特許第5665992号(P5665992)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オーシャンズ キング ライティング サイエンス アンド テクノロジー シーオー.,エルティーディーの特許一覧

特許5665992ベンゾジチオフェン有機半導体材料、及び、その調合法
<>
  • 特許5665992-ベンゾジチオフェン有機半導体材料、及び、その調合法 図000043
  • 特許5665992-ベンゾジチオフェン有機半導体材料、及び、その調合法 図000044
  • 特許5665992-ベンゾジチオフェン有機半導体材料、及び、その調合法 図000045
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5665992
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】ベンゾジチオフェン有機半導体材料、及び、その調合法
(51)【国際特許分類】
   H01L 51/30 20060101AFI20150115BHJP
   H01L 51/05 20060101ALI20150115BHJP
   H01L 51/40 20060101ALI20150115BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20150115BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20150115BHJP
   C08G 61/12 20060101ALI20150115BHJP
   H01L 51/46 20060101ALI20150115BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20150115BHJP
【FI】
   H01L29/28 250H
   H01L29/28 100A
   H01L29/28 310J
   H01L29/78 618B
   C09K11/06 680
   C08G61/12
   H01L31/04 152D
   H01L31/04 152C
   H05B33/14 B
   H01L29/28 250G
【請求項の数】10
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2013-527438(P2013-527438)
(86)(22)【出願日】2010年9月10日
(65)【公表番号】特表2013-542586(P2013-542586A)
(43)【公表日】2013年11月21日
(86)【国際出願番号】CN2010076808
(87)【国際公開番号】WO2012031404
(87)【国際公開日】20120315
【審査請求日】2013年4月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】512331256
【氏名又は名称】オーシャンズ キング ライティング サイエンス アンド テクノロジー シーオー.,エルティーディー
(74)【代理人】
【識別番号】100142804
【弁理士】
【氏名又は名称】大上 寛
(72)【発明者】
【氏名】チョウ,ミンジエ
(72)【発明者】
【氏名】ホワン,ジエ
(72)【発明者】
【氏名】シュ,アルジェン
【審査官】 岩本 勉
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/084865(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/105386(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/120951(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/139339(WO,A1)
【文献】 特開2007−269775(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336、27/28、29/786、
51/00−51/40
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の化学構造式(式37)を有するベンゾジチオフェン有機半導体材料
【化37】
ここで、x+y=2、1≦x<2、0<y≦1、1<n≦100、R,Rは、C〜C20アルキル基であり、Rは、C〜C20アルキル基から選択され、R,Rは、C〜C20アルコキシ基によって置換された水素、フェニル基、C〜C20アルキル基またはフェニル基である。
【請求項2】
ベンゾジチオフェン有機半導体材料の調合法であって、以下のステップを含む。
無酸素環境で、
化学構造式(式38)で示される2,7ビス(トリメチルすず)−ベンゾ−〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェン
【化38】

化学構造式(式39)で示される2,7−ジブロモ−ベンゾ−〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェン
【化39】

化学構造式(40)で示される5,8−ジ−(5−ブロモ−2−チェニル)−2,3−二置換−キノキサリン
【化40】
を用い、
第一の触媒と第一の有機溶媒の環境下で、シュティレカップリング反応を実施して化学構造式(式41)で示されるベンゾジチオフェン有機半導体材料
【化41】
を含む反応混合物を得るステップ。
ここで、x+y=2、1≦x<2,0<y≦1、1<n≦100、R,Rは、C〜C20アルキル基であり、Rは、C〜C20アルキル基から選択され、R,Rは、C〜C20アルコキシ基によって置換された水素、フェニル基、C〜C20アルキル基またはフェニル基である。
【請求項3】
前記5,8−ジ−(5−ブロモ−2−チェニル)−2,3−二置換−キノキサリンが、
3,6−ジブロモ−o−フェニレンジアミンとエトキシル化ジオンを混合、反応させ、5,8−ジブロモ−2,3−二置換−キノキサリンを準備する第一ステップと、
無酸素環境において、第二の触媒を含む第二の有機溶媒に、5,8−ジブロモ−2,3−二置換−キノキサリン、3−アルキル−2−チオフェンボレート、及び、無水炭酸ナトリウムを加え、5,8−ジ−(4−アルキル−2−チェニル)−2,3−二置換−キノキサリンを反応によって得る第二ステップであって、
前記第二の触媒は、有機パラジウム、又は、有機パラジウムと有機りん配位子の混合物であり、
前記第二の有機溶媒は、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、クロロホルム、および酢酸エチルを含むグループから少なくとも一つが選択される、
第二ステップと、
無酸素環境において、N−ブロモスクシンイミドと5,8−ジ−(4−アルキル−2−チェニル)−2,3−二置換キノキサリンが、硫酸とトリフルオル酢酸の混合溶媒に加えられ、10℃〜30℃において12〜48時間反応され、5,8−ジ−(4−アルキル−2−チェニル)−2,3−二置換−キノキサリンを得る第三ステップと、
により、準備される、ことを特徴とする請求項2に記載のベンゾジチオフェン有機半導体材料の調合法。
【請求項4】
前記2,7ビス(トリメチルすず)−ベンゾ−〔2,1−b:3,4−b〕ジチオフェンが、
