【実施例1】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
図1(A)は圧電駆動素子の積層構造を示す断面図,(B)及び(C)は圧電駆動素子が屈曲した状態を示す断面図,(D)及び(E)は圧電駆動素子を支持する枠の一例を示す図である。
図2は、本発明の4〜8層積層のバイモルフ型の圧電駆動素子の電極層の構成を示す断面図であり、(A-1)〜(A-3)は分極操作時の電極構成を示し、(B-1)〜(B-3)は駆動時の電極構成を示す。
図3は、本発明の圧電駆動素子の内部電極パターンを示す平面図である。
図4は、内部電極層の厚みを考慮した場合の圧電駆動素子の厚みの定義を示す説明図である。本実施例の圧電発音体10は、例えば、携帯電話やスマートフォンに代表される携帯通信端末のスピーカとして利用されるものである。
【0014】
図1(A)及び(D)に示すように、本実施例の圧電発音体に用いられる圧電駆動素子10は、バイモルフ型であって、全体が略長方形である。前記圧電駆動素子10は、6層の圧電体層20,22,24,30,32,34と、これらの圧電体層の間に設けられた電極層40,42,44,52,54と、積層体表面に形成された電極層46,56により構成されている。本実施例は、厚み方向の中央部の電極層40を境に、上下に3層ずつの圧電体層が形成されている。圧電体層20,22,24により、上側の積層圧電体12が形成され、圧電体層30,32,34により、下側の積層圧電体14が形成されている。
【0015】
本実施例では、圧電駆動素子10の変位が最も少ない部分(横方向への伸縮が最も少ない部分)の圧電体層20,30の厚みが最も厚く形成されている。そして、圧電体層20,22,24の順に厚みが薄くなり、圧電体層30,32,34の順に厚みが薄く形成されている。圧電体層20,30の厚みは同じであり、圧電体層22,32の厚みは同じであり、圧電体層24,34の厚みは同じである。すなわち、電極層40を対称面として上下対称な層構造及び厚みとなるように各圧電体層の厚みが設定されている。従って、本実施例のようにバイモルフ構造を採用する場合、圧電駆動素子を構成する圧電体層(変位に寄与する圧電体層)は、必ず4層以上の偶数層となる。なお、圧電体層同士の厚みの比率については、後に詳述する。
【0016】
前記圧電駆動素子10は、PZTなどの圧電体をシート成形し、電極を含むペーストをシートに印刷して積層・圧着後、所定の温度で焼成するという通常の手法を用いて作製することができる。素子の面方向の寸法に関しては特に規定はないが、通常の携帯機器に用いることを想定すると、直径20〜25mm程度の円形もしくは1辺が15〜20mm程度の長方形が好ましい。本実施例では、長方形としている。
図1(A)の例では、下から圧電体層34,電極層54,圧電体層32,電極層52,圧電体層30,電極層40,圧電体層20,電極層42,圧電体層22,電極層44,圧電体層24の順に積層される。最外層の電極層46,56は、内部の電極層と同じくペーストを印刷して積層体と同時に焼成してもよいし、積層体の焼成後にペーストを塗布して焼き付けてもよい。あるいは、蒸着やスパッタ,メッキ等の低温プロセスで形成してもよい。
【0017】
次に、このようにして形成した積層体の圧電体層20〜24,30〜34に、電極層40〜46,52〜56を利用して分極用の電圧を印加し、所定の分極が施される。例えば、
図2(A-2)に示す例では、電極層42と電極層46を正極用パターンとして側面電極62で接続し、電極層52と電極層56を負極用パターンとして側面電極64で接続する。また、電極層40,44,54はコモンパターンとして側面電極60で接続する。これら正極パターン,負極パターン,コモンパターンの一例が、
図3(A)〜(C)に示されている。なお、前記側面電極60,62,64は、例えば、積層体の側面にペーストを塗布する方法や、蒸着,スパッタ,メッキ等の低温プロセスを用いる方法などにより形成される。あるいは、外部側面で接続せずに、圧電体シートにホールを開けてペースト印刷時に電極層同士を接続するスルーホールを用いる方法など、従来から使用されている手法での接続が可能である。
