特許第5665969号(P5665969)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5665969オプトエレクトロニクスデバイスおよびオプトエレクトロニクスデバイスの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5665969
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】オプトエレクトロニクスデバイスおよびオプトエレクトロニクスデバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/60 20100101AFI20150115BHJP
   H01L 33/54 20100101ALI20150115BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20150115BHJP
【FI】
   H01L33/00 432
   H01L33/00 422
   H01L33/00 410
【請求項の数】13
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-506561(P2013-506561)
(86)(22)【出願日】2011年3月28日
(65)【公表番号】特表2013-527605(P2013-527605A)
(43)【公表日】2013年6月27日
(86)【国際出願番号】EP2011054680
(87)【国際公開番号】WO2011134727
(87)【国際公開日】20111103
【審査請求日】2012年12月28日
(31)【優先権主張番号】102010028246.4
(32)【優先日】2010年4月27日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】599133716
【氏名又は名称】オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Osram Opto Semiconductors GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン イレク
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー リンコフ
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ザバティール
【審査官】 佐藤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−221048(JP,A)
【文献】 特開2010−003941(JP,A)
【文献】 特開2008−053660(JP,A)
【文献】 特開2003−298115(JP,A)
【文献】 特開2007−165508(JP,A)
【文献】 特開2004−055632(JP,A)
【文献】 特開2009−173871(JP,A)
【文献】 特開2006−004877(JP,A)
【文献】 特開2006−134661(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/135620(WO,A1)
【文献】 特開2009−249445(JP,A)
【文献】 特開2009−252898(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オプトエレクトロニクスデバイス(1)であって、
・担体(2)と、
・少なくとも1つの半導体チップ(3)と、
・少なくとも部分的に透明な媒体(7)と、
・当該媒体(7)内に入れられている粒子(10、11)とを有しており、
前記半導体チップ(3)は、前記担体(2)上に配置されており、一次ビーム(6)を放射し、
前記媒体(7)は、前記半導体チップ(3)を少なくとも部分的に包囲しており、前記担体(2)上方の高さ(8)と前記担体(2)に沿った幅(9)を有しており、前記媒体(7)の前記高さ(8)と前記幅(9)の比は1よりも大きく、
前記粒子(10、11)は、前記一次ビーム(6)と相互作用し、
前記粒子(10、11)は発光剤粒子(10)と散乱粒子(11)を有しており、前記
発光剤粒子は、前記一次ビーム(6)を吸収して、二次ビーム(14)の第1の成分(14a)を放出するように作られており、前記散乱粒子は、二次ビーム(14)の第2の成分(14b)を形成するために、前記一次ビーム(6)を散乱させるように作られており、
前記オプトエレクトロニクスデバイス(1)は、少なくとも部分的に、前記媒体(7)の、前記半導体チップ(3)とは反対側の面に設けられている部分反射層(15)を有していること
特徴とするオプトエレクトロニクスデバイス。