−78℃から−25℃の間の温度で、4,5−ジアルキルベンゾ〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェンとブチル基リチウムが第三の有機溶媒に滴下して加えられ、そこに、トリメチルすずクロリドが、2,7ビス(トリメチルすず)−ベンゾ−〔2,1−b:3,4−b〕ジチオフェンを準備するために加えられる第四ステップであって、
前記第三の有機溶媒は、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、クロロホルム、および酢酸エチルを含むグループから少なくとも一つが選択される第四ステップ、
により、準備される、ことを特徴とする請求項2に記載のベンゾジチオフェン有機半導体材料の調合法。
【請求項5】
2,7−ジブロモ−ベンゾ−〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェンが、以下のステップで準備される請求項2に記載のベンゾジチオフェン有機半導体材料の調合法:
無酸素環境において、N−ブロモスクシンイミドと、4,5−ジアルキルベンゾ〔2,1−b:3,4−b〕ジチオフェンが硫酸とトリフルオル酢酸の混合溶媒に加えられ、10℃〜30℃において12〜48時間反応され、4,4−ジアルキル−2,6−ジブロモ−シクロペンタ〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェンを得るステップ。
【請求項6】
前記第一の触媒の添加量は,全物質の合計のモル量の0.01%〜30%であり、ここで、第一の触媒は、有機パラジウム、又は、有機パラジウムと有機りん配位子の混合物であり、
有機パラジウムは、Pd(dba),Pd(PPhまたはPd(PPhClの少なくとも一つから選択され、
有機ホスフィン配位子は、P(o−Tol)であり、
有機パラジウムと有機ホスフィン配位子の混合物において、有機パラジウム対有機ホスフィン配位子のモル比は、1:1〜1:20とする、
請求項2に記載のベンゾジチオフェン有機半導体材料の調合法。
【請求項7】
前記第一の有機溶媒は、少なくともテトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチル、ベンゼン、クロロベンゼン、又は、トルエンから選択されたものの1つである、
請求項2に記載のベンゾジチオフェン有機半導体材料の調合法。
【請求項8】
前記シュティレカップリング反応において、2,7ビス(トリメチルすず)−ベンゾ−〔2,1−b:3,4−b〕ジチオフェンと、2,7−ジブロモ−ベンゾ−〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェンと、5,8−ジ−(5−ブロモ−2−チェニル)−2,3−二置換−キノキサリンのモル比率がm:p:qであり、m=p+qであり、m、p、qが正の実数であり、シュティレカップリング反応の反応温度は60℃〜132℃であり、反応時間は24〜72時間である、
請求項2に記載のベンゾジチオフェン有機半導体材料の調合法。
【請求項9】
請求項2に記載のベンゾジチオフェン有機半導体材料の調合法であって、シュティレカップリング反応の後に、さらに反応混合物を精製する以下のステップを含む:
反応混合物を、メタノールに滴状で加え、沈降処理の後、吸引フィルタリングを実施し、メタノールで洗浄し、乾燥させ、有機半導体材料を含むコロイド得るステップ;
有機半導体材料を含むトルエン溶液を得るために、コロイドをトルエンに溶解させるステップ;
有機半導体材料を含むトルエン溶液をナトリウムジエチルジチオカルバメート水溶液に加え、80℃−100℃で加熱、攪拌をし、有機半導体材料を分離するためにアルミナクロマトグラフィーカラムに混合物溶液を通して、クロロベンゼンを含んで溶出させた後、クロロベンゼン系有機溶媒の減圧除去がなされ、最終的に、アセトンソックスレーで有機半導体材料を抽出し、固形の有機半導体材料を得るステップ。
【請求項10】
ポリマー太陽電池、有機エレクトロルミネセンスデバイス、有機電界効果トランジスタ、有機光学ストレージ、有機非線状デバイス、又は、有機レーザーデバイスに用いられる、請求項1に記載のベンゾジチオフェン有機半導体材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機半導体材料に関し、特にベンゾジチオフェン有機半導体材料に関する。
【0002】
また、本発明は、ベンゾジチオフェン有機半導体材料の調合法と使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
光電池の分野において、低コストで高能率な太陽電池を製造することや、安価な材料を使用することは、研究のホットスポットであり、また、課題とされていた。グラウンド(ground)のために用いられる現在のシリコン太陽電池は、製造工程が複雑であり、高コストであるため、その応用が制限されるものであった。製造費を減らし、応用の範囲を広げるために、人々は長い間新しい太陽電池材料を研究してきた。ポリマー太陽電池は、低価格の原料、計量、柔軟性、シンプルな生産プロセス、コーティングによるコーティング、印刷、および他の手段による大面積での工程が可能である、といった利点があり、多くの注目を集めてきた。エネルギー変換効率を市販のシリコン太陽電池に近いレベルまで向上させることができれば、非常に巨大な市場の見通しがあるといえる。結合ポリマーとC60の間での光誘起電子移動現象について、N. S.Sariciftci他が、1992年にサイエンス(N.S Sariciftci、L.Smilowitz、A.J.Heeger他、1992,258,1474)で報告して以来、ポリマー太陽電池に関して多くの研究がなされ、急速な開発がなされた。現在、ポリマー太陽電池の研究は、主にそのドナーと受容体のブレンドシステムにフォーカスされている。PTB7とPC71BMのブレンドシステムのエネルギー変換効率は、7.4%に達したが(Y. Liang et al.、Adv. Mater.;DOI:10.1002/adma.200903528)、それでも、多くの無機太陽電池のものよりも低いものである。性能向上を制限する主な限界因子として、以下のものがある。有機物半導体デバイスは、比較的低いキャリヤ移動性能を有し、太陽放射線スペクトルにマッチしないスペクトル反応を有し、高光子束を有する赤色光領域が有効に使用されず、キャリヤが低い電極収集率有する、などである。ポリマー太陽電池を実際に応用するために、新素材の開発と、エネルギー変換効率の大幅な向上が、いまだ優先されるべき研究領域である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記の問題を解決するためにベンゾジチオフェン有機半導体材料を提供することである。
【0005】
また、本発明は、ベンゾジチオフェン有機半導体材料の調合法と使用方法を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のベンゾジチオフェン有機半導体材料は、以下の化学構造式(式1)を有する:
【化1】
ここで、x+y=2、1≦x<2,0<y≦1、1<n≦100、R,RはC〜C20アルキル基、RはC〜C20アルキル基から選択され、R,Rは、C〜C20アルコキシ基によって置換された水素、フェニル基、C〜C20アルキル基またはフェニル基である。
【0007】
本発明で設計されるベンゾジチオフェン有機半導体材料の調合法は、以下の通りである:
【0008】
