(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第一の触媒の添加量は,全物質の合計のモル量の0.01%〜30%であり、ここで、第一の触媒は、有機パラジウム、又は、有機パラジウムと有機りん配位子の混合物であり、
有機パラジウムは、Pd2(dba)3,Pd(PPh3)4またはPd(PPh3)2Cl2の少なくとも一つから選択され、
有機ホスフィン配位子は、P(o−Tol)3であり、
有機パラジウムと有機ホスフィン配位子の混合物において、有機パラジウム対有機ホスフィン配位子のモル比は、1:1〜1:20とする、
請求項2に記載のベンゾジチオフェン有機半導体材料の調合法。
前記シュティレカップリング反応において、2,7ビス(トリメチルすず)−ベンゾ−〔2,1−b:3,4−b〕ジチオフェンと、2,7−ジブロモ−ベンゾ−〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェンと、5,8−ジ−(5−ブロモ−2−チェニル)−2,3−二置換−キノキサリンのモル比率がm:p:qであり、m=p+qであり、m、p、qが正の実数であり、シュティレカップリング反応の反応温度は60℃〜132℃であり、反応時間は24〜72時間である、
請求項2に記載のベンゾジチオフェン有機半導体材料の調合法。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明のベンゾジチオフェン有機半導体材料は、以下の化学構造式を有する:
【化7】
ここで、x+y=2、1≦x<2.0<y≦1、1<n≦100、R
1,R
2は、C
1〜C
20アルキル基であり、R
3は、C
1〜C
20アルキル基から選択され、R
4,R
5は、水素、フェニル基、C
1〜C
20アルキル基、又は、C
1〜C
20アルコキシ基によって置換されたフェニル基である。
【0021】
ベンゾジチオフェン有機半導体材料の調合法は、以下の通りである。
【0022】
ステップS1: 5,8−ジ−(5−ブロモ−2−チェニル)−2,3−二置換−キノキサリンの調合
3,6−ジブロモ−o−フェニレンジアミンとアルキルエタンジオンが混合され、以下に示される反応式により、5,8−ジ−(5−ブロモ−2−チェニル)−2,3−二置換−キノキサリンが準備される。
【化8】
【0023】
ステップS2: 5,8−ジ−(4−アルキル−2−チェニル)−2,3−二置換−キノキサリンの調合
無酸素環境において、第二の触媒を含む第二の有機溶媒に、5,8−ジ−ブロモ−2,3−二置換−キノキサリン、3−アルキル−2−チオフェンボレート、及び、無水炭酸ナトリウムを加え、5,8−ジ−(4−アルキル−2−チェニル)−2,3−二置換−キノキサリンを得る。ここで、第二の触媒は、有機パラジウム、又は、有機パラジウムと有機りん配位子の混合物であり、第二の有機溶媒は、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、クロロホルム、および酢酸エチルを含むグループから少なくとも一つが選択され、その反応式は以下の通りである。
【化9】
【0024】
ステップS3: 5,8−ジ−(5−ブロモ−4−アルキル−2−チェニル)−2,3−二置換−キノキサリンの準備
【0025】
無酸素環境において、N−ブロモスクシンイミドと5,8−ジ−(4−アルキル−2−チェニル)−2,3−二置換キノキサリンが、硫酸とトリフルオル酢酸の混合溶媒に加えられ、10℃〜30℃において12〜48時間反応され、5,8−ジ−(4−アルキル−2−チェニル)−2,3−二置換−キノキサリンを得る。その反応式は以下の通りである:
【化10】
【0026】
ステップS4: 2,7ビス(トリメチルすず)−ベンゾ−〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェンの準備
【0027】
-78℃から−25℃の間の温度で、4,5−ジアルキルベンゾ〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェンとブチル基リチウム(以降、n−Buliとして表記される)、または、n−ブチル基リチウム(n−BuLi)、または、t−ブチル基リチウム(t−BuLi)が、第三の有機溶媒に滴下して加えられ、そこに、トリメチルすずクロリド(Me3SnC、以下同じ)が、2,7ビス(トリメチルすず)−ベンゾ−〔2,1−b:3,4−b〕ジチオフェンを準備するために加えられる。ここで第三の有機溶媒は、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、クロロホルム、および酢酸エチルを含むグループから少なくとも一つが選択される。その反応式は以下の通りである:
【化11】
【0028】
ステップS5: 2,7−ジブロモ−ベンゾ−〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェン2の準備
【0029】
無酸素環境において、N−ブロモスクシンイミド(NBS、以下同じ)と、4,5−ジアルキルベンゾ〔2,1−b:3,4−b〕ジチオフェンが硫酸とトリフルオル酢酸の混合溶媒に加えられ、10℃〜30℃において12〜48時間反応され、4,4−ジアルキル−2,6−ジブロモ−シクロペンタ〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェンを得る。その反応式は以下の通りである。
