(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5665960
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】クリップ接続構造
(51)【国際特許分類】
F21V 21/03 20060101AFI20150115BHJP
F16B 5/06 20060101ALI20150115BHJP
F16B 21/08 20060101ALI20150115BHJP
【FI】
F21V21/03 200
F16B5/06 B
F16B21/08
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-265301(P2013-265301)
(22)【出願日】2013年12月24日
(65)【公開番号】特開2014-139933(P2014-139933A)
(43)【公開日】2014年7月31日
【審査請求日】2014年2月25日
(31)【優先権主張番号】101150621
(32)【優先日】2012年12月27日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】507191429
【氏名又は名称】ライト−オン テクノロジー コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シン−ユ チェン
(72)【発明者】
【氏名】チン−シエン リン
(72)【発明者】
【氏名】チャオ−シエン ウ
【審査官】
柿崎 拓
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭53−152418(JP,U)
【文献】
実開昭53−152417(JP,U)
【文献】
特開2008−47466(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 21/00−21/40
F16B 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造体を剛体に吊るすために用いられるクリップ接続構造であって、
前記剛体に組み付けられるフック部材であって、該フック部材を前記剛体の一方側に留める吊り下げ部を有する該フック部材と、
前記フック部材のボード上に配置された第1可動ファスナーであって、該第1可動ファスナーを前記剛体の他方側に留める、又は、該第1可動ファスナーを前記剛体から分離する、動作部を有する該第1可動ファスナーと、
前記フック部材の前記ボード上に配置された第2可動ファスナーであって、該第2可動ファスナーを前記構造体上に留める支持部を有する該第2可動ファスナーと、を備え、
前記動作部と前記吊り下げ部とは、平行に対向しており、前記動作部と前記吊り下げ部とは、ギャップによって前記ボードから離されている、クリップ接続構造。
【請求項2】
前記第1可動ファスナー及び前記第2可動ファスナーはそれぞれ、前記ボードの2つの対向する側に配置されている、請求項1に記載のクリップ接続構造。
【請求項3】
前記第1可動ファスナーは、該第1可動ファスナーを前記ボードに対して回転可能にする、前記ボード上に固定される、第1連結部材を備える、請求項1に記載のクリップ接続構造。
【請求項4】
前記第1連結部材は、リベットで構成される、請求項3に記載のクリップ接続構造。
【請求項5】
前記第2可動ファスナーは、該第2可動ファスナーを前記ボードに対して回転可能にする、前記ボード上に固定される、第2連結部材を備える、請求項1に記載のクリップ接続構造。
【請求項6】
前記第2連結部材は、リベットで構成される、請求項5に記載のクリップ接続構造。
【請求項7】
前記第1可動ファスナーは、前記動作部に平行な方向に延伸する延伸部を備え、
前記延伸部及び前記動作部は、前記剛体の羽部を留めるために用いられる、請求項1に記載のクリップ接続構造。
【請求項8】
前記フック部材は、前記ボードと前記吊り下げ部とに接続される湾曲部を備え、
前記湾曲部及び前記吊り下げ部は、前記剛体の他方の羽部を留めるために用いられる、請求項1に記載のクリップ接続構造。
【請求項9】
前記支持部は、前記第2可動ファスナーの2つの対向する端部から内側に曲げられ、C型形状の凹部を形成している、請求項1に記載のクリップ接続構造。
【請求項10】
構造体を剛体に吊るすために用いられるクリップ接続構造であって、
ボード及び吊り下げ部を有するフック部材と、
前記フック部材の前記ボード上に回転可能に配置された動作部を有する第1ファスナーと、
