(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5665890
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】トーショナルバイブレーションダンパ
(51)【国際特許分類】
F16F 15/14 20060101AFI20150115BHJP
【FI】
F16F15/14 Z
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-556382(P2012-556382)
(86)(22)【出願日】2011年2月28日
(65)【公表番号】特表2013-522548(P2013-522548A)
(43)【公表日】2013年6月13日
(86)【国際出願番号】DE2011000197
(87)【国際公開番号】WO2011110153
(87)【国際公開日】20110915
【審査請求日】2014年2月25日
(31)【優先権主張番号】102010051860.3
(32)【優先日】2010年11月18日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102010031989.9
(32)【優先日】2010年7月22日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102010027404.6
(32)【優先日】2010年7月15日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102010011142.2
(32)【優先日】2010年3月11日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512006239
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アクチエンゲゼルシャフト ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ユング
(72)【発明者】
【氏名】ダーフィト シュネーデルバッハ
(72)【発明者】
【氏名】マークス ヴェアナー
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ヒューゲル
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン マイエンシャイン
(72)【発明者】
【氏名】トルステン クラウゼ
【審査官】
内田 博之
(56)【参考文献】
【文献】
欧州特許出願公開第1744074(EP,A2)
【文献】
欧州特許出願公開第0803659(EP,A1)
【文献】
特開2000−46119(JP,A)
【文献】
特開2000−46116(JP,A)
【文献】
英国特許出願公開第2413614(GB,A)
【文献】
独国特許出願公開第102004011830(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ほぼ円板形状の1つの振り子フランジ(200,5300)と複数の遠心振り子(300)とを備え、
各遠心振り子(300,301,302,303,304)は各1つの第1の振り子質量体(320)と第2の振り子質量体(330)とを有し、
前記第1の振り子質量体(320)は前記振り子フランジ(200,5300)の第1の表面(230)に配置され、かつ前記第2の振り子質量体(330)は前記振り子フランジ(200,5300)の第2の表面(240)に配置されており、
前記第1の振り子質量体(320)と前記第2の振り子質量体(330)とは、それぞれ少なくとも2つのスペーサピン(340,360)を介して、互いに堅く結合されており、
前記振り子フランジ(200,5300)は複数の切抜き部(210)を有していて、該切抜き部(210)内において前記スペーサピン(340,360)は案内されており、
少なくとも1つの第1の切抜き部(210)内において、第1の遠心振り子(300,301)の第2のスペーサピン(360)と第2の遠心振り子(300,302)の第1のスペーサピン(340)とが案内されている、
自動車のパワートレーン用のトーショナルバイブレーションダンパ(1100,2100,3100,4100,5100)であって、
前記第1の切抜き部(210)内に1つのスペーサエレメント(1200,2200,3200,4200,5200)が配置されており、
該スペーサエレメント(1200,2200,3200,4200,5200)は、前記第1の遠心振り子(300,301)と前記第2の遠心振り子(300,302)とが互いに接触し得ないように、寸法設定されていることを特徴とする、自動車のパワートレーン用のトーショナルバイブレーションダンパ(1100,2100,3100,4100,5100)。
【請求項2】
前記スペーサエレメント(1200,2200,3200,4200,5200)は自由運動可能に前記第1の切抜き部(210)内に配置されている、請求項1記載のトーショナルバイブレーションダンパ(1100,2100,3100,4100,5100)。
