特許第5665944号(P5665944)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5665944
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】可搬式作業台
(51)【国際特許分類】
   E04G 1/34 20060101AFI20150115BHJP
   E04G 5/14 20060101ALI20150115BHJP
【FI】
   E04G1/34 A
   E04G5/14 301D
【請求項の数】3
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-223796(P2013-223796)
(22)【出願日】2013年10月29日
(62)【分割の表示】特願2010-9047(P2010-9047)の分割
【原出願日】2010年1月19日
(65)【公開番号】特開2014-15839(P2014-15839A)
(43)【公開日】2014年1月30日
【審査請求日】2013年10月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】504288535
【氏名又は名称】ホリー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591168426
【氏名又は名称】菅機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095212
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 武
(72)【発明者】
【氏名】松山 和昭
(72)【発明者】
【氏名】立花 秀男
(72)【発明者】
【氏名】山中 正俊
【審査官】 瓦井 秀憲
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−008135(JP,A)
【文献】 特開2007−092359(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3125537(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 1/34
E04G 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者が乗って作業を行うための作業板体と、この作業板体の長手方向の両端に設けられ、前記作業板体に作業者が登るための一対の梯子板体とを有する可搬式作業台において、
前記梯子板体の側面に手掛け棒がユニバーサルジョイントにより起倒自在に取り付けられ、このユニバーサルジョイントは、ピンと、このピンと直角をなす部分を有する棒状部材とを含んで構成されており、
前記手掛け棒は、前記梯子板体の側面に、この側面に設けられた手掛け棒用ブラケットと、前記ユニバーサルジョイントとを介して取り付けられ、前記手掛け棒の全長のうち、一方の端部が前記手掛け棒用ブラケットの内部に挿入されており、前記一方の端部は、前記手掛け棒が倒れているときにおけるこの手掛け棒の上側の端部の部分であることを特徴とする可搬式作業台。
【請求項2】
請求項1に記載の可搬式作業台において、前記手掛け棒用ブラケットは、上部分と、この上部分に3次元的に連結された下部分とからなり、前記上部分の内部と前記下部分の内部とに前記手掛け棒が挿入可能となっており、前記下部分の内部に前記手掛け棒が挿入されたときにはこの手掛け棒は倒れており、前記上部分の内部に前記手掛け棒が挿入されたときにはこの手掛け棒は起立していることを特徴とする可搬式作業台。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の可搬式作業台において、前記棒状部材は、前記手掛け棒用ブラケットに対して倒れているときの前記手掛け棒、及び前記手掛け棒用ブラケットに対して起立しているときの前記手掛け棒を前記手掛け棒用ブラケットにロックするための部分を備えていることを特徴とする可搬式作業台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築作業や土木作業、さらには内装作業や電気配線作業等の各種作業に用いられ、持ち運び等により移動可能となっている作業台、すなわち、可搬式の作業台に係り、作業者が主に高所で作業を行うために利用されるものである。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、建築作業等の各種作業に用いられる可搬式作業台が示されている。この可搬式作業台は、作業板体と、この作業板体の長手方向の両端に設けられた一対の梯子板体とを有して構成され、作業者は梯子板体から作業板体に登ることにより、所定の作業を作業板体の上に乗って行えるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−113387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような可搬式作業台は、全体として作業板体の長手方向に細長い形状になっているため、この長手方向と直交する横方向への転倒に配慮することが必要となり、この転倒が生じても、可搬式作業台を構成する作業板体や梯子板体等の構成部材が損傷することを防止できるようにすることが求められる。
【0005】
本発明の目的は、作業板体の長手方向と直交する横方向への転倒が生じても、作業板体や梯子板体等の構成要素が損傷することを防止できる可搬式作業台を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る可搬式作業台は、作業者が乗って作業を行うための作業板体と、この作業板体の長手方向の両端に設けられ、前記作業板体に作業者が登るための一対の梯子板体とを有する可搬式作業台において、前記長手方向と直交する横方向に突出し、前記横方向への転倒時に前記作業板体及び/又は前記梯子板体よりも先に地面等の相手に当たるための突出部を備えていることを特徴とするものである。
【0007】
この可搬式作業台によると、可搬式作業台が作業板体の長手方向と直交する横方向へ転倒しても、作業板体及び/又は梯子板体よりも先に突出部が地面等の相手に当たるため、作業板体及び/又は梯子板体が損傷することを防止できることになる。
【0008】
この可搬式作業台において、上記突出部は、作業板体だけに設けてもよく、あるいは、梯子板体だけに設けてもよく、あるいは、作業板体と梯子板体の両方に設けてもよい。
【0009】
