(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電解質膜を主体とする単電池の間に配置されるように矩形もしくは方形の平板状をなすとともに、燃料もしくは空気を流通させる多条の細い正面溝が単電池に密着させられる一方の第1面に形成され、かつ燃料もしくは空気を流通させる多条の細い背面溝が他の単電池に密着させられる他方の第2面に形成され、前記正面溝の一方の端部が連通する第1供給用マニホールドと前記正面溝の他方の端部が連通する第1排出用マニホールドとが前記矩形もしくは方形の中心に対して点対称となるように周辺部に該周辺部の板厚方向に貫通して形成され、さらに前記背面溝の一方の端部が連通する第2供給用マニホールドと前記背面溝の他方の端部が連通する第2排出用マニホールドとが前記矩形もしくは方形の中心に対して点対称となるように周辺部に該周辺部の板厚方向に貫通して形成されている燃料電池用セパレータにおいて、
前記第1供給用マニホールドは前記矩形もしくは方形の一つのコーナー部に該コーナー部に沿って直角に曲がって形成され、
前記第1排出用マニホールドは前記第1供給用マニホールドが形成されている前記コーナー部に対して対角線上の他のコーナー部に該他のコーナー部に沿って直角に曲がって形成され、
前記第2供給用マニホールドは前記第1供給用マニホールドと左右対称となるように前記第1供給用マニホールドを表裏反転させた形状をなし、かつ前記第1供給用マニホールドが形成されている前記コーナー部に隣り合っている更に他のコーナー部に形成され、
前記第2排出用マニホールドは前記第1排出用マニホールドと左右対称となるように前記第1排出用マニホールドを表裏反転させた形状をなし、かつ前記第1供給用マニホールドが形成されている前記コーナー部に隣り合っているまた更に他のコーナー部に形成され、
前記正面溝の一方の端部は前記第1供給用マニホールドが形成されている前記コーナー部を構成している二辺のうちの一方の辺に向けて開口し、かつ
前記正面溝の他方の端部は前記一方の端部とは前記矩形もしくは方形の中心に対して点対称となる位置に位置するように前記第1排出用マニホールドが形成されている前記他のコーナー部を構成している二辺のうちの一方の辺に向けて開口し、
前記背面溝の一方の端部は前記第2供給用マニホールドが形成されている前記コーナー部を構成している前記二辺のうちの他方の辺に向けて開口し、かつ
前記背面溝の他方の端部は前記背面溝における前記一方の端部とは前記矩形もしくは方形の中心に対して点対称となる位置に位置するように前記第2排出用マニホールドが形成されている前記他のコーナー部を構成している前記二辺のうちの他方の辺に向けて開口している
ことを特徴とする燃料電池用セパレータ。
前記単電池を挟んで前記第1面同士を対向させ、かつ前記単電池を挟んで前記第2面同士を対向させることにより、前記第1供給用マニホールドと第2供給用マニホールドとが対向して連通するとともに、前記第1排出用マニホールドと前記第2排出用マニホールドとが互いに対向して連通するように構成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の燃料電池用セパレータ。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、要は、燃料をプロトン(水素イオン)と電子とに分離させ、その電子を電流として外部の電気負荷に取り出し、プロトンは電解質を透過させた後に酸化させる発電手段である。この種の燃料電池としてダイレクトメタノール型燃料電池(DMFC:Direct Methanol Fuel Cell)が知られている。DMFCは、メタノールを燃料とするから取り扱いが容易であり、また低温で動作し、さらに燃料のエネルギ密度が高いなどの利点があり、その反応は、下記の式で表される。
CH
3OH + H
2O → CO
2 + 6H
+ 十 6e
− …(1)
3/2O
2 + 6H
+ + 6e
− → 3H
2O …(2)
【0003】
この反応は電解質膜を介して行われ、そのための原理的な構成を
図5に模式的に示してある。
図5で符号1は電解質膜を示し、この電解質膜1は従来知られているナフィオン(Nafion:登録商標)などから構成されている。この電解質膜1を挟んで一方の面側に燃料供給側の触媒層2fが設けられ、他方の面側に酸化剤としての空気を供給する側の触媒層2oが設けられている。これらの触媒層2f,2oは、一例として白金とルテニウムとの混合物によって構成されている。それぞれの触媒層2f,2oの外側(電解質膜1とは反対側)に多孔質材によって構成されたガス拡散層3f,3oが配置され、そして最も外側に電極4f,4oがそれぞれ配置されている。これらの電解質膜1および触媒層2f,2oならびにガス拡散層3f,3oおよび電極4f,4oは互いに密着した状態に重ね合わされて一体化されている。このように一体化された構成体は、膜・電極構成体(Membran Electrod Assemby:MEA)5と称せられ、発電のための最少の構成を備えたもの(単電池)となっている。
【0004】
