
図1Aと同様な図であって、閉止状態にある顎及び打ち出し状態にあるステープル・ドライバを示す。
【0028】
【
図2】
図2はステープル・ハウジングの平面図であって、フェースプレートを取り外して示す。
【0029】
【
図3A】
図3Aはステープル・ハウジングの縦断面を示す斜視図であって、バックプレートを取り外して示す。
【0030】
【
図3B】
図3Bはステープル・ハウジングの横断面を示す斜視図であって、バックプレートを取り外して示す。
【0031】
【
図4】
図4はステープル前進プレート及びこのプレート上に設けられた二つのスプリングの斜視図である。
【0032】
【
図5A】
図5Aは
図2と同様な図であるが、供給機構におけるスプリングの代替的形式を示す図である。
【0033】
【
図5B】
図5Bは
図5Aの実施形態の単独セルを示し、スプリングは弾性部材により置き換えられている。
【0034】
【
図6】
図6はセルの単一の領域におけるステープル・ハウジングの一部分及びステープル・ドライバの一部分の断面図である。
【0035】
【
図7】
図7A−
図7Cはステープル・ハウジングから組織へステープルを駆動する代替的なステープル・ドライバの動作を概略的に示す一連の縦側面図である。
【0036】
【
図8】
図8A−
図8Eはステープル・ハウジングから組織へステープルを駆動する第2の代替的なステープル・ドライバの動作を概略的に示す一連の縦側面図である。
【0037】
【
図9A】
図9Aはバックプレートを取り外した代替的なステープル・ハウジングの平面図である。
【0038】
【
図9B】
図9B−9Eは
図9Aのステープル・ハウジングから組織へステープルを駆動する第2の代替的なステープル・ドライバの動作を概略的に示す一連の縦側面図である。
【0039】
【
図10】
図10A乃至
図10Cは、準備位置からステープル留めされるべき組織へ向かうステープルの駆動及びそれに続くステープルのスタックからの次のステープルの準備位置への再装填を概略的に示す一連の斜視図である。
【0040】
【
図11】
図11は
図1Aのステープルに用いるステープルのスタックを形成する一つの方法を示す斜視図である。
【
図12】
図12は
図1Aのステープルに用いるステープルのスタックを形成する一つの方法を示す斜視図である。
【0041】
【
図13】
図13乃至
図15は
図1Aのステープルの使用を示す連続的な段階であり、
図13は閉止した顎及び収縮位置におけるステープル・ドライバを示す縦側面図である。
【
図14】
図14は開放した顎及び収縮位置におけるステープル・ドライバを示す縦側面図である。
【
図15】
図15は閉止した顎及びステープル・ハウジングを通じて延伸してステープルの配列を駆動するステープル・ドライバを示す縦側面図である。
【0042】
【
図16】
図16は代替的な多重打ち出しステープル・ハウジングを採用するステープルの第2の実施形態の平面図である。
【0043】
【0044】
【
図18】
図18は
図17のステープル・カートリッジの他の拡大図であり、ここではステープル、ステープル前進要素、及びステープル・プッシャは明瞭化のために図示されていない。
【0045】
【
図19】
図19は部分的組み立て状態における
図17のステープル・カートリッジの斜視図であり、ここではステープル及びステープル前進要素は装填されているが、前方ハウジングを分離してステープル及びステープル前進要素を視認可能にしている。圧縮バンド及びステープル・プッシャは図示されていない。
【0046】
【
図20】
図20は
図17のステープル・カートリッジのためのステープル・プッシャの斜視図である。
【0047】
【0048】
【
図21B】
図21Bは
図21Aと同様な図であり、ステープルをステープル・カートリッジから駆動するステープル駆動位置におけるステープル・プッシャを示す図である。
【0049】
【
図22】
図22は
図17のステープル・カートリッジの平面図であり、隠れ線におけるステープル・スタック及びステープル前進要素を示す図である。
【0050】
【
図23】
図23A乃至
図23Cは、準備位置からステープル留めされるべき組織へ向かうステープルの駆動及びそれに続くステープルのスタックからの次のステープルの準備位置への再装填を概略的に示すカートリッジの一連の断面図である。
【0051】
【
図24】
図24はステープル・ヘッドの代替的な実施形態の斜視図であり、ここでは使い切ったカートリッジは後方に置かれており、第2のカートリッジはステープル・ハウジング内にあり、第3のカートリッジは第2のカートリッジを置き換えるステープル・ハウジングへの前進を待機している。
【0052】
【
図25】
図25はステープル・ハウジングへ前進する第1のカートリッジ及び第1のカートリッジに接続された第2のカートリッジを示す斜視図である。
【0053】
【
図26】
図26A乃至
図26Eはカートリッジからのステープルの駆動及びステープル・ハウジングへの第2のカートリッジの前進の段階を示す一連の図である。
【0054】
【
図27】
図27は本発明の一実施形態によるバレル型多重打ち出しステープラーを示す図である。
【0055】
図1Aは一般に多重打ち出しステープラー・ヘッド10を採用するステープラー又はステープラー・デバイス8を示す。ステープル・ヘッド10は、ステープル・ハウジング又はステープル保持部材12、及び細長いシャフト18の末端部分における対向する顎部材16A,16Bにより支持された対応する台座又は台座部材を含む。即ち、台座はステープル保持部材に装着されて、開放位置(
図1A)及び閉止位置(
図1B及び
図1C)に対して接近及び離間する旋回運動するようにされている。ステープル保持部材12はステープルの配列を有し、その各々のステープルはステープル搬送位置即ち目標組織へ打ち出すべき「準備位置」にある。ステープル保持部材におけるステープル・ドライバ20は、
図1Bに示す第1の位置から
