(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5666005
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】プラグインコネクタソケット用のコンタクトエレメント
(51)【国際特許分類】
H01R 13/11 20060101AFI20150115BHJP
【FI】
H01R13/11 302A
H01R13/11 302Z
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-536974(P2013-536974)
(86)(22)【出願日】2010年11月3日
(65)【公表番号】特表2013-541822(P2013-541822A)
(43)【公表日】2013年11月14日
(86)【国際出願番号】CN2010078366
(87)【国際公開番号】WO2012058807
(87)【国際公開日】20120510
【審査請求日】2013年6月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】513022232
【氏名又は名称】ハルティング エレクトロニクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】HARTING Electronics GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】インタオ ワン
(72)【発明者】
【氏名】ジュンミン グオ
【審査官】
竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】
実開平01−020682(JP,U)
【文献】
特開平04−253174(JP,A)
【文献】
特開平10−255887(JP,A)
【文献】
特開2002−283935(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/10 − 13/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント回路基板(5)へのはんだ付けに適した、プラグインコネクタソケット(4)用のコンタクトエレメントであって、該コンタクトエレメントは、コンタクトスプリングエレメント(1)と、固定エレメント(2)とを含み、該固定エレメント(2)は、少なくとも1つのはんだ付けされる接続部(25)を有し、前記コンタクトスプリングエレメント(1)は、対向プラグ(6)のコンタクトピン(61)を収容しかつ該コンタクトピン(61)と電気的な接触を形成するための2つのコンタクトスプリングアーム(14,14′)を有する、プラグインコネクタソケット(4)用のコンタクトエレメントにおいて、該コンタクトエレメントは、2つの部材で構成されており、第1の部材は前記コンタクトスプリングエレメント(1)を含み、第2の部材は固定エレメント(2)を含み、該固定エレメント(2)は、互いに向き合って位置する2つの側部(27,27′)を有し、該側部に、前記コンタクトスプリングエレメント(1)が固定され、かつ前記側部に、前記コンタクトスプリングエレメント(1)が、回転軸線(15)を中心にして少なくとも制限された角度に亘って回転可能であるように取り付けられ、前記2つの側部(27,27′)はそれぞれ、自立した端部を有し、該自立した端部のそれぞれに第1の切欠きが配置されており、該第1の切欠きは、少なくとも部分的に円形の固定領域(22,22′)を含む、ことを特徴とする、プラグインコネクタソケット(4)用のコンタクトエレメント。
【請求項2】
前記第1の切欠きは、付加的に、前記側部(27,27′)の前記自立した端部において、滑り込みのための丸みづけられた部分(26,26′)を備えた挿入領域(21,21′)を有する、請求項1記載のコンタクトエレメント。
【請求項3】
2つの側部(27,27′)はそれぞれ、前記第1の切欠きにすぐ隣接した第2の切欠き(23,23′)を有し、該第2の切欠きによってそれぞれの側部(27,27′)はそれぞれ2つの部分アーム(28,28′,28′′,28′′′)に分割されて、それぞれの側部(27,27′)の弾性を高めている、請求項2記載のコンタクトエレメント。
【請求項4】
前記コンタクトスプリングエレメント(1)は、4つの側面(17,17′,17′′,17′′′)によって包囲された実質的に矩形のコンタクト開口(12)を有し、互いに向き合って位置する2つの前記側面(17,17′′)はそれぞれ、回転アーム(11,11′)を有する、請求項1から3までのいずれか1項記載のコンタクトエレメント。
