(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
多数の別個の用量設定エレメント(3.1〜3.n)を含み、ここで、投与体積及び/又は投与回数は、それぞれの用量設定エレメント(3.1〜3.n)の少なくとも1つを、スタック位置(I)から初期の位置(II)に移動させることにより設定され;薬剤投与体積は、少なくとも1つの用量設定エレメント(3.1〜3.n)を、初期の位置(II)から投薬位置(III)に移動させることにより適用され;そして、用量設定エレメント(3.1〜3.n)の初期の位置(II)から投薬位置(III)への移動が、少なくとも、初期の位置(II)における用量設定エレメント(3.1〜3.n)の高さ(h)で制限される薬物送達デバイス(2)用の用量設定機構(1)であって;
各々の用量設定エレメント(3.1〜3.n)が、少なくとも1つの表面側(1)で複数の張出し(B1〜Bm)を含み;ここで、各々の用量設定エレメント(3.1〜3.n)の高さ(h)が、用量設定エレメント(3.1〜3.n)の厚み(D)及び張出し高さ(h1)の合計に等しいことを特徴とする、
上記用量設定機構。
初期の位置(II)に位置するそれぞれの用量設定エレメント(3.1〜3.n)の個々の高さ(h)が、送達すべき1回の用量の薬剤(M)の投与体積を規定する請求項1又は2のいずれか1項に記載の用量設定機構。
用量設定エレメント(3.1〜3.n)が、別々に送達すべき薬物(M)の同じ又は異なった投与体積を規定するための、同じ高さ(h)、又は異なった高さ(h)を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の用量設定機構。
全ての用量設定エレメント(3.1〜3.n)の全ての張出し(B1〜Bm)のそれぞれの張出し高さ(h1)が等しく、そして用量設定エレメント(3.1〜3.n)の厚み(D)が変化する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の用量設定機構。
用量設定エレメント(3.1〜3.n)の少なくとも1つが、ピストン(6)と容器(5)の開放後端をシールする栓(8)との間の初期の位置(II)に位置する、請求項10〜12のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス。
スタック位置(I)に位置する全ての用量設定エレメント(3.1〜3.n)が、用量設定エレメント(3.1〜3.n)の数に対応する用量の数の固定された全投与体積を設定する、請求項10〜13のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス。
スタック位置(I)に位置する各用量設定エレメント(3.1〜3.n)が、個々のサブ投与体積をそれらの個々の高さ(h)により設定するか、又はそれらの同じ高さ(h)により等しいサブ投与体積を設定する、請求項10〜14のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス。
貯蔵スタック(4)が容器(5)に並んで位置し、ここで、それぞれの高さ(h)を備えた所定の数の用量設定エレメント(3.1〜3.n)が、所定の順に貯蔵スタック(4)内に配置される、請求項10〜16のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス。
用量設定エレメント(3.1〜3.n)の1つをスタック位置(I)から初期の位置(II)に移動させるため、投与レバー(10)が、レバーアイドル位置(VII)及びレバー投与位置(VIII)間で可動である請求項10〜17のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、可変の投与体積(dose volumes)及び/又は可変の投与回数、並びに用量設定エレメントの容易で改良された滑りを可能にする多くの用量設定エレメントを有する簡単でコンパクトな用量設定機構の解決策を提供することである。
【0007】
本発明の更なる目的は、可変の投与体積及び/又は可変の投与回数、並びに用量設定エレメントの容易な滑りを可能にする簡単でコンパクトな用量設定機構を有するコンパクトな薬物送達デバイスを提供することである。
【0008】
本発明の第一の態様によると、上記の目的は、薬物送達デバイス用の用量設定機構を提供することで達成され、ここで、用量設定機構は、多くの別個の用量設定エレメントを含み、ここで、投与体積及び/又は投与回数は、それぞれの用量設定エレメントの少なくとも1つを、スタック位置から初期の位置までの移動させることにより設定され、ここで薬剤の投与体積は、少なくとも1つの投与設定エレメントを初期の位置から投薬位置(dispense position)へ移動させることにより適用され、そして、ここで、用量設定エレメントの初期の位置から投薬位置への投与設定エレメントの移動は、少なくとも初期の位置における高さで制限され、ここで、各用量設定エレメントは、少なくとも1つの表面側に複数の張出し(bulge)を包含し、そしてここで、各用量設定エレメントの高さは、投与設定エレメントの厚みと張出しの高さの合計値に等しい。