無酸素環境で、以下の化学構造式(式2)で示される2,7ビス(トリメチルすず)−ベンゾ−〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェン
【化2】
と、
以下の化学構造式(式3)で示される2,7−ジブロモ−ベンゾ−〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェン
【化3】
と、
化学構造式が以下の構造式(式4)で表される、5,8−ジ−(5−ブロモ−2−チェニル)−2,3−二置換−キノキサリン
【化4】
について、
シュティレカップリング反応を24〜72時間実行し、
条件は、モル比m:p:q(m=p+q、m、p、qは正の実数)とし、温度は60℃〜132℃とし、第一の触媒と第一の有機溶媒の環境下とし、これにより、以下の化学構造式(式5)で表されるベンゾジチオフェン有機半導体材料を含む反応混合物が得られる。
【化5】
【0009】
第一の有機溶媒が少なくともテトラヒドロフラン(以下で同じ、THF)、ジメトキシエタン、ベンゼン、クロロベンゼン系またはトルエンの少なくとも一つである。第一の触媒は、有機パラジウム、或いは、有機パラジウムと有機ホスフィン配位子の混合物であり、有機パラジウム触媒と有機ホスフィン配位子のモル比が1:1から20であり、有機パラジウムがPd(dba),Pd(PPhまたはPd(PPhClであり、有機ホスフィン配位子がP(o−Tol)であり、第一の触媒の添加量は、全物質の合計のモル量の0.01%〜30%である。
【0010】
反応方程式は以下の通りである:
【化6】
ここで、x+y=2、1≦x<2.0<y≦1、1<n≦100、R,Rは、C〜C20アルキル基であり、Rは、C〜C20アルキル基から選択され、R,Rは、水素、フェニル基、C〜C20アルキル基、又は、C〜C20アルコキシ基によって置換されたフェニル基である。
【0011】
本発明の他の目的は、上記の有機半導体材料について、ポリマー太陽電池、有機エレクトロルミネッセンスデバイス、有機電界効果トランジスタ、有機光学メモリ、有機非線状デバイス、および有機レーザーデバイスなどの分野についての使用方法を提供することである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、少なくとも以下の利点を既存技術と比較して有する。
【0013】
1. 本発明の有機半導体材料のベンゼン−〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェンユニットは、特異な分子構造を有するものであり、二つのチオフェン環が同一平面上にあり、これにより、有機半導体材料の接合性を効果的に拡張し、エネルギーギャップを低下させ、これにより、二つの主鎖間でのキャリヤ移動が容易になり、最終的に、キャリヤ移動性能が向上される。
【0014】
2. 本発明の有機半導体材料の分子構造は、チオフェンユニットを含んでおり、このユニットの五員環構造は、ヒュッケル則(Huckel’s rule)と一致し、適度のバンドギャップ、広いスペクトル反応、良好な熱安定性及び環境安定性を有する。キノキサリン化合物ユニットは、強い電子求引性を有する良好な受容体ユニットとして、高い電子輸送性能、高いガラス遷移温度、優れた電気化学還元特性など、を有する。キノキサリン化合物ユニットや容易に修飾され、電子供与体グループと電子受容体グループがその電子求引性の特性を調整するために、導入されることができる。
【0015】
3. 本発明の有機半導体材料は、ベンゼン−〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェン構造ユニット、チオフェンユニット、及び、キノキサリン化合物ユニットを同時に有するため、各ユニットの有利な性能を有し、有機半導体材料の日光吸収域が広げられ、太陽光放射線スペクトルにマッチングする度合いを増加させ、これにより、有機半導体材料について、ポリマー太陽電池、有機エレクトロルミネッセンスデバイス、有機電界効果トランジスタ、有機光学メモリ、有機レーザーデバイスなどの分野についての応用範囲を効果的に広げる。
【0016】
4. 有機半導体材料の準備は、適切な反応環境で限られた反応剤を作い、反応温度を制御することで、所望の製品を作ることにより行われる。したがって、その準備プロセスは、単純であり、操作や制御が容易であって、工業的製造に適するものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1は、活性層として本発明の有機半導体材料を使用する有機太陽電池デバイスの概略図である。
【0018】
図2は、発光層として本発明の有機半導体材料を使用する有機エレクトロルミネセンスデバイスの構造概略図である。
【0019】
図3は、有機半導体層として本発明の有機半導体材料を有する有機電界効果トランジスタの構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明のベンゾジチオフェン有機半導体材料は、以下の化学構造式を有する:
【化7】
ここで、x+y=2、1≦x<2.0<y≦1、1<n≦100、R,Rは、C〜C20アルキル基であり、Rは、C〜C20アルキル基から選択され、R,Rは、水素、フェニル基、C〜C20アルキル基、又は、C〜C20アルコキシ基によって置換されたフェニル基である。
【0021】
ベンゾジチオフェン有機半導体材料の調合法は、以下の通りである。
【0022】
ステップS1: 5,8−ジ−(5−ブロモ−2−チェニル)−2,3−二置換−キノキサリンの調合
3,6−ジブロモ−o−フェニレンジアミンとアルキルエタンジオンが混合され、以下に示される反応式により、5,8−ジ−(5−ブロモ−2−チェニル)−2,3−二置換−キノキサリンが準備される。
【化8】
【0023】
ステップS2: 5,8−ジ−(4−アルキル−2−チェニル)−2,3−二置換−キノキサリンの調合
無酸素環境において、第二の触媒を含む第二の有機溶媒に、5,8−ジ−ブロモ−2,3−二置換−キノキサリン、3−アルキル−2−チオフェンボレート、及び、無水炭酸ナトリウムを加え、5,8−ジ−(4−アルキル−2−チェニル)−2,3−二置換−キノキサリンを得る。ここで、第二の触媒は、有機パラジウム、又は、有機パラジウムと有機りん配位子の混合物であり、第二の有機溶媒は、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、クロロホルム、および酢酸エチルを含むグループから少なくとも一つが選択され、その反応式は以下の通りである。
【化9】
【0024】
ステップS3: 5,8−ジ−(5−ブロモ−4−アルキル−2−チェニル)−2,3−二置換−キノキサリンの準備
【0025】
無酸素環境において、N−ブロモスクシンイミドと5,8−ジ−(4−アルキル−2−チェニル)−2,3−二置換キノキサリンが、硫酸とトリフルオル酢酸の混合溶媒に加えられ、10℃〜30℃において12〜48時間反応され、5,8−ジ−(4−アルキル−2−チェニル)−2,3−二置換−キノキサリンを得る。その反応式は以下の通りである:
【化10】
【0026】
ステップS4: 2,7ビス(トリメチルすず)−ベンゾ−〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェンの準備
【0027】