また、この突出部は、作業板体や梯子板体に突出部専用の部材を溶接等で固定することにより可搬式作業台に設けてもよく、あるいは、作業板体や梯子板体を構成する部材の一部を横方向に突出させることにより、言い換えると、作業板体や梯子板体を構成する部材を兼用することにより可搬式作業台に設けてもよい。
【0010】
また、突出部は、常時横方向に突出しているものとして可搬式作業台に設けてもよく、あるいは、突出部を折り畳み自在又は出没自在等として可搬式作業台に設けることにより、この突出部を、例えば、可搬式作業台の使用時等において、必要に応じて横方向に突出させることができるものとしてもよい。
【0011】
また、突出部は、取り外し不能に可搬式作業台に設けてもよく、あるいは、取り付け、取り外し可能に可搬式作業台に設けてもよい。突出部を取り付け、取り外し可能に可搬式作業台に設ける場合には、この取り付けを、例えば、突出部となる部材をねじ込み式の部材とすることにより、あるいは、突出部となる部材をボルト等の止着具で止着することにより行える。
【0012】
さらに、突出部は1個の部材により形成してもよく、あるいは、複数の部材の組み合わせにより形成してもよい。
【0013】
後者の場合の一例は、突出部を、本体と、この本体の先端に設けられた先端部材とを含んで形成し、この先端部材を、本体よりも弾力性を有する弾性材料で形成することである。
【0014】
これによると、可搬式作業台が横方向に転倒したときに、地面等の相手に当接するものは、本体よりも弾力性を有する弾性材料で形成された先端部材になるため、突出部の先端が上記相手に当接したときの衝撃をこの先端部材で緩和することができ、このため、この衝撃によって上記相手や可搬式作業台が損傷することを有効に防止できる。
【0015】
なお、先端部材を本体よりも弾力性を有する弾性材料で形成することは、例えば、本体を金属製とした場合には、先端部材を天然ゴムや合成樹脂製ゴムで形成することである。
【0016】
また、突出部が作業板体の長手方向と直交する横方向に突出していれば、この突出部を可搬式作業台に設ける場所は、任意な場所でよい。
【0017】
その一例は、突出部を、作業板体の長手方向の両端又は両端の近傍に設けるとともに、この長手方向と直交する横方向の両側に突出させて設けることである。
【0018】
これによると、作業板体の長手方向と直交する横方向のどちらの側に可搬式作業台が転倒しても、長手方向と直交する横方向の両側に突出させて設けられている突出部のうち、2個の突出部が地面等の相手に当たるため、この2個の突出部により、作業板体や梯子板体が損傷することを有効に防止できる。
【0019】
また、本発明は、梯子板体の側面に、手掛け棒が起倒自在に配置された可搬式作業台についても適用することができる。
【0020】
このような可搬式作業台に本発明を適用する場合には、突出部を、手掛け棒を越える位置まで横方向へ突出させることが好ましい。
【0021】
これによると、可搬式作業台が横方向に転倒しても、突出部が手掛け棒を越える位置まで横方向へ突出しているため、手掛け棒が地面等の相手に当たる前に突出部がこの相手に当たることになり、このため、手掛け棒が損傷することを防止できる。
【0022】
また、手掛け棒が、梯子板体の側面に取り付けられていて、手掛け棒よりも横方向に突出する部分を有するブラケットに起倒自在に連結されている場合には、突出部を、ブラケットを越える位置まで横方向へ突出させることが好ましい。
【0023】
これによると、可搬式作業台が横方向に転倒しても、突出部がブラケットを越える位置まで横方向へ突出しているため、ブラケット及び手掛け棒が地面等の相手に当たる前に突出部がこの相手に当たることになり、このため、ブラケット及び手掛け棒が損傷することを防止できる。
【0024】
また、本発明は、作業板体の長手方向の両端に設けられた一対の梯子板体が、これらの梯子板体の上端を中心に作業板体に対して折り畳み自在となっていて、一対の梯子板体のうち、少なくとも一方の梯子板体の下端に、一対の梯子板体が折り畳まれたときに地面等の相手に対して転動自在となるローラが設けられている可搬式作業台についても適用することができる。
【0025】
このような可搬式作業台に本発明を適用する場合には、ローラの転動によって可搬式作業台を移動させるときに、突出部を、手で把持してこの移動を行うための手把持部として利用してもよい。
【0026】
また、以上説明した本発明に係る可搬式作業台の一対の梯子板体は、上下方向の長さ寸法が一定となっているものでもよく、あるいは、上下方向の長さ寸法を可変とするために、例えば、上下方向に伸縮可能となっていてもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によると、可搬式作業台が作業板体の長手方向と直交する横方向へ転倒しても、作業板体や梯子板体等の構成要素が損傷することを防止できるという効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る可搬式作業台の全体を示す側面図である。
図2図2は、可搬式作業台の平面図である。
図3図3は、可搬式作業台を図1の右側から見た正面図である。
図4図4は、一対の梯子板体を折り畳んだときを示す可搬式作業台の側面図である。
図5図5は、一対の梯子板体に起倒自在に設けられている手掛け棒を起立させたときを示す可搬式作業台の側面図である。
図6図6は、可搬式作業台を構成する要素のうち、作業板体だけの裏面を示す図である。
図7図7は、図6のS7−S7線断面図である。
図8図8は、図1で示されている第1ブレースの2本の棒状部材同士を回動自在に連結しているピンの部分の周囲の拡大側面図である。
図9図9は、図8のS9−S9断面図である。
図10図10は、図1で示されている作業板体側ブラケット及び梯子板体側ブラケットのみを示す側面図であって、梯子板体が作業板体に対して開いているときの状態を示す図である。
図11図11は、梯子板体が作業板体に対して折り畳まれているときにおける作業板体側ブラケット及び梯子板体側ブラケットの状態を示す図10と同様の図である。
図12図12は、図6のS12−S12線断面図である。
図13図13は、図3に示されている梯子板体の受圧部材と、作業板体側ブラケットの受圧部との部分を拡大して示す正面図である。
図14図14は、手掛け棒が手掛け棒用ブラケットに対して倒れているときを示す手掛け棒と手掛け棒用ブラケットの斜視図である。
図15図15は、手掛け棒を手掛け棒用ブラケットに連結しているユニバーサルジョイントの構造を示す分解斜視図である。
図16図16は、手掛け棒が手掛け棒用ブラケットに対して起立しているときを示す手掛け棒と手掛け棒用ブラケットの斜視図である。