【0009】
提案された用量設定または計量機構の利点は、それぞれの個々の投与体積は、用量設定エレメントの1つの寸法よってのみ制御されることであり−各用量設定エレメントの高さの合計は、個々の用量設定エレメントの厚みと張出し高さの合計に等しい。従って、その様な投与設定機構は、非常に簡単な方法で、単一の薬剤送達デリバリーにおける個々の可変投与体積で、可変投与回数の設定が可能となる。異なった投与体積及び/又は投与回数は、単に、高さを変えることにより、とりわけ、貯蔵スタック中の用量設定エレメントの厚み及び/又は用量設定エレメントの数を変えることにより修正することができる。更に、各投与体積の高精度が可能となるように、高さ寸法の非常に僅かな公差に基づいて注入の失敗は非常に少なくなる。別の実施態様において、各用量設定エレメントはボールとして形成される。球の直径は、用量設定エレメントの高さである。
【0010】
本発明の更なる利点は、用量設定エレメントが側面に押し込まれ、そして、反りが許容範囲である場合、少なくとも1つの表面側での、例えば、個々の用量設定エレメントの底面側での張出しは摩擦を減少させる。好ましい実施態様においては、用量設定エレメントは、非常に低い(例:<1mm、約0.4mm)高さの少なくとも3種の張出しを含む。張出しの高さは、一般的に用量設定エレメントの厚みの割には小さい。好ましくは、張出しの高さは用量設定エレメントの厚みより小さい。用量設定エレメントの滑り又は導入を容易にするため、張出しは半球状の形状である。更に、用量設定エレメントの反対側の端は球状及び/又は先細になっており、用量設定エレメントの滑りを容易にする。
【0011】
本発明の1つの実施態様において、初期の位置に位置するそれぞれの用量設定エレメントの高さは、1つの用量に対して適用される行程を規定する。換言すれば、全ての位置を合わされた用量設定エレメントの合計高さは、全ての用量の適用される合計走行に対応する。
【0012】
従って、各用量設定エレメントの個々の高さは、送達される薬剤の個々の単一の投与体積を規定する。合計投与体積は、初期の位置に位置する全ての用量設定エレメントの合計高さで画成される。
【0013】
更なる実施態様において、スタック位置に位置するそれぞれの用量設定エレメントの数は、別々に送達される投与回数を画成する。例えば、用量設定機構は、投与体積が用量設定エレメントの高さで画成される、注入の様式(regime)、送達の様式、又は滴定の様式を自動的に送達することができる。
【0014】
別の実施態様において、用量設定エレメントは、別々に送達される薬剤の同じ又は異なった投与体積を画成するために、同じ又は異なった高さを有する。用量設定エレメントのその様な構造及び配置は、例えば、1週間当たり、又は1日当たりの、増加した投与体積の設定、又は数回、例えば7回、の固定された、投与回数の設定、又は増加した、又は減少した投与体積の設定を可能にする。更なる利点は、その様な用量設定機構は、高精度の設定投与体積の送達を提供することができ、そして、用量は、異なった投与体積又は量を、コンパクトで信頼性のある、そして反復性のあるデザインで、0.1ml、0,2ml、0.4ml、2.8mlなどの増分で設定することができる。
【0015】
好ましい実施態様において、それぞれの用量設定エレメントは、少なくとも1面側に複数の張出しを有するディスクである。用量設定エレメントのその様な構造は、各用量の精度を制御する小さな公差スタック(tolerance stack)を含む。ディスクは、収縮、反り、でこぼこの表面などを最小化するように設計することによって限界高さ又は厚み寸法の正確な射出成形を容易にするような方法で設計することができる。従って、ディスクは、成形部品として、例えば、射出成形部品として製造される。この方法において、高さ寸法上の公差、即ち、送達用量上の公差は、非常に小さくなるであろう。
【0016】
また、本発明の用途に依存して、それぞれの用量設定エレメントは、初期の位置を経由して投薬位置からスタック位置まで、及び/又は、初期の位置からスタック位置まで後方に移動可能であり得る。これにより、用量設定機構の再使用及び/又は不正確に設定された用量設定エレメントの補正を可能にする。用量設定機構の再使用は、例えば、針付き又は針無しデバイス、自己注射器又は手動注入器、吸入器、例えば、鼻腔、口腔スプレー吸入器の様な薬物送達デバイスにおいて、用量設定機構の活用に依存する。
【0017】
本発明の他の主な態様によると、
−先ノクレームのいずれか1項に記載の用量設定機構;
−薬剤の合計容量で予め充填された固定薬物容器;
−容器の後部端上に位置し、そしてピストン投入位置とピストン送達位置の間で可動の可動のピストンロッドと往復動ピストン;
−ピストンが投入位置に位置する間に、容量設定機構の投与設定エレメントの少なくとも1つをスタック位置から容器後部上の初期の位置まで移動させる移動手段。ここで、各用量設定エレメントは、少なくとも1つの表面側に複数の張出しを含み、ここで、各用量設定エレメントの高さは、用量設定エレメントの厚みと張出しの高さの合計に等しい
