特許第5665982号(P5665982)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5665982
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】歯列矯正用固定装置
(51)【国際特許分類】
   A61C 7/12 20060101AFI20150115BHJP
   A61C 7/26 20060101ALI20150115BHJP
【FI】
   A61C7/12
   A61C7/26
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-520647(P2013-520647)
(86)(22)【出願日】2011年7月20日
(65)【公表番号】特表2013-532509(P2013-532509A)
(43)【公表日】2013年8月19日
(86)【国際出願番号】KR2011005323
(87)【国際公開番号】WO2012011728
(87)【国際公開日】20120126
【審査請求日】2013年1月17日
(31)【優先権主張番号】20-2010-0007579
(32)【優先日】2010年7月20日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513013171
【氏名又は名称】リ,チョル−グ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】リ,チョル−グ
【審査官】 胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−314419(JP,A)
【文献】 国際公開第02/074181(WO,A1)
【文献】 特開2008−183016(JP,A)
【文献】 特開平10−099347(JP,A)
【文献】 特開2001−187071(JP,A)
【文献】 特表2005−522244(JP,A)
【文献】 特表2003−531670(JP,A)
【文献】 米国特許第5967772(US,A)
【文献】 米国特許第5853291(US,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2010−0138710(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 7/12
A61C 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右対称形状を成し、その左右側にそれぞれ複数の連結溝が形成された一字形状の固定具本体と、
前記固定具本体の上下側に連結部材を介して複数形成され、スクリューが挿入されることで固定具本体を口蓋に固定する固定リングとを含み、
前記連結部材は、
前記固定具本体の中央の上側から上向きに延長して形成された第1の連結部材、前記固定具本体の下側から下向きに延長して形成された第2の連結部材、及び前記固定具本体の前記下側から下向きに延長して形成されて前記第2の連結部材と前記固定具本体の長手方向に離れて配置される第3の連結部材を、含み、
前記固定リングは、
前記第1の連結部材の先端に形成された第1の固定リング、前記第2の連結部材の先端に形成された第2の固定リング、及び前記第3の連結部材の先端に形成された第3の固定リング、を含み、
前記第1、前記第2及び前記第3の固定リングはそれぞれ、前記固定具本体から前記口蓋に向けて突出し、前記スクリューの挿入方向に沿って入口から出口に向かうにつれて直径が小さくなるテーパー状の外面を含む円錐台形状を有し
前記第1、前記第2及び前記第3の固定リングは、前記第1の固定リングから前記第2の固定リングまでの距離が、前記第1の固定リングから前記第3の固定リングまでの距離と同じであり、かつ、前記第2の固定リングから前記第3の固定リングまでの距離より長い、二等辺三角形の形に配置される、
歯列矯正用固定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は歯列矯正の際に設けられ、固定源として使用される固定装置に関するものであり、特に口蓋との接触面を最小化するとともに、スクリューの挿入を容易にすることで、より効果的な歯列矯正治療を図ることができるようにした歯列矯正用固定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に歯列矯正の際に口蓋に設けられる固定装置は、前方に突出した門歯などを後方に移動させるか、あるいは歯牙を特定の方向に移動させるために用いられている。
【0003】
従来においては、このような固定源として奥歯が主に用いられていた。すなわち、奥歯と移動させようとする歯牙に所定のブラケットを取り付けてから、前記ブラケットにスプリング(バネ)やゴム紐のような弾性部材、あるいは様々な弧線などを結合して奥歯が固定されるようにした。
【0004】
しかし、前記のような奥歯を固定源として使用した場合において、固定源である奥歯において移動させようとする歯牙を引っ張る作用と、移動させようとする歯牙により奥歯が引っ張られる反作用がともに生じるため、固定源としての役割を果たす奥歯が多少移動してしまうという不都合があった。