図17図17は、間隔をあけて並べた2台の可搬式作業台に連結用足場板体を架け渡す場合を示す側面図である。
図18図18は、2台の可搬式作業台に連結用足場板体を架け渡したときを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。図1には、本発明の一実施形態に係る可搬式作業台Aの全体の側面図が示されている。この可搬式作業台Aは、作業者が乗って作業を行うための作業板体1と、この作業板体1の長手方向の両端に設けられ、作業板体1に作業者が登るための一対の梯子板体2とを有する。これらの梯子板体2は、作業板体1の長手方向の両端に結合された作業板体側ブラケット3と、梯子板体2の上端に結合された梯子板体側ブラケット4とに挿通された中心軸5を中心にして、作業板体1の長手方向の両端に回動自在に取り付けられており、このため、それぞれの梯子板体2は、中心軸5が配置されている上端を中心に作業板体1に対して折り畳み自在となっている。図4は、一対の梯子板体2が作業板体1に対して折り畳まれたときの状態が示している。
【0030】
図2は可搬式作業台Aの平面図を示しており、この図2に示されているように、作業板体1の長手方向の両端に設けられている作業板体側ブラケット3は、作業板体1の幅方向の両側に配置され、梯子板体2の上端に設けられている梯子板体側ブラケット4も、梯子板体2の幅方向の両側、すなわち、作業板体1の幅方向の両側に配置されている。このように作業板体側ブラケット3と梯子板体側ブラケット4は、それぞれ4個あり、作業板体1の幅方向に互いに対面している1個ずつの作業板体側ブラケット3と梯子板体側ブラケット4同士ごとに、1個の中心軸5が設けられている。
【0031】
なお、図1から分かるように、一対の梯子板体2のうち、図1の右側の梯子板体2Aに設けられている梯子板体側ブラケット4は、ブラケット4Aとなっており、図1の左側の梯子板体2Bに設けられている梯子板体側ブラケット4は、ブラケット4Aとは形状が異なるブラケット4Bとなっている。このように作業板体1の長手方向の両端に設けられている梯子板体側ブラケット4Aと梯子板体側ブラケット4Bとで形状が異なっている理由は、一対の梯子板体2A,2Bを、中心軸5を中心に回動させることにより図4のように作業板体1に対して折り畳んだときに、これらの梯子板体2A,2Bを作業板体1の厚さ方向に重ねることができるようにするためである。
【0032】
このように梯子板体側ブラケット4が、形状が異なるブラケット4Aとブラケット4Bになっていることにより、中心軸5も、中心軸5Aと中心軸5Bとなっており、また、作業板体側ブラケット3も、中心軸5A,5Bの位置等が異なるブラケット3Aとブラケット3Bとなっている。
【0033】
可搬式作業台Aの平面図を示す図2のとおり、可搬式作業台Aの作業板体1の表面には、滑り止め用の多数の円形突起10が規則的に形成されているとともに、作業板体1の長手方向に直線状に延びる滑り止め用の複数の突線条11も形成され、円形突起10の頂部には孔が形成されている。
【0034】
図6には、可搬式作業台Aの構成要素となっている作業板体1と一対の梯子板体2とのうち、作業板体1だけの裏面が示されており、また、図7は、図6のS7−S7線断面図である。この図7から分かるように、作業板体1の主要部分は、この作業板体1の幅方向に並設された3個の板部材1A,1B,1Cの組み合わせにより形成されている。これらの板部材1A,1B,1Cはアルミ合金製の押し出し成形品であり、作業板体1の幅方向外側に配置される板部材1A,1Cにおける作業板体1の幅方向内側には被係合突条12が形成されているとともに、作業板体1の幅方向中央に配置される板部材1Bにおける作業板体1の幅方向両側には上下二股形状の係合突条13が形成されており、被係合突条12が係合突条13に挿入係合された後に、これらの被係合突条12と係合突条13とがリベット等の結合具14で結合されることにより、板部材1Aと板部材1B及び板部材1Bと板部材1Cが結合されている。
【0035】
また、板部材1Aと板部材1Bと板部材1Cは、図6に示されているように、短寸法の架け渡し部材56と長寸法の架け渡し部材59とによっても結合されている。
【0036】
なお、図7に示されているとおり、作業板体側ブラケット3は、作業板体1の幅方向外側に配置されている板部材1A,1Cの立壁部22,24の外側面に取り付けられている。
【0037】
図12は、図6のS12−S12線断面図である。この図12に示されているように、作業板体1の長手方向の端部には、板部材1Aと板部材1Bと板部材1Cを結合する部材にもなっているエンド部材15が配置されている。このエンド部材15は、作業板体1の全幅に渡る長さを有しているとともに、作業板体1を構成する板部材1A,1B,1Cを上下に挟む上面部15A及び下面部15Bと、これらの上面部15A及び下面部15Bを連結している端面部15Cとからなる断面コ字形状となっており、上面部15Aは板部材1A,1B,1Cの上面16にリベット等の結合具17で結合され、下面部15Bは板部材1A,1B,1Cの下面18にリベット等の結合具19で結合されている。また、上面部15Aの先端には、滑り止め用の突線条20が形成されており、この突線条20はエンド部材15の全長に渡って、言い換えると、作業板体1の全幅に渡って形成されている。
【0038】
このようなエンド部材15は、図2及び図6に示されているように、作業板体1の長手方向の両方の端部に設けられている。
【0039】
また、図6及び図7に示されているように、作業板体1の長手方向の端部近傍の内部には、一対のロックピン21が配置されている。作業板体1の幅方向に互いに向かい合っているこれらのロックピン21は、作業板体1の幅方向に延びている本体部21Aと、ロックピン21における作業板体1の幅方向内側の端部となっていて、本体部21Aから直角に作業板体1の長手方向内側に延びている操作部21Bとからなる。図7に示されているとおり、本体部21Aは、板部材1A,1B,1Cの立壁部22,23,24に形成された孔にスライド自在に挿通されており、また、本体部21Aにおける操作部21Bとは反対側の端部となっているロックピン21の先端部21Cは、作業板体側ブラケット3に形成された孔25に挿入されてこのブラケット3から突出している。
【0040】
本体部21Aの長さ方向の2箇所には、本体部21Aの一部を突出変形加工することによって形成された突起26,27が形成されており、突起26と板部材1Bの立壁部23との間において、本体部21Aの外周にはコイルばね28が巻回されている。このため、ロックピン21は、先端部21Cが作業板体側ブラケット3から突出する方向へコイルばね28で常時付勢されており、通常時は、ストッパとなっている突起27が板部材1A,1Cの立壁部22,24に当接することにより、ロックピン21の先端部21Cは、作業板体側ブラケット3から少し突出した位置に達している。
