(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記S/Nが90以下である(A)顔料(a)を、S/Nが90より大きい(A)顔料を乾式分散処理することによって得る請求項1又は請求項2に記載の顔料分散液の製造方法。
上記S/Nが90以下である(A)顔料(a)を、乾式分散処理の後の(A)顔料のS/Nを、乾式分散処理の前の(A)顔料のS/Nで割った値が0.5以下となるように乾式分散処理をすることによって得る請求項3に記載の顔料分散液の製造方法。
上記乾式分散処理を行って、上記S/Nが90以下である(A)顔料(a)を得、該乾式分散処理に連続して、上記(B)分散剤及び上記(C)溶媒を配合し湿式分散を行う請求項3又は請求項4に記載の顔料分散液の製造方法。
上記乾式分散処理に使用し、その内部に該乾式分散処理が行われた後の上記S/Nが90以下である(A)顔料(a)が存在する乾式分散処理容器に、少なくとも上記(C)溶媒を加える操作を行うことによって、上記(A)顔料、上記(B)分散剤及び上記(C)溶媒を配合する請求項5に記載の顔料分散液の製造方法。
請求項10に記載の顔料分散液に、更に、少なくとも、(D)アルカリ可溶性樹脂、(E)重合性多官能化合物、及び、(F)光重合開始剤を含有してなることを特徴とするカラーフィルタ用着色樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明について説明するが、本発明は、以下の具体的形態に限定されるものではなく、技術的思想の範囲内で任意に変形することができる。
【0026】
1.顔料分散液
本発明は、少なくとも、(A)顔料、(B)分散剤、及び、(C)溶媒を含有する顔料分散液の製造方法であって、
該(A)顔料として、X線回折スペクトルの主ピークの強度(S)をバックグラウンドノイズの強度(N)で割った値(S/N)が90以下である(A)顔料(a)を含有させ、湿式分散することを特徴とする顔料分散液の製造方法である。
【0027】
1−1.(A)顔料
1−1−1.S/N
本発明における(A)顔料は、X線回折スペクトルの主ピークの強度(S)をバックグラウンドノイズの強度(N)で割った値であるS/N(以下、単に、「S/N」と略記することがある)が、90以下であることが必須である。S/Nは結晶性の程度を表わす値として位置づけられる。
【0028】
X線回折スペクトルは、CuKα線をX線源とした集中法光学系の粉末X線回折装置である、例えば株式会社リガク社製の「RINT−TTR III」を用い、測定条件として、走査領域2θ=3〜55°、サンプリング幅0.02°、スキャンスピード5°/分、発散スリット1/4、散乱スリット1/4、受光スリット0.45mmと設定して得る。
【0029】
主ピークの強度(S)と、バックグラウンドノイズの強度(N)は、X線回折スペクトルからバックグラウンドを除去した後に求める。バックグラウンドの除去は、Sonnevelt−Visser法を用いる。このときのピーク幅閾値は0.10、強度閾値は0.01とする。
【0030】
ここで、「X線回折スペクトルの主ピーク」とは、本発明の顔料分散液に含有させる(A)顔料の結晶性に起因する回折ピークのうち、回折ピークの高さが最大であるピークを言い、「主ピークの強度(S)」とは、X線回折スペクトルの主ピークの高さのことをいう。
また、「バックグラウンドノイズの強度(N)」とは、(A)顔料由来のX線回折スペクトルのピークが検出されない走査範囲(例えば、2θ=47.5°〜48.0°)における平均スペクトル強度をいい、下記の方法で得た、(A)顔料の結晶性に起因しない平均のバックグラウンドノイズの高さのことをいう。
【0031】
「バックグラウンドノイズの強度(N)」の算出方法及び定義を以下に示す。走査範囲2θ=47.5°〜48.0°におけるノイズ由来のピーク高さを、0.02°毎に、計26点検出し、その26点のうち、上下それぞれ7点を除いた計12点の相加平均値を「バックグラウンドノイズの強度(N)」とする。
なお、走査範囲2θ=47.5°〜48.0°に、(A)顔料由来のX線回折スペクトルのピークがもし検出された場合には、2θ=45.0°〜55.0°の範囲から、該ピークを避けた、2θで連続する0.5°の走査範囲に変更して、同様に26点検出する。
【0032】
上記した通り、主ピークの強度(S)と、バックグラウンドノイズの強度(N)は、X線回折スペクトルからバックグラウンドを除去した後に求めるが、ここで、「バックグラウンド」とは、結晶性に起因する回折ピークや該回折ピークのすそ野(テーリング部分)ではなく、コンプトン散乱等に起因する上乗せ部分のことをいう。
図1は、前記した方法でバックグラウンドを除去したX線回折スペクトルチャートである。
【0033】
「S/N」なる数値(概念)は、主ピークの強度(S)等が測定条件で変動する場合があるところ、その変動を較正(キャリブレーション)して、顔料分散液の原料である、「『物』としての(A)顔料」に固有の値となるように導入したものが、「S/N」なる数値(概念)である。
また、主ピーク自体や主ピークの強度(S)は、本発明では、実施例記載の方法で測定試料を作製し、S/Nは、そのように測定されたものとして定義される。
【0034】
S/Nは、その上限が90以下であることが必須であるが、90未満であることが好ましく、70以下であることがより好ましく、60以下であることが特に好ましく、50以下であることが更に好ましく、30以下であることが最も好ましい。
【0035】
上限の好ましい値は(A)顔料の種類にもよるが、上限が上記以下であると、結晶性が低いために(A)顔料の堅牢性が低く、すなわち、粉砕、分散等がされ易く、顔料分散液を調製する際の分散による微分散化が容易となる。また、分散時間の短縮が可能となる。乾式分散によりS/Nの上限を上記以下とした場合、特に微分散が可能になる点で好ましい。
【0036】
特に、上記顔料を湿式分散して顔料分散液を調製する場合に、容易に微分散ができる点で好ましい。その結果、該顔料分散液を用いて得られたカラーディスプレイ、カラー印刷物、カラー塗装物等は、優れた分散性を有するのみならず、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等のカラーディスプレイは、コントラストが高く、光の透過率が高く、高輝度のディスプレイとなる。
【0037】
ここで、「輝度」と「コントラスト」は、実施例に記載の方法で測定され、そのように測定されたものとして定義されるが、「コントラスト」は以下で示される。
[コントラスト]=[平行輝度(cd/m
2)]/[直交輝度(cd/m
2)]
【0038】
S/Nの下限については特に限定はなく、小さい程好ましいが、1.4以上であることが好ましく、1.6以上であることがより好ましく、1.8以上であることが特に好ましい。
下限が上記以下であると、製造コストが上昇し、分散性、分散安定性、コントラスト、透過率、輝度等の物性に関し、下限を上記以下とする製造コストの増加に見合う物性向上が得られない、それ以上の改善が見込まれない等の場合がある。
【0039】
本発明者が検討したところ、(A)顔料を分散処理して顔料分散液を製造する際に、(B)分散剤及び(C)溶媒と共に加える(A)顔料の粒径と、上記顔料分散液や該顔料分散液を用いて得られたカラーディスプレイ、カラー印刷物、カラー塗装物等の性能との間には、相関が見られない場合があった。
【0040】
顔料分散液を製造する際には、(A)顔料を分散処理するが、該分散処理をすることによって、分散処理後の顔料粒子の粒径と結晶性は変化する。一般的には、湿式分散では分散粒径は小さくなり、結晶性は向上する、すなわちX線回折のピーク強度は高くなる。
原料としての(A)顔料の段階で、S/Nを90以下にしておくのと、S/Nを90以下にしておかないのを比較すると、原料としての(A)顔料の段階で、S/Nを90以下にしておいた方が最終分散処理後の顔料分散液中での顔料の平均分散粒径を小さくすることができる。そのため、カラーフィルタのコントラスト、透過率、輝度等の物性に関し、原料としての(A)顔料の段階で、S/Nを90以下にしておいた方が優れたものが得られる。
【0041】
仮にどちらも平均分散粒径が同一となるまで微分散できた場合、原料としての(A)顔料の段階で、S/Nを90以下にしておいた方が、任意の平均分散粒径に到達するまでの時間を大幅に短縮することができる。また、本願の発明の効果である、優れた分散性と分散安定性を有する顔料分散液が得られ、そのとき得られる顔料分散液の使用(利用)分野(例えば、感光性着色樹脂組成物、カラーフィルタ、インクジェットインキ等)において、輝度やコントラストの向上が見られる。一方、堅牢性に関すること、例えば、耐薬品性や耐光性については、平均分散粒径が同一の場合、ほとんど性能差が見られない。
【0042】
本発明における「S/Nが90以下である(A)顔料(a)」は、顔料分散液の製造方法において、湿式分散処理をして顔料分散液に含有させる該分散処理直前の段階のものである。
本発明は、(A)顔料を、少なくとも、(B)分散剤及び(C)溶媒と共に分散処理をして含有させる顔料分散液の製造方法であって、S/Nが90以下である(A)顔料(a)を、湿式分散処理をして、顔料分散液中に含有させることを特徴とする顔料分散液の製造方法でもある。
【0043】
1−1−2.顔料の種類
本発明における(A)顔料は、白色、黒色、灰色等の無彩色を含め、着色された固体であり分散可能なものであれば特に限定はないが、所謂、着色顔料であることが好ましい。
(A)顔料を形成する物質としては、(A)顔料として上記要件を満たすものであれば特に限定はないが、ディスプレイ、印刷物、塗料等に用いられる着色顔料であることが好ましく、カラーフィルタに用いられる着色顔料であることが特に好ましい。
【0044】
ここで、着色顔料には、白色、黒色、灰色等の無彩色の顔料も含まれ、具体的には、青色顔料、緑色顔料、赤色顔料、黄色顔料、紫色顔料、オレンジ顔料、ブラウン顔料、黒色顔料等各種の色の顔料を使用することができる。
本発明の顔料分散液をカラーフィルタ材料として用いた場合を考慮すると、上記中でも、青色顔料、緑色顔料、赤色顔料、黄色顔料、紫色顔料等が、コントラストが一般に低いものが多い又はコントラストが高いことが要求される等の点から、本発明に使用されることが好ましい。
