特許第5665976号(P5665976)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5665976内燃機関においてオンデマンドで水素を発生させる水素補給システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5665976
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】内燃機関においてオンデマンドで水素を発生させる水素補給システム
(51)【国際特許分類】
   F02M 21/02 20060101AFI20150115BHJP
   F02D 19/02 20060101ALI20150115BHJP
   C01B 3/04 20060101ALI20150115BHJP
【FI】
   F02M21/02 G
   F02M21/02 301Z
   F02D19/02 B
   C01B3/04 R
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-512270(P2013-512270)
(86)(22)【出願日】2011年5月27日
(65)【公表番号】特表2013-531756(P2013-531756A)
(43)【公表日】2013年8月8日
(86)【国際出願番号】US2011038315
(87)【国際公開番号】WO2011150322
(87)【国際公開日】20111201
【審査請求日】2013年8月23日
(31)【優先権主張番号】12/790,398
(32)【優先日】2010年5月28日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512307365
【氏名又は名称】ドナルド・ウェイド・オーウェン
(74)【代理人】
【識別番号】100093861
【弁理士】
【氏名又は名称】大賀 眞司
(74)【代理人】
【識別番号】100129218
【弁理士】
【氏名又は名称】百本 宏之
(72)【発明者】
【氏名】ドナルド・ウェイド・オーウェン
【審査官】 二之湯 正俊
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04368696(US,A)
【文献】 特開平05−168856(JP,A)
【文献】 米国特許第07458368(US,B1)
【文献】 米国特許第07021249(US,B1)
【文献】 米国特許第06257175(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 21/02
F02M 25/12
C01B 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関に水素ガスを供給する可搬型水素補給システムであって、
電力を受けて、非電解質の水を、水素と酸素ガスとに分離する電解槽と、
非電解質の水が、前記電解槽に供給されるように配置されている非電解質水槽と、
その中に、前記電解槽と前記非電解質水槽とを有するハウジングユニットと、
前記電解槽に、電圧の形態で前記電力を供給する電源と、
前記内燃機関の動作を検知するエンジンセンサと、
を備え、
スイッチは、前記内燃機関が作動したことを、前記エンジンセンサが検知した場合に、前記電解槽に前記電力を供給し、
前記電解槽は、電力が供給されると、前記非電解質水槽から供給されている前記非電解質の水から、前記水素ガスおよび前記酸素ガスを生成し、前記非電解質水槽を介して、生成されている前記水素ガスを、その中での燃焼のために、前記内燃機関に供給し、
前記電解槽は、前記非電解質水槽の外に配設され、
前記非電解質水槽は、前記非電解質水槽を、水素区画および酸素区画にわける、槽仕切り部材を含み、
前記非電解質水槽に、前記非電解質の水が投入されると、前記非電解質水槽は、前記槽仕切り部材の両側で、均一に充填されていくように、前記槽仕切り部材は、前記非電解質水槽の天板から、前記非電解質水槽の底面から所定の位置まで延在し、
前記非電解質水槽は、その上部に、水素ガスおよび酸素ガスをそれぞれ捕集する少なくとも第1および第2ガス捕集キャビティを含み、前記第1および第2ガス捕集キャビティはそれぞれ、前記非電解質水槽の上部面、前記槽仕切り部材、および前記非電解質水槽内の、前記非電解質の水の水面によって形成され、
前記第1ガス捕集キャビティは、その上部に、前記水素ガスを、前記非電解質水槽から、その中での燃焼のために、前記内燃機関へ排出する継手を含み、