【請求項5】
前記コンタクトスプリングエレメント(1)を前記固定エレメント(2)に取り付けることができる、請求項1から4までのいずれか1項記載のコンタクトエレメント。
【請求項6】
前記2つの回転アーム(11,11′)をそれぞれの前記側部(27,27′)の弾性変形によって前記固定エレメント(2)に取り付けることができる、請求項4記載のコンタクトエレメント。
【請求項7】
それぞれの回転アーム(11,11′)を、それぞれの挿入領域(21,21′)の滑り込みのための丸みづけられた部分(26,26′)を利用して、前記挿入領域(21,21′)の弾性変形により、関連する固定領域(22,22′)へ導入することができる、請求項2及び4記載のコンタクトエレメント。
【請求項8】
コンタクトスプリングエレメント(1)は、付加的に2つの横方向アーム(13,13′)を有し、該横方向アームはそれぞれ、実質的に、差し込まれる対向プラグ(6)のコンタクトピン(61)の差込み方向を指す、自立した端部領域を有する、請求項1から7までのいずれか1項記載のコンタクトエレメント。
【請求項9】
前記横方向アーム(13,13′)は、自立した端部領域に向かって最初は互いから離れるように延びるように向きづけられており、かつ自立した端部領域において互いに向かって曲げられるように形作られており、その結果、横方向アーム(13,13′)の端部領域において、凸状の丸みづけられた部分が形成されており、該凸状の丸みづけられた部分は、互いから離れる方向を指しておりかつ、したがって、固定エレメント(2)の2つの側部(27,27′)と面接触による電気的接触を形成するのに適している、請求項8記載のコンタクトエレメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント回路基板にはんだ付けするのに適した、プラグインコネクタソケット用のコンタクトエレメントであって、該コンタクトエレメントは、コンタクトスプリングエレメントと、固定エレメントとを有し、固定エレメントは、少なくとも1つのはんだ付けされた接続部を有し、コンタクトスプリングエレメントは、対向プラグのコンタクトピンを収容しかつこのコンタクトピンと電気的接触を形成するための2つのコンタクトスプリングアームを有する、プラグインコネクタソケット用のコンタクトエレメントに関する。
【0002】
このようなコンタクトエレメントは、対向する電気プラグと、プリント回路基板の電気的コンタクトとの間の差込み可能な導電性の接続を形成することが要求される。
【0003】
従来技術
欧州特許出願公開第1930987号明細書は、表面実装技術(SMT)を利用して行われるプリント回路基板へのはんだ付けに適したコンタクトキャリヤを開示している。前記コンタクトキャリヤのスプリングコンタクトは、2つの部材から形成されており、それぞれ、2つのコンタクトスプリングアームを有し、これらのコンタクトスプリングアームは、コンタクトハウジング内に互いに向き合って固定されている。
【0004】
欧州特許第1231679号明細書は、固定部分と、ソケットとから成る一部材ソケットコンタクトであって、ソケットは、共通のセンタープレートを介して固定部分に永久に接続された、薄板金の曲げられた部分である、一部材ソケットコンタクトを開示している。その弾性により、ソケットを、この場合特定の角度だけ回動させることができる。これは、ソケットに差し込まれる対向プラグ、特にプリント回路基板プラグの、コンタクトピンの向き付けの誤りの所定の限界の範囲での補償を可能にする。この文脈において、向き付けの誤りという用語は、プラグインコネクタソケットと、対向プラグとの間の横方向ずれ及び不正確な相対角度位置の両方を含む。差し込まれた状態において、ソケットコンタクトは、最大で約0.4mmの対向プラグの横方向ずれと、約1.5°の不正確な角度位置とを補償することができる。
【0005】
実用において、これらの公差は、全ての用途に十分であると証明されていない。さらに、向き付けエラーのこの補償は、ソケットコンタクトにおける力効果に関連させられている。対応するはんだ付け箇所はこの力効果を受けるので、プリント回路基板へのコンタクトエレメントのはんだ付けはSMTを用いて行われるならば、特に問題がある。
【0006】
発明の目的
したがって、本発明は、上記欠点を回避し、かつ従来技術において知られるよりも大きな向き付けエラーの補償を可能にするコンタクトエレメントを明示するという目的に基づく。これらの大きな向き付けエラーから生じるはんだ付けコンタクトにおける力効果は、特にSMTを使用して形成されるならば、ここでは回避されるか、又は、はんだ付けコンタクトへの損傷が排除される程度まで少なくとも減じられる。