【化12】
【0030】
ステップ6: ベンゾジチオフェン有機半導体材料の準備
【0031】
無酸素環境で、2,7−ビス(トリメチルすず)−ベンゾ−〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェン、2,7−ジブロモ−ベンゾ−〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェン、5,8−ジ−(5−ブロモ−2−チェニル)−2,3−二置換−キノキサリンについて、モル比m:p:q(p+q、m=m、p、qは実数である)において、触媒と有機溶媒の環境下で、60℃〜132℃で24時間から72時間、シュティレカップリング反応が実行され、その後、以下の化学構造式(式13)を含むベンゾジチオフェン有機半導体材料の反応混合物が得られる。
【化13】
反応式は以下の通りである:
【化14】
ここで、x+y=2、1≦x<2.0<y≦1、1<n≦100、R
1,R
2は、同一、或いは、異なるC
1〜C
20アルキル基であり、R
3は、C
1〜C
20アルキル基から選択され、R
4,R
5は、水素、フェニル、C
1〜C
20アルキル基、又は、C
1〜C
20アルコキシ基によって置換されたフェニル基である。
【0032】
ステップS7: 次に、ステップS6の反応混合物は、メタノールに滴状で加えられて、沈降処理の後、吸引フィルタリングを実施し、メタノールで洗浄され、乾燥させることで、不純物を含む有機半導体材料を得る。次いで、トルエンで溶解させ、有機半導体材料を含むトルエン溶液を得る。
【0033】
ステップS8: ステップS7の有機半導体材料を含むトルエン溶液が、ナトリウムジエチルジチオカルバメート水溶液に加えられ、その混合物が攪拌され、80℃〜100℃で加熱される。混合物は、アルミナカラムクロマトグラフィで精製され、有機半導体材料が分離され、クロロベンゼン系で溶離させ、その後、減圧によりクロロベンゼン系有機溶媒が取り除かれ、アセトンソックスレー抽出で最終的に有機半導体材料を抽出することで、有機半導体材料の固形物を得る。
【0034】
上述した有機半導体材料を準備するための方法のステップ6において、
第一の有機溶媒は、少なくともテトラヒドロフラン(THF:以下同じ)、ジメトキシエタン、ベンゼン、クロロベンゼン、又は、トルエンから選択されたものの1つである。
【0035】
第一の触媒は、有機パラジウム、或いは、有機パラジウムと有機ホスフィン配位子の混合物であり、有機ホスフィン配位子のモル比が1:1から20であり、有機パラジウムがPd
2(dba)
3,Pd(PPh
3)
4またはPd(PPh
3)
2Cl
2であり、有機ホスフィン配位子がP(o−Tol)
3であり、第一の触媒の添加量は、全物質の合計のモル量の0.01%〜30%である。
【0036】
本発明における無酸素環境は、窒素、及び/又は、不活性ガスを混合することによって提供される。
【0037】
チオフェンの五員環構造は、ヒュッケル則(Huckel’s rule)と一致し、適度のバンドギャップ、広いスペクトル反応、良好な熱安定性及び環境安定性を有するため、チオフェン有機半導体材料は有望材料であり、その光起電分野での利用は広く研究されてきた。
【0038】
ベンゼン−〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェンは強固な結晶構造を含み、その中において2個のチオフェン環が同一の平面に存在する。この構造は、ポリマーの接合性を効果的に拡張し、エネルギーギャップを低下させる。そして、このような共平面構造は、2個の主鎖間でのキャリヤの移動を容易にし、その結果、キャリヤ移動性能が増加する。上記の特性があるため、ベンゼン−〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェンを有する材料は、有機太陽電池の分野において非常に広範に研究された。
【0039】
強い電子求引性能力を有する素晴らしい受容体ユニットとして、キノキサリン化合物ユニットは光電子材料において幅広く応用された。キノキサリン化合物ユニットを含む合成物は、高い電子輸送性能、高いガラス遷移温度、優れた電気化学還元性など、を有している。キノキサリン化合物ユニットや容易に修飾され、電子供与体グループと電子受容体グループがその電子求引性の特性を調整するために、導入されることができる。したがって、有機太陽電池の分野において、広く応用されている。
【0040】
しかしながら、3つのユニットを同時に含み、その利用範囲を大いに制限する物質についての文献や特許は、これまでのところ報告されていない。そこで、本発明はベンゾジチオフェン有機半導体材料を開発し、有機太陽電池などの分野における応用範囲を広げるものである。
【0041】
本発明の好適な実施例は、図面を参照して以下に詳細に説明される。
実施例1
本実施例1のベンゾジチオフェン有機半導体材料は、以下の化学構造式を有する:
【化15】
ここで、x+y=2、1≦1x<2,0<y<1、1<n≦100、R
1,R
2は、C
1〜C