を含む、製品を投与するための薬物送達デバイスによって特徴付けられる。
【0018】
利点は、薬物送達デバイスが容易に保持され、そして皮膚に適用され、注入が容易に準備され得ることである。使用者が高精度で、投与回数を設定することができるということで、又は多数の異なった投与体積及び/又は投与回数を、重ねられた(stacked)用量設定エレメントの数及び/又は重ねられた用量設定エレメントの高さを変えることによって非常に簡単な方法で薬物送達デバイスを製造することができるということで、本薬物送達デバイスは使用するのが簡単である。更に、使用者は投与体積及び/又は投与回数を、或る治療計画で要求される通りに非常に簡単な方法で変更することができる。本発明の使用法に依存して、個々の投与体積は、個々の用量設定エレメントの高さ及び重ねられた用量設定エレメントの配列によって画成される。用量又は用量配列はデバイスの製造中に画成され、固定される。他方、用量又は用量配列は、スタックにおいて、用量設定エレメントを重ねることにより手動で変更することができる。
【0019】
可能な実施態様において、用量設定エレメントの外のり寸法は、容器の内部寸法に対応する。これは送達において高精度に対処することを可能にする、ここで、用量設定エレメントは、ピストンが容器の後部で係合するまで、容器の内壁に沿って容器の内側を移動するからである。
【0020】
容器の後部でピストンを係合させるために、ピストンの外のり寸法は容器の内のり寸法より大きい。更に、用量設定エレメントの少なくとも1つは、ピストンと容器の開放後部をシールする栓の間の初期の位置に位置する。薬物送達のためには、ピストンは、ピストンと初期の位置における用量設定エレメントが互いに接近するように、ピストン投入位置からピストンの初期の位置まで移動させられる。その後、ピストンと用量設定エレメントは、ピストンが容器の後部に係合するまで、初期の位置から送達位置まで一緒に移動させられる。ピストンの送達移動のその様な制限が、間違った用量の送達リスクが小さいことを確かにする。
【0021】
更なる実施態様において、初期の位置に位置する全ての用量設定エレメントは、それらの数及び高さによって、固定された合計投与体積を設定する。より詳しくは、スタック位置に位置する各々の用量設定エレメントは、それらの個々の高さによって、個々のサブ投与体積を設定し、又はそれらの同じ高さによって同じサブ投与体積を設定する。これらのことより、異なった投与体積及び/又は投与回数の間で、相対的に迅速で容易に交換することができる単一のデバイスアセンブリラインを可能にする。
【0022】
簡単な薬物送達デバイスアセンブリは、容器と並んで位置する貯蔵スタックを含み、ここで、予め設定された数の用量設定エレメントを貯蔵スタック内に配置される。従って、デバイスアセンブリは、各送達プロセス用の所定の投与体積で、及び/又は、用量設定エレメントの予め決定された順番での所定の投与回数で、同じ投与体積及び/又は異なった投与体積で予め充填することができる。
【0023】
更なる実施態様において、貯蔵スタックは、容器と並んで位置し、ここで、個々の高さを有する用量設定エレメントは、貯蔵スタック内に、所定の順番で配置される。これらにより、投与設定エレメントの高さ及び/又は投与回数を変更させることによって各送達プロセス用の投与体積を修正することを可能にする。
【0024】
用量設定エレメントをそれらの初期の位置に対して設定するために、投与レバーは、レバーのアイドル位置と用量設定エレメントの1つをスタック位置から初期の位置に移動させるためのレバー装填位置間で移動可能である。
【0025】
用量設定機構は、カウンターディスプレーに結合した用量カウンターで容易に補完することができる。例えば、用量設定エレメントの1つの初期の位置への各々の滑りが数えられる。カンターディスプレーにおいて、送達される残余の用量の数、又は既に送達された用量の数が示される。カウンターディスプレーは、残りの用量の小さい数を、警告として、別の色、例えば、赤色で示してもよい。
【0026】
要約すると、本発明の利点は、用量設定機構及びその様な用量設定機構を有する薬物送達デバイスは、弱い患者及び子供に対してですら、使用するのが非常に容易で簡単であることである。薬物送達デバイス中の用量設定機構は、固定された投与体積で投与回数を設定し、設定された投与体積の個々の送達において高精度を示しながら、最少の操作工程を要求するのみである。薬物送達デバイスは、好ましくは、丸い小石形状のデバイスであり、そして、機構が全て整列している通常のペン構造から離れる。
【0027】
本発明は、これから、 図面を参照して、更に、詳細に説明されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は薬物送達機構2に対する用量設定機構1を開示している。
【0030】
用量設定機構1は、別個の用量設定エレメント数3.1〜3.nを含む。用量設定エレメント3.1〜3.nは、円筒状の箱又は瓶内で、開放された先端を有する貯蔵スタック4内に重ねられている。
【0031】