DMFCは上記の利点を有しているが、発生する電力が少ないため、スマートフォンなどの携帯用電子機器のための電源以外の携帯型電源もしくは定置式の電源として使用するためには多数の単電池を積層し、それらの単電池を直並列に接続して一つの燃料電池を構成することになる。多数の単電池を積層する場合、各単電池の間にセパレータを挟み込み、そのセパレータを介して燃料や空気を単電池に供給し、また二酸化炭素や水などの反応生成物あるいは余剰の燃料や空気をセパレータを介して排出する。その供給および排出のための流路となるマニホールドをセパレータによって構成することが従来行われており、その一例が特許文献1に記載されている。
【0005】
特許文献1に記載されているセパレータは、全体としてほぼ矩形状の平板体であって、一方の面に互いに平行な多条の細溝が形成されていて、これが陽極側流域とされ、また他方の面に互いに平行な多条の細溝が形成されていて、これが陰極側流域とされている。これらの細溝は、六箇所で直角に屈曲して全体としてジグザグに折れ曲がっており、一群をなす陽極側細溝は、矩形状のセパレータにおける例えば一方の面(正面)で上辺側の右端側の部分と下辺側の左端側の部分に開口している。これに対して、一群をなす陰極側細溝は、上記の陽極側細溝に対して90度回転した向きになっていて、例えば他方の面(背面)で左辺側(正面で右辺側)の上端部の部分と右辺側(正面で左辺側)の下端側の部分とに開口している。そして、これらの細溝の端部に対応する四箇所、すなわち正面で上辺側の右端部側の部分と下辺側の左端側の部分と正面で右辺側の上端側の部分(背面で左辺側の上端側の部分)と正面で左辺側の下端側の部分(背面で右辺側の下端側の部分)とに板厚方向に貫通しかつ開口形状が長孔状のマニホールドが形成されている。さらに、上下左右の各辺の部分(セパレータにおける縁の部分もしくは耳の部分)には、それぞれに形成されているマニホールドと同一形状でかつ左右対称もしくは上下対称となる位置(左右もしくは上下に反転させた場合に重なる位置)に他の四つのマニホールドが形成されている。
【0006】
したがって、特許文献1に記載されているセパレータによれば、二枚のセパレータをその正面と背面とを対向させてその間にMEAを挟み込んで一つのユニットを構成する。ついで、そのユニットを構成している一方のセパレータに他のMEAを対面させる。その場合、当該他のMEAが密着させられるセパレータの面が正面であれば、第三のセパレータを90度回転させた状態でその背面が前記他のMEAに密着するように配置する。こうすることにより、前記ユニットでは細溝に連通していない他のマニホールドが、第三のセパレータにおける細溝に連通しているマニホールドと繋がる。このように、特許文献1に記載されているセパレータでは、複数のユニットを積層した構造になっている電池を貫通するように各セパレータのマニホールドが繋がり、燃料の供給および排出用の二対の管路と、空気の供給および排出用の二対の管路が形成される。そして、いずれか一対の管路は一つおきのユニットに連通し、他の一対の管路は他の一つおきのユニットに連通する。すなわち、二系統の供給路と二系統の排出路とを形成するように構成されている。
【0007】
燃料の供給および排出のためのマニホールドと空気の供給および排出のためのマニホールドをセパレータに形成した場合、燃料や空気は単電池の積層方向に流すことになる。そのため流路長が長くなることにより下流側への燃料や空気の供給が十分に行われなくなる可能性がある。そこで、例えば特許文献2にはマニホールドに対する燃料ガスの放出孔の開口径を上流側より下流側で大きくした構造が記載されている。また、特許文献3には、セパレータに形成された流路がマニホールドに対して開口している箇所の総流路断面積を単電池の位置に応じて変化させた構成が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
DMFCにおける燃料の供給方式として、気化させたメタノールを供給する気化供給型と液体燃料をそのまま供給する液体供給型とが知られているが、後者の液体供給型は定置式などの比較的大型で容量の大きい電池に好適である。しかしながら、液体燃料(メタノール溶液)は蒸気に比較して流動抵抗が大きく、しかも比較的大型の電池では、多数の単電池およびセパレータを積層して形成される流路が長くなるから、下流側の単電池に対する液体燃料の供給不足が生じやすい。例えば上述した特許文献1に記載されている構成では、各セパレータが燃料の供給や排出のためのマニホールドを二対備えているが、一方の一対のマニホールドは偶数番目の単電池に液体燃料を給排するためのものであり、他方の一対のマニホールドは奇数番目の単電池に給排するためのものであって、供給路は要は二本設けられている。そのため、各供給路の長さが単電池の積層数に応じて長くなるものの、その断面積(流路の開口面積)が流路長に対して相対的に小さくならざるを得ない。このような事情は排出側のマニホールドあるいは流路についても同様である。その結果、下流側の単電池に対する燃料の供給が不足し、発電量の少ない単電池が燃料電池全体の抵抗となって、結局は、発電効率が低下して所期どおりの発電量を得られなくなる可能性がある。