【0018】
また、圧電駆動素子10を4層構造とする場合には、
図2(A-1)に示すように、電極層42を正極パターンとし、電極層52を負極パターンとする。また、電極層40,44,54はコモンパターンとして、側面電極60で接続する。圧電駆動素子10を8層構造とする場合には、
図2(A-3)に示すように、電極層42と電極層46を正極用パターンとして側面電極62で接続し、電極層52と電極層56を負極用パターンとして側面電極64で接続する。また、電極層40,44,48,54,58をコモンパターンとして、側面電極68で接続する。
【0019】
積層体の焼成,電極の形成後に分極を行う。分極電圧は、材料の抗電界以上の電圧をかけるが、その際、最も厚い層厚に合わせた電圧を加える必要がある。また、分極時に高温にして電圧を下げても良い。分極時には、
図2(A-1)〜(A-3)に示す通り、正極パターン,負極パターン,コモンパターンを用いて、正負の電圧と0Vとなるコモンの3極で分極を行う。この際、正負の電圧は同じである必要があり、また同時に加える必要がある。電圧が異なったり、同時に加えなかったりすると、素子が異常な変形を起こし、応力によるクラック発生の原因となる。分極終了後、
図2(B-1)〜(B-3)に示すように、正負の電極を接続し、一つの電極とする。
図2(B-1)に示す4層構造の例では、電極層42と52を側面電極66で接続する。
図2(B-2)に示す6層構造と
図2(B-3)に示す8層構造の例では、電極層42,46,52,56を側面電極50で接続する。
【0020】
そして、これら接続した電極とコモン電極に信号を入力することで、圧電駆動素子10の上半分と下半分で逆方向に伸縮し、結果として屈曲変位となる。
図1(A)の6層構造の例では、下側の積層圧電体14の圧電体層30,32,34の分極方向は、上側の積層圧電体12の圧電体層20,22,24の分極方向と逆となっている。一方、音声信号などの駆動電圧は、電極層42,46,52,56に印加され、他の電極層40,44,54はアースされている。このため、積層圧電体12の矢印FA方向の伸縮と、積層圧電体14の矢印FC方向の伸縮は互いに逆方向となる。すなわち、
図1(B)に示すように積層圧電体12が矢印FA方向に伸びたときは、積層圧電体14は矢印FC方向に縮む。逆に、
図1(C)に示すように積層圧電体12が矢印FA方向に縮んだときは積層圧電体14は矢印FC方向に伸びる。このため、全体として矢印FB方向に振動するようになる。
【0021】
前記圧電駆動素子10の全体の厚みは50〜200μmとする。これ以下の厚みでは十分な力が出ないため、空気や後述する支持板70の剛性に負けてしまい、十分に変位することができない。また、これ以上厚い場合は、圧電駆動素子10自体の剛性が高すぎるため、やはり十分に変位することができなくなる。
図1(A)の例では、圧電体層は6層であるが、4層以上の偶数層であればよく、
図2(A-1)及び(B-1)に示す4層構造としてもよいし、
図2(A-3)及び(B-3)に示す8層構造としてもよい。いずれにしても、厚み方向の中心(本実施例の場合は電極層40)を境に、上下が対称となるように積層する。
【0022】
複数の圧電体層の厚みの比は、屈曲変位を起こすと考えた場合、曲率半径から計算される各層の必要な伸縮量から、全層数を2n(nは自然数)層として計算すると、以下の数式1で表すことができる。
【数1】
【0023】
前記数式1を用いると、圧電体層の積層数が、
4層(n=2)の場合は、圧電体の厚み比は、下層から順に、
√2-1:1:1:√2-1
となる。
6層(n=3)の場合は、
√3-√2:√2-1:1:1:√2-1:√3-√2
となり、
8層(n=4)の場合は、
2-√3:√3-√2:√2-1:1:1:√2-1:√3-√2:2-√3
となる。そして、各層の厚みは、上記比率に対して±10%の誤差までが許容される。このような理想的な厚み比率を有する各層の厚みを合計したときの全層厚は、変位に寄与する圧電体層のうち、最も厚い圧電体層の厚みをt
dmostとし、変位に寄与する圧電体層の層数を2nとしたときに、
2×t
dmost×(√n)