前記フック部材の前記ボード上に配置され、前記構造体を留める支持部を有する、第2ファスナーと、を備え、
前記クリップ接続構造は、前記剛体上において、前記フック部材の前記吊り下げ部と前記第1ファスナーの前記動作部とを留めることによって、前記剛体に留められ、
前記第1ファスナーの前記動作部は、前記剛体を留める第1位置と、前記剛体を分離する第2位置とを有するように回転される、クリップ接続構造。
【請求項11】
前記剛体は、羽部を有し、
前記クリップ接続構造は、前記剛体の前記羽部上において、前記フック部材の前記吊り下げ部と前記第1ファスナーの前記動作部とを留めることによって、前記剛体上に留められている、請求項10に記載のクリップ接続構造。
【請求項12】
前記第2ファスナーは、前記フック部材の前記ボード上に回転可能に配置されている、請求項10に記載のクリップ接続構造。
【請求項13】
前記第1ファスナーの前記動作部と前記第2ファスナーの前記支持部とは、それぞれ、前記フック部材の前記ボードの2つの対向する側に配置されている、請求項10に記載のクリップ接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、クリップ接続構造に関し、特には、ネジの無いクリップ接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光灯、舞台照明、広告灯、及び映写用ランプ等の通常の照明器具は、多様な種類とモデルを有している。一旦取り付けられた、多くの照明器具は、固定され、これにより照射角度及び範囲が固定され、設置環境に合うように調整され得ることはほとんどない。また、照明器具又は照明装飾は、たいてい、ネジを用いて、天井のスチールフレームに固定され又は吊るされる。しかし、ネジ固定の方法では、穴をあける必要があり、ネジの位置及び数量がネジ穴の位置に合わなければならず、取り付けが不便になる。照明器具を取り外す場合は、照明器具からネジを一つずつ緩めなければならない。
【0003】
高所において照明器具又は照明装飾を組み付けることは困難であるため、ファスナー(留め具)の構成は、組み付けの利便性及び安全性等の要素を考慮しなければならない。従って、構造上の強度及び安全性に影響を及ぼさず、ネジを用いないファスナーを提供することは、製造上、重要な課題となっている。
【0004】
「吊るされた照明設備用の調整クリップ(Adjustment clip for a suspended light fixture)」と題された米国特許第7988342号公報には、並んで搭載され、吊るされた照明設備を取り付けるためのシステム及び方法が開示されている。吊るされた照明設備のそれぞれの並びは、照明設備の反対側の端部に配置されたブラケットを含んでいる。それぞれのブラケットは、天井ケーブル又はペンダント等の支持部材に連結された調整クリップをスライドして受け入れるように構成されたスロットを含んでいる。それぞれの調整クリップは、第1及び第2部分を含んでいる。第1及び第2部分は、スペースが第1及び第2部分を切り離すように、各々に対して0度でない鋭角に配置されている。上記スペースは、ブラケットスロットに隣接した調整クリップに対応して、1つ以上のブラケットの部分を受け入れるように構成されている。作業者は、上記ブラケットスロットの外側で、それぞれの調整クリップを介して、ファスナーを位置合わせすることにより照明設備を取り付けることができる。また、作業者は、これに対応する上記スロットに沿って、1つ以上の上記調整クリップをスライドさせることにより、1つ以上の照明設備のアライメント及びバランスを調整することができる。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、組み付けの利便性及び多様性を備えるクリップ接続構造を提供することにある。
【0006】
本発明の一実施形態によれば、構造体を剛体に吊るすために用いられるクリップ接続構造が提供される。前記クリップ接続構造は、フック部材と第1可動ファスナーと第2可動ファスナーとを含む。前記フック部材は、剛体に組み付けられ、該フック部材を該剛体の一方側に留める吊り下げ部を有する。前記第1可動ファスナーは、前記フック部材のボード上に配置され、該第1可動ファスナーを前記剛体の他方側に留める、又は、該第1可動ファスナーを前記剛体から分離する、動作部を有する。前記動作部と前記吊り下げ部とは、平行に対向している。前記動作部と前記吊り下げ部とは、ギャップによって前記ボードから離されている。前記第2可動ファスナーは、前記フック部材の前記ボード上に配置され、該第2可動ファスナーを前記構造体上に留める支持部を有する。