【請求項3】
前記スペーサエレメント(1200,2200,3200,4200,5200)は扁平に形成されていて、前記振り子フランジ(200,5300)とほぼ同じ厚さを有する、請求項1又は2記載のトーショナルバイブレーションダンパ(1100,2100,3100,4100,5100)。
【請求項4】
前記第1の切抜き部(210)は、ほぼ円形リング部分の形状を有し、前記スペーサエレメント(1200,2200)も同様にほぼ円形リング部分の形状を有する、請求項1から3までのいずれか1項記載のトーショナルバイブレーションダンパ(1100,2100)。
【請求項5】
前記スペーサエレメント(3200,4200)はクリップの形状を有する、請求項1から3までのいずれか1項記載のトーショナルバイブレーションダンパ(3100,4100)。
【請求項6】
前記スペーサエレメント(3200,4200)は、前記振り子フランジ(200,5300)の中心に向かって開放したクリップの形状を有する、請求項5記載のトーショナルバイブレーションダンパ(3100,4100)。
【請求項7】
前記スペーサエレメント(2200,4200)は第1の羽根(2210,4210)を有し、該第1の羽根(2210,4210)は、前記第1の遠心振り子(300,301)の前記第2のスペーサピン(360)と前記第1の切抜き部(210)の1つの縁部との間に配置されており、
前記スペーサエレメント(2200,4200)は第2の羽根(2220,4220)を有し、該第2の羽根(2220,4220)は、前記第2の遠心振り子(300,302)の前記第1のスペーサピン(340)と前記第1の切抜き部(210)の1つの縁部との間に配置されている、請求項4から6までのいずれか1項記載のトーショナルバイブレーションダンパ(2100,4100)。
【請求項8】
前記スペーサエレメント(5200)は円板形状に形成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のトーショナルバイブレーションダンパ(5100)。
【請求項9】
前記スペーサエレメント(1200,2200,3200,4200,5200)は、前記第1の遠心振り子(300,301)と前記第2の遠心振り子(300,302)とが静止位置にある場合には、前記第1の遠心振り子(300,301)の前記第2のスペーサピン(360)と前記第2の遠心振り子(300,302)の前記第1のスペーサピン(340)との間における空間を完全には満たしていない、請求項1から8までのいずれか1項記載のトーショナルバイブレーションダンパ(1100,2100,3100,4100,5100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載のトーショナルバイブレーションダンパ、すなわち、ほぼ円板形状の1つの振り子フランジと複数の遠心振り子とを備え、各遠心振り子は各1つの第1の振り子質量体と第2の振り子質量体とを有し、前記第1の振り子質量体は前記振り子フランジの第1の表面に配置され、かつ前記第2の振り子質量体は前記振り子フランジの第2の表面に配置されており、前記第1の振り子質量体と前記第2の振り子質量体とは、それぞれ少なくとも2つのスペーサピンを介して、互いに堅く結合されており、前記振り子フランジは複数の切抜き部を有していて、該切抜き部内において前記スペーサピンは案内されており、少なくとも1つの第1の切抜き部内において、第1の遠心振り子の第2のスペーサピンと第2の遠心振り子の第1のスペーサピンとが案内されている、自動車のパワートレーン用のトーショナルバイブレーションダンパに関する。
【0002】
自動車のパワートレーンにおいては、トーショナルバイブレーション、つまりねじり振動の発生することがある。このトーショナルバイブレーションを抑制するために、パワートレーンに配置されたトーショナルバイブレーションダンパを使用することが公知である。このようなトーショナルバイブレーションダンパもしくはねじり振動ダンパは、主として、円板形状の振り子フランジから成っていて、この振り子フランジには、質量エレメントとして形成された複数の遠心振り子が取り付けられている。この場合遠心振り子は、振り子フランジの半径方向及び周方向において可動である。
【0003】
振り子フランジはパワートレーンによって回転運動させられる。これにより遠心振り子は半径方向外側に向かって押圧され、この場合、半径方向外側に向かって作用する遠心力の大きさは、パワートレーンの回転数に関連している。例えば内燃機関の作動サイクルによって惹起される、パワートレーンの不均一な角速度によって、遠心振り子は振り子フランジの周方向において変位し、これによってパワートレーンの角速度の不均一性は減衰される。このようなトーショナルバイブレーションダンパは、例えばDE102009042831A1に基づいて公知である。
【0004】
パワートレーンの回転数及び角速度が小さい場合には、遠心振り子に作用する遠心力は場合によっては、遠心振り子をその半径方向外側のポジションに保つのに十分でない場合がある。そして重力の影響下において遠心振り子は、互いに隣接している遠心振り子が互いに衝突するように移動することもある。このような場合には、耳障りで不都合に感じられる騒音が発生する。