【0010】
一方、特許文献2や特許文献3に記載された構成では、下流側での流路抵抗を低減することができるので、上流側と下流側とにおける各単電池に対する流量を均等化することができる。しかしながら、特許文献2や特許文献3に記載された構造は、全体としての構成を大型化することなく流路の開口径を増大させるものではないから下流側の単電池に対する燃料の供給量を十分確保するためには改善の余地があり、また燃料ガスの放出孔の開口径や流路断面積を積層方向での位置に応じて異ならせなければならないので、構成部品の共通化を図れずに部品の種類が多くなってしまい、それに伴い組立性が悪化する問題がある。
【0011】
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであって、燃料や空気あるいは反応生成物を流通させる流路の開口径を電池の全体としての構成を特には大型化することなく十分に広くすること
ができ、ひいては燃料電池の発電効率を向上させることのできる燃料電池用セパレータを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、電解質膜を主体とする単電池の間に配置されるように矩形もしくは方形の平板状をなすとともに、燃料もしくは空気を流通させる多条の細い正面溝が単電池に密着させられる一方の第1面に形成され、かつ燃料もしくは空気を流通させる多条の細い背面溝が他の単電池に密着させられる他方の第2面に形成され、前記正面溝の一方の端部が連通する第1供給用マニホールドと前記正面溝の他方の端部が連通する第1排出用マニホールドとが前記矩形もしくは方形の中心に対し
て点対称となるように周辺部に該周辺部の板厚方向に貫通して形成され、さらに前記背面溝の一方の端部が連通する第2供給用マニホールドと前記背面溝の他方の端部が連通する第2排出用マニホールドとが前記矩形もしくは方形の中心に対し
て点対称となるように周辺部に該周辺部の板厚方向に貫通して形成されている燃料電池用セパレータにおいて、前記第1供給用マニホールドは前記矩形もしくは方形の一つのコーナー部に該コーナー部に沿って直角に曲がって形成され、前記第1排出用マニホールドは前記第1供給用マニホールドが形成されている前記コーナー部に対して対角線上の他のコーナー部に該他のコーナー部に沿って直角に曲がって形成され、前記第2供給用マニホールドは前記第1供給用マニホールド
と左右対称となるように前記第1供給用マニホールドを表裏反転させた形状をなし、かつ前記第1供給用マニホールドが形成されている前記コーナー部に隣り合っている更に他のコーナー部に形成され、前記第2排出用マニホールドは前記第1排出用マニホールド
と左右対称となるように前記第1排出用マニホールドを表裏反転させた形状をなし、かつ前記第1供給用マニホールドが形成されている前記コーナー部に隣り合っているまた更に他のコーナー部に形成さ
れ、前記正面溝の一方の端部は前記第1供給用マニホールドが形成されている前記コーナー部を構成している二辺のうちの一方の辺に向けて開口し、かつ前記正面溝の他方の端部は前記一方の端部とは前記矩形もしくは方形の中心に対して点対称となる位置に位置するように前記第1排出用マニホールドが形成されている前記他のコーナー部を構成している二辺のうちの一方の辺に向けて開口し、前記背面溝の一方の端部は前記第2供給用マニホールドが形成されている前記コーナー部を構成している前記二辺のうちの他方の辺に向けて開口し、かつ前記背面溝の他方の端部は前記背面溝における前記一方の端部とは前記矩形もしくは方形の中心に対して点対称となる位置に位置するように前記第2排出用マニホールドが形成されている前記他のコーナー部を構成している前記二辺のうちの他方の辺に向けて開口していることを特徴とするものである。
【0014】
請求
項2の発明は、請求項
1の発明において、前記正面溝の前記一方の端部が連通しかつ板厚方向に貫通した供給側スリットと、その供給側スリットを前記第1供給用マニホールドに連通させるように前記第2面に形成された供給用連通部と、前記正面溝の前記他方の端部が連通しかつ板厚方向に貫通した排出側スリットと、その排出側スリットを前記第1排
出用マニホールドに連通させるように前記第2面に形成された排出用連通部と、前記背面溝の前記一方の端部が連通しかつ板厚方向に貫通した他の供給側スリットと、該他の供給側スリットを前記第2供給用マニホールドに連通させるように前記第1面に形成された他の供給用連通部と、前記背面溝の前記他方の端部が連通しかつ板厚方向に貫通した他の排出側スリットと、該他の排出側スリットを前記第
2排出用マニホールドに連通させるように前記第1面に形成された排出用連通部とを備えていることを特徴とする燃料電池用セパレータである。
【0015】
請求
項3の発明は、請求項