20アルキル基であり、R
3は、C
1〜C
20アルキル基から選択され、R
4,R
5はC
1〜C
20アルキル基である。
【0042】
上記材料の調製過程は以下の通りである:
【0043】
1: 5,8−ジ−(5−ブロモ−4−置換−2チエニル)−2,3−ジアルキル−キノキサリンは、以下の化学構造式で示される。
【化16】
【0044】
ここで、5,8−ジ−(5−ブロモ−2−(4−ドデシル)−チェニル)−2,3−ジオクチル−キノキサリンについて、以下に説明する。
【0045】
1) 5,8−ジブロモ−2,3−ジオクチル−キノキサリンは、以下の構造である:
【化17】
【0046】
ここで、5,8−ジブロモ−2,3−ジオクチル−キノキサリンの準備について、一つの例を用いて説明する。調製過程は、以下のごとくである:
【化18】
【0047】
120℃の温度において、3,6−ジブロモ−o−フェニレンジアミン(0.5g、1.85mmol)が、酢酸溶液(30ml)中のジオクチルエタンジオン(0.28g、1mmol)の化合物に加えられる。反応液は、一夜かけて還流され、水の中に注がれ、重炭酸ナトリウムで中和される。そして、クロロホルムで抽出され、飽和食塩水で洗浄され、無水硫酸ナトリウムで乾燥される。回転による蒸発で溶媒を取り除き、粗生産物からカラムクロマトグラフィにて白い固形物を得て、クロロホルム/n−ヘキサンによる再結晶により、目的物を得る。収率は80%であった。MS(EI)m/z:512(M
+);
【0048】
2) 5,8−ジ−(4−ドデシル−2−チェニル)−2,3−ジオクチル−キノキサリン
【化19】
【0049】
窒素雰囲気の下、5,8−ジブロモ−2,3−ジオクチル−キノキサリン(0.85g、1.67mmol)、3−ドデシル−2−チオフェンボレート(1.5g、4.0mmol)、無水炭酸ナトリウム(5.3g、50mmol)、Pd(PPh
3)
4(0.1g、0.08mmol)、を含むテトラヒドロフラン水溶液(THF80ml;H
2O、20ml)は、加熱還流され、一晩攪拌される。反応溶液は水に注ぎ込まれ、吸引フィルタリングされ、水で洗浄され、得られた粗生産物は、製品を得るためにカラムクロマトグラフによって精製された。収率65%であった。MS(MALDI)m/z:855 (M
+);
【0050】
3) 5,8−ジ−(4−ドデシル−2−チェニル)−2,3−ジオクチル−キノキサリン
【化20】
【0051】
窒素雰囲気の下で、NBS(0.54g、3.0mmol)が5,8−ジ−(2−チェニル)−2,3−ジオクチル−キノキサリン(1.2g、1.4mmol)を含むテトラヒドロフラン溶液(THF50ml)に加えられ、室温で一晩攪拌された。反応溶液は、粗生産物を得るために回転して乾燥され、粗生産物は、製品を得るためにカラムクロマトグラフによって精製された。収率77%である。MS(MALDI)m/z:1013(M
+);
【0052】
二: 2,7−ジブロモ−4,4−ジアルキル置換ベンゾ〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェンと、2,7−ビス−(トリメチルすず)−4,5−ジアルキル置換ベンゾ〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェンの化合物は、以下の化学構造式で示される:
【化21】
高分子2008,41,5688に開示される方法に従って、対応する製品が準備される。2,7−ビス−(トリメチルすず)−4,5−オクチルベンゾ〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェンは、以下の例で示される。
【化22】
【0053】
−78℃の温度において、t−BuLi(5.3mL、1.4mol/L、7.5mmol)が、4,5−ジオクチルベンゾ〔2,1−b:3,4−b’〕、ジチオフェン(1.03g、2.5)を含むテトラヒドロフラン溶液(100ml)に滴状で加えられる。混合物は、ゆっくりと室温にもどされ、0.5時間攪拌され、次に、−78℃に冷却される。トリメチルすず塩化物(7.5mmol、7.5ml)は、溶液に滴状で加えられる。溶液は、ゆっくり室温にもどされ、一晩かけて攪拌される。反応溶液は、水で冷却され、テトラヒドロフランを取り除くために回転により蒸発され、クロロホルム/水で抽出され、水で洗浄され、無水硫酸ナトリウムで乾燥される。有機相は取り除かれ、茶色の固形物を収率54%で得た。MS(MALDI)m/z:617(M
+)。
【0054】
以下は、実施例1のベンゾジチオフェン有機半導体材料(P
1,P
2,P
3,P
4,P
5,P
6,P
7)の調製過程である。ここで、R
4,R
5は、C
1〜C
20のアルキル基である。
【0055】
三: ベンゾジチオフェン有機物半導体P
1
【化23】
【0056】
窒素雰囲気の下で、5,8−ジ−(5−ブロモ−2−チェニル)−2,3−ジオクチル−キノキサリン(0.34g、0.5mmol)、2,7−ビス−(トリメチルすず)−4−メチル−5−n−エイコシルベンゾ〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェン(0.41g、0.5mmol)の化合物を含む、クロロベンゼン溶液(25ml)が窒素でパージされ、残留酸素を取り除くために0.5時間バブリングされる。そして、Pd