-78℃から−25℃の間の温度で、4,5−ジアルキルベンゾ〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェンとブチル基リチウム(以降、n−Buliとして表記される)、または、n−ブチル基リチウム(n−BuLi)、または、t−ブチル基リチウム(t−BuLi)が、第三の有機溶媒に滴下して加えられ、そこに、トリメチルすずクロリド(Me3SnC、以下同じ)が、2,7ビス(トリメチルすず)−ベンゾ−〔2,1−b:3,4−b〕ジチオフェンを準備するために加えられる。ここで第三の有機溶媒は、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、クロロホルム、および酢酸エチルを含むグループから少なくとも一つが選択される。その反応式は以下の通りである:
【化11】
【0028】
ステップS5: 2,7−ジブロモ−ベンゾ−〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェン2の準備
【0029】
無酸素環境において、N−ブロモスクシンイミド(NBS、以下同じ)と、4,5−ジアルキルベンゾ〔2,1−b:3,4−b〕ジチオフェンが硫酸とトリフルオル酢酸の混合溶媒に加えられ、10℃〜30℃において12〜48時間反応され、4,4−ジアルキル−2,6−ジブロモ−シクロペンタ〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェンを得る。その反応式は以下の通りである。
【化12】
【0030】
ステップ6: ベンゾジチオフェン有機半導体材料の準備
【0031】
無酸素環境で、2,7−ビス(トリメチルすず)−ベンゾ−〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェン、2,7−ジブロモ−ベンゾ−〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェン、5,8−ジ−(5−ブロモ−2−チェニル)−2,3−二置換−キノキサリンについて、モル比m:p:q(p+q、m=m、p、qは実数である)において、触媒と有機溶媒の環境下で、60℃〜132℃で24時間から72時間、シュティレカップリング反応が実行され、その後、以下の化学構造式(式13)を含むベンゾジチオフェン有機半導体材料の反応混合物が得られる。
【化13】
反応式は以下の通りである:
【化14】
ここで、x+y=2、1≦x<2.0<y≦1、1<n≦100、R,Rは、同一、或いは、異なるC〜C20アルキル基であり、Rは、C〜C20アルキル基から選択され、R,Rは、水素、フェニル、C〜C20アルキル基、又は、C〜C20アルコキシ基によって置換されたフェニル基である。
【0032】
ステップS7: 次に、ステップS6の反応混合物は、メタノールに滴状で加えられて、沈降処理の後、吸引フィルタリングを実施し、メタノールで洗浄され、乾燥させることで、不純物を含む有機半導体材料を得る。次いで、トルエンで溶解させ、有機半導体材料を含むトルエン溶液を得る。
【0033】
ステップS8: ステップS7の有機半導体材料を含むトルエン溶液が、ナトリウムジエチルジチオカルバメート水溶液に加えられ、その混合物が攪拌され、80℃〜100℃で加熱される。混合物は、アルミナカラムクロマトグラフィで精製され、有機半導体材料が分離され、クロロベンゼン系で溶離させ、その後、減圧によりクロロベンゼン系有機溶媒が取り除かれ、アセトンソックスレー抽出で最終的に有機半導体材料を抽出することで、有機半導体材料の固形物を得る。
【0034】
上述した有機半導体材料を準備するための方法のステップ6において、
第一の有機溶媒は、少なくともテトラヒドロフラン(THF:以下同じ)、ジメトキシエタン、ベンゼン、クロロベンゼン、又は、トルエンから選択されたものの1つである。
【0035】
第一の触媒は、有機パラジウム、或いは、有機パラジウムと有機ホスフィン配位子の混合物であり、有機ホスフィン配位子のモル比が1:1から20であり、有機パラジウムがPd(dba),Pd(PPhまたはPd(PPhClであり、有機ホスフィン配位子がP(o−Tol)であり、第一の触媒の添加量は、全物質の合計のモル量の0.01%〜30%である。
【0036】
本発明における無酸素環境は、窒素、及び/又は、不活性ガスを混合することによって提供される。
【0037】
チオフェンの五員環構造は、ヒュッケル則(Huckel’s rule)と一致し、適度のバンドギャップ、広いスペクトル反応、良好な熱安定性及び環境安定性を有するため、チオフェン有機半導体材料は有望材料であり、その光起電分野での利用は広く研究されてきた。
【0038】
ベンゼン−〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェンは強固な結晶構造を含み、その中において2個のチオフェン環が同一の平面に存在する。この構造は、ポリマーの接合性を効果的に拡張し、エネルギーギャップを低下させる。そして、このような共平面構造は、2個の主鎖間でのキャリヤの移動を容易にし、その結果、キャリヤ移動性能が増加する。上記の特性があるため、ベンゼン−〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェンを有する材料は、有機太陽電池の分野において非常に広範に研究された。
【0039】
強い電子求引性能力を有する素晴らしい受容体ユニットとして、キノキサリン化合物ユニットは光電子材料において幅広く応用された。キノキサリン化合物ユニットを含む合成物は、高い電子輸送性能、高いガラス遷移温度、優れた電気化学還元性など、を有している。キノキサリン化合物ユニットや容易に修飾され、電子供与体グループと電子受容体グループがその電子求引性の特性を調整するために、導入されることができる。したがって、有機太陽電池の分野において、広く応用されている。
【0040】
しかしながら、3つのユニットを同時に含み、その利用範囲を大いに制限する物質についての文献や特許は、これまでのところ報告されていない。そこで、本発明はベンゾジチオフェン有機半導体材料を開発し、有機太陽電池などの分野における応用範囲を広げるものである。
【0041】
本発明の好適な実施例は、図面を参照して以下に詳細に説明される。
実施例1
本実施例1のベンゾジチオフェン有機半導体材料は、以下の化学構造式を有する:
【化15】
ここで、x+y=2、1≦1x<2,0<y<1、1<n≦100、R,Rは、C〜C20アルキル基であり、Rは、C〜C20アルキル基から選択され、R,RはC〜C20アルキル基である。
【0042】
上記材料の調製過程は以下の通りである:
【0043】
1: 5,8−ジ−(5−ブロモ−4−置換−2チエニル)−2,3−ジアルキル−キノキサリンは、以下の化学構造式で示される。
【化16】
【0044】
ここで、5,8−ジ−(5−ブロモ−2−(4−ドデシル)−チェニル)−2,3−ジオクチル−キノキサリンについて、以下に説明する。
【0045】
1) 5,8−ジブロモ−2,3−ジオクチル−キノキサリンは、以下の構造である:
【化17】
【0046】
ここで、5,8−ジブロモ−2,3−ジオクチル−キノキサリンの準備について、一つの例を用いて説明する。調製過程は、以下のごとくである:
【化18】
【0047】
