【実施例】
【0031】
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明する。ところが、下記の実施例は、本発明をさらに具体的に説明するためのもので、本発明の範囲を限定するものではない。下記の実施例は本発明の範囲内において当業者によって適切に修正、変更できる。
【0032】
(実施例1:積層型バリスタの製造)
主成分としてのZnO粉末93.7843g(Zn96.6at%)、CaCO
34.7022g(Ca2.0at%)、Co
3O
40.9487g(Co1.0at%)、Cr
2O
30.1796g(Cr0.2at%)およびLa
2O
30.3851g(La0.2at%)を秤量し、前記秤量物を、前記秤量物の重量の3倍に相当するイオン交換水と共に部分安定化ジルコニア(PSZ)が含まれたボールミルに投入して混合し、粉砕した。その後、脱水、乾燥処理を行って造粒粉を製造し、得られた造粒粉を大気中で700℃の温度で2時間、か焼処理し、充分に粉砕して、か焼粉末を製造した。
【0033】
次いで、か焼粉末に有機バインダーとしてBM2(SEKISUI社製)およびBM−SZ(SEKISUI社製)、有機可塑剤としてジオクチルフタレート(DOP)、有機溶剤としてトルエンおよびエタノールを所定量添加し、湿式粉砕してセラミックシート形成用スラリーを製造した。
【0034】
その後、ドクターブレード法を用いて、このスラリーをPETフィルム(ポリエチレンテレフタレート)上に厚さ約25μmのシート状に形成した後、所定の寸法に切断して多数のセラミックシートを形成した。
【0035】
続いて、Pdペーストを前記セラミックシートの表面にスクリーン印刷し、各セラミックシートの一端面から延伸し、他端はセラミックシート上に位置するように長方形に電極パターンを形成した。このように電極パターンが形成されたセラミックシートを積層し、これら積層されたセラミックシートを、電極パターンが形成されていないセラミックシート(保護層)に挿入し、圧着することにより、積層体を形成した。
【0036】
前記得られた積層体を縦1.6mm、横0.8mmに切断してZr匣鉢(Saggar)に収容し、空気中で400℃の温度で脱バインダー処理を施した後、空気中で1200℃の温度で3時間焼成してセラミック焼結体を製作した。その後、Agペーストを用意し、Agペーストをセラミック焼結体の両端に塗布した後、800℃の温度で焼付処理し、外部電極を形成して積層型バリスタを製作した。
【0037】
前記の方法で製作されたバリスタ素子のバリスタ電圧V1mA、非直線指数αおよび電気的誘電損失係数tanδなどを測定した。結果を
図1に示す。前記で製造されたセラミックシートのSEMイメージを
図2に示す。
【0038】
図1から確認されるように、本発明のバリスタ組成物は、非線形性に優れるうえ、バリスタ電圧が高く、誘電損失係数も適正の値を示して優れた特性を示した。特に、Caが2.0at%で含まれる場合、非線形係数が100と非常に高い値を示した。
【0039】
(実施例2〜4:積層型バリスタの製造)
パウダー組成を下記表1のように変更したこと以外は、前記実施例1と同様にして積層型バリスタを製作した。
【0040】
【表1】
【0041】
前記の方法で製作されたバリスタ素子のバリスタ電圧V1mA、非直線指数αおよび電気的誘電損失係数tanδなどを測定した。結果を
図1に示す。前記で製造されたセラミックシートのSEMイメージを
図2に示す。
【0042】
(実施例5〜9:積層型バリスタの製造)
パウダー組成を下記表2のように変更したこと以外は、前記実施例1と同様にして積層型バリスタを製作した。
【0043】
【表2】
【0044】
前記の方法で製作されたバリスタ素子のバリスタ電圧V1mAや非直線指数α、漏れ電流、密度などを測定した。結果を下記表3に示す。
【0045】
【表3】
【0046】
前記表3から確認されるように、本発明のバリスタ組成物は、非線形性に優れるうえ、バリスタ電圧が高く、漏れ電流も低い値を示し、密度も高くて優れた特性を示した。
【0047】
(実施例10〜14:積層型バリスタの製造)
パウダー組成を下記表4のように変更したこと以外は、前記実施例1と同様にして積層型バリスタを製作した。
【0048】
【表4】
【0049】
前記の方法で製作されたバリスタ素子のバリスタ電圧V1mA、非直線指数α、電気的誘電損失係数tanδ、比抵抗などを測定した。結果を
図3に示す。