【0045】
以下に、(A)顔料を形成する物質として挙げられる顔料の具体例をピグメントナンバーで示す。なお、以下の「C.I.」は、カラーインデックスを意味する。
【0046】
赤色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、101、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276等が挙げられる。
この中でも、好ましくは、C.I.ピグメントレッド48:1、122、168、177、202、206、207、209、224、242、254等が挙げられ、特に好ましくは、C.I.ピグメントレッド177、209、224、254等が挙げられる。
【0047】
青色顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79等が挙げられる。
この中でも、好ましくは、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6等が挙げられ、特に好ましくは、C.I.ピグメントブルー15:6等が挙げられる。
【0048】
緑色顔料としては、C.I.ピグメントグリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、45、48、50、51、54、55、58等が挙げられる。
この中でも、好ましくは、C.I.ピグメントグリーン7、36、58等が挙げられる。
【0049】
黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、1:1、2、3、4、5、6、9、10、12、13、14、16、17、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、41、42、43、48、53、55、61、62、62:1、63、65、73、74、75,81、83、87、93、94、95、97、100、101、104、105、108、109、110、111、116、117、119、120、126、127、127:1、128、129、133、134、136、138、139、142、147、148、150、151、153、154、155、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、172、173、174、175、176、180、181、182、183、184、185、188、189、190、191、191:1、192、193、194、195、196、197、198、199、200、202、203、204、205、206、207、208、213等が挙げられる。
この中でも、好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、117、129、138、139、150、154、155、180、185、213等が挙げられ、特に好ましくは、C.I.ピグメントイエロー83、138、139、150、180、213等が挙げられる。
【0050】
オレンジ顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ1、2、5、13、16、17、19、20、21、22、23、24、34、36、38、39、43、46、48、49、61、62、64、65、67、68、69、70、71、72、73、74、75、77、78、79等が挙げられる。
この中でも、好ましくは、C.I.ピグメントオレンジ38、71等が挙げられる。
【0051】
紫色顔料としては、C.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50等が挙げられる。
この中でも、好ましくはC.I.ピグメントバイオレット19、23等が挙げられ、特に好ましくは、C.I.ピグメントバイオレット23等が挙げられる。
【0052】
本発明においては、上記顔料を1種類用いてもよく、2種以上用いてもよい。
また、本発明の顔料分散液が、カラーフィルタのブラックマトリックス用の顔料分散液である場合、(A)顔料を形成する物質としては、黒色顔料を用いることができる。黒色等の無彩色の(A)顔料は、該無彩色の顔料単独でもよく、赤、緑、青等の顔料との混合によるものでもよい。
【0053】
本発明における(A)顔料として好ましい顔料としては、化学構造の観点から見ると、ピグメントレッド177等のアントラキノン系顔料;ピグメントイエロー138等のキノフタロン系顔料;ピグメントイエロー150等のアゾメチン系顔料等のアゾ系顔料;ピグメントイエロー180等のベンズイミダゾロン系顔料;ピグメントイエロー213等のキノキサリン系顔料;ピグメントブルー15:6等のフタロシアニン系顔料;ピグメントバイオレット23等のジオキサジン系顔料;ジケトピロロピロール系顔料;キナクリドン系顔料;イソインドリン系顔料;イソインドリノン系顔料;インダンスレン系、ペリレン系顔料;等が挙げられる。
【0054】
本発明においては、化学構造が同一、すなわち上記系が同一の顔料は、その系内で1種類用いてもよく、2種以上用いてもよい。また、系を跨いで2種以上用いてもよい。
上記した化学構造を有する顔料は、本発明の製造方法で製造されたときの前記効果を特に奏し易く、特に、ピグメントレッド177、ピグメントイエロー150、ピグメントイエロー180、ピグメントイエロー213、ピグメントブルー15:6、ピグメントバイオレット23である。特に、ピグメントレッド177、ピグメントイエロー150、ピグメントブルー15:6、ピグメントバイオレット23等は、カラーフィルタの高コントラスト化、高輝度化、色再現性の向上等の点で最も好ましい。
【0055】
1−1−3.酸性色素誘導体
本発明における(A)顔料は、酸性色素誘導体を含有するものであることが、本発明の前記効果を奏し易いために好ましい。特に、微分散化が可能であり、カラーフィルタ用に使用したときに、コントラストが高い、分散安定性が高い、光の透過率が高い、及び/又は、高輝度のディスプレイを与えるために好ましい。
「酸性色素誘導体」とは、その化学構造中に酸性基を有する色素誘導体を言い、好ましくは、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、キノフタロン系顔料、アゾ系顔料、アントラキノン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ジオキサジン系顔料、及び、イソインドリン系からなる群より選ばれる少なくとも1つの顔料骨格を有し、酸性基を有する色素誘導体である。
上記顔料誘導体の酸性基としては、スルホ基、スルホンアミド基、カルボキシル基、及び、該官能基の金属塩若しくはアンモニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1つが好ましい。
【0056】
顔料1分子に対しての酸性基の平均導入量は、特に限定はないが、0.5個〜5個が好ましい。0.6〜4個がより好ましく、0.7〜3.5個が特に好ましい。
酸性基の導入により、微分散化が可能となり、特にカラーフィルタ用に使用したときに、コントラストが高い、分散安定性が高い、光の透過率が高い、及び/又は、高輝度のディスプレイを与える等のために好ましい。
【0057】
本発明における(A)顔料は、顔料と酸性色素誘導体とを含有することが好ましい。酸性色素誘導体は、顔料と相互作用し、顔料粒子を作製する際に、顔料表面に吸着したり、又は、取り込まれたりして、顔料粒子や(A)顔料の粒径、結晶性等を規定する。
また、塩基性分散剤と相互作用する酸性色素誘導体が顔料表面に吸着することにより、塩基性分散剤を効率的に顔料表面に位置させることができる。これにより、後述の乾式分散処理等の「S/Nを90以下にする処理」を行ったときに、得られた「S/Nが90以下の(A)顔料(a)」は、その後、微分散化や分散安定化が可能になり、特にカラーフィルタ用に使用したときに、高コントラスト化が可能になる。
【0058】
本発明における(A)顔料全体における、酸性色素誘導体の含有量は、特に限定されないが、顔料100質量部に対して、0.5〜30質量部であることが好ましく、1〜15質量部であることがより好ましく、2〜10質量部であることが特に好ましい。
上記下限値以上とすることで、湿式分散時に安定分散や微分散を可能にし、上記上限値以下とすることで酸性色素誘導体の過剰による色価低下を防ぐことができる。
【0059】
本発明においては、(A)顔料として、上記酸性色素誘導体を1種類でも2種以上用いてもよく、また、1種類の顔料に対しても、上記酸性色素誘導体を1種類でも2種以上用いてもよい。
【0060】
上記酸性色素誘導体は、顔料粒子の分散体中に、どの段階で添加されてもよいが、酸性色素誘導体を、顔料表面に吸着させたり、取り込ませたりすることを考慮すると、顔料を製造する工程の中で顔料に添加することもでき、例えば、顔料を合成する工程中、ニーダー等により顔料をソルベントソルトミリングする工程中、その後処理の工程中、アトライター等により顔料を乾式粉砕する工程中、その後処理の工程中等に添加することができる。
再沈法において良溶媒又は貧溶媒に添加しておくこともでき、顔料粒子の析出後、又は、その後に濃縮若しくは再分散をするときに添加しておくこともできる。
すなわち、上記酸性色素誘導体は、乾式分散処理前の(A)顔料に含有されていてもよく、上記酸性色素誘導体を乾式分散する際に配合してもよく、上記酸性色素誘導体を湿式分散処理する際に配合してもよい。
【0061】
1−1−4.S/Nが90以下の顔料(a)の調製
S/Nが90以下である(A)顔料(a)の調製方法は特に限定はなく、合成された顔料が、その時点でS/Nが90以下である場合は、それをそのまま使用することができる。
また、酸性色素誘導体等の色素誘導体を、顔料表面に吸着させたり、取り込ませたりした後の顔料粒子が、その時点でS/Nが90以下である場合は、それをそのまま使用することができる。
【0062】
また、顔料や顔料粒子に分散等の処理を加えることによって、S/Nを90以下として、それを使用することもできる。
そもそも、S/Nが90以下の「顔料(a)」や「色素誘導体を含有する顔料粒子」が得られ難い(殆ど存在しない)点から、何らかの処理を加えてS/Nを90以下とすることが好ましい。