2(dba)
3(0.014g、0.015mmol)とP(o−Tol)
3(0.0083g、0.027mmol)が加えられる。窒素のパージを続け、残留酸素を除去するための1時間のバブリングを続け、100℃で45時間加熱し、最終的に、ベンゾジチオフェン有機物半導体P
1の反応混合物を得た。
【0057】
混合物は、沈殿させるためにメタノールに加えられ、吸引フィルタリングされ、メタノールで洗浄して、乾燥される。その後、クロロベンゼンに溶解し、ナトリウムジエチルジチオカーバメートの水溶液に加えられる。混合物は、80℃に加熱され、一晩攪拌される。有機相は、アルミナカラムクロマトグラフィーによって精製され、クロロホルムで溶離される。有機溶媒が減圧して取り除かれ、残留物をメタノールで沈殿させ、吸気フィルタリングをし、3日間かけてアセトンソックスレー抽出で生成物となる固形物が抽出される。メタノールで沈殿させ、吸気フィルタリングをし、生成物となるベンゾジチオフェン有機物半導体P
1の固形物を、真空ポンプによって一晩真空引きして得る。収率は、62%である。分子量(ゲル浸透クロマトグラフ、THF、R.I):Mn=47500,Mw/Mn=2.3)。
【0058】
四: ベンゾジチオフェン有機物半導体P
2
【化24】
【0059】
窒素雰囲気の下で、5,8−ジ−(5−ブロモ−4−n−ドデシル−2−チェニル)−キノキサリン(0.39g、0.5mmol)、2,7−ビス−(トリメチルすず)−4,5−ジオクチルベンゾ〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェン(0.37g、0.5mmol)の化合物を含む、クロロベンゼン溶液(25ml)が窒素でパージされ、残留酸素を取り除くために0.5時間バブリングされる。そして、Pd
2(dba)
3(0.014g、0.015mmol)とP(o−Tol)
3(0.0083g、0.027mmol)が加えられる。窒素のパージを続け、残留酸素を除去するための1時間のバブリングを続け、132℃で48時間加熱し、最終的に、ベンゾジチオフェン有機物半導体P
2の反応混合物を得た。
【0060】
混合物は、沈殿させるためにメタノールに加えられ、吸引フィルタリングされ、メタノールで洗浄して、乾燥される。その後、クロロベンゼンに溶解し、ナトリウムジエチルジチオカーバメートの水溶液に加えられる。混合物は、80℃に加熱され、一晩攪拌される。有機相は、アルミナカラムクロマトグラフィーによって精製され、クロロホルムで溶離される。有機溶媒が減圧して取り除かれ、残留物をメタノールで沈殿させ、吸気フィルタリングをし、3日間かけてアセトンソックスレー抽出で生成物となる固形物が抽出される、メタノールで沈殿させ、吸気フィルタリングをし、生成物となるベンゾジチオフェン有機物半導体P
2の固形物を、真空ポンプによって一晩真空引きして得る。収率は、51%である。分子量(ゲル浸透クロマトグラフ、THF、R.I):Mn=26500,Mw/Mn=1.9)。
【0061】
五: ベンゾジチオフェン有機物半導体P
3
【化25】
【0062】
窒素雰囲気の下で、5,8−ジ−(5−ブロモ−4−n−エイコシル−2−チェニル)−2−メチル−3−n−エイコシル−キノキサリン(0.65g、0.5mmol)、2,7−ビス−(トリメチルすず)−4,5−ジオクチルベンゾ〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェン(0.37g、0.5mmol)の化合物を含む、クロロベンゼン溶液(25ml)が窒素でパージされ、残留酸素を取り除くために0.5時間バブリングされる。そして,Pd
2(dba)
3(0.014g,0.015mmol)とP(o−Tol)
3(0.0083g,0.027mmol)が加えられる。窒素のパージを続け、残留酸素を除去するための1時間のバブリングを続け、80℃で55時間加熱し、最終的に、ベンゾジチオフェン有機物半導体P
3の反応混合物を得た。
【0063】
混合物は、沈殿させるためにメタノールに加えられ、吸引フィルタリングされ、メタノールで洗浄して、乾燥される。その後、クロロベンゼンに溶解し、ナトリウムジエチルジチオカーバメートの水溶液に加えられる。混合物は、90℃に加熱され、一晩攪拌される。有機相は、アルミナカラムクロマトグラフィーによって精製され、クロロホルムで溶離される。有機溶媒が減圧して取り除かれ、残留物をメタノールで沈殿させ、吸気フィルタリングをし、3日間かけてアセトンソックスレー抽出で生成物となる固形物が抽出される。メタノールで沈殿させ、吸気フィルタリングをし、生成物となるベンゾジチオフェン有機物半導体P
3の固形物を、真空ポンプによって一晩真空引きして得る。収率は、60%である。分子量(ゲル浸透クロマトグラフ、THF、R.I):Mn=78300,Mw/Mn=2.1)。
【0064】
六: ベンゾジチオフェン有機物半導体P
4
【化26】
【0065】