図1Cに示す第2の位置へ前進して、準備位置のステープルをステープル・プッシャ22を用いてステープル・ヘッド12から組織へ駆動するように配置されている。使用中には、準備位置におけるステープルはステープル・プッシャ22を用いて目標組織へ打ち出される。配列が打ち出されて、且つステープル・ドライバがその第2の位置から移動してその第1の位置へ戻った後、ステープル・ハウジング内の供給機構はステープルの第2の配列を一つ以上の保管場所から第2の配列の打ち出し用意のための準備位置へ前進させる。
【0056】
再び
図1Aを参照すると、ステープル・ヘッド12は、多数の開口26を有するフェースプレート24を含み、ステープル留め中には、その開口を通じてステープルがステープル・ヘッド12を出る。従って、この開口26は所望のステープル配列のパターンに配置され、これは好ましくは
図2に見られるオフセット・ステープルの2−3−2パターンのような非直線パターンである。ハウジング12内の内部供給機構はステープルのスタックからステープルを複数の開口26に整合した準備位置へ供給するように機能する。図示の実施形態では、個別の供給機構が配列の各ステープルをその対応する準備位置へ移動させるように用いられている。しかしながら他の実施の態様は、ステープルを複数の準備位置へ供給する能力がある供給機構を用いてもよい。
図2はステープル・ハウジング12の平面図を示し、ここでは、ステープルを準備位置へ供給するのに用いられる供給機構を明らかに示すようにフェースプレート24が取り外されている。図示のように、ステープル・ハウジング12は複数のセル又はステープル保持チャンバ28を含み、その数は配列におけるステープルの数に対応する。セル28には幾多の形状を用いることができるが、図示の実施形態においては、各セル28は中間区画29A及び狭い端部区画29Bを含む。以下に明らかにするように、ステープル・ヘッド及び台座は対応する面、例えばフェースプレート24を有し、これはステープル留め操作中に互いに向かって移動して、二つの面の間の組織ひだを捕捉し、ステープル留め操作中に組織ひだを保持する。
各セル28は中間区画29Aに配置されたステープルの集積若しくはスタック30を包含する。ステープル30aの一つは、覆っているフェースプレート24の対応する開口26(
図1A)に整合する準備位置31にある。端部区画29Bの一つには、供給機構があり、これは少なくとも一つのスプリング32及びプレート34を有する。図示のように、スプリング32の一端はセル28の壁に接触し、且つ他端はプレート34の一面に接触する。プレート34の反対面はステープル・スタック30に接触している。プレート34に対抗するスプリング力は準備位置31における最端のステープル30aを偏倚させて、壁36に接触させる。ステープルが準備位置から組織へ前進したとき、このスプリング力はスタックの次のステープルを準備位置31へ前進させる。
【0057】
様々な形式のスプリングを供給機構に用いてもよい。
図2−
図3Bに図示された実施形態においては、一対の圧縮スプリング32が各セル28内に用いられている。
図4に示すように、各スプリング32はプレート34上の突起若しくはボタン38により一端を支持されるようにしてもよい。
【0058】
代替的なスプリング配置においては、圧縮スプリングは、
図5Aに示すような一つ以上のリーフスプリング32Aにより及び/又は
図5Bに示すような一つ以上の弾性スプリング要素32Bにより置き換えられる。また
図5Aは、チャンネル35を有するハウジング内にあるステープル・スタック及び供給機構を図解しており、ステープル留めに続いて切断刃が組織切除のためにチャンネル35を通過できるようにされていることに留意されたい。
【0059】
図6は単独のセルとステープル・ハウジング12を取り囲む領域との断面図である。この図は、バックプレート48がフェースプレート24からステープル・ハウジング12の反対側に位置しており、且つフェースプレート24上の対応する開口26(そのうちの一つのみ図示する)に整合する開口50(一つのみ図示する)を含むことを図解する。開口50は、ステープル・プッシャをそれら開口を通じてステープル・ハウジング12へ通過させて、ステープルをフェースプレート24内の開口26から出すように駆動する。
【0060】
次に、ステープルを準備位置から組織を通じて押すために用いられる特徴について説明する。
図1Aを参照すると、ステープル・ドライバ20は、プレートから延伸する複数のステープル・プッシャ22を含める。リンケージ40はステープル・ドライバ20をステープル・ヘッド12へ接続して、ステープル・プッシャ22はバックプレート48における開口50に整合する(
図6)。
【0061】
リンケージ40は第1のリンク42を有し、これはステープル・プッシャ22のプレートに枢軸に接続された第1の端部と引張りケーブル44に接続された第2の端部とを有する。引張りケーブル44はケーブル・ハウジング45を通じてシャフト上のハンドルへ延伸する。第2のリンク46は一端において第1のリンク42の中間区画に枢軸に接続されて、且つその他端ではステープル・ハウジング12に枢軸に接続される。リンケージは次のように構成されている。即ち、引張りケーブル44への張力の適用がリンク42,46を
図1Bに示す第1の位置から
図1Cに示す第2の位置へ枢動させるので、ステープル・ドライバ20をステープル・ハウジングへ向かって駆動し、ステープル・プッシャ22をステープル・ハウジング12へ通して、ステープルを
図6に示す方式で駆動する。
【0062】
ステープル・プッシャを前進させてステープル・ハウジングからステープルを駆動するために様々な他の方法を用いてもよい。各々が並進ステープル・ドライバを用いる幾つかの代替的な方法を
図7A乃至
図9Eに概略的に示す。
【0063】
図7A−