図3から確認されるように、本発明のバリスタ組成物は、非線形性に優れるうえ、誘電損失係数および比抵抗値も適正の値を示して優れた特性を示した。
【0050】
(実施例15〜19:積層型バリスタの製造)
パウダー組成を下記表5のように変更したこと以外は、前記実施例1と同様にして積層型バリスタを製作した。
【0051】
【表5】
【0052】
前記の方法で製作されたバリスタ素子のバリスタ電圧V1mA、非直線指数α、電気的誘電損失係数tanδ、比抵抗などを測定した。結果を
図4に示す。
図4から確認されるように、本発明のバリスタ組成物は、非線形性、誘電損失係数および比抵抗値などにおいて好ましい値を示した。
【0053】
(実施例20〜24:積層型バリスタの製造)
パウダー組成を下記表6のように変更したこと以外は、前記実施例1と同様にして積層型バリスタを製作した。
【0054】
【表6】
【0055】
前記の方法で製作されたバリスタ素子のバリスタ電圧V1mA、非直線指数α、電気的誘電損失係数tanδ、比抵抗などを測定した。結果を
図5に示す。
図5から確認されるように、本発明のバリスタ組成物は、Alが少量で含有されたときにも、非線形性、漏れ電流および比抵抗などにおいて好ましい値を示した。
【0056】
(実施例25〜29:積層型バリスタの製造)
パウダー組成を下記表7のように変更したこと以外は、前記実施例1と同様にして積層型バリスタを製作した。
【0057】
【表7】
【0058】
前記の方法で製造されたバリスタ素子のバリスタ電圧V1mA、非直線指数α、電気的誘電損失係数tanδ、比抵抗などを測定した。結果を
図6に示す。
図6から確認されるように、本発明のバリスタ組成物は、Zrが少量で含有されたときにも、非線形性、漏れ電流および比抵抗などにおいて好ましい値を示した。
【0059】
(実施例30〜34:積層型バリスタの製造)
焼結温度と焼結時間を下記表8のように変更したこと以外は、前記実施例1と同様にして積層型バリスタを製作した。
【0060】
【表8】
【0061】
前記表8から確認されるように、本発明のバリスタ組成物は、1200℃で3時間焼結する場合に密度、電圧、非線形性および漏れ電流の観点で最も好ましい特性を示した。
【0062】
(実施例35〜51:積層型バリスタの製造)
パウダー組成を下記表9のように変更し、製造されたスラリーをPETフィルム(ポリエチレンテレフタレート)上に厚さ約33μmのシート状に形成したこと以外は、前記実施例1と同様にして積層型バリスタを製作した。
【0063】
【表9】
【0064】
前記の方法で製作されたバリスタ素子の相対密度、バリスタ電圧V1mA、漏れ電流IL、非線形指数α、誘電率ε、ZnOの比抵抗ρを測定した。結果を下記表10に示す。
【0065】
【表10】
【0066】
前記表
10から確認されるように、本発明のバリスタ組成物から製造されたバリスタは、密度が高く、バリスタ電圧も高く、漏れ電流が小さく、比抵抗も適正の値を示すことを確認した。特に、非線形性に優れる(
図7参照)うえ、組成によって非常に低い誘電率を持つので、電極の面積に拘ることなく小さい静電容量を有するバリスタを製造することができることを確認した。
【0067】
本発明において、バリスタの高電流特性とクランプ電圧特性を向上させ得る度合いを見計らうことが可能な方法としては、ZnO粒子の比抵抗を測定する方法を挙げることができる。
図8及び
図10にはRF impedance/Material Analyzer(Agilent E4991A)を用いて1MHz〜3GHzの範囲でIZIを測定して示した。前記グラフにおいて、IZIの最低値がZnO粒子の抵抗を示し、この値が低いほど優れた特性を示す。
図8及び
図10に示すように、本発明におけるZnO粒子の比抵抗は全体的に優れた特性を示した。
【0068】
(実施例52:積層型バリスタの製造)
パウダー組成を下記表11のように変更し、製造されたスラリーをPETフィルム(ポリエチレンテレフタレート)上に厚さ約20μmのシート状に形成し、焼結温度を1180℃にしたこと以外は、前記実施例1と同様にして積層型バリスタを製作した。
【0069】
【表11】
【0070】
前記で製造されたバリスタの電気的特性及びESD特性を通常の方法で評価した。その結果を下記表12及び表13に示す。
【0071】
【表12】
【0072】
【表13】
【0073】
前記試験結果より、本発明のバリスタ組成物は、既存のBi系組成に比べて電気的特性及びESD耐性に優れるうえ、EDS印加後の変化率が3%以下と安定的であることを確認することができる。