用量設定エレメント3.1〜3.nは、予め決められた高さhを有するディスクである。
図1において、全てのディスクは同じ高さhを有する。スタック4に位置する用量設定エレメント3.1〜3.nのそれぞれは個々のサブ投与体積をそれらの高さhで設定するか、又はそれらの同じ高さhで等しいサブ投与体積を設定する。ディスクは硬い物質、例えば、プラスチック、ガラス又は金属で作られ、それは収縮、反り及びでこぼこの表面を保護する。容易に滑らせるため、用量設定エレメント3.1〜3.nは、複数の張出しB1〜Bmを少なくとも1つの表面側S1、例えば、底表面側に含む。好ましい実施態様において、用量設定エレメント3.1〜3.nは、それぞれ、低摩擦で滑らせるために、3つの張出しB1〜B3を底面側に有する。張出しB1〜Bmは、また、用量設定エレメント3.1〜3.n間の厚みDが湿気によって変えられるのを防ぐ。
【0032】
薬物送達機構2、例えば、注入器、注射器、又は吸入器は、薬剤Mの全容量で予め充填された薬物容器5、ピストンロッド7を有するピストン6を含む。ピストン6は、手動で又は自動で駆動することができる。ドライバーは明示されていない。ピストン6は容器5の後部端上に位置する。この後部端は開放されそして、栓8でシールされる。更に、ピストン6が容器5の後部端と係合する様に、ピストン6の外のり寸法は容器5の内のり寸法より大きい。用量設定エレメント3.1〜3.nを有するスタック4は、容器5に平行して配置される。
【0033】
薬剤Mの送達のため、容器5は後部の反対側(いわゆる先端部)に開口部9を含む。開口部9は異なった寸法で作られ、薬物送達機構2の種類及び/又は送達される薬剤Mの種類に依存して設計される。開口部9は、針及び/又は針アダプターが先端部に配置することができる方法で設計することができる。或いは、開口部9は針無し薬物送達デバイス2(
図1で示す通り)を実現するためにちょっとだけ開放されている。更に、重ねられた用量設定エレメント3.1〜3.nは、並進的に、スタック位置1から、ピストン6と栓8の間の容器5の後部端上にある初期の位置IIの左側まで移動し得る。用量設定エレメント3.1〜3.nを、別々に移動させるこの目的のため、移動手段は、
図1には示されていないが、配置されている。
【0034】
個々の投与回数を設定するために、用量設定エレメント3.1〜3.nの予め決められた数が、薬物送達デバイス2の製造中、及び/又は、薬物送達の前、例えば、注射又は吸入の前に、スタック4において提供することができる。各投与に対する個々の投与体積を設定するために、用量設定エレメント3.1〜3.nは、異なった高さhを有する。
図1の実施態様によると、各投与(例えば、5投与)の投与体積は、用量設定エレメント3.1〜3.nが同じ高さhを有する場合と同様である。各々の用量設定エレメント3.1〜3.nの高さhは、個々の用量設定エレメント3.1〜3.nの厚みD及び張出しB1の合計に等しい。(
図8参照)
【0035】
薬物送達プロセスの可能な実施態様は、
図2〜
図5で連続して記載されている。
図2においては、1つの用量設定エレメント3.1のみ、初期の位置IIで設定されている。初期の位置IIにおいて用量設定エレメント3.1装填するために、ピストン5は、ドライバー(図示されていない)によりピストン投入位置IVに並進移動し得る。用量設定エレメント3.1は、ピストン6がピストン投入位置IVに位置する間に、スタック位置1から初期の位置IIまで移動する。所定の数の用量設定エレメント3.1〜3.nが初期の位置IIに移動した後、ピストン6はピストン初期の位置Vの方に移動し、ここで、ピストン5は、その初期の位置IIで最後の用量設定エレメント3.1〜3.nと係合する。用量設定エレメント3.1〜3.nの全てが初期の位置IIに位置している場合では、それらは、数及びそれらの高さhにより固定された全投与体積を設定する。
【0036】
薬物送達中、初期の位置IIにおける用量送達エレメント3.1〜3.n(
図2〜3においては、1つの用量設定エレメント3.1のみ)は、並進して、
図3で示された送達位置IIIにおける容器5の方に、ピストン投入位置IVからピストン送達位置VIへピストン6を下方方向に駆動させることにより移動する。用量送達エレメント3.1〜3.nの外のり寸法は容器5の内のり寸法に対応しているので、初期の位置IIにおける用量送達エレメント3.1〜3.nは、薬剤送達の終わりの送達位置IIIにおける容器5の内側に移動し得る。ピストン6の移動は、個々の高さh、及び初期の位置IIにおけるそれぞれの用量送達エレメント3.1〜3.nの数により、そして容器5の後部端と係合することにより制限される(
図3に示す通り)。換言すれば、初期の位置IIにおける全ての用量送達エレメント3.1〜3.nの合計高さは、適用する走行長に対応する。
【0037】
図4は、用量送達エレメント3.2をスタック位置Iから初期の位置IIを経由して送達位置IIIへ移動することによって第二の用量を設定することを示している。
【0038】
図5は全投与体積の送達の終了、及び送達位置IIIにおける5つの設置された用量設定エレメント3.1〜3.5による予め設定された5つの投与回数を示す。送達の終了時に、ピストン6はピストン送達位置VIにおける容器5の後部端と係合する(