アルゴン雰囲気の下で、5,8−ジ−(5−ブロモ−4−メチル‐2−チェニル)−2,3−ジオクチル−キノキサリン(0.35g、0.5mmol)、2,7−ビス−(トリメチルすず)−4,5−ジオクチルベンゾ〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェン(0.37g、0.5mmol)の化合物を含む、クロロベンゼン溶液(25ml)、がアルゴンガスでパージされ、残留酸素を取り除くために0.5時間バブリングされる。そして,Pd
2(dba)
3(0.014g,0.015mmol)とP(o−Tol)
3(0.0083g,0.027mmol)が加えられるアルゴンガスのパージを続け、残留酸素を除去するための1時間のバブリングを続け、60℃で69時間加熱し、最終的に、ベンゾジチオフェン有機物半導体P
4の反応混合物を得た。
【0066】
混合物は、沈殿させるためにメタノールに加えられ、吸引フィルタリングされ、メタノールで洗浄して、乾燥される。その後、クロロベンゼンに溶解し、ナトリウムジエチルジチオカーバメートの水溶液に加えられる。混合物は、100℃に加熱され、一晩攪拌される。有機相は、アルミナカラムクロマトグラフィーによって精製され、クロロホルムで溶離される。有機溶媒が減圧して取り除かれ、残留物をメタノールで沈殿させ、吸気フィルタリングをし、3日間かけてアセトンソックスレー抽出で生成物となる固形物が抽出される。メタノールで沈殿させ、吸気フィルタリングをし、生成物となるベンゾジチオフェン有機物半導体P
4の固形物を、真空ポンプによって一晩真空引きして得る。収率は、48%である。分子量(ゲル浸透クロマトグラフ、THF、R.I):Mn=6900,Mw/Mn=2.3)。
【0067】
七:ベンゾジチオフェン有機物半導体P
5
【化27】
【0068】
窒素とアルゴンの雰囲気の下で、5,8−ジ−(5−ブロモ−4−n−ドデシル‐2−チェニル)−2,3−ジオクチル−キノキサリン(0.25g、0.5mmol)、2,7−ジブロモ−4,5−ジオクチルベンゾ〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェン(0.14g、0.25mmol)、2,7−ビス−(トリメチルすず)−4,5−ジオクチルベンゾ〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェン(0.37g、0.5mmol)の化合物を含む、クロロベンゼン溶液(25ml)、が窒素とアルゴンの混合ガスでパージされ、残留酸素を取り除くために0.5時間バブリングされる。そして、Pd
2(dba)
3(0.014g,0.015mmol)とP(o−Tol)
3(0.0083g,0.027mmol)が加えられる窒素とアルゴンの混合ガスのパージを続け、残留酸素を除去するための1時間のバブリングを続け、80℃で40時間加熱し、最終的に、ベンゾジチオフェン有機物半導体P
5の反応混合物を得た。
【0069】
混合物は、沈殿させるためにメタノールに加えられ、吸引フィルタリングされ、メタノールで洗浄して、乾燥される。その後、クロロベンゼンに溶解し、ナトリウムジエチルジチオカーバメートの水溶液に加えられる。混合物は、95℃に加熱され、一晩攪拌される。有機相は、アルミナカラムクロマトグラフィーによって精製され、クロロホルムで溶離される。有機溶媒が減圧して取り除かれ、残留物をメタノールで沈殿させ、吸気フィルタリングをし、3日間かけてアセトンソックスレー抽出で生成物となる固形物が抽出される。メタノールで沈殿させ、吸気フィルタリングをし、生成物となるベンゾジチオフェン有機物半導体P
5の固形物を、真空ポンプによって一晩真空引きして得る。収率は、61%である。分子量(ゲル浸透クロマトグラフ、THF、R.I):Mn=68900,Mw/Mn=1.9)。
【0070】
八: ベンゾジチオフェン有機物半導体P
6
【化28】
【0071】
窒素雰囲気の下で、5,8−ジ−(5−ブロモ−4−n−ドデシル‐2−チェニル)−2,3−ジオクチル−キノキサリン(0.13g、0.5mmol)、2,7−ジブロモ−4,5−ジオクチルベンゾ〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェン(0.26g、0.45mmol)、2,7−ビス−(トリメチルすず)−4,5−ジオクチルベンゾ〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェン(0.37g、0.5mmol)の化合物を含む、クロロベンゼン溶液(25ml)が窒素でパージされ、残留酸素を取り除くために0.5時間バブリングされる。そして、Pd
2(dba)
3(0.014g、0.015mmol)とP(o−Tol)
3(0.0083g、0.027mmol)が加えられる。窒素のパージを続け、残留酸素を除去するための1時間のバブリングを続け、70℃で65時間加熱し、最終的に、ベンゾジチオフェン有機物半導体P
6の反応混合物を得た。
【0072】
混合物は、沈殿させるためにメタノールに加えられ、吸引フィルタリングされ、メタノールで洗浄して、乾燥される。その後、クロロベンゼンに溶解し、ナトリウムジエチルジチオカーバメートの水溶液に加えられる。混合物は、80℃に加熱され、一晩攪拌される。有機相は、アルミナカラムクロマトグラフィーによって精製され、クロロホルムで溶離される。有機溶媒が減圧して取り除かれ、残留物をメタノールで沈殿させ、吸気フィルタリングをし、3日間かけてアセトンソックスレー抽出で生成物となる固形物が抽出される。メタノールで沈殿させ、吸気フィルタリングをし、生成物となるベンゾジチオフェン有機物半導体P