1または2の発明において、前記第1面における前記正面溝および前記供給側スリットならびに排出側スリットを一つの領域としてその領域の外周側を取り囲むガスケット用溝と、対角線方向で互いに対向する位置にある第1供給用マニホールドの開口部および第1排出用マニホールドの開口部のそれぞれを個別に取り囲む他のガスケット用溝、もしくは対角線方向で互いに対向する位置にある第2供給用マニホールドの開口部および第2排出用マニホールドの開口部のそれぞれを個別に取り囲む他のガスケット用溝のいずれか一方と、前記第2面における前記背面溝およびその背面溝に連通している前記供給側スリットならびに前記背面溝に連通している前記排出側スリットを一つの領域としてその領域の外周側を取り囲む更に他のガスケット用溝と、対角線方向で互いに対向する位置にある第1供給用マニホールドの開口部および第1排出用マニホールドの開口部のそれぞれを個別に取り囲む又更に他のガスケット用溝、もしくは対角線方向で互いに対向する位置にある第2供給用マニホールドの開口部および第2排出用マニホールドの開口部のそれぞれを個別に取り囲む又更に他のガスケット用溝のいずれか一方とを備えていることを特徴する燃料電池用セパレータである。
【0016】
請求
項4の発明は、請求項1ない
し3のいずれかの発明において、前記直角に曲がっている前記各マニホールドの長さ方向の中間部に、互いに対向する内側縁を連結する補強用のブリッジ部が形成されていることを特徴とする燃料電池用セパレータである。
【0017】
請求
項5の発明は、請求項1ない
し4のいずれかの発明において、前記第1面同士を対向させ、かつ前記第2面同士を対向させて積層する際の相対位置を決めるための位置決め部が形成されていることを特徴とする燃料電池用セパレータである。
【0018】
請求
項6は、請求項1ない
し5のいずれかの発明において、前記単電池を挟んで前記第1面同士を対向させ、かつ前記単電池を挟んで前記第2面同士を対向させることにより、前記第1供給用マニホールドと第2供給用マニホールドとが対向して連通するとともに、前記第1排出用マニホールドと前記第2排出用マニホールドとが互いに対向して連通するように構成されていることを特徴とする燃料電池用セパレータである。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、コーナー部に形成されているマニホールドが、燃料や空気を供給し、あるいは余剰の燃料や空気もしくは反応生成物を排出するための流路を形成する。そのマニホールドはコーナー部に沿って直角に曲がっていてその全体が正面溝あるいは背面溝に対する流路を形成するので、周辺部分を有効に利用して開口面積の広い流路を形成することができ、そのために単電池を多数積層して液体供給型の燃料電池として構成したとしても下流側の単電池に対して必要十分な量の燃料を確実に供給し、発電効率を向上させることができる。
【0020】
また、この発明のセパレータは、第1面同士および第2面同士を対向させ、それらの間に単電池を挟みつけて積層すればよく、同一の構成のものを使用することができるので、部品の種類を少なくでき、また組立が容易になる。その場合、位置決め部を設けることにより、組立性を一層向上させることができる。
【0021】
さらに、この発明では、第1面と第2面との構成が、表裏を反転しかつ90度向きを変えたものとなるので、それぞれの面に二対形成されているマニホールドの開口部のうちいずれか一対の開口部の周囲にガスケットを配置することにより、向かい合わせることにより流路を形成するマニホールド同士の間をそのガスケットによってシールすることができる。すなわち、一方の面で合計四箇所の開口部の全てにガスケットを設けずに、その半分の二箇所にガスケットを設ければよく、必要部品を少なくし、組立性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
つぎにこの発明を図に示す例によって具体的に説明する。
図1はこの発明に係るセパレータを示し、(a)は正面図であり、(b)は背面図(裏面図)である。ここに示すセパレータ10は、全体として矩形もしくは方形(以下、単に矩形と記す)をなす平板状の部材であって、カーボンや、カーボンと合成樹脂との合成材、あるいは金属などによって構成され、したがって導電性を有している。このセパレータ10は、電解質膜を主体として構成された単電池を挟み込んだ状態で多数積層されるから、セパレータ10自体を電極として機能させることも可能であり、そのように構成した場合には、単電池は電極を備えていなくてもよい。
【0024】
セパレータ10の一方の面(仮に正面とする)には、
図1の(a)に示すように、メタノール水溶液などの燃料もしくは空気などの酸化剤を流通させるために細溝11が形成されている。すなわち、正面の中央部における大半の領域は、矩形状の反応領域12とされており、その反応領域12の全体を埋め尽くすように、互いに密着しかつ平行な多数条の細溝(以下、仮に正面溝とする)11が四箇所で直角に屈曲して全体としてジグザグ状に形成されている。この正面溝11は、セパレータ10が単電池を挟み込んで単電池に密着した状態で燃料を流通させるための流路となる部分であり、したがってその本数や幅、屈曲パターンなどは、単電池の燃料極側の全体に燃料を均等かつ十分に分散させて流す目的を達成する範囲で適宜に設定することができる。
【0025】