【0041】
また、一対のロックピン21における作業板体1の幅方向に互いに対向して操作部21Bを、コイルばね28を圧縮変形させながら互いに近づける方向に操作すると、先端部21Cは、作業板体側ブラケット3の孔25の内部に没入し、この操作を止めると、先端部21Cは、コイルばね28の付勢力により作業板体側ブラケット3から突出する。また、一対のロックピン21の操作部21Bを互いに近づける方向に操作する限界値を規定するためのストップ部材29が、上述したエンド部材15の下面部15Bに取り付けられている。
【0042】
図10には、図1で説明した作業板体側ブラケット3A及び梯子板体側ブラケット4Aのみが示されている。作業板体側ブラケット3Aは、リベット等の結合具30により、上述した板部材1A,1Cの立壁部22,24の側面に結合され、梯子板体側ブラケット4Aは、リベット等の結合具31により、梯子板体2Aの上部側面に直接又は梯子板体2Aに結合されている部材を介して間接的に結合されている。また、梯子板体側ブラケット4Aには、前述した中心軸5Aを中心とした円弧上において、2個の孔32,33が形成されている。図10に示されているように、梯子板体2Aが作業板体1に対して中心軸5Aを中心に開いた位置まで回動しているときには、2個の孔32,33のうち、孔32は、作業板体側ブラケット3Aの図7で説明した孔25と一致している。このため、このときには、ロックピン21の先端部21Cは孔25と孔32とに挿入されていることになり、これにより、梯子板体2Aは、ロックピン21のロック作用により、作業板体1に対して開いた状態でロックされている。
【0043】
また、上述したようにロックピン21の操作により、このロックピン21の先端部21Cを作業板体側ブラケット3Aの孔25の内部に没入させた後に、梯子板体2Aを、中心軸5Aを中心に作業板体1に対して折り畳み回動させ、この回動角度が所定値に達すると、図11に示されているように、梯子板体側ブラケット4Aの2個の孔32,33のうち、孔33が作業板体側ブラケット3Aの孔25と一致する。そして、ロックピン21の先端部21Cを、コイルばね28の付勢力により作業板体側ブラケット3Aの孔25から突出させると、この先端部21Cは孔33に挿入されることになり、これにより、梯子板体2Aは作業板体1に対して折り畳まれた状態でロックされることになる。
【0044】
このため、ロックピン21の操作により、梯子板体2Aを作業板体1に対して開いた状態と折り畳んだ状態とにそれぞれロックすることができる。
【0045】
図7で説明したロックピン21やコイルばね28等によって構成されるロック手段は、図6に示されているとおり、作業板体側ブラケット3Aの側だけではなく、作業板体側ブラケット3Bの側にも設けられている。このため、ロックピン21の操作により、作業板体1に対して開いた状態と折り畳んだ状態とにそれぞれロックすることは、梯子板体2Bについても行うことができ、このため、図1に示されているように、梯子板体側ブラケット4Bには、梯子板体側ブラケット4Aの孔32に相当する孔34と、梯子板体側ブラケット4Aの孔33に相当する孔35とが、前述の中心軸5Bを中心とする円弧上に形成されている。また、作業板体側ブラケット3Bにも、孔25に相当する孔が設けられている。
【0046】
図3は、図1の可搬式作業台Aを図1の右側から見た正面図である。このため、この図3には、一対の梯子板体2のうちの代表例として、梯子板体2Aが示されている。それぞれの梯子板体2は、可搬式作業台Aの幅方向両側、言い換えると、作業板体1及び梯子板体2の幅方向両側に配置された一対の脚部材40と、これらの脚部材40との間に水平に架け渡され、脚部材40の長さ方向である上下方向に複数設けられている踏み部材42とを含んで形成され、それぞれの踏み部材42はブラケット43により脚部材40に結合されている。また、それぞれの脚部材40の下端には靴部材44が取り付けられており、それぞれの梯子板体2が作業板体1に対して開いているときに、この靴部材44が、可搬式作業台Aが設置される地面や床等の相手に対して接触することにより、可搬式作業台Aは立脚する。
【0047】
さらに、図1に示されているように、それぞれの梯子板体2のうち、一方の梯子板体2Bの脚部材40の下端には、すなわち、図4に示されているように、それぞれの梯子板体2が作業板体1に対して折り畳まれたときに、梯子板体2Aよりも作業板体1から離れた位置に折り畳まれることになる梯子板体2Bのそれぞれの脚部材40の下端には、ブラケット45を介してローラ46が取り付けられている。ブラケット45に対して回転自在となっているこれらのローラ46は、梯子板体2Bが下向きとなったときに、上述した地面等の相手に接触するようになっている。
【0048】
また、図3から分かるように、一対の梯子板体2のそれぞれの脚部材40の上端には受圧部材50が取り付けられている。作業板体1の長手方向の端部に結合されていて、この作業板体1の幅方向両側に設けられている前述の作業板体側ブラケット3には、この受圧部材50と面接触し、この面接触により、作業板体1の重量及びこの作業板体1の上に乗る作業者の重量等による大きな荷重を支持することができる受圧部51が設けられている。図13には、これらの受圧部材50と受圧部51の部分の拡大図が示されている。
【0049】
図13から分かるように、板金製の折り曲げ品となっている受圧部材50は、梯子板体2の脚部材40の外側面に沿って下方へ延びる下方延出部50Aと、この下方延出部50Aの上端から作業板体1の幅方向内側へ水平に延び、脚部材40の上面を塞いでいる水平延出部50Bと、この水平延出部50Bの先端から上方へ延びている上方延出部50Cとからなる。また、板金製の折り曲げ品となっている作業板体側ブラケット3に設けられている受圧部51は、図7で説明した孔25が形成されている本体部51Aと、この本体部51Aにおける作業板体1の長手方向の端部の下端から作業板体1の幅方向内側へ水平に延びている水平延出部51Bと、この水平延出部51Bにおける作業板体1の幅方向内側の端部から上方へ延びている上方延出部51Cとからなる。したがって、受圧部51は上向きに開口したコ字形状となっており、この受圧部51の側面図は、図12に示されている。
【0050】