120℃の温度において、3,6−ジブロモ−o−フェニレンジアミン(0.5g、1.85mmol)が、酢酸溶液(30ml)中のジオクチルエタンジオン(0.28g、1mmol)の化合物に加えられる。反応液は、一夜かけて還流され、水の中に注がれ、重炭酸ナトリウムで中和される。そして、クロロホルムで抽出され、飽和食塩水で洗浄され、無水硫酸ナトリウムで乾燥される。回転による蒸発で溶媒を取り除き、粗生産物からカラムクロマトグラフィにて白い固形物を得て、クロロホルム/n−ヘキサンによる再結晶により、目的物を得る。収率は80%であった。MS(EI)m/z:512(M);
【0048】
2) 5,8−ジ−(4−ドデシル−2−チェニル)−2,3−ジオクチル−キノキサリン
【化19】
【0049】
窒素雰囲気の下、5,8−ジブロモ−2,3−ジオクチル−キノキサリン(0.85g、1.67mmol)、3−ドデシル−2−チオフェンボレート(1.5g、4.0mmol)、無水炭酸ナトリウム(5.3g、50mmol)、Pd(PPh(0.1g、0.08mmol)、を含むテトラヒドロフラン水溶液(THF80ml;HO、20ml)は、加熱還流され、一晩攪拌される。反応溶液は水に注ぎ込まれ、吸引フィルタリングされ、水で洗浄され、得られた粗生産物は、製品を得るためにカラムクロマトグラフによって精製された。収率65%であった。MS(MALDI)m/z:855 (M);
【0050】
3) 5,8−ジ−(4−ドデシル−2−チェニル)−2,3−ジオクチル−キノキサリン
【化20】
【0051】
窒素雰囲気の下で、NBS(0.54g、3.0mmol)が5,8−ジ−(2−チェニル)−2,3−ジオクチル−キノキサリン(1.2g、1.4mmol)を含むテトラヒドロフラン溶液(THF50ml)に加えられ、室温で一晩攪拌された。反応溶液は、粗生産物を得るために回転して乾燥され、粗生産物は、製品を得るためにカラムクロマトグラフによって精製された。収率77%である。MS(MALDI)m/z:1013(M);
【0052】
二: 2,7−ジブロモ−4,4−ジアルキル置換ベンゾ〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェンと、2,7−ビス−(トリメチルすず)−4,5−ジアルキル置換ベンゾ〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェンの化合物は、以下の化学構造式で示される:
【化21】
高分子2008,41,5688に開示される方法に従って、対応する製品が準備される。2,7−ビス−(トリメチルすず)−4,5−オクチルベンゾ〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェンは、以下の例で示される。
【化22】
【0053】
−78℃の温度において、t−BuLi(5.3mL、1.4mol/L、7.5mmol)が、4,5−ジオクチルベンゾ〔2,1−b:3,4−b’〕、ジチオフェン(1.03g、2.5)を含むテトラヒドロフラン溶液(100ml)に滴状で加えられる。混合物は、ゆっくりと室温にもどされ、0.5時間攪拌され、次に、−78℃に冷却される。トリメチルすず塩化物(7.5mmol、7.5ml)は、溶液に滴状で加えられる。溶液は、ゆっくり室温にもどされ、一晩かけて攪拌される。反応溶液は、水で冷却され、テトラヒドロフランを取り除くために回転により蒸発され、クロロホルム/水で抽出され、水で洗浄され、無水硫酸ナトリウムで乾燥される。有機相は取り除かれ、茶色の固形物を収率54%で得た。MS(MALDI)m/z:617(M)。
【0054】
以下は、実施例1のベンゾジチオフェン有機半導体材料(P,P,P,P,P,P,P)の調製過程である。ここで、R,Rは、C〜C20のアルキル基である。
【0055】
三: ベンゾジチオフェン有機物半導体P
【化23】
【0056】
窒素雰囲気の下で、5,8−ジ−(5−ブロモ−2−チェニル)−2,3−ジオクチル−キノキサリン(0.34g、0.5mmol)、2,7−ビス−(トリメチルすず)−4−メチル−5−n−エイコシルベンゾ〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェン(0.41g、0.5mmol)の化合物を含む、クロロベンゼン溶液(25ml)が窒素でパージされ、残留酸素を取り除くために0.5時間バブリングされる。そして、Pd(dba)(0.014g、0.015mmol)とP(o−Tol)(0.0083g、0.027mmol)が加えられる。窒素のパージを続け、残留酸素を除去するための1時間のバブリングを続け、100℃で45時間加熱し、最終的に、ベンゾジチオフェン有機物半導体Pの反応混合物を得た。
【0057】
混合物は、沈殿させるためにメタノールに加えられ、吸引フィルタリングされ、メタノールで洗浄して、乾燥される。その後、クロロベンゼンに溶解し、ナトリウムジエチルジチオカーバメートの水溶液に加えられる。混合物は、80℃に加熱され、一晩攪拌される。有機相は、アルミナカラムクロマトグラフィーによって精製され、クロロホルムで溶離される。有機溶媒が減圧して取り除かれ、残留物をメタノールで沈殿させ、吸気フィルタリングをし、3日間かけてアセトンソックスレー抽出で生成物となる固形物が抽出される。メタノールで沈殿させ、吸気フィルタリングをし、生成物となるベンゾジチオフェン有機物半導体Pの固形物を、真空ポンプによって一晩真空引きして得る。収率は、62%である。分子量(ゲル浸透クロマトグラフ、THF、R.I):Mn=47500,Mw/Mn=2.3)。
【0058】
四: ベンゾジチオフェン有機物半導体P
【化24】
【0059】
窒素雰囲気の下で、5,8−ジ−(5−ブロモ−4−n−ドデシル−2−チェニル)−キノキサリン(0.39g、0.5mmol)、2,7−ビス−(トリメチルすず)−4,5−ジオクチルベンゾ〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェン(0.37g、0.5mmol)の化合物を含む、クロロベンゼン溶液(25ml)が窒素でパージされ、残留酸素を取り除くために0.5時間バブリングされる。そして、Pd(dba)(0.014g、0.015mmol)とP(o−Tol)(0.0083g、0.027mmol)が加えられる。窒素のパージを続け、残留酸素を除去するための1時間のバブリングを続け、132℃で48時間加熱し、最終的に、ベンゾジチオフェン有機物半導体Pの反応混合物を得た。
【0060】
混合物は、沈殿させるためにメタノールに加えられ、吸引フィルタリングされ、メタノールで洗浄して、乾燥される。その後、クロロベンゼンに溶解し、ナトリウムジエチルジチオカーバメートの水溶液に加えられる。混合物は、80℃に加熱され、一晩攪拌される。有機相は、アルミナカラムクロマトグラフィーによって精製され、クロロホルムで溶離される。有機溶媒が減圧して取り除かれ、残留物をメタノールで沈殿させ、吸気フィルタリングをし、3日間かけてアセトンソックスレー抽出で生成物となる固形物が抽出される、メタノールで沈殿させ、吸気フィルタリングをし、生成物となるベンゾジチオフェン有機物半導体Pの固形物を、真空ポンプによって一晩真空引きして得る。収率は、51%である。分子量(ゲル浸透クロマトグラフ、THF、R.I):Mn=26500,Mw/Mn=1.9)。
【0061】
五: ベンゾジチオフェン有機物半導体P
【化25】
【0062】