図7Cは、ステープル30aの線形配置を示し、これはステープル・ハウジング12(これはカートリッジ若しくはマガジンとすることができる)から駆動して、ドライバ52はステープルの後方スパンに平行な方向で可動である。この運動は図示のように液圧ピストン51、又は引張りケーブル、リンケージ、回転入力及び他の手段により発生することができる。プッシャ53はステープルの後方スパンと接触するように配置することができる。ドライバ52は、複数の楔要素54を含み、これは、ドライバが前進して、楔要素54の傾斜楔54がプッシャ53に接触し、このプッシャがステープル・ハウジングにおける対応するチャンバからステープル30aを駆動するように配置されている(
図7B及び
図7C)。この実施形態の変形例では、プッシャ53に単独の楔要素が設けられており、これは以下の
図8A−
図9Eに示す方式と同様にステープルを連続的に駆動するために用いられる。
【0064】
図7A−
図7Cに図示された例では、二つのステープル30aが同時に駆動されるが、任意の数のステープルを同様に駆動することができる。複数のドライバ52とステープルの対応する列は、同じツール内に存在することができる。一旦ドライバ52がハウジングからステープルを完全に駆動するならば、それはホーム・ポジションへ復帰する。この復帰は、個別の液圧回路の場合のようにオペレータ入力、又は機構を復帰させるケーブル、或いは、起動中に圧縮された単独又は複数のスプリングにより供給された力でそれ自体が復帰するドライバにより受動的に達成することができる。図示の実施形態において、ステープル留め中にプッシャ53により圧縮されたスプリング54は、ドライバがそれらの経路から移動した後に、プッシャ53をハウジング内のそれらの初期位置へ復帰させる。ハウジング12内の供給機構は、他の回のステープルを次の起動のために、本願の他の個所に明らかにされるように、準備位置へ前進させる。
【0065】
図8A−
図8Eに図示された実施形態は
図7A−
図7Cの実施形態と類似しているが、これは双方向性ステープル展開計画を採用する。図示のように、ドライバ52Aは、二つの傾斜端を有する楔要素54Aを含む。第1の方向のドライバ52Aの移動の間、ステープル30aの第1のセットは、組織へ連続的に駆動される(図
8B及び
8C)。一旦ステープルの第1セットが打ち出されるならば、他のステープル・セットを準備位置へ(ドライバの復帰経路で)運ぶことができるので、楔要素54Aの復帰運動は第2セットを組織へ展開することができる。
図8Aの実施形態に対する変形例では、複数の双方向性楔要素が
図7Aの実施形態における楔要素の位置と同様に位置しており、ドライバにおける複数の楔要素を用いて同時前進を可能とする。この変形例では、第1の方向におけるドライバの運動はステープルの第1のセットを駆動し、次いで反対方向のドライバの運動はステープルの第2のセットを駆動して第1のステープルにより空けられた準備位置へ供給する。
【0066】
図7A及び8Aの実施形態に対する変形例では、ステープルはステープル・ハウジングへ指向させて、ステープル後方スパンが
図7A及び
図8Aに示される位置から90度回動するようにしてもよい(即ち、ステープルが復帰して後方スパンが
図7A及び
図8Aの紙面へ出入りするように延伸する)。この設計を用いる一つの形態は
図9A−図 9E に示される。
図9Aは、バックプレートを取り外してハウジング12aを示しており、単純化のためにドライバ及びステープルは一つの列のみを示す。実際には、各々の列はステープルが充填されており、所望の作動計画に従い、各々の列は台座へ個別に又はグループで駆動することができる。付加的に、ステープルはドライバに対して90度以外の角度における後方スパンを有して配置することができる。
【0067】
図9B−9Eを参照すると、ドライバ52Bは楔54Bを含む。ステープル後方スパンは、ドライバ52Bの運動の方向に対して横断する。
図9Bにおいて、楔はその開始位置にある。ステープルを駆動するために、ドライバは、ケーブルにより、或いは適切な力を与える任意の手段により起動される可撓な要素により、右方へ引っ張られる。ドライバ52Bが移動するにつれて、それは各々のステープルの上に位置する傾斜キャップ53Bを下方へ押しやる。このキャップ53Bは、組織を通じてステープルを駆動して、台座(図示せず)へ向かわせる。前述の実施形態と同様に、スプリング又は他の要素を用いてキャップを初期位置へ復帰させてもよい。即ち、楔又はステープル・ドライバは、第1の位置(
図9A)から第2の位置(
図9E)への移動のために、前記ステープル保持部材上に支持されており、その第2の位置では、チャンバの選択された直線配列内のステープル準備位置内における複数のステープルを台座部材に対してステープル保持部材から前進させて、二つの部材の間に捕捉された組織を通じてステープルの直線配列を形成する。このデバイスは、チャンバの各直線配列のための個別のステープル・ドライバを有してもよく、或いは単独のステープル・ドライバをチャンバの望ましい列に配置してもよい。このチャンバは、上述のように、単独のステープル、或いは各々の打ち出しでステープル準備位置へ供給される複数のステープルを包含してもよい。
【0068】
他の実施形態においては、図示しないステープル・ドライバは、各チャンバについて一つずつ、複数の楔を含み、ステープル・ドライバのその第1の位置から第2の位置への移動は、各楔に対応するチャンバを横断させて、そのチャンバからステープルを放出させる。
【0069】
図9に示されたデバイスは、(a)ステープル保持部材であり、複数のステープル保持チャンバの複数の列と、各チャンバ内に支持された少なくとも一つのステープルとを有し、各チャンバ内の少なくとも一つのステープルは、そのチャンバ内のステープル準備位置に配置されたステープル保持部材と、(b)台座部材であり、ステープル保持部材と台座との間に支持された組織をステープル留めするために、ステープル保持部材に対して可動な台座部材と、(c)前記ステープル保持部材上に支持されて第1の位置から第2の位置への移動のためのステープル・ドライバであり、その第2の位置では、チャンバの選択された直線配列内のステープル準備位置内における複数のステープルを台座部材に対してステープル保持部材から前進させて、二つの部材の間に捕捉された組織を通じてステープルの直線配列を形成する。この実施形態では、個別のステープル・ドライバをステープルの各列について設けられている。
