特許第5665848号(P5665848)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5665848
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】ビタミンD受容体アゴニストとその使用
(51)【国際特許分類】
   C07C 401/00 20060101AFI20150115BHJP
   A61K 31/593 20060101ALI20150115BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20150115BHJP
   A61P 3/14 20060101ALI20150115BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20150115BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20150115BHJP
   A61P 5/20 20060101ALI20150115BHJP
   A61P 19/10 20060101ALI20150115BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20150115BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20150115BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20150115BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20150115BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20150115BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20150115BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20150115BHJP
   A61P 19/00 20060101ALI20150115BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20150115BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20150115BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20150115BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20150115BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20150115BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20150115BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20150115BHJP
   A61P 7/02 20060101ALI20150115BHJP
【FI】
   C07C401/00CSP
   A61K31/593
   A61P43/00 111
   A61P3/14
   A61P35/00
   A61P17/06
   A61P5/20
   A61P19/10
   A61P13/12
   A61P9/00
   A61P43/00
   A61P3/04
   A61P3/06
   A61P3/10
   A61P31/12
   A61P31/04
   A61P19/00
   A61P9/12
   A61P37/02
   A61P25/00
   A61P35/02
   A61P21/00
   A61P25/18
   A61P17/00
   A61P7/02
【請求項の数】35
【全頁数】106
(21)【出願番号】特願2012-506099(P2012-506099)
(86)(22)【出願日】2010年4月12日
(65)【公表番号】特表2012-524091(P2012-524091A)
(43)【公表日】2012年10月11日
(86)【国際出願番号】US2010030777
(87)【国際公開番号】WO2010120698
(87)【国際公開日】20101021
【審査請求日】2013年3月29日
(31)【優先権主張番号】61/170,160
(32)【優先日】2009年4月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513217908
【氏名又は名称】ヴィダシム・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100107386
【弁理士】
【氏名又は名称】泉谷 玲子
(74)【代理人】
【識別番号】100173635
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 樹里
(74)【代理人】
【識別番号】100080137
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 昭男
(74)【代理人】
【識別番号】100096013
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100126985
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 充利
(72)【発明者】
【氏名】河合 恵
【審査官】 上村 直子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2004/033420(WO,A1)
【文献】 特表2005−527558(JP,A)
【文献】 特表2001−504135(JP,A)
【文献】 特表2002−543115(JP,A)
【文献】 特開平07−330714(JP,A)
【文献】 特表2002−513416(JP,A)
【文献】 特表2002−525075(JP,A)
【文献】 特表2008−508278(JP,A)
【文献】 特表2011−504180(JP,A)
【文献】 特開平10−182597(JP,A)
【文献】 特表2002−541242(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/067504(WO,A1)
【文献】 SHIMIZU,M. et al.,Synthesis and biological activities of new 1α,25-dihydroxy-19-norvitamin D3 analogs with modifications in both the A-ring and the side chain,Bioorganic & Medicinal Chemistry,2006年,Vol.14,p.4277-4294
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩:
【化1】
[式中:
は、=CHであるか;又は
とそれが結合する炭素は、一緒にシクロプロピルを形成し
とRは、同じであるか又は異なって、H、置換されていてもよいC1−12アルキル、ヒドロキシル、置換されていてもよいC1−12アルコキシ、及びハロからなる群よりそれぞれ選択され;
は、置換されていてもよいC1−12アルキル、又は置換されていてもよいアリールであり;
Xは、酸素又はイオウであり;そして
aは、0〜5である;
但し、aが1〜5であるとき、Rは、置換されていてもよいアリールであり;そしてaが0であるとき、Rは、置換されていてもよいC1−12アルキルである]。
【請求項2】
Xが酸素である、請求項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項3】
Xがイオウである、請求項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項4】
が=CHである、請求項1〜のいずれか1項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項5】
とそれが結合する炭素が、一緒にシクロプロピルを形成する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項6】
とRがそれぞれHである、請求項1〜のいずれか1項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項7】
aが0であり、Rは、置換されていてもよいC1−12アルキルである、請求項1〜のいずれか1項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項8】
がC1−12アルキル又はヒドロキシC1−12アルキルである、請求項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項9】
が、イソペンチル、3−ヒドロキシ−3−メチルブチル、2,3−ジメチルブチル、2,3−ジメチル−3−ヒドロキシブチル、3−エチルペンチル、3−エチル−3−ヒドロキシペンチル、4−エチルヘキシル、又は4−エチル−4−ヒドロキシヘキシルである、請求項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項10】
aが1〜5であり、Rは、置換されていてもよいアリールである、請求項1〜のいずれか1項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項11】
が、C1−12アルキル又はC1−12ヒドロキシアルキルで置換されたアリールである、請求項10に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項12】
が、イソプロピル又は2−ヒドロキシプロパン−2−イルで置換されたアリールである、請求項11に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項13】
aが1である、請求項1〜及び1012のいずれか1項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項14】
(1R,3R)−5−((E)−2−((3αS,7αS)−1−((R)−1−((S)−3−ヒドロキシ−2,3−ジメチルブトキシ)エチル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)−2−メチレンシクロヘキサン−1,3−ジオール(Vida−5);
(4R,8R)−6−((E)−2−((1S,7αS)−1−((R)−1−(3−エチル−3−ヒドロキシペンチルオキシ)エチル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)スピロ[2.5]オクタン−4,8−ジオール(Vida−10);
(4R,8R)−6−((E)−2−((1S,7αS)−1−((R)−1−(4−エチル−4−ヒドロキシヘキシルオキシ)エチル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)スピロ[2.5]オクタン−4,8−ジオール(Vida−20);
(1R,3R)−5−((E)−2−((1S,3αS,7αS)−1−((R)−1−(3−エチル−3−ヒドロキシペンチルオキシ)エチル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)−2−メチレンシクロヘキサン−1,3−ジオール(Vida−11);
(1R,3R)−5−((E)−2−((1S,7αS)−1−((R)−1−(4−エチル−4−ヒドロキシヘキシルオキシ)エチル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)−2−メチレンシクロヘキサン−1,3−ジオール(Vida−21);
(4R,8R)−6−((E)−2−((1S,7αS)−1−((R)−1−(3−ヒドロキシ−3−メチルブトキシ)エチル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)スピロ[2.5]オクタン−4,8−ジオール(Vida−1);
(4R,8R)−6−((E)−2−((3αS,7αS)−1−((R)−1−((S)−3−ヒドロキシ−2,3−ジメチルブトキシ)エチル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)スピロ[2.5]オクタン−4,8−ジオール(Vida−4);
(4R,8R)−6−((E)−2−(1−((R)−1−(3−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)フェノキシ)プロパン−2−イル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)スピロ[2.5]オクタン−4,8−ジオール(Vida−57);
(4R,8R)−6−((E)−2−(1−((R)−1−(3−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)フェニルチオ)プロパン−2−イル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)スピロ[2.5]オクタン−4,8−ジオール(Vida−58)
1R,3R)−5−((E)−2−(1−((R)−1−(3−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)フェノキシ)プロパン−2−イル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)−2−メチレンシクロヘキサン−1,3−ジオール(Vida−37);
(1R,3R)−5−((E)−2−(1−((R)−1−(3−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)フェニルチオ)プロパン−2−イル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)−2−メチレンシクロヘキサン−1,3−ジオール(Vida−43);
(4R,8R)−6−((E)−2−((1S,7αS)−1−((R)−1−(3−メチルブトキシ)エチル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)スピロ[2.5]オクタン−4,8−ジオール(Vida−81);
(4R,8R)−6−((E)−2−((3αS,7αS)−1−((R)−1−((S)−2,3−ジメチルブトキシ)エチル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)スピロ[2.5]オクタン−4,8−ジオール(Vida−84);
(1R,3R)−5−((E)−2−((3αS,7αS)−1−((R)−1−((S)−2,3−ジメチルブトキシ)エチル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)−2−メチレンシクロヘキサン−1,3−ジオール(Vida−85);
(4R,8R)−6−((E)−2−((1S,7αS)−1−((R)−1−(3−エチル−ペンチルオキシ)エチル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)スピロ[2.5]オクタン−4,8−ジオール(Vida−90);
(1R,3R)−5−((E)−2−((1S,3αS,7αS)−1−((R)−1−(3−エチル−ペンチルオキシ)エチル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)−2−メチレンシクロヘキサン−1,3−ジオール(Vida−91);
(4R,8R)−6−((E)−2−((1S,7αS)−1−((R)−1−(4−エチル−ヘキシルオキシ)エチル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)スピロ[2.5]オクタン−4,8−ジオール(Vida−100);
(1R,3R)−5−((E)−2−((1S,7αS)−1−((R)−1−(4−エチル−ヘキシルオキシ)エチル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)−2−メチレンシクロヘキサン−1,3−ジオール(Vida−101);
(1R,3R)−5−((E)−2−(1−((R)−1−(3−イソプロピルフェノキシ)プロパン−2−イル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)−2−メチレンシクロヘキサン−1,3−ジオール(Vida−117);
(1R,3R)−5−((E)−2−(1−((R)−1−(3−イソプロピルフェニルチオ)プロパン−2−イル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)−2−メチレンシクロヘキサン−1,3−ジオール(Vida−123);
(4R,8R)−6−((E)−2−(1−((R)−1−(3−イソプロピルフェノキシ)プロパン−2−イル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)スピロ[2.5]オクタン−4,8−ジオール(Vida−137);及び
(4R,8R)−6−((E)−2−(1−((R)−1−(3−イソプロピルフェニルチオ)プロパン−2−イル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)スピロ[2.5]オクタン−4,8−ジオール(Vida−138);
からなる群より選択される、請求項1に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項15】
(i)請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩と、(ii)医薬的に許容される担体とを含んでなる医薬組成物。
【請求項16】
薬剤として用いるための、及び/又は、ビタミンD受容体の調節が有効な疾患治療において用いるための、請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩
【請求項17】
薬剤として用いるための、及び/又は、疾患のための治療方法において用いるための、請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩であって、前記疾患が、低カルシウム血症、癌、乾癬、副甲状腺機能亢進症、骨粗鬆症、二次性副甲状腺機能亢進症、タンパク尿/腎疾患進行、内皮機能不全、左心室肥大、老化、メタボリックシンドローム、インスリン抵抗性、肥満、ウイルス感染症、細菌感染症、筋骨格障害、高血圧、高トリグリセリド血症、免疫障害、多発性硬化症、骨髄異形成症候群、近位筋障害、季節性情動障害、老人性いぼ、皮膚色素沈着障害、及び血栓症からなる群より選択される、上記化合物又はその医薬的に許容される塩
【請求項18】
式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩において、
、R、R、及びRがそれぞれ水素であり、
Xは、酸素であり、
aは、0であり、そして
は、C1−12ヒドロキシアルキルである、請求項16又は17に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩
【請求項19】
とそれが結合する炭素が、一緒にシクロプロピルを形成する、請求項18に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩
【請求項20】
が=CHである、請求項18に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩
【請求項21】
前記疾患が低カルシウム血漿である、請求項16〜20のいずれか1項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩
【請求項22】
前記疾患がタンパク尿である、請求項16〜20のいずれか1項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩
【請求項23】
前記疾患が内皮機能不全である、請求項16〜20のいずれか1項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩
【請求項24】
前記疾患が左心室肥大である、請求項16〜20のいずれか1項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩
【請求項25】
前記疾患が血栓症である、請求項16〜20のいずれか1項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩
【請求項26】
ビタミンD受容体の調節が有効な疾患を治療するための薬剤を製造するための、請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩の使用
【請求項27】
前記疾患が、低カルシウム血症、癌、乾癬、副甲状腺機能亢進症、骨粗鬆症、二次性副甲状腺機能亢進症、タンパク尿/腎疾患進行、内皮機能不全、左心室肥大、老化、メタボリックシンドローム、インスリン抵抗性、肥満、ウイルス感染症、細菌感染症、筋骨格障害、高血圧、高トリグリセリド血症、免疫障害、多発性硬化症、骨髄異形成症候群、近位筋障害、季節性情動障害、老人性いぼ、皮膚色素沈着障害、及び血栓症からなる群より選択される、請求項26に記載の使用
【請求項28】
式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩において、
、R、R、及びRがそれぞれ水素であり、
Xは、酸素であり、
aは、0であり、そして
は、C1−12ヒドロキシアルキルである、請求項26又は27に記載の使用。
【請求項29】
とそれが結合する炭素が、一緒にシクロプロピルを形成する、請求項28に記載の使用。
【請求項30】
が=CHである、請求項28に記載の使用。
【請求項31】
前記疾患が低カルシウム血漿である、請求項26〜30のいずれか1項に記載の使用。
【請求項32】
前記疾患がタンパク尿である、請求項26〜30のいずれか1項に記載の使用。
【請求項33】
前記疾患が内皮機能不全である、請求項26〜30のいずれか1項に記載の使用。
【請求項34】
前記疾患が左心室肥大である、請求項26〜30のいずれか1項に記載の使用。
【請求項35】
前記疾患が血栓症である、請求項26〜30のいずれか1項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
[0001] 本特許出願は、その開示が参照により組み込まれる、米国仮特許出願番号61/170,160(2009年4月17日出願)の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
[0002] ビタミンDは、紫外線への曝露後の皮膚において7−デヒドロコレステロールより作られ、肝臓中でビタミンD−25−ヒドロキシラーゼによって修飾されて25(OH)Dを生成してから、腎臓中で25−ヒドロキシビタミンD−1α−ヒドロキシラーゼによって修飾されて、活性ホルモンである1,25−ジヒドロキシビタミンD(カルシトリオール)を生成する。カルシトリオールは、核内受容体のビタミンD受容体(VDR)を活性化することによって機能する。活性化されたVDRは、補助因子を動員して複合体を生成し、これが標的遺伝子のプロモーター領域中のビタミンD応答エレメントへ結合して、遺伝子転写を調節する。VDRの標的遺伝子の1つが、カルシトリオールのさらなる代謝の原因となる酵素である25−ヒドロキシビタミンD−24−ヒドロキシラーゼをコードする遺伝子、CYP24A1である(Meyer et al., 2007, J Biol Chem, 282: 22344-22352)。加えて、カルシトリオールは、VDR発現を誘導することが知られている(Solvsten et al., 1997, Arch Dermatol Res, 289: 367-372; Hulla et al., 1995, Int J Cancer, 62: 711-716)。
【0003】
[0003] カルシトリオール(内因性VDRアゴニスト)とそのある種の類似体は、慢性腎疾患(CKD)に関連した低カルシウム血症及び二次性副甲状腺機能亢進症、骨粗鬆症、タンパク尿、ウイルス感染症、細菌感染症、筋骨格障害、及び乾癬といった、様々な疾患を治療するために考慮されてきた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Meyer et al., 2007, J Biol Chem, 282: 22344-22352
【非特許文献2】Solvsten et al., 1997, Arch Dermatol Res, 289: 367-372
【非特許文献3】Hulla et al., 1995, Int J Cancer, 62: 711-716
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0004] しかしながら、心臓血管系、免疫系、腎臓系、又は骨格系のような生理系を標的とした、それらに関連した疾患を治療するための新たなビタミンD受容体アゴニストが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0005] 本発明は、VDRを活性化して、VDRを調節することによって影響を受ける障害を治療するのに有用である化合物を提供する。より特別には、本発明は、内皮機能不全、左心室肥大、及びタンパク尿を標的とする潜在能力があり、CKD患者集団における心臓血管系の合併症と疾患の進行の治療に有用であり得る化合物を提供する。
【0007】
[0006] 本発明は、式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩を提供する:
【0008】
【化1】
【0009】
[式中:
は、=CHであるか;又は
とそれが結合する炭素は、一緒にC3−7シクロアルキルを形成し;
とRは、同じであるか又は異なって、H、及び置換されていてもよいC1−12アルキルからなる群よりそれぞれ選択され;
とRは、同じであるか又は異なって、H、置換されていてもよいC1−12アルキル、ヒドロキシル、置換されていてもよいC1−12アルコキシ、及びハロからなる群よりそれぞれ選択され;
は、置換されていてもよいC1−12アルキル、又は置換されていてもよいアリールであり;
Xは、酸素又はイオウであり;そして
aは、0〜5(即ち、0、1、2、3、4、又は5)である;
但し、aが1〜5であるとき、Rは、置換されていてもよいアリールであり;そしてaが0であるとき、Rは、置換されていてもよいC1−12アルキルである]。
【0010】
[0007] 加えて、本発明は、(i)式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩と、(ii)医薬的に許容される担体とを含んでなる医薬組成物を提供する。
[0008] さらに本発明は、ビタミンD受容体の調節が有効な疾患を治療する方法であって、その治療を必要とする対象に式(I)の化合物又は塩の有効量を投与することを含んでなる、上記方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
[0009]
図1図1は、Vida−5の吸光度プロファイルを示すグラフである。Vida−5の最大吸収波長(ODmax)は253nmにあり、その消衰係数は48360である。
【0012】
[0010]
図2図2A及び2Bは、HL−60前骨髄球性白血病細胞においてCYP24A1(図2A)及びCD14(図2B)の発現を誘導することに対するVida−5の効果を示すグラフである。CYP24A1及びCD14へのVida−5のEC50(半最大有効濃度)は、それぞれ5.6及び4.1nMである。
【0013】
[0011]
図3図3A及び3Bは、正常マウス中の血清Ca(図3A)及び血清PTH(図3B)に対するVida−5の効果を示すグラフである。対照(薬物なし)に対してp<0.05,**p<0.01,***p<0.001。
【0014】
[0012]
図4図4は、正常マウス中の血清カルシウムに対するVida−1対Vida−4の効果を示すグラフである。対照(薬物なし)に対してp<0.05,**p<0.01。白色のバー:対照;黒色のバー:Vida−1;及び、縞模様のバー:Vida−4。
【0015】
[0013]
図5図5A及び5Bは、ヒト冠動脈平滑筋細胞の初代培養においてCYP24A1及びVDRの発現を誘導することに対するVida−5の効果を示すグラフである。CYP24A1及びVDRに対するVida−5のEC50は、それぞれ2.9及び1.3nMである。
【0016】
[0014]
図6図6A及び6Bは、5/6腎摘出尿毒症ラット中の血清クレアチニン(図6A)及び血清BUN(図6B)に対するVida−5の効果を示すグラフである。白色のバー:術後6週、処置前。黒色のバー:術後8週、薬物処置後。処置前の同群に対してp<0.05,**p<0.01。
【0017】
[0015]
図7図7A及び7Bは、5/6腎摘出尿毒症ラット中の血清クレアチニン(図7A)及び血清BUN(図7B)に対するVida−11の効果を示すグラフである。白色のバー:術後6週、処置前。黒色のバー:術後8週、薬物処置後。処置前の同群に対して**p<0.01。
【0018】
[0016]
図8図8A及び8Bは、5/6腎摘出尿毒症ラット中の血清カルシウム(図8A)及び血清リン(図8B)に対するVida−5の効果を示すグラフである。白色のバー:術後6週、処置前。黒色のバー:術後8週、薬物処置後。
【0019】
[0017]
図9図9A及び9Bは、5/6腎摘出尿毒症ラット中の血清カルシウム(図9A)及び血清リン(図9B)に対するVida−11の効果を示すグラフである。白色のバー:術後6週、処置前、黒色のバー:術後8週、薬物処置後。処置前の同群に対して**p<0.01,***p<0.001。
【0020】
[0018]
図10図10A及び10Bは、5/6腎摘出尿毒症ラット中の血清PTHに対するVida−5(図10A)及びVida−11(図10B)の効果を示すグラフである。白色のバー:術後6週、処置前。黒色のバー:術後8週、薬物処置後。処置前の同群に対してp<0.05,***p<0.001。
【0021】
[0019]
図11図11A及び11Bは、C−2位での1つの変化(「Vida−11ではC−2のメチレン基」対「Vida−10ではC−2のシクロプロパン基」)により、5/6腎摘出尿毒症ラット中の血清Ca(図11A)及びPTH(図11B)に対するVida−10及びVida−11の効果が変化することを示すグラフである。白色のバー:術後6週、処置前。黒色のバー:術後8週、薬物処置後。処置前の同群に対して**p<0.01,***p<0.001。
【0022】
[0020]
図12図12A及び12Bは、Vida−5が5/6腎摘出尿毒症ラットにおいて内皮依存性アセチルコリン(Ach)誘発性の大動脈弛緩を用量依存的な方法で改善する(図12A)が、内皮非依存性ナトリウムニトロプルシッド(SNP)誘発性の弛緩には影響を及ぼさない(図12B)ことを示すグラフである。シャム:■;5/6NX−ビヒクル:○;Vida−5(0.004μg/kg):◆;Vida−5(0.01μg/kg):●;Vida−5(0.16μg/kg):□;5/6NX−ビヒクルに対してp<0.05,**p<0.01,***p<0.001。
【0023】
[0021]
図13図13A及び13Bは、Vida−11が5/6腎摘出尿毒症ラットにおいて内皮依存性アセチルコリン(Ach)誘発性の大動脈弛緩を用量依存的な方法で改善して(図13A)、ナトリウムニトロプルシッド(SNP)誘発性の弛緩には影響を及ぼさない(図13B)ことを示すグラフである。シャム:■;5/6NX−ビヒクル:○;Vida−11(0.01μg/kg):●;Vida−11(0.04μg/kg):r;Vida−11(0.16μg/kg):□;5/6NX−ビヒクルに対してp<0.05,**p<0.01。
【0024】
[0022]
図14図14は、Vida−10が5/6腎摘出尿毒症ラットにおいて内皮機能を改善させることを示すグラフである。シャム:■;5/6NX−ビヒクル:○;Vida−10(0.04μg/kg):r;Vida−10(0.16μg/kg):□;Vida−11(0.64μg/kg):◇;0.04μg/kg群中の4.5及び5のAch[log,M]での2点を除き、3つの処置群中すべてのAch用量で、5/6NX−ビヒクルに対して***p<0.001。
【0025】
[0023]
図15図15A及び15Bは、Vida−5が、処置2週後の5/6腎摘出尿毒症ラットにおいてLVW/BW(図15A)の比、及びLVW/HW(図15B)の比を用量依存的な方法で有意に低下させることを示すグラフである。シャムに対して##p<0.01;5/6NX−ビヒクルに対してp<0.05,**p<0.01。縞模様のバー:対照;格子縞のバー:Vida−5。
【0026】
[0024]
図16図16A及び16Bは、処置2週後の5/6腎摘出尿毒症ラット中のLVW/BW(図16A)の比、及びLVW/HW(図16B)の比に対するVida−11の効果を示すグラフである。シャムに対して##p<0.01;5/6NX−ビヒクルに対してp<0.05,**p<0.01。白色のバー:シャム;黒色のバー:NX−ビヒクル;縞模様のバー:Vida−11。
【0027】
[0025]
図17図17は、5/6腎摘出尿毒症ラットのLVW/BWに対する、0.04μg/kgでのVida−5(週3回、i.p.2週間)の単独又はロサルタン(飲料水1mlにつき0.025mg、2週間)との組み合わせと、さらに0.04、0.16、及び0.64μg/kgでのVida−10の効果を示すグラフである。シャムに対して###p<0.001;ビヒクルに対して***p<0.001。白色のバー:シャム;黒色のバー:NX−ビヒクル;格子縞のバー:Vida−5(単独又はロサルタンとともに);縞模様のバー:Vida−10。
【0028】
[0026]
図18図18A〜Dは、シャムラット(図18A)、ビヒクル(図18B)又は0.01μg/kgのVida−5(図18C)又は0.16μg/kgのVida−5(図18D)で週3回、i.p.2週間処置した5/6NXラットにおける心筋細胞の形態を示す写真である。
【0029】
[0027]
図19図19は、Vida−5が0.01、0.04、0.16、及び0.64μg/kgで、処置2週後の5/6腎摘出尿毒症ラット中の心筋細胞の直径を減少させることを示すグラフである。シャムに対して###p<0.001;ビヒクルに対して***p<0.001。白色のバー:シャム;黒色のバー:NX−ビヒクル;縞模様のバー:Vida−5。
【0030】
[0028]
図20図20A及び20Bは、0.04及び0.16μg/kgでのVida−11と0.16μg/kgでのVida−5(週3回、i.p.2週間)の効果が5/6腎摘出尿毒症ラットにおいてタンパク濃度(mg/ml,図20A)又は1日総タンパク量(図20B)により測定されるタンパク尿を減少させることを示すグラフである。白色のバー:術後6週、処置前。黒色のバー:術後8週、薬物処置後。シャム−6週(処置前)に対してp<0.05,##p<0.01;自身の処置前群に対してp<0.05,**p<0.01,***p<0.001。
【0031】
[0029]