前記第2ガス捕集キャビティは、その上部に、前記酸素ガスを、前記非電解質水槽から排出する継手を含み、
第1供給部は、前記水素ガスを、前記電解槽から前記非電解質水槽へ通し、前記水素ガスは、前記水素区画に投入され、前記水素区画内の前記非電解質の水を通過していき、前記第1ガス捕集キャビティ内に集積し、
第2供給部は、前記酸素ガスを、前記電解槽から前記非電解質水槽へ通し、前記酸素ガスは、前記酸素区画に投入され、前記酸素区画内の前記非電解質の水を通過していき、前記第2ガス捕集キャビティ内に集積し、
前記電解槽は、複数の層を備え、前記層は非流動性であり、各層は、前記層のうち、別の層に隣接し、
前記複数の層は、少なくとも2つの外側層と、前記外側層の間に隣接して配設されている内側層とを含み、
第1外側層は、前記電源の正端子に接続されているため、前記内側層の第1辺に、前記電圧の正側が加えられ、第2外側層は、前記電源の負端子に接続されているため、前記内側層の第2辺に、前記電圧の負側が加えられ、前記第1および第2辺は、前記内側層の両側にあり、
前記第1外側層、前記内側層、および前記第2外側層に、前記電圧が加えられると、前記電解槽は、前記非電解質の水を、前記内側層の前記第1辺において排出される酸素ガスと、前記内側層の前記第2辺において排出される水素ガスとに分離する、
内燃機関に水素ガスを供給する可搬型水素補給システム。
【請求項2】
前記内燃機関を含む前記車両の表面に、前記可搬型水素補給システムを取り付ける取り付けブラケット、
をさらに備える、請求項1に記載の可搬型水素補給システム。
【請求項3】
前記非電解質水槽が、前記電解槽の上方に配置されている、請求項1に記載の可搬型水素補給システム。
【請求項4】
前記内燃機関が作動していることを、前記エンジンセンサが検知した場合に、前記電解槽に電力を供給する前記スイッチを含む制御電気回路、
をさらに備える、請求項1に記載の可搬型水素補給システム。
【請求項5】
内燃機関に水素ガスを供給する方法であって、
非電解質水槽から、電解槽に、非電解質の水を供給することと、ハウジングユニットは、前記電解槽と前記非電解質水槽とを有しており、
前記内燃機関の動作を、エンジンセンサによって検知することと、
前記内燃機関が作動したことを検知すると、電源によって、前記電解槽に、電圧の形態で電力を供給することと、
前記電力が供給されると、前記非電解質水槽からの前記非電解質の水から、前記電解槽によって、水素および酸素ガスを生成することと、
前記非電解質水槽を介して、生成されている前記水素ガスを、その中での燃焼のために、前記内燃機関に供給することと、
を含み、
前記電解槽は、前記非電解質水槽の外に配設され、
前記非電解質水槽は、前記非電解質水槽を、水素区画および酸素区画にわける槽仕切り部材を含み、
前記非電解質水槽は、前記槽仕切り部材の両側で、均一に充填されていくように、前記槽仕切り部材は、前記非電解質水槽の天板から、前記非電解質水槽の底面から所定の位置まで延在し、
前記非電解質水槽は、その上部に、前記水素ガスおよび前記酸素ガスをそれぞれ捕集する少なくとも第1および第2ガス捕集キャビティを含み、前記第1および第2ガス捕集キャビティはそれぞれ、前記非電解質水槽の上部面、前記槽仕切り部材、および前記非電解質水槽内の、前記非電解質の水の水面によって形成され、
前記第1ガス捕集キャビティは、その上部に、前記水素ガスを、前記非電解質水槽から、その中での燃焼のために、前記内燃機関へ排出する継手を含み、
前記第2ガス捕集キャビティは、その上部に、前記酸素ガスを、前記非電解質水槽から排出する継手を含み、
前記電解槽から、前記非電解質水槽に供給された前記水素ガスは、前記水素区画に投入され、前記水素区画内の前記非電解質の水を通過していき、前記第1ガス捕集キャビティ内に集積し、
前記電解槽から、前記非電解質水槽に供給された前記酸素ガスは、前記酸素区画に投入され、前記酸素区画内の前記非電解質の水を通過していき、前記第2ガス捕集キャビティ内に集積し、
前記電解槽は、複数の層を備え、前記層は非流動性であり、各層は、前記層のうち、別の層に隣接し、
前記複数の層は、少なくとも2つの外側層と、前記外側層の間に隣接して配設されている内側層とを含み、
第1外側層は、前記電源の正端子に接続されているため、前記内側層の第1辺に、前記電圧の正側が加えられ、第2外側層は、前記電源の負端子に接続されているため、前記内側層の第2辺に、前記電圧の負側が加えられ、前記第1および第2辺は、前記内側層の両側にあり、