図1に示す例では、多数本の一群の正面溝11の幅は、反応領域12の幅の1/3程度であり、一方の端部は所定のコーナー部(
図1の(a)では左上のコーナー部)を構成している二辺のうちの一方の辺(
図1の(a)では上辺)側に向けて開口している。また他方の端部は、セパレータ10の中心に対して点対称となる位置に位置している。具体的には、前記コーナー部に対して対角線上のある他のコーナー部を構成している二辺のうち一方の辺(
図1の(a)では下辺)側に向けて開口している。そして、正面溝11におけるこれらの端部のそれぞれに対応してスリット13,14が形成されている。
図2に一方のスリット13を示してある。これらのスリット13,14は、上記の多数条の一群の正面溝11の幅とほぼ等しい長さを有し、セパレータ10の表裏両面に開口するように貫通して形成されている。
【0026】
各スリット13,14に対応してマニホールド15,16が形成されている。その構成を具体的に説明すると、
図1の(a)における左上のコーナー部で上記の反応領域12の外側には、そのコーナー部に沿って直角に曲がったマニホールド(以下、仮に供給用マニホールドと記す)15が形成されている。この供給用マニホールド15は、多数のセパレータ10を積層した場合に各セパレータ10の供給用マニホールド15が互いに連通して供給路を形成するためのものであって、セパレータ10の表裏両面側に開口するようにセパレータ10を貫通して形成されている。なお、その長さは、セパレータ10の各辺の中央部にまでは到らない長さに設定されている。また、この供給用マニホールド15における長さ方向での中央部(
図1の(a)に示す例では90度に曲がっている箇所)に、供給用マニホールド15の互いに対向する内側縁を連結する補強用のブリッジ部17が形成されている。このブリッジ部17は、供給用マニホールド15を横切っているが、その厚さがセパレータ10の厚さより薄くなっていて、供給用マニホールド15におけるブリッジ部17の両側の部分が互いに連通しており、供給用マニホールド15は二分割されてはいない。
【0027】
この供給用マニホールド15とこれに対応しているスリット(以下、仮に供給側スリットとする)13とは互いに連通しており、その連通構造について説明すると、
図3の(a)および(b)は、セパレータ10の他方の面(以下、仮に背面とする)における供給側スリット13の開口部の周囲の部分を示しており、セパレータ10の背面における供給側スリット13と、供給用マニホールド15における供給側スリット13と平行になっている部分との間は、供給側スリット13の長さと同じ幅で窪んでいる。この窪んでいる部分は、セパレータ10の背面に単電池が密着した場合に単電池との間に隙間ができる部分であり、したがってこの窪んだ部分が供給用マニホールド15と供給側スリット13とを連通する連通部(以下、仮に供給用連通部とする)18となっている。
【0028】
他方のスリット(以下、仮に排出側スリットとする)14とこれに対応するマニホールド(以下、仮に排出用マニホールド)16とは、上述した供給側スリット13およびこれに対応する供給用マニホールド15と同様の関係で構成され、またこれら供給側スリット13および供給用マニホールド15に対して、セパレータ10の中心について点対称となる位置に設けられている。具体的に説明すると、排出側スリット14は
図1の(a)における下辺の右側に寄った位置に形成され、多数条の一群の正面溝11の他方の端部が連通している。
【0029】
また、
図1の(a)における右下のコーナー部で上記の反応領域12の外側には、そのコーナー部に沿って直角に曲がった排出用マニホールド16が形成されている。この排出用マニホールド16は、多数のセパレータ10を積層した場合に各セパレータ10の排出用マニホールド16が互いに連通して排出路を形成するためのものであって、セパレータ10の表裏両面側に開口するようにセパレータ10を貫通して形成されている。なお、その長さは、セパレータ10の各辺の中央部にまでは到らない長さに設定されている。また、この排出用マニホールド16における長さ方向での中央部(
図1の(a)に示す例では90度に曲がっている箇所)に、排出用マニホールド16の互いに対向する内側縁を連結する補強用のブリッジ部19が形成されている。このブリッジ部19は、排出用マニホールド16を横切っているが、その厚さがセパレータ10の厚さより薄くなっていて、排出用マニホールド16におけるブリッジ部19の両側の部分が互いに連通しており、排出用マニホールド16は二分割されてはいない。
【0030】
この排出用マニホールド16とこれに対応している排出側スリット14とは互いに連通しており、その連通構造は前述した
図3に示す供給側スリット13と供給用マニホールド15との連通構造と同様であり、セパレータ10の背面における排出側スリット14と、排出用マニホールド16における排出側スリット14と平行になっている部分との間は、排出側スリット14の長さと同じ幅で窪んでいる。この窪んでいる部分は、セパレータ10の背面に単電池が密着した場合に単電池との間に隙間ができる部分であり、したがってこの窪んだ部分が排出用マニホールド16と排出側スリット14とを連通する連通部(以下、仮に排出用連通部とする)20となっている。