図21A図21A及び21Bは、ヒト冠動脈平滑筋細胞の初代培養において、Vida−5及びVida−21の効果によりトロンボスポンジン−1タンパク質の発現が抑制される(図21A)が、トロンボモジュリンタンパク質の発現は誘導される(図21B)ことを示すグラフである。C:対照(薬物なし)。
図21B図21A及び21Bは、ヒト冠動脈平滑筋細胞の初代培養において、Vida−5及びVida−21の効果によりトロンボスポンジン−1タンパク質の発現が抑制される(図21A)が、トロンボモジュリンタンパク質の発現は誘導される(図21B)ことを示すグラフである。C:対照(薬物なし)。
【発明を実施するための形態】
【0032】
[0030] 1つの側面において、本発明は、式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩を提供する:
【0033】
【化2】
【0034】
[式中:
は、=CHであるか;又は
とそれが結合する炭素は、一緒にC3−7シクロアルキルを形成し;
とRは、同じであるか又は異なって、H、及び置換されていてもよいC1−12アルキルからなる群よりそれぞれ選択され;
とRは、同じであるか又は異なって、H、置換されていてもよいC1−12アルキル、ヒドロキシル、置換されていてもよいC1−12アルコキシ、及びハロからなる群よりそれぞれ選択され;
は、置換されていてもよいC1−12アルキル、又は置換されていてもよいアリールであり;
Xは、酸素又はイオウであり;そして
aは、0〜5(例えば、0、1、2、3、4、又は5)であり;
aが0であるとき、Rは、置換されていてもよいC1−12アルキルである]。
【0035】
[0031] 式(I)の化合物は、炭素−炭素二重結合及び/又は炭素−窒素二重結合をZ又はEの立体配置で含有していてもよく(例えば、5位及び6位の炭素の間と7位及び8位の炭素の間)、ここで「Z」は、2つのより高い優先性の置換を炭素−炭素二重結合又は炭素−窒素二重結合の同じ側に有する化合物を表現し、一方「E」という用語は、2つのより高い優先性の置換を炭素−炭素二重結合又は炭素−窒素二重結合の反対側に有する化合物を表す。式(I)の化合物又はその塩はまた、「Z」及び「E」異性体の混合物であってもよい。
【0036】
[0032] また、式(I)の化合物又はその塩は、化合物のプロトンがある原子から別の原子へ移動する、互変異性体又はその平衡混合物として存在してもよい。互変異性体の例には、限定されないが、ケト−エノール、フェノール−ケト、オキシム−ニトロソ、ニトロ−アシ、及びイミン−エナミンが含まれる。
【0037】
[0033] 本明細書において使用するように、他に特定しなければ、「アルキル」という用語は、指定数の炭素原子(例えば、C−C12、C−C、C−C等)を有する、飽和の直鎖又は分岐鎖の非環式ヒドロカービル基を意味する。アルキル基は、未置換であっても置換されていてもよい。飽和の直鎖未置換アルキルの例には、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、及びn−デシルが含まれ、一方、飽和の分岐鎖アルキルの例には、イソプロピル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、イソペンチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、2−メチルヘキシル、3−メチルヘキシル、4−メチルヘキシル、5−メチルヘキシル、2,3−ジメチルブチル、2,3−ジメチルペンチル、2,4−ジメチルペンチル、2,3−ジメチルヘキシル、2,4−ジメチルヘキシル、2,5−ジメチルヘキシル、2,2−ジメチルペンチル、2,2−ジメチルヘキシル、3,3−ジメチルペンチル、3,3−ジメチルヘキシル、4,4−ジメチルヘキシル、2−エチルペンチル、3−エチルペンチル、2−エチルヘキシル、3−エチルヘキシル、4−エチルヘキシル、2−メチル−2−エチルペンチル、2−メチル−3−エチルペンチル、2−メチル−4−エチルペンチル、2−メチル−2−エチルヘキシル、2−メチル−3−エチルヘキシル、2−メチル−4−エチルヘキシル、2,2−ジエチルペンチル、3,3−ジエチルヘキシル、2,2−ジエチルヘキシル、3,3−ジエチルヘキシル等が含まれる。
【0038】
[0034] 本明細書において使用する「シクロアルキル」という用語は、例えば、3〜7の炭素原子(例えば、3、4、5、6、又は7の炭素原子)を含有する環式アルキル部分を意味する。そのような部分の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロヘプチルが含まれる。
【0039】
[0035] 本明細書において使用するように、他に特定しなければ、「アルコキシ」という用語は、−O−(アルキル)を意味し、ここでアルキルは、上記で定義される。
[0036] 本明細書において使用するように、他に特定しなければ、「ハロ」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードを意味する。
【0040】
[0037] 「アリール」という用語は、当該技術分野で通常理解されるように、未置換又は置換の芳香族炭素環式部分を意味して、例えば、フェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラセニル、ピレニル等のような、縮合しても非縮合でもよい、単環式及び多環式の芳香族化合物が含まれる。アリール部分は、一般に、例えば、6〜30の炭素原子、好ましくは6〜18の炭素原子、より好ましくは6〜14の炭素原子、そして最も好ましくは6〜10の炭素原子を含有する。アリールという用語には、平面状である炭素環式部分が含まれて、ヒュッケル則に従って、4n+2π(ここでn=1、2、又は3)の電子を含むと理解される。置換されるとき、置換基は、任意の利用可能な位置(例えば、1、2、3、4、5、又は6位)にあってよい。分子の残りが1位にあれば、他の置換基は、好ましくは、3、4、及び/又は5位にある。
【0041】
[0038] 本明細書において使用するように、他に特定しなければ、「置換アルキル」という用語は、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アロイル、ハロ、ハロアルキル(モノ、ジ、又はトリハロアルキル、例えば、トリフルオロメチル)、ハロアルコキシ(モノ、ジ、又はトリハロアルコキシ、例えば、トリフルオロメトキシ)、ヒドロキシ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクロオキシ、オキソ(=O)、アルカノイル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリールオキシ、アルカノイルオキシ、アミノ、アルキルアミノ(モノ、ジ、及びトリアルキルアミノ)、アリールアミノ、アリールアルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、ヘテロシクロアミノ、アルカノイルアミノ、アロイルアミノ、アラルカノイルアミノ、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、アリールアルキルチオ、シクロアルキルチオ、ヘテロシクロチオ、アルキルチオノ、アリールチオノ、アリールアルキルチオノ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アリールアルキルスルホニル、スルファメート(例えば、NHSOO−)、アルキルスルファメート、スルホンアミド(−SONH)、アルキルスルホンアミド、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルバミル(例えば、NHCO−)、及び置換カルバミル(例えば、アルキル−NH−CO、アリール−NH−CO、アリールアルキル−NH−CO、又は、アルキル又はアリールアルキルより選択される2つの置換基が窒素上にある例)からなる群より選択される1以上(例えば、1〜5、1〜4、1〜3、1又は2)の置換基によって置換されたアルキル基を意味する。いくつかの態様において、C1−12アルキルは、ヒドロキシル、及び/又はスルファメート(例えば、NHSOO−)で置換されていてもよい。
【0042】
[0039] 本明細書において使用するように、他に特定しなければ、「置換アルコキシ」という用語は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アロイル、ハロ、ハロアルキル(モノ、ジ、又はトリハロアルキル、例えば、トリフルオロメチル)、ハロアルコキシ(モノ、ジ、又はトリハロアルコキシ、例えば、トリフルオロメトキシ)、ヒドロキシ、アルコキシカルボニル、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクロオキシ、オキソ(=O)、アルカノイル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリールオキシ、アルカノイルオキシ、アミノ、アルキルアミノ(モノ、ジ、及びトリアルキルアミノ)、アリールアミノ、アリールアルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、ヘテロシクロアミノ、アルカノイルアミノ、アロイルアミノ、アラルカノイルアミノ、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、アリールアルキルチオ、シクロアルキルチオ、ヘテロシクロチオ、アルキルチオノ、アリールチオノ、アリールアルキルチオノ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アリールアルキルスルホニル、スルファメート(例えば、NHSOO−)、アルキルスルファメート、スルホンアミド(−SONH)、アルキルスルホンアミド、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルバミル(例えば、NHCO−)、及び置換カルバミル(例えば、アルキル−NH−CO、アリール−NH−CO、アリールアルキル−NH−CO、又は、アルキル又はアリールアルキルより選択される2つの置換基が窒素上にある例)からなる群より選択される1以上(例えば、1〜5、1〜4、1〜3、1又は2)の置換基によって置換されたアルコキシ基を意味する。
【0043】
[0040] 本明細書において使用するように、他に特定しなければ、「置換アリール」という用語は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アロイル、ハロ、ハロアルキル(モノ、ジ、又はトリハロアルキル、例えば、トリフルオロメチル)、ハロアルコキシ(モノ、ジ、又はトリハロアルコキシ、例えば、トリフルオロメトキシ)、ヒドロキシ、アルコキシカルボニル、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクロオキシ、オキソ(=O)、アルカノイル、アリールアルキル、アルキルアリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリールオキシ、アルカノイルオキシ、アミノ、アルキルアミノ(モノ、ジ、及びトリアルキルアミノ)、アリールアミノ、アリールアルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、ヘテロシクロアミノ、アルカノイルアミノ、アロイルアミノ、アラルカノイルアミノ、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、アリールアルキルチオ、シクロアルキルチオ、ヘテロシクロチオ、アルキルチオノ、アリールチオノ、アリールアルキルチオノ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アリールアルキルスルホニル、スルファメート(例えば、NHSOO−)、アルキルスルファメート、スルホンアミド(−SONH)、アルキルスルホンアミド、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルバミル(例えば、NHCO−)、及び置換カルバミル(例えば、アルキル−NH−CO、アリール−NH−CO、アリールアルキル−NH−CO、又は、アルキル又はアリールアルキルより選択される2つの置換基が窒素上にある例)からなる群より選択される1以上(例えば、1〜5、1〜4、1〜3、1又は2)の置換基によって置換されたアリール基を意味する。他の態様において、アリールは、本明細書に記載のように、アルキル及び/又はヒドロキシルで置換されていてもよい。
【0044】
[0041] 基又は部分中の原子の数の範囲が示されるときはいつでも(例えば、C−C12、C−C、C−C、又はC−Cアルキル、ハロアルキル、アルキルアミノ、アルケニル等)、その指定範囲に該当する任意のサブ範囲又は個別数の炭素原子を使用し得ることを具体的に意図する。従って、例えば、本明細書で言及される任意の化学基(例えば、アルキル、ハロアルキル、アルキルアミノ、アルケニル等)に関しても使用されるような、1〜12の炭素原子、1〜8の炭素原子、1〜4の炭素原子、1〜3の炭素原子、又は2〜8の炭素原子の範囲の引用には、適宜、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12の炭素原子だけでなく、そのあらゆるサブ範囲(例えば、適宜、1〜2の炭素原子、1〜3の炭素原子、1〜4の炭素原子、1〜5の炭素原子、1〜6の炭素原子、1〜8の炭素原子、1〜10の炭素原子、1〜12の炭素原子、2〜3の炭素原子、2〜4の炭素原子、2〜5の炭素原子、2〜8の炭素原子、2〜12の炭素原子、3〜4の炭素原子、3〜5の炭素原子、3〜8の炭素原子、3〜10の炭素原子、3〜12の炭素原子、4〜5の炭素原子、4〜6の炭素原子、4〜8の炭素原子、4〜12の炭素原子、5〜6の炭素原子、5〜8の炭素原子、5〜12の炭素原子、6〜8の炭素原子、又は6〜12の炭素原子等)が含まれて、具体的に記載される。
【0045】
[0042] 本発明の化合物は、不斉置換炭素原子をR又はS配置で含有してもよく、ここで「R」及び「S」という用語は、Pure Appl. Chem., 1976, 45: 11-30 に定義される通りである。不斉置換炭素原子を等量のR及びS配置で含む化合物は、その原子上でラセミ体である。一方の配置を他方の配置より過剰に有する原子は、その配置が過剰、好ましくは約85〜90%の過剰、より好ましくは約95〜99%の過剰、よりさらに好ましくは99%より多い過剰と定められる。従って、本発明には、その化合物のラセミ混合物と相対的及び絶対的なジアステレオ異性体が含まれるものとする。
【0046】
[0043] 本発明には、式(I)によって記載されるすべての化合物とその塩が制限なく含まれる。しかしながら、さらなる例示の目的のために、本発明の側面及び態様について本明細書で考察する。
【0047】
[0044] 上記の態様において、Xは、酸素である。他の態様において、Xは、イオウである。
[0045] 上記の態様において、Rは、=CHである。これらの態様のいくつかの例において(例えば、aは0である、及び/又はaは1〜5である)。
【0048】
[0046] 他の態様において、Rとそれが結合する炭素は、一緒に、C3−7シクロアルキル(例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル)を形成する。好ましくは、シクロアルキルは、シクロプロピルである。
【0049】
[0047] 上記の態様のいずれにおいても、RとRは、それぞれHである。
[0048] 上記の態様のいずれにおいても、RとRは、それぞれHである。
[0049] 1つの態様において、aは0であり、そしてRは、C1−12アルキル又は置換C1−12アルキルである。Rに適したC1−12アルキル部分の例には、イソペンチル、2,3−ジメチルブチル、3−エチルペンチル、及び4−エチルヘキシルが含まれる。好適な置換C1−12アルキルの例には、3−ヒドロキシ−3−メチルブチル、2,3−ジメチル−3−ヒドロキシブチル、3−エチル−3−ヒドロキシペンチル、及び4−エチル−4−ヒドロキシヘキシルのようなヒドロキシC1−12アルキル部分が含まれる。
【0050】
[0050] 他の態様において、aは、1〜5(即ち、1、2、3、4、又は5)であり、そしてRは、アリール(例えば、フェニル)又は置換アリールである。好ましくは、Rは、C1−12アルキル(例えば、メチル、エチル、イソプロピル)で置換されたアリール、又はC1−12ヒドロキシアルキル(例えば、2−ヒドロキシプロパン−2−イル)である。好ましくは、aは1である。
【0051】
[0051] 好ましくは、式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩は、式(Ia):
【0052】
【化3】
【0053】
の構造を有する。
[0052] 好ましい態様において、式(I)の化合物又はその塩は、
【0054】
【化4】
【0055】
[式中、(II)と(IIIa)で、R、R、R、X、及びaは、上記で定義される通りである]からなる群より選択される構造を有する。
[0053] 好ましい態様において、式(I)の化合物又はその塩は、
【0056】
【化5-1】
【0057】
【化5-2】
【0058】
及びこれらの医薬的に許容される塩からなる群より選択される。
[0054] 式(I)の化合物の具体例には:
(1R,3R)−5−((E)−2−((3αS,7αS)−1−((R)−1−((S)−3−ヒドロキシ−2,3−ジメチルブトキシ)エチル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)−2−メチレンシクロヘキサン−1,3−ジオール(Vida−5);
(4R,8R)−6−((E)−2−((1S,7αS)−1−((R)−1−(3−エチル−3−ヒドロキシペンチルオキシ)エチル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)スピロ[2.5]オクタン−4,8−ジオール(Vida−10);
(4R,8R)−6−((E)−2−((1S,7αS)−1−((R)−1−(4−エチル−4−ヒドロキシヘキシルオキシ)エチル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)スピロ[2.5]オクタン−4,8−ジオール(Vida−20);
(1R,3R)−5−((E)−2−((1S,3αS,7αS)−1−((R)−1−(3−エチル−3−ヒドロキシペンチルオキシ)エチル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)−2−メチレンシクロヘキサン−1,3−ジオール(Vida−11);
(1R,3R)−5−((E)−2−((1S,7αS)−1−((R)−1−(4−エチル−4−ヒドロキシヘキシルオキシ)エチル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)−2−メチレンシクロヘキサン−1,3−ジオール(Vida−21);
(4R,8R)−6−((E)−2−((1S,7αS)−1−((R)−1−(3−ヒドロキシ−3−メチルブトキシ)エチル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)スピロ[2.5]オクタン−4,8−ジオール(Vida−1);
(4R,8R)−6−((E)−2−((3αS,7αS)−1−((R)−1−((S)−3−ヒドロキシ−2,3−ジメチルブトキシ)エチル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)スピロ[2.5]オクタン−4,8−ジオール(Vida−4);
(4R,8R)−6−((E)−2−(1−((R)−1−(3−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)フェノキシ)プロパン−2−イル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)スピロ[2.5]オクタン−4,8−ジオール(Vida−57);
(4R,8R)−6−((E)−2−(1−((R)−1−(3−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)フェニルチオ)プロパン−2−イル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)スピロ[2.5]オクタン−4,8−ジオール(Vida−58);
(1R,3R)−5−((E)−2−((1R,3αS,7αR)−7α−メチル−1−((S)−1−フェノキシプロパン−2−イル)ジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)−2−メチレンシクロヘキサン−1,3−ジオール(Vida−36);
(1R,3R)−5−((E)−2−(1−((R)−1−(3−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)フェノキシ)プロパン−2−イル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)−2−メチレンシクロヘキサン−1,3−ジオール(Vida−37);
(1R,3R)−5−((E)−2−(1−((R)−1−(3−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)フェニルチオ)プロパン−2−イル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)−2−メチレンシクロヘキサン−1,3−ジオール(Vida−43);
(4R,8R)−6−((E)−2−((1S,7αS)−1−((R)−1−(3−メチルブトキシ)エチル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)スピロ[2.5]オクタン−4,8−ジオール(Vida−81);
(4R,8R)−6−((E)−2−((3αS,7αS)−1−((R)−1−((S)−2,3−ジメチルブトキシ)エチル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)スピロ[2.5]オクタン−4,8−ジオール(Vida−84);
(1R,3R)−5−((E)−2−((3αS,7αS)−1−((R)−1−((S)−2,3−ジメチルブトキシ)エチル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)−2−メチレンシクロヘキサン−1,3−ジオール(Vida−85);
(4R,8R)−6−((E)−2−((1S,7αS)−1−((R)−1−(3−エチル−ペンチルオキシ)エチル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)スピロ[2.5]オクタン−4,8−ジオール(Vida−90);
(1R,3R)−5−((E)−2−((1S,3αS,7αS)−1−((R)−1−(3−エチル−ペンチルオキシ)エチル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)−2−メチレンシクロヘキサン−1,3−ジオール(Vida−91);
(4R,8R)−6−((E)−2−((1S,7αS)−1−((R)−1−(4−エチル−ヘキシルオキシ)エチル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)スピロ[2.5]オクタン−4,8−ジオール(Vida−100);
(1R,3R)−5−((E)−2−((1S,7αS)−1−((R)−1−(4−エチル−ヘキシルオキシ)エチル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)−2−メチレンシクロヘキサン−1,3−ジオール(Vida−101);
(1R,3R)−5−((E)−2−(1−((R)−1−(3−イソプロピルフェノキシ)プロパン−2−イル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)−2−メチレンシクロヘキサン−1,3−ジオール(Vida−117);
(1R,3R)−5−((E)−2−(1−((R)−1−(3−イソプロピルフェニルチオ)プロパン−2−イル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)−2−メチレンシクロヘキサン−1,3−ジオール(Vida−123);
(4R,8R)−6−((E)−2−(1−((R)−1−(3−イソプロピルフェノキシ)プロパン−2−イル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)スピロ[2.5]オクタン−4,8−ジオール(Vida−137);及び
(4R,8R)−6−((E)−2−(1−((R)−1−(3−イソプロピルフェニルチオ)プロパン−2−イル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)スピロ[2.5]オクタン−4,8−ジオール(Vida−138);
が含まれる。
【0059】
[0055] 式(I)の化合物のいずれの医薬的に許容される塩も、任意の方法で製造される、任意の医薬的に許容される塩であってよい。典型的には、そのような塩は、ある化合物より、その特別な出発の「親」化合物に依存して、比較的非毒性の酸又は塩基を使用して製造することができる。比較的酸性の官能基との親化合物の塩基付加塩は、溶媒なしで(neat)、又は好適な不活性溶媒中で、そのような化合物の遊離酸型を十分量の所望の塩基と接触させることによって製造することができる。医薬的に許容される塩基付加塩の例には、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミノ、マグネシウム塩等が含まれる。比較的塩基性の官能基を有する親化合物の酸付加塩は、溶媒なしで、又は好適な不活性溶媒中で、そのような化合物の遊離塩基型を十分量の所望の酸と接触させることによって入手することができる。医薬的に許容される酸付加塩の例には、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸、又はリン酸等のような無機酸より導かれるもの、並びに、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p−トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸等のような比較的非毒性の有機酸より導かれる塩が含まれる。また含まれるのは、アルギン酸塩等のようなアミノ酸の塩と、グルクロン酸又はガラクツロン酸のような有機酸の塩である(例えば、Berge et al., 1977, Journal of Pharmaceutical Science, 66: 1-19 を参照のこと)。1つの態様において、このアニオンは、FDA承認された53種のアニオンのいずれでもよい。本発明の化合物は、塩基性官能基と酸性官能基の両方を含有していてもよく、それにより該化合物を塩基付加塩又は酸付加塩のいずれか一方へ変換することが可能である。該化合物の中性型は、該塩を塩基又は酸と接触させて、親化合物を慣用の方法で単離することによって再生することができる。
【0060】
[0056] (Ia)、(II)、(IIIa)、及び(IIIb)が含まれる、式(I)の化合物又はその塩は、いくつかの技術のいずれによっても製造することができる。例えば、該化合物は、本明細書で説明するスキーム1〜39と実施例に従って製造することができる。提供される合成中の工程の順序は、変えることができ、試薬、溶媒、及び反応条件を置き換えることができ、易損性(vulnerable)の部分は、必要に応じて、保護化及び脱保護化することができると理解されるはずである。ヒドロキシル保護基には、限定されないが、アセチル、アリル、アリオキシカルボニル、ベンゾイル、ベンジル(フェニルエチルメチル)、ベンジリデン、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、ベンジル、tert−ブチル、tert−ブチルジメチルシリル、tert−ブチルジフェニルシリル、3,4−ジメトキシベンジル、3,4−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、メトキシアセチル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、パラ−メトキシベンジル、メトキシカルボニル、メチル、パラ−トルエンスルホニル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、2,2,2−トリクロロエチル、トリエチルシリル、トリ−イソプロピルシリル、トリフルオロアセチル、2−(トリメチルシリル)エトキシカルボニル、トリメチルシリルエチル、トリフェニルメチル、2−(トリフェニルホスフィノ)エトキシカルボニル等が含まれる。
【0061】
【化6】
【0062】
[0057] (−)−キナ酸をp−トルエンスルホン酸一水和物と反応させることによって、前者を化合物1へ変換することができる。水を共沸的に除去する(例えば、Elliot et al., 1981, J. Chem. Soc. Perkin trans 1, 1782-1789 を参照のこと)。この反応は、典型的には、トルエンにおいて還流で行う。得られた生成物は、tert−ブチルジメチルシリル(TBDMS)クロリドのような好適な保護基とN,N−ジメチルホルムアミド中の塩基によって周囲温度で保護化することができる。好適な塩基は、イミダゾールである。
【0063】
【化7】
【0064】
[0058] 化合物1を酸化剤と反応させる(Glebocka et al., 2006, J. Med. Chem., 49: 2909-2920 に記載のように)ことによって、前者を化合物2へ変換することができる。酸化剤には、デス・マーチン試薬(ペルヨージナン)等が含まれる。この反応は、典型的には、塩化メチレンにおいて周囲温度で、好ましくは約20〜25℃の温度で行う。
【0065】
【化8】
【0066】
[0059] 化合物2、アシル化試薬、及び塩基を反応させることによって、前者を化合物3へ変換することができる。好適なアシル化試薬には、無水酢酸、塩化アセチル、臭化アセチル、及びヨウ化アセチルが含まれる。好適な塩基には、4−(N,N−ジメチル)ピリジン(DMAP)、ピリジン、及び/又はトリエチルアミンが含まれる。この反応は、典型的には、周囲温度で、好ましくは約20〜25℃の温度で行う。
【0067】
【化9】
【0068】
[0060] 化合物3をテトラヒドロフラン(THF)中で臭化ホスホニウム(例えば、臭化メチルホスホニウム)及び塩基と反応させることによって、化合物4へ変換することができる。好適な塩基には、n−ブチルリチウムとsec−ブチルリチウムが含まれる。この反応は、典型的には、THF中、約−70℃で20〜30分間、続いて−40℃〜約−50℃で2時間、連続的に行う。
【0069】
【化10】
【0070】
[0061] 化合物4をアルコール中の還元剤との反応によって化合物5へ変換することができる。好適な還元剤には、ホウ水素化ナトリウムとシアノホウ水素化ナトリウムが含まれる。アルコールには、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、sec−プロピルアルコール等が含まれる。この反応は、典型的には、エタノール中、約0℃で1時間、約6℃で10時間、周囲温度(例えば、約20〜25℃)で2時間、連続的に行う。
【0071】
【化11】
【0072】
[0062] 化合物5をアルコール/水中の過ヨウ素酸ナトリウムと反応させることによって化合物6へ変換することができる。好適なアルコールには、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、及びsec−プロピルアルコールが含まれる。この反応は、典型的には、メタノール/水中、約0℃で1時間、連続的に行う。
【0073】
【化12】
【0074】
[0063] 化合物6を塩化メチレン中のtert−ブチルジメチルシリル−O−トリフレート及び塩基と反応させることによって化合物7へ変換することができる。好適な塩基には、2,6−ルチジンとトリエチルアミンが含まれる。シリル試薬には、tert−ブチルジメチルシリル−O−トリフレート、塩化tert−ブチルジメチルシリル等が含まれる。この反応は、典型的には、塩化メチレン中でtert−ブチルジメチルシリル−O−トリフレートとともに約−50℃で30分間、約−15℃で30分間行う。
【0075】
【化13】
【0076】
[0064] 化合物7をTHF中の(トリメチルシリル)酢酸メチル、n−ブチルリチウム、及びジイソプロピルアミンと反応させることによって化合物8へ変換することができる。この反応は、典型的には、THF中、−78℃で2時間行う。
【0077】
【化14】
【0078】
[0065] 化合物8と水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL−H)をトルエン/塩化メチレン混合物中で反応させることによって、前者を化合物9へ変換することができる。この反応は、典型的には、トルエン/塩化メチレン中、−78℃で1時間行う。
【0079】
【化15】
【0080】
[0066] 化合物9、THF中のn−ブチルリチウム、及び新たに再結晶させた塩化p−トルエンスルホニルを反応させることによって、前者を化合物10へ変換することができる。この反応は、典型的には、0℃で5分間行う。得られるO−トシル化化合物を、n−ブチルリチウムによって予め処理したジフェニルホスフィンと反応させることができる。この反応は、典型的には、THF中、約0℃で40分間、連続的に行う。
【0081】
【化16】
【0082】
[0067] 化合物6をトルエン中の亜鉛ジエチルに続いて二ヨウ化エチレンと反応させることによって、前者を化合物11へ変換することができる。この反応は、典型的には、0℃で3時間行う。
【0083】
【化17】
【0084】
[0068] 出発材料を、無水THF中の2,6−ルチジンの存在下にトリエチルシリル−O−p−トルエンスルホネート、トリエチルシリル−O−トリフレート、塩化トリエチルシリル等のようなシリル試薬と反応させることによって、化合物13を製造することができる。この反応条件は、多様である。その温度は、使用する試薬に依存して、−78℃〜0℃の範囲である。この反応は、典型的には、−78℃で20分〜1時間行う。
【0085】
【化18】
【0086】
[0069] 化合物13、塩化オキサリル、N,N−ジメチルスルホキシド(DMSO)中のトリエチルアミンを塩化メチレンにおいてより低い温度で反応させることによって、前者を化合物14へ変換することができる。この反応は、典型的には、−60℃で1時間行う。
【0087】
【化19】
【0088】
[0070] 化合物14とモルホリンをトルエン中、還流条件下で反応させることによって、前者を化合物15へ変換することができる。生じる水は、共沸的に除去することができる。生じる付加物を塩化第一銅及び酸素とアセトニトリル中で反応させることができる。この反応混合物へ酸素をバブリングで通す。この第二の反応は、典型的には、約20〜25℃の温度で8時間行う。
【0089】
【化20】
【0090】
[0071] 化合物15とフッ化テトラ(n−ブチル)アンモニウム、フッ化水素酸等のような脱シリル化剤を反応させることによって、前者を化合物16へ変換することができる。この反応は、典型的には、約20〜25℃の温度で5時間行う。
【0091】
【化21】
【0092】