それぞれの梯子板体2が作業板体1に対して開いたときには、図13に示されているように、作業板体1の側の部分となっている受圧部51が、梯子板体2に結合されている梯子板体側ブラケット4と、梯子板体2に取り付けられている受圧部材50の上方延出部50Cとの間に挿入するとともに、受圧部51の水平延出部51Bと受圧部材50の水平延出部50Bとが面接触することになり、この面接触により、作業板体1の重量及びこの作業板体1の上に乗る作業者の重量等による大きな荷重を梯子板体2によって有効に支持できることになる。また、このときには、受圧部51が、梯子板体側ブラケット4と受圧部材50の上方延出部50Cとの間に挿入されているため、作業板体1の幅方向に作用する横荷重をも有効に支持できることになる。
【0051】
なお、受圧部51の水平延出部51Bと受圧部材50の水平延出部50Bとが水平方向に延出していることは、作業板体1の幅方向の水平方向に延出していることであり、これらの水平延出部50B,51Bは、作業板体1の長手方向については、図1に示されているように、一対の梯子板体2は作業板体1に対して90度を超える角度まで開くため、作業板体1の長手方向内側に向かって下り傾斜している(図12を参照)。
【0052】
図1に示されているように、一対の梯子板体2A,2Bのうち、梯子板体2Aと作業板体1との間には、前述したロックピン21と共に、この梯子板体2Aが作業板体1に対して所定角度以上に開くことを防止するための第1ブレース52が設けられている。この第1ブレース52は、作業板体1の側の第1棒状部材53と、この第1棒状部材53にピン54で回動自在に連結された梯子板体2Aの側の第2棒状部材55とからなる。図6に示されているように、第1棒状部材53の作業板体1の側の端部は、作業板体1の裏面に設けられている前述の架け渡し部材56のブラケット56Aにピン57で回動自在に連結されている。また、図2に示されているように、第2棒状部材55の梯子板体2Aの側の端部は、この梯子板体2Aに複数設けられている前述の踏み部材42のうち、1個の踏み部材42に結合されているブラケット58にピンで回動自在に連結されている。
【0053】
図8は、第1ブレース52の2本の棒状部材53,55同士を回動自在に連結しているピン54の部分の周囲の拡大側面図であり、図9は、図8のS9−S9線断面図である。この図9に示されているように、2本の棒状部材53,55のそれぞれは、下面が開口したチャンネル材で形成されている。梯子板体2Aが図4のように作業板体1に対して折り畳まれているときには、2本の棒状部材53,55はピン54を中心に折り畳まれた状態になっており、梯子板体2Aが作業板体1に対して前述の中心軸5Aを中心に開かれると、これらの棒状部材53,55は、直線形状となる180度の開き角度を超えた所定の角度まで開き、このときには、図8に示されているように、第2棒状部材55の内部に挿入されている第1棒状部材53のピン54の側の端部の閉塞上面部53Aが、第2棒状部材55の閉塞上面部55Aに当接している。
【0054】
このため、梯子板体2Aが作業板体1に対して中心軸5Aを中心に閉じるときには、言い換えると、梯子板体2Aが作業板体1に対して中心軸5Aを中心に折り畳まれるときには、2本の棒状部材53,55は、直線形状となる180度の開き角度を超えて折り畳まれることになり、この180度の開き角度がデッドポイントとなることにより、予期できない荷重等により梯子板体2Aが作業板体1に対して中心軸5Aを中心に閉じ回動してしまうことを防止できる。
【0055】
また、梯子板体2Aを作業板体1に対して中心軸5Aを中心に折り畳むときには、第1ブレース52をピン54の部分で押すと、2本の棒状部材53,55を180度の開き角度を超えた小さい角度に折り畳むことができるため、梯子板体2Aを作業板体1に対して簡単に折り畳むことができる。
【0056】
なお、このような第1ブレース52は、図3及び図6から分かるように、作業板体1の幅方向に2個設けられている。
【0057】
また、図1に示されているように、一対の梯子板体2A,2Bのうち、梯子板体2Bと作業板体1との間には、前述したロックピン21と共に、この梯子板体2Bが作業板体1に対して所定角度以上に開くことを防止するための第2ブレース62が設けられている。この第2ブレース62は、作業板体1の側の第1棒状部材63と、この第1棒状部材63にピン64で回動自在に連結された梯子板体2Bの側の第2棒状部材65とからなる。第1棒状部材63の作業板体1の側の端部は、作業板体1の幅方向の外側面に設けられたブラケット66にピン67で回動自在に連結され、また、第2棒状部材65の梯子板体2Bの側の端部は、この梯子板体2Bの外側面に設けられているブラケット68にピン69で回動自在に連結されている。
【0058】
これらの棒状部材63,65同士は、上述した第1ブレース52の2本の棒状部材53,56同士と同じ関係となっており、このため、これらの棒状部材63,65も、梯子板体2Bが作業板体1に対して前述の中心軸5Bを中心に開かれるときには、直線形状となる180度の開き角度を超えた所定の角度まで開くが、それ以上の角度に開くことはできない。そして、梯子板体2Bが作業板体1に対して中心軸5Bを中心に閉じるときには、言い換えると、梯子板体2Bが作業板体1に対して中心軸5Bを中心に折り畳まれるときには、2本の棒状部材63,65は、直線形状となる180度の開き角度を超えて折り畳まれることになるため、この180度の開き角度がデッドポイントとなることにより、予期できない荷重等により梯子板体2Bが作業板体1に対して中心軸5Bを中心に閉じ回動してしまうことを防止できる。また、梯子板体2Bを作業板体1に対して中心軸5Bを中心に折り畳むときには、第2ブレース62をピン64の部分で押すと、2本の棒状部材63,65を180度の開き角度を超えて小さい角度に折り畳むことができるため、梯子板体2Bを作業板体1に対して簡単に折り畳むことができる。
【0059】
このような第2ブレース62も、図2から分かるように、作業板体1の幅方向に2個設けられている。
【0060】
そして、この実施形態では、図1に示されているように、作業板体1と梯子板体2Aとの間に架け渡されている第1ブレース52と、作業板体1と梯子板体2Bとの間に架け渡されている第2ブレース62とのうち、第1ブレース52の長さ寸法は、第2ブレース62の長さ寸法よりも長くなっている。
【0061】
このため、作業者が一対の梯子板体2A,2Bを作業板体1に対して折り畳むときに、これらのブレース52,62の長さ寸法の違いにより、どちらを先に折り畳むべきか、すなわち、先に梯子板体2Aを折り畳み、次に梯子板体2Bを折り畳むことを、作業者は視覚的に容易に認識することができ、これより、図4に示されているように、梯子板体2Aを梯子板体2Bよりも作業板体1に近づけて折り畳み、梯子板体2Bを、梯子板体2Aに重ねるようにして折り畳むことができる。
【0062】