【0031】
そして、上述した正面溝11およびこれが連通している各スリット13,14を一つの領域としてその外側を取り囲むようにガスケット用溝21が形成されている。また、上記の供給用マニホールド15を取り囲む他のガスケット用溝22と、上記の排出用マニホールド16を取り囲む更に他のガスケット用溝23とが形成されている。
【0032】
つぎに背面の構造について説明すると、背面は上述した構造の正面を表裏反転させるとともに90度回転させた構造になっている。具体的に説明すると、
図1の(b)に示すように、メタノール水溶液などの燃料もしくは空気などの酸化剤を流通させるために細溝24が形成されている。すなわち、背面の中央部における大半の領域は、矩形状の反応領域25とされており、その反応領域25の全体を埋め尽くすように、互いに密着しかつ平行な多数条の細溝(仮に背面溝とする)24が四箇所で直角に屈曲して全体としてジグザグ状に形成されている。この背面溝24は、セパレータ10が単電池を挟み込んで単電池に密着した状態で空気を流通させるための流路となる部分であり、したがってその本数や幅、屈曲パターンなどは、単電池の空気極側の全体に空気を均等かつ十分に分散させて流す目的を達成する範囲で適宜に設定することができる。
【0033】
図1に示す例では、多数本の一群の背面溝24の幅は、反応領域25の幅の1/3程度であり、一方の端部は所定のコーナー部(
図1の(b)では左上のコーナー部)を構成している二辺のうちの一方の辺(
図1の(b)では左辺)側に向けて開口している。また他方の端部は、セパレータ10の中心に対して点対称となる位置に位置している。具体的には、前記コーナー部に対して対角線上のある他のコーナー部を構成している二辺のうち一方の辺(
図1の(b)では右辺)側に向けて開口している。そして、背面溝24におけるこれらの端部のそれぞれに対応してスリット26,27が形成されている。これらのスリット26,27は前述した燃料用のスリット13,14と同様の構成であって、上記の多数条の一群の背面溝24の幅とほぼ等しい長さを有し、セパレータ10の表裏両面に開口するように貫通して形成されている。
【0034】
各スリット26,27に対応してマニホールド28,29が形成されている。一方のマニホールド28は供給用のマニホールドであり、他方のマニホールド29は排出用のマニホールドであって、供給用マニホールド28は、前述した燃料の供給のための供給用マニホールド15と長さおよび幅ならびに曲がり角度が同じで向きが異なる形状であり、燃料の供給のための供給用マニホールド15と左右対称となるように形成されている。具体的に説明すると、
図1の(b)における左上(
図1の(a)では右上)のコーナー部で上記の反応領域25の外側には、そのコーナー部に沿って直角に曲がった供給用マニホールド28が形成されている。この供給用マニホールド28は、多数のセパレータ10を積層した場合に各セパレータ10の供給用マニホールド28が互いに連通して供給路を形成するためのものであって、セパレータ10の表裏両面側に開口するようにセパレータ10を貫通して形成されている。なお、その長さは、セパレータ10の各辺の中央部にまでは到らない長さに設定されている。また、この供給用マニホールド28における長さ方向での中央部(
図1の(b)に示す例では90度に曲がっている箇所)に、供給用マニホールド28の互いに対向する内側縁を連結する補強用のブリッジ部30が形成されている。このブリッジ部30は、供給用マニホールド28を横切っているが、その厚さがセパレータ10の厚さより薄くなっていて、供給用マニホールド28におけるブリッジ部30の両側の部分が互いに連通しており、供給用マニホールド28は二分割されてはいない。
【0035】
この供給用マニホールド28とこれに対応している供給側スリット26とは互いに連通しており、その連通構造は前述した
図3に示す供給側スリット13と供給用マニホールド15との連通構造と同様であり、セパレータ10の正面における供給側スリット26と、供給用マニホールド28における供給側スリット26と平行になっている部分との間は、供給側スリット26の長さと同じ幅で窪んでいる。この窪んでいる部分は、セパレータ10の背面に単電池が密着した場合に単電池との間に隙間ができる部分であり、したがってこの窪んだ部分が供給用マニホールド28と供給側スリット26とを連通する連通部(以下、仮に供給用連通部とする)31となっている。
【0036】
他方の排出側スリット27とこれに対応する排出用マニホールド29とは、上述した供給側スリット26およびこれに対応する供給用マニホールド28と同様の関係で構成され、またこれら供給側スリット26および供給用マニホールド28に対して、セパレータ10の中心について点対称となる位置に設けられている。具体的に説明すると、排出側スリット27は
図1の(b)における右辺の下側によった位置に形成され、多数条の一群の背面溝24の他方の端部が連通している。
【0037】
また、