6の固形物を、真空ポンプによって一晩真空引きして得る。収率は、41%である。分子量(ゲル浸透クロマトグラフ、THF、R.I):Mn=87500,Mw/Mn=1.9)。
【0073】
九: ベンゾジチオフェン有機物半導体P
7
【化29】
【0074】
窒素雰囲気の下で、5,8−ビス−(5−ブロモ−4−n−ドデシル−2−チェニル)−キノキサリン(0.51g、0.5mmol)、2,7−ビス−(トリメチルすず)−4,5−ジオクチルベンゾ〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェン(0.37g、0.5mmol)の化合物を含む、クロロベンゼン溶液(25ml)が窒素でパージされ、残留酸素を取り除くために0.5時間バブリングされる。そして、Pd
2(dba)
3(0.014g、0.015mmol)とP(o−Tol)
3(0.0083g、0.027mmol)が加えられる。窒素とアルゴンの混合ガスのパージを続け、残留酸素を除去するための1時間のバブリングを続け、110℃で40時間加熱し、最終的に、ベンゾジチオフェン有機物半導体P
7の反応混合物を得た。
【0075】
混合物は、沈殿させるためにメタノールに加えられ、吸引フィルタリングされ、メタノールで洗浄して、乾燥される。その後、クロロベンゼンに溶解し、ナトリウムジエチルジチオカーバメートの水溶液に加えられる。混合物は、80℃に加熱され、一晩攪拌される。有機相は、アルミナカラムクロマトグラフィーによって精製され、クロロホルムで溶離される。有機溶媒が減圧して取り除かれ、残留物をメタノールで沈殿させ、吸気フィルタリングをし、3日間かけてアセトンソックスレー抽出で生成物となる固形物が抽出される。メタノールで沈殿させ、吸気フィルタリングをし、生成物となるベンゾジチオフェン有機物半導体P
7の固形物を、真空ポンプによって一晩真空引きして得る。収率は、46%である。分子量(ゲル浸透クロマトグラフ、THF、R.I):Mn=79500,Mw/Mn=2.1)。
【0076】
実施例2
本実施例2のベンゾジチオフェン有機半導体材料は、以下の化学構造式を有する:
【化30】
ここで、x+y=2,1≦1x<2,0<y<1,1<n≦100、R
1,R
2は、C
1〜C
20アルキル基であり、R
3は、C
1〜C
20アルキル基から選択され、R
4,R
5は、水素、フェニル基、C
1〜C
20アルキル基によって置換されたフェニル基である。
【0077】
有機半導体材料の調合法は、以下の通りである:
1: 5,8−ジ−(5−ブロモ−2−チェニル)−2,3−ジフェニル−キノキサリン
【化31】
【0078】
5,8−ジ−(5−ブロモ−4−n−エイコシル‐2−チェニル)−2,3−ジフェニル−キノキサリンの準備は、以下の例によって示される:
【化32】
【0079】
窒素雰囲気の下で、NBS(0.6g、3.3mmol)が5,8−ジ−(4−n−ドデシル‐2−チェニル)−2,3−ジオクチル−キノキサリン(1.2g、1.53mmol)を含むテトラヒドロフラン溶液(THF50ml)に加えられ、室温で一晩攪拌された。反応溶液は、粗生産物を得るために回転して乾燥された。カラムクロマトグラフによって得られた製品は、1.05gであり、収率は73%であった。MS/(MALDI)m/z:941(M
+)。
【0080】
ここで、2,7ビス(トリメチルすず)−ベンゼン−〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェンと、2,7−ジブロモ−ベンゾ−〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェンの準備法は、実施例1が参照される。
【0081】
以下は、実施例2のベンゾジチオフェン有機半導体材料(P
8,P
9,P
10)の調製過程である。ここで、R
1,R
2,R
3は、C
1〜C
20のアルキル基であり、R
4,R
5は、C
1〜C
20のアルキル基で置換されたフェニル基である。
【0082】
二: ベンゾジチオフェン有機物半導体P
8
【化33】
【0083】
窒素雰囲気の下で、5,8−ジ−(5−ブロモ−4−n−ドデシル‐2−チェニル)−2,3−ジフェニル−キノキサリン(0.47g、0.5mmol)、2,7−ビス−(トリメチルすず)−4,5−ジオクチルベンゾ〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェン(0.37g、0.5mmol)の化合物を含む、トルエン溶液(25ml)が窒素でパージされ、残留酸素を取り除くために0.5時間バブリングされる。そして、Pd
2(dba)
3(0.014g、0.015mmol)とP(o−Tol)
3(0.0083g、0.027mmol)が加えられる。窒素のパージを続け、残留酸素を除去するための1時間のバブリングを続け、100℃で72時間加熱し、最終的に、ベンゾジチオフェン有機物半導体P
8の反応混合物を得た。
【0084】