【請求項2】
前記粒子(10、11)は均一に、前記媒体(7)内に分散されている、請求項1記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
【請求項3】
記発光剤粒子(10)、5〜15重量%の濃度を有している、請求項1または2記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
【請求項4】
前記散乱粒子(11)は、2〜10重量%の濃度有している、請求項記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
【請求項5】
前記媒体(7)の高さ(8)は、前記担体(2)に沿った半導体チップ(3)のチップ幅(13)の約1〜約3倍である、請求項1からまでのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
【請求項6】
反射層(12)が少なくとも部分的に前記媒体(7)の面に設けられており、前記媒体(7)の面は、前記半導体チップ(3)の方を向いている、請求項1からまでのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
【請求項7】
前記反射層(12)は、チタン二酸化物粒子を含有しているシリコーンを含んでいる、
請求項記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
【請求項8】
前記部分反射層(15)は、前記半導体チップ(3)とは反対側の、前記媒体(7)の面に、前記媒体(7)と直接的に接触して配置されている、請求項1からまでのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
【請求項9】
前記部分反射層(15)と前記媒体(7)との間にエアギャップ(16)が設けられており、
当該部分反射層は、前記媒体(7)の、前記半導体チップ(3)とは反対側の面に設けられている、請求項1からまでのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
【請求項10】
前記部分反射層(15)はチタン二酸化物粒子を含有しているシリコーンを含んでいる、請求項1からまでのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項に記載されている少なくとも1つのオプトエレクトロニクスデバイス(1)を備え、前記オプトエレクトロニクスデバイス(1)は導光体(17)に光学的に結合されている、照明装置(100)。
【請求項12】
前記オプトエレクトロニクスデバイス(1)と、前記導光体(17)との間にエアギャップ(16)が設けられている、請求項11記載の照明装置。
【請求項13】
オプトエレクトロニクスデバイス(1)を製造する方法であって、
・半導体チップ(3)を担体(2)上に準備するステップと;
・粒子(10、11)を、透明なマトリクス材料から成る媒体(7)に入れるステップとを有しており、ここで前記粒子(10、11)は発光剤粒子(10)と散乱粒子(11)を有しており、前記発光剤粒子は、前記一次ビーム(6)を吸収して、二次ビーム(14)の第1の成分(14a)を放出するように作られており、前記散乱粒子は、二次ビーム(14)の第2の成分(14b)を形成するために、前記一次ビーム(6)を散乱させるように作られており
・前記媒体(7)を型に注ぐステップと;
・前記媒体(7)を熱で硬化させるステップと;
・前記媒体(7)を前記半導体チップ(3)上に被着させるステップとを有しており、これによって前記担体(2)上方の前記媒体(7)の高さ(8)と、前記担体(2)に沿った前記媒体(7)の幅(9)の比は1よりも大きく;
・部分反射層(15)を、少なくとも部分的に、前記媒体(7)の、前記半導体チップ(3)とは反対側の面に被着するステップを有している、
ことを特徴とする、オプトエレクトロニクスデバイスを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁ビームを放射する半導体チップを備えたオプトエレクトロニクスデバイス並びに少なくとも1つのこの種のオプトエレクトロニクスデバイスを有する照明装置に関する。さらに、オプトエレクトロニクスデバイスを製造する方法を提示する。
【0002】
従来技術から、オプトエレクトロニクスデバイスおよびオプトエレクトロニクスデバイスを有する照明装置が知られている。文献WO2009/135620A1号は、電磁ビームを放射する照明手段を備えた照明装置を開示している。照明手段の1つの形態は、オプトエレクトロニクスデバイスである。粒子との相互作用によって、電磁ビームの一部が偏向され、一部が自身の波長から変化する。電磁ビームのこの偏向は、粒子密度の勾配によって実現される。しかし、粒子密度の勾配の調節は製造時に非常に手間がかかり、再現困難であり、かつコストがかかる。