【0007】
この目的は、コンタクトエレメントが2つの部材で形成されていることによって達成され、この場合、第1の部材は、コンタクトスプリングエレメントから成り、第2の部材は、固定エレメントから成り、固定エレメントは、互いに向き合って位置する2つの側部を有し、これらの側部に、コンタクトスプリングエレメントが固定され、かつ少なくとも回転軸線を中心とする制限された角度に亘って回転可能であるように取り付けられている。
【0008】
発明の有利な実施の形態は、従属請求項に示されている。
【0009】
本発明は、プラグインコネクタソケット用のコンタクトエレメントである。このコンタクトエレメントは、好適にはSMTを使用してプリント回路基板にはんだ付けされるために提供されており、対向プラグの比較的大きな横方向ずれを補償することができる。
【0010】
本発明の顕著な利点は、これらの大きな公差が用いられる場合でさえも、はんだ付け接続部において、付加的な力が生ぜしめられないか又は十分に小さな付加的な力しか生ぜしめられないということであり、これは、はんだ付け接続部が損傷されないことを保証する。
【0011】
ずれは、ここでは、結果として機械的応力が生ぜしめられないという利点を有する、コンタクトスプリングエレメントの回転によって補償される。
【0012】
この実施の形態において、固定エレメントが、互いに向き合って位置する2つの平行な側部を有することが有利である。なぜならば、固定エレメントを、打抜き及び曲げ技術を用いて製造することができるからである。ここでは、2つの側部がそれぞれ、挿入領域と、挿入領域にすぐ隣接した固定領域とを有する第1の切欠きをそれぞれが備えた自立した端部を有し、コンタクトスプリングエレメントが、2つの対応する回転アームを有するならば、特に有利である。なぜならば、これらの回転アームを、取付け中にそれぞれ挿入領域を介してそれぞれの固定領域に挿入することができるからである。
【0013】
このような固定領域が少なくとも部分的に円形の設計のものであっても有利である。なぜならば、その結果、各回転アームは、関連した固定領域において回転可能に取り付けられるからである。
【0014】
挿入領域が側部の自立した端部に配置されており、自立した端部に向かって開放しており、かつ滑り込む丸みづけられた部分が設けられていても有利である。なぜならば、これは、それぞれの回転アームの単純な挿入を保証するからである。
【0015】
コンタクトスプリングエレメントが、4つの側面、好適には2つの短い側面及び2つの長い側面によって包囲された実質的に矩形のコンタクト開口を有し、それぞれ、2つの回転アームのうちの1つが、互いに向き合って位置する2つの側面、好適には2つの短い側面に一体に形成されていても、有利である。この文脈において、"実質的に矩形"とは、側面がそれぞれ、大部分が直線的な部分から成り、別の側面に隣接する丸みづけられた角領域において90°曲げられていることを意味する。したがって、コンタクトスプリングアームは、互いに向き合って位置する2つの他の側面、好適には2つの長い側面の直線的な部分に隣接することができる。その結果、コンタクトスプリングエレメントは、打抜き及び曲げ技術を用いて形成することができる。
【0016】
2つのコンタクトスプリングアームは、それぞれの側面から出発して、実質的に、差し込まれる対向プラグの差込み方向に延びており、すなわち、各コンタクトスプリングアームは、対向プラグの差込み方向、ひいてはこの対向プラグのコンタクトピント同じ方向を指す自立した端部領域を有することも、有利である。この端部領域に向かって、前記自立した端部領域は、まず僅かに互いに向かって延びるように成形されている。自立した端部領域において、2つのコンタクトスプリングアームは、好適には平坦な設計でかつコンタクト開口を通じて挿入される対向プラグのコンタクトピンと接触するために、互いに反対方向に丸みづけられている。これは、コンタクトスプリングエレメントとコンタクトピンとの間の大きな接触面積を保証する。コンタクトスプリングアームがコンタクトピンよりも幅広であると、この場合、特に有利である。なぜならば、これにより、対向プラグのずれを、この方向でコンタクト面に沿ってコンタクトピンを押すことによって補償することもできるからである。
【0017】
側部が、自立端部とは反対の方向で第1の切欠きに隣接した第2の切欠きを有しても、特に有利である。なぜならば、これは、側部の弾性を高めるからである。このように、取付け中、側部の自立端部において挿入されるコンタクトスプリングエレメントの回転アームは、固定領域に滑り込むために、滑り込みのための丸みづけられた部分において押圧することによって、第1の切欠きを弾性的に拡開させることができ、側部の弛緩後にそこに回転可能に固定される。したがって、取り付けられた状態において、各回転アームは、2つの固定領域のうちの1つに配置され、回転軸線が2つの固定領域を通ってかつ2つの回転アームを軸方向に通って延びる。