かかる「処理」は、特に限定はないが、分散処理、粉砕、粉砕しつつ分散処理等の物理的な処理であることが好ましい。
「分散処理」の方法は特に限定はないが、乾式分散処理であることが、S/Nを90以下にし易いために好ましく、結果として、顔料分散液を製造するときに微分散化が可能になり、特に、カラーフィルタ用に使用したときに、高コントラスト化が可能になるために好ましい。
【0063】
ここで、「乾式分散処理」とは、液体の分散媒を用いずに分散させる処理、又は、少量の液体の分散媒を添加し分散させる処理のことをいう。
例えば、ピグメントブルー15:6、ピグメントレッド254等の顔料では、全く液体の分散媒を用いないで分散すると結晶転移が起こり、ピグメントブルー15:6ではα型への結晶転移が起こることがあるが、有機溶媒を加えて分散することで結晶転移が防げる。このときの分散物の状態は、パサパサであり、このような場合も含めて、本発明においては、「乾式分散処理」と定義する。ソルベントソルトミリングは、「乾式分散処理」の範疇に定義されない。
該液体を加えて乾式分散処理するときの該液体の量は、顔料100質量部に対し、0質量部より多く、150質量部以下が好ましく、100質量部以下がより好ましく、50質量部以下が特に好ましく、30質量部以下が更に好ましく、10質量部以下が最も好ましい。
【0064】
本発明において、「湿式分散処理」とは、前記した通り、上記した「S/Nが90以下である(A)顔料(a)」を、(B)分散剤存在の下、(C)溶媒に、最終的に分散させる処理のことを言い、本発明における「湿式分散処理」には、本発明の顔料分散液の最終溶媒である「(C)溶媒」が用いられる。
一方、本発明の「乾式分散処理」とは、上記「湿式分散処理」より少量の液体分散媒を用いて分散させる処理であり、例えば結晶転移等の変化を抑制させるために液体を加えて行う処理であり、また、最終的な分散処理ではなく、本発明の顔料分散液を最終的に製造するための前処理に該当するものであり、また、そこに加える液体は、本発明の顔料分散液の最終溶媒である(C)溶媒には限定されない。
【0065】
液体の分散媒は、上記した通り影響のない範囲で含まれていてもよいが、顔料の種類のもよるが含まれていないことが好ましい。
また、本発明における、ここの「乾式分散処理」には、固体の分散媒を用いずに力学的処理を加える分散や粉砕等の処理も含まれる。また、「乾式分散処理」には、該処理によって、二次粒子等の粒径が大きくなる処理も含まれる。本発明における「乾式分散処理」には、所謂乾式分散装置又は乾式粉砕装置を用いた処理が含まれる。
【0066】
上記「乾式分散処理」の具体的方法は特に限定はないが、ビーズ、ボール、サンド等を用いたメディアミル;ジェットマイザー、カウンタージェットミル等のジェットミル;ロールミル;カッターミル;ロッドミル;ハンマーミル;遊星ミル;エロフォールミル;チューブミル;タワーミル;乳鉢等のミルを用いた方法が好ましい。
中でも、ビーズミル、ボールミル、サンドミル等のメディアミル;各種のジェットミル;等が好ましく、特に、ビーズミル、ボールミル、サンドミル等のメディアミルが、乾式分散処理をして得られるものの粒径レベルが本発明における(A)顔料の粒径に適しており、また、S/Nを90以下にし易いために特に好ましい。
【0067】
乾式分散処理にメディアミルを用いる場合には、乾式分散処理に用いられるビーズ等のメディアの直径は、S/Nを90以下にできれば特に限定はないが、0.1mm〜40mmが好ましく、0.5mm〜30mmがより好ましく、1mm〜20mmが特に好ましい。メディアの直径は、上限が上記値より大きいとメディアの総表面積が小さくなり処理時間が長くなり、下限が上記値より小さいとメディアによる処理エネルギーが小さくなるため処理時間が長くなる。
また、直径の異なるメディアで、2段以上で分散することも好ましい。その場合は、最初の段数の方に、相対的に大きい粒径のメディアを用いることが好ましい。
【0068】
本発明においては、乾式分散処理の時間は、特に限定されないが、(A)顔料のS/Nが好適となるように、0.5〜200時間が好ましく、1〜100時間がより好ましく、2〜60時間が特に好ましい。乾式分散処理時間は、上限が上記値より大きいと効果に対する消費エネルギーが大きくなってしまい、下限が上記値より小さいと十分に結晶性の低い顔料が得られない。
【0069】
乾式分散処理の中でも、特に上記装置(ミル)や乾式分散処理条件とすることで、(A)顔料のS/Nを低くでき、結果として良好な顔料分散液ができ、高いコントラストが実現される。
【0070】
「乾式分散処理」を行ってS/Nを90以下にすることが好ましいが、更に、70以下にすることがより好ましく、60以下にすることが特に好ましく、50以下にすることが更に好ましく、30以下にすることが最も好ましい。
上限の好ましい値は(A)顔料の種類にもよるが、上限が上記以下であると、結晶性が低いために(A)顔料の堅牢性が低く、すなわち、粉砕、分散等がされ易く、顔料分散液を調製する際の分散による微分散化が容易となる。また、分散時間の短縮が可能となる。乾式分散によりS/Nの上限を上記以下とした場合、特に微分散が可能になる点で好ましい。
【0071】
S/Nを小さくすることによる効果は、前記した通りであり、上限が上記以下であると、粉砕、分散等がされ易く、「顔料分散液を調製する際の最終分散工程」で微分散化が可能となったり、分散時間の短縮が可能となったりする。
特に、「顔料分散液を調製する際の最終分散工程」として湿式分散処理等をして顔料分散液を調製する場合に、特に容易に微分散することができ、その結果、該顔料分散液を用いて得られたカラーディスプレイ、カラー印刷物、カラー塗装物等は、優れた分散性と分散安定性を有するのみならず、該顔料分散液を用いて得られた液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等のカラーディスプレイは、コントラストが高く、光の透過率が高く、高輝度のディスプレイとなる。
【0072】
また、「顔料」や「色素誘導体を含有する顔料粒子」のS/Nが90より大きい場合等には、上記乾式分散処理することによって、S/Nが90以下である(A)顔料(a)を得ることが好ましい。
本発明の顔料分散液の製造方法においては、乾式分散処理の後の(A)顔料のS/Nを、乾式分散処理の前の(A)顔料のS/Nで割った値が0.5以下となるように乾式分散処理をすることが好ましく、0.4以下となるように乾式分散処理をすることがより好ましく、0.3以下となるように乾式分散処理をすることが特に好ましい。すなわち、上記の割合で、S/Nを下げ、S/Nを90以下にすることが好ましい。
このようにすると、優れた光学性能を発現し、更に湿式分散時の分散時間を大幅に短縮することができる。また、分散性を向上させることができる。
【0073】
前記した「S/Nを90以下にする処理」の前後で、(A)顔料の粒径は、大きくなっても小さくなってもよい。前記した乾式分散処理等の「S/Nを90以下にする処理」によって、一次粒子、二次粒子等の粒子の粒径がたとえ大きくなったとしても、S/Nが一定値以下でありさえすれば、顔料分散液の製造工程における分散性が向上するため前記した良好な結果が得られる。
顔料の結晶性低下の効果は、湿式分散時の微分散の促進であるため、最終的な顔料粒径は小さくなる。
【0074】
1−1−5.顔料の粒径
後述する「顔料分散液を調製する際の湿式分散工程に供される(A)顔料の粒径は、特に限定はなく大きくてもよいが、30nm〜500nmが好ましく、40nm〜300nmがより好ましく、50nm〜200nmが特に好ましい。
粒径が小さ過ぎると、粒径と最終性能との相関が殆どないので、そこまで小さくする必要性がなく、また、微紛による汚染等により作業性が低下する場合がある。一方、粒径が大き過ぎると、S/Nを90以下にするまでに時間が掛かり過ぎる場合がある。
【0075】
具体的な測定方法を下記に記載する。定義は下記測定方法によるが、実際の測定はこの方法に限定しない。本発明における(A)顔料の粒径は、「体積分布メジアン径(D50)」を表している。(A)顔料の粒径は、(株)日立ハイテクノロジーズ社製、電界放射型走査電子顕微鏡(S−4800)に、専用の明視野STEM試料台とオプション検出器を取り付けることで、走査透過電子顕微鏡(以下、「STEM」と略記する)として使用できるようにし、20万倍のSTEM写真を撮り、下記のソフトウェアに取り込み、写真上で顔料を任意に100個選び、それぞれの直径(差し渡し長さ)を測定し、体積基準の分布から体積で50%累積粒子径として求める。
STEMに供する測定試料は、顔料とトルエンを混合し、コロジオン膜貼付メッシュに滴下して調製する。また、STEM写真から体積基準の粒径分布や体積分布メジアン径(D50)を求めるときには、(株)マウンテック社製の画像解析式粒度分布測定ソフトウェア「Mac−View Ver.4」を用いる。
以下、上記測定で求めた(A)顔料の粒径を、「(A)顔料のTEM粒径」とする。
【0076】
1−2.(B)分散剤
1−2−1.高分子系分散剤と低分子系分散剤
本発明における(B)分散剤は特に限定はなく、顔料の分散に公知の高分子系分散剤や低分子系分散剤が使用できる。
【0077】
高分子系分散剤としては、例えば、ランダム(共)重合体よりなるランダム型分散剤;ブロック共重合体よりなるブロック型分散剤;主鎖に対してところどころに側鎖としてペンダントに(枝のように)繰り返し単位を結合させたグラフト(共)重合体等よりなるグラフト型分散剤;等が挙げられる。
【0078】
高分子分散剤としては、例えば、ポリアクリル酸エステル等の不飽和カルボン酸エステルの(共)重合体;ポリアクリル酸等の不飽和カルボン酸の(共)重合体の(部分)アミン塩、(部分)アンモニウム塩や(部分)アルキルアミン塩類;水酸基含有ポリアクリル酸エステル等の水酸基含有不飽和カルボン酸エステルの(共)重合体やそれらの変性物;ポリウレタン類;不飽和ポリアミド類;ポリシロキサン類;長鎖ポリアミノアミドリン酸塩類;ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離カルボキシル基含有ポリエステルとの反応により得られるアミドやそれらの塩類等を挙げることができる。