【0003】
オプトエレクトロニクスデバイスは光学的に活性なエピタキシー層を有している。このエピタキシー層は、例えば文献DE102005003460A1号に開示されているように、担体上に被着されている。
【0004】
本発明の課題は、媒体内に粒子を有しており、電磁ビームが有利な方向、すなわち担体に対して水平に偏向されるオプトエレクトロニクスデバイスおよび少なくとも1つのこの種のオプトエレクトロニクスデバイスを備えた照明装置を提供することである。さらに均一な光分布が照明装置内で、コストのかかる取り出し構造を用いずに可能であるべきである。
【0005】
上述の課題は、
・請求項1に記載されているオプトエレクトロニクスデバイス
・請求項15に記載されているオプトエレクトロニクスデバイスの製造方法ないしは
・請求項13に記載されている照明装置によって解決される。
【0006】
オプトエレクトロニクスデバイスないしは照明装置の発展形態および有利な形態は、従属請求項に記載されている。
【0007】
実施例
種々の実施形態は、担体と少なくとも1つの半導体チップとを備えたオプトエレクトロニクスデバイスを有している。この半導体チップは担体上に配置されており、一次ビームを放射する。さらにこのデバイスは、半導体チップを少なくとも部分的に包囲しており、かつ少なくとも部分的に透明な担体を有している。この媒体は、担体上方の高さと、媒体に沿った幅を有している。この媒体内には、一次ビームと相互作用する粒子が入れられている。この媒体は、1を超える、高さ対幅の比(アスペクト比)を有している。これによって、電磁ビームが有利な方向、すなわち担体に対して水平に偏向されることが保証される。
【0008】
半導体チップは通常はアクティブゾーンを有している。このアクティブゾーンは、一次ビームを放射する。アクティブゾーンは、pn移行部、ダブルヘテロ構造、多重量子井戸構造(MQW)または単一量子井戸構造(SQW)であり得る。量子井戸構造は、量子箱(三次元)、量子細線(二次元)、量子点(一次元)を意味している。
【0009】
媒体は例えばシリコーン、エポキシ化合物、ガラスまたはセラミックを含み得る。媒体はできるだけ、光耐性を有し、かつ一次ビームに対して少なくとも部分的に透過性であるべきである。
【0010】
オプトエレクトロニクスデバイスは電磁ビームを有利な方向、すなわち担体に対して水平に偏向すべきである。さらに、照明装置内の均一な光分布が、コストのかかる取り出し構造を用いずに可能であるべきである。これは、粒子を有する媒体が、1を上回るアスペクト比を有していることによって実現される。電磁ビームのこの水平な偏向は、例えば、光導体内への電磁ビームの入力時に、特に有利である。
【0011】
本発明の基本となるアイディアは、散乱媒体を配置することである。この媒体は、容易かつ効果的に、LEDチップの正面放射光を横向きに変える。これによって、平らな光導体内での使用が容易になる、ないしは初めて可能になる。最適な効率および側面放射のために、粒子の濃度とアスペクト比が相互に調整されなければならない。
【0012】
オプトエレクトロニクスデバイスの有利な実施形態では、粒子は均一に媒体内に分散される。これは有利である。なぜなら、均一な分散は特に容易に形成可能であり、電磁ビームの均一な放出を実現するからである。
【0013】
オプトエレクトロニクスデバイスの有利な実施形態では、粒子は、発光剤粒子を有している。これは、一次ビームを吸収するためおよび二次ビームの第1の部分を放射するために構成されている。発光剤粒子は、蛍光材料から成る。蛍光材料として、有利な実施例では、5〜15重量%の濃度のイットリウム−アルミニウム−ガーネットが使用され、これは青色の一次光を黄色光に変換する。媒体内のイットリウム−アルミニウム−ガーネットの濃度が5重量%の場合には、青白い二次ビームが生じる。15重量%の、より高い重量の場合には、黄みがかった白色の二次ビームが生じる。
【0014】
オプトエレクトロニクスデバイスの有利な実施形態では、粒子は散乱粒子を有している。これは、一次ビームを散乱させるように配置されており、ここでは第2の成分が二次ビームに寄与する。電磁ビームと散乱粒子との相互作用時には、電磁ビームの波長は変化しない。用語「散乱粒子」および「反射粒子」は、本願では同義語として使用されている。
【0015】
有利な実施形態では、散乱粒子はバリウム硫化物および/またはバリウム亜硫酸塩および/またはバリウム硫酸塩および/またはチタン二酸化物を有している。チタン二酸化物−散乱粒子の平均サイズは、約300nmである。散乱粒子の濃度は2〜10重量%である。5重量%よりも高い濃度の場合には、二次ビームの垂直に放射される成分の強度は0に近い。
【0016】