【0070】
関連した実施形態においては、
図27に示すように、符号250で示される多重打ち出しステープルはバレル252を有し、これは例えば符号254,256で示すように、チューブ255の周りで回動し、ステープル対の各列の各々を台座258に対するステープル放出のための位置へ連続的に配置する。カートリッジ上のステープル列がステープル留め位置(図における列257)へ回動して、組織がこの列に押しつけられて配置されたとき、台座は、その間に組織を捕捉するステープル放出領域に対して移動し、ステープル・ドライバ(例えば、チューブ255を通じて引っ張られるステープル駆動楔)は、台座に対してステープルをその列から放出するように起動されて、捕捉された組織ひだを通じて二つの密接に離間したステープルの列を形成する。
【0071】
図10A乃至
図10Cは、ステープルを準備位置から打ち出して、次いで準備位置における打ち出されたステープルをスタックにおける次のステープルへ置き換えるステープル・プッシャ及び自動供給機構の操作を概略的に図解する。
図10Aを参照すると、ステープル打ち出しの前に、スプリング(
図10Aには図示されない)によりプレート34に対して与えられるスプリング力Fの働きのために、ステープル30aは準備位置で偏倚する。ステープル・プッシャ22は、上述のように前進して、ステープルを打ち出す(
図10B)。プレート34に対する定常的なスプリング力Fのために、ステープル30aが準備位置を離れると直ちに、これは準備位置においてスタック30における次のステープル30bによって置き換えられる(
図10C)。このステープルの準備位置への自動再装填は、セル内の各々のステープル30a-30nが打ち出されるように、それ自体が繰り返される。
全てのステープル30a-30nが打ち出された後、更なるステープル留めが必要とされるならば、ステープル・ハウジングは新たな装填ステープルで再充填してもよい。
【0072】
本明細書に開示されたステープル・ハウジング及びステープル・カートリッジは、任意の適宜なステープル又はステープル・スタックと共に用いてもよい。ステープル・スタックは、
図11に示すように平坦材料58の一枚のシートを用いて形成してもよい。縦切り込み線60をシート58の一側に形成すると共に、シートの端部62は、ステープル脚の先端になるものを形成するために面取りする。シート58を
図12に示す形状へ折り曲げ、ここでは切り込み線60が個々のステープルになるもの間の分割線としての役割をなす。この配置では、各時間にステープル・プッシャが駆動されて、これにより、最端のステープルを平坦材料のシートから剪断して、組織へ駆動する。
【0073】
次に、ステープラ10の使用について説明する。使用に先だって、ステープル・スタック30はステープル・ハウジング12のセルへ装填される。
図13に示すように閉止状態にある顎16a,16bによれば、ステープル・ヘッド10は、ステープル留めされる組織の位置へ進められる。次に、ステープル・シャフトのハンドル上
の制御要素
20は、顎を開放して
図14に示される状態にするために操作される。当業者に公知の様々な構成を用いて顎を開閉するようにしてもよい。図示の実施形態は、顎16a,16bに接続されたリンケージ64を採用する。リンケージ64はピストン66を用いて起動され、リンケージを拡張させる液圧又は機械的手段を用いてそれは遠位に動かされて顎を開放する(
図14)と共に、近位へ動かされてリンケージを縮めてさせて、顎を閉止する(
図13)。
【0074】
開放された顎16a,16bによれば、ステープル留めされる組織はステープル・ハウジング12と台座14との間に位置する。ステープルは、この目的のために有益な一体型組織捕捉デバイスを備えていてもよい。適宜な組織捕捉デバイスは、共有に係る以下の米国出願に説明されている。即ち、出願番号第12/119,329号(2008年5月12日出願、発明の名称“DEVICES AND METH0DS F0R ST0MACH PARTITI0NING”)、出願番号第12/050,169号(2008年3月18日出願、発明の名称“END0SC0PIC STAPLING DEVICES AND METH0DS”)、及び出願番号第12/268,216号(発明の名称“TISSUE ACQUISITI0N DEVICES AND METH0DS”、本願と同日出願(代理人整理番号BAR0-2200))である。その出願では、組織は真空源を用いている真空ヘッドへ捕捉されて、その捕捉された組織は把持器により(例えば、組織位置決め、操作のために)保持される。或いは、一つ以上の独立して可動な機械的器具、例えば組織把持器は、選択された組織領域で組織を捕捉又は係合させて、ステープルの顎の間に把持された組織を、即ちカートリッジ(ステープル保持部材)と台座との間で移動させるようにしてもよい。
【0075】
一旦、組織がカートリッジと台座との間に捕捉されたならば、顎は再び閉止(
図13)して、組織に対してステープル・ハウジング及び台座を閉止することにより、ステープル留めに備えて組織を圧縮する。ケーブル44(
図1A)が起動してステープル・ドライバ20をステープル・ハウジング12へ向かって駆動して、ステープル・プッシャ22をステープル・ハウジング12(
図15)へ向かって駆動して、組織を通じてステープルの配列を打ち出す。ステープルでは典型的であるように、ステープルの自由脚部は台座面における対応する凹所(図示せず)に対して折り重なる。
【0076】
緊張がケーブル144から自由にされるとき、スプリング(図示せず)はステープル・ドライバ20に
図13に示される収納位置を強いる。一旦ステープル・ドライバ20がステープル・ハウジングから引き出されると、即ちその第2の位置から第1の位置まで移動すると、(
図10A乃至
図10Cに関連して説明したように)新たなステープルが各々のセルの準備位置へ移動し、ステープラーは第2のステープル配列の展開のために直ちに準備される。
【0077】