【0079】
中でも、ポリ(メタ)アクリル酸塩、マレイン酸ナトリウム−オレフィン共重合体、末端カルボキシル基含有ポリエステル(例えば、特公昭54−34009号公報等);テトラキス(2−ヒドロキシアルキル)エチレンジアミンを出発物質とする酸性基及び/又は塩基性基を有するポリエステル(特開平2−245231号公報等);マクロモノマー(片末端に重合性不飽和基を有するオリゴマー)、水酸基を有するモノマー、カルボキシ基含有モノマーが共重合してなる共重合体(特開平8−259876号公報等);マクロモノマー(片末端に重合性不飽和基を有するオリゴマー)、窒素原子を有するモノマーが共重合してなる共重合体(特開平10−339949号公報等)等が好ましい。
【0080】
低分子系分散剤としては、例えば、スルホン酸基、カルボン酸基等を有するアニオン性化合物;脂肪族アミンの塩、4級アンモニウム塩等を有するカチオン性化合物;水酸基、オキシエチレン鎖等を有する非イオン性化合物;高分子化合物;等が挙げられる。
具体的には、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルジアミン、アルカノールアミン誘導体(米国特許第3536510号)等が挙げられる。
【0081】
分散剤の中でも高分子分散剤が好ましく、高分子分散剤の中でも、塩基性ブロック型分散剤及び/又は塩基性グラフト型分散剤であることが、顔料吸着部位と溶媒親和部位が機能分離されている等の点から好ましい。
前記した乾式分散処理等の「S/Nを90以下にする処理」を行ったときに、得られた「S/Nが90以下の(A)顔料(a)」は、その後、微分散化が可能になり、特にカラーフィルタ用に使用したときに、高コントラスト化が可能になる。また、塩基性ブロック型分散剤及び/又は塩基性グラフト型分散剤は、顔料分散液の経時安定性の点からも好ましい。
また、前記した酸性色素誘導体と併用したときに、前記した本発明の効果が相乗的に発揮され易い。
【0082】
ここで、「(B)分散剤が、塩基性ブロック型分散剤及び/又は塩基性グラフト型分散剤であること」とは、(B)分散剤が塩基性ブロック型分散剤であること、塩基性グラフト型分散剤であること、塩基性ブロック型分散剤と塩基性グラフト型分散剤とを併用していること、塩基性ブロック型分散剤であり同時に塩基性グラフト型分散剤でもある分散剤であること、の何れも意味している。また、塩基性ブロック型分散剤でも塩基性グラフト型分散剤でもない分散剤の併用は排除していない。
【0083】
1−2−2.塩基性ブロック型分散剤
「塩基性ブロック型分散剤」とは、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基;それらの塩;等の塩基性基を有するモノマー(以下、「aモノマー」と略記する)と、該モノマーとは異なる他のモノマー(以下、「bモノマー」と略記する)とのブロック共重合体よりなる分散剤を言い、2元共重合体でもよく、3元以上の共重合体でもよい。
【0084】
上記aモノマーとしては、4級アンモニウム塩基、及び/又は、窒素に結合した水素が置換基で置換されていてもよい2級又は3級アミノ基又はそれらの塩を含有する(メタ)アクリレート化合物が好ましく、特に好ましくは、3級アミノ基及び/又は4級アンモニウム塩基である。
具体的には、(メタ)アクリル酸のジアルキルアミノアルキルエステル、(メタ)アクリル酸のジアリールアミノアルキルエステル、(メタ)アクリル酸のジアラルキルアミノアルキルエステル、(メタ)アクリル酸のジアルケニルアミノアルキルエステル、それらの塩等が挙げられる。
具体的には、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルベンジルジメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。特に好ましくはジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシエチルベンジルジメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
上記aモノマーの選択の理由としては、微分散化や分散安定化が可能になり、特にカラーフィルタ用に使用したときに、高コントラスト化が可能になる。
【0085】
また、上記aモノマーがアミノ基を有するものである場合、適宜他の重合可能なモノマーと共重合した後に、アミノ基と反応する化合物、例えば、リン酸化合物、スルホン酸化合物、カルボン酸化合物等の酸化合物;ハロゲン化アリール、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アラルキル等のハロゲン化合物;等と反応させて、一部又は全部を4級アンモニウム塩としてもよい。
【0086】
上記bモノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;酢酸ビニル;アクリロニトリル;アリルアルキルエーテル等のアリル基含有化合物;等が挙げられる。
上記bモノマーの選択の理由としては、微分散化や分散安定化が可能になり、特にカラーフィルタ用に使用したときに、高コントラスト化が可能になる。
【0087】
aモノマー若しくはその塩を含有する重合ブロックを「A」、bモノマーを含有する重合ブロックを「B」とすると、本発明における塩基性ブロック型分散剤は、A−Bブロック共重合体、A−B−Aブロック共重合体、B−A−Bブロック共重合体、A−B−A−Bブロック共重合体、それ以上のブロック共重合体の何れでもよいが、好ましくは、A−Bブロック共重合体である。
【0088】
aモノマー若しくはその塩を含むブロック共重合体は、aモノマー若しくはその塩を含むブロック部分が(A)顔料に吸着し、aモノマー若しくはその塩を含まないブロック部分が、溶媒に対して親和性を有するため、(A)顔料の分散性を向上することができる。
【0089】
塩を構成しているものとしては、具体的には、例えば、ブロック共重合体を形成するユニットである等の3級アミノ基を、リン酸化合物、スルホン酸化合物等の酸によって塩形成したものが挙げられる。
また、ブロック共重合体を形成するユニットであるジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の3級アミノ基に、ハロゲン化アリール、ハロゲン化アラルキル等により4級アンモニウム塩としたものが挙げられる。
【0090】
本発明における塩基性ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)は、特に限定はないが、500〜100000の範囲内であることが好ましく、1000〜30000の範囲内であることがより好ましく、3000〜20000の範囲内であることが特に好ましく、4000〜15000が最も好ましい。
上記範囲内であることにより、「(A)顔料を均一に分散させる濡れ性」と分散安定性とを両立させることが可能となる。また、本願の顔料分散剤を感光性着色樹脂組成物の成分として用いる場合には、上限が上記値以下であると、現像性、解像性が低下せず、下限が上記値以上であると十分な分散性が得られる。
【0091】
ここで、重量平均分子量は(Mw)、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレン換算値として求める。
塩基性ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)等の測定は、東ソー(株)製のHLC−8120GPCを用い、溶出溶剤を0.01モル/Lの臭化リチウムを添加したN−メチルピロリドンとし、校正曲線用ポリスチレンスタンダードをMw377400、210500、96000、50400、20650、10850、5460、2930、1300、580(以上、Polymer Laboratories社製 Easi PS−2シリーズ)及びMw1090000(東ソー(株)製)とし、測定カラムをTSK−GEL ALPHA−M×2本(東ソー(株)製)として行われたものである。
【0092】
また、アミン価は、特に限定はないが、好ましくは、5〜250mgKOH/gが好ましく、20〜200mgKOH/gがより好ましく、30〜150mgKOH/gが特に好ましい。
下限以下だと十分な分散安定性が得られず、上限以上だと溶剤への溶解性が低下する。
上記アミン価はJIS−K7237により求めることができる。
【0093】
また、酸価は、特に限定はないが、好ましくは、0mgKOH/g又は0を超えて100mgKOH/g以下が好ましく、0mgKOH/g又は0を超えて50mgKOH/g以下が特に好ましい。
酸価が上限以上だとレジストパターン剥がれが起き易くなる。
【0094】
分子量、アミン価又は酸価が、上記範囲であると、分散され易く、「顔料分散液を調製する際の最終分散工程」で微分散化が可能となったり、分散時間の短縮が可能となったりする。また、前記した酸性色素誘導体と併用したときに、前記した本発明の効果が相乗的に発揮され易い。
その結果、該顔料分散液を用いて得られたカラーディスプレイは、コントラストが高く、光の透過率が高く、高輝度のディスプレイとなる。
【0095】
1−2−3.塩基性グラフト型分散剤
「塩基性グラフト型分散剤」とは、主鎖に対して側鎖として繰り返し単位が結合した(共)重合体よりなる塩基性の分散剤をいう。
具体的には、先に側鎖を合成しておき、それを(共)重合したもの、すなわち、片末端に重合性基不飽和基を有するマクロモノマー(片末端に重合性不飽和基を有し繰り返し単位を有するオリゴマー等)を重合成分とする(共)重合体よりなる分散剤が挙げられる。
また、先に主鎖を合成しておいてから、その主鎖に対して、ところどころに側鎖としてペンダントに(枝のように)繰り返し単位を結合させた(共)重合体が等よりなるよりなる分散剤が挙げられる。
【0096】
「塩基性グラフト型分散剤」の塩基性は、どのように付与されていてもよいが、塩基性を有する窒素原子含有モノマーを共重合させることにより塩基性が付与されているものが好ましい。
共重合させる塩基性のモノマーとしては特に限定はないが、具体的には、例えば、前記「塩基性ブロック型分散剤」の項で記載した前記「aモノマー」が挙げられる。
【0097】