【0005】
前記のように固定源が移動する不都合を防止するため、別途に固定装置を設置する方法がある。だがこの方法は患者に不便さをもたらすため、患者の協調が得られない場合には治療が思うように行うことができないという問題点がある。
【0006】
そこで、最近では口蓋にある骨にスクリュー(ボルト)を挿入して固定装置を設置する方法が多く利用されている。すなわち、スクリューを口蓋にある骨に挿入して移動させようとする歯牙の側へ所定のブラケットを付着した後、このブラケットとスクリューをスプリングや固定用ゴム紐などからなる弾性部材と結合したり、前記ブラケットに固定されたワイヤに結合し、所定の力でひきつけることで歯牙(主に門歯)を移動させるようにする。
【0007】
前記のように固定装置にスクリューを挿入して使用する場合、奥歯の移動を防止できるだけでなく、施術が簡単で短時間のうちに歯列矯正力を効果的に達成できるが、一方で、前記固定装置にスクリューを支持する手段がないために、固定装置を通じてスクリューを口蓋骨にインプラントするときスクリューが左右に動いてしまい、固定装置を正確な位置に固定することが困難であるという問題点があり、前記固定装置が平らな構造からなり口蓋との接触面積が広いために、口蓋を傷つけたり口蓋に炎症を引き起こすなどの問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上述した問題点を改善するためのものであり、口蓋との接続面を最小化するとともに、スクリューの挿入を容易にすることで、歯列矯正治療の効率性を図れるようにした歯列矯正用固定装置を提供することを目的とする。
【0009】
本発明が達成しようとする技術的課題は、上述の技術的課題に制限されるものではなく、言及されていないまた別の技術的課題は、以下の記載より本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者にとって明確に理解できるものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成するための本発明は、左右対称を成し、その左右側にそれぞれ複数の連結溝が形成された一字形状の固定具本体と、前記固定具本体の中央部上下側に連結部材を媒体として複数形成されており、スクリューが挿入されることで固定具本体を口蓋に固定する円錐台形状の固定リングとを含み、歯列矯正用固定装置を構成する。
【0011】
一実施例として、前記固定リングは口蓋と接触する方向に0.1mm〜4mmの幅で突出しており、口蓋に接触する固定リングまたは前記固定具本体との接触を最小化できるようにしたものである。
【0012】
一実施例として、前記固定リングはスクリューの挿入方向に沿って入口から出口に向かうにつれて直径が小さくなるテーパー状に形成されるとともに、その内側に雌ネジが形成されている。
【発明の効果】
【0013】
以上で説明したように、本発明による歯列矯正用固定装置によれば、スクリューが堅固な状態で支持されて口蓋に挿入されるために、固定装置が堅固に固定点の役割を果たすことができ、固定装置の設置が容易であるために便利に使用できるものであり、固定装置が口蓋との接触を最小化して固定されるために口蓋の損傷または炎症の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る歯列矯正用固定装置を示した斜視図である。
図2】本発明に係る歯列矯正用固定装置にスクリューが挿入される状態を示す状態図である。
図3】本発明に係る歯列矯正用固定装置の固定リングを拡大して示す状態図である。
図4】本発明に係る歯列矯正用固定装置が口蓋に設置された状態を示す断面図である。
図5】本発明に係る歯列矯正用固定装置が矯正の結紮具と連結した状態を示す状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施例に対し、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるよう詳細に説明する。ただし、本発明はさまざまに相異なる形態で具現されうるものであり、ここで説明する実施例に限定されるものではない。
【0016】
ここで使用される専門用語は単に特定の実施例において言及するためのものであって、本発明を限定することを意図するものではない。ここで使用されるそれぞれの形態は、文言がこれと明らかに反対の意味を示さない限り、複数の形態も含んでいる。明細書において使用される「含む」の意味は、特徴、特性、領域、定数、段階、動作、要素、および/または、成分を具体化し、他の特徴、特性、領域、定数、段階、動作、要素、成分、および/または、グループ(群)の存在や付加を排斥するものではない。
【0017】
別に定義はしていないにしても、ここで使用する技術用語及び科学用語を含むすべての用語は、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が一般的に理解する意味と同一の意味を有する。通常使用される辞典で定義される用語は、関連技術文献と現在掲示された内容に付合する意味を有するものとして追加解析され、特に定義されない限り異常にあるいは極めて公式的な意味に解釈されるものではない。