【0005】
ゆえに本発明の課題は、改良されたトーショナルバイブレーションダンパを提供することである。
【0006】
この課題は、請求項1記載のトーショナルバイブレーションダンパによって解決される。すなわち本発明によるトーショナルバイブレーションダンパでは、冒頭に述べたトーショナルバイブレーションダンパにおいて、前記第1の切抜き部内に1つのスペーサエレメントが配置されており、該スペーサエレメントは、前記第1の遠心振り子と前記第2の遠心振り子とが互いに接触し得ないように、寸法設定されている。
【0007】
本発明の有利な変化形は、従属請求項に記載されている。
【0008】
本発明による、自動車のパワートレーン用のトーショナルバイブレーションダンパは、ほぼ円板形状の1つの振り子フランジと複数の遠心振り子とを有する。この場合各遠心振り子は各1つの第1の振り子質量体と第2の振り子質量体とを有する。前記第1の振り子質量体は前記振り子フランジの第1の表面に配置され、かつ前記第2の振り子質量体は前記振り子フランジの第2の表面に配置されている。さらに各遠心振り子の前記第1の振り子質量体と前記第2の振り子質量体とは、それぞれ少なくとも2つのスペーサピンを介して、互いに堅く結合されている。前記振り子フランジは複数の切抜き部を有していて、該切抜き部内において前記スペーサピンは案内されており、少なくとも1つの第1の切抜き部内において、第1の遠心振り子の第2のスペーサピンと第2の遠心振り子の第1のスペーサピンとが案内されている。さらに前記第1の切抜き部内に1つのスペーサエレメントが配置されており、該スペーサエレメントは、前記第1の遠心振り子と前記第2の遠心振り子とが互いに接触し得ないように、寸法設定されている。このように構成されていると、スペーサエレメントによって、第1の遠心振り子と第2の遠心振り子との衝突を阻止することができ、有利である。そしてこれにより、パワートレーンの低回転数時においても耳障りな不都合な騒音発生が阻止される。
【0009】
好ましくは、前記スペーサエレメントは、自由運動可能に前記第1の切抜き部内に配置されている。このようになっていると、スペーサエレメントは遠心振り子の変位に追従することができ、有利である。
【0010】
同様に好ましくは、前記スペーサエレメントは扁平に形成されていて、前記振り子フランジとほぼ同じ厚さを有する。この場合有利な態様ではスペーサエレメントは第1の切抜き部内に配置され、スペーサエレメントと遠心振り子の振り子質量体との間において付加的な摩擦力を生ぜしめない。
【0011】
本発明の別の態様では、前記第1の切抜き部は、ほぼ円形リング部分の形状を有し、前記スペーサエレメントも同様にほぼ円形リング部分の形状を有する。このような態様はスペーサエレメントの特に単純な構成であり、有利である。
【0012】
本発明の別の態様では、前記スペーサエレメントはクリップの形状を有する。このようなスペーサエレメントは特に小さな質量を有しており、有利である。
【0013】
本発明の特に有利な態様では、前記スペーサエレメントは、前記振り子フランジの中心に向かって開放したクリップの形状を有する。このように構成されていると、スペーサエレメントは、第1の切抜き部の半径方向外側の画定縁部に沿って容易に滑ることができ、有利である。
【0014】
本発明の別の態様では、前記スペーサエレメントは第1の羽根を有し、該第1の羽根は、前記第1の遠心振り子の前記第2のスペーサピンと前記第1の切抜き部の1つの縁部との間に配置されており、さらに前記スペーサエレメントは第2の羽根を有し、該第2の羽根は、前記第2の遠心振り子の前記第1のスペーサピンと前記第1の切抜き部の1つの縁部との間に配置されている。この実施態様では、スペーサエレメントと振り子フランジとの間において摩擦が発生せず、有利である。またスペーサエレメントとスペーサピンとの間においても、小さな摩擦しか発生しない。
【0015】
本発明の別の態様では、前記スペーサエレメントは円板形状に形成されている。円板形状のスペーサエレメントは第1の切抜き部内において転動することができ、有利である。これによってこの実施態様では、滑り摩擦の代わりに、滑り摩擦に比べて減じられた転がり摩擦しか発生しない。
【0016】
本発明の同様に有利な態様では、前記スペーサエレメントは、前記第1の遠心振り子と前記第2の遠心振り子とが静止位置にある場合には、前記第1の遠心振り子の前記第2のスペーサピンと前記第2の遠心振り子の前記第1のスペーサピンとの間における空間を完全には満たしていない。このようになっていると、周方向における複数の遠心振り子の変位の間におけるある程度の非同期性が可能になる。そしてこの場合遠心振り子は、互いに無関係に独立して運動することができ、連結されておらず、これによってトーショナルバイブレーションダンパの減衰特性が改善される。さらにスペーサピンとスペーサエレメントとはこの実施態様では、パワートレーンの高回転数時及び小さなねじり振動の場合に接触せず、その結果スペーサピンとスペーサエレメントとの間において摩擦が発生しない。さらにこのような運転状態では、スペーサエレメントは切抜き部内において運動しないので、スペーサエレメントと振り子フランジとの間においても摩擦が発生しない。トーショナルバイブレーションダンパは、デュアルマスフライホイールとして形成されていても、又は単段又は多段のトーショナルバイブレーションダンパとして形成されていてもよい。またトーショナルバイブレーションダンパを、ハイドロダイナミック式のトルクコンバータ又はクラッチ装置との関連において配置することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】公知のトーショナルバイブレーションダンパを示す平面図である。