前記第1外側層、前記内側層、および前記第2外側層に、前記電圧が加えられると、前記電解槽は、前記非電解質の水を、前記内側層の前記第1辺において排出される酸素ガスと、前記内側層の前記第2辺において排出される水素ガスとに分離する、
内燃機関に水素ガスを供給する方法。
【請求項6】
取り付けブラケットは、前記内燃機関を含む前記車両の表面に、前記可搬型水素補給システムを取り付ける、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記非電解質水槽が、前記電解槽の上方に配置されている、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記スイッチを含む制御電気回路は、前記内燃機関が作動していることを、前記エンジンセンサが検知した場合に、前記電解槽に電力を供給する、請求項5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素発生装置に関する。より詳細には、本発明は、内燃機関と共に使用が可能な、燃料効率を向上させ、かつ炭素排出量を低減する水素補給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
別名「ブラウンガス」で知られる「HHOガス」を発生させる、ガソリンおよびディーゼルエンジンを補助するために使用されるいくつかの装置が、市場には存在する。HHOガスは、2つの水素に対し、1つの酸素からなる。一般的に、これらの装置は、水を水素と酸素に分解する電解槽を有する。
【0003】
その例は、米国特許第4,368,696号である。一般的に、これらの電解槽では電解液が用いられ、特にKOH、水酸化カリウム、または重炭酸ナトリウムが用いられる。HHOガスを生成するために、装置に電圧が加えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第4,368,696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらの装置の多くには、水素を生成するために必要とされるエネルギーが、車両の電気系統に相当な負荷をかけてしまっている、という主な問題点が存在する。車両でエアコンをつけた状態にしていることと同様、追加でかかる電気負荷によって、1ガロン当りのマイル数が低下してしまう。
【0006】
一般的に水素は、車両の効率および1ガロン当りのマイル数を増加させるが、水素を発生させるために車両に追加でかかってしまう電気負荷は、通常、車両の走行ゲインを極小化させたり、多くの場合、ほぼすべて、またはすべてを打ち消してしまったりするほど、甚大である。
【0007】
また、HHOシステムの多くにおいて、水素および酸素は、結合ガス流の中で生成される。通常、水素および酸素ガスは、互いに分離されないとされている。現代のガソリン車では、車両のOセンサによって、この余分な酸素が検知されてしまい、この余分な酸素のレベルは、車両の車上コンピュータ、具体的には、電子制御ユニット(ECU)に伝えられてしまう。
【0008】
この余分な酸素がECUによって検知された場合、エンジンが薄くなっていることの合図であり、ECUによって、エンジンにガソリンが補給される。これによってさらに、燃料効率利得がほとんど打ち消されてしまう。
【0009】
その上、通常HHOシステムでは、重炭酸ナトリウムまたは水酸化カリウム(KOH)のどちらかが用いられる。通常、KOHのほうが、重炭酸ナトリウムにくらべて安定していて、かつ電解槽内に用いられているステンレス鋼板、またはその他の板に対する劣化が少ないため、KOHのほうが、重炭酸ナトリウムよりも好まれている。
【0010】
しかし、KOHは腐食性があるため、慎重に取り扱う必要があり、その結晶を適切に取り扱われなければ危険である。電解槽が最適な動作を行なうためには、通常、適正な分量で電解液がユニットに投入されなければいけない。その使用に際しては、非常に注意が必要である。一般的に、それは、不慣れな消費者の手に渡ってほしくないタイプの製品である。
【0011】
一般的なHHOシステムにおけるもう1つの問題点は、取り付けが複雑な点にある。エンジン室、または車両の外に、スペースを確保する必要がある。車両はそれぞれ異なるため、その装置を取り付けるための適当な位置を、ボンネットの下から探し出すことは、多くの車両において不可能に近い。
【0012】
さらに、それらのシステムは、一般的に、車両の電気系統に接続されており、適切に取り付けられていないと、ヒューズが飛んでしまったり、その他数多くの問題を引き起こしてしまったりする可能性がある。