二次ビームが形成される場合には、散乱粒子を有する媒体は、青色光と黄色光との良好な混合および一次ビームの適切な偏向に寄与する。
【0017】
有利な実施形態では、媒体の高さは、担体に沿った半導体チップのチップ幅の1〜3倍である。これは有利である。なぜなら、上記の寸法の場合には、多くの二次ビームをオプトエレクトロニクスデバイスの側方から取り出すことができるからである。
【0018】
有利な実施形態では、反射層が設けられている。この反射層は少なくとも部分的に、媒体の、半導体チップの方を向いている面に延在している。これは有利である。なぜならこれによって、散乱粒子によって反射され、発光剤粒子から放射される二次ビームが担体での吸収によって失われることが阻止されるからである。
【0019】
有利な実施形態では、部分反射層が設けられている。この部分反射層は少なくとも部分的に、媒体の、半導体チップとは反対側の面に配置されている。この部分反射層は電磁ビームの一部を反射して、媒体内に戻す。ここでこの部分反射層は、波長を選択的に反射しない。この層は、二次ビームの一部が、媒体の、半導体チップとは反対側の面から出ていくことを阻止する。この層によって媒体内に反射して戻される二次ビームの割合は、この層内のチタン二酸化物−反射粒子の含有量を介して調節される。
【0020】
有利な実施形態では、部分反射層は、媒体の、半導体チップとは反対側の面で、この媒体と直接的に接触して配置されている。これは有利である。なぜなら製造が容易だからである。
【0021】
有利な実施形態では、媒体の、半導体チップの方を向いている面の反射層および/または、媒体の、半導体チップとは反対側の面の部分反射層はシリコーンを有している。これはチタン二酸化物粒子を有している。
【0022】
有利な実施形態では、オプトエレクトロニクスデバイスは導光体に光学的に結合されている。
【0023】
有利な実施形態では、オプトエレクトロニクスデバイスと導光体との間に、エアギャップが設けられている。このエアギャップは、導光体の導波モードへのより良好な入力を生じさせる。
【0024】
オプトエレクトロニクスデバイスを製造する方法の実施形態では、半導体チップは担体上に準備される。粒子が、透明なマトリクス材料、殊に透明なシリコーンから成る媒体内に入れられる。次に、媒体が型に注入される。その後、媒体が熱によって硬化される。その後、媒体は半導体チップ上に次のように被着される。すなわち、アスペクト比が1よりも大きくなるように被着される。
【0025】
オプトエレクトロニクスデバイスを製造する択一的な方法が以下のように提示される。媒体は粒子と結合されて、圧縮成形(compression molding)によって同時に半導体チップ上に被着される。ここで型が提供され、これが圧力下で噴射される。次に、媒体が硬化される。
【0026】
この択一的な方法によって製造されたオプトエレクトロニクスデバイスは、次に、導光体に光学的に結合される。
【0027】
上記の方法に従って製造されたオプトエレクトロニクスデバイスは、低コストで製造され、高い光学効率が得られる。このオプトエレクトロニクスデバイスを適切にラテラル方向に配置することによって容易に、平面光源が形成される。オプトエレクトロニクスデバイスの数も制限される場合には、均一な光密度が得られる。効率的な、縁のないかつ自己冷却式の平面光源が得られる。この平面光源は非常に薄く製造され、かつ柔軟である。
【0028】
本発明による解決方法の種々の実施例を以下で図面に基づいて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】オプトエレクトロニクスデバイスの1つの実施例の断面図
図2】オプトエレクトロニクスデバイスの1つの実施例の断面図
図3】種々異なるアスペクト比に対する、オプトエレクトロニクスデバイスの放射特性
図4】角度の関数としての、オプトエレクトロニクスデバイスの放射特性図
図5】オプトエレクトロニクスデバイスの1つの実施例の断面図
図6a】オプトエレクトロニクスデバイスの1つの実施例の断面図
図6b】オプトエレクトロニクスデバイスの1つの実施例の断面図
図7】オプトエレクトロニクスデバイスを2つ備えている照明装置の1つの実施例の断面図
図7a図7に示されている2つのオプトエレクトロニクスデバイスのうちの1つ
図7b図7aに示されているオプトエレクトロニクスデバイスを中心とした輝度分布のシミュレーション
図8】オプトエレクトロニクスデバイスを2つ備えている照明装置の1つの実施例の断面図
図8a図8に示されている2つのオプトエレクトロニクスデバイスのうちの1つ
図8b図8aに示されているオプトエレクトロニクスデバイスを中心とした輝度分布のシミュレーション
図9】オプトエレクトロニクスデバイスを複数個備えている照明装置の1つの実施例の平面図