【0018】
固定エレメントが、追加的に、少なくとも1つ、好適には2つのはんだ付けピンを有しても有利である。なぜならば、これにより、コンタクトエレメントをプリント回路基板に従来のように差し込み、そこにはんだ付けすることができるからである。
【0019】
別の有利な実施の形態において、固定エレメントは、SMTを用いてはんだ付けするのに適しており、混合された形式も可能であり、前記形式は、固定エレメントを、SMTを使用して又ははんだ付けピンを備えた慣用の形式で、表面実装適合性(SMC)構成部材としてはんだ付けすることができることから成る。これは、コンタクトエレメントを、要求に応じて特にフレキシブルに使用することができるという利点を有する。
【0020】
別の有利な実施の形態において、コンタクトスプリングエレメントは、2つのコンタクトスプリングアームに加えて、2つの側部アームを有する。これらの2つの側部アームはそれぞれ、それぞれ2つの側面、好適には短い側面の直線的な部分において2つのコンタクトスプリングアームに対して直角に配置されている。それぞれの側面において始まって、側部アームは、実質的に、差し込まれる対向プラグの差し込み方向に沿って延びており、すなわち、それぞれの側部アームは、対向プラグの差し込み方向を指す自立した端部領域を有する。この端部領域に向かって、側部アームは、まず僅かに互いから離れるように延びるように成形されている。側部アームは、自立端部領域において互いに向かって曲げられるように成形されており、その結果、凸状の丸みづけられた部分は、互いから離れる方向を指す端部領域に形成されており、したがって、コンタクトスプリングエレメントが固定エレメントに挿入されるやいなや固定エレメントの2つの側部と大きな面積に亘って電気的接触を形成するのに適している。
【0021】
コンタクトエレメントの取り付けられた状態において、これは、回転アームと側部との間の電気的接触に加え、コンタクトスプリングエレメントは、さらに、コンタクトスプリングエレメントの側部アームと、固定エレメントの側部との間の比較的大きな接触面に亘って、固定エレメントとの電気的接触を生ぜしめるという利点を有する。これは、回転アームと、それらのそれぞれの固定領域との間の接点を介してのみ生ぜしめられる電気的接触と比較して、コンタクトスプリングエレメントと固定エレメントとの間の導電率を著しく高める。同時に、側部アームは、固定エレメントのそれぞれの側部に対する、互いに反対向きの力効果によって、固定エレメントにおいてコンタクトスプリングエレメントを機械的に安定させることができる。
【0022】
さらに、製造コストを減じるために、コンタクトスプリングエレメントは一片として形成されていると有利である。特に、コンタクトスプリングエレメントは、ばね弾性的材料から打ち抜かれ、打抜き及び曲げ技術を用いて成形される。
【0023】
製造コストを減じるために、固定エレメントが一片として形成されていても有利である。固定エレメントは、好適には、ばね弾性的材料、特にコンタクトスプリングエレメントと同じ材料から打ち抜かれ、打抜き及び曲げ技術を用いて成形される。
【0024】
コンタクトスプリングエレメントの2つのコンタクトスプリングアームは、有利には、互いに関して対称的であるように形成されている。特に、コンタクトスプリング全体が、第1の対称平面に関して鏡像対称的であるように形成されていると有利である。なぜならば、この場合、対向プラグがコンタクトエレメント内に差し込まれたときに最小限の応力しか生ぜしめられず、対向プラグのコンタクトピンが、差込みプロセス中に最適な形式でセンタリングされるからである。
【0025】
プラグインコネクタソケットは、絶縁本体をも有する。この絶縁本体は、好適には、直角平行六面体の形態で形成されており、有利には、一方の側において、少なくとも1つの接続開口を有し、この接続開口は、プリント回路基板への取付けのために設けられている。取付け中、コンタクトスプリングエレメントと、固定エレメントとから成るコンタクトエレメントは、この接続開口を通って絶縁本体内へ挿入される。さらに、プリント回路基板へのプラグインコネクタソケットの取付け中、それぞれのコンタクトエレメントの少なくとも1つのはんだ付けされた接続部と、プリント回路基板との間に、コンタクト窓を通して接触が形成される。
【0026】