図3又は5参照)。
【0039】
図6、7は、異なった投与体積及び/又は薬物送達のための個々の投与体積を有する個々の投与回数を有する薬物送達デバイス2を有する本発明の異なった実施態様を示す。
【0040】
図6において、それぞれの高さh、特に、スタック位置Iにおいて示された6つの用量設定エレメント3.1〜3.nの厚みDは、6つの減少していく投与を有する薬物送達を提供させるために、底部から上部にかけて増加していく。
【0041】
図7において、それぞれの高さh、特に、スタック位置Iにおいて示された3つの用量設定エレメント3.1〜3.nの厚みDは、3つの増加していく投与を有する薬物送達を提供させるために、底部から上部にかけて減少していく。張出しB1は、全て同じ高さh1を示す。
【0042】
個々の投与体積及び/又は投与回数を有する他の実施態様も可能である。
【0043】
図8は、所定の厚みD及び底表面側S1上の3つの張出しB1〜Bmを有する1つの用量設定エレメント3.nの可能な実施態様の1つを示す。用量設定エレメント3.nを容易に滑らせるため、反対側は丸く、及び/又は、先細になっている。用量設定エレメント3.nの高さhは、厚みD及び張出しの高さh1の合計と等しく、ここで、全ての張出しB1〜Bmの張出し高さh1は等しい。隆起又は張出しB1〜Bmを加えることにより、製造中、用量設定エレメント3.1〜3.nの全高さ寸法をより容易に制御できる、何故ならば、張出しB1〜Bmは、製造中及び滑り中のディスク又は用量設定エレメント3.1〜3.nのいかなる起こり得る反りをも緩和するのを助けるからである。張出しB1〜Bmの更なる利点は、それが用量設定エレメント3.1〜3.nの間の摩擦/静摩擦を最小化し、そして、ディスク装填機構の操作をより容易にすることである。
【0044】
下記に、薬物送達デバイス2の可能な実施態様における本発明に記載の用量設定機構1の機構原理及びその使用をより詳細に記載する。
【0045】
本明細書に記載された発明は、投与される薬剤Mの用量を投与させるために、薬物容器5に沿ってピストン6を前進させるための、計量機構又は用量設定機構1である。用量設定機構1は、容器本体、並びにピストン6及び/又は薬剤Mが容器5から投与されるにつれて本体に沿って動く栓8から成る薬物容器5と一緒に使うことを意図している。これは、多くの注入デバイス並びに予め充填された注射器において一般的である様な、予め充填されたカートリッジを含む
【0046】
提案された機構の操作原理は、用量設定機構1は、用量設定エレメント3.1〜3.nの貯蔵スタック4、また「ディスク」とも呼ばれている、を含むことである。ディスクは、実際、薬物容器5に合ういかなる形状であってもよい。円筒状の容器5及び/又は貯蔵スタック4は、円形ディスクで最もうまく提供される。ディスクの高さhは、薬物容器5、及び/又は所望の「固定」用量を投与することが要求される栓8の変位量(displacement)に等しいように設計されている。或いは、ディスクは高さhを変えても良く、特に、用量は用量設定デバイス1から取られるにつれて、一連の異なった所定の用量、例えば、徐々に増加する用量を送達するために、厚みDを変えても良い。
【0047】
用量設定デバイス1は、薬物容器5の開放端(非投与側)の上部に直接位置する往復動ピストン6を含む。始めに、このピストン6は薬物容器5の栓8と接触する(
図1、6又は7参照)。用量を準備するため、ピストン6は、先ず、栓8からピストン投入位置IVまで移動しなければならない。ディスク(=用量設定エレメント3.1〜3.n)は、その後、貯蔵スタック4から薬物容器4/栓8とピストン6の間の初期の位置IIへ移動される(
図2又は4参照)。ピストン6が戻り、又はその元の「投与」位置(=ピストン送達位置VI)へ動く時、薬物容器栓8が、移動した用量設定エレメント3.1の高さhに等しい距離だけ移動される(
図3又は5参照)。用量設定エレメント3.1〜3.nの貯蔵スタック4は 次の用量設定エレメント3.1〜3.nが移動する準備ができるように上方へ動かされる。これは、貯蔵スタック4の底、又はネジ山付きデバイス、又はラチェットピストンデバイスに作用するスプリングで達成されよう。注入は、機械的皮膚センサー、例えば、ニードルスリーブ17で始動し得る(
図9参照)。
【0048】
第二の用量を準備するために、ピストン6は、再び、ピストン投入位置IVへ動かされ、そして第二の用量設定エレメント3.2は、貯蔵スタック4からピストン6と予め移動したディスク又は用量設定デバイス3.1の間の初期の位置IIへ移動される(
図4参照)。
【0049】
ピストン6が戻り、又はピストン送達位置VIへ動かされた時、次いで、第二の用量が投与される。その後に続く用量は、同様にして投与される。一旦、用量設定エレメント3.1〜3.nが貯蔵スタック4から送達位置IIIへ移動されると、更なる用量設定エレメント3.1〜3.nがスタックの上部に加わるので、それらは徐々に下方の薬物容器5へ動く第二のスタックを形成するであろう。全ての用量が送達されたとき、全ての用量設定エレメント3.1〜3.nは、貯蔵スタック4から薬物容器5へ移動されるであろう(