[0072] 化合物16と無水酢酸、塩化アセチル、臭化アセチル、ヨウ化アセチル等のようなアシル化試薬を反応させることによって、前者を化合物17へ変換することができる。この反応は、典型的には、塩化メチレン中のDMAP等の存在下で、0℃で2時間、約20〜25℃で3時間行う。
【0093】
【化22】
【0094】
[0073] 化合物((S)−3−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸メチル)と塩化トリメチルシリル、臭化トリメチルシリル、又はトリメチルシリル−O−トリフレートを、塩化メチレン中のトリエチルアミン存在下で反応させることによって、前者を化合物18へ変換することができる。この反応は、典型的には、約20〜25℃の温度で2時間行う。
【0095】
【化23】
【0096】
[0074] 塩化メチレン中の化合物17と化合物18を、トリメチルシリル−O−トリフレートとトリエチルシランの存在下で反応させることによって、前者を化合物19へ変換することができる。この反応は、典型的には、−78℃で1時間、約20〜25℃で4時間行う。
【0097】
【化24】
【0098】
[0075] 化合物19と臭化メチルマグネシウムをTHF中で反応させることによって、前者を化合物20へ変換することができる。この反応は、典型的には、室温で一晩行う。
【0099】
【化25】
【0100】
[0076] 化合物20とデス・マーチン試薬のような酸化試薬を塩化メチレン中で反応させることによって、前者を化合物21へ変換することができる。この反応は、典型的には、約20〜25℃で一晩行う。
【0101】
【化26】
【0102】
[0077] 化合物21をtert−ブチルジメチルシリル−O−トリフレート及び塩基と塩化メチレン中で反応させることによって、化合物22へ変換することができる。好適な塩基には、2,6−ルチジンとトリエチルアミンが含まれる。シリル試薬には、tert−ブチルジメチルシリル−O−トリフレート、塩化tert−ブチルジメチルシリル等が含まれる。この反応は、典型的には、塩化メチレン中でtert−ブチルジメチルシリル−O−トリフレートとともに、約−50℃で30分間、そして−15℃で30分間行う。
【0103】
【化27】
【0104】
[0078] 化合物22を化合物10と反応させることによって、化合物23へ変換することができる。この反応は、アルゴン雰囲気下、無水THF中で行う。はじめに、化合物10をTHFに溶かして、−78℃まで冷却する。この反応混合物へn−ブチルリチウムを加えて、撹拌する。次いで、化合物22を加えて、−78℃で3時間、約6℃で16時間撹拌する。
【0105】
【化28】
【0106】
[0079] 化合物23とフッ化トリ(n−ブチル)アンモニウム、フッ化水素酸等のような脱シリル化試薬を反応させることによって、前者を化合物24へ変換することができる。この反応は、典型的には、THFにおいて約20〜25℃で18時間行う。
【0107】
【化29】
【0108】
[0080] 化合物39(スキーム38を参照のこと)と塩化ピバロイルを塩化メチレン及びピリジンの混合物中で反応させることによって、化合物25を製造することができる。この反応は、典型的には、0℃で4時間、約20〜25℃で一晩行う。
【0109】
【化30】
【0110】
[0081] 化合物25とPDCのような酸化剤を塩化メチレン中で反応させることによって、前者を化合物26へ変換することができる。この反応は、典型的には、0℃で8時間、約20〜25℃で一晩行う。
【0111】
【化31】
【0112】
[0082] スキーム22の記載と同じ条件下で、化合物26を化合物27へ変換することができる。
【0113】
【化32】
【0114】
[0083] 化合物27と水素化アルミニウムリチウムをエーテル又はTHF中で反応させることによって、前者を化合物28へ変換することができる。この反応は、典型的には、−78℃で10分間、0℃で50分間行う。
【0115】
【化33】
【0116】
[0084] 化合物28と置換又は未置換フェノールを、トルエン中のトリフェニルホスフィン及びアゾジカルボン酸ジtert−ブチルの存在下、トルエン中で反応させることによって、前者を化合物29へ変換することができる。この反応は、典型的には、約85℃で4時間行う。次いで、得られる生成物をスキーム23に記載の試薬で処理することができる。
【0117】
【化34】
【0118】
[0085] 化合物:1−(3−ヒドロキシフェニル)エタノンと臭化メチルマグネシウムを無水THF中で反応させることによって、このケトンを化合物30へ変換することができる。この反応は、典型的には、約20〜25℃で18時間、そして還流温度で2時間行う。類似の反応については、スキーム19に記載されている。
【0119】
【化35】
【0120】
[0086] 化合物9とベンゾ[d]チアゾール−2−チオールを、トリフェニルホスフィン及びアゾジカルボン酸ジイソプロピルの存在下、塩化メチレン中で反応させることによって、前者を化合物31へ変換することができる。この反応は、典型的には、0℃で1時間行う。この反応は、スキーム28に記載のものに類似している。
【0121】
【化36】
【0122】
[0087] 化合物31と過酸化水素又は(NHMo・4HOのような酸化剤をエチルアルコール中で反応させることによって、前者を化合物32へ変換することができる。この反応は、典型的には、0℃で1時間、約20〜25℃で3時間行う。
【0123】
【化37】
【0124】
[0088] 化合物32と化合物40を、NaHMDSの存在下、THF中で反応させることによって、前者を化合物33へ変換することができる。この反応は、典型的には、−78℃で2時間、約20〜25℃で15時間行う。
【0125】
【化38】
【0126】
[0089] 化合物33とTBAF(フッ化テトラブチルアンモニウム)又はフッ化水素酸のような脱シリル化剤をTHF中で反応させることに続く、トリエチルアミン及びDMAPの存在下での塩化p−トルエンスルホニルとの塩化メチレン中の反応によって、前者を化合物34へ変換することができる。この最初の反応は、典型的には、約20〜25℃で3〜4時間行う。そして、第二の反応は、典型的には、約20〜25℃で一晩行う。
【0127】
【化39】
【0128】
[0090] 化合物34と置換又は未置換フェノールを、水素化ナトリウムの存在下、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)中で反応させることによって、前者を化合物35へ変換することができる。この反応は、典型的には、約20〜25℃で一晩行う。
【0129】
【化40】
【0130】
[0091] エルゴカルシフェロール((+)−ビタミンD)とオゾンを、重炭酸ナトリウムの存在下、塩化メチレン及びメタノールの混合物中で反応させることによって、前者を化合物36へ変換することができる。この反応は、典型的には、オゾンを反応混合物中へ泡立てながら、約20〜25℃で4〜5時間行う。次いで、この混合物へホウ水素化ナトリウムを加えてアルコールを生成させる。この反応は、典型的には、約20〜25℃で、残ったアルデヒドの完全な消失が観測されるまで行う。
【0131】
【化41】
【0132】
[0092] 化合物36と塩化p−トルエンスルホニルを、DMAPと40% EtN溶液の存在下、塩化メチレン中で反応させることによって、前者を化合物37へ変換することができる。この反応は、典型的には、約20〜25℃で4〜5時間行う。
【0133】
【化42】
【0134】
[0093] 化合物37とDMSOを、重炭酸ナトリウムの存在下で反応させることによって、前者を化合物38へ変換することができる。この反応は、典型的には、約150℃で30分間行う。
【0135】
【化43】
【0136】
[0094] 化合物38と水酸化テトラ(n−ブチル)アンモニウムを塩化メチレン中で反応させることによって、前者を化合物39へ変換することができる。この反応は、典型的には、約20〜25℃で16時間行う。得られた生成物は、メタノール中のホウ水素化ナトリウムで処理することができる。
【0137】
【化44】
【0138】
[0095] 化合物39と塩化トリエチルシリルを、40% EtN溶液及びDMAPの存在下、塩化メチレン中で反応させることによって、前者を化合物40へ変換することができる。この反応は、典型的には、約20〜25℃で1時間行う。得られた生成物は、塩化メチレン中のデス・マーチン試薬で処理することができる。この反応は、典型的には、約20〜25℃で2時間行う。
【0139】
[0096] 本発明はまた、(i)式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩と、(ii)医薬的に許容される担体とを含んでなる医薬組成物を提供する。担体は、慣用的に使用されるもののいずれでもよくて、溶解性と活性化合物(1又は複数)との反応性の欠如といった物理化学的考察と投与経路によってのみ制限される。当業者には、以下に記載の医薬組成物に加えて、本発明の方法の化合物は、シクロデキストリン包接複合体のような包接複合体、又はリポソーム剤として製剤化され得ることが理解されよう。
【0140】
[0097] 本明細書に記載の医薬的に許容される担体、例えば、ビヒクル、アジュバント、賦形剤、及び希釈剤は、当業者によく知られていて、公衆に容易に利用可能である。医薬的に許容される担体は、活性薬剤(1又は複数)に対して化学的に不活性であるもの、そして使用条件下で有害な副作用も毒性もないものであることが好ましい。
【0141】
[0098] 担体の選択は、本発明の特別な化合物又はその塩と、使用する他の活性薬剤又は薬物によって、並びに、該化合物を投与するために使用する特別な方法によって、ある程度は決定される。従って、本発明の方法の医薬組成物に適した多様な製剤がある。経口、経鼻、非経口、皮下、鞘内、静脈内、筋肉内、腹腔内、直腸、経皮、舌下、鼻孔間、鼻腔内、眼、及び膣内投与用の以下の製剤は、例示であって、決して限定的ではない。当業者は、本発明の化合物又はその塩を投与する経路が知られていて、特別な化合物を投与するのに1より多い経路を使用することができるものの、ある特別な経路が別の経路より即時的でより有効な応答をもたらす可能性があることを理解されよう。
【0142】
[0099] 本発明によると、経口投与に適した製剤が好ましく、(a)有効量の化合物又はその塩が、水、生理食塩水、又はオレンジジュース等の希釈剤に溶解したような液体溶液剤;(b)所定量の有効成分を固形物又は顆粒としてそれぞれ含有するカプセル剤、サシェ剤、錠剤、口内錠、及びトローチ剤;(c)散剤;(d)適正な液剤中の懸濁液剤;及び(e)好適な乳剤;から構成されていてよい。液体製剤には、医薬的に許容される界面活性剤を添加又は無添加の、水とアルコール(例えば、エタノール、ベンジルアルコール、及びポリエチレンアルコール)等の希釈剤を含めてよい。カプセル剤の形態は、例えば、界面活性剤、滑沢剤、及び不活性充填剤(乳糖、ショ糖、リン酸カルシウム、及びコーンスターチ等)を含有する、通常の硬いか又は軟らかい殻のゼラチンタイプであってよい。錠剤の形態には、乳糖、ショ糖、マンニトール、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸、微結晶性セルロース、アカシア、ゼラチン、グアーゴム、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、及び他の賦形剤、着色剤、希釈剤、緩衝剤、崩壊剤、湿潤剤、保存剤、香味剤、及び薬理学的に適合可能な賦形剤の1以上を含めることができる。口内錠の形態は、フレーバー、通常はショ糖及びアカシア又はトラガカントに有効成分を含むことができ、並びに香錠は、ゼラチン及びグリセリン、又はショ糖及びアカシア等の不活性基剤に有効成分を含んでなり、乳剤、ゲル剤等は、有効成分に加えて、当該技術分野で知られているような賦形剤を含有する。
【0143】
[0100] 本発明の化合物又は塩はまた、注射可能な製剤へ作製することができる。注射可能な組成物に有効な医薬担体の必要条件は、当業者によく知られている(例えば、「Pharmaceutics and Pharmacy Practice(製剤学と調剤実践)」J.B. Lippincott Company, ペンシルヴェニア州フィラデルフィア、Banker and Chalmers 監修、238-250 頁 (1982) 及び「ASHP Handbook on Injectable Drugs(注射用薬物のASHPハンドブック)」Toissel, 第4版、622-630 頁 (1986) を参照のこと)。
【0144】
[0101] 当業者には局所製剤がよく知られている。そのような製剤は、本発明との関連では、皮膚への適用に特に適している。
[0102] 本発明の化合物又は塩は、単独で、又は他の好適な成分と組み合わせて、吸入により投与されるエアゾール製剤へ作製することができる。これらのエアゾール製剤は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素等のような加圧された許容される推進剤の中へ入れることができる。それらはまた、ネブライザー又はアトマイザーの中にあるように、非加圧調製物のための医薬品として製剤化してよい。そのようなスプレー製剤はまた、粘膜に噴霧するのに使用してよい。
【0145】
[0103] 非経口投与に適した製剤には、抗酸化剤、緩衝剤、殺菌剤、及び企図されるレシピエントの血液と該製剤を等張にする溶質を含有していてもよい水性及び非水性で等張の無菌注射溶液剤と、懸濁剤、可溶化剤、濃化剤、安定化剤、及び保存剤を含んでいてもよい水性及び非水性の無菌懸濁液剤とが含まれる。本発明の化合物は、医薬的に許容される界面活性剤(洗浄剤(soap)又は洗剤(detergent)等)、懸濁剤(ペクチン、カルボマー、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、又はカルボキシメチルセルロース等)、又は乳化剤と、他の医薬アジュバントを添加又は無添加の、水、生理食塩水、水性デキストロースと関連の糖溶液、アルコール(エタノール、イソプロパノール、又はヘキサデシルアルコール等)、グリコール(プロピレングリコール又はポリエチレングリコール等)、ジメチルスルホキシド、グリセロールケタール(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノール等)、エーテル(ポリ(エチレングリコール)400等)、油剤、脂肪酸、脂肪酸エステル又はグリセリド、又はアセチル化脂肪酸グリセリドが含まれる、無菌の液剤又は液剤の混合物のような、医薬担体中の生理学的に許容される希釈剤において投与することができる。
【0146】
[0104] 非経口製剤に使用することができる油剤には、石油、動物油、植物油、又は合成油が含まれる。油剤の具体例には、落花生油、ダイズ油、ゴマ油、綿実油、とうもろこし油、オリーブ油、ワセリン、及び鉱油が含まれる。非経口製剤における使用に適した脂肪酸には、オレイン酸、ステアリン酸、及びイソステアリン酸が含まれる。オレイン酸エチルとミリスチン酸イソプロピルは、好適な脂肪酸エステルの例である。
【0147】
[0105] 非経口製剤における使用に適した洗浄剤には、脂肪アルキル金属、アンモニウム、及びトリエタノールアミンの塩が含まれる。好適な洗剤には、(a)例えば、ジメチルジアルキルアンモニウムハロゲン化物、及びアルキルピリジニウムハロゲン化物等の陽イオン洗剤、(b)例えば、アルキル、アリール、及びオレフィンスルホネート、アルキル、オレフィン、エーテル、及びモノグリセリドスルフェート、及びスルホスクシネート等の陰イオン洗剤、(c)例えば、脂肪アミン酸化物、脂肪酸アルカノールアミド、及びポリオキシエチレンポリプロピレン共重合体等の非イオン洗剤、(d)例えば、アルキル−β−アミノプロピオネート、及び2−アルキル−イミダゾリン四級アンモニウム塩等の両性洗剤、及び(e)これらの混合物が含まれる。
【0148】
[0106] 非経口製剤は、約0.001〜約25重量%のような、ある一定量の有効成分を含有することができる。保存剤と緩衝剤を使用することができる。注射の部位での刺激を最小にするか又は消失させるために、そのような組成物は、約12〜約17の親水性−親油性バランス(HLB)を有する1以上の非イオン性界面活性剤を含有してよい。そのような製剤中の界面活性剤の量は、典型的には、約5〜約15重量%の範囲に及ぶものである。好適な界面活性剤には、ポリエチレンソルビタン脂肪酸エステル(ソルビタンモノオレエート等)と、プロピレングリコールと酸化プロピレンの縮合によって生成される、疎水性塩基と酸化エチレンの高分子量付加物が含まれる。非経口製剤は、アンプル及びバイアルのような、単位用量又は多用量の密封容器で提示することができて、無菌の液体賦形剤、例えば、注射用水を使用直前に添加することだけを必要とする、冷凍−乾燥(凍結乾燥)状態で保存することができる。即時注射溶液剤及び懸濁液剤は、すでに記載した種類の無菌散剤、顆粒剤、及び錠剤より調製することができる。
【0149】
[0107] 加えて、本発明の化合物又はそのような化合物を含んでなる組成物は、乳化基剤又は水溶性基剤のような多様な基剤と混合することによって坐剤へ作製することができる。膣投与に適した製剤は、有効成分に加えて、当該技術分野において適正であると知られているような担体を含有する、ペッサリー剤、タンポン剤、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、フォーム剤、又はスプレー製剤として提示することができる。
【0150】
[0108] 本明細書に記載の本発明の化合物は、細胞へ in vitro 投与することができる。本明細書において使用するように、「in vitro(試験管内で)」という用語は、対象となる細胞が生きている有機体中にないことを意味する。本発明の化合物はまた、細胞へ in vivo 投与することができる。本明細書において使用するように、「in vivo(生体内)」という用語は、対象となる細胞が生きている有機体の一部であるか又は生きている有機体であることを意味する。さらに、本発明の化合物は、対象へ in vivo 又は ex vivo 投与することができる。本明細書において使用する「ex vivo(生体外)」という用語は、細胞又は細胞の集団への化合物の投与の後、その細胞又は細胞の集団を対象へ投与することをいう。
【0151】
[0109] 本発明の化合物は、細胞、好ましくは対象の細胞へ投与することができる。対象には、例えば、細菌、酵母、真菌、植物、及び哺乳動物が含まれる。好ましくは、対象は、哺乳動物である。本発明の目的では、哺乳動物には、限定されないが、マウスのような齧歯目と、ウサギのようなウサギ目が含まれる。哺乳動物は、ネコ科(ネコ)及びイヌ科(イヌ)が含まれる食肉目の由来であることが好ましい。哺乳動物は、ウシ科(ウシ)及びイノシシ科(ブタ)が含まれる偶蹄目に由来するか又はウマ科(ウマ)が含まれる奇蹄目のものであることがより好ましい。哺乳動物は、霊長目、セボイド(Ceboids)、又はシモイド(Simioids)(サル)であるか又は類人猿目(ヒト及び類人猿)であることが最も好ましい。特に好ましい哺乳動物は、ヒトである。さらに、対象は、先述の宿主のいずれの、特に哺乳動物(例えば、ヒト)の胎内の子孫であってよく、この場合は、対象又は対象の細胞のあらゆるスクリーニング、又は対象又は対象の細胞への化合物の投与を in utero(子宮内で)実施することができる。
【0152】
[0110] 本発明の化合物の量又は用量は、妥当な時間枠にわたって、対象における療法的又は予防的な応答に影響を及ぼすのに十分であるべきである。適正な用量は、治療又は予防すべき疾患又は病気の性質及び重症度、並びに他の要因に依存するものである。例えば、用量はまた、特別な化合物の投与に伴う可能性があるあらゆる有害な副作用の存在、性質、及び程度によって決定されるものである。最終的には、それぞれ個別の患者を治療するための本発明の化合物の投与量は、年齢、体重、健康全般、食事、性別、投与される化合物、投与の経路、及び治療される状態の重症度を考慮に容れて、担当医が決定するものである。式(I)の化合物又はその塩の好ましい用量は、重篤な副作用を招くことなく患者が耐え得る最大量である。典型的な用量は、例えば、約0.01μg/日〜約15,000mg/日(例えば、1日0.1mg〜1g、1日5mg〜500mg)、又は体重1kgにつき1日0.0001μg〜約200mg/kgであろう。
【0153】
[0111] 治療すべき疾患に依存して、式(I)の化合物又はその塩の特に有用な1日用量は、それぞれ75kgの患者で1日につき0.1μg〜1000μg、又は75kgの患者で1日につき0.01μg〜100mgであってよい。例えば、疾患標的が、血清Caにほとんど影響されない、左心室肥大、内皮機能不全、又はタンパク尿であれば、式(I)の化合物又はその塩(例えば、Vida−5又はVida−10)は、75kgの患者で、1日につき0.01〜10,000μg(例えば、1日につき0.1〜1000μg)の好ましい用量範囲で投与することができる。あるいは、左心室肥大とタンパク尿を治療すると同時に血清Caを上昇させることを意図するならば、式(I)の化合物又はその塩(例えば、Vida−11)は、75kgの患者で、1日につき0.01〜10,000μg(例えば、1日につき0.1〜1000μg)の好ましい用量範囲で投与することができる。
【0154】
[0112] 該化合物は、疾患又は状態の治療、予防、又は診断、疾患又は状態を治療、予防、又は診断するために使用することができる化合物のスクリーニング、又は疾患又は状態の根底にあるメカニズム又は原因の研究(この研究は、例えば、該疾患又は状態を治療、予防、又は診断するための方法の開発に使用される可能性がある)が制限なしに含まれる、あらゆる目的に使用することができる。いかなる特別な理論にも束縛されることを望まずに言えば、本発明の化合物は、ビタミンD受容体の調節に関連する疾患及び状態に関して特に有用であると考えられている。
【0155】
[0113] 従って、本発明の1つの側面は、VDRの調節が有効な疾患を治療する方法であって、その治療を必要とする対象に式(I)の化合物又はその塩の有効量を投与することを含む上記方法を提供する。好適な対象は、先に本明細書に記載した通りである。対象は、望ましくは、哺乳動物、特にヒトである。上述の方法は、VDRの調節が有効な疾患(例えば、ビタミンD欠乏症及び/又はVDR活性化減少に関連した疾患)のような疾患に罹患しているか又はそれを発症するリスク状態にある対象に関連した使用に最も適している。そのような疾患には、例えば、骨障害、心臓血管系疾患、腎疾患に関連した心臓血管系の合併症、内皮機能不全、副甲状腺機能亢進症、低カルシウム血症、免疫障害、左心室肥大、増殖性疾患、タンパク尿、腎疾患、血栓症、ウイルス感染症(例えば、インフルエンザ)、細菌感染症(例えば、結核)、筋骨格障害、高血圧、高トリグリセリド血症、多発性硬化症、骨髄異形成症候群、近位筋障害、早老、メタボリックシンドローム、インスリン抵抗性、肥満、季節性情動障害、老人性いぼ、及び皮膚色素沈着障害が含まれる。より具体的には、疾患には、低カルシウム血症、乾癬、骨粗鬆症、原発性副甲状腺機能亢進症、二次性副甲状腺機能亢進症、タンパク尿、内皮機能不全、左心室肥大、血栓症、及び癌が含まれる。好ましくは、本発明の少なくとも1つの化合物の投与に引き続いて、上記疾患の1以上の症状が予防、抑制、又は消失されて、それによってその疾患を少なくともある程度有効に治療又は予防する。
【0156】
[0114] 低カルシウム血症は、生命を脅かす可能性がある、診断及び治療で重大な過誤のリスクをもたらす生化学的な異常である。プライマリケアでの低カルシウム血症の最も一般的な原因は、ビタミンD欠乏症である(Cooper et al., 2008, British Medical Journal, 336, 1298-302)。低カルシウム血症は、慢性腎疾患(CKD)と関連する可能性があり、これも腎機能の低下によって、ビタミンD欠乏症とVDR活性化抑制に関連する。式(I)の化合物(例えば、Vida−11)は、VDR活性化を in vivo で高めて、低カルシウム血症を治療する可能性がある。加えて、必要であれば、式(I)の化合物又はその塩をグルコン酸カルシウム又は塩化カルシウムのような第二の治療薬剤と同時投与して、低カルシウム血症を治療することができる。
【0157】
[0115] 式(I)の化合物は、乾癬に関連した皮膚細胞増殖のような、異常な皮膚細胞増殖を有効に阻害することができる。乾癬の治療には、局所投与が好ましい。軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、フォーム剤、及びローション剤等の局所投与用の製剤が特に好ましい。必要とされるならば、乾癬を治療するために、式(I)の化合物又はその塩とともに、アダリムマブ、アントラリン、デスオキシメタゾン、カルシポトリオール、レチノイド、メトトレキセート、及びシクロスポリン等の追加の治療薬剤を投与することができる。
【0158】
[0116] 骨粗鬆症では、骨ミネラル密度及び/又は骨量が低下している。骨損失にはビタミンD不足が関連している。いくつかの態様では、骨粗鬆症を治療するのに、式(I)の化合物又はその塩を、ビスホスホン酸塩(例えば、アレンドロン酸、リセドロン酸、イバンドロン酸ナトリウム)、テリパラチド、ラネリック酸ストロンチウム、又はホルモン置換療法(例えば、エストロゲン、テストステロン)のような追加の治療薬剤と同時投与することができる。
【0159】
[0117] 副甲状腺機能亢進症は、PTHの過剰産生をもたらす、副甲状腺の過剰活動である。増加したPTH産生は、骨吸収を高めて、次に骨損失を高める。結果として、副甲状腺機能亢進症の一般的な症状発現は、骨障害(例えば、骨軟化症、骨粗鬆症)である。原発性副甲状腺機能亢進症は、副甲状腺自体の過剰機能より生じて、しばしば副甲状腺腫瘍に関連する。二次性副甲状腺機能亢進症は、副甲状腺以外の病理(例えば、慢性腎不全)によって引き起こされる状態への副甲状腺の反応である。
【0160】
[0118] タンパク尿は、腎疾患のマーカーである、尿中の過剰な血清タンパク質の存在を意味する。1つの態様において、本方法には、CKDに関連したタンパク尿を、血清カルシウムを高めることなく治療するために、式(I)の化合物又はその塩(例えば、Vida−4、Vida−5、又はVida−10)を投与することが含まれる。カルシトリオール、ドキセルカルシフェロール、及びパリカルシトールのようなある種のビタミンD類似体について知られている副作用は、過剰カルシウム血症(血清カルシウムの増加)である。故に、過剰カルシウム血症を引き起こすことなくタンパク尿を治療することができる、式(I)の化合物又はその塩(例えば、Vida−4、Vida−5、Vida−10)が望ましい。
【0161】
[0119] 内皮機能不全は、正常な内皮機能の損失であり、これは、タンパク尿及び左心室肥大の主要な要因の1つである。この態様において、本方法には、血清カルシウムを上昇させることなく、CKDにおける内皮機能を改善することが含まれる。好ましくは、式(I)の化合物又はその塩は、Vida−4、Vida−5、又はVida−10である。
【0162】
[0120] 左心室肥大は、心臓の左心室の心筋の肥厚化であり、これは、高血圧のような異常な血行動態因子とCKD、糖尿病、内皮機能不全、酸化ストレス等のような他の危険因子によって引き起こされる可能性がある。左心室肥大は、心臓血管系疾患のマーカーとして認められている。この態様において、本方法には、血清カルシウムを上昇させることなく、CKDに関連した左心室肥大を治療することが含まれる。そのような態様において、式(I)の化合物又はその塩は、好ましくは、Vida−4、Vida−5、又はVida−10である。
【0163】
[0121] 本発明の態様において、本方法には、低カルシウム血症、タンパク尿、内皮機能不全、及び/又は左心室肥大を式(I)[式中、R、R、R、及びRは、それぞれ水素であり、Xは、酸素であり、aは0であり、そしてRは、C1−12ヒドロキシアルキルである]の化合物又はその塩で治療することが含まれる。加えて、この方法のある好ましい態様では、Rは、シクロプロピル又は=CHである。
【0164】
[0122] 本発明の態様において、本方法には、ウイルス感染症(例えば、インフルエンザ)、細菌感染症(例えば、結核)、又は筋骨格障害を本明細書に記載のような式(I)の化合物又はその塩で治療することが含まれる。
【0165】
[0123] 癌の具体例には、頭頚部、目、皮膚、口、喉、食道、胸、骨、肺、結腸、S状結腸、直腸、胃、前立腺、乳房、卵巣、腎臓、肝臓、膵臓、脳、腸、心臓、又は副腎の癌が含まれる。より特別には、癌には、固形腫瘍、肉腫、癌腫、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平細胞癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝細胞癌、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胚性癌腫、ウィルムス腫瘍、頚部癌、精巣癌、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、カポシ肉腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、希突起神経膠腫、髄膜腫、メラノーマ、神経芽腫、網膜芽腫、血液由来腫瘍、急性リンパ芽球性白血病、急性リンパ芽球性B細胞白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性単芽球性白血病、急性赤白血病性白血病、急性巨核芽球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性非リンパ球性白血病、急性未分化白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、有毛細胞白血病、又は多発性骨髄腫が含まれる。例えば、「Harrison's Principles of Internal Medicine(ハリソン内科学原理)」Eugene Braunwald et al. 監修、491-762 頁(第15版、2001)を参照のこと。
【0166】
[0124] 好ましい態様において、式(I)の化合物又はその塩は、本明細書においてVida−11と呼ばれる化合物であって、低カルシウム血症の治療、及び場合によっては、CKDに関連したタンパク尿の抑制、CKDに関連した内皮機能の改善、及び/又はCKDに関連した左心室肥大の治療を必要とする対象へ投与される化合物である。
【実施例】
【0167】
[0125] 以下の実施例は、本発明をさらに例示するが、当然ながら、その範囲を制限するものと決して解釈してはならない。
実施例1
[0126] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である(1R,3R,4S,5R)−3−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−1,4−ジヒドロキシ−6−オキサ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−7−オンの合成について記載する。
【0168】
【化45】
【0169】
[0127] 文献(Elliot et al., 1981, J. Chem. Soc. Perkin Trans 1, 1782-1789)に記載の方法に従って、150mLのトルエン中の(−)−キナ酸(9.6g,0.05ミリモル)、p−トルエンスルホン酸一水和物(500mg)(p−TosOH)より上記の化合物を製造した。この溶液を12時間穏やかに還流させて、溶媒を真空で濃縮した。得られた残渣を75mLのN,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶かして、氷浴中で冷却した。イミダゾール(12.9g,0.185モル)に続いて、tert−ブチルジメチルシリルクロリド(TBDMS−Cl)(8.68g,0.057モル)を加えた。この混合物を0℃で0.5時間、そして室温で1時間撹拌した。この混合物を水へ注いで、生成物を酢酸エチル(EtOAc)によって抽出した。有機層を水で数回洗浄して、無水硫酸マグネシウム(MgSO)で乾燥させた。蒸発乾固の後で、得られた生成物を石油エーテル/EtOAcより再結晶させて、4.9gの表題生成物を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 4.88 (1H, t, J = 5.4 Hz), 3.98 (1H, t, J = 4.4 Hz), 3.89 (1H, ddd, J = 11.7, 7.3, 4.4 Hz), 2.97 (1H, s), 2.85 (1H, s), 2.63 (1H, d, J = 11.7 Hz), 2.30 (1H, ddd, J = 11.2, 5.8, 2.4 Hz), 2.06-1.94 (2H, m), 0.90 (9H, s), 0.097 (6H, s)。
【0170】
実施例2
[0128] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である(1R,3R,5R)−3−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−1−ヒドロキシ−6−オキサ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−4,7−ジオンの合成について記載する。
【0171】
【化46】
【0172】
[0129] 文献(Glebocka et al., J. Med. Chem., 2006, 49, 2909-2920)に記載の方法に従って、表題化合物を以下のように製造した。実施例1の生成物(8.95g,0.03モル)を225mLの塩化メチレン(CHCH)中のデス・マーチン試薬、ペルヨージナン試薬(14.8g,0.0345モル)の撹拌懸濁液へ加えた。室温で18時間撹拌後、これを水へ注いだ。生成物をEtOAcで抽出して、EtOAc層を水で数回洗浄し、MgSOで乾燥させてから、蒸発乾固させた。結晶性の生成物(8.0g)を収率93.2%で入手した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 4.74 (1H, d, J = 6.3 Hz), 4.54 (1H, dd, J = 10.7, 9.3 Hz ), 2.96 (1H, s), 2.86 (1H, ddd, J = 12.7, 6.8, 3.9 Hz), 2.55 (1H, ddd, J = 15.2, 6.4, 2.4 Hz), 2.42 (1H, d, J = 12.2 Hz), 2.16 (1H, dd, J = 12.2, 10.2 Hz), 0.90 (9H, s), 0.14 (3H, s), 0.044 (3H, s)。
【0173】
実施例3A
[0130] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である、酢酸(1R,3R,5R)−3−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−4,7−ジオキソ−6−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−1−イルの合成について記載する。
【0174】
【化47】
【0175】