1つの好適な実施の形態において、絶縁本体は、それぞれコンタクトエレメントを収容するために設けられた複数の異なるチャンバを有する。
【0027】
さらに、各チャンバは、境界面を有し、これらの境界面には、取付け後に、コンタクトエレメントが固定され、境界面を介して、コンタクトエレメントの延在が制限されている。1つの好適な実施の形態において、側部の弾性変形は、チャンバの形状によって妨げられ、その結果、コンタクトスプリングエレメントは、固定エレメントに捕捉形式で固定される。
【0028】
別の好適な実施の形態において、チャンバは、好適には境界面に配置されたストップエレメントを有する。これらのストップエレメントは、取付け中に、コンタクトエレメントを、それぞれのチャンバ内へ提供されるよりも深く挿入することができないという利点を有する。なぜならば、提供された位置に達すると、コンタクトエレメントの複数の部分が、関連するストップエレメントに当接するからである。コンタクトエレメントのこれらの部分は、例えば、コンタクトスプリングアーム及び/又は側部アームの特に有利な形状によって形成された特別なエッジによって形成することができる。特に、特別な形状は、コンタクトスプリングアームと側部アームとの間の角領域に存在する。
【0029】
別の有利な実施の形態において、絶縁本体は、ガイドピンを有し、これらのガイドピンは、プリント回路基板への取付け中に、その目的のために提供されたプリント回路基板におけるガイド切欠き内に挿入され、確実にロックする形式でそこに固定され、絶縁本体をプリント回路基板に固定する。さらに、絶縁本体は、取り付けられた状態においてプリント回路基板に対して当接する支持脚部を有する。これらの支持脚部の間において、絶縁本体は、好適には窓を有し、これらの窓は、換気を提供し、かつSMTはんだ付けが行われている間にはんだ付け箇所の視覚的観察を可能にするために働く。
【0030】
1つの特に有利な実施の形態において、2つのプラグインコネクタソケットを、2つの側において取り付けることができるプリント回路基板に、異なる側からはんだ付けすることができ、接触は、それぞれの側と、対向プラグとの間に形成することができ、これは、一方では、スペースを節約し、他方では、2つの異なる差込み方向を可能にする。
【0031】
1つの有利な実施の形態において、本発明による1つの設計は、12°までの不正確な角度位置を許容する。したがって、回転軸線に対して直角でかつ差込み方向に対して直角での、1mmの、プラグイン対向プラグの横方向のずれが、可能である。コンタクトスプリングエレメントが、対向プラグのコンタクトピンよりも幅広であっても有利である。なぜならば、これにより、プラグインコネクタソケットは、好適には平坦な設計であるコンタクトピンが、このコンタクトピンと接触する2つのコンタクトアームの間に、コンタクトアームのコンタクト面の方向でずれて配置されることにより、回転軸線の方向及び差込み方向に対して直角での対向プラグの横方向ずれも補償することができるからである。
【0032】
発明の第1の典型的な実施の形態が、図面に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1a】コンタクト開口を示すコンタクトスプリングエレメントの図である。
【
図1b】2つのコンタクトスプリングアーム及び2つの横方向アームを示すコンタクトスプリングエレメントの図である。
【
図2a】2つの側部を示す固定エレメントの図である。
【
図2b】2つのはんだ付けピンを示す固定エレメントの図である。
【
図3a】取り付けられていない状態におけるコンタクトエレメントの図である。
【
図3b】取り付けられた状態におけるコンタクトエレメントの図である。
【
図4a】4つのコンタクト窓を示す絶縁本体の図である。
【
図4b】4つの接続開口を示す絶縁本体の図である。
【
図5a】取り付けられていない状態におけるプラグインコネクタソケットの図である。
【
図5b】取り付けられた状態におけるプラグインコネクタソケットの図である。
【
図6】2つの側においてプラグインコネクタソケットが取り付けられたプリント回路基板と、差込みプロセス中の2つの関連する対向プラグとを示す図である。
【
図7a】プラグインコネクタソケットが取り付けられたプリント回路基板と、差込みプロセス中の、Y方向で横方向にずれた対向プラグとの断面図である。
【
図7b】プラグインコネクタソケットが取り付けられたプリント回路基板と、Y方向で横方向にずれた差し込まれた対向プラグとの断面図である。
【
図8a】プラグインコネクタソケットが取り付けられたプリント回路基板と、差込みプロセス中の、X方向で横方向にずれた対向プラグとの断面図である。
【