この実施形態に係る可搬式作業台Aには、図1及び図5から分かるように、それぞれの梯子板体2の踏み部材42を踏んでこれらの梯子板体2を登った作業者が作業板体1の上に乗り、作業者が各種作業をこの作業板体1の上で行うときに手を掛けたり、握ったりすることができる手掛け棒70が設けられており、この手掛け棒70は、それぞれの梯子板体2の両方の側面に起倒自在に配置されている。図1には、手掛け棒70が梯子板体2に沿って倒れているときの状態が示され、図5には、手掛け棒70が鉛直上向きに起立しているときの状態が示されている。
【0063】
また、このような手掛け棒70は、図2に示されているように、一対の梯子板体2の構成要素となっている前述のそれぞれの脚部材40の外側面に、手掛け棒用ブラケット71を介して設けられている。この手掛け棒用ブラケット71は、図1及び図3にも示されており、このブラケット71は、梯子板体2の外側面において、図1で示されている結合部材71Aにより前記梯子板体側ブラケット4に結合されているとともに、図3及び図14で示されている結合部材71Bにより脚部材40にも結合されている。
【0064】
また、図1図3及び図5から分かるように、手掛け棒70の全長のうち、手掛け棒70の一方の端部の部分は、すなわち、図1及び図3のように手掛け棒70が倒れているときには、手掛け棒70の上側の端部の部分は、ブラケット71の内部に挿入されている。また、このブラケット71は、上部分72と下部分73とからなり、上部分72は、図1及び図5に示されているように、一対の梯子板体2が作業板体1に対して下向きの末広がり状態で開いているときに、鉛直上向きに延びており、また、下部分73は、図3に示されているように、一対の梯子板体2の脚部材40に沿って配置されている。このように下部分73は脚部材40に沿って配置されていて、それぞれの脚部材40は、図3に示されているように、上から下へ延びるにしたがい作業板体1の幅方向外側へ延出しているため、下部分73も、上から下へ延びるにしたがい作業板体1の幅方向外側へ延びている。
【0065】
このため、上部分72と下部分73は、直線的に連結された状態になっておらず、3次元的に連結された状態になっている。
【0066】
図1及び図3に示すように、手掛け棒70が脚部材40に沿って倒れているときには、この手掛け棒70の上述した一方の端部の部分は、ブラケット71のうち、下部分73の内部に挿入されており、また、図5に示すように、手掛け棒70が鉛直上向きに起立しているときには、手掛け棒70の上述した一方の端部の部分は、ブラケット71のうち、上部分72の内部に挿入されている。
【0067】
このため、この実施形態の手掛け棒70は、上部分72と下部分73が3次元的に連結された状態になっているブラケット71に、連結手段となっているユニバーサルジョイントにより連結されている。
【0068】
このユニバーサルジョイント75は、手掛け棒70がブラケット71に対して倒れているときを示している図14と、手掛け棒70がブラケット71に対して起立しているときを示している図16とに示されており、また、ユニバーサルジョイント75の分解図は図15に示されている。
【0069】
図14図16に示されているように、手掛け棒用ブラケット71は、作業板体1の幅方向両側、すなわち、梯子板体2の幅方向両側のフランジ部71C,71Dと、これらのフランジ部71C,71D同士を連結しているウエブ部71Eとからなるチャンネル形状となっており、また、手掛け棒70は、図15に示されているように、内部が空洞部70Aとなっている中空の断面I字型のアルミ合金製の押し出し成形品となっている。そして、手掛け棒70の両方の端部のうち、ユニバーサルジョイント75でブラケット71に連結される側とは反対側の端部の端面には、空洞部70Aを塞ぐためにエンドキャップ76が取り付けられている。また、手掛け棒70における上述のフランジ部71C,71Dと対面する側面には、溝77,78が手掛け棒70の全長に渡って形成されている。
【0070】
次にユニバーサルジョイント75について説明する。このユニバーサルジョイント75は、図15に示す基礎部材81と、連結部材82と、棒状部材83とが主要な部材となって構成されている。基礎部材81の一部は、手掛け棒70におけるユニバーサルジョイント75の側の端部から空洞部70Aに挿入されて手掛け棒70にビス等で固定され、手掛け棒70から突出している基礎部材81の部分は、二股形状となっている連結部材82の凹部82Aに挿入されている。そして、基礎部材81と連結部材82は、これらの基礎部材81と連結部材82を貫通するピン84で回動自在に連結されている。
【0071】
棒状部材83は、作業板体1の幅方向、言い換えると、梯子板体2の幅方向に延びる第1部分83Aと、この第1部分83Aの梯子板体2の幅方向外側の端部から第1部分83Aに対して直角に延びる第2部分83Bと、この第2部分83Bの端部から第1部分83Aと平行になる方向に第2部分83Bに対して直角に延びる第3部分83Cとからなる屈曲形状に形成されており、第1部分83Aは、第3部分83Cよりも長い長さを有している。
【0072】
手掛け棒用ブラケット71のフランジ部71C,71Dには孔85,87が形成されており、チャンネル形状のブラケット71の内部に配置される連結部材82にも孔86が形成されている。ブラケット71の内部に連結部材82を配置した後に、棒状部材83の第1部分83Aは孔85,86,87に挿入される。これにより、手掛け棒70は、棒状部材83を介してブラケット71に連結されたことになり、手掛け棒70は棒状部材83の第1部分83Aを中心に回動自在となる。
【0073】
また、基礎部材81と連結部材82とを回動自在に連結しているピン84と、棒状部材83の第1部分83Aは、直角をなしている。このため、手掛け棒70はブラケット71に3次元変位可能に連結されることになり、したがって、手掛け棒70は、基礎部材81と連結部材82と棒状部材83とが主要な部材となって構成されているユニバーサルジョイント75により、ブラケット71に連結されている。
【0074】
このため、ブラケット71の3次元的に連結された状態になっている上部分72と下部分73のうち、一方の内部に手掛け棒70におけるユニバーサルジョイント75の側の端部が挿入されているときに、手掛け棒70を棒状部材83の第1部分83Aを中心に回動させることにより、上部分72と下部分73のうち、他方の内部に手掛け棒70におけるユニバーサルジョイント75の側の端部を挿入する作業を行うことができる。そして、図14に示されているように、手掛け棒70におけるユニバーサルジョイント75の側の端部が下部分73の内部に挿入されているときには、この手掛け棒70は、梯子板体2の側面に沿って倒れており、手掛け棒70におけるユニバーサルジョイント75の側の端部が上部分72の内部に挿入されているときには、この手掛け棒70は、鉛直上向きに起立している。