図16は多重打ち出しステープラー又はステープラー・ドライブ110の代替的実施形態の側面図である。このデバイスは係合シャフト114へ装着されたステープラー・ヘッド112を含む。以下に明らかになるように、ステープラー・ヘッド112は、ヘッドを患者の胃へ経口的に挿入できる圧縮された実質的に円筒状状態と、拡張された組織捕捉状態との間で、軸123に沿って往復移動するように設計されている。ステープラー・ヘッドは、ステープル・ハウジング又はステープル保持部材116(これは交換可能なステープル・カートリッジとしてもよい)と台座又は台座部材118を含む。ステープル保持部材及び台座部材は、それぞれ対面組織接触面117,119を有し、これら接触面は、それらの間に組織捕捉チャンバ121(例えば真空チャンバ)を規定する。
【0078】
ステープル保持部材及び台座ステープラー・ヘッド112は、これらが互いに接近及び離間する運動を可能とするように結合構造又はリンケージ(例えば
図16に示すアーム115)
によって結合されている。
図16から明らかなように、リンケージ・アームは、ヘッドの収縮状態において、実質的に直線且つ平行であり、漸進的に外方へ拡張し、ステープル保持部材及び台座が互いへ向かって引かれるにつれて、ステープル保持部材及び台座が外方へ漸進的に拡張して、組織捕捉チャンバで組織ひだを捕捉する。延伸アームは組織捕捉チャンバの面寸法(即ち、デバイスの往復運動軸に対して垂直なチャンバの領域)を増大して、組織捕捉及びステープル留め操作中に組織ひだの増大領域をチャンバへ引き込む。これらの特徴は、共有に係る米国出願第12/056,169号(2008年3月18日出願、発明の名称“END
OSC
OPIC STAPLING DEVICES AND METHODS”)により詳細に説明されており、これは参照により本明細書に組み込まれている。その出願に詳述されるように、デバイスは、切断要素(例えば中空円形刃)を更に含んでもよく、これはデバイスの往復軸に沿って移動し、ステープル・ドライブに対して独立に、又は結合されて、ステープル留め期間若しくはその後に組織に穴を形成する。これまた参照出願に開示されているように、デバイス内の組織捕捉チャンバは真空チャンバとしてもよく、デバイスはチャンバへ真空を適用する真空ポートを含み、組織をチャンバへ引き込む。この実施形態では、可撓なシース(図示しない)がステープル保持部材と台座部材との間で延伸し、シースはヘッドの一側面に開口を有し、これを通じて組織をチャンバへ引き込み得る。
【0079】
第1の実施形態のハウジングと同様に、カートリッジ116は、ステープルのアレイを同時に打ち出し、且つ最初の配列が放出されると後続のステープルの配列を自動的に再装填するように設計された多重打ち出しユニットである。アレイ内のステープルは、様々なパターンに配置することができ、これは
図16の実施形態に関連して示される矩形パターンを含むが、これに限定されるものではない。
【0080】
カートリッジ又はステープル保持部材116の特徴は、
図17及び
図18に示される拡大図を参照して先ず説明される。カートリッジは、前方ハウジング120,中間ハウジング122、及び後方ハウジング124を含む。前方ハウジング120はカートリッジの遠位端に位置しており、ステープル留め期間中にステープル留めすべき組織に接触するプレート126を含む。離間部材128は基端方向においてプレート126から長手方向へ延出する。部材128の各々は円周チャンネル130を含む。プレート126は、中間ハウジング122を受け入れるように配置された中央切り欠き132を含む。
【0081】
後方ハウジング124はプレート134を有し、これは中央ハウジング122を受け入れるように配置された切り欠き136を持つ。離間部材138は末端方向においてプレート134から長手方向へ延出する。部材138は円周チャンネル140を有する。
【0082】
中間ハウジング122は縦側壁142を有し、これは、中間ハウジング122を前方及び後方ハウジングの中央切り欠き132,136へ摺動させるように配置されている。側壁142の各々は、この側壁142上で中央に位置する縦方向延出第1チャンネル144と、この第1のチャンネル144内に中央に位置する縦方向延出第2チャンネル146とを有する。
【0083】
図21Aに示されるように、組み立てられたカートリッジにおいて、中間ハウジング122は前方ハウジングと後方ハウジングとの切り欠きの間で延出する。前方ハウジング120の縦方向延伸部材128は後方ハウジングの縦方向延伸部材138の間に配置されて、壁128のチャンネル130が壁138のチャンネル140に整合して、カートリッジ116の周囲に延出する連続円周チャンネルを形成する。以下により詳細に説明するように、圧縮バンド152(
図18も参照のこと)は、この円周チャンネル内に配置されている。
【0084】
ハウジング120,122,124が組み立てられたとき、それらの様々な壁の間の間隙はチャンバを形成し、その中には使用中にステープルが位置する。
図21A及び21Bを参照すると、矩形U字状チャンバ148は縦方向延伸部材128の各々とその隣接する部材138との間に配置されている。
図17及び
図22はステープル30のスタック若しくは集積が各々のチャンバに配置されていることを図解している。図示の実施形態のステープルの四つのスタックに対応して、このようなチャンバ148が全部で四つ示されている。
【0085】
各々のステープルは、その対応するチャンバ内に位置し、その脚はチャンバの縦方向延伸枝に配置されており、ステープルの交差部材若しくは後方スパンはチャンバの横方向延伸部分内にある。チャンバ148の各々は、矩形V字状ステープル前進要素150も包含し、これはステープル30の径方向の最外側の一つに隣接する。
【0086】
圧縮バンド152は、整合チャンネル130,140により形成された周方向チャンネル内に配置されている。圧縮バンドの内部壁は、カートリッジにおけるステープル前進要素150の縦方向延出脚に接触する。圧縮バンドの径方向内方スプリング力は、ステープル前進要素150、ひいては全てのステープルを径方向内方へ偏倚させる。