の関係で示されることが見出されている。いいかえれば、変位に寄与する圧電体層のうち、最も厚い圧電体層の厚みをt
dmostとしたときに、該最も厚い圧電体層と中央の電極層との境界面を基点として、該基点からn層(nは自然数)までの厚みが、
t
dmost×(√n)
を満たすことになる。本実施例の圧電駆動素子はバイモルフ構造のため、素子全体としての圧電体層の厚みは、その2倍となり、上記のとおり、2×t
dmost×(√n)となる。
【0024】
しかしながら、実際の積層体には、各層間に電極層を形成しなければならない。この電極はセラミックス(圧電体層)の焼結と同時に形成する必要があるため、セラミックスの焼結温度で溶融せず焼結のみを起こすような、銀,白金,パラジウムやその合金などを用いる。電極層は、圧電体層と異なり、電圧によって変形を起こすことはないため、上記の数式1は電極層の存在により修正を受ける。このように、電極層の存在により圧電駆動素子10の変位量は抑制を受けるため、電極層の厚みは可能な限り薄い方がよく、例えば、印刷法によれば1〜2μmとなる。また、層数が多くなると電極比率が増えるため、実質的な圧電体層の積層数は8層までである。また、2層では層厚に傾斜ないし差を設けられないため、最低層数は4層となる。
【0025】
ここで、前記電極層の厚みをt
ie,最も厚い圧電体層の厚みをt
dmostとし、最も厚い圧電体層の厚みに対する電極層の厚みの比Aを、A=(t
ie/t
dmost)と表すことで、全体の厚みが厚くなり、曲げ剛性が増加することを考慮にいれて前記数式1を修正することができるが、解は解析的に導くことはできない。しかし、電極材料のヤング率を50〜150GPaとし、圧電駆動素子10の全体厚みを50〜200μmとし、電極厚みを最大5μmとすると、近似的に計算ができる。圧電体層の積層数を4層とした場合の圧電体層32,30,20,22の厚みを以下の数式2の比率にすると、最適な特性が得られる。
【数2】
【0026】
同様に、圧電体層の積層数が6層の場合に最適な特性が得られる圧電体層34,32,30,20,22,24の厚み比率は、以下の数式3に示される。
【数3】
【0027】
更に、圧電体層の積層数が8の場合に最適な特性が得られる圧電体層36,34,32,30,20,22,24,26の厚み比率は、以下の数式4に示される。
【数4】
【0028】
なお、誤差は各圧電体層について±10%までであれば、本発明における効果が発揮できる。ただし、本実施例はバイモルフ型であるので、外側の層の厚みは、内側の層の厚みよりも薄くなければいけない。その範囲をはずれると、素子容量が大きくなり、駆動時の電流値が高くなってしまい、所望の効果を得ることが出来ない。
【0029】
このように電極層の厚みも考慮した場合、変位に寄与する圧電体層のうち、最も厚い圧電体層の厚みをt
dmostとし、最も厚い圧電体層と中央の電極層の境界面を基点として、該基点からn層までの厚みを表すと、
t
dmost×(√n)+Σt
ie(n-1)
の関係で示されることが見いだされている。
【0030】
図4を参照して具体的に説明する。
図4には、圧電駆動素子10の上部の積層圧電体12側が示されている。変位に最も寄与するのは、中央の電極層40と接する圧電体層20である。この例において、基点(圧電体層20と電極層40の境界面)から1層目の圧電体層の厚みは、上記のt
dmost×(√n)の式に当てはめると、t
dmostである。次に、2層目(n=2)までの厚みは、t
dmost×(√2)に電極層42の厚みt
ie(1)を加えて、td
most×(√2)+t
ie(1)となる。更に、3層目(n=3)までの厚みは、2層目の電極層44の厚みを加えて、t
dmost×(√3)+t
ie(1)+t
ie(2)となる。すなわち、n層の圧電体層の間には、(n-1)層の電極層が存在するので、その分の厚みを足していくことで、前記基点からn層までの厚みをt
dmost×(√n)+Σt
ie(n-1)と表すことができる。
【0031】
前記圧電駆動素子10は、