図8b】プラグインコネクタソケットが取り付けられたプリント回路基板と、X方向で横方向にずれた差し込まれた対向プラグとの断面図である。
【0034】
図1aは、一片コンタクトスプリングエレメント1をコンタクト開口12の斜め観察方向で示しており、前記コンタクトスプリングエレメント1は、打抜き及び曲げ技術を用いて、ばね弾性的で、導電性の材料から製造されている。コンタクトエレメント12は、その横断面において、実質的に矩形に延びており、すなわち、4つの側面17,17′,17′′,17′′′によって包囲されており、そのうち2つの側面は、それぞれ、第1の側面対17′,17′′′又は第2の側面対17,17′′を形成している。これらの4つの側面17,17′,17′′,17′′′は、ストリップ状領域が、4つの丸みづけられた角領域18,18′,18′′,18′′′において、それぞれ90°曲げられており、再び、前端部及び後端部19において、例えばキー及びスロット19を介して接合されていることによって、ばね弾性的で、導電性の材料のストリップ状領域から形成されている。この文脈において、各側面対の2つの側面17,17′′/17′,17′′′は、それぞれ等しい長さであり、それぞれ互いに平行に配置されており、互いに向き合って位置している。さらに、第1の側面対17′,17′′′の2つの側面は、第2の側面対17,17′′の2つの側面に対して直角に配置されている。第1の側面対17′,17′′′の側面は、第2の側面対17,17′′の側面よりも長い。
【0035】
さらに、コンタクトスプリングエレメント1は、第2の側面対の2つの側面において、共通の回転軸線15に配置された2つの回転アーム11,11′を有する。
【0036】
コンタクトスプリングエレメント1は、それぞれ、第1の側面対17,17′′′の2つの側面に隣接して1つのコンタクトスプリングアーム14,14′を有する。これらの2つのコンタクトスプリングアーム14,14′は、それぞれの側面17,17′′′から始まって、実質的に、差し込まれる対向プラグ6の差込み方向に延びており、この方向で最初は僅かに互いに向かって延び、これにより自立領域において反対方向へ丸みづけられた形式で延びるように向きづけられている。すなわち、これらのコンタクトスプリングアームは、端部領域において再び互いから離れる方向へ曲げられるように形作られており、その結果、互いに向けられた面においては、凸状の丸みづけられた部分が形成されている。さらに、2つのコンタクトスプリングアーム14,14′は、互いに対して対称的に延びており、その結果、凸状の丸みづけられた部分は、互いに向き合って位置し、したがって、それぞれ、対向プラグ6の、これらのコンタクトスプリングアームの間に挿入されるコンタクトピン61との、大きな電気的に有効なコンタクト領域を形成している。
【0037】
コンタクトスプリングエレメントは、それぞれ、第2の側面対17,17′′の2つの側面に隣接した1つの横方向アーム13,13′を有する。横方向アーム13,13′は、互いに対して対称的に配置されており、それぞれの側面17,17′′から始まって、実質的に、差し込まれる対向プラグ6のコンタクトピン61の差込み方向に延びている。この方向で、横方向アームは、最初は僅かに互いから離れるように延びている。自立端部領域において、横方向アームは、互いに向かって曲げられるように形作られており、その結果、横方向アームの端部領域において、互いから離れる方向を指す凸面状の丸みづけられた部分が形成されている。したがって、横方向アーム13,13′は、コンタクトスプリングエレメント1が固定エレメント2に挿入されるやいなや、大きな面積に亘って、固定エレメント2の2つの側部27,27′と電気的接触を形成するのに適している。
【0038】
図1bは、2つのコンタクトスプリングアーム14,14′と、2つの横方向アーム13,13′とを示す、斜め観察方向におけるコンタクトスプリングエレメントを示している。この観察方向からは、3つの特別なエッジ16,16′,16′′も明瞭に見られる。コンタクトエレメント1の対称性から、第4の特別なエッジが存在するが、この斜視図からはコンタクトスプリングアーム14′によって隠されていることが明らかである。これらの特別なエッジは、4つの丸みづけられた角領域18,18′,18′′,18′′′の領域においてコンタクトスプリングアーム14,14′も横方向アーム13,13′も4つの側面17,17′,17′′,17′′′にすぐ隣接していないことによって形成されている。その結果、角領域、18,18′,18′′,18′′′における特別なエッジ16,16′,16′′′は、コンタクトスプリングアーム14,14′と横方向アーム13,13′との間に配置されている。