[0131] 実施例2(7.0g,24.5ミリモル)の52mLの無水ピリジン溶液へ無水酢酸(24mL)を加えた。室温で3時間撹拌後、次いでこれを水へ注いで、生成物をEtOAcで抽出した。EtOAc層を飽和炭酸水素ナトリウム(NaHCO)、飽和硫酸銅(CuSO)、及び水で洗浄してから、MgSOで乾燥させた。これを蒸発乾固させて、油性の残渣を得た。この油性の残渣を石油エーテル/EtOAc(4:1)で溶出させるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した。最終的に、6.84gの生成物を結晶形態として収率85.1%で単離した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 4.81 (1H, d, J = 6.8 Hz), 4.58 (1H, dd, J = 10.3, 8.8 Hz), 3.56 (1H, ddd, J = 12.2, 6.8, 3.9 Hz), 2.66 (1H, ddd, J = 12.2, 8.8, 3.9 Hz), 2.32 (1H, d, J = 12.2 Hz), 2.29 (1H, dd, J = 12.2, 10.3 Hz), 2.17 (3H, s), 0.90 (9H, s), 0.14 (3H, s), 0.045 (3H,s)。
【0176】
実施例3B
[0132] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である、酢酸(1R,3R,5R)−3−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−4−メチレン−7−オキソ−6−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−1−イルの合成について記載する。
【0177】
【化48】
【0178】
[0133] 臭化メチルホスホニウム(3.93g,0.011モル)の168mLの無水テトラヒドロフラン(THF)溶液へ0℃でn−ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M,4.4mL,0.01モル)を窒素下で撹拌しながら滴下した。この混合物を20℃で20分間撹拌してから−70℃まで冷却した。上記化合物(実施例3A,2.80g,8.54ミリモル)の96mLのTHF溶液をシリンジより加えた。この混合物を−40℃〜約−50℃で2時間撹拌した。この反応混合物へ1%塩酸(22g)、塩水、60mLのEtOAc、40mLのベンゼン、20mLのジエチルエーテル(EtO)、20mLの飽和NaHCO、及び20mLの水を加えた。この反応混合物を室温で18時間激しく撹拌した。有機層を分離させ、塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させて、蒸発乾固させた。この化合物を石油エーテル/EtOAc(9:1)で溶出させるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(428mg)を収率30.7%で得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 5.32 (1H, s) 5.22 (1H, s), 5.20 (1H, s), 4.49 (1H, dd, J = 9.8, 7.8 Hz), 3.41 (1H, ddd, J = 10.7, 6.4, 3.0 Hz), 2.44 (1H, ddd, J = 11.7, 7.3, 2.9 Hz), 2.24-2.09 (2H, m), 2.20 (3H, s), 0.98 (9H, s), 0.15 (6H, s)。
【0179】
実施例4
[0134] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である(1R,3R,5R)−5−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−1−(ヒドロキシメチル)−4−メチレンシクロヘキサン−1,3−ジオールの合成について記載する。
【0180】
【化49】
【0181】
[0135] 実施例3Bの生成物(1.24g,3.43ミリモル)の25mLの無水エチルアルコール(EtOH)撹拌溶液へ0℃でホウ水素化ナトリウム(1.30g,34.3ミリモル)を加えて、この混合物を0℃で1時間、約6℃で10時間、そして室温で2時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム溶液を加えた後で、この反応混合物を塩水へ注いだ。生成物をエーテルとCHClで数回抽出した。集めた抽出物を塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させて、蒸発乾固させた。この化合物をヘキサン/EtOAc(2:8)で溶出させるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(0.5g)を収率50.6%で得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 5.14 (1H, t, J = 1.4 Hz), 4.98 (1H, s), 4.85 (1H, s), 4.80 (1H, s, br), 4.67 (1H, t, J = 3.2 Hz), 3.43 (1H, d, J = 11.0 Hz), 3.33 (1H, t, J = 7.3 Hz), 2.25 (2H, ddd, J = 11.9, 5.0, 2.3 Hz), 2.14 (1H, dt, J = 14.2, 2.8 Hz), 1.73 (1H, br), 1.54 (1H, dd, J = 14.2, 2.8 Hz), 0.89 (9H, s), 0.12 (3H, s), 0.087 (3H, s)。
【0182】
実施例5
[0136] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である(3R,5R)−3−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−5−ヒドロキシ−4−メチレンシクロヘキサノンの合成について記載する。
【0183】
【化50】
【0184】
[0137] 実施例4の生成物(650mg,2.26ミリモル)の50mLのメタノール溶液へ過ヨウ素酸ナトリウム−飽和水(13mL)を0℃で加えた。0℃で1時間撹拌後、この反応混合物を塩水へ注いで、生成物をEtOAcとEtOで抽出した。集めた有機層を塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させて、蒸発乾固させた。残渣をヘキサン/EtOAc(7:3)で溶出させるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(542mg)を収率93.7%で得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 5.24 (2H, d, J = 1.0 Hz), 4.77 (1H, dd, J = 6.4, 5.9 Hz), 4.71 (1H, dd, J = 6.4, 5.4 Hz), 2.77 (1H, ddd, J = 14.6, 4.9, 1.4 Hz), 2.67 (1H, ddd, J = 14.2, 4.4, 1.4 Hz) 2.51 (1H, ddd, J = 6.8, 2.9, 1.4 Hz), 2.47 (1H, ddd, J = 7.3, 3.4, 1.5 Hz) 0.87 (9H, s), 0.080 (3H, s), 0.060 (3H, s)。
【0185】
実施例6
[0138] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である((3R,5R)−3,5−ビス(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−4−メチレンシクロヘキサノン)の合成について記載する。
【0186】
【化51】
【0187】
[0139] 実施例5(178mg,0.694ミリモル)の5mLのCHCl溶液へ−50℃で2,6−ルチジン(190μL,1.62ミリモル)とtert−ブチルジメチルシリル−O−トリフレート(332μL,1.42ミリモル)を加えた。これを−50℃で5分間、そして−15℃で30分間撹拌した。この反応混合物へベンゼンと水を加えて、この混合物を水へ注いだ。生成物をベンゼンで抽出して、有機層を飽和CuSOで洗浄し、MgSOで乾燥させてから、蒸発乾固させた。ヘキサン/EtOAc(95:5)で溶出させるシリカゲルを使用することによって精製を行って、123mgの表題化合物を収率46.6%で得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 5.16 (2H, s), 4.70-4.67 (2H, m), 2.64 (2H, ddd, J = 14.2, 4.4, 1.4Hz), 2.45 (2H, ddd, J = 14.2, 7.3, 2.0 Hz), 0.88 (18H, s), 0.068 (6H, s), 0.050 (6H, s)。
【0188】
実施例7
[0140] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である2−((3R,5R)−3,5−ビス(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−4−メチレンシクロヘキシリデン)酢酸メチルの合成について記載する。
【0189】
【化52】
【0190】
[0141] ジイソプロピルアミン(0.72mL,5.10ミリモル)の10mLのTHF溶液へn−ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M溶液、1.95mL,4.88ミリモル)を−78℃で撹拌しながら加えた。次いで、(トリメチルシリル)酢酸メチル(0.85mL,5.18ミリモル)を加えた。15分間撹拌後、THF中の実施例6の生成物(218mg,0.59ミリモル)を加えて、この混合物を−78℃で2時間撹拌した。この反応物を湿ったエーテルの添加によってクエンチして、塩水へ注いだ。これをEtOとベンゼンで抽出した。集めた有機層を塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させて、真空で濃縮した。シリカゲルを使用してヘキサン/EtOAc(50:1)で溶出させることによって精製を行って、175mgの表題化合物を収率69.6%で得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 5.74 (1H, s), 4.99 (2H, s), 4.48 (2H, dd, J = 10.3, 5.4 Hz), 3.68 (3 H, s), 3.06 (1H, dd, J = 13.7, 6.8 Hz), 2.98 (1H, dd, J = 13.2, 4.0 Hz), 2.47 (1H, dd, J = 12.7, 3.9 Hz), 2.25 (1H, dd, J = 12.7, 7.3 Hz), 0.88 (9H, s), 0.86 (9H, s), 0.072 (3H, s), 0.061 (3H, s), 0.035 (6H, s)。
【0191】
実施例8
[0142] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である(2−((3R,5R)−3,5−ビス(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−4−メチレンシクロヘキシリデン)エタノール)の合成について記載する。
【0192】
【化53】
【0193】
[0143] 実施例7(100mg,0.234ミリモル)の6mLのトルエン/CHCl(2:1)溶液へDIBAL−H(トルエン中1.0M溶液、2.4mL,2.4ミリモル)を−78℃、アルゴン下でゆっくり加えた。−78℃で1時間撹拌後、この混合物へ酒石酸カリウムナトリウム(2M,14mL)、塩酸(2M,14mL)、及び水(18mL)を加えた。この反応混合物をベンゼンとEtOで希釈した。有機層を分離させ、希釈したNaHCOと塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させて、真空で濃縮した。この粗製の材料をヘキサン/EtO(95:5)で溶出させるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、50mgの表題化合物を収率85.9%で得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 5.69 (1H, t, J = 7.4 Hz), 5.05 (1H, s), 4.95 (1H, s), 4.48 (1H, t, J = 4.4 Hz), 4.37 (1H, dd, J = 8.8, 4.9 Hz), 4.17 (1H, ddd, J = 11.7, 7.3, 3.4 Hz), 4.07-4.01 (1H, m), 2.51 (1H, dd, J = 13.2, 5.4 Hz), 2.45 (1H, dd, J = 12.2, 4.4 Hz), 2.22 (1H, dd, J = 14.2, 3.4 Hz), 2.12 (1H, dd, J = 12.2, 8.8 Hz), 0.90 (9H, s), 0.87 (9H, s), 0.073 (6H, s), 0.068 (6H, s)。
【0194】
実施例9
[0144] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である(1R,3R)−5−(2−(ジフェニルホスホリル)エチリデン)−2−メチレン−1,3−(ジtert−ブチルジメチルシリルオキシ)−シクロヘキサンの合成について記載する。
【0195】
【化54】
【0196】
[0145] 実施例8(50mg,0.2ミリモル)の2mLのTHF溶液へn−ブチルリチウム(n−BuLi,ヘキサン中2.5M,50μL,0.2ミリモル)を0℃、アルゴン下で加えた。上記の溶液へ2mLのTHF中の新たに再結晶させたp−トルエンスルホニルクロリド(tos−Cl,40.1mg,0.21ミリモル)を加えた。この混合物を0℃で5分間撹拌した。ジフェニルホスフィン(71μL,0.38ミリモル)の5mLのTHF溶液へn−BuLi(ヘキサン中2.5M溶液,160μL,0.4ミリモル)をアルゴン下で慎重に加えた。この赤味がかった溶液を上記の溶液へ加えて、橙色が残存するまで撹拌した。0℃でさらに40分間撹拌後、水(2.1mL)を加えた。溶媒を真空で濃縮して、残渣を3mLのCHClに溶かした。過酸化水素(10%溶液、1.5mL)を0℃で加えて、この混合物を1時間撹拌した。分離させた有機層を冷水、亜硫酸ナトリウム、及び水で洗浄した。蒸発乾固の後で、この粗製の材料を石油エーテル/EtOAc(85:15)で溶出させるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、89mgの表題化合物を収率78.5%で入手した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.76-7.68 (4H, m), 7.54-7.50 (2H,m), 7.48-7.44 (4H, m), 5.35 (1H, dd, J = 14.2, 6.8 Hz), 4.92 (2H, d, J = 12.7 Hz), 4.34 (2H, dd, J = 10.8, 4.9 Hz), 3.24-3.03 (2H, m), 2.33 (1H, dt, J = 12.7, 2.9 Hz), 2.08 (1H, ddd, J = 12.7, 7.8, 4.4 Hz), 2.02 (2H, d, J = 4.4Hz), 0.86 (18H, s), 0.016 (6H, s), 0.007 (3H, s), -0.004 (3H, s)。
【0197】
実施例10
[0146] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である((1R,3R)−5−((E)−2−(1−(1−((S)−3−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2,3−ジメチルブトキシ)エチル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)−2−メチレンシクロヘキサン−1,3−ジイル)ビス(オキシ)ビス(tert−ブチルジメチルシラン)の合成について記載する。
【0198】
【化55】
【0199】
[0147] 実施例9(20mg,0.0343ミリモル)のTHF溶液へtert−BuLi(ペンタン中1.6M,25μL,0.04ミリモル)を−78℃、アルゴン下でゆっくり加えた。この混合物を−78℃で20分間撹拌した。0.2mLのTHF中の実施例29の化合物(16mg,0.04ミリモル)をゆっくり加えた。この混合物を−78℃で3時間、そして約6℃で16時間撹拌した。この混合物へEtOAcと水を加えた。有機層を分離させ、塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させて、蒸発乾固させた。この粗製の材料を、石油エーテル/EtO(100:1)を使用する分取用薄層クロマトグラフィー(分取用TLC)によって精製して、10mgの表題化合物を収率37.6%で入手した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.23 (1H, d, J = 11.2 Hz), 5.81 (1H, d, J = 11.2 Hz), 4.97 (1H, s), 4.92 (1H, s), 4.42 (2H, dd, J = 8.8, 3.9 Hz), 3.51 (1H, dd, J = 8.8, 3.0 Hz), 3.25-3.19 (2H, m), 2.83 (1H, d, J = 13.2 Hz), 2.51 (1H, dd, J = 13.2, 5.9 Hz), 2.46 (1H, dd, J = 12.7, 4.4 Hz), 2.33 (1H, dd, J = 12.7, 2.5 Hz), 2.22-2.13 (2H, m), 2.01 (1H, t, J = 9.8 Hz), 1.78-1.10 (10H, m), 1.20 (3H, s), 1.12 (3H, s), 1.06 (3H, d, J = 5.8 Hz), 0.95 (3H, d, J = 6.8 Hz), 0.90 (9H,s), 0.86 (9H, s), 0.85 (9H, s), 0.55 (3H, s), 0.080 (3H, s), 0.069 (6H, s), 0.065 (3H, s), 0.049 (3H, s), 0.025 (3H, s)。
【0200】
実施例11
[0148] 本実施例は、本発明の一態様における、(1R,3R)−5−((E)−2−((3αS,7αS)−1−((R)−1−((S)−3−ヒドロキシ−2,3−ジメチルブトキシ)エチル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)−2−メチレンシクロヘキサン−1,3−ジオール(Vida−5)の合成について記載する。
【0201】
【化56】
【0202】
[0149] 実施例10の生成物(20mg,0.0258ミリモル)とフッ化トリ(n−ブチル)アンモニウム(518mg,1.55ミリモル)を5mLのTHFに溶かして、この混合物を窒素下、室温で18時間撹拌した。この混合物を塩水へ注いで、生成物をEtOAcで抽出した。有機層を塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させて、蒸発乾固させた。この粗製の材料を、EtOを使用する分取用薄層クロマトグラフィー(分取用TLC)によって精製して、10mgの表題化合物を収率59.7%で入手した。MS: m/z (%) 455 (19) [M + Na]+, 315 (34), 297 (100), 279 (49), 149 (56), 74 (91), 59 (43)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.36 (1H, d, J = 11.2 Hz), 5.86 (1H, d, J = 11.2 Hz), 5.10 (2H, d, J = 6.4 Hz), 4.52-4.42 (2H, m), 3.77 (1H, dd, J = 9.8, 4.4 Hz), 3.70 (1H, s, br), 3.32 (1H, dd, J = 9.3, 5.4 Hz), 3.27 (1H, dd, J = 9.8, 5.9 Hz), 2.84 (1H, dd, J = 13.7, 4.9 Hz), 2.81 (1H, dd, J = 10.8, 3.9 Hz), 2.57 (1H, dd, J = 13.2, 3.9 Hz), 2.35-2.27 (2H, m), 2.14 (1H, d, J = 12.2 Hz), 2.03 (1H, t, J = 8.3 Hz), 1.81-1.41 (10H, m), 1.24 (3H, s), 1.16 (3H, s), 1.13 (3H, d, J = 5.9 Hz), 1.00 (3H, d, J = 7.3 Hz), 0.57 (3H, s)。
【0203】
実施例12
[0150] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である(4R,8R)−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−8−ヒドロキシスピロ[2.5]オクタン−6−オンの合成について記載する。
【0204】
【化57】
【0205】
[0151] 実施例5(888mg,3.47ミリモル)の10mLのトルエン溶液へ窒素下、−40℃〜−20℃でジエチル亜鉛(トルエン中1M溶液、8.33mL,8.33ミリモル)を加えた。10分間撹拌後、CH(0.67mL,8.33ミリモル)を加えて、0℃で3時間撹拌した。この混合物を飽和塩化アンモニウムで処理して、生成物をEtOで抽出した。このエーテル性の溶液を飽和塩化アンモニウムで洗浄し、MgSOで乾燥させて、濾液を蒸発乾固させた。これを石油エーテル/EtOAc(5:1)で溶出させるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、870mgの表題化合物を収率92.8%で入手した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 4.02 (1H, dd, J = 7.8, 4.4 Hz), 3.81 (1H, dd, J = 5.4, 4.4 Hz), 2.70-2.63 (2H, m), 2.45 (1H, ddd, J = 14.2, 5.9, 1.5 Hz), 2.40 (1H, ddd, J = 13.7, 7.8, 1.0 Hz), 0.89-0.78 (1H, m), 0.83 (9H, s), 0.69-0.64 (1H, m), 0.63-0.58 (1H, m), 0.49-0.44 (1H, m), 0.017 (6H, s)。
【0206】
実施例13
[0152] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である(4R,8R)−4,8−ビス(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)スピロ[2.5]オクタン−6−オンの合成について記載する。
【0207】
【化58】
【0208】
[0153] 実施例6に記載の方法によって表題化合物を収率91.3%で製造した。この化合物をさらに精製も特性決定もせずに次の反応に使用した。
実施例14
[0154] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である2−((4R,8R)−4,8−ビス(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)スピロ[2.5]オクタン−6−イリデン)酢酸メチルの合成について記載する。
【0209】
【化59】
【0210】
[0155] 実施例7に記載の方法によって表題化合物を収率52.4%で製造した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 5.71 (1H, s), 3.75 (1H, dd, J = 7.3, 3.7 Hz), 3.68 (3H, s), 3.62 (1H, t, J = 5.5 Hz), 2.99 (2H, d, J = 4.6 Hz), 2.44 (1H, dd, J = 13.8, 3.7, 0.9 Hz), 2.20 (1H, dd, J = 12.4, 7.3, 0.9 Hz), 0.85 (9H, s), 0.84 (9H, s), 0.58-0.50 (2H, m), 0.45-0.33 (2H, m), 0.044 (3H, s), 0.024 (3H, s), 0.009 (3H, s), 0.004 (3H, s)。
【0211】
実施例15A
[0156] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である2−((4R,8R)−4,8−ビス(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)スピロ[2.5]オクタン−6−イリデン)エタノールの合成について記載する。
【0212】
【化60】
【0213】
[0157] 実施例8に記載の方法によって表題化合物を収率90.1%で製造した。この化合物をさらに精製も特性決定もせずに次の反応に使用した。
実施例15B
[0158] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である(4R,8R)−6−(2−(ジフェニルホスホリル)エチリデン)−4,8−(ジtert−ブチルジメチルシリルオキシ)−スピロ[2.5]オクタンの合成について記載する。
【0214】
【化61】
【0215】
[0159] 実施例8に記載の方法によって表題化合物を収率90.1%で製造した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.77-7.68 (4H, m), 7.55-7.50 (2H, m), 7.49-7.43 (4H, m), 5.29 (1H, dd, J = 14.6, 6.8 Hz), 3.57 (1H, dd, J = 6.9, 3.2 Hz), 3.52 (1H, dd, J = 6.9, 3.7Hz), 3.23-3.02 (2H, m), 2.30 (1H, dt, J = 12.8, 2.8 Hz), 2.10-2.01 (2H, m), 1.92 (1H, dd, J = 12.4, 6.4 Hz), 0.83 (9H, s), 0.81 (9H, s), 0.47-0.40 (2H, m), 0.36-0.25 (2H, m), -0.019 (3H, s), -0.032 (3H, s), -0.037 (3H, s), -0.041 (3H, s)。
【0216】
実施例16
[0160] 本実施例は、本発明の一態様における、((4R,8R)−6−((E)−2−(1−(1−(3−エチル−3−(トリエチルシリルオキシ)ペンチルオキシ)エチル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)スピロ[2.5]オクタン−4,8−ジイル)ビス(オキシ)ビス(tert−ブチルジメチルシラン)の合成について記載する。
【0217】
【化62】
【0218】
[0161] 実施例9及び10に記載の方法によって、実施例9の化合物を実施例15Bに置き換え、実施例28の化合物を実施例34に置き換えることによって、表題化合物を製造した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.18 (1H, d, J = 10.8 Hz), 5.81 (1H, d, J = 11.2 Hz), 3.75 (1H, dd, J = 7.4, 3.0 Hz), 3.63 (1H, dd, J = 16.6, 8.3 Hz), 3.51-3.44 (1H, m), 3.31-3.22 (2H, m), 2.83 (1H, d, J = 12.7 Hz), 2.46-2.35 (3H, m), 2.17-2.11 (2H, m), 2.01 (2H, t, J = 9.3 Hz), 1.78-1.40 (8H, m), 1.36-1.29 (2H, m), 1.21 (4H, q, J = 7.3 Hz), 1.08 (3H, d, J = 5.4 Hz), 0.94 (9H, t, J = 7.8 Hz), 0.89-0.80 (6H, m), 0.847 (18H, s), 0.60-0.54 (1H, m), 0.57 (6H, q, J = 7.8 Hz), 0.56 (3H, s), 0.47-0.40 (2H, m), 0.28-0.24 (1H, m), 0.067 (6H, s), 0.042 (3H, s), 0.028 (3H, s)。
【0219】
実施例17
[0162] 本実施例は、本発明の一態様における、(4R,8R)−6−((E)−2−((1S,7αS)−1−((R)−1−(3−エチル−3−ヒドロキシペンチルオキシ)エチル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)スピロ[2.5]オクタン−4,8−ジオール(Vida−10)の合成について記載する。
【0220】
【化63】
【0221】
[0163] 実施例11に記載の方法によって表題化合物を製造した。96mgの実施例16より32mgの表題化合物を収率58.7%で得た。MS: m/z (%) 483 (40) [M + Na]+, 301 (100), 293 (26), 267 (9), 122 (33)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.32 (1H, d, J = 11.0 Hz), 5.85 (1H, d, J = 11.0 Hz), 3.79 (1H, dd, J = 12.8, 9.2 Hz), 3.73 (1H, d, J = 4.2 Hz), 3.54 (1H, s), 3.46-3.37 (1H, m), 3.33 (1H, s), 3.28-3.22 (1H, m), 2.78 (2H, t, J = 15.3 Hz), 2.56 (1H, d, J = 12.8 Hz), 2.30-2.23 (2H, m), 2.12 (1H, d, J = 12.8 Hz), 2.01 (2H, t, J = 8.6 Hz), 1.83-1.37 (10H, m), 1.32-1.21 (6H, m), 1.12 (3H, d, J = 5.5 Hz), 0.85 (4H, q, J = 6.7 Hz), 0.71-0.65 (1H, m), 0.60-0.51 (2H, m), 0.55 (3H, s), 0.44-0.38 (1H, m)。
【0222】
実施例18A
[0164] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である、6−((1R)−1−((E)−4−(2−((4R,8R)−4,8−ビス(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)スピロ[2.5]オクタン−6−イリデン)エチリデン)−7α−メチルオクタヒドロ−1H−インデン−1−イル)エトキシ)−3−エチルヘキサン−3−オールの合成について記載する。
【0223】
【化64】
【0224】
[0165] 実施例9及び10に記載の方法によって表題化合物を製造した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.18 (1H, d, J = 11.0 Hz), 5.81 (1H, d, J = 11.5 Hz), 3.75 (1H, dd, J = 7.76, 3.64 Hz), 3.59-3.52 (1H, m), 3.48 (1H, s, br), 3.31-3.21 (3H, m), 2.82 (1H, d, J = 12.8 Hz), 2.45-2.34 (3H, m), 2.16-2.12 (2H, m), 2.08-1.98 (2H, m), 1.75-1.23 (16H, m), 1.09 (3H, d, J = 5.5 Hz), 0.84 (18H, s), 0.84 (6H, t, J = 8.3 Hz), 0.58-0.51 (1H, m), 0.55 (3H, s), 0.45-0.40 (2H, m), 0.28-0.22 (1H, m), 0.04 (3H, s), 0.02 (3H, s), 0.00 (6H, s)。
【0225】
実施例18B
[0166] 本実施例は、本発明の一態様における、(4R,8R)−6−((E)−2−((1S,7αS)−1−((R)−1−(4−エチル−4−ヒドロキシヘキシルオキシ)エチル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)スピロ[2.5]オクタン−4,8−ジオール(Vida−20)の合成について記載する。
【0226】
【化65】
【0227】
[0167] 実施例11に記載の方法によって、実施例9の化合物を実施例15Aに置き換え、実施例28の化合物を実施例37に置き換えることによって、表題化合物を製造した。MS: m/z (%) 497 (27) [M + Na]+, 421 (7), 311 (98), 293 (100), 267 (12), 122 (8)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.34 (1H, d, J = 11.4 Hz), 5.86 (1H, d, J = 11.4 Hz), 3.74 (1H, dd, J = 8.2, 4.1 Hz), 3.59-3.54 (2H, m), 3.31-3.19 (2H, m), 2.82 (1H, dd, J = 12.4, 4.1 Hz), 2.78 (1H, dd, J = 13.3, 3.7 Hz), 2.57 (1H, dd, J = 13.3, 3.2 Hz), 2.29 (1H, dd, J = 13.3, 2.8 Hz), 2.27 (1H, d, J = 13.3 Hz), 2.16 (1H, d, J = 12.4 Hz), 2.03 (1H, t, J = 9.6 Hz), 1.80-1.41 (17H, m), 1.33 (1H, td, J = 13.3, 4.1 Hz), 1.21-1.14 (1H, m), 1.09 (3H, d, J = 6.0 Hz), 0.55 (3H, t, J = 7.4 Hz), 0.85 (3H, t, J = 7.8 Hz), 0.71-0.66 (1H, m), 0.62-0.54 (2H, m), 0.56 (3H, s), 0.44-0.40 (1H, m)。
【0228】
実施例19
[0168] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である1−(1−ヒドロキシプロパン−2−イル)−7α−メチルオクタヒドロ−1H−インデン−4−オールの合成について記載する。
【0229】
【化66】
【0230】