窒素雰囲気の下で、5,8−ジ−(5−ブロモ−4−n−エイコシル−2−チェニル)−2−メチル−3−n−エイコシル−キノキサリン(0.65g、0.5mmol)、2,7−ビス−(トリメチルすず)−4,5−ジオクチルベンゾ〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェン(0.37g、0.5mmol)の化合物を含む、クロロベンゼン溶液(25ml)が窒素でパージされ、残留酸素を取り除くために0.5時間バブリングされる。そして,Pd(dba)(0.014g,0.015mmol)とP(o−Tol)(0.0083g,0.027mmol)が加えられる。窒素のパージを続け、残留酸素を除去するための1時間のバブリングを続け、80℃で55時間加熱し、最終的に、ベンゾジチオフェン有機物半導体Pの反応混合物を得た。
【0063】
混合物は、沈殿させるためにメタノールに加えられ、吸引フィルタリングされ、メタノールで洗浄して、乾燥される。その後、クロロベンゼンに溶解し、ナトリウムジエチルジチオカーバメートの水溶液に加えられる。混合物は、90℃に加熱され、一晩攪拌される。有機相は、アルミナカラムクロマトグラフィーによって精製され、クロロホルムで溶離される。有機溶媒が減圧して取り除かれ、残留物をメタノールで沈殿させ、吸気フィルタリングをし、3日間かけてアセトンソックスレー抽出で生成物となる固形物が抽出される。メタノールで沈殿させ、吸気フィルタリングをし、生成物となるベンゾジチオフェン有機物半導体Pの固形物を、真空ポンプによって一晩真空引きして得る。収率は、60%である。分子量(ゲル浸透クロマトグラフ、THF、R.I):Mn=78300,Mw/Mn=2.1)。
【0064】
六: ベンゾジチオフェン有機物半導体P
【化26】
【0065】
アルゴン雰囲気の下で、5,8−ジ−(5−ブロモ−4−メチル‐2−チェニル)−2,3−ジオクチル−キノキサリン(0.35g、0.5mmol)、2,7−ビス−(トリメチルすず)−4,5−ジオクチルベンゾ〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェン(0.37g、0.5mmol)の化合物を含む、クロロベンゼン溶液(25ml)、がアルゴンガスでパージされ、残留酸素を取り除くために0.5時間バブリングされる。そして,Pd(dba)(0.014g,0.015mmol)とP(o−Tol)(0.0083g,0.027mmol)が加えられるアルゴンガスのパージを続け、残留酸素を除去するための1時間のバブリングを続け、60℃で69時間加熱し、最終的に、ベンゾジチオフェン有機物半導体Pの反応混合物を得た。
【0066】
混合物は、沈殿させるためにメタノールに加えられ、吸引フィルタリングされ、メタノールで洗浄して、乾燥される。その後、クロロベンゼンに溶解し、ナトリウムジエチルジチオカーバメートの水溶液に加えられる。混合物は、100℃に加熱され、一晩攪拌される。有機相は、アルミナカラムクロマトグラフィーによって精製され、クロロホルムで溶離される。有機溶媒が減圧して取り除かれ、残留物をメタノールで沈殿させ、吸気フィルタリングをし、3日間かけてアセトンソックスレー抽出で生成物となる固形物が抽出される。メタノールで沈殿させ、吸気フィルタリングをし、生成物となるベンゾジチオフェン有機物半導体Pの固形物を、真空ポンプによって一晩真空引きして得る。収率は、48%である。分子量(ゲル浸透クロマトグラフ、THF、R.I):Mn=6900,Mw/Mn=2.3)。
【0067】
七:ベンゾジチオフェン有機物半導体P
【化27】
【0068】
窒素とアルゴンの雰囲気の下で、5,8−ジ−(5−ブロモ−4−n−ドデシル‐2−チェニル)−2,3−ジオクチル−キノキサリン(0.25g、0.5mmol)、2,7−ジブロモ−4,5−ジオクチルベンゾ〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェン(0.14g、0.25mmol)、2,7−ビス−(トリメチルすず)−4,5−ジオクチルベンゾ〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェン(0.37g、0.5mmol)の化合物を含む、クロロベンゼン溶液(25ml)、が窒素とアルゴンの混合ガスでパージされ、残留酸素を取り除くために0.5時間バブリングされる。そして、Pd(dba)(0.014g,0.015mmol)とP(o−Tol)(0.0083g,0.027mmol)が加えられる窒素とアルゴンの混合ガスのパージを続け、残留酸素を除去するための1時間のバブリングを続け、80℃で40時間加熱し、最終的に、ベンゾジチオフェン有機物半導体Pの反応混合物を得た。
【0069】
混合物は、沈殿させるためにメタノールに加えられ、吸引フィルタリングされ、メタノールで洗浄して、乾燥される。その後、クロロベンゼンに溶解し、ナトリウムジエチルジチオカーバメートの水溶液に加えられる。混合物は、95℃に加熱され、一晩攪拌される。有機相は、アルミナカラムクロマトグラフィーによって精製され、クロロホルムで溶離される。有機溶媒が減圧して取り除かれ、残留物をメタノールで沈殿させ、吸気フィルタリングをし、3日間かけてアセトンソックスレー抽出で生成物となる固形物が抽出される。メタノールで沈殿させ、吸気フィルタリングをし、生成物となるベンゾジチオフェン有機物半導体Pの固形物を、真空ポンプによって一晩真空引きして得る。収率は、61%である。分子量(ゲル浸透クロマトグラフ、THF、R.I):Mn=68900,Mw/Mn=1.9)。
【0070】
八: ベンゾジチオフェン有機物半導体P
【化28】
【0071】
窒素雰囲気の下で、5,8−ジ−(5−ブロモ−4−n−ドデシル‐2−チェニル)−2,3−ジオクチル−キノキサリン(0.13g、0.5mmol)、2,7−ジブロモ−4,5−ジオクチルベンゾ〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェン(0.26g、0.45mmol)、2,7−ビス−(トリメチルすず)−4,5−ジオクチルベンゾ〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェン(0.37g、0.5mmol)の化合物を含む、クロロベンゼン溶液(25ml)が窒素でパージされ、残留酸素を取り除くために0.5時間バブリングされる。そして、Pd(dba)(0.014g、0.015mmol)とP(o−Tol)(0.0083g、0.027mmol)が加えられる。窒素のパージを続け、残留酸素を除去するための1時間のバブリングを続け、70℃で65時間加熱し、最終的に、ベンゾジチオフェン有機物半導体Pの反応混合物を得た。
【0072】
混合物は、沈殿させるためにメタノールに加えられ、吸引フィルタリングされ、メタノールで洗浄して、乾燥される。その後、クロロベンゼンに溶解し、ナトリウムジエチルジチオカーバメートの水溶液に加えられる。混合物は、80℃に加熱され、一晩攪拌される。有機相は、アルミナカラムクロマトグラフィーによって精製され、クロロホルムで溶離される。有機溶媒が減圧して取り除かれ、残留物をメタノールで沈殿させ、吸気フィルタリングをし、3日間かけてアセトンソックスレー抽出で生成物となる固形物が抽出される。メタノールで沈殿させ、吸気フィルタリングをし、生成物となるベンゾジチオフェン有機物半導体Pの固形物を、真空ポンプによって一晩真空引きして得る。収率は、41%である。分子量(ゲル浸透クロマトグラフ、THF、R.I):Mn=87500,Mw/Mn=1.9)。
【0073】
九: ベンゾジチオフェン有機物半導体P
【化29】
【0074】