【0087】
図22を再度参照すると、中間ハウジング122の縦チャンネル144,146は、前方及び後方ハウジング120,124における切り欠きを規定する壁を有するチャンバ148を形成する。各スタックにおける最内側のステープル30aは圧縮バンド152の径方向内方力によりチャンバ148へ偏倚する。チャンバ154内のステープルは、準備位置にあり、カートリッジから隣接する組織への前進の進歩のための準備ができている。
【0088】
図19は、後方ハウジングの要素138の間の前方ハウジングの要素128の挿入のために整列している前方及び後方ハウジングを示す。この図は、所定のスタックのための準備位置ステープル30a、残りのステープル30b−n、所定のスタックについてのステープル前進要素150を進めているステープルの位置を最も良く示す。図示のように、準備位置ステープル30aは、第1のチャンネル144に沿う中央ハウジング122の壁に対して偏倚する。圧縮バンド152は、明瞭化のために取り外されている。
【0089】
ステープル・プッシャ・アセンブリ又ステープル・ドライバ156(
図17及び
図20)は、準備位置にあるステープルをカートリッジから組織へ推進させるために設けられている。ステープル・プッシャ・アセンブリ156は、チャンバ154の対応する一つ内の末端方向に摺動可能なプッシャ要素158を含む。各プッシャ要素はプレート160を有し、これは中間ハウジング(
図19)のチャンネル144の対応する一つを通じて摺動し、準備位置ステープル30aをチャンネルへ偏倚させる。プレート160の内方対面表面上のリブ162は、関係するチャンネル146を通じて摺動し、プッシャ・アセンブリ156と中間ハウジングとの適切な整合を保持する。プッシャ・アセンブリ156は、共有に係る米国出願第12/050169号(2008年3月18日出願、発明の名称“END〇SC〇PIC STAPLING DEVICES AND METH〇DS”)に説明された油圧起動ピストン、又は他の30の手段により前進し得る。
【0090】
図23A乃至
図23Cは、更なる打ち出しに備えてのステープル位置のステープル打ち出し及び後続の再装填を例示する一連の断面図である。
図23Aは、ステープルの第1の配列の打ち出しに先立つカートリッジを示す。図示のように、プッシャ・アセンブリ156は完全に収縮若しくは第1の位置にある。各々のステープル・スタック30において最も径方向内側に位置するステープル30aは、チャンバ154における準備位置に配置されている。各々のスタックの第2、第3等ステープル30b-nはチャンバ148内に位置している。
図23Aの図示において、ステープル30b-nは断面図のみがU字状チャンバ148の対応部分に沿って可視である。
図23Bはプッシャ・アセンブリ156がカートリッジからのステープル30aの押し出しを完了する位置を示す。台座(これに対しては、折り重なったステープルの脚が置かれる)は
図23A−Cには示されていない。図示のように、プッシャ・アセンブリにおけるステープル・ドライバのその第1の位置(
図23A)からその第2の位置(
図23B)への移動は、四つのステープルに同時に係合し、それらをステープル保持部材から強制的に押し出す。実際の操作において、ステープルは組織ひだを通じて台座へ対して押し進められ、捕捉されたひだにステープルを形成する。
【0091】
プッシャ・アセンブリは次いで
図23Cに示すように収縮し、即ちその第2の位置からその第1の位置へ戻るように移動する。このことが起こると、ステープル前進要素150に対する圧縮バンド152の径内方向力は、各スタック内の次のステープルを、駆動される最初のステープルによって空け渡される準備位置(即ち、経路144内)へ押す。ステープル・ヘッドは、ステープル留めされるべき第2の組織領域へ再位置決めしてもよく、このとき、プッシャ・アセンブリは再び前進してステープルの第2の配列を組織へ駆動する。この工程は、所望の数の配列が組織(例えば胃内の異なる選択された組織領域)へ適用されるまで、及び/又はステープルのセットが使い果たされるまで繰り返される。カートリッジが全てのステープルを出して空の状態になった後、更なるステープルが必要であるならば、ステープル・ヘッドを患者から引き出して、カートリッジをステープルから取り外して、ステープルが充填されたカートリッジと交換してもよい。或いは、圧縮バンド及びステープル前進要素を取り外して、ステープルをチャンバ154へ挿入し、次いでステープル前進要素及び圧縮バンドを再配置することにより、既存のカートリッジを補充してもよい。開示された多重打ち出しステープル・ハウジングは様々な処置を実行するのに有益であり、これは胃の分割及び/又はインプラントを保持するための胃壁ひだ形成を含むが、これらに限定されるものではない。
【0092】
例えば、開示された多重打ち出しハウジングは、胃壁分割システムに採用してもよい。胃壁の領域が内側に引かれる(二層を「挟み付け」又は組織の折り畳みを胃外部へ至らせる)とき、胃の外側上の漿膜組織の対応する領域は互いに対面して配置される。
共有に係る米国特許出願第12/119,329号(2008年5月12日出願、発明の名称“DEVICES AND METH0DS F0R ST0MACH PARTITI0NING”)に開示された胃壁分割方法においては、胃壁の二つ以上のそのような領域若しくは挟みは、係合/把持して、口を経て胃へ通される器具を用いて内側へ引かれる。二つ以上の組織の挟み付けは折り畳まれて、ステープル又は他のファスナーが挟み付けを通るにつれて、互いに完全に又は部分的に整合し、四層組織ひだが形成される。
【0093】
この形式の多重ひだは、基部胃から遠位胃への食物の流れを制限する胃内に遮蔽又は狭窄を形成することにより体重減少を誘発するか、及び/又は胃容積を効果的に低減して、患者が比較的少ない量を食した後に、満腹感を生じさせるために用いてもよい。ひだを用いて形成された分割も胃と食道との間に遮蔽を形成して還流を最小化するためのGERDのための処置として用いてもよい。