【0013】
水素は、車両が実際に走行中の場合にだけ必要であり、イグニションがついている場合には必要ではない。取り付け時においては、エンジンが作動しているときにだけ、装置に電力が供給されるよう、注意する必要がある。気をつけなければ、空気取り入れ口に水素が滞留してしまう。これによってさらに、これらのシステムの取り付けが複雑になってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、特に車両用に、水素ガスを生成し、かつ内燃機関の空気取り入れ口に水素ガスを注入する、可搬型で小型のオンデマンド水素補給システムに関する。水素および酸素は、燃料電池によって、供給タンク内の水の圧力下において、低温で生成される。水素ガスおよび酸素ガスが分配され、水が貯蔵されるよう、供給タンクを通って、水素ガスおよび酸素ガスが送り返される。
【0015】
これらのガスは、タンク内の仕切り部材、およびタンク内の水面によって隔離されている。ガソリンエンジンの場合、水素ガスはエンジンの空気取り入れ口に誘導される一方で、酸素ガスは、必要に応じて、大気中に逃がされる。この装置は、車両のオルタネータ、独立電池、廃熱、または太陽エネルギーによって駆動されてもよい。
【発明の効果】
【0016】
このシステムでは、真空スイッチ、またはシステムへの電力を調整し、すなわちエンジンが作動しているときにだけ、エンジン用に水素を生成する、その他のエンジンセンサが用いられている。したがって、水素は生成され次第、エンジンによって費消される。水素は、車両上、車両内、または車両付近のいずれにおいても貯蔵されない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
添付の図面と併せて、以下の実施形態例および請求項についての詳細な説明を読むことにより、前述の内容および本発明を、より良く明確に理解することができるであろう。なお、添付の図面、実施形態例、および請求項のすべては、本発明の開示を構成することとする。前述および以下に記載されている文章および図面での開示は、本発明の実施形態例を開示することを目的とし、図面および実施例についても同様であり、本発明がそれらに限定されないことを明確に理解すべきである。以下、図面について簡単に説明する。
図1】本発明による水槽およびハウジング設計を示す、可搬型水素補給システムの詳細図である。
図2】本発明による典型的な車両に取り付けられた、可搬型水素補給システムを示す略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下においてより詳しく説明される本発明では、装置、方法、およびシステム、特に例えば、内燃機関において、燃料効率を向上させ、かつ炭素排出量を低減するために使用される水素補給システムを提供する。以下に記載の通り、本発明は、さまざまな実施形態を提供する。しかし、本発明が、ここで記載されている実施形態に限定されず、当業者に知られているであろう、また今後知られることが予想される他の実施形態にまで及ぶということに留意されたい。
【0019】
図1に示す通り、本発明は、取り付けブラケット3と締め付け部4によって、車両のトランクまたはその他の平らな表面に固定することができるハウジングユニット2を有する、可搬型水素補給システム1を提供する。ハウジングユニット2の中には、燃料電池5、および重力によって水7が燃料電池に供給されるように、燃料電池5の上方に水槽6が配置されている。
【0020】
図示されている通り、燃料電池5は、水槽6の外にある。水槽6は、ハウジングユニット2内において、保持部8によって、燃料電池の上方で保持されている。ハウジングユニット2は、取り付けブラケット3から容易に取り外すことができるように設計されている。
【0021】
水槽6は、その下側に配置され、かつチューブまたはその他の供給部10に接続され、さらに燃料電池5の吸水継手11に接続されている、給水継手9を有する。非電解質の水である水は、供給部10によって、燃料電池5に供給される。
【0022】
また、燃料電池5は、チューブ、または付加的な供給部14、および15によって、水槽6の下側にある吸気継手16に接続されている、水素ガス出口継手12、および酸素ガス出口継手13を有する。水槽6は、槽6を水素区画18、および酸素区画19の少なくとも2つの区画にわける、少なくとも1つの仕切り部材17を有する。仕切り部材17は、水槽6の天板から、水槽6の底面20から約1/4インチの位置まで延在している。
【0023】