図10】オプトエレクトロニクスデバイスを2つ備えている照明装置の1つの実施例の断面図
図10a図10に示されている2つのオプトエレクトロニクスデバイスのうちの1つ
図10b図10aに示されているオプトエレクトロニクスデバイスを中心とした輝度分布のシミュレーション
図11】オプトエレクトロニクスデバイスを2つ備えている照明装置の1つの実施例の断面図
図11a図11に示されている2つのオプトエレクトロニクスデバイスのうちの1つ
図11b図11aに示されているオプトエレクトロニクスデバイスを中心とした輝度分布のシミュレーション
図12】複数のオプトエレクトロニクスデバイスを備えている照明装置の1つの実施例の断面図
図12a図12に示されている2つのオプトエレクトロニクスデバイスのうちの1つ
図12b図12aに示されているオプトエレクトロニクスデバイスを中心とした輝度分布のシミュレーション
【実施例】
【0030】
同じ部材または同様の機能を有する部材には、図面において、同じ参照番号が付与されている。図面および図面に示されている部材間の大きさの比は、縮尺通りではなく、より分かりやすくするために個々の部材が過度に大きく示されることがある。
【0031】
図1は、オプトエレクトロニクスデバイス1を示している。担体2上に半導体チップ3が被着されている。電気的な接触接続はコンタクト4およびボンディングワイヤー5を介して行われる。半導体チップ3は一次ビーム6を放射する。半導体チップ3は少なくとも部分的に透明な媒体7によって包囲されている。この媒体7は担体2上の高さ8と、担体2に沿った幅9とを有している(アスペクト比)。媒体7内には、粒子10、11が入れられている。これらの粒子は、一次ビーム6と相互作用する。媒体7は、1よりも大きいアスペクト比を有している。粒子10、11は均一に媒体7内に分布している。粒子10、11は発光剤粒子10を有している。これは、一次ビーム6を吸収し、二次ビーム14の第1の成分14aを放射するように作られている。
【0032】
発光剤粒子10は殊に蛍光材料を有している。これは例えばイットリウム−アルミニウム−ガーネットである。発光剤粒子は5〜15重量%の濃度で存在している。粒子10、11は、散乱粒子11を有している。これは、一次ビームを散乱させるように配置されており、ここで第2の成分14bを二次ビーム14のために与える。散乱粒子11は、電磁ビームとの相互作用時に、電磁ビームの波長を変えない。用語「散乱粒子」と同義であるのは、用語「反射粒子」である。散乱粒子11はバリウム硫化物および/またはバリウム亜硫酸塩および/またはバリウム硫酸塩および/またはチタン二酸化物を有している。散乱粒子は、2〜10重量%の濃度で存在している。媒体7の高さ8は、担体2に沿った、半導体チップ3のチップ幅13の約1〜約3倍である。媒体7の高さ8によって、二次ビームのラテラル方向放射の割合が調整される。例えば、300μmのチップ幅13を有する半導体チップ3の場合には、300μm〜900μmの、媒体7の高さ8が有利である。反射層12が少なくとも部分的に、媒体7の、半導体チップ3の方を向いている面に設けられている。このデバイスの幾何学的形状は次のように設計されている。すなわち、担体上に垂直に延在している媒体7の側面と、担体に対して平行に配置されている媒体の表面が、その面積に関して支配的であるように設計されている。
【0033】
図2は、オプトエレクトロニクスデバイス1を示している。ここでは媒体の幅9は、ほぼ、半導体チップ3の幅13に相応する。反射層を、媒体7の、半導体チップ3の方に向いている面に設ける必要性はない。その他の部分は、図1に示されている部分に相応する。
【0034】
図3は、発光剤粒子10が充填されている媒体7に対する、種々異なるアスペクト比に対する、計算された放射特性を示している。媒体7はここでシリコーン層であり、発光剤粒子10はここでは蛍光材料である。放射特性は、0.1〜4.1の間のアスペクト比の種々の値に対して示されている。横軸x上には放射角度が示されており、縦軸y上には二次ビーム14の強度が示されている。アスペクト比が0.1である場合には、オプトエレクトロニクスデバイスによって放射される強度は、小さい角度の際に最大になる。アスペクト比が1.1以上の場合に放射強度は、角度が小さい場合に、極めて小さい値に下降する。二次ビーム14の強度は、60〜90°の角度範囲において最大値になる。換言すれば、ラテラル方向の放射が極めて有利である。角度分布は、アスペクト比の他に、粒子濃度によっても影響される。
【0035】
図4は、角度の関数として、オプトエレクトロニクスデバイス1の典型的な放射特性を示している。x軸上には、−180°〜+180°の角度が示されている。0°の角度は、媒体7の、半導体チップ3とは反対側の面上の垂線に相応する。約−70°と約+70°の角度の際に、最大強度が位置する。0°の角度の場合には、強度はほぼ消える。