「片末端に重合性基不飽和基を有するマクロモノマー」としては特に限定はなく公知のものが使用可能である。
かかるマクロモノマーにおける繰り返し単位を構成する重合成分としては、特に限定はないが、具体的には、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系モノマー;酢酸ビニル;アクリロニトリル;アリルアルキルエーテル等のアリル基含有化合物;等が挙げられる。本発明におけるマクロモノマーとしては、上記重合成分が重合した単位を有するものであることが好ましい。
【0098】
「塩基性グラフト型分散剤」において、上記「片末端に重合性基不飽和基を有するマクロモノマー」と「共重合させる塩基性のモノマー」以外に、他の重合性モノマーが共重合されていてもよい。
かかる「他の重合性モノマー」としては、特に限定はないが、具体的には、例えば、前記「塩基性ブロック型分散剤」の項で記載した前記「bモノマー」が挙げられる。
【0099】
マクロモノマーの導入率は、特に限定はないが、主鎖の繰り返し単位100個中に、平均で0.1個〜20個の割合で導入されることが好ましく、0.3個〜10個の割合で導入されることが特に好ましい。
【0100】
本発明における塩基性グラフト型分散剤の分子量は、特に限定はないが、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)として、通常1000〜100000、好ましくは2000〜40000、より好ましくは3000〜30000、特に好ましくは4000〜25000、更に好ましくは5000〜20000である。
上記範囲であると、分散され易く、「顔料分散液を調製する際の最終分散工程」で微分散化が可能となったり、分散時間の短縮が可能となったりする。その結果、該顔料分散液を用いて得られたカラーディスプレイは、コントラストが高く、光の透過率が高く、高輝度のディスプレイとなる。
【0101】
1−3.(C)溶媒
本発明の顔料分散液の製造方法は、少なくとも、(A)顔料、(B)分散剤、及び、(C)溶媒を含有する顔料分散液の製造方法であるが、(C)溶媒としては特に限定はなく、公知のものが用いられる。
【0102】
(C)溶媒としては、特に限定はないが、具体的には、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル等のアルキレングリコールエーテル類;ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル等のジアルキレングリコールエーテル類;トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル等のトリアルキレングリコールエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のジアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;トリプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のトリアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルルロピルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン等のケトン類;2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシ酢酸ブチル、3−メチルー3−メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル等のエステル類;等が挙げられる。
これらの溶剤は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
【0103】
中でも、特に、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピオン酸エトキシエチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、2−ヒドロキシプロパン酸メチルが好ましい。
【0104】
1−4.含有割合
本発明は、少なくとも、(A)顔料、(B)分散剤、及び、(C)溶媒を含有する顔料分散液の製造方法であるが、ここで、(A)顔料、(B)分散剤、及び、(C)溶媒の含有比率は特に限定はないが以下が好ましい。
(A)顔料100質量部に対して、(B)分散剤が、5〜200質量部が好ましく、10〜150質量部がより好ましく、15〜100質量部が特に好ましく、20〜60質量部が最も好ましい。
また、顔料分散液100質量部に対して、(A)顔料が、3〜40質量部が好ましく、5〜35質量部がより好ましく、7〜30質量部が特に好ましい。
【0105】
上記した「(A)顔料と(B)分散剤の含有比率」であると、(A)顔料が分散され易く、後述する「顔料分散液を調製する際の最終分散工程」で微分散化が可能となったり、優れた分散安定性が得られたり、分散時間の短縮が可能となったりする。
その結果、該顔料分散液を用いて得られたカラーフィルタを用いたディスプレイは、コントラストが高く、光の透過率が高く、高輝度のディスプレイとなる。
【0106】
また、上記した「(A)顔料と(C)溶媒の含有比率」であると、分散性、分散安定性等に優れ、好適な粘度に調整されており、本発明の顔料分散液に、(D)アルカリ可溶性樹脂、(E)重合性多官能化合物、及び/又は、(F)光重合開始剤を含有させて感光性着色樹脂組成物を得る際等に、それらの含有比率が最適値に調整し易いために好ましい。
【0107】
1−5.最終的な分散方法(湿式分散方法)
上記した「S/Nが90以下である(A)顔料(a)」を、(B)分散剤存在の下、(C)溶媒に湿式分散して含有させる。
湿式分散して含有させると、該湿式分散の原料である(A)顔料について、そのS/Nを90以下としておくと、本願発明の効果が特に発揮される。
S/Nが90以下の(A)顔料(a)を湿式分散すると、微分散化が可能となったり、分散時間の短縮が可能となったり、難分散性の顔料の分散安定性を向上させたりすることができる。
更に、かかる(A)顔料(a)を湿式分散して製造された顔料分散液を用いて得られたカラーフィルタを用いたディスプレイは、コントラストが高く、光の透過率が高く、高輝度のディスプレイとなる。
【0108】
湿式分散を行うための分散機としては、2本ロール、3本ロール等のロールミル;ボールミル、振動ボールミル等のボールミル;ビーズを用いたペイントシェーカー;ペイントコンディショナー;連続ディスク型ビーズミル、連続アニュラー型ビーズミル等のビーズミル;等が挙げられる。
【0109】
ビーズを用いたペイントシェーカー又はビーズミルの好ましい分散条件として、使用するビーズ径は、0.02〜4mmが好ましく、0.03〜2mmがより好ましく、0.05〜1mmが特に好ましい。
また、ビーズ径の異なるビーズミルで、2段以上で分散することが好ましい。その場合、第1段のビーズミルのビーズ径は、0.5〜4mmが好ましく、0.7〜3mmがより好ましく、0.8〜2mmが特に好ましい。第2段以降のビーズミルのビーズ径は、第1段のビーズ径より小さいことが好ましく、0.02〜1mmが好ましく、0.04〜0.6mmがより好ましく、0.05〜0.3mmが特に好ましい。
【0110】
ビーズの材質は、ジルコニア、アルミナ、ガラス、スチール、超硬合金、鋼球、セラミック等が好ましい。中でも、スチールビーズ、ジルコニアビーズ、セラミックビーズ又はガラスビーズであることが好ましく、スチールビーズ、ジルコニアビーズ又はセラミックビーズであることが特に好ましい。耐磨耗性、耐薬品性、耐熱性、熱伝導率等に優れ、また、比重が大きいからである。
【0111】
本発明においては、上記の分散機を用いて分散させる分散時間は、特に限定されないが、顔料の分散粒径が好適となるように、0.01〜50時間が好ましく、0.02〜30時間がより好ましく、0.05〜10時間が特に好ましい。
【0112】
湿式分散の中でも、特に上記分散機や分散条件とすることで、(A)顔料(a)を微分散させ、高いコントラストが実現される。
【0113】
本発明の顔料分散液の製造方法においては、前記した乾式分散処理に連続して、「該乾式分散処理することによって得た上記S/Nが90以下である(A)顔料(a)に、上記(B)分散剤及び上記(C)溶媒を配合して湿式分散」を行うことが特に好ましい。
前記した乾式分散処理に連続して、前記した湿式分散を行うことによって、顔料分散液において顔料の微分散が可能となり、又は、湿式分散の分散時間が短縮される。
顔料が微分散された顔料分散液が製造される結果、該顔料分散液を用いて得られたカラーフィルタを用いたディスプレイは、コントラストが高く、光の透過率が高く、高輝度のディスプレイとなる。
【0114】
ここで、「乾式分散処理に連続して」とは、一連の製造手順として、乾式分散処理の後に次の湿式分散を行うことを言い、S/Nが90以下の(A)顔料(a)を一旦別の容器に入れて長期に保管(例えば1か月を超えて保管)した後に改めて分散することは除かれる。
乾式分散処理を行ってから、湿式分散処理を行うまでの期間は、1か月以内が好ましく、2週間以内がより好ましく、1週間以内が特に好ましく、2日以内が更に好ましく、1日以内が最も好ましい。乾式分散処理をした顔料を長期間保管する場合(例えば1か月を超えて保管)に比べて、凝集物が発生することが少なくなるからである。
また、「乾式分散処理に連続して湿式分散を行う」という操作からは、湿式分散の前に、乾式分散処理に代えてソルトミリングをすることは除かれる。
【0115】
上記「乾式分散処理に連続して」の中でも、乾式分散処理をしてなる(A)顔料を、そのまま(固体又は固まりのまま)、一旦別の容器に収納することなく、次の操作を行うことが好ましい。
このようにすることによって、乾式分散処理をしてなる(A)顔料を一旦別の容器に入れて長期に保管(例えば1か月を超えて保管)した後に次の操作を行う場合に比較して、凝集物が発生することが少なくなり、顔料分散液における顔料の微分散が更に可能となり、コントラストが向上する。また、湿式分散の分散時間が更に短縮される。
【0116】