[0169] Sardina et al. (1986, J. Org. Chem., 51(8): 1264-1269) に記載の手順に従って、ビタミンD2より表題化合物を製造した。撹拌子、ガス送り込み管、及びガス排出管を取り付けた2Lの3つ首乾燥フラスコをアルゴンでパージした。このフラスコ中へビタミンD2(20g,0.05モル)、600mLのCHCl、200mLのメタノール、300mgのNaHCOを入れた。この溶液を−78℃まで冷却した。この混合物にオゾンを2日間泡立てて通した。その後、オゾン試験が陰性を示すまで、この混合物をアルゴンで泡立てた。ホウ水素化ナトリウム(10g,0.275モル)を加えて、この混合物をそのまま室温へ一晩温めた。この混合物へ1M塩酸(200mL)を加えた。CHClを使用して、水層より抽出した。集めた有機層を塩水(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させて、蒸発乾固させた。得られたシロップを石油エーテル及びEtOAc(3:1)で溶出させるフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(8.0g)を白色の固形物として収率75%で得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 4.09 (1H, d, J = 2.4 Hz), 3.64 (1H, dd, J = 10.8, 3.4 Hz), 3.38 (1H, dd, J = 10.3, 6.4 Hz), 1.99 (1H, dt, J = 13.7, 3.0 Hz), 1.90-1.77 (3H, m), 1.64-1.40 (5H, m), 1.40-1.25 (3H, m), 1.22-1.14 (1H, m), 1.03 (3H, d, J = 6.4 Hz), 0.96 (3H, s)。
【0231】
実施例20
[0170] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体であるトリエチル(7α−メチル−1−(1−(トリエチルシリルオキシ)プロパン−2−イル)オクタヒドロ−1H−インデン−4−イルオキシ)シランの合成について記載する。
【0232】
【化67】
【0233】
[0171] 実施例19(6g,0.028モル)の200mLのTHF溶液へ−78℃で2,6−ルチジン(15.14g,0.14モル)に続いてシリル−O−p−トルエンスルホン酸トリエチル(16.4g,0.062モル)を加えた。20分の撹拌後、この混合物へ100mLの水を加えて、この反応物を室温へ温めた。この化合物をEtOAc(200mLx2)で抽出し、有機層をNaSOで乾燥させて、蒸発乾固させた。残渣をシリカゲルプラグに通過させ、石油エーテルで溶出させて、表題化合物(10g)をオイルとして収率80%で得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 4.03 (1H, d, J = 2.4 Hz), 3.61 (1H, dd, J = 9.3, 3.4 Hz), 3.19 (1H, dd, J = 9.3, 8.3 Hz), 1.96 (1H, dt, J = 12.7, 2.5 Hz), 1.87-1.47 (4H, m), 1.43-1.00 (8H, m), 1.00-0.89 (24H, m), 0.61-0.49 (12H, m)。
【0234】
実施例21
[0172] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である2−(7α−メチル−4−(トリエチルシリルオキシ)オクタヒドロ−1H−インデン−1−イル)プロパナールの合成について記載する。
【0235】
【化68】
【0236】
[0173] ジメチルスルホキシド(DMSO,5.26g,0.27モル)の10mLのCHCl溶液へ塩化オキサリル(4.28g,0.054モル)を−60℃で加えた。2分後、予冷した実施例20(11.9g,0.027モル)をカニューレより加えて、この混合物を−60℃で1時間撹拌した。この混合物へトリエチルアミン(15mL)を加えて、この溶液をそのまま室温へ温めた。水を加えて、生成物をCHCl(3x50mL)で抽出した。有機層をMgSOで乾燥させて、蒸発乾固させた。この粗製の材料を石油エーテル/EtOAc(30:1)で溶出させるフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(7g)を収率80%で得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.56 (1H, d, J = 3.0 Hz), 4.06 (1H, d, J = 2.4 Hz), 2.40-2.31 (1H, m), 1.92-1.74 (3H, m), 1.73-1.50 (3H, m), 1.47-1.32 (4H, m), 1.30-1.14 (2H, m), 1.05 (3H, d, J = 6.9 Hz), 0.99-0.91 (12H, m), 0.56 (6H, q, J = 8.3 Hz)。
【0237】
実施例22
[0174] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である、1−(7α−メチル−4−(トリエチルシリルオキシ)オクタヒドロ−1H−インデン−1−イル)エタノンの合成について記載する。
【0238】
【化69】
【0239】
[0175] 実施例21の生成物(6.6g,0.02モル)とモルホリン(5.3g,0.06モル)を200mLのトルエン中で一晩加熱し、この間に生じる水を共沸的に除去した。この混合物を真空で濃縮して、200mLのアセトニトリルに再び溶かした。この混合物へ塩化第一銅(CuCl,500mg)を加えた後で、酸素を泡立てて8時間通した。不溶性の材料を濾過によって除去して、濾液を蒸発乾固させた。この粗生成物を石油エーテル/EtOAc(100:1)で溶出させるフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(2.5g)をオイルとして収率38.7%で得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 4.07 (1H, d, J = 2.4 Hz), 2.47 (1H, t, J = 8.8 Hz), 2.25-2.14 (1H, m), 2.09 (3H, s), 2.01 (1H, dt, J = 11.7, 3.0 Hz), 1.84 (1H, ddt, J = 26.9, 11.0, 3.9 Hz), 1.75-1.67 (2H, m), 1.65-1.54 (1H, m), 1.50-1.35 (5H, m), 0.94 (9H, t, J = 7.8 Hz), 0.85 (3H, s), 0.55 (6H, q, J = 7.8 Hz)。
【0240】
実施例23
[0176] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である1−(4−ヒドロキシ−7α−メチルオクタヒドロ−1H−インデン−1−イル)エタノンの合成について記載する。
【0241】
【化70】
【0242】
[0177] 実施例22の生成物(2.5g,8.04ミリモル)の200mLのTHF溶液へフッ化テトラ(n−ブチル)アンモニウム(10.5g,0.04モル)を加えた。次いで、これを5時間撹拌して、この混合物を真空で濃縮した。この粗生成物を石油エーテル/EtOAc(4:1)で溶出させるシリカゲルプラグによって精製して、表題化合物を定量的な収率で得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 4.13 (1H, d, J = 1.0 Hz), 2.50 (1H, t, J = 8.8 Hz), 2.28-2.18 (1H, m), 2.11 (3H, s), 2.08-2.03 (1H, m), 1.91-1.78 (2H, m), 1.74-1.41 (7H, m), 0.88 (3H, s)。
【0243】
実施例24
[0178] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である、酢酸1−アセチル−7α−メチルオクタヒドロ−1H−インデン−4−イルの合成について記載する。
【0244】
【化71】
【0245】
[0179] 実施例23の生成物(1.3g,6.6ミリモル)を40mLのCHClに溶かして、0℃まで冷却した。N,N−ジメチルアミノピリジン(24.4mg,0.2ミリモル)、ピリジン(1.15g,14.5ミリモル)、無水酢酸(1.35g,13.2ミリモル)を加えて、室温へ温めながら3時間撹拌した。この混合物を真空で濃縮した後で、粗生成物を石油エーテル/EtOAc(10:1)で溶出させるフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(1.4g)をオイルとして収率93.3%で得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 5.18 (1H, d, J = 2.4 Hz), 2.50 (1H, t, J = 8.8 Hz), 2.22-2.14 (1H, m), 2.12 (3H, s), 2.09-2.05 (1H, m), 2.04 (3H, s), 1.89 (1H, dd, J = 14.2, 2.0 Hz), 1.80-1.42 (8H, m), 0.83 (3H, s)。
【0246】
実施例25
[0180] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である(S)−2−メチル−3−(トリメチルシリルオキシ)プロパン酸メチルの合成について記載する。
【0247】
【化72】
【0248】
[0181] 3−ヒドロキシ−(2S)−メチル−n−プロパン酸メチル(シグマ・アルドリッチ社、2.1g,17.8ミリモル)をCHClに溶かした。EtN(2.7g,26.7ミリモル)と塩化トリメチルシリル(2.1g,19.6ミリモル)を加えて、2時間撹拌した。この反応混合物を0℃まで冷却した後で、この混合物へ飽和NaHCOと水を加えた。生成物をCHClで抽出し、NaSOで乾燥させて、蒸発乾固させた。この粗生成物をヘキサン/EtOAc(20:1)で溶出させるフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(2.2g)をオイルとして収率65.1%で得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.77 (1H, dd, J = 9.8, 6.8 Hz), 3.68 (3H, s), 3.60 (1H, dd, J = 9.8, 5.9 Hz), 2.69-2.61 (1H, m), 1.14 (3H, d, J = 7.3 Hz), 0.094 (9H, s)。
【0249】
実施例26
[0182] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である(2S)−3−(1−(4−アセトキシ−7α−メチルオクタヒドロ−1H−インデン−1−イル)エトキシ)−2−メチルプロパン酸メチルの合成について記載する。
【0250】
【化73】
【0251】
[0183] 実施例24の生成物(1.4g,5.88ミリモル)と実施例25の生成物(1.45g,7.65ミリモル)を−78℃まで冷却した40mLのCHClに溶かした。トリメチルシリル−O−トリフレート(1.3g,5.88ミリモル)を加えて、−78℃で1時間撹拌した。トリエチルシラン(682mg,5.88ミリモル)を加えた後で、この混合物をそのまま室温まで温めて、さらに4時間撹拌した。飽和NaHCO溶液を慎重に加えて、水で希釈した。生成物をCHClで抽出し、有機層をMgSOで乾燥させて、蒸発乾固させた。この粗生成物を石油エーテル/EtOAc(10:1)で溶出させるフラッシュシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(917mg)をオイルとして収率45.9%で得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 5.15 (1H, s), 3.68 (3H, s), 3.56 (1H, dd, J = 8.8, 4.9 Hz), 3.40 (1H, t, J = 8.8 Hz), 3.32-3.25 (1H, m), 2.78-2.65 (1H, m), 2.04 (3H, s), 2.07-1.98 (1H, m), 1.85-1.81 (1H, m), 1.76-1.60 (3H, m), 1.52-1.17 (8H, m), 1.14 (3H, d, J = 6.8 Hz), 1.10 (1H, d, J = 2.9 Hz), 1.05 (3H, d, J = 5.8 Hz), 0.86 (3H, s)。
【0252】
実施例27
[0184] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である1−(1−((S)−3−ヒドロキシ−2,3−ジメチルブトキシ)エチル)−7α−メチルオクタヒドロ−1H−インデン−4−オールの合成について記載する。
【0253】
【化74】
【0254】
[0185] 臭化メチルマグネシウム(19.3mL,27ミリモル)の20mLのTHFの冷却溶液へ実施例26の生成物(917mg,2.7ミリモル)を窒素下で加えた。一晩撹拌後、この反応混合物を塩化アンモニウム水溶液に続いて水でクエンチした。生成物をEtOAcで抽出し、有機層をMgSOで乾燥させて蒸発乾固させて、表題化合物(790mg)を収率98.3%で得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 4.09 (1H, d, J = 2.4 Hz), 3.77 (1H, dd, J = 9.8, 4.4 Hz), 3.73 (1H, s, br) 3.32 (1H, dd, J = 9.3, 5.8 Hz), 3.31-3.25 (1H, m), 2.13 (1H, d, J = 13.7 Hz), 1.81-1.77 (2H, m), 1.75-1.65 (2H, m), 1.56-1.30 (7H, m), 1.24 (3H, s), 1.20-1.18 (1H, m), 1.16 (3H, s), 1.11 (3H, d, J = 6.4 Hz), 1.01 (3H, d, J = 7.3 Hz), 0.96 (3H, s)。
【0255】
実施例28
[0186] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である、1−(1−((S)−3−ヒドロキシ−2,3−ジメチルブトキシ)エチル)−7α−メチルヘキサヒドロ−1H−インデン−4(2H)−オンの合成について記載する。
【0256】
【化75】
【0257】
[0187] 実施例27の生成物(790mg,2.65ミリモル)の20mLのCHCl溶液へデス・マーチン試薬(1.57g,3.7ミリモル)を加えた。この混合物を室温で一晩撹拌した。この混合物へ飽和NaHCOとNaを加えて、生成物をCHClで抽出した。有機層をNaSOで乾燥させて、真空で濃縮した。この粗生成物を石油エーテル/EtOAc(40:1)で溶出させるフラッシュシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(545mg)をオイルとして収率69.5%で得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.80 (1H, dd, J = 9.8, 4.4 Hz), 3.51 (1H, s, br) 3.32 (1H, dd, J = 9.3, 5.4 Hz), 3.26 (1H, ddd, J = 15.2, 9.3, 5.9 Hz), 2.47 (1H, dd, J = 11.2, 7.3 Hz), 2.34-2.18 (3H, m), 2.07-1.99 (1H, m), 1.95-1.83 (1H, m), 1.81 1.68 (4H, m), 1.61-1.53 (2H, m), 1.25 (3H, s), 1.23-1.20 (1H, m), 1.17 (3H, s), 1.15 (3H, d, J = 5.8 Hz), 1.03 (3H, d, J = 7.3 Hz), 0.66 (3H, s)。
【0258】
実施例29
[0188] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である1−(1−((S)−3−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2,3−ジメチルブトキシ)エチル)−7α−メチルヘキサヒドロ−1H−インデン−4(2H)−オンの合成について記載する。
【0259】
【化76】
【0260】
[0189] 出発材料として実施例5の代わりに実施例27を使用する以外は実施例6に記載の方法に従って、表題化合物を製造した。63.4%の収率を観測した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.49 (1H, dd, J = 8.8, 3.0 Hz), 3.26 (1H, t, J = 8.8 Hz), 3.25-2.18(1H, m), 2.46 (1H, dd, J = 11.2, 7.3 Hz), 2.31-2.18 (3H, m), 1.93-1.82 (1H, m), 2.02-1.94 (1H, m), 1.80-1.69 (3H, m), 1.68-1.62 (1H, m), 1.57-1.52 (3H, m), 1.20 (3H, s), 1.12 (3H, s), 1.07 (3H, d, J = 5.9 Hz), 0.95 (3H, d, J = 6.8 Hz), 0.85 (9H, s), 0.64 (3H, s), 0.069 (6H, s)。
【0261】
実施例30
[0190] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である3−ヒドロキシプロパン酸メチルの合成について記載する。
【0262】
【化77】
【0263】
[0191] 50mLのメタノールへナトリウム(115mg,0.005モル)を慎重に加えた。上記の溶液へ3−ヒドロキシ−n−プロピオン酸(Acros 社、7.2g,0.1モル)をシリンジより加えた。この反応混合物を50℃で一晩撹拌した。この混合物を蒸発乾固させた後で、この粗生成物を石油エーテル/EtOAc(0:1)で溶出させるフラッシュシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(7.5g)をオイルとして収率72.1%で得た。この化合物をさらに精製も特性決定もせずに次の反応に使用した。
【0264】
実施例31
[0192] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である3−(トリメチルシリルオキシ)プロパン酸メチルの合成について記載する。
【0265】
【化78】
【0266】
[0193] 実施例25に記載の手順を使用して、表題化合物を製造した。出発材料として実施例24の代わりに実施例30を使用した。64.6%の収率を観測した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.87 (2H, t, J = 6.8 Hz), 3.69 (3H, s), 2.55 (2H, t, J = 6.4 Hz), 0.115 (9H, s)。
【0267】
実施例32
[0194] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である3−(1−(4−アセトキシ−7α−メチルオクタヒドロ−1H−インデン−1−イル)エトキシ)プロパン酸メチルの合成について記載する。
【0268】
【化79】
【0269】
[0195] 実施例26に記載の手順を使用して、実施例25の生成物を実施例31に置き換えることによって表題化合物を製造して、80.3%の表題生成物を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 5.15 (1H, s), 3.84-3.78 (1H, m), 3.69 (3H, s), 3.56-3.49 (1H, m), 3.35-3.29 (1H, m), 2.63-2.50 (2H, m), 2.04 (3H, s), 1.83 (1H, d, J = 12.2 Hz), 1.70-1.62 (2H, m), 1.50-1.24 (7H, m), 1.16-1.10 (2H, m), 1.07 (3H, d, J = 5.5 Hz), 0.88 (3H, s)。
【0270】
実施例33A
[0196] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である1−(1−(3−エチル−3−ヒドロキシペンチルオキシ)エチル)−7α−メチルオクタヒドロ−1H−インデン−4−オールの合成について記載する。
【0271】
【化80】
【0272】
[0197] 実施例28に記載の手順を使用して、実施例27の生成物を実施例32に置き換えることによって、表題化合物を製造した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 4.09 (1H, d, J = 2.9 Hz), 3.80 (1H, td, J = 9.2, 4.4 Hz), 3.43 (1H, dt, J = 8.8, 5.4 Hz), 3.36 (1H, s, br), 3.28 (1H, ddd, J = 12.2, 10.3, 5.9 Hz), 2.10 (1H, dt, J = 12.2, 1.5 Hz), 1.85-1.75 (2H, m), 1.75-1.29 (13H, m), 1.22-1.13 (2H, m), 1.11 (3H, d, J = 5.8 Hz), 0.95 (3H, s), 0.87 (3H, t, J = 7.4 Hz), 0.85 (3H, t, J = 7.3 Hz)。
【0273】
実施例33B
[0198] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である1−(1−(3−エチル−3−ヒドロキシペンチルオキシ)エチル)−7α−メチルヘキサヒドロ−1H−インデン−4(2H)−オンの合成について記載する。
【0274】
【化81】
【0275】
[0199] 実施例28に記載の手順を使用して、実施例26の生成物を実施例33Aに置き換えることによって表題化合物を製造して、71.3%の表題生成物を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.82 (1H, td, J = 9.3, 4.4 Hz), 3.42 (1H, dt, J = 9.3, 4.9 Hz), 3.25 (1H, ddd, J = 11.8, 9.3, 5.9 Hz), 3.16 (1H, s), 2.46 (1H, dd, J = 11.2, 7.4 Hz), 2.30-2.17 (3H, m), 2.06-1.99 (1H, m), 1.95-1.42 (11H, m), 1.28-1.16 (2H, m), 1.14 (3H, d, J = 5.9 Hz), 0.87 (3H, t, J = 7.3 Hz), 0.86 (3H, t, J = 7.4 Hz), 0.65 (3H, s)。
【0276】
実施例34
[0200] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である1−(1−(3−エチル−3−(トリエチルシリルオキシ)ペンチルオキシ)エチル)−7α−メチルヘキサヒドロ−1H−インデン−4(2H)−オンの合成について記載する。
【0277】
【化82】
【0278】
[0201] 実施例6に記載の手順を使用して、実施例5の生成物を実施例33Bに置き換え、tert−ブチルジメチルシリルクロリド(TBDMSクロリド)を塩化トリエチルシリルに置き換えることによって表題化合物を製造して、71.3%の表題生成物を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.69-3.63 (1H, m), 3.30-3.23 (2H, m), 2.47 (1H, dd, J = 10.8, 6.8 Hz), 2.30-2.18 (3H, m), 2.04-1.95 (1H, m), 1.95-1.83 (1H, m), 1.79-1.66 (5H, m), 1.53-1.41 (4H, m), 1.41-1.13 (3H, m), 1.10 (3H, d, J = 5.8 Hz), 0.94 (9H, t, J = 7.8 Hz), 0.84 (6H, t, J = 7.3 Hz), 0.65 (3H, s), 0.58 (6H, q, J = 7.8 Hz)。
【0279】
実施例35A
[0202] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である4−ヒドロキシブタン酸メチルの合成について記載する。
【0280】
【化83】
【0281】
[0203] 実施例30に記載の手順を使用して、3−ヒドロキシ−n−プロピオン酸を4−ヒドロキシ−n−酪酸(SinopharmChemical Reagent 社)に置き換えることによって表題化合物を製造して、87.6%の表題化合物を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.69 (2H, t, J = 6.1 Hz), 3.69 (3H, s), 2.45 (2H, t, J = 6.8 Hz), 1.93-1.86 (2H, m)。
【0282】
実施例35B
[0204] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である4−(トリメチルシリルオキシ)ブタン酸メチルの合成について記載する。
【0283】
【化84】
【0284】
[0205] 実施例25に記載の手順を使用して、実施例25の出発材料を実施例35Aの生成物に置き換えることによって表題化合物を製造して、71.3%の表題生成物を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.67 (3H, s), 3.61 (2H, t, J = 6.4 Hz), 2.39 (2H, t, J = 7.8 Hz), 1.88-1.81 (2H, m), 0.113 (9H, s)。
【0285】
実施例36
[0206] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である4−(1−(4−アセトキシ−7α−メチルオクタヒドロ−1H−インデン−1−イル)エトキシ)ブタン酸メチルの合成について記載する。
【0286】
【化85】
【0287】
[0207] 実施例26に記載の手順を使用して、実施例25の生成物を実施例35Aに置き換えることによって表題化合物を製造して、71.8%の表題生成物を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 5.15 (1H, d, J = 2.4 Hz), 3.68 (3H, s), 3.59-3.53 (1H, m), 3.30-3.21 (2H, m), 2.41 (2H, t, J = 7.3 Hz), 2.04 (3H, s), 1.91-1.81 (2H, m), 1.74-1.61 (3H, m), 1.54-1.29 (7H, m), 1.21-1.08 (2H, m), 1.05 (3H, d, J = 6.4 Hz), 0.89 (3H, s)。
【0288】
実施例37
[0208] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である1−(1−(4−エチル−4−ヒドロキシヘキシルオキシ)エチル)−7α−メチルヘキサヒドロ−1H−インデン−4(2H)−オンの合成について記載する。
【0289】
【化86】
【0290】
[0209] 実施例27及び28に記載の手順を使用して、実施例26の生成物を実施例36に置き換えることによって表題化合物を製造して、69.9%の表題生成物を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.58 (1H, dd, J = 14.7, 5.9 Hz), 3.30-3.20 (2H, m), 2.47 (1H, dd, J = 10.7, 7.3 Hz), 2.31-2.18 (3H, m), 2.03-1.95 (1H, m), 1.94-1.84 (1H, m), 1.81-1.69 (3H, m), 1.63-1.52 (3H, m), 1.51-1.44 (5H, m), 1.31-1.14 (3H, m), 1.10 (3H, d, J = 5.9 Hz), 0.86 (6H, t, J = 7.4 Hz), 0.65 (3H, s)。
【0291】
実施例38
[0210] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である((1R,3R)−5−((E)−2−(1−(1−(3−エチル−3−(トリエチルシリルオキシ)ペンチルオキシ)エチル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)−2−メチレンシクロヘキサン−1,3−ジイル)ビス(オキシ)ビス(tert−ブチルジメチルシラン)の合成について記載する。
【0292】
【化87】
【0293】
[0211] 表題化合物を実施例9及び10に記載の方法によって収率27.3%で製造した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.23 (1H, d, J = 11.2 Hz), 5.82 (1H, d, J = 11.2 Hz), 4.97 (1H, s), 4.92 (1H, s), 4.45-4.43 (2H, m), 3.67-3.59 (1H, m), 3.31-3.23 (2H, m), 2.83 (1H, d, J = 11.7 Hz), 2.51 (1H, dd, J = 13.7, 6.3 Hz), 2.46 (1H, dd, J = 13.7, 5.4 Hz), 2.33 (1H, dd, J = 13.7, 3.4 Hz), 2.21-2.13 (2H, m), 2.02 (1H, t, J = 9.3 Hz), 1.80-1.51 (11H, m), 1.47 (4, q, J=7.3 Hz), 1.09 (3H, d, J = 5.8Hz), 0.94 (9H, t, J = 7.8 Hz), 0.90 (9H, s), 0.87 (9H, s), 0.84 (6H, t, J = 7.3 Hz), 0.58 (6H, q, J = 7.8 Hz), 0.56 (3H, s), 0.081 (3H, s), 0.067 (3H, s), 0.050 (3H, s), 0.026 (3H, s)。
【0294】
実施例39
[0212] 本実施例は、本発明の一態様における、(1R,3R)−5−((E)−2−((1S,3αS,7αS)−1−((R)−1−(3−エチル−3−ヒドロキシペンチルオキシ)エチル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)−2−メチレンシクロヘキサン−1,3−ジオール(Vida−11)の合成について記載する。
【0295】
【化88】
【0296】
[0213] 表題化合物を実施例11に記載の方法によって収率58.7%で製造した。MS: m/z (%) 469 (27) [M + Na]+, 315 (40), 297 (100), 279 (54), 149 (8)。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 6.36 (1H, d, J = 11.2 Hz), 5.86 (1H, d, J = 11.2 Hz), 5.10 (2H, d, J = 7.8 Hz), 4.50-4.44 (2H, m), 3.80 (1H, td, J = 9.2, 4.5 Hz), 3.44-3.39 (1H, m), 3.30 (1H, s, br), 3.29-3.23 (1H, m), 2.82 (2H, td, J = 13.2, 4.5 Hz), 2.57 (1H, dd, J = 13.4, 3.9 Hz), 2.35-2.27 (2H, m), 2.12 (1H, d, J = 12.7 Hz), 2.02 (1H, t, J = 9.5 Hz), 1.90-1.41 (13H, m), 1.39-1.10 (2H, m), 1.13 (3H, d, J = 6.0 Hz), 0.86 (6H, t, J = 7.4 Hz), 0.56 (3H, s)。
【0297】
実施例40
[0214] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である6−(1−((E)−4−(2−((3R,5R)−3,5−ビス(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−4−メチレンシクロヘキシリデン)エチリデン)−7α−メチルオクタヒドロ−1H−インデン−1−イル)エトキシ)−3−エチルヘキサン−3−オールの合成について記載する。
【0298】
【化89】
【0299】
[0215] 表題化合物を実施例9及び10に記載の方法によって収率15.8%で製造した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.22 (1H, d, J = 11.0 Hz), 5.82 (1H, d, J = 11.0 Hz), 4.97 (1H, s), 4.92 (1H, s), 4.44-4.36 (2H, m), 3.56 (1H, dd, J = 14.6, 6.1 Hz), 3.28 (1H, dd, J = 9.8, 5.5 Hz), 3.25-3.18 (1H, m), 2.83 (1H, d, J = 11.6 Hz), 2.53-2.41 (2H, m), 2.37-2.30 (1H, m), 2.24-2.11 (2H, m), 2.02 (1H, t, J = 9.8 Hz), 1.79-1.10 (13H, m), 1.47 (4H, q, J = 4.3 Hz), 1.09 (3H, d, J = 5.5 Hz), 0.892 (9H, s), 0.86 (9H, s), 0.85 (6H, t, J = 7.3 Hz), 0.55 (3H, s), 0.076 (3H, s), 0.060 (3H, s), 0.046 (3H, s), 0.021 (3H, s)。
【0300】
実施例41
[0216] 本実施例は、本発明の一態様における、(1R,3R)−5−((E)−2−((1S,7αS)−1−((R)−1−(4−エチル−4−ヒドロキシヘキシルオキシ)エチル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)−2−メチレンシクロヘキサン−1,3−ジオール(Vida−21)の合成について記載する。
【0301】
【化90】
【0302】
[0217] 表題化合物を実施例9〜11に記載の方法によって収率40.9%で製造した。MS: m/z (%) 483 (55) [M + Na]+, 315 (34), 297 (100), 279 (45), 149 (13), 122 (37)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.37 (1H, d, J = 11.0 Hz), 5.87 (1H, d, J = 11.0 Hz), 5.10 (2H, d, J = 6.7 Hz), 4.57-4.42 (2H, m), 3.57 (1H, dd, J = 8.6, 6.1 Hz), 3.33-3.17 (2H, m), 2.89-2.77 (2H, m), 2.58 (1H, dd, J = 13.4, 3.7 Hz), 2.36-2.27 (2H, m), 2.24-2.14 (1H, m), 2.06-2.01 (2H, m), 1.86-1.10 (12H, m), 1.49 (4H, q, J = 7.3 Hz), 1.09 (3H, d, J = 6.1 Hz), 0.85 (6H, t, J = 7.4 Hz), 0.56 (3H, s)。