【
図2】
図1に示したトーショナルバイブレーションダンパを
図1のA−A線で断面した図である。
【
図3】
図1に示したトーショナルバイブレーションダンパを
図1のB−B線で断面した図である。
【
図4】
図1に示したトーショナルバイブレーションダンパを
図1のC−C線で断面した図である。
【
図5】公知のトーショナルバイブレーションダンパを示す別の図である。
【
図6】本発明の第1実施形態によるトーショナルバイブレーションダンパを示す図である。
【
図7】本発明の第2実施形態によるトーショナルバイブレーションダンパを示す図である。
【
図8】本発明の第3実施形態によるトーショナルバイブレーションダンパを示す図である。
【
図9】本発明の第4実施形態によるトーショナルバイブレーションダンパを示す図である。
【
図10】本発明の第5実施形態によるトーショナルバイブレーションダンパを示す図である。
【0018】
図1には、公知のトーショナルバイブレーションダンパが平面図で示されている。このトーショナルバイブレーションダンパ100は、中央に配置されたボス110を備えるほぼ円板形の第1の振り子フランジ200を有する。ボス110を介して振り子フランジ200は、自動車のパワートレーンによって回転運動されることができる。
図1に示す回転方向120はこの場合、自動車のパワートレーンに配置されたトランスミッションから自動車の内燃機関への視線方向に相当する。
【0019】
トーショナルバイブレーションダンパ100は、パワートレーンのねじり振動を減衰するために働く。そのために、トーショナルバイブレーションダンパ100は、複数の遠心振り子300を有する。
図1に示す形態では4つの遠心振り子300が、すなわち第1の遠心振り子301、第2の遠心振り子302、第3の遠心振り子303及び第4の遠心振り子304が設けられている。しかしながらまた、別の数の遠心振り子300が設けられていてもよい。遠心振り子300は互いに同一に形成されている。
【0020】
図2〜
図4には、第1の遠心振り子301と第1の振り子フランジ200との異なった断面が示されている。
図2〜
図4から分かるように、各遠心振り子300の第1の振り子質量体320は、振り子フランジ200の、
図1において見える第1の表面230の上に配置されている。各遠心振り子300の第2の振り子質量体330は、振り子フランジ200の、
図1においては見えない背側の第2の表面240の上に配置されている。
【0021】
トーショナルバイブレーションダンパ100の振り子フランジ200は、複数のU字形の切抜き部210を有し、このU字形の切抜き部210の数は遠心振り子300の数に一致している。従って
図1に示す形態では、4つのU字形の切抜き部210が設けられている。各U字形の切抜き部210は、振り子フランジ200を貫く貫通孔を形成していて、U字形の切抜き部210の開放した側が振り子フランジ200のボス110に向いていて、U字形の切抜き部210の閉鎖された側が半径方向外側に向かって方向付けられるように、配置されている。
【0022】
さらに振り子フランジ200は、複数の中間の切抜き部220を有しており、これらの中間の切抜き部220の数は遠心振り子300の数に一致している。中間の切抜き部220もまた、振り子フランジ200を貫く完全な貫通孔として形成されている。中間の切抜き部220はそれぞれ、振り子フランジ200の周方向において、2つのU字形の切抜き部210の間に配置されている。
【0023】
さらに振り子フランジ200は、複数の第1のローラ切抜き部270を有している。第1のローラ切抜き部270の数もまた同様に、遠心振り子300の数に一致している。第1のローラ切抜き部270もまた振り子フランジ200を貫く完全な貫通孔である。第1のローラ切抜き部270はそれぞれ、振り子フランジ200の周方向において、1つの中間の切抜き部220と1つのU字形の切抜き部210との間に配置されている。
【0024】
さらに第1の振り子フランジ200は第2のローラ切抜き部280を有しており、これらの第2のローラ切抜き部280の数は、遠心振り子300の数に一致している。第2のローラ切抜き部280は第1のローラ切抜き部270に対して鏡面対称的に形成されている。第2のローラ切抜き部280は、振り子フランジ200の周方向において、1つの中間の切抜き部220と1つのU字形の切抜き部210との間に配置されている。これによって振り子フランジ200の周方向において、時計回り方向で見て、1つのU字形の切抜き部210、1つの第1のローラ切抜き部270、1つの中間の切抜き部220、1つの第2のローラ切抜き部280及び、再び1つのU字形の切抜き部210が連続して配置されている。