図1(D)に示すように、支持板70に貼り付ける。支持板70は可能な限り柔らかい材質のものを用いる。例えばゴムやウレタン等が好適である。支持板70の厚さは、圧電駆動素子10と同程度の50〜200μmとする。これ以下では素子を十分支えることが出来ず、振動時に素子にダメージを与える可能性があり、これ以上では、素子の振動を阻害して、音圧を下げてしまう。そして、前記圧電駆動素子10を貼り付けた支持板70を、金属やプラスチックなどの枠に貼り、端子板などへ電極を接続して圧電発音体を得る。この際、リード等を用いても良いし、加熱硬化する導電ペースト等を用いても構わない。
【0032】
前記枠としては、
図1(D)に示す枠80のような開口部82を有する単純な枠形状のほか、蓋のような形状のものでも構わない。ただし、蓋の上部分と素子及び振動板の間には、振動によって接触しないように十分な隙間を空ける必要がある。例えば、
図1(E)に示す枠90は、上述した蓋タイプであって、素子の振動を阻害しない十分な空間92を有し、更に蓋部分の底面94には、複数の放音孔96が設けられている。このようにして得られた圧電発音体は、単純に同一厚みの圧電体を積層したものと比べ、音圧は変わらないにもかかわらず、流れる電流値は50〜60%低下しており、接続部での発熱を抑制できると共に、駆動回路の部品として小型で低コストの部品を用いることが可能となる。
【0033】
このような方法で作製したスピーカについて、音圧(800,1000,1500,2000Hzの平均音圧)と、駆動時の電流値を下記表1に示す。試験に用いる素子は、14×18mmの大きさとし、支持板70には100μm厚さのエラストマーを用い、
図1(E)に示すような蓋形状で金属製の枠90に貼り付けてある。そして、層数と層構成を変えた実験例1〜4を作製し、試験を行った。また比較例1〜6として、層厚構成が本発明の範囲外にある素子を用いて、同じように作製したスピーカについても、同様の試験を行い、結果を表1に示した。
【表1】
表1の実験例1〜4,比較例1〜6の結果から分かる通り、本発明の範囲内であれば、十分流れる電流は小さいが、範囲外の素子では電流値が大きく、所望の効果を得ることが出来ないことが確認された。
【0034】
このように、実施例1によれば、圧電体層を複数積層したバイモルフ型の圧電駆動素子10を使用した圧電発音体において、変位量が最も少ない中央部分の圧電体層の厚みを最も厚くする。そして、厚み方向中央を境にして、上下同数の積層数及び上下対称の層構造とし、かつ、中央から外側へ向けて圧電体層の厚みを薄くすることとした。このため、素子としての変位量を損なうことなく、容量を低減し、高周波信号入力時でも流れる電流値を低く抑えることができる。その結果、発熱による故障の発生を防止できるとともに、駆動回路に太い導線を用いる必要がなくなるため小型化も可能となる。
【0035】
<変形例1>・・・次に、
図5(A)を参照して、本実施例の変形例1について説明する。
図1(A)に示した圧電駆動素子10では、上側の積層圧電体12と下側の積層圧電体14が、電極層40を挟んで形成されているが、
図5(A)に示す圧電駆動素子100では、積層圧電体12と積層圧電体14は、電極層以外の不活性層(分極しない層)102を挟んで対称に形成されている。このような場合にも、上述した実施例と同様の効果が得られる。
【0036】
<変形例2>・・・次に、
図5(B)を参照して、本実施例の変形例2について説明する。
図1(A)に示した圧電駆動素子10では、シム板を使用しないバイモルフ型にすることとしたが、
図5(B)に示す圧電駆動素子110のように、金属板などのシム板112の上下に、積層圧電体12と積層圧電体14を貼り付ける構成としてもよい。この場合、シム板112を
図1(D)又は
図1(E)に示した枠80や90によって支持することで圧電発音体を構成でき、上述した実施例1と同様の効果が得られる。
【実施例2】
【0037】
次に、
図5(C)を参照して本発明の実施例2を説明する。前記実施例1は、圧電駆動素子をバイモルフ型としたが、本発明はユニモルフ型にも適用可能である。