【0039】
図2a及び
図2bは、固定エレメント2を異なる視点から示している。
図2aにおいて、互いに向き合った位置する2つの側部27,27′が、それらの切欠きとともに特に明らかに見ることができる。第1の切欠きは、挿入領域21,21′と、固定領域22,22′とから成る。第2の切欠き23,23′は、第1の切欠きにすぐ隣接しており、それぞれの側部27,27′の長さの半分よりも長く延びている。それぞれの側部27,27′は、第1及び第2の切欠き23,23′によって2つの部分的なアーム28,28′,28′′,28′′′に分割されている。これは、それぞれの側部27,27′の弾性を著しく高める。
【0040】
固定エレメントは、2つのはんだ付けピン25,25′を有する。固定エレメントを、これらのはんだ付けピンにおいてプリント回路基板に差し込み、プリント回路基板にはんだ付けすることができる。さらに、固定エレメントは、
図2bに示されたコンタクト面29を有し、このコンタクト面29によって固定エレメントを択一的にSMTを利用してはんだ付けすることができる。
【0041】
固定エレメント1は、鉤状部24,24′を有し、この鉤状部によって固定エレメント1は、絶縁本体3への挿入後にこの絶縁本体3に固定される。
【0042】
図3a及び
図3bは、固定エレメント2へのコンタクトスプリングエレメント1の挿入である取付けの前後におけるコンタクトエレメントを示す。回転アーム11,11′が挿入領域21,21′に押し込まれると、回転アーム11,11′は、滑り込みのための丸みづけられた部分、ひいては部分的なアーム28,28′/28′′,28′′′を、互いから離れるように弾性的に押し付け、ひいては第1の切欠きを弾性的に拡開させ、その結果、回転アーム11,11′は、それぞれの固定領域22,22′へ押し込まれ、側部の弛緩によって、すなわち部分的なアーム28,28′/28′′,28′′′の跳ね返りによって、前記固定領域に固定される。
【0043】
図3bは、回転軸線15を示しており、この回転軸線15を中心にして、コンタクトスプリングエレメント1は、少なくとも12°の角度だけ回転可能であるように、固定エレメント2に保持されている。この目的のために、横断面が半円形である回転アーム11,11′は、少なくとも部分的に円形の固定領域22,22′において対応して回転可能であるように取り付けられている。したがって、回転軸線15は、2つの回転アーム11,11′と、関連する固定領域22,22′とを通って延びている。
【0044】
コンタクトスプリングエレメント1の横方向アーム13,13′は、外方へ向けられた、すなわち互いから離れる方向に面した凸状の丸みづけられた部分において、固定エレメント2の側部27,27′に対して押し付けられる。一方では、これは、固定エレメント2においてコンタクトスプリングエレメント1を機械的に安定させる。他方では、これは、大きな電気的コンタクト面をも提供し、その結果、コンタクトスプリングエレメント1と固定エレメント2との間の特に高い導電性をも提供する。コンタクトスプリングエレメント1の回転中、横方向アーム13,13′は、固定エレメントの側部27,27′に沿って摺動し、これにより、その過程において有効コンタクト面の寸法が減じられることなく、12°の角度に亘るコンタクトスプリングエレメント1の回転を可能にする。
【0045】
図4aは、4つのコンタクト窓31が見えるように絶縁本体3を示している。これらのコンタクト窓は、絶縁本体3内への対向プラグ6のコンタクトピン61の挿入のために設けられている。
【0046】
図4bは、4つの接続開口37が見えるように絶縁本体を示している。絶縁本体3は、直角平行六面体の形状で具体化されており、それぞれ1つのコンタクトスプリングエレメント1を収容するために設けられた、4つのチャンバを有する。チャンバは、境界面36を有し、これらの境界面36の間に、コンタクトエレメントが収容された後に固定され、前記境界面36によってコンタクトエレメントはその拡張が制限される。
【0047】
4つの接続エレメント37は、これらのチャンバのそれぞれへの1つのコンタクトエレメントの挿入のために働く。さらに、このような接続開口37は、プリント回路基板5上で、絶縁本体3に挿入されたコンタクトエレメントと接触を行うために働く。
【0048】
絶縁本体3は、これらのチャンバにおいて、ストップエレメント35を有する。ストップエレメント35は、好適には境界面36に配置されている。これらのストップエレメント35は、以下のような利点を有する。すなわち、取付け中に、コンタクトエレメントを、規定よりも深くそれぞれのチャンバ内へ挿入することができないということである。なぜならば、規定の位置に到達すると、コンタクトエレメントの特別なエッジ16,16′,16′′が、それぞれに関連したストップエレメント35に対して当接するからである。