【0036】
図5は、部分反射層15を備えたオプトエレクトロニクスデバイスを示している。これは少なくとも部分的に、媒体7の、半導体チップ3とは反対側の面に設けられている。部分反射層15は、媒体7の、半導体チップ3とは反対側の面で、媒体7と直接的に接触して配置されている。部分反射層15はシリコーンであってよい。これはチタン二酸化物粒子によって充填されている。部分反射層15は、全体的な可視スペクトル領域からの二次ビームを反射する。殊に、波長に依存した反射は生じない。換言すれば、波長に関して二次ビームはフィルタリングされない。部分反射層15は、正面放射と側面放射との間のバランスを調整するために用いられる。チタン二酸化物の濃度に依存して、二次ビーム14の第1の成分14aおよび第2の成分14bはより強くまたはより弱く反射される。境界例においては、垂直な(すなわち、半導体チップ3に対向している媒体7の面上で垂線状の)二次ビームの放射が完全に阻止される。換言すれば、照明放射は、側面放射が有利になるように抑圧される。部分反射性白色層15によって、発光剤粒子によって生起される、不所望な、黄色の色印象が回避される。残りの部分は、図1に示された部分に相応する。
【0037】
図6aは、オプトエレクトロニクスデバイス1内の2つの半導体チップ3aおよび3bを示している。同じように、媒体7の高さ8は、チップ幅13の1〜3倍である。この媒体は、この実施例では発光剤粒子10も散乱粒子11も含んでいる。散乱粒子11は、一次ビーム6aおよび6bを、二次ビームの第1の成分14aと混ぜる。一次ビーム6aは、第1の波長の、第1の半導体チップ3aによって放射された電磁ビームである。一次ビーム6bは、第2の波長の、第2の半導体チップ3bによって放射された電磁ビームである。二次ビームの第1の成分14aは、発光剤粒子10によって変換された光である。さらに、散乱粒子11は、所望の、すなわち側方の放射特性のために用いられる。残りの部分は、図1に示された部分に相応する。
【0038】
図6bは、既に図6aに示された、オプトエレクトロニクスデバイス1内の2つの半導体チップ3aおよび3bを示している。図6aとは異なり、媒体7内には散乱粒子11のみが入れられている。発光剤粒子10を用いずに波長変換は行われない。すなわち媒体7内では、一次ビーム6の色混合および側方偏光のみが行われる。所望のスペクトルは、一次ビームの第1の成分6aおよび一次ビームの第2の成分6bの種々の波長によって実現される。残りの部分は、図1に示されている部分に相応する。
【0039】
図示されていない実施例では、少なくとも3つの半導体チップを有しているオプトエレクトロニクスデバイスが設けられている。これらの半導体チップは、赤色、緑色および青色のスペクトル領域において発光する。発光剤粒子10による波長変換は、不必要である。図6bの実施例に既に示されているように、散乱粒子11による光混合および放射特性の調整のみが行われなければならない。残りの部分は、図6bに示されている部分に相応する。
【0040】
図7は、照明装置の参考資料である。図7は、chip level conversionを有している白色LEDを示している。このLEDは、導光体17内に埋設されている。白色LEDは、一次ビーム6を放射する半導体チップ3と、この半導体チップ3上に載置されている薄い媒体7を有している。この薄い媒体7は、約30μmの典型的な厚さを有している。換言すれば、媒体7の高さ8は、半導体チップ3のチップ幅13に対しわずかである。担体2上に垂直に延在している媒体7の側面は、担体2に対して平行に配置されている媒体7の表面に比べて小さい。この薄い媒体7は、波長変換のために発光剤粒子10を含んでいる。効率を上げるために、反射層12が設けられている。この反射層は半導体チップ13を包囲している。白色LEDは近似的にランベルト放射プロファイルを有している。媒体7は薄いので、大部分が前方へ向けられている放射が生じる。これは次の結果を有する。すなわち、非常にわずかな電磁ビームが導光体内に入力され、光の大部分は直接的に正面でおよび点状に、半導体チップ3を介して出力される、という結果を有する。導光体17内のオプトエレクトロニクスデバイスの直列配置において、極めて不均一な輝度分布が結果として生じる。これらの欠点は、図8、11および12に示された実施例において最も顕著に、克服される。図7bに示されている輝度分布に対する零点20は、その時々のオプトエレクトロニクスデバイス1の中央に位置している。
【0041】
図7aは、図7に示された2つのオプトエレクトロニクスデバイス1のうちの1つを示している。2つのデバイス1は同じものである。従って、両方のデバイス1に同じ輝度分布が当てはまる。輝度分布の零点20は0mmであり、オプトエレクトロニクスデバイス1上に中心に位置している。位置を示すために、零点20の位置を備えた水平軸21が示されている。