特に好ましくは、上記乾式分散処理に使用し、その内部に、該乾式分散処理が行われた後の上記S/Nが90以下である(A)顔料(a)が存在する乾式分散処理容器に、少なくとも上記(C)溶媒を加える操作を行うことによって、上記(A)顔料、上記(B)分散剤及び上記(C)溶媒を配合する「顔料分散液の製造方法」である。
乾式分散処理が終了後、該乾式分散処理の容器に存在する(A)顔料(a)に(C)溶媒を加え、該(A)顔料を(C)溶媒で洗い落とすようにして、次の湿式分散に用いる容器内に入れることも好ましい。
【0117】
乾式分散処理に連続して湿式分散を行うことによって、再凝集が防止できたり、微分散化が容易にできたり、時間の節約になったり、コストダウンが図れたりする。
また、乾式分散処理に代えてソルトミリングを行う場合に比較して、その後の湿式分散において微分散が可能となり、又は、全体の作業時間が短縮される。そして、顔料が微分散された顔料分散液が製造される結果、該顔料分散液を用いて得られたカラーフィルタを用いたディスプレイは、コントラストが高く、光の透過率が高く、高輝度のディスプレイとなる。
【0118】
本願発明の前記目的を達成できる範囲内で、(A)顔料(a)に追加して、「S/Nが90を超える(A)顔料」を配合して湿式分散してもよい。S/Nが90以下である(A)顔料(a)の、(A)顔料全体に占める割合は特に限定はないが、(A)顔料(a)は、(A)顔料全体に対して、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが特に好ましく、90質量%以上であることが更に好ましい。
(A)顔料(a)と「S/Nが90を超える(A)顔料」は、別の種類の顔料でもよく、同じ種類の顔料でもよい。
同じ種類の顔料の場合、主ピークの2θは同じであるので、含有される(A)顔料全体としては、S/Nが90以下であることが好ましい。
【0119】
1−6.顔料分散液の態様
本発明の顔料分散液の製造方法で製造された顔料分散液中の顔料の平均分散粒径は特に限定はないが、8nm〜150nmが好ましく、10nm〜100nmがより好ましく、12nm〜70nmが特に好ましい。
ここで、顔料分散液中の顔料の平均分散粒径(以下、単に「平均分散粒径」と略記する場合がある)は、少なくとも溶剤を含有する分散媒体中に分散している顔料粒子の分散粒径であって、レーザー光散乱粒度分布計により測定されるものである。レーザー光散乱粒度分布計による粒径の測定としては、顔料分散液に用いられている溶剤で、顔料分散液をレーザー光散乱粒度分布計で測定可能な濃度に適宜希釈し(例えば、1000倍等)、レーザー光散乱粒度分布計(例えば、日機装社製ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150)を用いて、動的光散乱法により23℃にて測定する。ここでの平均分散粒径は、体積平均粒径である。
【0120】
平均分散粒径が小さ過ぎると、耐光性が低下する場合があり、一方、平均分散粒径が大き過ぎると、該顔料分散液を用いて得られたカラーフィルタを用いたディスプレイは、コントラストが低かったり、光の透過率が低かったり、高輝度のディスプレイとならなかったりする場合がある。
【0121】
分散後、通常0.05μm〜10.0μm、好ましくは、0.1μm〜5.0μmのフィルター等で濾過して、本発明の顔料分散液とすることが好ましい。
【0122】
1−7.顔料分散液の用途
後記するように、本発明の顔料分散液は、カラーフィルタ材料、カラーフィルタ用着色樹脂組成物、カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物、液晶ディスプレイ材料、有機ELディスプレイ材料、印刷インキ材料、塗料材料等となる。特に、カラーフィルタ用着色樹脂組成物として有用である。
【0123】
2.感光性着色樹脂組成物
本発明の顔料分散液に、少なくとも、(D)アルカリ可溶性樹脂、(E)重合性多官能化合物、及び、(F)光重合開始剤を含有してなる感光性着色樹脂組成物を使用して、カラーフィルタ等が好適に得られ、該カラーフィルタを有する液晶ディスプレイや、該カラーフィルタを有する有機ELディスプレイは、前記した本発明の効果を奏する。
【0124】
2−1.(D)アルカリ可溶性樹脂
ここで、(D)アルカリ可溶性樹脂は特に限定はなく、アルカリ性の現像液で好適に現像できるものであれば使用可能である。
(D)アルカリ可溶性樹脂としては、好ましくは、酸基を有するモノマーを共重合成分とする共重合体である。また、重合体に後から酸基を導入したものであってもよい。
【0125】
ここで、酸基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸(メチレンコハク酸)等のカルボキシル基を有するモノマー;4−ヒドロキシフェニルマレイミド等のフェノール性水酸基を有するモノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等のカルボン酸無水物基を有するモノマー;等が挙げられる。
【0126】
また、本発明における(D)アルカリ可溶性樹脂は、ラジカル重合性二重結合が導入されたものが、感度が向上する点、感光性着色樹脂組成物が像露光され光硬化し、未露光部が現像された結果、強固な像ができる点等から好ましい。
ラジカル重合性二重結合が導入するには、例えば、重合後にラジカル重合性二重結合を導入し得るモノマーを(共)重合した後に、後述するようなラジカル重合性二重結合を側鎖に導入する。
かかる「重合後にラジカル重合性二重結合を導入し得るモノマー」としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸等のカルボキシル基を有するモノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等のカルボン酸無水物基を有するモノマー;等が挙げられる。
【0127】
ラジカル重合性二重結合の導入に用いられる化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、o−又はm−又はp−ビニルベンジルグリシジルエーテル等の「エポキシ基とラジカル重合性二重結合」を有する化合物が挙げられる。
「重合後にラジカル重合性二重結合を導入し得るモノマー」の酸基に、「エポキシ基とラジカル重合性二重結合」を有する化合物のエポキシ基が反応して、ラジカル重合性二重結合が導入された(D)アルカリ可溶性樹脂が得られる。
【0128】
(D)アルカリ可溶性樹脂には、上記の他に、これらと共重合可能なモノマーを使用することができ、該モノマー(以下、「他のモノマー」と略記する)として、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーが挙げられ、具体的には、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系モノマー;酢酸ビニル;アクリロニトリル;アリルアルキルエーテル等のアリル基含有化合物;ベンジルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド系モノマー;等が共重合される。
【0129】
前記、「酸基を有するモノマー」、「重合後にラジカル重合性二重結合を導入し得るモノマー」、「ラジカル重合性二重結合の導入に用いられる化合物」及び「他のモノマー」は、用いられる場合には、それぞれ1種又は2種以上が用いられて、(共)重合に供される。
【0130】
本発明における(D)アルカリ可溶性樹脂の酸価は、特に限定はないが、30〜200mgKOH/gが好ましく、40〜150mgKOH/gがより好ましく、50〜120mgKOH/gが特に好ましい。
酸価は、上限が上記値以下だと基板との十分な密着性が得られ、下限が上記値以上だと十分なアルカリ現像性が得られる。
【0131】
本発明における(D)アルカリ可溶性樹脂の分子量は、特に限定はないが、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)として、通常、3000〜25000、好ましくは、4000〜20000、特に好ましくは、5000〜15000である。
重量平均分子量(Mw)は、上限が上記値以下だと他の構成成分との相溶性が向上し、下限が上記値以上だと基板との密着性が向上する。
【0132】
2−2.(E)重合性多官能化合物
(E)重合性多官能化合物としては、特に限定はなく、公知の重合性多官能化合物が用いられる。
「重合性多官能化合物」は、1分子中に2個以上の重合性官能基を有するものであれば、特に限定はないが、例えば、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート;ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート等の多官能アリル化合物;等が挙げられる。
【0133】
このうち、ポリエーテル(メタ)アクリレートとしては、具体的には、例えば、以下のものが挙げられる。