【0303】
実施例42
[0218] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である1−((R)−1−(3−ヒドロキシ−3−メチルブトキシ)エチル)−7α−メチルオクタヒドロ−1H−インデン−4−オールの合成について記載する。
【0304】
【化91】
【0305】
[0219] 臭化メチルマグネシウム(19.7mL,28ミリモル、5当量モル)の20mLのTHFの冷却(0℃)溶液へ実施例32(1.8g,5.5ミリモル)を窒素下で加えた。この混合物を3時間撹拌した。この反応物を塩化アンモニウム水溶液と水の添加によってクエンチした。生成物をEtOAcで抽出し、有機層をMgSOで乾燥させ、蒸発乾固させて、表題化合物(1.1g)を透明なオイルとして収率70.1%で得た。この化合物をさらなる精製も特性決定もせずに次の反応に使用した。
【0306】
実施例43
[0220] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である1−((R)−1−(3−ヒドロキシ−3−メチルブトキシ)エチル)−7α−メチルヘキサヒドロ−1H−インデン−4(2H)−オンの合成について記載する。
【0307】
【化92】
【0308】
[0221] 実施例28の製造に記載の方法によって、実施例27の生成物を実施例42に置き換えることによって、表題化合物を収率89.1%で製造した。この化合物をさらなる精製も特性決定もせずに次の反応に使用した。
【0309】
実施例44
[0222] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である7α−メチル−1−(1−(3−メチル−3−(トリエチルシリルオキシ)ブトキシ)エチル)ヘキサヒドロ−1H−インデン−4(2H)−オンの合成について記載する。
【0310】
【化93】
【0311】
[0223] 実施例43(980mg,3.45ミリモル)の冷却(−78℃)THF(20mL)溶液へ2,6−ルチジン(1.85g,17.3ミリモル)とトリエチルシリル−O−トリフレート(TESOTf,1.64g,6.21ミリモル)を加えた。得られた溶液を−78℃で5分間撹拌してから、0℃へ30分間温めた。次いで、これをCHClで抽出し、MgSOで乾燥させて、蒸発乾固させた。残渣を石油エーテル/EtOAc(20:1)で溶出させるフラッシュシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(900mg,65.7%)を透明なオイルとして得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.72 (1H, dd, J = 16.5, 8.2 Hz), 3.35-3.23 (2H, m), 2.47 (1H, t, J = 8.2 Hz), 2.29-2.18 (3H, m), 2.03-1.95 (1H, m), 1.94-1.88 (1H, m), 1.74-1.70 (5H, m), 1.63-1.53 (3H, m), 1.24 (3H, s), 1.22 (3H, s), 1.10 (3H, d, J = 5.5 Hz), 0.94 (9H, t, J = 7.8 Hz), 0.65 (3H, s), 0.56 (6H, q, J = 7.8 Hz)。
【0312】
実施例45
[0224] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である((4R,8R)−6−((E)−2−(7α−メチル−1−(1−(3−メチル−3−(トリエチルシリルオキシ)ブトキシ)エチル)ジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)スピロ[2.5]オクタン−4,8−ジイル)ビス(オキシ)ビス(tert−ブチルジメチルシラン)の合成について記載する。
【0313】
【化94】
【0314】
[0225] 実施例15Aの化合物(240mg,0.4ミリモル)を10mLのTHFに溶かして、アルゴン下で−78℃まで冷却した。この撹拌混合物へtert−ブチルリチウム(ペンタン中1.6M,0.33mL,0.52ミリモル)をゆっくり加えた。この反応混合物を−78℃で20分間撹拌した。次いで、この混合物へ2mLのTHF中の実施例44の生成物(160mg,0.4ミリモル)を加えた。−78℃で3時間、そして6℃で16時間撹拌後、EtOAcと水を加えた。有機層を分離させ、塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させて、真空で濃縮した。この粗製の材料を石油エーテル/EtO(50:1)で溶出させる分取用薄層クロマトグラフィーによって精製して、92mgの表題化合物を収率29.7%で得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.19 (1H, d, J = 11.0 Hz), 5.82 (1H, d, J = 11.4 Hz), 3.77-3.73 (1H, m), 3.71-3.60 (1H, m), 3.48 (1H, t, J = 5.5 Hz), 3.35-3.23 (2H, m), 2.83 (1H, d, J = 12.4 Hz), 2.46-2.35 (3H, m), 2.17-2.12 (2H, m), 2.01 (1H, t, J = 9.6 Hz), 1.78-1.69 (3H, m), 1.66-1.52 (6H, m), 1.48-1.30 (2H, m), 1.23 (3H, s), 1.21 (3H, s), 1.09 (3H, d, J = 6.0 Hz), 0.94 (9H, t, J = 7.8 Hz), 0.85 (18H, s), 0.59-0.53 (1H, m), 0.56 (6H, q, J = 7.8 Hz), 0.56 (3H, s), 0.47-0.39 (2H, m), 0.18-0.24 (1H, m), 0.069 (3H, s), 0.045 (3H, s), 0.029 (3H, s), 0.009 (3H, s)。
【0315】
実施例46
[0226] 本実施例は、本発明の一態様における、(4R,8R)−6−((E)−2−((1S,7αS)−1−((R)−1−(3−ヒドロキシ−3−メチルブトキシ)エチル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)スピロ[2.5]オクタン−4,8−ジオール(Vida−1)の合成について記載する。
【0316】
【化95】
【0317】
[0227] 実施例11に記載の方法によって表題化合物を製造した。92mgの実施例45を出発材料として、23mgの表題化合物を収率44%で得た。MS: m/z (%) 455 (36) [M + Na]+, 397 (10), 311 (67), 293 (100), 267 (26), 122 (45)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.33 (1H, d, J = 11.0 Hz), 5.86 (1H, d, J = 11.0 Hz), 3.88-3.81 (1H, m), 3.74 (1H, dd, J = 8.2, 4.1 Hz), 3.61 (1H, s, br), 3.55 (1H, dd, J = 5.5, 3.7 Hz), 3.48-3.43 (1H, m), 3.31-3.24 (1H, m), 2.93 (1H, t, J = 7.8 Hz), 2.83-2.74 (2H, m), 2.57 (1H, dd, J = 13.3, 2.8 Hz), 2.33-2.24 (2H, m), 2.12 (1H, d, J = 12.8 Hz), 2.02 (1H, t, J = 9.6 Hz), 1.89 (1H, ddd, J = 14.2, 9.6, 5.0 Hz), 1.80-1.48 (8H, m), 1.45-1.29 (1H, m), 1.24 (3H, s), 1.23 (3H, s), 1.14 (3H, d, J = 5.5 Hz), 0.97 (1H, t, J = 7.3 Hz), 0.73-0.66 (1H, m), 0.62-0.54 (2H, m), 0.56 (3H, s), 0.44-0.40 (1H, m)。
【0318】
実施例47
[0228] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である1−((R)−1−((S)−2,3−ジメチル−3−(トリエチルシリルオキシ)ブトキシ)エチル)−7α−メチルヘキサヒドロ−1H−インデン−4(2H)−オンの合成について記載する。
【0319】
【化96】
【0320】
[0229] 実施例44の製造に記載の方法より、実施例42の生成物を実施例28に置き換えることによって、表題化合物を収率62.3%で製造した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.50 (1H, dd, J = 8.3, 2.3 Hz), 3.28-3.17 (2H, m), 2.46 (1H, dd, J = 11.0, 8.3 Hz), 2.34-2.17 (3H, m), 2.04-1.83 (2H, m), 1.83-1.64 (4H, m), 1.63-1.51 (3H, m), 1.20 (3H, s), 1.11 (3H, s), 1.07 (3H, d, J = 6.0 Hz), 0.95 (3H, d, J = 7.8 Hz), 0.94 (9H, t, J = 7.8 Hz), 0.64 (3H, s), 0.57 (6H, q, J = 7.8 Hz)。
【0321】
実施例48
[0230] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である(4R,8R)−6−((E)−2−(1−((R)−1−((S)−3−tert−ブチルジメチルヒドロキシ−2,3−ジメチルブトキシ)エチル)−4,8−(ジtert−ブチルジメチルシリルオキシ)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)スピロ[2.5]オクタンの合成について記載する。
【0322】
【化97】
【0323】
[0231] 実施例45に記載の方法によって、実施例15Aの生成物を実施例47に置き換えて、表題化合物を収率40%で製造した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.19 (1H, d, J = 11.5 Hz), 5.82 (1H, d, J = 11.4 Hz), 3.76 (1H, dd, J = 7.8, 3.7 Hz), 3.52 (1H, dd, J = 8.7, 3.2 Hz), 3.49 (1H, t, J = 5.0 Hz), 3.26-3.21 (2H, m), 2.83 (1H, d, J = 11.9 Hz), 2.44-2.36 (3H, m), 2.19-2.13 (2H, m), 2.01 (1H, t, J = 9.6 Hz), 1.78-1.48 (8H, m), 1.33-1.24 (2H, m), 1.20 (3H, s), 1.12 (3H, s), 1.06 (3H, d, J = 6.0 Hz), 0.96 (3H, d, J = 6.0 Hz), 0.95 (9H, t, J = 7.8 Hz), 0.86 (18 H, s), 0.60-0.54 (1H, m), 0.57 (6H, q, J = 7.8 Hz), 0.56 (3H, s), 0.47-0.41 (2H, m), 0.29-0.24 (1H, m), 0.076 (3H, s), 0.051 (3H, s), 0.036 (3H, s), 0.014 (3H, s)。
【0324】
実施例49
[0232] 本実施例は、本発明の一態様における、(4R,8R)−6−((E)−2−((3αS,7αS)−1−((R)−1−((S)−3−ヒドロキシ−2,3−ジメチルブトキシ)エチル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)スピロ[2.5]オクタン−4,8−ジオール(Vida−4)の合成について記載する。
【0325】
【化98】
【0326】
[0233] 表題化合物を実施例11に記載の方法によって製造した。63mgの実施例48を出発材料として、25mgの表題化合物を収率70.1%で得た。MS: m/z (%) 469 (18) [M + Na]+, 429 (8), 411 (13), 311 (86), 293 (100), 267 (26)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.29 (1H, d, J = 11.0 Hz), 5.84 (1H, d, J = 11.4 Hz), 3.74 (1H, dd, J = 9.2, 4.1 Hz), 3.71 (1H, dd, J = 8.3, 4.1 Hz), 3.51 (1H, dd, J = 5.9, 3.6 Hz), 3.30 (1H, dd, J = 9.2, 5.5 Hz), 3.25 (1H, dd, J = 9.6, 5.9 Hz), 2.80-2.70 (2H, m), 2.54 (1H, dd, J = 13.3, 2.8 Hz), 2.22-2.27 (2H, m), 2.11 (1H, d, J = 12.8 Hz), 1.99 (1H, t, J = 9.2 Hz), 1.79-1.41 (9H, m), 1.35-1.24 (1H, m), 1.22 (3H, s), 1.13 (3H, s), 1.11 (3H, d, J = 6.0 Hz), 0.98 (3H, d, J = 6.9 Hz), 0.70-0.62 (1H, m), 0.587-0.511 (2H, m), 0.55 (3H, s), 0.41-0.36 (1H,)。
【0327】
実施例50
[0234] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である(4R,8R)−6−((E)−2−((1S,7αS)−1−((R)−1−(4−エチル−4−ヒドロキシヘキシルオキシ)エチル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)スピロ[2.5]オクタン−4,8−ジイル)ビス(オキシ)ビス(tert−ブチルジメチルシラン)の合成について記載する。
【0328】
【化99】
【0329】
[0235] 実施例45に記載の方法によって、実施例44の生成物を実施例37に置き換えることによって、表題化合物を製造した。実施例37(65mg,0.2ミリモル)と実施例15B(120mg,0.2ミリモル)を使用して、16mgの表題化合物を収率11.4%で得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.18 (1H, d, J = 11.0 Hz), 5.81 (1H, d, J = 11.5 Hz), 3.75 (1H, dd, J = 7.76, 3.64 Hz), 3.59-3.52 (1H, m), 3.48 (1H, s, br), 3.31-3.21 (3H, m), 2.82 (1H, d, J = 12.8 Hz), 2.45-2.34 (3H, m), 2.16-2.12 (2H, m), 2.08-1.98 (2H, m), 1.75-1.23 (16H, m), 1.09 (3H, d, J = 5.5 Hz), 0.84 (18H, s), 0.84 (6H, t, J = 8.3 Hz), 0.58-0.51 (1H, m), 0.55 (3H, s), 0.45-0.40 (2H, m), 0.28-0.22 (1H, m), 0.04 (3H, s), 0.02 (3H, s), 0.00 (6H, s)。
【0330】
実施例51
[0236] 本実施例は、本発明の一態様における、(4R,8R)−6−((E)−2−((1S,7αS)−1−((R)−1−(4−エチル−4−ヒドロキシヘキシルオキシ)エチル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)スピロ[2.5]オクタン−4,8−ジオール(Vida−20)の合成について記載する。
【0331】
【化100】
【0332】
[0237] 実施例50の生成物(64mg,0.091ミリモル)とフッ化テトラ(n−ブチル)アンモニウム(10mL)より、実施例11に記載の手順に従って、表題化合物を製造した。従って、20mgの表題化合物を収率46.3%で入手した。MS: m/z (%) 497 (27) [M + Na]+, 421 (7), 311 (98), 293 (100), 267 (12), 122 (8)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.34 (1H, d, J = 11.4 Hz), 5.86 (1H, d, J = 11.4 Hz), 3.74 (1H, dd, J = 8.2, 4.1 Hz), 3.59-3.54 (2H, m), 3.31-3.19 (2H, m), 2.82 (1H, dd, J = 12.4, 4.1 Hz), 2.78 (1H, dd, J = 13.3, 3.7 Hz), 2.57 (1H, dd, J = 13.3, 3.2 Hz), 2.29 (1H, dd, J = 13.3, 2.8 Hz), 2.27 (1H, d, J = 13.3 Hz), 2.16 (1H, d, J = 12.4 Hz), 2.03 (1H, t, J = 9.6 Hz), 1.80-1.41 (17H, m), 1.33 (1H, td, J = 13.3, 4.1 Hz), 1.21-1.14 (1H, m), 1.09 (3H, d, J = 6.0 Hz), 0.55 (3H, t, J = 7.4 Hz), 0.85 (3H, t, J = 7.8 Hz), 0.71-0.66 (1H, m), 0.62-0.54 (2H, m), 0.56 (3H, s), 0.44-0.40 (1H, m)。
【0333】
実施例52
[0238] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体であるピバル酸(S)−2−((1R,3αR,4S,7αR)−4−ヒドロキシ−7α−メチルオクタヒドロ−1H−インデン−1−イル)プロピルの合成について記載する。
【0334】
【化101】
【0335】
[0239] 実施例19の化合物(1.57g,6.7ミリモル)を10mLのCHClと5mLのピリジンに溶かし、この溶液を0℃まで冷却して、0.94mLの塩化ピバロイルを5分にわたり滴下した。得られた混合物を0℃で4時間撹拌してから、周囲温度へ一晩温めた。この反応物を水でクエンチして、この混合物を、浴を周囲温度未満に維持して真空で濃縮した。この粗製の材料をエーテルと0.5N HCl水溶液の間で分配して、有機相を0.5N HCl水溶液に次いで塩水で洗浄して、NaSOで乾燥させた。溶媒を真空で除去し、残渣をヘキサン中10%〜20% EtOAcの勾配で溶出させる Analogix IntelliFlash 280 でのクロマトグラフィーによって精製した。生成物(1.25g=収率63%)を白色の固形物として単離した。
【0336】
実施例53
[0240] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体であるピバル酸(S)−2−((1R,3αR,7αR)−7α−メチル−4−オキソオクタヒドロ−1H−インデン−1−イル)プロピルの合成について記載する。
【0337】
【化102】
【0338】
実施例52の化合物(1.1g,3.7ミリモル)を5mLのCHClに溶かして0℃まで冷却し、4.1gのジクロム酸ピリジニウム(PDC)に続いて30mgのp−トルエンスルホン酸ピリジニウム(PPTS)を加えた。得られた混合物を0℃で8時間撹拌して、さらに1.8gのPDCと20mgのPPTSを加えて、この混合物をそのまま周囲温度へ一晩温めた。この混合物をエーテルで希釈して、Celiteのパッドに通して濾過し、エーテル洗浄を続けた。濾液を1N HCl水溶液で洗浄してから、シリカゲルのプラグに通して濾過した。この粗生成物をヘキサン中10%〜15% EtOAcの勾配で溶出させる Analogix IntelliFlash 280 でのクロマトグラフィーによって精製した。表題化合物を無色のオイルとして単離した。収量1.0g,収率94%。
【0339】
実施例54
[0241] 本実施例は、本発明の一態様における、19−ノル−1α,3−ビス(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−メチレン−23−オキサ−24−オキソ−25−メチルビタミンD3の合成について記載する。
【0340】
【化103】
【0341】
[0242] 以下の合成は、暗くしたフード内で実施した。実施例9の化合物(0.75g,1.3ミリモル)を実施例53の化合物(0.66g,2.2ミリモル)と混合して、得られた混合物を5mLのトルエンとともに2回共沸させることによって乾燥させた。THF(10mL)を加えて、この溶液を−78℃まで冷却した。LiHMDSの溶液(THF中1M;2.0mL)を滴下すると、20分で退色する黄色〜橙色を生成した。この溶液をこの温度で2.2時間撹拌した。この反応物を10mLの1N NHCl水溶液の添加によってクエンチして、この混合物をEtOAcで抽出した。この有機抽出物を塩水で洗浄して、NaSOで乾燥させた。溶媒を真空で除去して、残渣をヘキサン中0%〜20% EtOAcの勾配で溶出させる Analogix IntelliFlash 280 でのクロマトグラフィーによって精製した。表題化合物(0.53g,収率63%)を0.34gの未反応ケトンとともに無色のオイルとして単離した。
【0342】
実施例55
[0243] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である(S)−2−((1R,3αS,7αR,E)−4−(2−((3R,5R)−3,5−ビス(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−4−メチレンシクロヘキシリデン)エチリデン)−7α−メチルオクタヒドロ−1H−インデン−1−イル)プロパン−1−オールの合成について記載する。
【0343】
【化104】
【0344】
[0244] 以下の合成は、暗くしたフード内で実施した。成分Eの化合物(0.53g,0.80ミリモル)を8mLのエーテルに溶かして、−78℃まで冷却した。水素化アルミニウムリチウム(LAH)のTHF溶液(1.0M,4mL,5当量)を加えて、この混合物を10分間撹拌してから、0℃まで50分間温めた。この反応物を、EtOAcに続くロシェル塩の慎重な添加によってクエンチした。2時間撹拌後、この混合物をEtOAcで抽出し、有機抽出物を塩水で洗浄して、NaSOで乾燥させた。溶媒を真空で除去すると、白色の固形物(0.46g=収率100%)が残った。
【0345】
実施例56
[0245] 本実施例は、本発明の一態様における、(1R,3R)−5−((E)−2−((1R,3αS,7αR)−7α−メチル−1−((S)−1−フェノキシプロパン−2−イル)ジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)−2−メチレンシクロヘキサン−1,3−ジオール(Vida−36)の合成について記載する。
【0346】
【化105】
【0347】
[0246] 以下の合成は、暗くしたフード内で実施した。実施例55の化合物(16mg,0.028ミリモル)を2mLのトルエン中の8mgのフェノールと20mgのトリフェニルホスフィン(TPP)に続いて、18mgのアゾジカルボン酸ジ(tert−ブチル)ベンジル(DBAD)と混合した。この混合物をアルゴンでパージして、85℃で4時間加熱した。真空での溶媒除去後、残渣をヘキサン中0%〜5% EtOAcの勾配で溶出させる Analogix IntelliFlash 280 でのクロマトグラフィーによって精製した。この生成物(6mg)を1.5mLのTHF中1N TBAFに溶かした。周囲温度で3時間撹拌後、この反応混合物をEtOAcと水の間で分配した。有機相を塩水で洗浄して、NaSOで乾燥させた。溶媒を真空で除去して、残渣をヘキサン中25%〜45% EtOAcの勾配で溶出させる Analogix IntelliFlash 280 でのクロマトグラフィーによって精製した。生成物(4mg)を無色のオイルとして単離した。
【0348】
実施例57
[0247] 本実施例は、本発明の一態様における、(4R,8R)−6−((E)−2−(1−((R)−1−(3−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)フェノキシ)プロパン−2−イル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)スピロ[2.5]オクタン−4,8−ジオール(Vida−57)の合成について記載する。
【0349】
実施例57−A
[0248] 本実施例は、本発明の一態様における、(1R,3αR,7αR)−7a−メチル−1−((R)−1−(トリエチルシリルオキシ)プロパン−2−イル)オクタヒドロ−1H−インデン−4−オールの合成について記載する。
【0350】
【化106】
【0351】
[0249] (1R,3αR,7αR)−1−((R)−1−ヒドロキシプロパン−2−イル)−7α−メチルオクタヒドロ−1H−インデン−4−オール(0.2g,0.94ミリモル)の10mLの無水CHCl溶液へ40% NEt溶液(0.26mL)、DMAP(18mg,0.15ミリモル)に続いてTESCl(0.22g,1.42ミリモル)を室温で加える。この溶液を周囲温度で1時間撹拌してから、飽和NHCl溶液(15mL)でクエンチする。この混合物をCHClで抽出して、集めた有機相を飽和NHCl溶液で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過して、濃縮して、無色のオイル(0.37g)を得る。この粗生成物をさらに精製せずに次の工程に使用する。
【0352】
実施例57−B
[0250] 本実施例は、本発明の一態様における、(1R,3αR,7αR)−7a−メチル−1−((R)−1−(トリエチルシリルオキシ)プロパン−2−イル)ヘキサヒドロ−1H−インデン−4(2H)−オンの合成について記載する。
【0353】
【化107】
【0354】
[0251] (1R,3αR,7αR)−7a−メチル−1−((R)−1−(トリエチルシリルオキシ)プロパン−2−イル)オクタヒドロ−1H−インデン−4−オール(実施例57−A)をCHCl(10mL)に溶かしてから、PCC(1.41ミリモル)を加える。2時間撹拌後、この反応混合物を飽和NHCl溶液でクエンチして、この混合物をEtOAcで抽出する。集めた有機相を飽和NaCl溶液で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過して、濃縮する。得られた残渣をシリカゲルカラムでクロマトグラフ処理して、ケトン(268mg,87%)を得る。1H-NMR(400 MHz, CDCl3): δ 0.60 (q, 6H, J = 4.4 Hz), 0.66 (s, 3H), 0.93 (d, 3H, J = 2.4 Hz), 0.98 (t, 9H, J = 2.8 Hz), 1.25-1.70 (m, 5H), 1.80-2.10 (m, 6H), 2.20-2.30 (m, 2H), 2.40-2.50 (m, 1H), 3.35-3.45 (m, 1H), 3.60-3.70 (m, 1H)。
【0355】
実施例57−C
[0252] 本実施例は、本発明の一態様における、2−((4R,8R)−4,8−ビス(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)スピロ[2.5]オクタン−6−イリデン)酢酸メチルの合成について記載する。
【0356】
【化108】
【0357】
[0253] DIPEA(72ml,0.7ミリモル)の無水THF(1mL)撹拌溶液へn−BuLi(0.29ml,ヘキサン中2.5M)を−78℃で加える。この混合物を−78℃で10分間撹拌して、無水THF(1.5ml)中のMeSiCHCOEt(115mg,0.7ミリモル)を加える。この混合物を−78℃で30分間撹拌する。(4R,8R)−4,8−ビス(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)スピロ[2.5]オクタン−6−オン(実施例57−B,100mg,0.27ミリモル)を−78℃で滴下する。この反応混合物を−78℃で40分間撹拌し、飽和NHCl溶液(10ml)と塩水(50ml)へ注ぎ、酢酸エチルで抽出し、塩水で洗浄し、乾燥(NaSO)させて、蒸発させてオイル(92mg)を得る。1H-NMR(400 MHz, CDCl3): δ 0.05 (s, 12H), 0.37-0.60 (m, 4H), 0.88 (s, 18H), 1.29 (t, 3H, J = 6 Hz), 2.23-2.43 (m, 2H), 2.97-3.07 (m, 2H), 3.62-3.63 (d, 1H, J = 3.2 Hz), 3.80-3.81 (d, 1H, J = 4 Hz), 5.74 (s, 1H)。
【0358】
実施例57−D
[0254] 本実施例は、本発明の一態様における、2−((4R,8R)−4,8−ビス(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)スピロ[2.5]オクタン−6−イリデン)エタノールの合成について記載する。
【0359】
【化109】
【0360】
[0255] 2−((4R,8R)−4,8−ビス(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)スピロ[2.5]オクタン−6−イリデン)酢酸メチル(実施例57−C,89mg,0.22ミリモル)のトルエン(1mL)及びDCM(1ml)撹拌溶液へDIBALH(2.1ml,トルエン中1.0M)を加える。この反応混合物を45分間撹拌し、飽和NHCl溶液(10ml)、0.1N HCl溶液、及び塩水へ注ぎ、酢酸エチルで抽出し、塩水で洗浄し、乾燥(NaSO)させ、蒸発させて、オイル(500mg)を得る。このオイルをクロマトグラムゲルカラムによって精製して、46mg(収率77%)の固形物を得る。
【0361】
実施例57−E
[0256] 本実施例は、本発明の一態様における、2−(2−((4R,8R)−4,8−ビス(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)スピロ[2.5]オクタン−6−イリデン)エチルスルホニル)ベンゾ[d]チアゾールの合成について記載する。
【0362】
【化110】
【0363】
[0257] ベンゾ[d]チアゾール−2−チオール(37mg,0.22ミリモル)及びPPh(146mg,0.55ミリモル)のDCM撹拌溶液へDCM中の2−((4R,8R)−4,8−ビス(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)スピロ[2.5]オクタン−6−イリデン)エタノール(実施例57−D,46mg,0.11ミリモル)を加えてから、DIAD(115mg,0.55ミリモル)を滴下する。この反応混合物を0℃で1時間撹拌してから濃縮して、黄色のオイルを得る。このオイルをエタノールに溶かして、30% Hと(NHMo24・4HO(20mg)を室温で加えた。この反応混合物を室温で3時間撹拌する。次いで、これを飽和NaHCO溶液でクエンチして、酢酸エチルで抽出する。この酢酸エチル層を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、蒸発させて、25mgの白色の固形物を得る。1H-NMR(400 MHz, CDCl3): δ 0.05 (s, 12H), 0.30-0.49 (m, 4H), 0.85 (s, 18H), 2.07-2.11 (m, 2H), 2.21-2.40 (m, 2H), 3.56 (d, 1H, J = 3.6 Hz), 3.63 (d, 1H, J = 3.6 Hz), 4.24-4.33 (m, 2H), 5.36 (s, 1H), 7.62-7.66 (m, 2H), 8.03 (d, 1H, J = 7.6 Hz), 8.24 (d, 1H, J = 8 Hz)。
【0364】
実施例57−F
[0258] 本実施例は、本発明の一態様における、((4R,8R)−6−((E)−2−((1R,3αS,7αR)−7α−メチル−1−((R)−1−(トリエチルシリルオキシ)プロパン−2−イル)ジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)スピロ[2.5]オクタン−4,8−ジイル)ビス(オキシ)ビス(tert−ブチルジメチルシラン)の合成について記載する。
【0365】
【化111】
【0366】
[0259] 50mLの2首フラスコへ2−(2−((4R,8R)−4,8−ビス(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)-スピロ[2.5]オクタン−6−イリデン)エチルチオ)ベンゾ[d]チアゾール(実施例57−E,0.6g,1.01ミリモル)と乾燥THFを窒素雰囲気下で加える。この溶液を−78℃まで冷却する。この溶液へTHF中のNaHMDS(1.0M,1ミリモル)を滴下する。次いで、(1R,3αR,7αR)−7α−メチル−1−((R)−1−(トリエチルシリルオキシ)プロパン−2−イル)ヘキサヒドロ−1H−インデン−4(2H)−オン(360mg,1.1ミリモル)を加える。−78℃で1時間の撹拌後、この反応物を室温まで温めて、1時間撹拌する。この混合物を飽和NHCl溶液でクエンチして、EtOAcで抽出する。有機相を集めて塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させて、真空で濃縮する。シリカゲルカラムでの精製によって、150mg(純度80%)の表題生成物を無色のオイルとして得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ 0.08 (m, 21H), 0.60 (m, 6H), 0.63 (s, 3H), 0.90 (s, 18H), 0.88-2.51 (m, 20H), 3.33 (t, 1H, J = 7.8 Hz), 3.73 (dd, 1H, J = 10.0, 4.4 Hz), 4.42 (m, 2H), 4.96 (d, 2H, J = 4.4 Hz), 6.12 (d, 1H, J = 10.8 Hz), 6.31 (d, 1H, J = 11.2 Hz)。
【0367】
実施例57−G
[0260] 本実施例は、本発明の一態様における、(2R)−2−((1R,3αS,7αR,E)−4−(2−((4R,8R)−4,8−ビス(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)スピロ[2.5]オクタン−6−イリデン)エチリデン)−7α−メチルオクタヒドロ−1H−インデン−1−イル)プロパン−1−オールの合成について記載する。