【0042】
図7bは、図7aに示されたオプトエレクトロニクスデバイス1に対する輝度分布のシミュレーションを示している。零点20で輝度が最大であり、0.045を超えている(任意単位で)。零点20の両側では(+2mm〜−2mm)、輝度は2mmの範囲内で、0.005に降下する(任意単位で)。ランベルトビームプロファイルが示されている。従って図7に既に示されているように、図7aに示されたオプトエレクトロニクスデバイスは、導光体17内への光の側方入力にはほぼ適していない。
【0043】
図8は、オプトエレクトロニクスデバイス1が2つ埋設されている導光体17から成る装置100を示している。両半導体チップ3の間隔は約10mmであり、導光体17の高さ18は約2mmであり、媒体7の高さ8は約1.5mmである。半導体チップ3の間の最適な間隔は以下の判断基準に従って定められる。必要な数の半導体チップ3によって、均一な輝度および最適な加熱を備えた平面光源が形成される。コスト的な理由から、必要な光量に対する、できるだけ少数の半導体チップ3が使用されるべきである。全体として最適な熱管理のためには、より少ない個別出力を備えたより多くの半導体チップ3を選択するのが有利である。光形成および熱形成は広げられるべきである。オプトエレクトロニクスデバイスは、図1に示されたオプトエレクトロニクスデバイスに相当する。導光体17内への埋設は、二次ビーム14のラテラル方向分布に用いられる。これによって、均一な光分布が得られる。質的に高価値の光印象が得られる。これは殊に、バックライト用途に必要とされる。基準として用いられる図7においては、極めて僅かな二次ビーム14のみがラテラル方向で、導光体17内に入力される。二次ビームの大部分は、直接的に正面でかつ点状に出力される。これに対して、図8の実施例では、高い側面放射が行われる。これによって、図7の装置に対して光点の幅が約二倍になる。約2mmの代わりに、4mmの幅が得られる。これによって、同じ導光体厚さの場合に、オプトエレクトロニクスデバイス1の数を基準に対して、四分の一に低減させることができる。さらに、輝度の均一性が著しく改善され、最大強度と背景との間の輝度コントラストが係数3に低減される。図7に示された基準例では、この係数は約20である。
【0044】
図8aは、図8に示された2つのオプトエレクトロニクスデバイス1のうちの1つを示している。2つのデバイス1は同じものである。従って、両方のデバイス1に対して同じ輝度分布が当てはまる。輝度分布の零点20は0mmにあり、オプトエレクトロニクスデバイス1の中央にある。位置を示すために、零点20の位置を備えた水平軸21が示されている。
【0045】
図8bは、図8aに示されたオプトエレクトロニクスデバイス1に対する、シミュレーションされた輝度分布を示している。零点20では、輝度は0.006〜0.008の間にある。零点20から約1mmの間隔では、輝度は約0.012にある。最大輝度は、もはや半導体チップの中央ではなく、側方から出力される。零点20から約3mmの間隔では、輝度は約0.004に下降する。有利に側方で出力された光は、導光体17内への側方入力に有利である。
【0046】
図9は、複数のオプトエレクトロニクスデバイス1が埋設されている、導光体17から成る装置100を示している。これは、この装置100が平らな構成であることを示している。この図では、オプトエレクトロニクスデバイス1による相互のシャドウイングが、無視できる程度に小さいことが明確である。
【0047】
図10は、既に図8に示されているように、複数のオプトエレクトロニクスデバイス1が埋設されている導光体17から成る装置100を示している。図8とは異なり、オプトエレクトロニクスデバイス1の周囲にはエアギャップ16が設けられている。このエアギャップによって、二次ビーム14が導光体17の導波モード内により良好に入力される。二次ビーム14は、導光体17の内部または表面での付加的な散乱メカニズムを介して取り出される。これによって、大きい領域において輝度の均一性が改善される。
【0048】
図10aは、図10に示されている2つのオプトエレクトロニクスデバイス1のうちの1つを示している。2つのデバイス1は同じものである。従って、両方のデバイス1に対して同じ輝度分布が当てはまる。輝度分布の零点20は0mmであり、オプトエレクトロニクスデバイス1の中央にある。位置を示すために、零点20の位置を備えた水平軸21が示されている。
【0049】
図10bは、図10aに示されたオプトエレクトロニクスデバイス1に対するシミュレーションされた輝度分布を示している。零点20では、輝度は0.02〜0.025の間にある。零点20から約1mmの間隔では、輝度は約0.006に下降する。最大輝度は、半導体チップの中央で出力される。零点20から約2mm〜約5mmの間隔では、輝度は一定して約0.004にある。