2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート等の直鎖アルカンジオールジ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール#200ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール#300ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール#400ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール#600ジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール#400ジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール#700ジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノベンゾエート等の3価以上のアルコールの部分(メタ)アクリル酸エステル;ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、水素化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性水素化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性水素化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、PO変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、EO変性テトラブロモビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等のビスフェノール系ジ(メタ)アクリレート;ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールPO変性ジ(メタ)アクリレート;ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルのカプロラクトン付加物ジ(メタ)アクリレート;1,6−ヘキサンジオールビス(2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピル)エーテル;トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジ(メタ)アクリレート;等が挙げられる。
【0134】
3官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンPO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ε−カプロラクトン変性トリ(メタ)アクリレート、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−s−トリアジン、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートトリプロピオネート等が挙げられる。
【0135】
4官能以上の(メタ)アクリレートとしては、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、コハク酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートモノプロピオネート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、テトラメチロールエタンテトラ(メタ)アクリレート、オリゴエステルテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0136】
これらは、1種又は2種以上混合して用いられる。
【0137】
このうち、ウレタン(メタ)アクリレートとしては、具体的には、例えば、以下のものが挙げられる。
(A)分子中に(好ましくは複数個の)イソシアネート基を有する化合物に対して、分子中に水酸基と(好ましくは複数個の)(メタ)アクリル基を有する化合物を反応させて得られるような構造をもつもの、(B)複数個の水酸基を有する化合物にジイソシアネート化合物やトリイソシアネート化合物を反応させ、得られた化合物の未反応イソシアネート基に、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のように分子中に水酸基と(メタ)アクリル基を有する化合物を反応させて得られるような構造をもつもの、挙げられる。
【0138】
2官能ウレタン(メタ)アクリレートとしては、両末端が水酸基、アミノ基等のポリマー若しくはオリゴマー(c)の両末端に、ジイソシアネート化合物(d)を反応させ、得られた「両末端にイソシアネート基を有するポリマー若しくはオリゴマー」に、更に、分子中に水酸基と(メタ)アクリル基を有する化合物(e)を、その両末端に反応させたものが挙げられる。
【0139】
両末端が水酸基のポリマー若しくはオリゴマー(c)としては、例えば、エステルオリゴマー、エステルポリマー、ウレタンオリゴマー、ウレタンポリマー、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
上記エステルのジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、2,2’−チオジエタノール等が挙げられる。
上記エステルのジカルボン酸成分としては、例えば、蓚酸、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸等のアルキレンジカルボン酸;テレフタル酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。
かかるポリマー又はオリゴマーの両末端に反応させるジイソシアネート化合物(d)としては、例えば、上記の多価イソシアネート化合物(a)の項目で記載したうちのジイソシアネート化合物と同様のものが使用できる。
更に、上記で得られた両末端にイソシアネート基を有するポリマー若しくはオリゴマーの両末端に反応させる、「分子中に水酸基と(メタ)アクリル基を有する化合物(e)」としては特に限定はないが、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0140】
3官能以上のウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、多価イソシアネート化合物(a)のイソシアネート基に、分子中に1個の水酸基と1個以上の(メタ)アクリル基を有する化合物(b)の水酸基が反応してなるものが挙げられる。
この場合の多価イソシアネート化合物(a)として、例えば、分子中に2個のイソシアネート基を有する化合物としては、例えば、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4'−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
また、分子中に3個のイソシアネート基を有する化合物としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等を変性してなるトリメチロールプロパン付加アダクト体、ビューレット体、イソシアヌレート体等が挙げられる。
【0141】
分子中に1個の水酸基と1個以上の(メタ)アクリル基を有する化合物(b)としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート;分子中に3個以上(p個とする)の水酸基を有する化合物(b−1)の水酸基に、(メタ)アクリル酸が(p−1)個反応した化合物;グリシジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸が開環反応した化合物;等が挙げられる。
化合物(b)のうち、「分子中にp個(pは3以上の整数)の水酸基を有する化合物(b−1)に、(メタ)アクリル酸が(p−1)個反応した化合物」における、「分子中に3個以上の水酸基を有する化合物(b−1)」としては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、テトラメチロールエタン、ジグリセリン、ジトリメチロールエタン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、ジテトラメチロールエタン;これらのエチレンオキサイド変性化合物;これらのプロピレンオキサイド変性化合物;イソシアヌル酸のエチレンオキサイド変性化合物、プロピレンオキサイド変性化合物、ε−カプロラクトン変性化合物;オリゴエステル等が挙げられる。
化合物(b−1)は、具体的には、例えば、ジグリセリン、ジトリメチロールエタン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、ジテトラメチロールエタン等が挙げられる。
【0142】
これらは、1種又は2種以上混合して用いられる。
【0143】
このうち、エポキシ(メタ)アクリレートとしては、具体的には、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等のアルキレングリコ−ルのジグリシジルエーテル類;グリセリンジグリシジルエーテル等のグリセリングリシジルエーテル類;ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのPO変性ジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリジルエーテル等のビスフェノール系化合物のジグリシジルエーテル類等に、(メタ)アクリル酸を付加させた構造を有するもの等が挙げられる。
また、縮重合されたエポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を付加させた構造を有するものが挙げられる。
更に、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等の縮重合物に、例えばエピクロロヒドリン等を反応させて得られた構造を有するエポキシ樹脂に対して、(メタ)アクリル酸を付加させた構造を有するものや、酸無水物を付加させたもの等が挙げられる。
【0144】
これらは、1種又は2種以上混合して用いられる。
【0145】
2−3.(F)光重合開始剤
(F)光重合開始剤としては特に限定はなく、ラジカル重合に対して従来用いられている公知のものが使用可能である。特に、一般的にカラーフィルタの製造に用いられるものを使用することが好ましい。
【0146】
このような光重合開始剤としては、具体的には、紫外線のエネルギーによりフリーラジカルを発生する化合物であって、ベンゾイン誘導体;ベンゾフェノン誘導体;キサントン、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン等のキサントン誘導体若しくはチオキサントン誘導体;イルガキュアOXE−01、イルガキュアOXE−02(以上、BASFジャパン社製);ADEKA OPT−N−1919(旭電化製)等のオキシムエステル化合物;クロロスルフォニル、クロロメチル多核芳香族化合物、クロロメチル複素環式化合物、クロロメチルベンゾフェノン類等の含ハロゲン化合物;トリアジン類;フルオレノン類;ハロアルカン類;光還元性色素と還元剤とのレドックスカップル類;有機硫黄化合物;過酸化物;等が挙げられる。