図5参照)。
【0050】
要約すると、用量設定機構1を組み入れたデバイス設計概念が提案された(また、ディスク計量機構とも呼ばれている)。基本的概念の設計は、
図9、10において、例えば、機構の基本的構成部品、提案された外形デザインの全サイズ及び形状、並びに提案されたユーザーインタフェイスを図示している。しかし、サブ機構、例えば、ディスク移動機構及び起動機構の詳細なデザインは示されず、抽象的な方法で示されている。例えば、起動機構はニードルカバー17に接続しうる。ニードルカバー17をデバイスに押し込むと、注射を放出することができる。
【0051】
図9において、製品を投与するための薬物送達デバイス2の可能な実施態様が示される。薬物送達デバイス2は、薬物容器5に沿って配置された用量設定機構1を含む。薬物容器5及び用量設定機構1は、ハウジング15内で固定し得る。用量設定エレメント3.1〜3.nを個別に移動させるため、移動手段は、容器5の後部の上、及び貯蔵スタック4に沿って配置される。移動手段は、可能な実施態様において、容器5の後部上に配置されたスライドレール12及び貯蔵スタック4に沿って配置された投与レバー10を含む。移動手段は、また、ディスク負荷機構とも呼ばれているが、例えば、手先の器用で無い患者にとって快適な側面作動ボタンとして設計された投与レバーにより操作される。患者は、指、親指、手全体を用いたこの動作を行うか、又はテーブル若しくは壁などの固定された表面に対してデバイスへの押し込む等の選択ができる。
【0052】
既に移動し、そして初期の位置に配置された用量設定エレメント3.1〜3.nを固定するために、スライドレール12は、ハウジング15の内壁上で溝13に、それぞれ、留め金をした(latching)トング12.1を含む。
【0053】
投与レバー10は
図10に詳細が示されている。1つの実施態様のみ示されているが、その他の起動の実施態様も可能である。
【0054】
用量設定エレメント3.1〜3.nをそれらの初期の位置IIへ設定するため、投与レバー10は、レバーのアイドル位置VIIと、用量設定エレメント3.1〜3.nの1つをスタック位置Iからそれらの初期の位置IIへ移動するためのレバー投入位置VIIIの間で、移動可能であり、例えば、旋回する。投与レバー10は、1つの可能な実施態様において、ハウジング15の外側に部分的に配置されたピボットプッシュボタンとして形成され、ハウジング15内で旋回している。
【0055】
次の用量設定エレメント3.1〜3.nを設定するために、異なった設定エレメントが提供され得る。
図9に記載の実施態様において、貯蔵スタック4は、縦方向のスロット11を有し、ここで、アーム11.1は移動可能である。アーム11.1を所定の位置に固定するために、ハウジング15の内壁は多くの対応する溝13を有している。溝13は異なってもよく、そしてアーム11.1及び/又はトング12.1に対応している。アーム11.1は、その端が、ハウジング15から突き出す様に配置されている。アーム11.1は、異なった方法で、例えば、スクリューエレメント18、又はスプリングにより、次の位置へスライドし得る。或いは、用量設定機構1は、典型的にはネジ山付きデバイス、及び/又は、ラチェットピストンデバイスである。ネジ山付きデバイスは、典型的には、数種の構成部品を通して駆動する単一用量の移動用の公差チェインを有する。
【0056】
用量設定エレメント3.1〜3.nが初期の位置IIへ移動されるとき、ピストン6は、そのピストン投入位置IVへ動く。ピストン6は、容器5の後部の上に位置する往復動ピストンであり、投与プロセス中のピストンの初期の位置V及びピストン投入位置IV間で、そして、薬物送達中のピストンの初期の位置V及びピストン送達位置VI間で移動可能である。薬物送達の前に、ピストン6をその初期の位置Vで固定するため、作動エレメント14、例えば、スプリングは移動手段12の上に配置されている。
【0057】
容器5は薬剤Mの全容量で予め充填されてもよく、又は予め充填された注射器であってもよい。初期の位置IIに位置する全ての用量設定エレメント3.1〜3.nは、単一用量に対して、その回数及び高さhによって、固定された全投与体積を設定する。貯蔵スタック4における全ての用量設定エレメント3.1〜3.nは、送達される全ての用量に対しての合計回数及び合計高さによって、固定された全投与体積を設定する。スタック位置Iに位置する各々の用量設定エレメント3.1〜3.nは、個々のサブ投与体積をそれらの個々の高さhにより設定し、又は等しいサブ投与体積を同じ高さhによって設定する。
【0058】
記載された用量設定機構1は、固定用量注入デバイスとして設計された薬物送達デバイス2内で使用することができ、手動で、若しくは、自動で、自己注射器(即ち、送達ピストンは、貯蔵エネルギーのある種の形態の放出にで動き、例えば、エネルギーは、投与レバー10をハイジング15内のスプリング(示されていないが)に対して投与レバー10を押し込みむことにより提供される)として操作することができる。薬物送達デバイス2は、通常のニードル16、及びニードルシールド17(