【0025】
各遠心振り子300の第1の振り子質量体320と第2の振り子質量体330とは、互いに同一に形成されている。各振り子質量体320,330は、ほぼ鎌形又は円形リング区分形状に形成されている。円形リング区分によって覆われた角度範囲は、この場合360°よりも僅かであり、遠心振り子300の数によって分割されている。
図1に示す形態では、円形リング区分形状の振り子質量体320,330によって覆われる角度範囲は、例えば90°よりも幾分小さい。これによって、個々の遠心振り子300を互いに間隔をおいて振り子フランジ200の周囲に配置することができる。
【0026】
各振り子質量体320,330は、第3のローラ切抜き部375と第4のローラ切抜き部385とを有している。これらの第3及び第4のローラ切抜き部375,385は、それぞれの振り子質量体320,330を貫く貫通孔として形成されていて、円形リング区分形状の振り子質量体320,330の対称軸線に対して対称的に配置されている。
【0027】
図2には、トーショナルバイブレーションダンパ100の一部が、
図1に示す直線AAに沿って断面されて示されている。この断面図から分かるように、第1の遠心振り子301の第1の振り子質量体320と第2の振り子質量体330とは、第1のスペーサピン340によって互いに間隔をおいてかつ堅く互いに結合されている。第1のスペーサピン340はこの場合、振り子フランジ200のU字形の切抜き部210のうちの1つを貫いて案内されている。
図4には、トーショナルバイブレーションダンパ100の一部が、
図1に示す直線CCに沿って断面されて示されている。この
図4からも分かるように、第1の遠心振り子301の第1の振り子質量体320と第2の振り子質量体330とはさらに第2のスペーサピン350によって、互いに堅く結合されており、この第2のスペーサピン350は、振り子フランジ200の中間の切抜き部220のうちの1つを貫いて案内されている。
図1からさらに分かるように、第1の遠心振り子301の対称軸線に関して鏡面対称的に、第3のスペーサピン360が設けられており、この第3のスペーサピン360は、第1の遠心振り子301の第1の振り子質量体320と第2の振り子質量体330とを互いに堅く結合していて、振り子フランジ200の別のU字形の切抜き部210を貫いて案内されている。
図1からさらに分かるように、各U字形の切抜き部210には、第1の遠心振り子301の第1のスペーサピン340と、隣接した第2の遠心振り子302の第3のスペーサピン360とが配置されている。
【0028】
図3には、トーショナルバイブレーションダンパ100の一部が、
図1に示す直線BBに沿って断面されて示されている。
図3から分かるように、第1の遠心振り子301の第3のローラ切抜き部375と、振り子フランジ200の第1のローラ切抜き部270のうちの1つとには、第1のローラ370が配置されている。この第1のローラ370によって、半径方向における第1の振り子フランジ200に対する第1の遠心振り子301の運動が制限される。
図1からさらに分かるように、第1の遠心振り子301の第4のローラ切抜き部385と、振り子フランジ200の第2のローラ切抜き部280とには、第2のローラ380が配置されており、この第2のローラ380の構成は、第1のローラ370の構成に相当している。
【0029】
トーショナルバイブレーションダンパ100が自動車のパワートレーンによって、ボス110によって形成された回転軸線を中心にして回転させられると、遠心振り子300に対して半径方向外側に向く遠心力が作用し、この遠心力は遠心振り子300を半径方向において、各遠心振り子300の振り子質量体320,330が
図3に示すようにローラ370,380に接触するまで、大きく変位させる。回転運動に重畳されるねじり振動が、振り子フランジ200の周方向における遠心振り子300の変位を生ぜしめる。ローラ370,380はこの際に回転させられ、遠心振り子300の切抜き部375,385の縁部及び振り子フランジ200の切抜き部270,280の縁部に沿って転動する。振り子フランジ200の周方向における遠心振り子300のこのような変位可能性によって、回転運動に重畳されるねじり振動が、減衰される。遠心振り子300はこの際にほぼ同期的に振動し、この場合ある程度の非同期性が可能である。
【0030】
パワートレーンの回転数が、例えば300rpmの値である特定の最低値を下回った場合に、遠心振り子300に対して作用する遠心力はもはや、遠心振り子300を完全に半径方向において変位させるのに十分ではない。重力の影響下において、幾つかの遠心振り子300が衝突することがある。このような状態は例えば
図5に示されているが、ここでは第2の遠心振り子302と第3の遠心振り子303とが、かつ第3の遠心振り子303と第4の遠心振り子304とが2つの衝突ポイント400において互いに衝突している。遠心振り子300の相互の衝突によって、不快に感じられる騒音が発生する。