【0075】
なお、ユニバーサルジョイント75は、基礎部材81を省略し、手掛け棒70と、連結部材82に相当する部材とを、ピン84に相当する部材によって回動自在に連結することにより、構成してもよい。
【0076】
この実施形態において、棒状部材83の第1部分83Aは、図15に示されている前述の孔87からブラケット71のフランジ部71Dの外側へ突出しており、この突出した部分にコイルばね88と、ばねストップ部材89と、このばねストップ部材89が第1部分83Aから脱落することを防止するためのピン90とが装着されている。このため、棒状部材83は、コイルばね88により梯子板体2の幅方向内側へ常時付勢されている。
【0077】
図15に示されているように、ブラケット71における梯子板体2の幅方向外側のフランジ部71Cには、上部分72と下部分73において、第1孔91と第2孔92が形成されているとともに、第1孔91と孔85との間隔寸法と、第2孔92と孔85との間隔寸法は同じであり、また、これらの間隔寸法は、棒状部材83の第1部分83Aと第3部分83Cとの間の距離と同じになっている。
【0078】
このため、図14のように手掛け棒70におけるユニバーサルジョイント75の側の端部がブラケット71の下部分73の内部に挿入されているときに、コイルばね88で梯子板体2の幅方向内側へ付勢されている棒状部材83の第3部分83Cを第2孔92に挿入することができ、この挿入により、第3部分83Cの先端部が、手掛け棒70の前述した溝77に挿入係合し、この挿入係合により、手掛け棒70を、ブラケット71に対して倒れた状態にしてこのブラケット71にロック状態にすることができる。
【0079】
また、ブラケット71における梯子板体2の幅方向外側のフランジ部71Cの外側に露出している棒状部材83の第2部分83Bを、コイルばね88に抗して梯子板体2の幅方向外側へ引っ張り操作することにより、第3部分83Cの先端部を手掛け棒70の溝77から脱出させることができる。この後に、手掛け棒70を棒状部材83の第1部分83Aを中心に回動させることにより、図16のように手掛け棒70におけるユニバーサルジョイント75の側の端部をブラケット71の上部分72の内部に挿入し、さらに、棒状部材83の第3部分83Cを第1部分83Aを中心に回動させ、第3部分83Cをコイルばね88の付勢力で第1孔91に挿入させると、第3部分83Cの先端部を、手掛け棒70の溝77に再度挿入係合させることができる。この挿入係合により、手掛け棒70を、ブラケット71に対して鉛直上向きの起立した状態にしてこのブラケット71にロック状態にすることができる。
【0080】
このようにブラケット71にロック状態となった手掛け棒70に手を掛けたり、握ったりすることにより、作業板体1の上に乗った作業者は安全に所定の作業を行えることになる。
【0081】
また、以上とは逆操作を行うことにより、手掛け棒70を、ブラケット71に対して倒れた状態にしてこのブラケット71にロック状態にすることができる。
【0082】
この実施形態によると、手掛け棒70は、ブラケット71及びこのブラケット71が取り付けられている梯子板体2に、ユニバーサルジョイント75によって連結されていることになっているため、手掛け棒70を、図3に示すように下向きに末広がり形状になっていて、図1に示すように作業板体1に対して90度を超える角度まで開いている梯子板体2の側面に沿って倒すことができるとともに、この手掛け棒70を鉛直上向きに起立させることもできる。
【0083】
また、この実施形態によると、ユニバーサルジョイント75の主要な部材の一つとなっている棒状部材83には、手掛け棒70の溝77に挿入係合して手掛け棒70をロック状態とすることができる第3部分83Cが設けられているため、ユニバーサルジョイント75の主要な部材と、手掛け棒70をロック状態とするための部材との兼用化が図られており、この兼用化により構造の簡単化が達成されている。
【0084】
図2及び図6に示されているように、作業板体1には、この作業板体1の長手方向と直交する横方向に突出する突出部93が設けられている。この突出部93は、前述したように作業板体1に4個設けられたそれぞれの作業板体側ブラケット3ごとに設けられているため、突出部93は、作業板体1の長手方向の両端の近傍に設けられているとともに、この長手方向と直交する横方向の両側に突出して設けられている。
【0085】
それぞれの突出部93は、図13に示されているように、作業板体側ブラケット3に溶接等で結合された金属パイプ製の本体93Aと、この本体93Aの先端に設けられていて、本体93Aの先端から横方向に突出している先端部材93Bとにより構成されている。この先端部材93は、金属よりも弾力性を有する、例えば、天然ゴムや合成樹脂製ゴム等の弾性材料で形成され、本体93Aの内部に先端部材93Bの一部が圧入接着等されることにより、先端部材93Bは本体93Aに結合されている。
【0086】
作業板体1の長手方向に全体が細長形状となっているこの実施形態に係る可搬式作業台Aが横方向へ転倒した場合には、作業板体1及び梯子板体2よりも先に突出部93が、可搬式作業台Aが立脚している地面や床等の相手に当たることになる。このため、作業板体1及び梯子板体2が損傷することを突出部93により防止できる。
【0087】
また、突出部93は、作業板体1の長手方向の両端の近傍に設けられているとともに、この長手方向と直交する横方向の両側に突出して設けられているため、可搬式作業台Aが、作業板体1の長手方向と直交する横方向のどちらの側に転倒しても、2個の突出部93が地面等の相手に当たるため、この2個の突出部93により、作業板体1及び梯子板体2が損傷することを有効に防止できる。
【0088】
さらに、突出部93の先端は、本体93Aよりも弾力性を有する弾性材料で形成された先端部材93Bとなっているため、突出部93の先端が上記相手に当接したときの衝撃をこの先端部材93Bで緩和することができ、このため、この衝撃によって上記相手や可搬式作業台Aが損傷することを有効に防止できることになる。また、突出部93の本体93Aは金属製パイプで形成されているため、突出部93の全体強度はこの金属性パイプによって充分大きくなっており、このため、突出部93を、上記衝撃に対する充分な強度を備えたものとすることができる。
【0089】