【0368】
【化112】
【0369】
[0261] ((4R,8R)−6−((E)−2−((1R,3αS,7αR)−7α−メチル−1−((R)−1−(トリエチルシリルオキシ)プロパン−2−イル)ジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7aH)−イリデン)エチリデン)スピロ[2.5]オクタン−4,8−ジイル)ビス(オキシ)ビス(tert−ブチルジメチルシラン)(実施例57−G,200mg,0.45ミリモル)のTHF溶液へTBAF(0.45ミリモル)を窒素雰囲気下で加えて、この混合物を室温で3.5時間撹拌する。この混合物を濃縮して、この粗生成物をショートゲルカラムで精製して、90mgの表題生成物を無色のオイルとして得る。この粗生成物をさらに精製せずに次の工程に使用する。
【0370】
実施例57−H
[0262] 本実施例は、本発明の一態様における、4−メチルベンゼンスルホン酸(2R)−2−((1R,3αS,7αR,E)−4−(2−((4R,8R)−4,8−ビス(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)スピロ[2.5]オクタン−6−イリデン)エチリデン)−7α−メチルオクタヒドロ−1H−インデン−1−イル)プロピルの合成について記載する。
【0371】
【化113】
【0372】
[0263] (2R)−2−((1R,αS,7αR,E)−4−(2−((4R,8R)−4,8−ビス(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)スピロ−[2.5]オクタン−6−イリデン)エチリデン)−7α−メチルオクタヒドロ−1H−インデン−1−イル)プロパン−1−オール(実施例57−G,195mg,0.33ミリモル)のDCM溶液へ10℃でNEt(166mg,1.65ミリモル)、DMAP(100mg,0.097モル)を加えてから、TsCl(191mg,1ミリモル)を加える。この混合物を25℃で一晩撹拌する。次いで、この反応溶液をDCMで希釈して、飽和NaHCO水溶液を加えることによってクエンチする。この混合物を室温で20分間撹拌してから、分離させる。有機相を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させて、真空で濃縮する。この粗生成物を精製して、表題化合物(192mg)を無色のオイルとして得る。
【0373】
実施例57−I
[0264] 本実施例は、本発明の一態様における、2−(3−((2R)−2−((1R,3αS,7αR,E)−4−(2−((4R,8R)−4,8−ビス(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)スピロ[2.5]オクタン−6−イリデン)エチリデン)−7α−メチルオクタヒドロ−1H−インデン−1−イル)プロポキシ)フェニル)プロパン−2−オールの合成について記載する。
【0374】
【化114】
【0375】
[0265] NaH(60%,23mg,0.58ミリモル)のDMF(2mL)懸濁液へ3−(2−ヒドロキシプロパン−イル)−フェノール(100mg,0.672ミリモル)を窒素雰囲気下で加える。この混合物を室温で1時間撹拌する。この溶液へ4−メチルベンゼンスルホン酸(2R)−2−((1R,3αS,7αR,E)−4−(2−((4R,8R)−4,8−ビス(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)スピロ[2.5]オクタン−6−イリデン)エチリデン)−7α−メチルオクタヒドロ−1H−インデン−1−イル)プロピル(実施例57−H,57mg,0.07ミリモル)を加える。この混合物を室温で一晩撹拌してから、水でクエンチして、DCMで抽出する。この有機相を集めて塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させて、真空で濃縮する。ショートカラムでの精製によって、表題化合物(43mg)を無色のオイルとして得る。
【0376】
実施例57−J
[0266] 本実施例は、本発明の一態様における、(4R,8R)−6−((E)−2−(1−((R)−1−(3−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)フェノキシ)プロパン−2−イル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)スピロ[2.5]オクタン−4,8−ジオール(Vida−57)の合成について記載する。
【0377】
【化115】
【0378】
[0267] 2−(3−((2R)−2−((1R,3αS,7αR,E)−4−(2−((4R,8R)−4,8−ビス(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)スピロ[2.5]オクタン−6−イリデン)エチリデン)−7α−メチルオクタヒドロ−1H−インデン−1−イル)プロポキシ)フェニル)プロパン−2−オール(実施例57−I,43mg,0.06ミリモル)のMeOH溶液へCSA(800mg)を加えて、この混合物を室温で8時間撹拌する。次いで、この混合物を水でクエンチし、DCMで抽出して、真空で濃縮する。精製によって、表題化合物(23mg)を無色のオイルとして得る。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 0.73 (s, 3H), 1.09 (d, 3H, J = 6.8Hz), 1.58 (s, 6H), 1.29-2.62 (m, 20H), 4.01(d, 1H, J = 3.6 Hz), 4.50 (m, 2H), 5.12 (d, 2H, J = 3.2 Hz), 6.19 (d, 1H, J = 11.6 Hz), 6.53 (d, 1H, J = 11.6 Hz), 6.78 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.06 (m, 2H), 7.26 (m, 2H)。13C-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 13.31 (C18), 17.23 (C21), 24.02 (C15), 26.26 (C16), 27.28 (C9), 31.74 (C26,27), 35.68 (C20), 36.88 (C10), 39.17 (C12), 40.02 (C4), 46.45-46.55 (C13), 51.72 (C17), 55.87 (C14), 71.21 (C3), 71.56 (C1), 71.99 (C25), 72.58 (C22), 107.78 (C28), 111.26 (C31), 112.13 (C19), 116.59 (C7), 119.72 (C29), 125.23 (C6), 129.19 (C30), 131.18 (C8), 142.00 (C5), 150.87 (C24), 152.01 (C2), 159.24 (C23)。
【0379】
実施例58
[0268] 本実施例は、本発明の一態様における、(1R,3R)−5−((E)−2−(1−((R)−1−(3−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)フェノキシ)プロパン−2−イル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)−2−メチレンシクロヘキサン−1,3−ジオール(Vida−37)の合成について記載する。
【0380】
【化116】
【0381】
[0269] 実施例63の化合物(34mg,0.048ミリモル)とMeOH(2mL)を含有する溶液へDowex 50WX4樹脂(200mg)を加えた。この混合物を室温で4時間撹拌した。この混合物を濾過して、濾過ケークをMeOHで洗浄した。有機相を集めて濃縮した。残渣を分取用TLC(PE/EA=2/1)によって精製して、表題生成物(12mg,67%)を得た。1H-NMR(400 MHz, CDCl3): δ 0.73 (s, 3H), 1.09 (d, 3H, J = 6.8Hz), 1.58 (s, 6H), 1.29-2.62 (m, 20H), 4.01(d, 1H, J = 3.6 Hz), 4.50 (m, 2H), 5.12 (d, 2H, J = 3.2 Hz), 6.19 (d, 1H, J = 11.6 Hz), 6.53 (d, 1H, J = 11.6 Hz), 6.78 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.06 (m, 2H), 7.26 (m, 2H)。13C-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 13.31 (C18), 17.23 (C21), 24.02 (C15), 26.26 (C16), 27.28 (C9), 31.74 (C26,27), 35.68 (C20), 36.88 (C10), 39.17 (C12), 40.02 (C4), 46.45-46.55 (C13), 51.72 (C17), 55.87 (C14), 71.21 (C3), 71.56 (C1), 71.99 (C25), 72.58 (C22), 107.78 (C28), 111.26 (C31), 112.13 (C19), 116.59 (C7), 119.72 (C29), 125.23 (C6), 129.19 (C30), 131.18 (C8), 142.00 (C5), 150.87 (C24), 152.01 (C2), 159.24 (C23)。
【0382】
実施例59A
[0270] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である2−(3−((2R)−2−((1R,7αR,E)−4−(2−((3R,5R)−3,5−ビス(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−4−メチレンシクロヘキシリデン)エチリデン)−7α−メチルオクタヒドロ−1H−インデン−1−イル)プロピルチオ)フェニル)プロパン−2−オールの合成について記載する。
【0383】
【化117】
【0384】
[0271] NaH(60%,15.6mg,0.39ミリモル)のDMF(1mL)懸濁液へ2−(3−メルカプトフェニル)プロパン−2−オール(70mg,0.42ミリモル)をN雰囲気下で加えた。この混合物を室温で1時間撹拌した。この溶液へ実施例62の化合物(90mg,0.12ミリモル)を加えた。この混合物を室温で一晩撹拌してから、水(20mL)でクエンチして、AcOEt(20mLx3)で抽出した。この有機相を集め、塩水(20mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させて、真空で濃縮した。シリカゲルカラム(石油エーテル/AcOEt=20/1)での精製によって、表題化合物(77mg,86%)を無色のオイルとして得た。1H-NMR(400 MHz, CDCl3): δ 0.02-0.10 (m, 12H) 0.63 (s, 3H), 0.85-0.95 (m, 18 H), 1.08 (d, 3H, J = 6.4 Hz), 1.25-2.70 (m, 24 H), 2.72-2.82 (m, 1H), 3.24-3.31 (m, 1H), 4.05 (d, 1H, J = 2 Hz), 4.40 (d, 2H, J = 4.8 Hz), 4.96 (d, 2H, J = 3.2 Hz), 6.12 (d, 1H, J = 11.2 Hz), 6.29 (d, 1H, J = 11.2 Hz), 7.22-7.31 (m, 3H), 7.50 (d, 1H, J = 1.6 Hz)。
【0385】
実施例59B
[0272] 本実施例は、本発明の一態様における、(1R,3R)−5−((E)−2−(1−((R)−1−(3−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)フェニルチオ)プロパン−2−イル)−7α−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)−2−メチレンシクロヘキサン−1,3−ジオール(Vida−43)の合成について記載する。
【0386】
【化118】
【0387】
[0273] 実施例59Aからの化合物(70mg,0.09ミリモル)のMeOH(2mL)溶液へ+(−)カンファースルホン酸(CSA)(72mg,0.155ミリモル)を加えて、この混合物を室温で4時間撹拌し、飽和NaHCO水溶液(20mL)でクエンチして、AcOEt(20mLx3)で抽出した。有機相を集めて、塩水(20mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させて、真空で濃縮した。残渣を分取用TLC(石油エーテル/AcOEt=2/1)によって精製して、表題生成物(29mg,60%)を得た。1H-NMR(400 MHz, CDCl3): δ 0.63 (s, 3H), 1.08 (d, 3H, J = 6.4Hz), 1.25-1.26 (m, 4 H), 1.58 (s, 6H), 1.92-2.72 (m, 16H), 2.78 (d, 1H, J = 4 Hz), 3.24 (d, 1H, J = 8 Hz), 4.47 (d, 2H, J = 3.6 Hz), 5.09 (d, 1H, J = 2.8 Hz), 6.17 (d, 1H, J = 7.2 Hz), 6.50 (d, 1H, J = 11.2 Hz), 7.22-7.19 (m, 3H), 7.50 (s, 1H)。13C-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 13.29 (C18), 18.87 (C21), 24.02 (C15,11), 26.17 (C16), 27.11 (C9), 31.71 (C26, 27), 35.15 (C20), 36.84 (C10), 39.13 (C12), 40.49 (C22), 41.15 (C4), 46.48-46.53 (C13), 54.15 (C14), 55.78 (C17), 71.16 (C3), 71.48 (C1), 72.51 (C25), 107.81 (C19), 119.82 (C7), 121.96 (C28), 125.07 (C29), 125.30 (C31), 127.29 (C6), 128.69 (C30), 131.37 (C8), 137.46 (C23), 141.70 (C5), 149.82 (C24), 151.96 (C2)。
【0388】
実施例60
[0274] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である((1R,3R)−5−((E)−2−((1R,3αS,7αaR)−7α−メチル−1−((R)−1−(トリエチルシリルオキシ)プロパン−2−イル)ジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7αH)−イリデン)エチリデン)−2−メチレンシクロヘキサン−1,3−ジイル)ビス(オキシ)ビス(tert−ブチルジメチルシラン)の合成について記載する。
【0389】
【化119】
【0390】
[0275] 50mLの2首フラスコへ2−(2−((3R,5R)−3,5−ビス(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−4−メチレンシクロヘキシリデン)エチルスルホニル)ベンゾ[d]チアゾール(実施例64,0.434g,0.75ミリモル)、(1R,3αR,7αR)−7α−メチル−1−((R)−1−(トリエチルシリルオキシ)プロパン−2−イル)ヘキサヒドロ−1H−インデン−4(2H)−オン(実施例69,268mg,0.825ミリモル)、及び乾燥THF(5mL)を窒素雰囲気下で加えた。この溶液を−78℃まで冷却した。次に、この溶液へTHF中のNaHMDS(1.0M,0.75mL,0.75ミリモル)を滴下した。1時間後、この添加が完了して、この溶液を−78℃で2時間撹拌してから室温まで温めて、15時間撹拌した。この混合物を飽和NHCl溶液(20mL)でクエンチして、EtOAc(20mLx2)で抽出した。この有機相を集めて塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させて、真空で濃縮した。シリカゲルカラム(石油エーテル/EtOAc=100/1)での精製によって、91mgの表題生成物(17%,純度80%)を無色のオイルとして得た。1H NMR(400 MHz, CDCl3): δ 0.08 (m, 21 H), 0.60 (m, 6H), 0.63 (s, 3H), 0.90 (s, 18H), 0.88-2.51 (m, 20H), 3.33 (t, 1H, J = 7.8 Hz), 3.73 (dd, 1H, J = 10.0, 4.4 Hz), 4.42 (m, 2H), 4.96 (d, 2H, J = 4.4 Hz), 6.12 (d, 1H, J = 10.8 Hz), 6.31 (d, 1H, J = 11.2 Hz)。
【0391】
実施例61
[0276] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である(R)−2−((1R,3αS,7αR,E)−4−(2−((3R,5R)−3,5−ビス(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−4−メチレンシクロヘキシリデン)エチリデン)−7α−メチルオクタヒドロ−1H−インデン−1−イル)プロパン−1−オールの合成について記載する。
【0392】
【化120】
【0393】
[0277] 実施例60の化合物(91mg,0.14ミリモル)のTHF(4mL)溶液へフッ化テトラブチルアンモニウム(0.28ミリモル)を窒素雰囲気下で加えて、この混合物を、実施例60の化合物が消費されるまで、室温で3.5時間撹拌した。この反応混合物を濃縮し、この粗生成物を分取用TLC(PE/AcOEt=10/1)で精製して、51mgの表題生成物を無色のオイルとして得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ 0.24-0.96 (m, 12H), 0.70 (s, 3H), 0.91 (s, 18H), 1.01 (d, 3H, J = 6.8 Hz), 1.27-2.52 (m, 18H), 3.52 (m, 1H), 3.75 (m, 1H), 4.41 (m, 2H), 4.96 (d, 2H, J = 5.6 Hz), 6.13 (d, 1H, J = 10.2 Hz), 6.31 (d, 1H, J = 10.2 Hz)。
【0394】
実施例62
[0278] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である4−メチルベンゼンスルホン酸(R)−2−((1R,3αS,7αR,E)−4−(2−((3R,5R)−3,5−ビス(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−4−メチレンシクロヘキシリデン)エチリデン)−7α−メチルオクタヒドロ−1H−インデン−1−イル)プロピルの合成について記載する。
【0395】
【化121】
【0396】
[0279] 実施例61の化合物(56mg,0.097ミリモル)のCHCl(2mL)溶液へEtN(870mg,2.82ミリモル)、N,N−ジメチルアミノピリジン(10mg,0.097モル)を加えてから、塩化p−トルエンスルホニル(360mg,1.96ミリモル)を10℃で加えて、この混合物を25℃で一晩撹拌した。この反応溶液をCHCl(20mL)で希釈して、飽和NaHCO水溶液(20mL)を加えることによってクエンチした。この混合物を室温で20分間撹拌してから、分離させた。この有機相を塩水(20mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させて、真空で濃縮した。この粗製の材料を分取用TLC(石油エーテル/EtOAc=40/1)で精製して、表題化合物(49mg,70%)を無色のオイルとして得た。1H NMR(400 MHz, CDCl3): δ 0.21-0.96 (m, 12H), 0.53 (s, 3H), 0.94 (s, 18H), 0.87-2.51 (m, 20H), 2.49 (s, 3H), 3.86 (t, 1H, J = 9.6 Hz), 4.15 (d, 1H, J = 9.6 Hz), 4.40 (m, 2H), 4.96 (d, 2H, J = 4.4 Hz), 6.11 (d, 1H, J = 10.8 Hz), 6.27 (d, 1H, J = 11.2 Hz), 7.35 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 7.80 (d, 2H, J = 8.0 Hz)。
【0397】
実施例63
[0280] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である2−(3−((R)−2−((1R,3αS,7αR,E)−4−(2−((3R,5R)−3,5−ビス(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−4−メチレンシクロヘキシリデン)エチリデン)−7α−メチルオクタヒドロ−1H−インデン−1−イル)プロポキシ)フェニル)プロパン−2−オールの合成について記載する。
【0398】
【化122】
【0399】
[0281] NaH(60%,25.5mg,0.638ミリモル)のDMF(1mL)懸濁液へ3−(2−ヒドロキシプロパン−イル)−フェノール(実施例65,100mg,0.672ミリモル)を窒素雰囲気下で加えた。この混合物を室温で1時間撹拌した。この溶液へ実施例62の化合物(49mg,0.067ミリモル)を加えた。この混合物を室温で一晩撹拌してから、水(20mL)でクエンチして、AcOEt(20mLx3)で抽出した。この有機相を集めて塩水(20mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させて、真空で濃縮した。シリカゲルカラム(石油エーテル/AcOEt=20/1)での精製によって、表題化合物(35mg,67%)を無色のオイルとして得て、13mgの実施例62を回収した。1H-NMR: δ 0.24-0.97 (m, 12H), 0.71 (s, 3H), 0.92 (s, 18H), 1.10 (d, 3H, J = 6.8 Hz), 1.60 (s, 3H), 1.20-2.21 (m, 18 H), 3.80 (m, 1H), 4.03 (m, 1H), 4.43 (m, 2H), 4.97 (d, 2H, J = 4.8 Hz), 6.15 (d, 1H, J = 10.2 Hz), 6.31 (d, 1H, J = 10.2 Hz), 6.79 (d, 1H, J = 7.8 Hz), 7.08 (m, 1H), 7.29 (m, 1H)。
【0400】
実施例64
[0282] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である(2−(2−((3R,5R)−3,5−ビス(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−4−メチレンシクロヘキシリデン)エチルスルホニル)ベンゾ[d]チアゾール)の合成について記載する。
【0401】
【化123】
【0402】
[0283] ベンゾ[d]チアゾール−2−チオール(187mg,1.12ミリモル)及びトリフェニルホスフィン(294mg,1.12ミリモル)のCHCl(5ml)撹拌溶液へCHCl(2ml)中の実施例8の化合物(280mg,0.70ミリモル)を0℃で加えてから、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(DIAD,0.28ml,0.98ミリモル)を0℃で滴下した。この反応混合物を0℃で1時間撹拌してから濃縮して、粗製の材料(1.2g)を黄色の油状残渣として得た。
【0403】
[0284] この油状残渣をエタノール(10ml)に溶かして、30% H(1ml)と(NHMo24・4HO(200mg)を0℃で加えた。この反応混合物を室温で3時間撹拌した。この反応物を飽和NaHCO溶液(50ml)でクエンチし、酢酸エチル(50mlx3)で抽出し、塩水(50mlx2)で洗浄し、NaSOで乾燥させて蒸発させて、オイル(1.2g)を得た。このオイルをクロマトグラムゲルカラム(石油エーテル/EtOAc:50:1 100ml,石油エーテル/EtOAc:25:1 100ml)によって精製して、純粋な表題化合物(313mg,2工程の収率:77%)を白色の固形物として得た(Ono et al., 2003, J Org Chem 68: 7407-7415)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 0.05-0.08 (m, 12H), 0.88-0.9 (m, 18H), 2.122-2.184 (m, 3H), 2.391-2.434 (dd, 1H, J = 12.8, 4.8 Hz), 4.24 (dd, 1H, J = 6.8 Hz), 4.34-4.4 (m, 3H), 4.93 (d, 2H, J = 14.4 Hz), 5.42 (s, 1H), 7.61-7.67 (m, 2H), 8.01 (d, 1H), 8.25 (d, 1H)。
【0404】
実施例65
[0285] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である3−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)フェノールの合成について記載する。
【0405】
【化124】
【0406】
[0286] 1−(3−ヒドロキシフェニル)エタノン(7.4g,54ミリモル)の無水THF(300mL)溶液へ0℃で塩化メチルマグネシウムのTHF溶液(40mL,119ミリモル)を窒素下にシリンジよりゆっくり加えた。この反応混合物を室温で18時間撹拌した。薄層クロマトグラフィー(TLC)は、約30%の出発材料が残っていることを示した。この反応混合物を2時間還流させると、TLCは、ほとんどの出発材料が消費されていることを示した。この反応混合物を0℃まで冷却して、飽和NHCl水溶液(20mL)に続いて1M HCl(120mL)でクエンチした。この水溶液をEtOAc(50mLx3)で抽出した。集めた有機相を塩水(200mLx2)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下に濃縮して、酢酸エチル/石油エーテル(10%〜約25%)を溶出液として使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、(3.6g,43.9%)を黄色の固形物として得た。1H NMR: δ 1.59(s, 3H), 6.74-6.76 (m, J = 8Hz, 1H), 6.99-7.01 (d, J = 8Hz, 1H), 7.08 (d, J = 2Hz, 1H), 7.20-7.24 (m, J = 16Hz, 1H)。
【0407】
実施例66
[0287] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である(1R,3αR,7αR)−1−((S)−1−ヒドロキシプロパン−2−イル)−7α−メチルオクタヒドロ−1H−インデン−4−オールの合成について記載する。
【0408】
【化125】
【0409】
[0288] 火炎乾燥させた250mLの3つ首フラスコへ300mg(3.6ミリモル)の重炭酸ナトリウム、50.0mLの無水メタノール、50.0mLの無水CHCl、そしてエルゴカルシフェロール((+)ビタミンD,3.0g,7.6ミリモル)を順に入れた。この溶液をO(O 5g/h)で処理し、室温で4〜5時間、一定速度で撹拌した。次いで、固体のホウ水素化ナトリウム(2.5g,64ミリモル)を10分の時間にわたり少量ずつ水浴に加えると、出発材料の完全な消失がTLCによって観測された。得られた反応混合物を4N塩酸でクエンチし、EtOAc(3x30mL)で抽出し、MgSOで乾燥させ、濾過して、真空で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(30% EtOAc/石油エーテル)による精製によって、8.10g(3.8ミリモル)の表題化合物を収率50%で得た。1H-NMR (400 MHz,CDCl3):δ 0.98 (s, 3H), 1.05 (d, 3H, J = 6.4 Hz), 1.2 (d, 2H, J = 10.4 Hz), 1.36-1.82 (m,12H), 1.85 (d, 1H, J = 3.6 Hz), 3.38-3.42 (dd, 1H, J = 10.4, 6.8 Hz), 3.64-3.67 (dd, 1H, J = 10.4,3.6Hz), 4.10 (d, 1H, J = 2.4 Hz)。
【0410】
実施例67
[0289] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である(2S)−2−((1R,3αR,7αR)−4−ヒドロキシ−7α−メチルオクタヒドロ−1H−インデン−1−イル)プロパナールの合成について記載する。
【0411】
【化126】
【0412】
[0290] 窒素下で、塩化p−トルエンスルホニル(446mg,2.33ミリモル)、40% EtN溶液(0.6mL)中の4−(ジメチルアミノ)−ピリジン(DMAP,25.86mg,0.21ミリモル)、及びCHCl(2mL)の混合物に実施例66の生成物(450mg,THF(2mL)中2.12ミリモル)を加えた。この反応混合物を室温で4〜5時間撹拌した。この反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム(10mL)でクエンチして、生成物をCHCl(15mL)で抽出した。この有機相を飽和NHCl溶液(10mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させて、真空で濃縮した。得られた残渣をDMSO(10mL)に溶かしてNaHCO(0.89g,10.6ミリモル)を加え、この混合物を窒素下、150℃で30分間加熱してから、室温まで速やかにクエンチした。水(50mL)に続いてCHCl(50mL)を加えた。水相をCHCl(3x30mL)で抽出して、集めた有機相を水(20mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過して、真空で濃縮した。残渣をシリカゲルカラム(20% EtOAc/石油エーテル)でクロマトグラフ処理して、表題化合物(0.31g)を収率70%で得た。
【0413】
実施例68
[0291] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である(1R,3αR,7αR)−1−((R)−1−ヒドロキシプロパン−2−イル)−7α−メチルオクタヒドロ−1H−インデン−4−オールの合成について記載する。
【0414】
【化127】
【0415】
[0292] 実施例67の生成物(0.28g,1.34ミリモル)のCHCl(10mL)溶液に水酸化テトラ−n−ブチルアンモニウム(0.43g,0.67ミリモル)加えて、得られた溶液を25℃で16時間撹拌してから、水(10mL)でクエンチした。この有機相を水(10mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させて、真空で濃縮した。得られた残渣をメタノール(10mL)に溶かしてから、固体のホウ水素化ナトリウム(0.10g,2.63ミリモル)を10分の時間にわたり加えた。この混合物を飽和塩化アンモニウム溶液(10mL)でクエンチして、生成物をEtOAc(50mL)で抽出した。この有機相を飽和塩化アンモニウム溶液(20mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過して、真空で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムでのクロマトグラフィー(9.1% EtOAc/石油エーテル)によって精製して、表題化合物(96.59mg)を収率34%で得た。1H-NMR (400 MHz,CDCl3):δ 0.97-0.988 (m, 6H), 1.23-1.87 (m, 16H), 3.49 (d, 1H, J = 7.2 Hz), 3.72 (d, 1H, J = 3.6 Hz), 4.11 (d, 1H, J = 2.4 Hz)。
【0416】
実施例69
[0293] 本実施例は、本発明の一態様における、式(I)の化合物の中間体である((1R,3αR,7αR)−7α−メチル−1−((R)−1−(トリエチルシリルオキシ)プロパン−2−イル)ヘキサヒドロ−1H−インデン−4(2H)−オン)の合成について記載する。
【0417】
【化128】
【0418】
[0294] 実施例68の生成物(0.2g,0.94ミリモル)の10mLの無水CHCl溶液へ、40% EtN溶液(0.26mL)、DMAP(18mg,0.15ミリモル)に続いて塩化トリエチルシリル(TESCl,0.22g,1.42ミリモル)を室温で加えた。この溶液を室温で1時間撹拌してから、飽和塩化アンモニウム溶液(15mL)でクエンチした。この混合物をCHCl(3x20mL)で抽出して、集めた有機相を飽和塩化アンモニウム溶液(15mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過して濃縮して、無色のオイル(0.37g)を得た。このオイルをさらに精製せずに次の工程に使用した。
【0419】
[0295] この残留オイルをCHCl(10mL)に溶かしてから、デス・マーチンペルヨージナン(0.60g,1.41ミリモル)を加えた。窒素下、室温で2時間撹拌後、この反応混合物を飽和塩化アンモニウム溶液(20mL)でクエンチして、この混合物をEtOAc(3x20mL)で抽出した。集めた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液(20mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過して、濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラム(4.8% EtOAc/石油エーテル)でクロマトグラフ処理して、表題化合物(268mg)を収率87%で得た。CD5-TESの1H-NMR (400 MHz,CDCl3): δ 0.600 (q, 6H, J = 4.4 Hz), 0.661 (s, 3H), 0.930 (d,3H, J = 2.4 Hz), 0.982 (t, 9H, J = 2.8 Hz), 1.25-1.70 (m, 5H), 1.80-2.10 (m, 6H), 2.20-2.30 (m, 2H), 2.40-2.50 (m, 1H), 3.35-3.45 (m, 1H), 3.60-3.70 (m, 1H)。
【0420】
実施例70