窒素雰囲気の下で、5,8−ビス−(5−ブロモ−4−n−ドデシル−2−チェニル)−キノキサリン(0.51g、0.5mmol)、2,7−ビス−(トリメチルすず)−4,5−ジオクチルベンゾ〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェン(0.37g、0.5mmol)の化合物を含む、クロロベンゼン溶液(25ml)が窒素でパージされ、残留酸素を取り除くために0.5時間バブリングされる。そして、Pd(dba)(0.014g、0.015mmol)とP(o−Tol)(0.0083g、0.027mmol)が加えられる。窒素とアルゴンの混合ガスのパージを続け、残留酸素を除去するための1時間のバブリングを続け、110℃で40時間加熱し、最終的に、ベンゾジチオフェン有機物半導体Pの反応混合物を得た。
【0075】
混合物は、沈殿させるためにメタノールに加えられ、吸引フィルタリングされ、メタノールで洗浄して、乾燥される。その後、クロロベンゼンに溶解し、ナトリウムジエチルジチオカーバメートの水溶液に加えられる。混合物は、80℃に加熱され、一晩攪拌される。有機相は、アルミナカラムクロマトグラフィーによって精製され、クロロホルムで溶離される。有機溶媒が減圧して取り除かれ、残留物をメタノールで沈殿させ、吸気フィルタリングをし、3日間かけてアセトンソックスレー抽出で生成物となる固形物が抽出される。メタノールで沈殿させ、吸気フィルタリングをし、生成物となるベンゾジチオフェン有機物半導体Pの固形物を、真空ポンプによって一晩真空引きして得る。収率は、46%である。分子量(ゲル浸透クロマトグラフ、THF、R.I):Mn=79500,Mw/Mn=2.1)。
【0076】
実施例2
本実施例2のベンゾジチオフェン有機半導体材料は、以下の化学構造式を有する:
【化30】
ここで、x+y=2,1≦1x<2,0<y<1,1<n≦100、R,Rは、C〜C20アルキル基であり、Rは、C〜C20アルキル基から選択され、R,Rは、水素、フェニル基、C〜C20アルキル基によって置換されたフェニル基である。
【0077】
有機半導体材料の調合法は、以下の通りである:
1: 5,8−ジ−(5−ブロモ−2−チェニル)−2,3−ジフェニル−キノキサリン
【化31】
【0078】
5,8−ジ−(5−ブロモ−4−n−エイコシル‐2−チェニル)−2,3−ジフェニル−キノキサリンの準備は、以下の例によって示される:
【化32】
【0079】
窒素雰囲気の下で、NBS(0.6g、3.3mmol)が5,8−ジ−(4−n−ドデシル‐2−チェニル)−2,3−ジオクチル−キノキサリン(1.2g、1.53mmol)を含むテトラヒドロフラン溶液(THF50ml)に加えられ、室温で一晩攪拌された。反応溶液は、粗生産物を得るために回転して乾燥された。カラムクロマトグラフによって得られた製品は、1.05gであり、収率は73%であった。MS/(MALDI)m/z:941(M)。
【0080】
ここで、2,7ビス(トリメチルすず)−ベンゼン−〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェンと、2,7−ジブロモ−ベンゾ−〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェンの準備法は、実施例1が参照される。
【0081】
以下は、実施例2のベンゾジチオフェン有機半導体材料(P,P,P10)の調製過程である。ここで、R,R,Rは、C〜C20のアルキル基であり、R,Rは、C〜C20のアルキル基で置換されたフェニル基である。
【0082】
二: ベンゾジチオフェン有機物半導体P
【化33】
【0083】
窒素雰囲気の下で、5,8−ジ−(5−ブロモ−4−n−ドデシル‐2−チェニル)−2,3−ジフェニル−キノキサリン(0.47g、0.5mmol)、2,7−ビス−(トリメチルすず)−4,5−ジオクチルベンゾ〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェン(0.37g、0.5mmol)の化合物を含む、トルエン溶液(25ml)が窒素でパージされ、残留酸素を取り除くために0.5時間バブリングされる。そして、Pd(dba)(0.014g、0.015mmol)とP(o−Tol)(0.0083g、0.027mmol)が加えられる。窒素のパージを続け、残留酸素を除去するための1時間のバブリングを続け、100℃で72時間加熱し、最終的に、ベンゾジチオフェン有機物半導体Pの反応混合物を得た。
【0084】
混合物は、沈殿させるためにメタノールに加えられ、吸引フィルタリングされ、メタノールで洗浄して、乾燥される。その後、クロロベンゼンに溶解し、ナトリウムジエチルジチオカーバメートの水溶液に加えられる。混合物は、80℃に加熱され、一晩攪拌される。有機相は、アルミナカラムクロマトグラフィーによって精製され、クロロホルムで溶離される。有機溶媒が減圧して取り除かれ、残留物をメタノールで沈殿させ、吸気フィルタリングをし、3日間かけてアセトンソックスレー抽出で生成物となる固形物が抽出される。メタノールで沈殿させ、吸気フィルタリングをし、生成物となるベンゾジチオフェン有機物半導体Pの固形物を、真空ポンプによって一晩真空引きして得る。収率は、58%である。分子量(ゲル浸透クロマトグラフ、THF、R.I):Mn=54500,Mw/Mn=2.1)。
【0085】
三: ベンゾジチオフェン有機物半導体P
【化34】
【0086】
窒素雰囲気の下で、5,8−ジ−(5−ブロモ−4−n−ドデシル‐2−チェニル)−2−(4−メチルフェニル)−3−(4−n−エイコシルフェニル)−キノキサリン(0.62g、0.5mmol)、2,7−ビス−(トリメチルすず)−4,5−ジオクチルベンゾ〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェン(0.37g、0.5mmol)の化合物を含む、トルエン溶液(25ml)が窒素でパージされ、残留酸素を取り除くために0.5時間バブリングされる。そして,Pd(dba)(0.014g,0.015mmol)とP(o−Tol)(0.0083g,0.027mmol)が加えられる。窒素のパージを続け、残留酸素を除去するための1時間のバブリングを続け、80℃で68時間加熱し、最終的に、ベンゾジチオフェン有機物半導体Pの反応混合物を得た。
【0087】
混合物は、沈殿させるためにメタノールに加えられ、吸引フィルタリングされ、メタノールで洗浄して、乾燥される。その後、クロロベンゼンに溶解し、ナトリウムジエチルジチオカーバメートの水溶液に加えられる。混合物は、80℃に加熱され、一晩攪拌される。有機相は、アルミナカラムクロマトグラフィーによって精製され、クロロホルムで溶離される。有機溶媒が減圧して取り除かれ、残留物をメタノールで沈殿させ、吸気フィルタリングをし、3日間かけてアセトンソックスレー抽出で生成物となる固形物が抽出される。メタノールで沈殿させ、吸気フィルタリングをし、生成物となるベンゾジチオフェン有機物半導体Pの固形物を、真空ポンプによって一晩真空引きして得る。収率は、37%である。分子量(ゲル浸透クロマトグラフ、THF、R.I):Mn=48500,Mw/Mn=1.7)。
【0088】
四:ベンゾジチオフェン有機物半導体P10
【化35】
【0089】