図1の(b)における右下のコーナー部で上記の反応領域25の外側には、そのコーナー部に沿って直角に曲がった排出用マニホールド29が形成されている。この排出用マニホールド29は、多数のセパレータ10を積層した場合に各セパレータ10の排出用マニホールド29が互いに連通して排出路を形成するためのものであって、セパレータ10の表裏両面側に開口するようにセパレータ10を貫通して形成されている。なお、その長さは、セパレータ10の各辺の中央部にまでは到らない長さに設定されている。また、この排出用マニホールド29における長さ方向での中央部(
図1の(b)に示す例では90度に曲がっている箇所)に、排出用マニホールド29の互いに対向する内側縁を連結する補強用のブリッジ部32が形成されている。このブリッジ部32は、排出用マニホールド29を横切っているが、その厚さがセパレータ10の厚さより薄くなっていて、排出用マニホールド29におけるブリッジ部32の両側の部分が互いに連通しており、排出用マニホールド29は二分割されてはいない。
【0038】
この排出用マニホールド29とこれに対応している排出側スリット27とは互いに連通しており、その連通構造は前述した
図3に示す供給側スリット13と供給用マニホールド15との連通構造と同様であり、セパレータ10の背面における排出側スリット27と、排出用マニホールド29における排出側スリット27と平行になっている部分との間は、排出側スリット27の長さと同じ幅で窪んでいる。この窪んでいる部分は、セパレータ10の背面に単電池が密着した場合に単電池との間に隙間ができる部分であり、したがってこの窪んだ部分が排出用マニホールド29と排出側スリット27とを連通する連通部(以下、仮に排出用連通部とする)33となっている。
【0039】
そして、上述した背面溝24およびこれが連通している各スリット26,27を一つの領域としてその外側を取り囲むようにガスケット用溝34が形成されている。また、上記の供給用マニホールド15を取り囲む他のガスケット用溝35と、上記の排出用マニホールド16を取り囲む更に他のガスケット用溝36とが形成されている。
【0040】
そして、セパレータ10の外周四辺の中央部には、積層した場合の各セパレータ10の相対位置を決めるための位置決め用凹部(この発明における位置決め部)37がそれぞれ形成されている。
【0041】
つぎに上述した構成のセパレータ10の作用について説明する。この発明に係る上記のセパレータ10は、正面同士を対向させてその間に単電池を挟み込み、そのセパレータ10の背面側に更に他のセパレータ10を背面同士を対向させて配置し、かつそれらの背面同士の間に単電池を挟み込み、以下同様にして多数のセパレータ10および単電池が積層されて、単電池を直列に接続した燃料電池(スタック)が構成される。
図4にはセパレータ10および単電池38の配列パターンを模式的に示してあり、「正」は正面側、「背」は背面側をそれぞれ示す。スタックの両端部には、一方の面にのみ上述した正面の構造を形成したエンドプレート39A、もしくは背面の構造を形成したエンドプレート39Bが配置される。
図4の(a)は単電池38を奇数枚積層した場合の配列パターンを示し、この場合はスタックの両端部に、上述した正面の構造を一面にのみ形成したエンドプレート39Aが配置される。これに対して単電池38を偶数枚積層した場合には、
図4の(b)に示すように、スタックの一方の端部には上述した正面の構造を一面にのみ形成したエンドプレート39Aが配置され、他方の端部には上述した背面の構造を一面にのみ形成したエンドプレート39Bが配置される。なお、隣接するセパレータ10同士は、前述した各ガスケット用溝22,23,35,36に嵌め込んだガスケット(図示せず)を挟み付けて対向し、セパレータ同士は非接触となり、電気的には絶縁されている。
【0042】
正面同士を互いに対向させて単電池38を挟み付けることにより、各正面に形成されている正面溝11は単電池38が密着し、その結果、正面溝11が管路となる。そして、一方の正面に形成されている正面溝11のパターンは
図1の(a)に示すパターンとなるのに対して、これに対向している他方の面の正面溝11のパターンは、
図1の(a)に示すパターンとは左右が反対になる。したがって、
図1の(a)における左上の供給用マニホールド15に、
図1の(a)の右上(
図1の(b)では左上)の供給用マニホールド28が重なり合い、同様に左下の排出用マニホールド16に右下(
図1の(b)では左下)の排出用マニホールド29が重なり合う。背面同士を対向させてそれらの背面同士の間に単電池38を挟み込んだ場合も同様であって、
図1の(b)に示す背面には、これを左右反転させた背面が対向させられ、各マニホールドが上記のように重なり合う。そして、四つのコーナー部に積層方向に連通した管路が形成される。その場合、互いに重なり合うマニホールドのいずれか一方の外周側にガスケット用溝が形成され、そのガスケット用溝に嵌め込まれたガスケット(図示せず)によって各マニホールドあるいは管路の液密性が維持される。同様に、反応領域12や反応領域25の外周側にもガスケット用溝が形成されていて、ここに嵌め込まれたガスケット(図示せず)によって各領域12,25の液密性が維持される。