槽6は、槽に非電解質の水が充填されることを可能にする、充填スパウト21を有する。槽6に、非電解質の水が投入されると、槽は仕切り部材17の両側で、均一に充填されていく。一般に電気を発生させることで知られている燃料電池5は、水素および酸素ガスを生成するために逆の動作を行う。したがって、燃料電池は、上記の通り、非電解質の水を水素と酸素に分解する電解槽として、本質的に機能する。水槽から電解槽、非電解質の水が充填され、電解槽5、正および負端子を有する電圧が加えられると、水素および酸素ガスが、電解槽5の両側で生成される。図1に示す通り、電解槽は、少なくとも2つの外側層510−1および510−2ならびに内側層510−3を含む、非流動性の複数の層510を有する。電解槽5では、第1外側層510−1が、電圧の正端子に接続されているため、内側層510−3の第1辺に、電圧の正側が加えられる。さらに、電解槽5では、第2外側層510−2が、電圧の負端子に接続されているため、内側層510−3の第2辺に、電圧の負側が加えられる。内側層510−3の第1辺が、内側層510−3の第2辺の反対側にあるため、第1および第2外側層510−1、2は、内側層510−3の両側に配置されている。すなわち、内側層510−3は、外側層510−1と510−2との間に、隣接して配置されている、ということになる。非電解質の水は、電解槽5の複数の層510に供給される。電解槽5は、第1および第2外側層510−1、2を通して、内側層510−3に電圧を加えることによって、非電解質の水を、内側層510−3の第1辺における、酸素ガス出口継手13によって排出される酸素ガスと、内側層510−3の第2辺における、水素ガス出口継手12によって排出される水素ガスとに分離する。前述の第2辺は、第1辺の反対側にある。当業者に知られているように、内側層510−3は、例えば、高分子電解質膜(PEM)材料で作られていてもよい。
【0024】
電解槽5が作動しているとき、水素気泡22および酸素気泡23は、少量の非電解質の水を含んでいることがあり、それらは、それぞれ電解槽5の水素出口12および酸素出口13から出てきて、槽6の水素側18および酸素側19に流れ込む。これらの気泡は、非電解質の水を上がって(通過して)いき、槽内の水面と、槽の仕切り部材17によって形成される上方エアキャビティ24まで上がっていく。水素および酸素が、少量の非電解質の水を含んでいることがあるため、その少量の非電解質の水が、ガス中に保持されるのではなく、槽6内にとどまるように、水が貯蔵されるよう、水素および酸素ガスは、水槽6を通って、送り返される。
【0025】
水素および酸素ガスは上方キャビティ24内において、槽内の仕切り部材17および水面によって、互いに隔離されている。上方キャビティ24が、それぞれ水素ガスおよび酸素ガスによって充填されていくと、水素の場合、ガスが槽の上側の継手25、酸素の場合、ガスが槽の上側の継手26を介して、上方キャビティから流れ出ていく。
【0026】
水素ガスは、ハウジングユニット2の水素継手28に接続されているチューブ27を流れていく。酸素は、ハウジングユニット2の継手30に接続されているチューブ29を流れていく。
【0027】
図2に示す通り、ガソリンまたはディーゼルエンジン32によって駆動される車両31には、可搬型水素補給システム1が搭載されている。電線34に接続されている車両用バッテリ33によって、可搬型水素補給システム1に、電力が供給される。
【0028】
水素補給システムに通じる電気回路は、真空スイッチ35、またはその他のエンジンセンサ、およびエンジンが作動しているときに、可搬型水素発生システム1に通じる電気回路を完成させるオペレータ制御スイッチ36を有する。
【0029】
いったん電力が可搬型水素補給システム1に供給されると、水素ガスは、ハウジングユニット2の水素継手28に接続されている水素出口チューブ37を通り、車両のエンジン32の空気取り入れ口38に流れ込む。
【0030】
酸素ガスは、酸素出口チューブ39を通り、O2センサが搭載されているガソリンエンジンの場合、大気中に逃がされる。O2センサが搭載されていないディーゼルエンジン車、またはその他の内燃機関の場合、必要に応じて、これら2つのガスを結合してもよい。
【0031】
最良の形態における観点から本発明を説明してきたが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、多数の変更が加えられてもよいことを理解されたい。そのような変更はすべて、添付の特許請求の範囲に包含されることとする。
図1
図2