窒素雰囲気の下で、5,8−ジ−(5−ブロモ−4−n−ドデシル‐2−チェニル)−2,3−ジ(4−オクチルフェニル)−キノキサリン(0.58g、0.5mmol)、2,7−ビス−(トリメチルすず)−4,5−ジオクチルベンゾ〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェン(0.37g、0.5mmol)の化合物を含む、トルエン溶液(25ml)が窒素でパージされ、残留酸素を取り除くために0.5時間バブリングされる。そして,Pd(dba)(0.014g,0.015mmol)とP(o−Tol)(0.0083g,0.027mmol)が加えられる窒素のパージを続け、残留酸素を除去するための1時間のバブリングを続け、90℃で70時間加熱し、最終的に、ベンゾジチオフェン有機物半導体P10の反応混合物を得た。
【0090】
混合物は、沈殿させるためにメタノールに加えられ、吸引フィルタリングされ、メタノールで洗浄して、乾燥される。その後、クロロベンゼンに溶解し、ナトリウムジエチルジチオカーバメートの水溶液に加えられる。混合物は、80℃に加熱され、一晩攪拌される。有機相は、アルミナカラムクロマトグラフィーによって精製され、クロロホルムで溶離される。有機溶媒が減圧して取り除かれ、残留物をメタノールで沈殿させ、吸気フィルタリングをし、3日間かけてアセトンソックスレー抽出で生成物となる固形物が抽出される。メタノールで沈殿させ、吸気フィルタリングをし、生成物となるベンゾジチオフェン有機物半導体P10の固形物を、真空ポンプによって一晩真空引きして得る。収率は、58%である。分子量(ゲル浸透クロマトグラフ、THF、R.I):Mn=31500,Mw/Mn=1.9)。
【0091】
さらに、本発明は以下の化学構造式(式36)を有するベンゾジチオフェン有機半導体材料の用途を提供する。
【化36】
(ここで、x+y=2,1≦x<2,0<y≦1,1<n≦100であり、R,Rは同一又は異なるC〜C20アルキル基であり、RはC〜C20アルキル基から選択され、R,Rは、水素、フェニル基、C〜C20アルキル基によって置換されたフェニル基であり、同一又は異なるものである)ポリマー太陽電池、有機エレクトロルミネセンスデバイス、有機電界効果トランジスタ、有機光学ストレ‐ジ、有機非線状デバイス、有機レーザーデバイスなどの分野において使用されるものである。
【0092】
以下の例は、有機太陽電池、有機電界効果トランジスタ、または有機エレクトロルミネセンスデバイスの分野でのベンゾジチオフェン有機半導体材料の使用方法の例である。
実施例3
図1にポリマー太陽電池デバイスの構造を示す。本実施例では、基板はITOガラスであり、ガラスは基板として使用され、ITOが導電層として使用される。
【0093】
ポリマー太陽電池デバイスの構造は以下のように構成されるガラス11、ITO層12、PEDOT:PSS層13、活性層14、Al層15。ここで、活性層14の材料が、本発明のベンゾジチオフェン有機半導体材料である。ITOは、10〜20Ω/sqのシート抵抗を持っているインジウムすず酸化物であり、PEDOTは、ポリ(3,4ーエチレンジオキシチオフェン)、PSSはポリ(スチレンスルホン酸)であり、ITOは、好ましくは、10Ω/sqのシート抵抗を有し、約50〜300nmの厚さを有する。
【0094】
ポリマー太陽電池デバイスは以下のように準備される:
約50〜300nmの厚み有する陽極となる導電層を形成するために、10〜20Ω/sqのシート抵抗を有する酸化インジウムスズ(ITO)12の一層を、ガラス基盤11の1側の表面に蒸着させる。
【0095】
ITOガラスの超音波洗浄を実施し、酸素プラズマ処理を実施し、ITOの表面を、改質効果を有する一層の約20〜300nmの厚さのPEDOT:PSS層13でコーティングする。
【0096】
PEDOT(ポリ(3,4−エチレンジオキシ−チオフェン):PSS(ポリ(スチレンスルホン酸))層13を、スピンコーティング技術によって約50〜300nmの厚みを有する活性層14の一層によってコーティングする。この活性層14は、本発明のベンゾジチオフェン有機半導体材料で作られる。
【0097】
活性層15の上に金属アルミニウムを真空蒸着し、陰極となる金属アルミニウム層15を形成し、有機太陽電池デバイスが製造される。
【0098】
ポリマー太陽電池デバイスは、エポキシ樹脂により被包され、アニーリングのために2時間、120℃未満の密封条件で放置され、その後、室温まで冷却される。アニーリングの後、材料の化学構造は、より一定で規則的になり、その結果、キャリヤの伝送速度と効率が高められ、デバイスの光電変換効率が向上する。
【0099】
ITO層、PEDOT:PSS層、活性層、Al層の好ましい厚みは、それぞれ、110nm、60nm、110nm、100nmである。
【0100】
実施例4
図2に有機エレクトロルミネッセンスデバイスの構造を示す。本実施例では、基板はITOガラスであり、ガラスは基板として使用され、ITOが導電層として使用される。
【0101】
有機エレクトロルミネセンスデバイスは,以下の構造とする。ガラス21,ITO層22,発光層23,LiFバッファ層24,Al層25。ここで、発光層23の材料が、本発明のベンゾジチオフェン有機半導体材料である。
【0102】
有機エレクトロルミネセンスデバイスは,以下のように準備される。
約50〜300nmの厚み有する陽極となる導電層を形成するために、10〜20Ω/sqのシート抵抗を有する酸化インジウムスズ(ITO)22の一層を、ガラス基盤21の一側の表面に蒸着させる。ITOは、好ましくは、10Ω/sqのシート抵抗を有する。
【0103】
ITO層22の表面を、本発明のベンゾジチオフェン有機半導体材料で作られる発光層23にて、スピンコーティング技術によって約50〜300nmの厚みを有するようにコーティングする。
【0104】
発光層23の上にLiFを真空蒸着することで、約0.3−2nmの厚みを有するバッファ層24を形成する。
【0105】
発光層23の上に金属アルミニウムを真空蒸着し、陰極となる金属アルミニウム層25を形成し、有機エレクトロルミネセンスデバイスが製造される。
実施例5
図3に有機電界効果トランジスタの構造を示す。本実施例では、基板はドープされたシリコン(Si)である。
【0106】
有機電界効果トランジスタデバイスは、以下の構造とする。シリコン31,450nmの厚さのSiO絶縁層32,SiO絶縁層32の改質のためのオクタデシルトリクロロシラン(OTS)層33,有機物半導体層34,金(gold)で作られたソース電極(S)35とドレイン電極(D)36。ここで、有機物半導体層34の材料が、本発明のベンゾジチオフェン有機半導体材料である。ソース電極(S)とドレイン電極(D)の材料は、銅とすることができる。
【0107】
有機電界効果トランジスタデバイスは、以下のように準備される。
【0108】
まず、洗浄されたドープシリコンウェハー31の位置側面を、Si2絶縁層32の一層でコーティングする。次に、10〜200nmの厚みの改質のためのオクタデシルトリクロロシラン層33の一層で、SiO絶縁層32をコーティングする。次に、約30〜300nmの厚みを有する本発明のベンゾジチオフェン有機半導体材料で作られた有機物半導体層34で、スピンコーティングにより、オクタデシルトリクロロシラン層33をコーティングする。最終的に、金で作られたソース電極(S)35とドレイン電極(D)36が、間隔を空けて有機物半導体層34に配設されることで、有機電界効果トランジスタが得られる。
【0109】
構成的特徴、及び/または、方法による特定により本発明を言語によって開示したが、添付の請求の範囲で定義される発明は、必ずしも開示された特定の特徴或いは方法に限定されるものではないと理解すべきである。むしろ、上述された詳細な特徴や手法は、特許請求の範囲に記載されている発明を実施するためのサンプルの形式として開示されるものである。

図1
図2
図3