【0031】
図6には、第1実施形態による第1のトーショナルバイブレーションダンパ1100の一部が示されている。
図6には、U字形の切抜き部210を備えた第1の振り子フランジ200の一部、第1の遠心振り子301の、振り子フランジ200の後ろに位置する第2の振り子質量体330の一部、第2の遠心振り子302の、振り子フランジ200の後ろに位置する第2の振り子質量体330の一部、並びに第1の遠心振り子301のスペーサピン360及び第2の遠心振り子302の第1のスペーサピン340が示されている。さらにU字形の切抜き部210内には第1のスペーサエレメント1200が配置されている。この第1のスペーサエレメント1200は、U字形の切抜き部210のように、ほぼ円形リング区分形状に形成されていて、この場合しかしながらU字形の切抜き部210に比べて小さな角度範囲にわたって延びている。半径方向において、つまりスペーサエレメント1200を制限する内側の円形リングと外側の円形リングとの間における方向において、第1のスペーサエレメント1200は、U字形の切抜き部210に比べて幾分小さな幅を有している。振り子フランジ200の第1の表面230に対して垂直な方向において、第1のスペーサエレメント1200は振り子フランジ200とほぼ同じ厚さを有している。
【0032】
第1のスペーサエレメント1200は第1の遠心振り子301の第3のスペーサピン360と第2の遠心振り子302の第1のスペーサピン340との間に配置されている。第1のスペーサエレメント1200によって覆われる角度は、第1の遠心振り子301の第3のスペーサピン360と第1のスペーサエレメント1200との間、及び第2の遠心振り子302の第1のスペーサピン340と第1のスペーサエレメント1200との間において、それぞれ内側間隔1220が形成されるように、寸法設定されており、これによって、遠心振り子301,302がその静止位置にある場合に、前記内側間隔1220の分だけ、スペーサピン340,360と第1のスペーサエレメント1200とは互いに間隔をおいて位置する。第1の遠心振り子301と第2の遠心振り子302とが、遠心振り子301,302の非同期的な変位によって振り子フランジ200の周方向において接近する場合、この接近は、両スペーサピン340,360が第1のスペーサエレメント1200に接触するまでしか可能でない。その結果第1のスペーサエレメント1200は常に、第1の遠心振り子301の第3のスペーサピン360と第2の遠心振り子302の第1のスペーサピン340との間における最小の揺動間隔を保証する。
【0033】
第1のトーショナルバイブレーションダンパ1100が回転すると、第1のスペーサエレメント1200に作用する遠心力1240によって、第1のスペーサエレメント1200はU字形の切抜き部210の半径方向外側の縁部に接触する。第1の遠心振り子301と第2の遠心振り子302とが振り子フランジ200の周方向において変位させられると、これによって、第1のスペーサエレメント1200もまたU字形の切抜き部210の内部において振り子フランジ200の周方向において移動させられる。これにより、U字形の切抜き部210の半径方向外側の縁部における摩擦領域1230において、摩擦力が発生する。この摩擦力は第1のトーショナルバイブレーションダンパ1100の回転数と共に増大する。しかしながら実験によれば、この摩擦は第1のトーショナルバイブレーションダンパ1100の機能及び伝達能に対して不都合な影響を及ぼさないことが分かっている。
【0034】
内側間隔1220は、必要に応じて、種々様々に選択することができる。内側間隔1220が比較的大きく選択されると、振り子フランジ200の周方向における遠心振り子300の変位の非同期性が可能である。この場合遠心振り子300は互いに無関係に独立して運動し、互いに連結されない。第1のトーショナルバイブレーションダンパ1100の高回転数及び小さなねじり振動時に、スペーサピン340,360と第1のスペーサエレメント1200とは互いに接触せず、その結果この領域においては摩擦が発生することはあり得ない。同様にこのような運転状態では、第1のスペーサエレメント1200はU字形の切抜き部210内において位置固定に動かないので、スペーサエレメント1200とU字形の切抜き部210の縁部との間においても摩擦が発生しない。しかしながらまた内側間隔1220を小さく選択して、遠心振り子300の非同期的な横方向変位が不可能であるように、かつ幾つかの遠心振り子300が連結されて、互いに同期的に振り子フランジ200の周方向において変位されるようにすることも、可能である。
【0035】
図7には、第2実施形態による第2のトーショナルバイブレーションダンパ2100の一部が示されている。図示の部分は、