【0007】
本発明の他の実施形態によれば、構造体を剛体に吊るすために用いられるクリップ接続構造が提供される。前記クリップ接続構造は、フック部材と第1ファスナーと第2ファスナーとを含む。前記フック部材は、ボードと吊り下げ部とを有する。前記第1ファスナーは、前記フック部材の前記ボード上に回転可能に配置された動作部を有する。前記クリップ接続構造は、前記剛体上において、前記フック部材の前記吊り下げ部と前記第1ファスナーの前記動作部とを、前記剛体とともに留めることによって、前記剛体に留められる。前記第2ファスナーは、前記フック部材の前記ボード上に配置され、前記構造体を留める支持部を有する。前記第1ファスナーの前記動作部は、前記剛体を留める第1位置と、前記剛体を分離する第2位置とを有するように回転される。
【0008】
本発明の上述の局面及び他の局面は、以下に示す、参照される、しかし限定されない、実施形態の詳細な説明によって、より理解されるだろう。以下の説明は、添付の図面を参照してなされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係るクリップ接続構造の概略図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るクリップ接続構造の組立図である。
【
図3A】クリップ接続構造を剛体に組み付ける手順を示す図である。
【
図3B】クリップ接続構造を剛体に組み付ける手順を示す図である。
【
図4A】クリップ接続構造を構造体に組み付ける手順を示す図である。
【
図4B】クリップ接続構造を構造体に組み付ける手順を示す図である。
【
図5A】第2可動ファスナーを90度回転する方法を示す図である。
【
図5B】第2可動ファスナーを90度回転する方法を示す図である。
【0010】
クリップ接続構造は、本明細書に開示されている。上記クリップ接続構造の一実施形態によれば、従来の上記ネジ固定構造が、吊るす目的に用いられる、フック部材及びファスナーに置き換えられ、構造体は、他のファスナーを用いて支持され、上記クリップ接続構造を介して剛体に吊るされ得る。例えば、上記剛体は、天井に配置される、軽量鉄骨、又は、所謂T形鋼などのブラケットとすることができる。上記構造体は、照明器具あるいは照明装飾部材などのランプ、又は、他の目的に用いられるフレームとすることができる。例えば、本実施形態の上記クリップ接続構造は、上記照明器具を、天井に配置される上記軽量鉄骨上に留めることができる。また、上記照明器具の角度は、回転し得、又は、上記照射位置は、設置環境に合うように調整され得る。上記照明器具は、上記フレームに全く穴を開けることなく、上記軽量鉄骨に固定され得る。また、上記照明器具の角度又は照射位置を調整することは、ユーザにとって非常に簡便である。従って、本実施形態の上記クリップ接続構造は、組み付けの利便性と多様性の両方を提供する。
【0011】
本発明を詳述するために、いくつかの実施形態が以下に開示されている。しかし、本発明の実施形態は、単に詳細な説明であって、本発明の保護範囲を限定するものではない。
【0012】
図1及び
図2は、それぞれ、本発明の実施形態に係るクリップ接続構造100の概略図及び組立図である。
図2に示すように、クリップ接続構造100は、構造体50を、剛体60上に支持し、かつ吊るす。構造体50は、軽量体52及びブラケット54を含んでもよい。ブラケット54は、軽量体52の背面に配置されており、H形又は角形のブラケットとすることができる。また、剛体60は、T形の軽量鉄骨とすることができ、2つの羽部61,62と、リブ63とを含んでいる。本実施形態のクリップ接続構造100によれば、構造体50は、全くネジを用いることなく、剛体60の2つの羽部61,62に吊るされ得る。このため、組み付けの利便性が向上する。本実施形態は、軽量体52によって例示されているが、本発明の適用はこれに限定されない。
【0013】
図1に示すように、クリップ接続構造100は、フック部材110、第1可動ファスナー120、及び第2可動ファスナー130を含んでいる。フック部材110は、
図2に示すように、剛体60に組み付けられており、また、フック部材110を剛体60の一方側(左側など)に留めるための吊り下げ部112を有している。第1可動ファスナー120は、フック部材110のボード114上に配置されており、また、第1可動ファスナー120を剛体60の他方側(右側など)に留めるための、又は、第1可動ファスナー120を剛体60から分離するための、動作部122を有している。動作部122と吊り下げ部112とは、平行に対向しており、動作部122と吊り下げ部112とは、ギャップによってボード114から離されている。第2可動ファスナー130は、フック部材110のボード114上に配置されており、また、