【0050】
図11は、図10の実施例よりもさらに有利な実施例を示している。二次ビーム14の点状放射を阻止するために、付加的に、半導体チップ3とは反対側の、媒体7の面には、半透明または部分反射層15が配置されている。これによって、二次ビーム14が均一になる。エアギャップ16は、部分反射層15を備えた媒体7と、導光体17との間にある。
【0051】
図11aは、図11に示されている2つのオプトエレクトロニクスデバイス1のうちの1つを示している。2つのデバイス1は同じものである。従って、両方のデバイス1に対して同じ輝度分布が当てはまる。輝度分布の零点20は0mmであり、オプトエレクトロニクスデバイス1の中央にある。位置を示すために、零点20の位置を備えた水平軸21が示されている。
【0052】
図11bは、図11aに示されたオプトエレクトロニクスデバイス1に対する、シミュレーションされた輝度分布を示している。これは、半透明層15が約95%の反射を有している場合のものである。零点20では、輝度は約0.002にある。零点20から約1mmの間隔では、輝度は約0.007に増大している。零点20から1mm〜5mmの間隔では、輝度は緩慢に約0.0045に下降する。すなわち、最大輝度は、零点20を介した中央方向で得られるのではなく、零点20より側方で得られる。従って導光体17内への電磁ビームの側方結合には、図11aに示されているデバイスが良好に適している。半透明層15の反射度合いを適切に選択することによって、輝度の均一性がさらに最適化される。
【0053】
図11の実施例に対して択一的に、部分反射層15を、導光体17内の陥入部の内側に取り付けることができる。これは図12に示されている。図11に示されている実施例に対して、図12に示されている実施例によって、輝度の均一性がさらに改善される。エアギャップ16は媒体7と、部分反射層15が固定されている導光体17との間に位置している。
【0054】
図12aは、図12に示されている2つのオプトエレクトロニクスデバイス1のうちの1つを示している。2つのデバイス1は同じものである。従って、両方のデバイス1に対して同じ輝度分布が当てはまる。輝度分布の零点20は0mmであり、オプトエレクトロニクスデバイス1の中央にある。位置を示すために、零点20の位置を備えた水平軸21が示されている。
【0055】
図12bは、図12aに示されたオプトエレクトロニクスデバイス1に対する、シミュレーションされた輝度分布を示している。これは、半透明層15が約60%の反射率を有している場合のものである。零点20では、輝度は約0.0055にある。零点20から約1mmの間隔では、輝度は約0.006に僅かに増大している。零点20から1.5mm〜5mmの間隔では、輝度は緩慢に約0.0045に下降する。すなわち、最大輝度は、零点20上の中央方向にではなく、零点20より側方で得られる。しかし、5mmから零点20の両側までの領域において輝度は近似的に均一に分布している。従って導光体17内への電磁ビームの側方結合には、図12aに示されているデバイスが特に良好に適している。示されているように、半透明層15の反射度を適切に選択することによって、輝度の均一性が最適化される。
【0056】
オプトエレクトロニクスデバイスを、基となる考えを分かりやすく示すために、幾つかの実施例に即して説明した。これらの実施例はここで、特定の特徴の組み合わせに限定されない。幾つかの特徴および構成が、特定の実施例または個々の実施例に関連してのみ記載されていたとしても、これらをそれぞれ、別の実施例の別の特徴と組み合わせることができる。同じように、実施例において、一般的な技術的な教示が実現される範囲において、個別に示された特徴または特別な構成を省くまたは付加することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 オプトエレクトロニクスデバイス、 2 担体、 3 半導体チップ、 4 コンタクト、 5 ボンディングワイヤー、 6 一次ビーム、 6a 一次ビームの第1の成分、 6b 一次ビームの第2の成分、 7 媒体、 8 媒体の高さ、 9 媒体の幅、 10 発光剤粒子、 11 散乱粒子、 12 反射層、 13 チップ幅、 14 二次ビーム、 14a 二次ビームの第1の成分、 14b 二次ビームの第2の成分、 15 部分反射層、 16 エアギャップ、 17 導光体、 18 導光体の高さ、 20 零点、 21 シミュレーションの水平軸、単位:mm、 100 複数のオプトエレクトロニクスデバイスが埋設された導光体から成る装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図7
図7a
図7b
図8
図8a
図8b
図9
図10
図10a
図10b
図11
図11a
図11b
図12
図12a
図12b