さらに、この実施形態に係る突出部93は、梯子板体2の側面に配置された手掛け棒70よりも横方向へ突出する長さを有し、この突出長さは、図13図16で示されている手掛け棒用ブラケット71における梯子板体2の幅方向外側のフランジ部71Cの位置を越えた長さとなっている。そして、このフランジ部71Cは、手掛け棒用ブラケット71における手掛け棒70よりも横方向に突出した部分となっている。また、突出部93の横方向への突出長さは、フランジ部71Cの外側面に配置されている前述の棒状部材83の第2部分83Bの位置をも越えた長さとなっている。
【0090】
このため、可搬式作業台Aが横方向へ転倒したときには、突出部93が、手掛け棒70や、ブラケット71のフランジ部71C、棒状部材83の第2部分83Bよりも先に地面等の相手に当たることになり、これらの手掛け棒70や、ブラケット71のフランジ部71C、棒状部材83の第2部分83Bが損傷することを有効に防止できる。
【0091】
さらに、この実施形態によると、図4のように作業板体1に対して一対の梯子板体2が折り畳まれているときに、梯子板体2Bを下向きにして、この梯子板体2Bの下端に回転自在に設けられているローラ46を地面等の相手に接触させ、作業板体1に合計4個設けられている突出部93のうち、作業板体1の長手方向におけるローラ46の側とは反対側の端部に設けられている2個の突出部93を手で把持して引き操作を行うことにより、この実施形態に係る可搬式作業台Aを、ローラ46を上記相手に対して転動させながら移動させることができる。
【0092】
このため、この実施形態に係る突出部93は、ローラ46の転動によって可搬式作業台Aを移動させるときに、手で把持してこの移動を行うための手把持部ともなっている。
【0093】
図2に示されているように、作業板体1の長手方向の両方の端部において、この作業板体1の幅方向両側に配置されている2個の作業板体側ブラケット3同士の間には、これらのブラケット3同士を連結する連結部材94が設けられている。この連結部材94は金属パイプによるものであり、連結部材94の両端が、上記2個の作業板体側ブラケット3に溶接等で結合されている。そして、連結部材94は、それぞれの作業板体側ブラケット3の間に架け渡された横架部材ともなっている。
【0094】
この連結部材94により、図12及び図13で説明した受圧部51を設けるために作業板体1の長手方向の端部から突出している上記2個の作業板体側ブラケット3のそれぞれの突出端部同士が連結され、この連結により、上記2個の作業板体側ブラケット3の強度が強化されている。また、図12に示されているように、受圧部51の上方延出部51Cの上端は、連結部材94に溶接等で結合されているため、受圧部51の強度も強化されている。
【0095】
なお、連結部材94の両端部を上記2個の作業板体側ブラケット3に貫通させて突出させ、これにより、連結部材94の一部を利用することによって突出部93を形成してもよい。
【0096】
図12に示されているように、前述したエンド部材15が配置されている作業板体2の長さ方向の端部と、連結部材94との間の隙間を閉塞させるために、エンド部材15に隙間閉塞部材95が取り付けられている。この取り付けは、エンド部材15の端面部15Cに形成された上向き突起15Dに、隙間閉塞部材95に形成された下向き凹部95Aを挿入係合するとともに、エンド部材15の端面部15Cと隙間閉塞部材95とをビス等の結合具96で結合することにより行われている。
【0097】
また、図2に示されているように、隙間閉塞部材95の長さ寸法は、作業板体1の全幅寸法よりも短くなっている。このため、隙間閉塞部材95とそれぞれの作業板体側ブラケット3との間には、空間部Sが設けられている。このような空間部Sは、連結部材94と隙間閉塞部材95が作業板体1の長手方向の両方の端部に設けられているため、4個存在している。
【0098】
図17及び図18は、この実施形態に係る2台の可搬式作業台Aを間隔をあけて作業板体1の長手方向に並べ、これらの可搬式作業台Aに連結用足場板体Bを架け渡す場合を示している。足場板体Bは、可搬式作業台Aの作業板体1と同様に、この足場板体Bの本体97に作業者が乗って各種の作業を行うためのものである。
【0099】
図18に示されているように、足場板体Bの本体97は、作業板体1と同様に、長方形の平面形状を有し、また、この本体97の幅寸法は作業板体1の幅寸法と同じであり、本体97の長さ寸法は、作業板体1の長さ寸法と同じでもよく、あるいは、作業板体1の長さ寸法と異なっていてもよい。
【0100】
また、図18に示されているように、足場板体Bの長手方向の両方の端部において、足場板体Bの幅方向両側には、フック部材98が設けられており、このため、フック部材98は、足場板体Bに合計4個設けられている。図17に示されているように、足場板体Bの本体97からこの本体97の長手方向に突出しているそれぞれのフック部材98は、図17に示されているように、下向きとなっている。図18に示すとおり、これらのフック部材98を2台の可搬式作業台Aの上述した空間部Sの内部に上から挿入し、これにより、フック部材98を可搬式作業台Aの連結部材94に係止することにより、この実施形態に係る連結用足場板体Bは、間隔をあけて作業板体1の長手方向に並べられた2台の可搬式作業台Aに架け渡されることになる。
【0101】
これにより、作業者が乗って各種作業を行うための作業場所が、2台の可搬式作業台Aと、これらの可搬式作業台A同士を連結している連結用足場板体Bとにより、延長拡大されることになる。
【0102】
なお、図18に示されているように、それぞれのフック部材98には、フック部材98と共に連結部材94をこの連結部材94の直径方向に把持するための把持部99が、フック部材98の一部の部分として、あるいは、フック部材98とは別の部材として設けられている。
【0103】
また、この実施形態によると、2台の可搬式作業台Aに連結用足場板体Bを連結することは、それぞれの可搬式作業台Aの構成部材としてこれらの可搬式作業台Aに設けられている連結部材94を用いて行えることになり、このため、この連結を行うために特別の部材を用意する必要がなく、したがって、この連結構造の簡単化、連結作業の迅速化を達成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は、建築作業や土木作業、さらには内装作業や電気配線作業等の各種作業に用いられる可搬式作業台に利用することができる。
【符号の説明】
【0105】
A 可搬式作業台
1 作業板体
2,2A,2B 梯子板体
70 手掛け棒
71 手掛け棒用ブラケット
72 上部分
73 下部分
75 ユニバーサルジョイント
83 棒状部材
83A 第1部分
83B 第2部分
83C 第3部分
84 ピン
図1
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