【0018】
斜視図を参照して説明される本発明の実施例は、本発明の理想的な実施例を具体的に示している。その結果、図解の多様な変型、たとえば製造方法および/または仕様の変型が予想される。したがって実施例は、図示した範囲の特定の形態に限られるものではなく、たとえば製造による形態の変形も含んでいる。たとえば扁平なものとして図示されたり説明された範囲は、一般的に粗くなっていたり/粗く非線形の特性を有することもある。また、鋭い角度を有するものとして図示された部分は丸みを帯びた状態であってもよい。したがって図面に図示された範囲は本来概略的なものに過ぎず、これらの形態は領域の正確な形態を図示するように意図されたものではなく、本発明の範囲を縮小することを意図するものではない。
【0019】
本発明による歯列矯正用固定装置の構造を図1図2を参照して説明すれば、前記歯列矯正用固定装置1は大きく分けて固定具本体10と固定リング20から構成されている。
【0020】
すなわち、前記歯列矯正用固定装置1の固定具本体10は左右対称をなす一字形状の部材であり、その左右両側にそれぞれ複数の連結溝11が一定の間隔で形成されており、前記固定リング20は前記固定具本体10の中央部上下側に連結部材12を介して複数形成され、前記固定リング20は円錐台形状をなし、スクリュー30が挿入されることにより前記固定具本体10を口蓋に固定するようにしたものである。

【0021】
ここで、前記固定具本体10は可撓性材質で構成され、その左右両側に形成された前記連結溝11には、ワイヤやゴム紐およびスプリングなどのような固定用結紮具の一端部が脱着自在に連結できる。
【0022】
そして、前記固定リング20は口蓋と接触する方向に0.1mm〜4mmの幅をもちながら突出しており、口蓋に接触する固定リング20または前記固定具本体10との接触を最小化できるようにしたものである。
【0023】
前記固定リング20の突出した幅が0.1mm〜4mmの範囲内で種々製作されており、必要に応じて適切なサイズの歯列矯正用固定装置1を選んで使用することができる。
【0024】
すなわち、前記固定リング20は固定具本体10が口蓋に固定されるようスクリュー30が挿入されるもので、口蓋側に一定の幅だけ突出しており、前記歯列矯正用固定装置1が口蓋に固定される場合、口蓋と前記固定具本体10が所定の間隔だけ離れるようになっている。
【0025】
このように、前記歯列矯正用固定装置1は、まず口蓋に設けらるように前記固定具本体10の両側部を所定の角度に折り曲げ、その状態で前記固定リング20が口蓋に固定されるようスクリュー30を挿入して固定されるようにしたものである。
【0026】
一方、前記歯列矯正用固定装置1の固定リング20の構造を図3を参照して説明すれば、前記固定リング20はスクリュー30の挿入方向に沿って入口から出口へ向かうにつれて直径が小さくなるテーパーが形成されるとともに、その内側に雌ネジ21が形成されたものであり、前記固定リング20に挿入されるスクリュー30が堅固な状態で固定される。
【0027】
従って、前記のようにテーパー状をなす前記固定リング20を通して挿入されるスクリュー30を堅固に保持することができ、前記固定リング20の内側に形成された雌ネジ21を介して、スクリュー30が真直ぐ垂直になった状態を保持したまま口蓋に固定される。
【0028】
ここで、前記歯列矯正用固定装置1の設置状態を図4を参照して説明すれば、前記固定具本体10は口蓋に設置される際に口蓋の形状に応じて撓ることができる材質が使用され、これにより前記固定具本体10はその両側部が曲がった状態で口蓋に設けられ、前記固定リング20が突出した状態で口蓋に接触しているため、前記固定具本体10の中央部分と口蓋とを離隔して口蓋の炎症や損傷を防止することができる。
【0029】
すなわち、突出した前記固定リング20により歯列矯正用固定装置1が口蓋と接触する面積を最小化することができる。
【0030】
次に、前記歯列矯正用固定装置1が矯正用結紮具と結合した状態を図5を参照して説明すれば、前記歯列矯正用固定装置1に形成された連結溝11は、矯正用結紮具の内側でワイヤが連結されているのが一般的だが、前記ワイヤは固定治療の目的に応じて様々な方法で設置できる。
【0031】
すなわち、前記ワイヤの一端部は前記連結溝11に固定され、前記ワイヤの他端部は固定しようとする歯牙もしくは歯牙に設置されたブラケット、およびワイヤ50などに結合され、前記歯列矯正用固定装置1を固定源として、固定しようとする歯牙に牽引力または支持力が作用するようになる。
【0032】
したがって、前記のように歯列矯正用固定装置1の構造が改善され、効果的な歯列矯正治療を図ることができるようになる。
【0033】
前記においては、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、実用新案登録請求範囲と発明の詳細な説明、および、添付した図面の範囲内において様々に変形し実施することが可能であり、これもまた本発明の範囲に属することは当然である。
図1
図2
図3
図4
図5