【0094】
共有に係る米国特許出願第12/175,242号(2008年7月17日出願、発明の名称“END0SC0PIC IMPLANT SYSTEM AND METH0D”)及び米国特許出願第12/050,169号(2008年3月18日出願、発明の名称“END0SC0PIC STAPLING DEVICES AND METH0DS”)は、胃壁組織の挟みを内側へ引いて、組織折り畳みを形成すること、次いでステープル配列又は他の締結手段を組織折り畳みへ適用してひだを保持することによるひだの形成を説明している。穴をひだに形成して、インプラント又はアンカー(これには更なるインプラントが結合される)を受け入れるようにしてもよい。
【0095】
開示された多重打ち出しステープル・ハウジングは、各々のひだの形成の後に胃からステープル・ヘッドを取り外すことを必要とすることなく、必要なひだの各々の連続的形成を可能とすることにより、この種の処置を非常に容易にする。換言すれば、ステープル配列を組織へ施してひだを形成した後、ステープル・ヘッドを即座に再位置決めして、第2の及びそれに続くひだを形成してもよく、これは全て、新たなステープルの再充填若しくは交換のために身体からステープル・ヘッドを取り外す必要がない。従って、胃壁分割又はひだの集積は、従来可能だったより時間よりも少ない時間で形成し得る。
【0096】
上記に開示したステープル構成に加えて、代替的な構成が適当であり、上記に開示した形式の供給機構と共に用いることができる。
【0097】
一つの代替的なステープル構成においては、複数のステープルは脚が隣接して、後方スパンが接しないチェーンを形成する。この構成は、「UUUUUUUU」のように見えるが、ステープル要素の重なり合いも可能である。チェーンにおける一つのステープルは、ステープル・ハウジングにおける準備位置から駆動されて、駆動部材が収縮して、次のステープルが準備位置へ移動して、この供給動作は主にステープルの後方スパンの軸に沿う。複数のステープルは一つずつ打ち出してもよく、複数を同時に打ち出してもよく、或いは一つのグループ(又は単独のステープル)を打ち出しながら、他のグループ(又は単独のステープル)を再充填する交番時間で打ち出してもよい。
【0098】
放射状又は「リボルバ」形式ステープル構成では、ステープルは車輪のスポークのように配置されて車輪内に収容され、又はステープル脚でベルト上に置かれ、或いは、車輪の軸と概ね平行に駆動する方向に(リボルバの薬室の弾丸のように)配置される。
一例として、12のステープルの3つ(何れもリングに関して均等に離間されているかいないかである)を進めることができ、駆動部材が収縮されて、駆動部材が次の3つのステープルを割り当てるか、他のステープル・マガジンが割り当てて、次の3つのステープルがドライバと整合する。この運動は、各々3つのステープルの計4回の打ち出しに亘って続けることができる。変更例では、フェリス(ferris)車輪形式構成では、ステープルはステープルの脚が車輪の軸に対して垂直をなして向き付けられるか、或いは非円形ベルトに置かれる。この場合、ドライバはステープルを内側から外側へ向けて、或いは車輪又はベルトの外側からの内側へ向けてステープルを駆動する。
【0099】
他の実施形態は、複数のステープルの平坦な入れ子状配置を用いる。例えば、ステープルを保管する薄型の方法は、これらを互いに平坦に置いて、各々の一つを先行する一つの僅かに前方に置いて、それらが倒れた後にドミノ状になるようにすることである。この場合、駆動すべきステープルの上に傾斜させる方法が用いられる。傾斜させない二重形成もこれを可能とする。この例では、ステープルは前方へ押されて、下方へ曲げられて、典型的なB字状へ潰れる。
【0100】
他の配置においては、ステープルの配列又はマガジンは、ステープルのグループのチェーンから成る。ステープルはチェーンのリンクに収納されて、これは駆動部材と相互作用するように設計されている。チェーンのリンクが、1乃至5又はそれ以上のステープルと共に前進するとき、それらのステープルを駆動し得る。ドライバの収縮と同時に、チェーンを前進させて、使い果たしたリンクは駆動領域を越えて押され、新たなリンクが駆動領域へ前進させられる。使い果たしたリンクは束縛領域へ移動させるか、或いはデバイスから進めて出すことができる。同様に、装填されたリンクは束縛領域に収容するか、或いはデバイスの外包体を越えて延伸することができる。この例又はこの説明の他の部分で記載したチェーンの材料が生物学的適合性又は生体吸収型であるならば、チェーンのリンクは内腔内に破棄することができるか、或いはステープル・ラインへ取り込むことができるので、打ち出し後の管理を必要とする使い果たしたチェーンの材料は全く無いか僅かである。
【0101】
この概念を採用するステープルの1つの実施例を次に説明する。
図24は、ステープル・ヘッド210を示し、これはステープル保持ハウジング若しくはステープル保持部材212と、台座若しくは台座部材214とを含む。3つのステープル・カートリッジ216a−cが示される。カートリッジ216aはハウジング212及び対面台座214へ結合されて示されており、複数のステープルを包含してステープル搬送のために位置し、即ちドライバを収容し、このドライバは、カートリッジと台座との間に置かれた組織にカートリッジからステープルを打ち出す。カートリッジ216b(これはすでに打ち出されている)は背後にある。他方のカートリッジ216bは最前面にあり、ステープルを再装填するためにカートリッジと台座との間の位置への前進を待機する。カートリッジ216a-cは図示のように一緒に可撓に結合されている。より一般的に、カートリッジは、カートリッジの列(これは例えば可撓なテザー又は一つのカートリッジの出口端を他の入口端に接続する枢軸ジョイント継手による)としてのステープル保持部材のカートリッジ・チャンバへの連続的装填のために支持してもよい。或いは、カートリッジはチャンバからステープル保持部材への連続通過のためにチャンバ内に収容することができる。相互カートリッジ接続又はハウジングは、ステープル保持部材に対する連続的装填及び放出のためにカートリッジを支持する手段を形成する。