【0043】
上記の四つのマニホールド15,16,28,29のうち例えば
図1の(a)における左上の供給用マニホールド15が燃料供給部とされ、これに対して例えば
図1の(a)における右上の供給用マニホールド28が空気供給部とされ、こうした場合には
図1の(a)における右下の排出用マニホールド16が燃料排出部とされ、これに対して
図1の(a)における左下の排出用マニホールド29が空気や反応生成物の排出部とされる。
図1の(a)における左上の供給用マニホールド15に供給された燃料は、
図1の(a)に示す正面においては、前述した供給用連通部18を経て供給側スリット13に到り、ここから各正面溝11に分配されて供給される。メタノール水溶液などの燃料は正面溝11を流れる間に分解して電子およびプロトンならびに二酸化炭素を生じ、その二酸化炭素と余剰の燃料とが排出側スリット14および排出用連通部33を介して排出用マニホールド29に流れ出る。すなわち燃料は
図1の(a)における左上から右下に向けてジグザグに流れる。
【0044】
他方、
図1の(a)における右上の供給用マニホールド28と左下の排出用マニホールド29とは、
図1の(a)における正面溝11には連通していないが、これらのマニホールド28,29には、積層された他のセパレータ10の正面に開口している供給用マニホールド15と排出用マニホールド16とが重なり合って連通している。したがって、
図1の(a)における右上の供給用マニホールド28に空気を供給すれば、これに重なり合っている他のセパレータ10における供給用マニホールド15から前述した供給用連通部18ならびに供給側スリット13を経て、当該他のセパレータ10の正面に形成されている正面溝11に分配されて供給される。正面溝11を流れる空気中の酸素は、電解質膜を透過してきたプロトンの酸化の用に供されて水を生じ、その水と余剰の空気とが、前記他のセパレータ10における排出側スリット14から排出用連通部20を経て排出用マニホールド29に流れ出る。すなわち、空気は
図1の(a)における右上から左下に向けてジグザグに流れる。
【0045】
さらに、
図1の(b)に示す背面での挙動について説明すると、
図1の(b)における左上の供給用マニホールド28は、
図1の(a)における左上の供給用マニホールド15に重なり合って互いに連通しており、したがってここを流れる燃料がその供給用マニホールド28から正面側の供給用連通部31を経て供給側スリット26に流れ、ここから背面に形成されている背面溝24に分配されて供給される。その燃料は背面溝24を流れる間に分解して電子およびプロトンならびに二酸化炭素を生じ、その二酸化炭素と余剰の燃料とが排出側スリット27および排出用連通部33を介して排出用マニホールド29に流れ出る。すなわち、燃料は
図1の(b)における左上から右下に向けてジグザグに流れる。
【0046】
他方、
図1の(b)における右上の供給用マニホールド15と左下の排出用マニホールド16とは、
図1の(b)における背面溝24には連通していないが、これらのマニホールド15,16には、積層された他のセパレータ10の背面に開口している供給用マニホールド28と排出用マニホールド29とが重なり合って連通している。したがって、
図1の(b)における右上の供給用マニホールド15に空気を供給すれば、これに重なり合っている他のセパレータ10における供給用マニホールド28から前述した供給用連通部31および供給側スリット26を経て、当該他のセパレータ10の背面に形成されている背面溝24に分配されて供給される。背面溝24を流れる空気中の酸素は、電解質膜を透過してきたプロトンの酸化の用に供されて水を生じ、その水と余剰の空気とが、前記他のセパレータ10における排出側スリット27から排出用連通部20を経て排出用マニホールド29に流れ出る。すなわち、空気は
図1の(b)における右上から左下に向けてジグザグに流れる。
【0047】
上述したように、正面においてガスケット用溝22,23によって囲まれたマニホールド15,16を、燃料と空気とのいずれか一方のための流路とし、背面においてガスケット用溝3,36によって囲まれたマニホールド28,29を、燃料と空気とのいずれか他方のための流路とすることができ、その流路の開口形状は、前述したコーナー部に沿って直角に曲がった細長い形状であって、いずれか一辺のコーナー部に近い箇所に直線的に形成した場合よりも開口面積が大きくなる。したがって、この発明に係るセパレータ10によれば、積層数が多くなって流路長が長くなった場合であっても、下流側の単電池に対して十分に燃料や空気を供給することができ、それに伴って燃料電池の全体としての発電効率あるいは発電量を向上させることができる。
【0048】
なお、この発明は上述した具体例に限定されないのであって、いずれのマニホールドを燃料用のマニホールドとし、また空気用のマニホールドとするかは適宜に決めればよい。また、細溝のパターンは、それぞれの領域の全体に燃料もしくは空気を可及的に均一に分散させることのできるパターンであればよく、上述したジグザグのパターンに限定されない。