混合物は、沈殿させるためにメタノールに加えられ、吸引フィルタリングされ、メタノールで洗浄して、乾燥される。その後、クロロベンゼンに溶解し、ナトリウムジエチルジチオカーバメートの水溶液に加えられる。混合物は、80℃に加熱され、一晩攪拌される。有機相は、アルミナカラムクロマトグラフィーによって精製され、クロロホルムで溶離される。有機溶媒が減圧して取り除かれ、残留物をメタノールで沈殿させ、吸気フィルタリングをし、3日間かけてアセトンソックスレー抽出で生成物となる固形物が抽出される。メタノールで沈殿させ、吸気フィルタリングをし、生成物となるベンゾジチオフェン有機物半導体P
8の固形物を、真空ポンプによって一晩真空引きして得る。収率は、58%である。分子量(ゲル浸透クロマトグラフ、THF、R.I):Mn=54500,Mw/Mn=2.1)。
【0085】
三: ベンゾジチオフェン有機物半導体P
9
【化34】
【0086】
窒素雰囲気の下で、5,8−ジ−(5−ブロモ−4−n−ドデシル‐2−チェニル)−2−(4−メチルフェニル)−3−(4−n−エイコシルフェニル)−キノキサリン(0.62g、0.5mmol)、2,7−ビス−(トリメチルすず)−4,5−ジオクチルベンゾ〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェン(0.37g、0.5mmol)の化合物を含む、トルエン溶液(25ml)が窒素でパージされ、残留酸素を取り除くために0.5時間バブリングされる。そして,Pd
2(dba)
3(0.014g,0.015mmol)とP(o−Tol)
3(0.0083g,0.027mmol)が加えられる。窒素のパージを続け、残留酸素を除去するための1時間のバブリングを続け、80℃で68時間加熱し、最終的に、ベンゾジチオフェン有機物半導体P
9の反応混合物を得た。
【0087】
混合物は、沈殿させるためにメタノールに加えられ、吸引フィルタリングされ、メタノールで洗浄して、乾燥される。その後、クロロベンゼンに溶解し、ナトリウムジエチルジチオカーバメートの水溶液に加えられる。混合物は、80℃に加熱され、一晩攪拌される。有機相は、アルミナカラムクロマトグラフィーによって精製され、クロロホルムで溶離される。有機溶媒が減圧して取り除かれ、残留物をメタノールで沈殿させ、吸気フィルタリングをし、3日間かけてアセトンソックスレー抽出で生成物となる固形物が抽出される。メタノールで沈殿させ、吸気フィルタリングをし、生成物となるベンゾジチオフェン有機物半導体P
9の固形物を、真空ポンプによって一晩真空引きして得る。収率は、37%である。分子量(ゲル浸透クロマトグラフ、THF、R.I):Mn=48500,Mw/Mn=1.7)。
【0088】
四:ベンゾジチオフェン有機物半導体P
10
【化35】
【0089】
窒素雰囲気の下で、5,8−ジ−(5−ブロモ−4−n−ドデシル‐2−チェニル)−2,3−ジ(4−オクチルフェニル)−キノキサリン(0.58g、0.5mmol)、2,7−ビス−(トリメチルすず)−4,5−ジオクチルベンゾ〔2,1−b:3,4−b’〕ジチオフェン(0.37g、0.5mmol)の化合物を含む、トルエン溶液(25ml)が窒素でパージされ、残留酸素を取り除くために0.5時間バブリングされる。そして,Pd
2(dba)
3(0.014g,0.015mmol)とP(o−Tol)
3(0.0083g,0.027mmol)が加えられる窒素のパージを続け、残留酸素を除去するための1時間のバブリングを続け、90℃で70時間加熱し、最終的に、ベンゾジチオフェン有機物半導体P
10の反応混合物を得た。
【0090】
混合物は、沈殿させるためにメタノールに加えられ、吸引フィルタリングされ、メタノールで洗浄して、乾燥される。その後、クロロベンゼンに溶解し、ナトリウムジエチルジチオカーバメートの水溶液に加えられる。混合物は、80℃に加熱され、一晩攪拌される。有機相は、アルミナカラムクロマトグラフィーによって精製され、クロロホルムで溶離される。有機溶媒が減圧して取り除かれ、残留物をメタノールで沈殿させ、吸気フィルタリングをし、3日間かけてアセトンソックスレー抽出で生成物となる固形物が抽出される。メタノールで沈殿させ、吸気フィルタリングをし、生成物となるベンゾジチオフェン有機物半導体P
10の固形物を、真空ポンプによって一晩真空引きして得る。収率は、58%である。分子量(ゲル浸透クロマトグラフ、THF、R.I):Mn=31500,Mw/Mn=1.9)。
【0091】
さらに、本発明は以下の化学構造式(式36)を有するベンゾジチオフェン有機半導体材料の用途を提供する。
【化36】
(ここで、x+y=2,1≦x<2,0<y≦1,1<n≦100であり、R
1,R
2は同一又は異なるC
1〜C
20アルキル基であり、R
3はC
1〜C
20アルキル基から選択され、R
4,R
5は、水素、フェニル基、C
1〜C
20アルキル基によって置換されたフェニル基であり、同一又は異なるものである)ポリマー太陽電池、有機エレクトロルミネセンスデバイス、有機電界効果トランジスタ、有機光学ストレ‐ジ、有機非線状デバイス、有機レーザーデバイスなどの分野において使用されるものである。
【0092】
以下の例は、有機太陽電池、有機電界効果トランジスタ、または有機エレクトロルミネセンスデバイスの分野でのベンゾジチオフェン有機半導体材料の使用方法の例である。
実施例3