【0102】
図25は、ハウジング212への前進に先立つカートリッジの拡大図を示す。カートリッジの端部におけるウィング218は、カートリッジが台座ピボット220より上の台座エクステンションを通過するにつれて、内側へ曲がる。カートリッジが一旦台座エクステンションを通過するならば、これらは外側へ跳ねて、ステープル留め力がカートリッジから台座へ向かってステープルを駆動するように加えられたとき、カートリッジは僅かに後方に摺動し、このウィングは台座ピボットより上に台座エクステンションを押す。これは、ステープル留め力が台座とカートリッジ面とを押し離した後でさえも、台座をカートリッジ面に整合させて保つことに役立つ。
【0103】
図25に最もよく示されるように、各々のカートリッジは、複数のステープルを受けるように寸法付けられた複数のスロット222を含む。キャップ224は、スロット内のステープルの後方スパンの上に配置されている。キャップ224は、
図25においては単に2つのスロット222で示される。各々のキャップ224は、勾配表面226を含む。使用中に、4つのスロット222の各々は、ステープル及びキャップ224で充填し得る。
【0104】
図26Aを参照すると、駆動楔232は、4つの楔形プレートを有しており(その一つだけが見える)、その各々はスロット222の1つへ延伸する。ケーブル引き手又は他の機構はハウジング210を通じて縦方向へ駆動楔を(図面中では左から右へ)前進させて、楔形プレートがスロット222を通じて移動するように設けられている。楔形プレートは、次のように位置している。即ち、楔形プレートがスロット内を移動するときに、それらは所定のスロット222内で様々なステープルS(
図26A−E)に対応するキャップ224に接触し(これは
図9Bに関連して説明したのと同様な方式である)、それによってステープルをハウジングと台座との間に位置する組織へ打ち込む。
【0105】
スプリング228はハウジング212におけるチャンネル内に配置されており、ユーザーがケーブル又は他の力伝達要素を起動することにより、駆動楔232が移動するにつれて、スプリングが圧縮されるように構成されている。例えば、楔232はスプリング228によって延伸しているケーブルへ結合して、スプリング228上のキャップ234へ取り付けて、楔が
図26Aにおいて5つ右へ移動して、ケーブルがキャップ234を左へ引っ張り、スプリングを圧縮するようにしてもよい。第2のスプリング230は、駆動楔232へ取り付けられて、カートリッジにおいて溝238(
図25)に重なるレバー236により圧縮される。この溝238は楔のストローク端部において深さが増大するので、レバー236がその移動の端部において落下させるためのノッチ240が与えられる。
【0106】
図26Aは、ステープル・ヘッド210を示し、ここではステープルがカートリッジ216bから既に打ち出された後であって、カートリッジ216aがハウジングへ移動した後であり、そのステープルが打ち出しの準備ができているステープル搬送位置にある。
図26A−26Cは、楔232がステープル駆動要素又はキャップ234上を引かれるにつれてのステープル展開の段階を示す。楔232は定位置(
図26A)からカートリッジを通じて移動して、ステープルを組織を通じて展開し、それらの脚が台座214に対して折り重なる。楔が前進するにつれて、スプリング228が圧縮される。楔がその移動の端部に到達するにつれて、
図26Dに示すように、レバー236はノッチ240へ枢動する。ユーザーが(例えば引っ張りケーブルの解除により)楔を引くのを止めたとき、負荷復帰スプリング228は非負荷状態になり、楔232及びレバー236を定位置へ向けて駆動し、これは
図26A−Fの図示においては左へ向かう。レバー236は溝238の壁242を押す。このようにして、カートリッジ216aに結合する次の装填カートリッジ216bを引き込みながら、使い果たされたカートリッジ216aを駆動してステープラーから出す(
図26E)。このように、レバーは、カートリッジ・ステープルが放出された後に、カートリッジをステープル保持部材から解除するための解除機構を形成する。
【0107】
ステープラーが再位置決めされて、このシーケンスは全てのカートリッジが打ち出されるか又はステープル留めが完了するまで繰り返される。
【0108】
現在生産されている直線ステープルに相当する機械的に単純なレバーを維持するが、患者からステープラーを引き出す必要のない多重打ち出し能力を可能にすることは有益であろう。この設計では、使い果たしたカートリッジは放出されて、適所に落下するように製作されるか、或いは、テザーで繋がれるか、さもなければ、ステープラー又はステープラーへ装填される次のカートリッジへ接続される。装填は既に患者内にある器具、又はその器具自身の内部の付加的機構により達成され、これはステープラー・ヘッドへ進められる新たなカートリッジの運搬装置又はコンジットを形成するか、若しくはその役割を果たす。
【0109】
上述の分類は排他的ではなく、例えば放射ドライバ又はマガジン運動は、積み重ね式、平坦な入れ子式、或いはチェーン状ステープル配置と組み合わせることができる。
【0110】
上述に特定された実施形態の幾多の変形例が上述の説明を鑑みれば当業者には明らかであることを認識されたい。更に、開示された実施形態の特徴は、付加的な実施形態を生成する様々な方式で、互いに他の特徴(本明細書に参照した先願における教示を含む)に組み合わせてもよい。従って、本発明は、ここに図示されて説明された本発明の特定の実施形態及び方法によって限定されるものではない。列挙された用途及び方法は、
列挙された疾患の治療又は処置に限定されるものではない。上述した方法及び器具の変更例及び本発明の当業者に明らかな変形例は本開示事項の主旨の範囲内にあることが意図されている。
【0111】
上述に参照した何れか及び全ての特許、特許出願、印刷刊行物は、優先権の目的によるものを含めて、参照により本明細書に組み込まれている。