図6に示した第1のトーショナルバイブレーションダンパ1100の部分に対応している。しかしながら第2のトーショナルバイブレーションダンパ2100では第1のスペーサエレメント1200の代わりに、第2のスペーサエレメント2200がU字形の切抜き部210内に設けられている。第1のスペーサエレメント1200とは異なり、この第2のスペーサエレメント2200は付加的に第1の羽根2210と第2の羽根2220とを有している。第1の羽根2210は、第2のスペーサエレメント2200の半径方向内側の外縁部の延長部として、第1の遠心振り子301の第3のスペーサピン360とU字形の切抜き部210の半径方向内側の縁部との間の領域内に延びている。第2の羽根2220は、第2のスペーサエレメント2200の半径方向内側の外縁部の延長部として、第2の遠心振り子302の第1のスペーサピン340とU字形の切抜き部210の半径方向内側の縁部との間の領域内に延びている。羽根2210,2220はこれによって、第2のスペーサエレメント2200の半径方向における画定面に垂直に配置されている。第2のスペーサエレメント2200の羽根2210,2220によって、第2のスペーサエレメント2200は、該第2のスペーサエレメント2200に対して作用する遠心力の影響下においても、U字形の切抜き部210の半径方向外側の縁部に向かって変位することができなくなる。その代わりに羽根2210,2220は、半径方向外側に向かって作用する遠心力の作用下でスペーサピン340,360に接触する。その結果第2のスペーサエレメント2200と第1の振り子フランジ200との間における摩擦も発生し得ない。そして小さな摩擦が、羽根2210,2220とスペーサピン340,360との間における摩擦領域2230において発生するだけである。第2のスペーサエレメント2200の円形リング区分形状の部分とスペーサピン340,360との間の内側間隔2240の選択に関しては、
図6の第1のスペーサエレメント1200に対して述べたのと同じことが言える。
【0036】
図8には、第3実施形態による第3のトーショナルバイブレーションダンパ3100の一部が示されている。
図6の第1のトーショナルバイブレーションダンパ1100の第1のスペーサエレメント1200の代わりに、第3のトーショナルバイブレーションダンパ3100は第3のスペーサエレメント3200を有している。第3のスペーサエレメント3200の外側輪郭は同様に円形リング部分形状であり、第1のスペーサエレメント1200の外側輪郭に相当している。しかしながら第3のスペーサエレメント3200では第1のスペーサエレメント1200とは異なり、半径方向内側の画定縁部と面状領域の最大部分とは除去されており、その結果単に半径方向外側の画定縁部と半径方向の両画定縁部だけが残っている。従って全体として第3のスペーサエレメント3200はクリップの形状を有しており、このクリップの開放した側は、振り子フランジ200の中心に向いている。第1のスペーサエレメント1200とは異なり、第3のスペーサエレメント3200は減じられた質量を有している。さらに第3のスペーサエレメント3200のクリップ状の形態によって、第3のスペーサエレメント3200には弾性が高められている。この弾性は第3のスペーサエレメント3200へのスペーサピン340,360の衝突を緩衝し、これによって騒音をさらに減じる。第1のスペーサエレメント1200におけるように、第3のスペーサエレメント3200とU字形の切抜き部210の半径方向外側の縁部との間における半径方向外側の摩擦領域3230には、摩擦力の発生することがあるが、この摩擦力はしかしながら不都合でないことが判明している。
【0037】
図9には、第4実施形態による第4のトーショナルバイブレーションダンパ4100の一部が示されている。第1のトーショナルバイブレーションダンパ1100の第1のスペーサエレメント1200の代わりに、第4のトーショナルバイブレーションダンパ4100は、U字形の切抜き部210内に配置された第4のスペーサエレメント4200を有している。この第4のスペーサエレメント4200は第3のトーショナルバイブレーションダンパ3100の第3のスペーサエレメント3200に類似しているが、この第3のスペーサエレメント3200とは異なり、第2のトーショナルバイブレーションダンパ2100の第2のスペーサエレメント2200のように、第3の羽根4210と第4の羽根4220を有している。第3の羽根4210は、第4のスペーサエレメント4200の半径方向の側縁部のうちの1つから、第1の遠心振り子301の第3のスペーサピン360とU字形の切抜き部210の半径方向内側の縁部との間に位置する、U字形の切抜き部210の領域内に延びている。第4の羽根4220は相応に、第4のスペーサエレメント4200の、反対側に位置する半径方向内側の外縁部から、U字形の切抜き部210の半径方向内側の制限縁部と第2の遠心振り子302の第1のスペーサピン340との間に位置する、U字形の切抜き部210の領域内に延びている。これにより全体として第4のスペーサエレメント4200は、ギリシャ文字のオメガを想起させる形状を有している。第2のトーショナルバイブレーションダンパ2100の第2のスペーサエレメント2200におけるように、第4のスペーサエレメント4200の羽根4210,4220によって、第4のスペーサエレメント4200もまた、半径方向外側に向かって作用する遠心力の影響下においても、U字形の切抜き部210の半径方向外側の縁部に接触せず、ひいては摩擦を生ぜしめることがない。その代わりに、減じられた摩擦が、羽根4210,4220とスペーサピン60との間の摩擦領域4230においてだけ発生する。