図8、9参照)、又はニードルレス(
図1〜
図7参照)を有するシステムとして使用することができる。
【0059】
用量設定機構1は、ディスク機構の再設定の複雑な性質のため、再使用可能なデバイスよりむしろ使い捨てデバイスに最もよく合致しているようである(薬物容器及び/又は用量設定機構は除去又は代替できる)。注射により送達される多数の薬物治療があり、それらは投与すべき多数の固定用量を必要とする(インスリンで処置される糖尿病で必要とされる使用者選択の可変用量よりはむしろ)。これらの処置としては、片頭痛、糖尿病に対するGLP−1、抗凝結剤、ホルモン治療、又は他の非医学的使用例、例えば、接着剤注入などが挙げられる。
【0060】
このディスク計量機構及び/又は用量設定機構1は、また、可変の(患者選択不可)、固定された用量を送達するために使用することができる。これらの用量は、薬物送達デバイス2の仕様及び製造の中に予め設定されても良い。例えば、用量設定機構1は、自動的に、「固定された」用量が、徐々に、薬物送達デバイス2の全耐用期間を通して増加していく滴定の様式を送達できる。用量設定機構1は、また、1週間の治療に対して7つの固定用量を送達してもよく、その後、次週に対する第二のより大きな固定された用量の7つの注入がそれに続く。これは単に、適切な厚み又は高さhのディスク又は用量設定エレメント3.1〜3.nを選択し、そして、それらを貯蔵スタック4の中へ正しい順番で投与することにより達成することができる。
【0061】
射出成形の公差は、用量設定エレメント3.1〜3.nの「ディスク接触」表面の1つに隆起を加えることにより、更に改良することが可能となる。その場合、限界寸法は、全ディスクの厚み又は張出しの高さを含めた高さになる。3つの張出しは、それがディスク又は用量設定エレメント3.1〜3.nの安定したスタックを与える張出しの最小の数であるので、恐らく最適の数である。
【0062】
薬物送達デバイスの更なる利点は、用量計量機構又は用量設定機構1からプラットフォーム状デバイスを作ることが非常に容易であることである。
【0063】
異なった投与体積、又はサイズ、及び/又は、投与回数は、単に高さhを変更することにより、特に貯蔵スタック4における用量設定エレメント3.1〜3.nの厚みDを変更することにより修正することができる。例えば、もし薬物送達デバイス2が、2.8mlの薬剤Mを42mmの栓の移動に亘って送達が可能な薬剤容器5を収容するなら、その時は用量設定機構1が、ディスク、又は1.5mm(28投与×0.1ml)、3mm(14投与×0.2ml)、6mm(7投与×0.4ml)などの容量設定エレメント3.1〜3.nと一緒に作動するよう設計することは可能であろう。従って、上記の用量設定機構1を有する単一薬物送達デバイス2が、比較的迅速に/容易に、異なった投与体積/サイズ、及び/又は、投与回数の間で容易に切り替えることができるであろう。
【0064】
追加の実施態様(示されていないが)において、用量設定機構は、カウンターディスプレーと結合した用量カウンターで補足し得る。用量カウンターは、例えば、投与設定エレメントの1つを初期の位置への各スライドをカウントする。カウンターディスプレーにおいて、送達される残余の用量の回数、又は既に送達された用量の回数が示される。好ましくは、カウンターディスプレーは残余の用量の小さい数を別の色、例えば、忘備として赤色で示し得る。
【0065】
多くの既存の注入デバイスはペン型の形状を取る。これは、一次包装、或いは、カートリッジ又は予め充填された注射器は、注射器の形状を元にしている事実によるからである。同様に、注入デバイスのピストンロッドは、一次包装自身と同じ長さである傾向があり、そして一般的には、デバイスの延長されたペン型に加える一次包装と1列に置かれる必要がある。このことは、作動ボタンは、しばしば、デバイスの針無し末端にあるので、使用者に問題を引き起こすかもしれず、そして、操作するのに親指のかなりの延長を必要とする可能性がある。これは、手先の器用さが低下した患者、例えば、大多数の糖尿病患者又は高齢患者にとって問題となり得る。提案された機構は、固定ピストンロッドに特徴は無く、ディスクの貯蔵スタック4が一次包装物、例えば、容器5に沿って組み立てることができる。従って、デバイスの全体形状はペン型形状に拘わるものではない。この機構は、患者の手に快適に適合するように、内側を大幅に小さくしたデバイスに合致する様設計されている。
【0066】
図11から13で示されている代替の実施態様において、用量設定機構1は主チェンバー25及び貯蔵スタック4を含み、それらは、Tピースとして形成し得る分岐接続体によって接続されている。主チェンバー25は、円筒形状であり、そして遠位開放端及び近位開放口を有する。貯蔵スタック4は円筒形状である。貯蔵スタック4は、多数の用量設定エレメント3.1、3.2、3.3を保持するのに好適である。少なくとも、部分的には、主チェンバー25の遠位部分に位置するピストンロッド7、及び、少なくとも、部分的には、主チェンバー25の近位部分に位置するボタン26は、主チェンバー25の縦軸である主軸に沿って移動可能である。ピストンロッド7は、薬剤が送達されるように、薬剤Mを含む容器5の内壁に沿って栓8を押し込む様に構成されている。