【0049】
絶縁本体3は、4つのガイドピン32を有する。ガイドピン32は、プリント回路基板5上への絶縁本体3の取付け中に、プリント回路基板に配置された切欠きに挿入されるために設けられている。さらに、絶縁本体3は、支持脚部34を有する。支持脚部34は、取り付けられた状態においてプリント回路基板5に当接する。これらの支持脚部34の間において、絶縁本体3は窓33を有する、窓33は、換気を提供するために働き、SMTはんだ付けが行われているときに、はんだ付け箇所の視覚的観察を可能にする。
【0050】
図5aは、非取付け状態におけるプラグインコネクタソケットを示している。非取付け状態であるのは、コンタクトスプリングエレメント1と、このコンタクトスプリングエレメント1に固定された固定エレメント2とから成るコンタクトエレメントがこの図においてはまだ絶縁本体3に挿入されていないからである。
【0051】
図5bは、取付け状態におけるプラグインコネクタソケットを示しており、この取付け状態において、コンタクトエレメントは既に絶縁本体3に挿入されており、鉤状部24,24′によって絶縁本体3に固定されている。接続開口37を介して、はんだ付けピン25とコンタクト面29との接触を形成することができる。
【0052】
図6は、両側においてそれぞれ1つのプラグインコネクタソケット4,4′が取り付けられたプリント回路基板を示している。さらに、関連する対向プラグ6,6′は、差込みプロセスにおいて概略的に示されている。したがって、前記対向プラグ6,6′のコンタクトピン61,61′は、それぞれのプラグインコネクタソケット4,4′のコンタクト窓31に方向付けられている。
【0053】
図7aは、差込みプロセスにおける、僅かに横方向にずれた対向プラグ6とともに、Y−Z平面に沿ったプリント回路基板5の断面を示しており、前記プリント回路基板5にはプラグインコネクタソケット4が取り付けられている。横方向ずれ7は、Y方向に1mmである。
【0054】
図7bは、僅かに横方向にずれて差し込まれた対向プラグ6とともに、Y−Z平面に沿ったプリント回路基板5の断面を示しており、前記プリント回路基板5には、プラグインコネクタソケット4が取り付けられている。横方向ずれ7は、差込み状態においても、Y方向に1mmである。平坦な設計のコンタクトピン61は、通常の、すなわち中央の差込み位置に関する共通のコンタクト面に沿ってコンタクトスプリングアーム14,14′の間に押し込まれる。
【0055】
図8aは、差込みプロセスにおける、僅かに横方向にずれた対向プラグ6とともに、Z−X平面に沿ったプリント回路基板5の断面を示しており、前記プリント回路基板5にはプラグインコネクタソケット4が取り付けられている。横方向ずれ8は、X方向に1mmである。
【0056】
図8bは、僅かに横方向にずれて差し込まれた対向プラグ6とともに、Z−X平面に沿ったプリント回路基板5の断面を示しており、前記プリント回路基板5にはプラグインコネクタソケット4が取り付けられている。横方向オフセット8は、差込み状態においてもX方向に1mmである。したがって、コンタクトスプリングエレメント1は、回転軸線15を中心にして12°だけ固定エレメント2において回転させられる。プラグインコネクタソケットのこの設計によって、角度方向のずれは通常生じないが、このようなコンタクトエレメントによって12°までの角度方向のずれを補償することができることがこの図から明らかである。
【符号の説明】
【0057】
1 コンタクトスプリング
11,11′ 回転アーム
12 コンタクト開口
13,13′ 横方向アーム
14,14′ コンタクトスプリングアーム
15 回転軸線
16,16′,16′′ 特別なエッジ
17,17′,17′′,17′′′ 側面
18,18′,18′′,18′′′ 丸みづけられた角領域
2 固定エレメント
21,21′ 挿入領域
22,22′ 固定領域
23,23′ 第2の切欠き
24,24′ 鉤状部
25 はんだ付けピン
26,26′ 滑り込みのための丸みづけられた部分
27,27′ 側部
28,28′,28′′,28′′′ 部分的なアーム
29 コンタクト面
3 絶縁本体
31 コンタクト窓
32 ガイドピン
33 窓
34 支持脚部
35 ストップエレメント
36 境界面
37 接続開口
4 プラグインコネクタソケット
5 プリント回路基板
51 案内切欠き
6 対向プラグ
61 コンタクトピン
7 X方向のずれ
8 X方向のずれ
9 X方向の角度のずれ