【0038】
図10には、第5実施形態による第5のトーショナルバイブレーションダンパ5100の一部が示されている。この第5のトーショナルバイブレーションダンパ5100は、第1の振り子フランジ200の代わりに、第2の振り子フランジ5300を有しており、この第2の振り子フランジ5300はU字形の切抜き部210の代わりに、広げられたU字形の切抜き部5310を有している。この広げられたU字形の切抜き部5310は、U字形の切抜き部210に比べて広幅に形成されていて、つまり切抜き部の内径部と外径部との間に大きな間隔を有している。広げられたU字形の切抜き部5310内においては同様に、第1の遠心振り子301の第3のスペーサピン360と第2の遠心振り子302の第1のスペーサピン340とが案内される。さらに広げられた切抜き部5310内において両スペーサピン340,360の間には、第5のスペーサエレメント5200が配置されており、この第5のスペーサエレメント5200は図示の実施形態では円板として形成されている。この円板の直径は、切抜き部5310の外径部と内径部との間における間隔よりも幾分小さい。第5のスペーサエレメント5200は、第1の遠心振り子301と第2の遠心振り子302とが互いに衝突することを阻止する。それというのは、両遠心振り子301,302の接触前に既に、スペーサピン340,360が第5のスペーサエレメント5200と接触するからである。遠心振り子301,302が静止位置にある場合には、第5のスペーサエレメント5200とスペーサピン340,360との間にはそれぞれ1つの内側間隔5220が生じており、この内側間隔5220は、遠心振り子301,302の接触が阻止されるように、寸法設定されている。円板形状の第5のスペーサエレメント5200の直径と内側間隔5220との選択によって、第1の遠心振り子301の第3のスペーサピン360と第2の遠心振り子302の第1のスペーサピン340とが常に最小の揺動間隔5210を維持することを、保証することができる。第5のスペーサエレメント5200の円板形状の構成には、第5のスペーサエレメント5200が広げられたU字形の切抜き部5310の縁部に沿って転動することができる、という利点がある。これによって第5のスペーサエレメント5200と、第2の振り子フランジ5300の、広げられたU字形の切抜き部5310を画定する縁部との間においては、摩擦領域5230において、滑り摩擦の代わりに、該滑り摩擦に対して減じられた転がり摩擦が発生する。
【0039】
スペーサエレメント1200,2200,3200,4200,5200の、
図6〜
図10に示した実施形態の代わりに、別の形状を備えるスペーサエレメントを使用することもできる。
【0040】
スペーサエレメントの代わりに、遠心振り子300の振り子質量体320,330の短縮によっても、遠心振り子300相互の衝突を阻止することができる。しかしながらこのような構成は、遠心振り子300の質量減少を伴うことになり、これによってトーショナルバイブレーションダンパの減衰特性を劣化させることになってしまう。さらにこの場合、遠心振り子300のスペーサピン340,360が振り子フランジ200,5300に衝突することになる。
【0041】
本発明は、2つの遠心振り子の外側のスペーサピンが1つの共通の切抜き部内において案内される、すべてのトーショナルバイブレーションダンパにおいて、使用することができる。
【符号の説明】
【0042】
100 公知のトーショナルバイブレーションダンパ
110 ボス
120 回転方向
200 第1の振り子フランジ
210 U字形の切抜き部
220 中間の切抜き部
230 第1の表面
240 第2の表面
270 第1のローラ切抜き部
280 第2のローラ切抜き部
300 遠心振り子
301 第1の遠心振り子
302 第2の遠心振り子
303 第3の遠心振り子
304 第4の遠心振り子
310 揺動方向
320 第1の振り子質量体
330 第2の振り子質量体
340 第1のスペーサピン
350 第2のスペーサピン
360 第3のスペーサピン
370 第1のローラ
375 第3のローラ切抜き部
380 第2のローラ
385 第4のローラ切抜き部、
400 衝突ポイント
1100 第1のトーショナルバイブレーションダンパ
1200 第1のスペーサエレメント
1210 揺動間隔
1220 内側間隔
1230 摩擦領域
1240 遠心力
2100 第2のトーショナルバイブレーションダンパ
2200 第2のスペーサエレメント
2210 第1の羽根
2220 第2の羽根
2230 摩擦領域
2240 内側間隔
3100 第3のトーショナルバイブレーションダンパ
3200 第3のスペーサエレメント
3230 摩擦領域
4100 第4のトーショナルバイブレーションダンパ
4200 第4のスペーサエレメント
4210 第3の羽根
4220 第4の羽根
4230 摩擦領域、
5100 第5のトーショナルバイブレーションダンパ
5200 第5のスペーサエレメント
5210 揺動間隔
5220 内側間隔
5230 摩擦領域
5300 第2の振り子フランジ
5310 広げられたU字形の切抜き部