[0296] 本実施例は、本発明の一態様における、(4R,8R)−6−((E)−2−(1−((R)−1−(3−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)フェニルチオ)プロパン−2−イル)−7a−メチルジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7aH)−イリデン)エチリデン)スピロ[2.5]オクタン−4,8−ジオール(Vida−58)の合成について記載する。
【0421】
【化129】
【0422】
実施例70−A
[0297] 本実施例は、本発明の一態様における、2−(3−((2R)−2−((1R,3aS,7aR,E)−4−(2−((4R,8R)−4,8−ビス(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)スピロ[2.5]オクタン−6−イリデン)エチリデン)−7a−メチルオクタヒドロ−1H−インデン−1−イル)プロピルチオ)フェニル)プロパン−2−オールの合成について記載する。
【0423】
【化130】
【0424】
[0298] NaH(60%,13mg,0.32ミリモル)のDMF懸濁液へ2−(3−メルカプトフェニル)プロパン−2−オール(60mg,0.3ミリモル)を窒素雰囲気下で加える。この混合物を室温で1時間撹拌する。この溶液へ4−メチルベンゼンスルホン酸(2R)−2−((1R,3aS,7aR,E)−4−(2−((4R,8R)−4,8−ビス(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)スピロ[2.5]オクタン−6−イリデン)エチリデン)−7a−メチルオクタヒドロ−1H−インデン−1−イル)プロピル(実施例57−H,52mg,0.07ミリモル)を加える。この混合物を室温で一晩撹拌してから、水でクエンチして、DCMで抽出する。この有機相を集めて塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させて、真空で濃縮する。ショートカラムでの精製によって、表題化合物(46mg)を無色のオイルとして得る。
【0425】
実施例70−B
[0299] 本実施例は、実施例15Bの生成物と3−(2−メチル−2−ヒドロキシ−エチル)−フェニルメルカプタンより実施例56に記載の手順に従って製造される、表題化合物の合成について記載する。
【0426】
【化131】
【0427】
[0300] 2−(3−((2R)−2−((1R,3aS,7aR,E)−4−(2−((4R,8R)−4,8−ビス(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)スピロ[2.5]オクタン−6−イリデン)エチリデン)−7a−メチルオクタヒドロ−1H−インデン−1−イル)プロピルチオ)フェニル)プロパン−2−オール(実施例70−A,46mg,0.06ミリモル)のMeOH溶液へCSA(800mg)を加えて、この混合物を室温で8時間撹拌する。これを水でクエンチし、DCMで抽出してから、真空で濃縮する。精製によって、表題化合物(21mg)を無色のオイルとして得る。1H NMR(400 MHz, CDCl3): δ 0.63 (s, 3H), 1.08 (d, 3 H, J = 6.4Hz), 1.25-1.26 (m, 4H), 1.58 (s, 6H), 1.92-2.72 (m, 16H), 2.78 (d, 1H, J = 4 Hz), 3.24 (d, 1H, J = 8 Hz), 4.47 (d, 2H, J = 3.6 Hz), 5.09 (d, 1H, J = 2.8 Hz), 6.17 (d, 1H, J = 7.2 Hz), 6.50 (d, 1H, J = 11.2 Hz), 7.22-7.19 (m, 3H), 7.50 (s, 1H)。13C-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 13.29 (C18), 18.87 (C21), 24.02 (C15,11), 26.17( C16), 27.11 (C9), 31.71 (C26,27), 35.15 (C20), 36.84 (C10), 39.13 (C12), 40.49 (C22), 41.15(C4), 46.48-46.53 (C13), 54.15 (C14), 55.78 (C17), 71.16 (C3), 71.48 (C1), 72.51 (C25), 107.81 (C19), 119.82 (C7), 121.96(C28), 125.07 (C29), 125.30 (C31), 127.29 (C6), 128.69 (C30), 131.37 (C8), 137.46 (C23), 141.70 (C5), 149.82 (C24), 151.96 (C2)。
【0428】
[0301] 表1に、以下の実施例71〜81の化合物を本明細書に記載の対応する様々な中間体より製造した。
【0429】
【表1-1】
【0430】
【表1-2】
【0431】
【表1-3】
【0432】
実施例82
[0302] 本実施例は、本発明の一態様における、様々な式(I)の化合物の最大吸収波長と消衰係数の決定について説明する。
【0433】
[0303] 該化合物の最大吸収波長(ODmax)及び消衰係数を決定するために、各化合物を脱イオン水及びエタノールの50:50(容量)溶液において100μMで希釈して、分光光度計によって走査する。
【0434】
[0304] 図1は、分光光度計スキャンからの典型的な吸光度プロファイルの結果を示す。この結果は、Vida−5の最大吸収波長(ODmax)が253nmであって、消衰係数が48360であることを示す。表2は、選択した化合物のODmax及び消衰係数の要約を示す。
【0435】
【表2】
【0436】
生物学的アッセイ
[0305] 該化合物の生体活性について、培養細胞と動物モデルをともに使用して評価した。
【0437】
[0306] 現行では、化合物の in vivo での高カルシウム血症の副作用プロファイルを信頼し得るほどに予測できることを示した in vitro アッセイはない。故に、血清カルシウムを上昇させるその潜在能力を判定するために、正常マウスを使用して化合物を評価した。PTH抑制も、正常マウスで判定した。
【0438】
[0307] いくつかの化合物を、CYP24A1誘導について、HL−60前骨髄球性白血病細胞とヒト冠動脈平滑筋細胞(HCASMC)の一次培養で試験した。CYP24A1がVDREをそのプロモーター領域に有することにより、VDRの特異的な標的遺伝子であることは、十分に記述されている(Meyer et al., 2007, J Biol Chem 282: 22344-22352)。CYP24A1を誘導する化合物は、VDRシグナル伝達経路を誘起することでその活性を発現する。VDRを誘導する化合物の効果は、HCASMCでも試験した。免疫応答を調節することへの化合物の適格性を評価するために、化合物について、CD14発現を誘導する効果をHL−60で試験した。血栓症を治療することへの化合物の適格性を評価するために、トロンボモジュリン及びトロンボスポンジン−1を調節する化合物の効果もHCASMCで試験した。
【0439】
[0308] 血清カルシウム及びPTH抑制に対する化合物の効果も、5/6腎摘出尿毒症ラット(確立された腎不全の動物モデル)において評価した。カルシトリオール、パリカルシトール、及びドキセルカルシフェロールに関する公知の文献からは、CKDの二次性副甲状腺機能亢進症の治療のために、これらの薬物のPTH抑制用量及び高カルシウム血症効果に関する臨床有用性について、5/6腎摘出ラットモデルによって十分に予測できることが示されている。例えば、パリカルシトールは、この尿毒症ラットにおいて、カルシトリオールの約3倍の治療指数を示す(Slatopolsky et al., 1998, Am J Kidney Dis 32 (2 Suppl 2): S40-7)。尿毒症ラットのデータに類似して、臨床試験は、パリカルシトールがカルシトリオールよりPTHを抑制する効力が約3倍少なくて、血清カルシウムを上昇させる効力が10倍少なく、それ故に、パリカルシトールは、カルシトリオールより3〜4倍広い治療指数(「効力」対「高カルシウム血症の副作用」)を有するとみなされている(Martin et al., 2001, Am J Kidney Dis, 38 (5 Suppl 5): S34-40)。
【0440】
[0309] タンパク尿、内皮機能不全(Ochodnicky et al., 2006, J. Nephrol 19: 246-258)、及び左心室肥大(Curtis et al., 2005, Cardiol Clin 23: 275-284)を有するCKD患者と同様に、5/6腎摘出ラットは、タンパク尿,重篤な内皮機能不全、及び左心室肥大を発症する。従って、このラットは、タンパク尿と心臓血管系のパラメータに対する化合物の効力を評価するのに有用である。
【0441】
[0310] これらの活性評価のそれぞれについて、以下に詳しく記載する。
実施例83
[0311] 本実施例は、ヒトHL−60前骨髄球性白血病細胞においてCYP24A1及びCD14の発現を誘導する、本発明の態様における、式(I)の化合物の能力について説明する。
【0442】
[0312] ヒトHL−60前骨髄球性白血病細胞において、化合物を試験してCYP24A1及びCD14の発現を誘導するその潜在能力を評価する。HL−60細胞を、20%熱不活性化牛胎児血清を補充したIMDMにおいて、加湿した5%CO−95%空気の存在下、37℃で培養する。細胞を6ウェルプレートへ蒔いて、試験薬剤で24時間処理する。細胞を1mLのトリアゾールの添加で溶解させて、製造業者のプロトコールに従ってRNAを調製する。
【0443】
[0313] リアルタイム逆転写PCRをフォワード及びリバースPCRプライマーと、CYP24A1又はCD14のために特異的に設計した250nMのTaqManTMプローブを用いて実施する。データ獲得の後で、CYP24A1又はCD14のmRNA発現レベルをGAPDH mRNAレベルにより標準化する。図2A及び2Bは、典型的なCYP24A1(図2A)及びCD14(図2B)発現試験の結果を示す。この結果は、Vida−5がCYP24A1及びCD14の発現を強力に誘導し、EC50(半最大有効濃度)値がそれぞれ5.6及び4.1nMであることを示す。
【0444】
[0314] 表3は、HL−60細胞におけるCYP24A1及びCD14の発現を誘導することに関する、選択化合物のEC50値の要約を示す。この結果は、試験化合物がVDRを活性化して、CYP24A1のようなVDR標的遺伝子の調節をもたらすことを示す。
【0445】
【表3】
【0446】
実施例84
[0315] 本実施例は、本発明の態様に従う化合物による、正常マウスでの高カルシウム血症の副作用プロファイルについて説明する。この正常マウスモデルは、化合物の高カルシウム血症の副作用プロファイルを評価するのに簡便で迅速な方法である。同時に、血清PTHに関するデータを採取することができる。
【0447】
[0316] 18〜20gの雄性C57/BLマウスに、試験薬剤を、100μl/マウス(指定の濃度)で1日1回、3日連続の腹腔内投薬、又は10ml/kgで1日1回、5日間、強制経口投薬する。最終投薬から24時間後に、ケタミン/キシラジンで動物を麻酔後、大動脈より血液を採取した。QuantiChrom カルシウムアッセイキット、及び/又は Roche Hitachi 912 Chemistry Analyzer を使用して、総血清カルシウムを測定した。血清PTHは、PTHイムノアッセイを使用して測定した。ビヒクル対照は、腹腔内投薬での5%エタノール/95%プロピレングリコールの100μl/マウス、又は強制経口投薬での20%ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンの10ml/kgであった。
【0448】
[0317] 血清化学データでは、群平均±SEMを提示する。ビヒクル及び化合物処置群の間の差は、片側ANOVAに続くダンネット事後検定を使用して評価する。図3A及び3Bは、典型的な強制経口投薬試験(n=4〜9/群)からの結果を示す。図4は、典型的な腹腔内投薬試験からの結果を示す。
【0449】
[0318] このモデルは、血清カルシウムの有意な増加を誘導する化合物の効果を判定するのに簡便な方法である。それはまた、血清PTHレベルを減少させることに対する化合物の効果を示す。図3Aに示すように、Vida−5は、血清カルシウムを5μg/kgで上昇させ始めるが、図3Bに示すように、PTHを0.05μg/kgで抑制し始める。Vida−1は、血清Caを0.01μg/kg(腹腔内投薬)で上昇させ始める。図4に示すように、血清Caを上昇させることにおいて、Vida−4は、Vida−1より少なくとも100倍弱い。Vida−11とVida−21は、血清Caを0.1μg/kg(腹腔内投薬)で上昇させ始める。Vida−5、Vida−10、及びVida−20は、血清Caを1μg/kg(腹腔内投薬)で上昇させ始める。Vida−37が血清Caを10μg/kg(腹腔内投薬)で上昇させ始めるのに対し、Vida−36、Vida−43、Vida−57、及びVida−58は、血清Caを10μg/kg(腹腔内投薬)で上昇させない。
【0450】
実施例85
[0319] 本実施例は、本発明の一態様に従う化合物のヒト血管細胞に対する効果を検討する目的のために、選択化合物を試験するヒト冠動脈平滑筋細胞の使用について説明する。
【0451】
[0320] 化合物をHCASMCの初代培養で試験して、CYP24A1及びVDRの発現を誘導するその潜在能力を評価した。
[0321] HCASMCの初代培養を、平滑筋増殖培地:SmGM−2(5.5mMグルコース、5% FBS、50μg/ml ゲンタマイシン、50ng/ml アンホテリシン−B、5μg/ml インスリン、2ng/ml hFGF、及び0.5ng/ml hEGFを含有する)で、加湿した5%CO−95%空気の存在下、37℃で増殖させた。細胞を80%より高い集密度まで増殖させて、5回以内の継代で使用した。
【0452】
[0322] 細胞を6ウェルプレートへ蒔いて、試験薬剤で24時間処理した。細胞を1mLのトリアゾールの添加で溶解させて、製造業者のプロトコールに従ってRNAを調製した。
【0453】
[0323] リアルタイム逆転写PCRをフォワード及びリバースPCRプライマーと、CYP24A1又はVDRのために特異的に設計した0.1mMのTaqManTMプローブを用いて実施した。データ獲得の後で、CYP24A1又はVDRのmRNA発現レベルをGAPDH mRNAレベルにより標準化した。図5Aは、典型的なCYP24A1発現試験からの結果を示す。群平均±STDEV(標準偏差)を提示する。この結果は、Vida−5がCYP24A1発現を強力に誘導し、EC50が2.9nMであることを示す。図5Bは、典型的なVDR発現試験からの結果を示す。この結果は、Vida−5がVDR発現を強力に誘導し、EC50が1.3nMであることを示す。
【0454】
[0324] 表4は、CYP24A1及びVDRを誘導することにおける、選択化合物のEC50値の要約を示す。
【0455】
【表4】
【0456】
実施例86
[0325] 本実施例は、5/6腎摘出尿毒症ラット中の血清クレアチニン、BUN、PTH、リン、及びカルシウムに対する本発明の一態様に従う選択化合物の効果について説明する。
【0457】
[0326] 雄性スプリーグ・ドーリー5/6ラットの腎摘出を既報(Slatopolsky et al., 1998, Am J Kidney Dis 32: S40-47)のように、標準的な2工程外科切除法(出発時の体重:約200グラム)を使用して実施した。対照としてシャム手術ラットを使用した。このラットに1.13%カルシウムと0.94%リンを含有する食餌を与えた。2回目の手術から6週後、処置をビヒクル(5%エタノール+95%プロピレングリコール、0.4ml/kg)又は試験薬剤で、腹腔内注射(i.p.)によって週3回、2週間にわたり施した(n≧12/群)。最終投薬から24時間後、後眼窩の静脈血をPTHと他のエンドポイントの測定のために採取した。
【0458】
[0327] 化学分析機(LX−20,ベックマン)によってカルシウム、血清リン、クレアチニン、及び血中尿素窒素(BUN)の濃度を測定した。血清PTHは、ラットのインタクト副甲状腺ホルモン(i−PTH)ELISAキットを使用して測定した。血清化学データでは、群平均±SEMを提示する。t検定を使用して、ベースライン6W(処置前、術後6週)と8W(術後8週、化合物処置の2週後)の間の差を解析した。
【0459】
[0328] 図6A及び6Bは、血清クレアチニン及び血中尿素窒素(BUN)の結果に対するVida−5の効果を示す。血清クレアチニン及びBUNのレベルは、術後6週のシャムラットに比較して、すべての5/6腎摘出(NX)ラットで有意かつ一様に上昇した。より低い4用量のVida−5での処置は、血清クレアチニンに有意な影響を及ぼさなかったが、最高用量では、血清クレアチニンを低下させた。Vida−5はまた、より高い2用量(0.16及び0.64μg/kg)でBUNを低下させた。
【0460】
[0329] 図7A及び7Bは、異なる3用量のVida−11を用いた2週間の処置が、血清クレアチニンにもBUNにも用量依存性の効果を及ぼさなかったことを示す。
[0330] 図8A及び8Bは、Vida−5を試験した5用量で、血清リン(P)及びカルシウム(Ca)を上昇させるのに有意な影響を及ぼさなかったことを示す。
【0461】
[0331] 図9A及び9Bは、Vida−11が、血清Caを用量依存的に上昇させたが、血清Pには有意な効果を示さなかったことを示す。
[0332] 図10A及び10Bは、血清PTHの結果を示す。Vida−5(図10A)とVida−11(図10B)は、試験した用量で、PTHレベルを用量依存的に有意に抑制する。
【0462】
[0333] Vida−10についても、5/6NX尿毒症ラットで試験した。Vida−10は、血清クレアチニン、BUN、又はリンに有意に影響を及ぼさなかった。Vida−10とVida−11は、互いに異なる血漿カルシウム上昇プロファイルを有する。より具体的に言えば、Vida−10は、血清Caを上昇させる点ではVida−11より少なくとも64倍弱い(図11A)が、PTHを抑制する点では約16倍弱い(図11B)。
【0463】
[0334] 5/6NX尿毒症ラットにおいて、Vida−5は、血清PTHを0.004μg/kgで抑制し始めるが、血清Caは、0.64μg/kgでも上昇させない。Vida−10は、血清PTHを0.16μg/kgで抑制し始めるが、血清Caは、0.64μg/kgでも上昇させない。Vida−11は、0.01μg/kgで血清PTHを抑制するが、血清Caも上昇させる。文献によれば、カルシトリオールは、血清PTHを8ng/ラット(約0.02μg/kg)で抑制し始めて,血清Caを4ng/ラット(約0.01μg/kg)で上昇させる(Slatopolsky et al., 1998, Am J Kidney Dis 32(2 Suppl 2): S40-7)。CKD患者の二次性副甲状腺機能亢進症の治療においてこの群で最良とみなされているパリカルシトールは、尿毒症ラットにおいて、血清PTHを8ng/ラット(約0.02μg/kg)で抑制し始めて、血清Caを25ng/ラット(約0.0625μg/kg)0.083μg/kgで上昇させる(Slatopolsky et al., 1998, Am J Kidney Dis 32(2 Suppl 2): S40-7)。別の試験では、尿毒症ラットにおいて、パリカルシトールは、0.083μg/kgで血清PTHを抑制し始めて血清Caを上昇させる(Noonan et al., 2008, Nephrol Dial Transplant 23:3824-3830)。この高カルシウム血症の副作用は、この群の化合物がより広い治療適応症へ適用されるときの重要な制限項目である。
【0464】
実施例87
[0335] 本実施例は、5/6腎摘出尿毒症ラットにおいて内皮機能を検査するための生物学的アッセイについて説明する。
【0465】
[0336] 5/6(亜全摘)腎摘出ラットを使用する実験条件は、上記した通りであった。最終投薬から24時間後、動物を屠殺して、内皮機能の定量のために大動脈組織を採取した。
【0466】
[0337] ラットをペントバルビタールナトリウム(腹腔内、35mg/kg)で麻酔した。胸大動脈を冷たい改良クレブス溶液(以下参照)に切除して、3mmの大動脈リングを、5%CO−95%O(37℃でpH7.4)で平衡化した改良クレブス溶液(NaCl 6.9169,KCl 0.3499,NaHCO 2.0998,MgSO 0.2901,KHPO 0.1604,CaCl 0.2663,グルコース 1.9994,EDTA 0.026を含有:(g/L))において、0.5グラムの静止張力の下で10mLの組織浴中に懸垂させた。フェニレフリン(PE,3μM)の添加と、合間の10分のウォッシュアウトによって大動脈を感作(sensitized)させた。大動脈は、PE(3μM)により予め収縮させた後、内皮依存性の血管拡張薬であるアセチルコリン(ACh)を3〜5分間隔で半対数増分(10−9モル/L〜10−4。5モル/L)において加えて、AChの効果がプラトーに達する時間を測定した。60分のウォッシュアウトの後で、大動脈をPE(3μM)で予め収縮させて、引き続き、内皮非依存性の血管拡張薬であるナトリウムニトロプルシッド(SNP;10−9モル/L〜10−6モル/L)で、3〜5分間隔で処置して、その効果がプラトーに達する時間を測定した。BL−420F データ獲得及び解析システムでデータを記録した。
【0467】
[0338] ACh及びSNP誘発性の弛緩をPE誘発プレ収縮からの弛緩(%)として計算した。両側ANOVAに続くボンフェローニ事後検定を使用して、血管機能における差を判定した。図12Aは、Vida−5で2週の処置が、アセチルコリン誘発性の内皮依存性の弛緩において用量依存性の改善をもたらしたことを示す。比較として、図12Bは、Vida−5が、試験した用量で、ナトリウムニトロプルシッド(SNP)誘発性の内皮非依存性の弛緩に対して有意な影響を及ぼさなかったことを示す。SNPは、一酸化窒素の供給源として働き、内皮非依存性の経路を介して弛緩を誘発する。
【0468】
[0339] 図13A及び13Bは、Vida−11も、アセチルコリン誘発性の内皮依存性の弛緩において用量依存性の改善をもたらしたことを示す。Vida−11も、試験した用量で、SNP誘発性の弛緩に対して有意な影響を及ぼさなかった。
【0469】
[0340] 図14は、Vida−10が、アセチルコリン誘発性の内皮依存性の弛緩において用量依存性の改善をもたらしたことを示す。0.16及び0.64μg/kgのVida−10での処置は、アセチルコリン誘発性の内皮依存性の弛緩をシャムレベルまで戻して改善した。Vida−10も、試験した用量で、SNP誘発性の弛緩に対して有意な影響を及ぼさなかった。
【0470】
[0341] Vida−11は、PTHを抑制する点でより強力であるが、Vida−10は、内皮機能を改善する点でより強力である。これらの結果は、Vida−5、Vida−10、及びVida−11が、内皮機能を改善する点で強力であることを示す。Vida−5、Vida−10、及びVida−11は、異なる血清Ca及びPTHプロファイルを明示するので、この結果はまた、内皮機能を改善することに対する化合物の効果が血清Ca及びPTHに対するその効果とは無関係であることを示す。
【0471】
実施例88
[0342] 本実施例は、5/6腎摘出尿毒症ラットにおいて左心室肥大を検査する生物学的アッセイについて説明する。
【0472】
[0343] 5/6(亜全摘)腎摘出ラットを使用する実験条件は、上記の通りであった。最終投薬から24時間後、ラットをペントバルビタールナトリウム(35mg/kg,腹腔内)で麻酔した。この動物を頚椎脱臼によって屠殺した。心臓を取って、冷たい生理食塩水で洗浄した。残留した生理食塩水を濾紙で拭った後で、新鮮なまま切除した心臓及び左心室の重量を測定して、左心室重量対体重の比(LVW/BW)及び/又は左心室重量対心臓重量の比(LVW/HW)を計算した。その後、この左心室を速やかに液体窒素の中へ入れて、組織学及び/又は免疫組織化学の分析用に保存した。
【0473】
[0344] 心筋細胞の形態を検査するために、左心室組織を4%ホルムアルデヒド−リン酸塩−緩衝化生理食塩水(pH7.4)溶液に一晩固定した。この試料をロウに埋め込んで、4μm切片へ切断した。この切片をヘマトキシリン−エオジンで染色して、顕微鏡下で検査した。
【0474】
[0345] 心筋細胞の直径を決定するために、既報の方法に従った(Xiang et al., 2005, Am J Physiol Endocrinol Metab 288: E125-132)。左心室の切片をFITC標識化コムギ胚芽アグルチニン(1:5希釈)で、室温で2時間染色してから、蛍光顕微鏡下で検査して、筋細胞の膜を可視化した。細胞の縦断面での2つの形質膜の間の距離を筋細胞の直径として測定することによって、心筋細胞の相対的な大きさを定量した。この測定は、ImageJソフトウェアを使用して行った。左心室スライドの5〜10の顕微鏡視野より無作為に選択した30個の細胞よりデータを得た。
【0475】
[0346] 群平均±SEMを提示する。t検定、片側ANOVAに続くダンネット事後検定、又は両側ANOVAに続くボンフェローニ事後検定を使用して、シャム、ビヒクル、及び処置動物の間の差を評価した。ヒトのCKD状態に類似して、5/6(亜全摘)腎摘出ラットは、左心室肥大を発症することが知られている(Wolf et al., 2000, Journal of Cardiovascular Pharmacology 36: S348-350)。左心室肥大の発症を評価するために、数匹の動物を処置前に屠殺した。
【0476】
[0347] 図15A及び15Bは、腎切除術から8週後に、Vida−5が、試験した用量で、LVW/BW及びLVW/HWを低下させることに用量依存性の効果をもたらしたことを示す。
【0477】
[0348] 図16A及び16Bは、Vida−11がLVW/BWをより低い2つの用量で低下させたが、0.16μg/kgでは低下させなかったという、混合した結果をこの化合物が示したことを表す。これらの試験からは血清Ca、P、及びPTHのようなすべての他のパラメータも採取して対照として用いたが、その数値は、上記のものと同様であった。Vida−11は、Vida−5よりずっと高カルシウム血症性であるので、LVHを低下させることに対するVida−11の効果が高カルシウム血症によって一部損なわれたいう可能性がある。
【0478】
[0349] 図17は、Vida−10が、LVW/BWを低下させることに用量依存性の効果をもたらしたことを示す。Vida−10は、0.16及び0.64μg/kgで、血清Caに対して影響を及ぼさなかったが、LVW/BWを有意に低下させた。この試験では、Vida−5(0.04g/kg)にロサルタン(0.025mg/ml、飲料水中)を加えて、Vida−5(0.04g/kg)単独と比較したが、その結果は、Vida−5が0.04g/kgで、ロサルタン(アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト)の追加有り又は追加無しで、LVW/BWを完全に正常化することを示した。
【0479】
[0350] 図18A、18B、18C、及び18Dは、NX−ビヒクル処置動物では、心筋細胞の形態によって実証されるように、心筋細胞が顕著に肥大傾向であったことを示す。Vida−5は、0.01μg/kgで心筋細胞の形態を改善して、Vida−5は、0.16μg/kgで、心筋細胞の形態をほとんどシャムレベルへ戻すまでに回復させた。これらの結果は、Vida−5での処置がNX尿毒症ラットの左心室肥大状態を改善するというLVW/BW及びLVW/HWの結果を追認するものである。
【0480】
[0351] 左心室の切片をFITC標識化コムギ胚芽アグルチニンで染色して心筋細胞の直径を決定して、その結果を図19に示す。Vida−5は、0.01〜0.64μg/kgの用量で、心筋細胞の直径を有意に低下させた。
【0481】
実施例89
[0352] 本実施例は、式(I)の化合物又はその塩を含む、5/6腎摘出尿毒症ラットにおけるタンパク尿の処置について説明する。
【0482】
[0353] 5/6(亜全摘)腎摘出ラットを使用する実験条件は、上記の通りであった。尿タンパク排出は、2つの時点(初回投薬前24時間と最終投薬後24時間)の24時間の時間にわたる代謝ケージでの尿回収によって定量した。各動物を代謝ケージに入れて、24時間の尿を回収した。ビューレット法(Morozova and Baryshnikova, 1991, Lab Delo 2: 23-5)によって、尿タンパク濃度を定量した。尿タンパク濃度と24時間の間に産生された総尿量とを掛けることによって、1日あたりの総タンパク排出量を計算した。
【0483】
[0354] 群平均±SEMを提示する。t検定を使用して、処置の前と後の差を評価した。片側ANOVAに続くダンネット事後検定を使用して、シャム、ビヒクル、及び処置動物の間の差を評価した。
【0484】
[0355] 図20A及び20Bは、タンパク濃度(mg/ml)と1日あたりの総タンパク排出量がNXビヒクル群で有意に上昇したことを示す。Vida−5とVida−11は、試験した用量で、処置前と処置後を比較するとき、タンパク尿を有意に低下させた。この結果は、式(I)の化合物がタンパク尿の治療に有用であることを示す。加えて、Vida−5とVida−11は、異なる血清Caプロファイルを明示するので、この結果はまた、タンパク尿を改善することに対する化合物の効果が血清Caに対するその効果とは無関係であることを示す。
【0485】
実施例90
[0356] 本実施例は、式(I)の化合物又はその塩を含む、ヒト平滑筋細胞中のトロンボスポンジン−1及びトロンボモジュリン等の血栓症マーカーの調節について説明する。
【0486】
[0357] ヒト冠動脈平滑筋細胞(HCASM)をVida−5又はVida−11と様々な濃度で48時間インキュベートしてから、50μlのSDS−PAGE試料緩衝液に可溶化させた。ビシンコニン酸タンパクアッセイによって、各試料中のタンパク含量を定量した。4〜12%のNuPAGEゲルを用いたSDS−PAGEによって試料を分離させて、ウェスタンブロッティングのためにタンパク質をフッ化ポリビニリデン膜へ電気泳動で移した。この膜をリン酸緩衝化生理食塩水−Tween20(PBS−T)中5%無脂肪ドライミルクを用いて、25℃で1時間処理してから、PBS−T中のマウス抗トロンボスポンジン−1モノクローナル抗体(2,000倍希釈)又はマウス抗TMモノクローナル抗体(2,000倍希釈)とともに4℃で一晩インキュベートした。
【0487】
[0358] この膜をPBS−Tで洗浄して、西洋ワサビペルオキシダーゼ標識抗マウス抗体とともに25℃で1時間インキュベートした。次いで、この膜をアマーシャムのECLプラスウェスタンブロッティング検出試薬とともにインキュベートした。Alpha Innotech 造影システムの Multiimage II によって特異的なバンドを可視化した。Spot Denso を使用して、バンド強度を定量化した。
【0488】
[0359] トロンボスポンジン−1(THBS1)は、細胞対細胞の相互作用及び細胞対マトリックスの相互作用を媒介する接着性の糖タンパク質である。THBS1は、フィブリノゲン、フィブロネクチン、ラミニン、V型コラーゲン、及びインテグリンα−V/β−1へ結合することができて、血小板凝集、血管新生、及び腫瘍形成において種々の役割を担うことが示されている。損傷血管やステント誘発性の新生内膜では、血管壁におけるTHBS1発現が有意に増加している(Sajid et al., 2001, J. Investig. Med. 49: 398-406; Zohlnhofer et al., 2001, Circulation 103: 1396-1402)。トロンボモジュリン(TM)は、トロンビンの細胞表面受容体として機能している単量体の膜貫通タンパク質である。トロンビンがTMへ結合すると、コンホメーション変化を受けて、基質特異性が変化し、プロテインCを活性化する。正常な状況下では、血栓症に関与する、THBS1及びTMのような上記因子の多くは、専ら内皮細胞上に局在している。しかしながら、血管損傷は、しばしば、これら因子の発現パターンの変化をもたらす。例えば、ヒトとマウスの両方のアテローム硬化性の血管では、内皮細胞においてTMの発現が顕著に減少していることが示されて、進行性アテローム動脈硬化症のような病理学的状態の下では、SMCがTMの主な供給源になり得ることが示されている(Yoshii et al., 2003, Med. Electron. Microsc. 36: 165-172; Tohda et al., 1998, Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol. 18: 1861-1869)。
【0489】
[0360] 図21Aは、Vida−5とVida−21によって、トロンボスポンジン−1タンパク質が平滑筋細胞中で有意に低下したことを示す。図21Bは、Vida−5とVida−21によって、トロンボモジュリンタンパク質が平滑筋細胞中で増加したことを示す。
【0490】
[0361] 本明細書に引用される刊行物、特許出願、及び特許を含めて、すべての参考文献は、各参考文献が参照により組み込まれると個別にかつ具体的に示されるのと同程度で、また、その全体が本明細書で説明されるのと同程度で、参照により本明細書に組み込まれる。
【0491】
[0362] 本発明について記載する文脈における(特に、以下の特許請求の範囲の文脈における)、不定冠詞「a」及び「an」及び定冠詞「the」の用語と同様の指示語の使用は、本明細書において他に示さなければ、又は文脈によって明らかに矛盾していなければ、単数と複数の両方が含まれると解釈されたい。「〜を含んでなる(comprising)」、「〜を有する(having)」、「〜が含まれる(including)」、及び「〜を含有する(containing)」という用語は、他に示さなければ、制限のない用語として解釈されたい(即ち、「〜が含まれるが、〜に限定されない」ことを意味する)。本明細書の数値の範囲の列挙は、本明細書において他に示さなければ、その範囲に該当するそれぞれ別々の値を個別に言及することの簡略法として役立つことを単に企図して、それぞれ別々の値は、本明細書に個別に引用されるかのように、本明細書へ組み込まれる。本明細書に記載されるすべての方法は、本明細書で他に示さなければ、又は文脈により他の点で明らかに矛盾しなければ、任意の好適な順序で実施することもできる。本明細書に提供するありとあらゆる実施例、又は例示の言語(例えば、「〜等/〜のような(such as)」)の使用は、本発明をより明らかにすることを単に企図するのであって、特許請求の範囲に記載されなければ、本発明の範囲に制限を設けるものではない。明細書中のどの言語も、本発明の実施に必須なものとして、特許請求の範囲に記載されないエレメントを示すと解釈してはならない。
【0492】
[0363] 本明細書には、本発明を行うのに本発明者に知られた最良の形式を含めて、本発明の好ましい態様が記載されている。当業者には、上述の記載を読めば、この好ましい態様の変形形態が明らかになるかもしれない。本発明者は、当業者がそのような変形形態を適正なものとして利用することを期待して、本発明者は、本明細書に具体的に記載したのとは別の方法で本発明が実施されると考える。従って、本発明には、準拠法によって許容されるように、添付の特許請求の範囲において引用される主題のすべての変更形態及び均等物が含まれる。さらに、本発明には、本明細書で他に示さなければ、又は文脈により他の点で明らかに矛盾しなければ、上記のエレメントのあらゆる組合せが、そのすべての可能な変形形態において含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21A
図21B