図1にポリマー太陽電池デバイスの構造を示す。本実施例では、基板はITOガラスであり、ガラスは基板として使用され、ITOが導電層として使用される。
【0093】
ポリマー太陽電池デバイスの構造は以下のように構成されるガラス11、ITO層12、PEDOT:PSS層13、活性層14、Al層15。ここで、活性層14の材料が、本発明のベンゾジチオフェン有機半導体材料である。ITOは、10〜20Ω/sqのシート抵抗を持っているインジウムすず酸化物であり、PEDOTは、ポリ(3,4ーエチレンジオキシチオフェン)、PSSはポリ(スチレンスルホン酸)であり、ITOは、好ましくは、10Ω/sqのシート抵抗を有し、約50〜300nmの厚さを有する。
【0094】
ポリマー太陽電池デバイスは以下のように準備される:
約50〜300nmの厚み有する陽極となる導電層を形成するために、10〜20Ω/sqのシート抵抗を有する酸化インジウムスズ(ITO)12の一層を、ガラス基盤11の1側の表面に蒸着させる。
【0095】
ITOガラスの超音波洗浄を実施し、酸素プラズマ処理を実施し、ITOの表面を、改質効果を有する一層の約20〜300nmの厚さのPEDOT:PSS層13でコーティングする。
【0096】
PEDOT(ポリ(3,4−エチレンジオキシ−チオフェン):PSS(ポリ(スチレンスルホン酸))層13を、スピンコーティング技術によって約50〜300nmの厚みを有する活性層14の一層によってコーティングする。この活性層14は、本発明のベンゾジチオフェン有機半導体材料で作られる。
【0097】
活性層15の上に金属アルミニウムを真空蒸着し、陰極となる金属アルミニウム層15を形成し、有機太陽電池デバイスが製造される。
【0098】
ポリマー太陽電池デバイスは、エポキシ樹脂により被包され、アニーリングのために2時間、120℃未満の密封条件で放置され、その後、室温まで冷却される。アニーリングの後、材料の化学構造は、より一定で規則的になり、その結果、キャリヤの伝送速度と効率が高められ、デバイスの光電変換効率が向上する。
【0099】
ITO層、PEDOT:PSS層、活性層、Al層の好ましい厚みは、それぞれ、110nm、60nm、110nm、100nmである。
【0100】
実施例4
図2に有機エレクトロルミネッセンスデバイスの構造を示す。本実施例では、基板はITOガラスであり、ガラスは基板として使用され、ITOが導電層として使用される。
【0101】
有機エレクトロルミネセンスデバイスは,以下の構造とする。ガラス21,ITO層22,発光層23,LiFバッファ層24,Al層25。ここで、発光層23の材料が、本発明のベンゾジチオフェン有機半導体材料である。
【0102】
有機エレクトロルミネセンスデバイスは,以下のように準備される。
約50〜300nmの厚み有する陽極となる導電層を形成するために、10〜20Ω/sqのシート抵抗を有する酸化インジウムスズ(ITO)22の一層を、ガラス基盤21の一側の表面に蒸着させる。ITOは、好ましくは、10Ω/sqのシート抵抗を有する。
【0103】
ITO層22の表面を、本発明のベンゾジチオフェン有機半導体材料で作られる発光層23にて、スピンコーティング技術によって約50〜300nmの厚みを有するようにコーティングする。
【0104】
発光層23の上にLiFを真空蒸着することで、約0.3−2nmの厚みを有するバッファ層24を形成する。
【0105】
発光層23の上に金属アルミニウムを真空蒸着し、陰極となる金属アルミニウム層25を形成し、有機エレクトロルミネセンスデバイスが製造される。
実施例5
図3に有機電界効果トランジスタの構造を示す。本実施例では、基板はドープされたシリコン(Si)である。
【0106】
有機電界効果トランジスタデバイスは、以下の構造とする。シリコン31,450nmの厚さのSiO
2絶縁層32,SiO
2絶縁層32の改質のためのオクタデシルトリクロロシラン(OTS)層33,有機物半導体層34,金(gold)で作られたソース電極(S)35とドレイン電極(D)36。ここで、有機物半導体層34の材料が、本発明のベンゾジチオフェン有機半導体材料である。ソース電極(S)とドレイン電極(D)の材料は、銅とすることができる。
【0107】
有機電界効果トランジスタデバイスは、以下のように準備される。
【0108】
まず、洗浄されたドープシリコンウェハー31の位置側面を、Si2絶縁層32の一層でコーティングする。次に、10〜200nmの厚みの改質のためのオクタデシルトリクロロシラン層33の一層で、SiO
2絶縁層32をコーティングする。次に、約30〜300nmの厚みを有する本発明のベンゾジチオフェン有機半導体材料で作られた有機物半導体層34で、スピンコーティングにより、オクタデシルトリクロロシラン層33をコーティングする。最終的に、金で作られたソース電極(S)35とドレイン電極(D)36が、間隔を空けて有機物半導体層34に配設されることで、有機電界効果トランジスタが得られる。
【0109】
構成的特徴、及び/または、方法による特定により本発明を言語によって開示したが、添付の請求の範囲で定義される発明は、必ずしも開示された特定の特徴或いは方法に限定されるものではないと理解すべきである。むしろ、上述された詳細な特徴や手法は、特許請求の範囲に記載されている発明を実施するためのサンプルの形式として開示されるものである。