図5(C)に示す圧電駆動素子120は、4層構造の積層圧電体12が金属材料からなる振動板122の一方の主面に貼り付けられた構成となっている。そして、これが前記枠80又は90に取り付けられることで圧電発音体を構成する。本実施例のようにユニモルフ型においては、変位が最も少ない圧電体層(横方向への伸縮が最も少ない部分),すなわち、振動板122側の圧電体層20の厚みが最も厚く、積層方向上方へいくにつれて、圧電体層22,24,26の順に厚みが薄くなっている。
【0038】
前記圧電体層は、2層以上であればよいが、例えば、積層数をn層(nは自然数)とした場合には、振動板122側から上層へ向けての圧電体層の厚み比が、下記数式5で示す比率になるようにすると理想的である。むろん、各圧電体層の比率は、前記実施例1と同様に、各々±10%まで許容される。なお、下記数式5を適用するためには、前記振動板122として、ヤング率50〜200GPaで、厚みが積層圧電体12の半分以下のものを使用する。
【数5】
更に、変位に寄与する圧電体層のうち、最も厚い圧電体層の厚みをt
dmostとし、変位に寄与する圧電体層の層数をnとしたときに、
全層厚が、
t
dmost×(√n)
となるように規定するとよい。
【0039】
また、前記実施例1と同様に、最も厚い圧電体層の厚み(t
dmost)に対する電極層の厚み(t
ie)の比Aを、A=(t
ie/t
dmost)と定義することで、圧電体層間の電極層の存在による前記数式5の修正を行うことができる。例えば、電極材料のヤング率を50〜150GPaとし、圧電駆動素子120の全体厚みを50〜200μmとし、電極厚みを最大5μmとすると、近似的に計算ができる。圧電体層の積層数を2層とした場合の圧電体層20,22の厚みを以下の数式6の比率にすると、最適な特性が得られる。
【数6】
【0040】
同様に、圧電体層の積層数が3層の場合に最適な特性が得られる圧電体層20,22,24の厚み比率は、以下の数式7に示される。
【数7】
【0041】
更に、圧電体層の積層数が4の場合に最適な特性が得られる絶縁体層20,22,24,26の厚み比率は、以下の数式8に示される。
【数8】
【0042】
なお、各々の圧電体層の厚み誤差は±10%までであれば、本発明における効果が発揮できる。ただし、本実施例はユニモルフ型であるので、外側の層の厚みは、振動板122側の圧電体層20の厚みよりも薄くなければいけない。その範囲をはずれると、素子容量が大きくなり、駆動時の電流値が高くなってしまい、所望の効果を得ることが出来ない。これらの点を満たすことができれは、本実施例のようにユニモルフ型を用いた場合であっても、上述した実施例1と同様の効果を得ることができる。なお、電極層の厚みを考慮した基点(本実施例の場合は、振動板122と圧電体層20の境界面)からn層目までの厚みは、上述した実施例1と同様に、t
dmost×(√n)+Σt
ie(n-1)で表される。
【0043】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることができる。例えば、以下のようなものも含まれる。
(1)前記実施例で示した圧電駆動素子の形状も一例であり、円形とするなど、必要に応じて適宜変更してよい。
(2)前記実施例で示した圧電駆動素子の面方向の寸法についても一例であり、必要に応じて適宜設計変更可能である。
(3)前記実施例で示した材料も一例であり、公知の各種の材料を使用してよい。
(4)前記実施例1で示した支持板70と枠80又は90による圧電駆動素子の支持機構も一例であり、同様の効果を奏する範囲内で適宜設計変更可能である。
(5)前記実施例1で示した圧電駆動素子の積層方法も一例であり、必要に応じて適宜変更してよい。
図5(D)に示すように、4層構造のバイモルフ型であって、中央側の圧電体層20,30の厚さが、外側の圧電体層22,32の厚みのほぼ倍である場合、圧電体層22,32として用いる圧電体シートを2枚重ねて圧電体層20,30を形成するようにする。このようにシートの積層数を調整することで圧電体層の厚みを合わせることができれば、製造が容易となる。
(6)前記実施例では、携帯電話等に搭載するスピーカを例に挙げて説明したが、本発明は、携帯電話のレシーバなど、他の公知の各種の電子機器に利用する圧電発音体として適用可能である。