【0067】
用量設定エレメント3.1、3.2、3.3はボールとして形成されている。この実施態様において、第一、第二、及び第三の用量設定エレメント3.1、3.2、3.3が示されている。
図11で示されている第一の位置において、第一の用量設定エレメント3.1は、ボタン26とピストンロッド7の間の主チェンバー25内に位置している。他の用量設定エレメント3.2、3.3は、貯蔵スタック4内に位置している。貯蔵スタック4の端に位置し得るスプリング27は、用量設定エレメント3.1、3.2、3.3に対してスプリング力の影響を与え、スプリング力の方向は主チェンバー25の主軸に対して直交している。
【0068】
用量設定中、ボタン26は、
図12で示す通り、主チェンバー25に対して近位方向に動かされる。スプリング力は第二の用量設定エレメント3.2を主チェンバー25の方へ押し込む。用量設定エレメント3.1、3.2、3.3が、主チェンバー25の主軸に対して直交する軸と完全に整列することを避けるために、小さな力が、主チェンバー25内に位置する第一の用量設定エレメント3.1に影響を与えてもよい。ピストンロッド7の遠位端に位置するスプリング28はこの力を起こせる。スプリング28は、ピストンロッド7の遠位端及び栓8(
図12には明示されていないが)、又はピストンロッド7の遠位端及びハウジングの一部(
図12には明示されていないが)の間に位置する。第二の用量設定エレメント3.2が、第一の用量設定エレメント3.1を近位方向へ押し付けるように、ピストンロッド7及び第一の用量設定エレメント3.1を、第一、第二の用量設定エレメント3.1、3.2が整列しないように確認するための若干の移動を起こさせる力を付与する。第二の用量設定エレメント3.2は、ボタン26の近位移動により残された空間へ動く。本用量は、第一及び第二の用量設定エレメント3.1、3.2が主チェンバー25内に位置するときに設定する。スプリング27、28で影響を受けた力は、上記の効果を達成するためバランスを取り得る。主チェンバー25は、主チェンバー25へ移動した用量設定エレメントの中心が、主チェンバー25の主軸に対して若干ずれていることを確かにするための形状であってもよい。放射状の力は、この用量設定エレメントが貯蔵スタック4へ戻ることを維持し得る。
【0069】
ボタン26が遠位方向へ移動するときに用量が送達され、それにより、薬剤が送達されるように、第一用量設定エレメント3.1、第二用量設定エレメント3.2、及びピストンロッド7を、遠位方向へ押し付けて、栓8の遠位移動を起こさせる。
図13は送達後の状態を図示している。更なる用量は、第三の用量設定エレメント3.3が、主チェンバー25へ移動するように、ボタン26を近位方向へ動かすことによって設定し得る。実施態様は、3つより多い用量を設定し、送達するように構成するように、代替の実施態様は3つより多い用量設定エレメントを有し得る。用量の設定及び送達の精度は、用量設定エレメントとして作用する球の高精度及び弾性の欠如故に、従来の薬物送達デバイスと比較して改良し得る。
【0070】
薬物送達デバイスは、用量設定エレメントを貯蔵スタック4へ戻すことにより再設定される。再設定機構(
図13には図示されていないが)が提供され、ここで、再設定機構は、用量設定エレメント3.2が貯蔵スタック4の方へ移動するように、主チェンバー25の主軸からずれた貯蔵スタック4に隣接して位置する用量設定エレメント3.2を押し込むように構成されている。用量設定エレメントが、第一の3.1を除いて、貯蔵スタック4の方へ動かされるとき、ピストンロッド7は近位方向へ動く。再設定機構は、主チェンバー25内へ放射状に動くように構成されたアーム、又はレバーとして具現化でき、それにより、用量設定エレメント3.2を貯蔵スタック4へ押し込む。
【0071】
図14は、延長可能な主チェンバー25を有する用量設定機構の実施態様である。用量設定エレメントのスタックの折り畳み可能な特性は、ピストンロッド7が、延長可能な主チェンバー25に沿って走行することを可能にする。主チェンバー25は、テレスコープエレメント41、42を含有する。第一の円筒形状テレスコープ41エレメントは、初期状態で第二の円筒形状テレスコープエレメント42内に設置してもよい(
図14では示されていないが)。第二の円筒形状テレスコープエレメント42は、主チェンバー25の長さが増加するように延長するように構成されている。主チェンバー25は、主チェンバー25の方へ動かされる用量設定エレメント3.1...3.nの数の増加に伴って延長する。かくして、ピストンロッドの走行は、例えば、デバイスの長さの2倍である。
【0072】
機構は多くの異なった薬物送達デバイスに活用できるかもしれないが、正確な容量の液体薬剤の投与を必要とするデバイスにおいて最も有用であろう。これは、針、又は針無しデバイス、及び、鼻腔、口腔スプレーを含む吸入器などの注入器を含むであろう。実施態様の特徴は組み合わせてもよいことが言及されるであろう。