図2に示す構造体50上に留めるための支持部132を有している。
【0014】
本実施形態のフック部材110は、1つの部品で一体的に形成されたフックとすることができる。フック部材110は、吊り下げ部112と、ボード114と、吊り下げ部112及びボード114の間に接続された湾曲部116とを含んでいる。さらに、本実施形態の第1可動ファスナー120は、打ち抜くことによって延伸部124を形成することができる。延伸部124は、動作部122に平行な方向に、ボード114上を延伸している。本実施形態の支持部132は、第2可動ファスナー130の2つの対向する端部から内側に曲げられ、C型形状の凹部133を形成している。
【0015】
第1可動ファスナー120は、さらに、第1連結部材126を含んでもよい。第1連結部材126は、第1可動ファスナー120をボード114に対して回転可能にするために、ボード114上に固定され得る。第1連結部材126は、リベット、又は、リベットの特徴を有する構造とすることができる。第2可動ファスナー130は、さらに、第2連結部材134を含んでもよい。第2連結部材134は、第2可動ファスナー130をボード114に対して回転可能にするために、ボード114上に固定され得る。第2連結部材134は、リベット、又は、リベットの特徴を有する構造とすることができる。
【0016】
上述の内容に基づけば、第1可動ファスナー120及び第2可動ファスナー130はそれぞれ、剛体60及び構造体50のそれぞれを留めるために、ボード114の2つの対向する側に配置されており、これにより組み付けの利便性が向上する。
【0017】
吊り下げ部112及び動作部122の詳細な説明は、
図3A及び
図3Bに開示されている。
図3A及び
図3Bは、クリップ接続構造100を剛体60に取り付ける手順を示している。
図3Aに示すように、剛体60の羽部61は、フック部材110が剛体60の一方側に留まるように、フック部材110の吊り下げ部112及び湾曲部116によって堅く留められており、剛体60の羽部62は、第1可動ファスナー120によって留められている。剛体60の他方側に配置される第1可動ファスナー120は、フック部材110に対して水平に回転することができる。締結状態を解除するためには、ユーザは、
図3Aに示すように、第1可動ファスナー120の動作部122を、剛体60の他方側から切り離すように外側に向かって回転させることだけが必要となる。反対に、締結状態にするには、
図3Bに示すように、ユーザは、第1可動ファスナー120の動作部122を、内側に向かって回転させることだけが必要となり、剛体60の他方の羽部62は、第1可動ファスナー120が剛体60の他方側に留められるように、動作部122及び延伸部124によって堅く留められる。
【0018】
支持部132の詳細な説明は、
図4A及び
図4Bに開示されている。
図4A及び
図4Bは、クリップ接続構造100を構造体50に取り付ける手順を示している。構造体50のブラケット54は、第2可動ファスナー130の支持部132のC型形状の凹部133にスライドして挿入される。支持部132の2つのC型形状の凹部133がそれぞれ、剛体50のブラケット54に留められている限り、構造体50は、本実施形態のクリップ接続構造100を用いて剛体60に吊るされる。
【0019】
図5A及び
図5Bを参照する。ボード114の下に配置される第2可動ファスナー130も、フック部材110に対して水平に回転される。第2可動ファスナー130の角度は、
図5A及び
図5Bに示すように、X軸方向及びY軸方向の間で調整される。第2可動ファスナー130を回転させることによって、第2可動ファスナー130の、2つの対向する側に配置される支持部132が、X軸方向及びY軸方向の間に配置され、これに従って、第2可動ファスナー130の支持部132に留められる構造体50の角度が調整され得る。従って、本実施形態のクリップ接続構造100は、設置環境に合うように角度が回転され得るため、組み付けの多様性が向上する。
【0020】
本発明は例によって示され、また参照される実施形態に関して示されているが、本発明はこれに限定されないことは理解されるであろう。それどころか、本発明は、様々な変更、類似の構成及び方法を含む意図であり、よって、添付の請求項の範囲は、様々な変更、類似の構成及び方法等の全てを含むように、最も広い解釈が認められるべきである。