【0147】
光重合開始剤としては、具体的には、例えば、ミヒラーケトン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−エチルアントラキノン、フェナントレン等の芳香族ケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル類、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2,4,5−トリアリールイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メチルフェニル)イミダゾール2量体、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−シアノスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール等のハロメチルチアゾール化合物、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシスチリル−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1,3−ブタジエニル)−s−トリアジン、2−トリクロロメチル−4−アミノ−6−p−メトキシスチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(4−ブトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン等のハロメチル−s−トリアジン系化合物、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン、1,2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、2−n−ブトキシエチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、エタノン、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(o−アセチルオキシム)、4−ベンゾイル−メチルジフェニルサルファイド、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルフォリルニル)フェニル]−1−ブタノン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルホリニル)−1−プロパノン、1,2−オクタジオン等が挙げられる。
【0148】
また、3級アミン構造を有する光重合開始剤を好適に用いることができる。3級アミン構造を有する光重合開始剤は、分子内に酸素クエンチャーである3級アミン構造を有するため、光重合開始剤から発生したラジカルが酸素により失活し難く、感度を向上させることができるといった利点を有する。
上記3級アミン構造を有する光重合開始剤の市販品としては、例えば、イルガキュア907、イルガキュア369(以上、BASFジャパン社製)、ハイキュアABP(川口薬品製)等が挙げられる。
【0149】
本発明に用いられる光重合開始剤は、1種に限定されず、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0150】
2−4.含有割合
感光性着色樹脂組成物における、感度、解像度及び現像性の観点から、(D)アルカリ可溶性樹脂と、(E)重合性多官能化合物との含有割合は、特に限定はないが、(D)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、(E)重合性多官能化合物10〜500質量部が好ましく、20〜300質量部がより好ましく、30〜200質量部が特に好ましい。
感光性着色樹脂組成物の固形分合計量に対して、(D)アルカリ可溶性樹脂は5〜60質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましい。また、該固形分全量に対して、(E)重合性多官能化合物は5〜60質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましい。
【0151】
前記(F)光重合開始剤の含有割合は、感度、解像度及び現像性の観点から、(E)重合性多官能化合物100重量部に対して、通常0.2〜30重量部、好ましくは0.5〜20重量部、特に好ましくは1〜10重量部である。
感光性着色樹脂組成物の固形分合計量に対して、(F)光重合開始剤は、3〜40質量%が好ましく、7〜35質量%がより好ましく、10〜30質量%が特に好ましい。
【0152】
感光性着色樹脂組成物の固形分合計量に対して、(A)顔料は5〜50質量%が好ましく、10〜45質量%がより好ましい。
この範囲であると、着色力、感度、解像度及び現像性が良好となる。
【0153】
2−5.その他の成分
感光性着色樹脂組成物には、更に必要に応じて、例えば、濡れ性向上のための界面活性剤、レベリング剤、密着性向上のためのシランカップリング剤、消泡剤、ハジキ防止剤、酸化防止剤、凝集防止剤、紫外線吸収剤等を含有させることができる。
【0154】
2−6.感光性着色樹脂組成物の調製
感光性着色樹脂組成物の調製は、顔料分散液に、少なくとも、(D)アルカリ可溶性樹脂、(E)重合性多官能化合物、及び、(F)光重合開始剤を配合し、要すれば、「その他の成分」を配合し、更に必要に応じて、溶媒を配合し、混合する方法で行うことができる。
顔料分散液としては、本発明に係る顔料分散液と、必要に応じて更に他の顔料分散液とを、感光性着色樹脂組成物の調製時に混合してもよい。
本発明の感光性着色樹脂組成物は、予め顔料分散液を製造して用いるので、顔料の凝集を効果的に防ぎ、均一に分散させ得る。
【0155】
3.カラーフィルタ
カラーフィルタは、通常、透明基板、遮光部及び着色層を有している。本発明の顔料分散液を用いて得られる、又は、前記の感光性着色樹脂組成物を使用して得られるカラーフィルタは高いコントラスト等を実現することができ、従って、前記の顔料分散液は、カラーフィルタ材料、カラーフィルタ用着色樹脂組成物、カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物として有用である。
【0156】
3−1.着色層
着色層は、前述した本発明の感光性着色樹脂組成物を硬化させて形成されたものであればよく、特に限定されないが、通常、後述する透明基板上の遮光部の開口部に形成され、該感光性着色樹脂組成物に含まれる顔料の種類によって、3色以上の着色パターンから構成される。
また、当該着色層の配列としては、特に限定されず、例えば、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の一般的な配列とすることができる。また、着色層の幅、面積等は任意に設定することができる。
当該着色層の厚みは、塗布方法、塗布条件、感光性着色樹脂組成物の固形分濃度、粘度等を調整することにより、適宜制御されるが、通常、1〜5μmの範囲であることが好ましい。
【0157】
当該着色層は、例えば、下記の方法により形成することができる。
まず、前述した本発明の感光性着色樹脂組成物を、スプレーコート法、ディップコート法、バーコート法、ロールコート法、スピンコート法、ダイコート法等の塗布手段を用いて後述する透明基板上に塗布して、ウェット塗膜を形成させる。
次いで、ホットプレート、オーブン等を用いて、該ウェット塗膜を乾燥させた後、これに、所定のパターンのマスクを介して露光し、(D)アルカリ可溶性樹脂、(E)重合性多官能化合物を光重合反応させる。
露光に使用される光源としては、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等の紫外線、電子線等が挙げられる。
また、露光後に重合反応を促進させるために、加熱処理を行ってもよい。
【0158】
次に、現像液を用いて現像処理し、未露光部分を溶解、除去することにより、所望のパターンで塗膜が形成される。現像液としては、通常、水や水溶性溶媒にアルカリを溶解させた溶液が用いられる。
現像処理後は、通常、現像液の洗浄、樹脂組成物の硬化塗膜の乾燥が行われ、着色層が形成される。なお、現像処理後に、塗膜を十分に硬化させるために加熱処理を行ってもよい。
【0159】
3−2.遮光部
カラーフィルタにおける遮光部は、後述する透明基板上にパターン状に形成されるものである。
遮光部のパターン形状としては、特に限定されず、例えば、ストライプ状、マトリクス状等の形状が挙げられる。
この遮光部としては、例えば、黒色顔料をバインダ樹脂中に分散又は溶解させたもの;クロム、酸化クロム等の金属薄膜等が挙げられる。この金属薄膜は、CrOx膜(xは任意の数)及びCr膜が2層積層されたものであってもよく、また、より反射率を低減させたCrOx膜(xは任意の数)、CrNy膜(yは任意の数)及びCr膜が3層積層されたものであってもよい。
【0160】
該遮光部が黒色着色剤をバインダ樹脂中に分散又は溶解させたものである場合、この遮光部の形成方法としては、例えば、遮光部用樹脂組成物を用いたフォトリソグラフィー法、印刷法、インクジェット法等を挙げることができる。
上記の場合であって、遮光部の形成方法として、印刷法やインクジェット法を用いる場合、バインダ樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ヒドロキシエチルセルロース樹脂、カルボキシメチルセルロース樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
【0161】
また、上記の場合であって、遮光部の形成方法としてフォトリソグラフィー法を用いる場合、バインダ樹脂としては、例えば、アクリレート系、メタクリレート系、ポリ桂皮酸ビニル系、もしくは環化ゴム系等の反応性ビニル基を有する感光性樹脂が用いられる。
この場合、顔料としてカーボンブラック、チタンブラック等の黒色顔料及び感光性樹脂を含有する遮光部用樹脂組成物には、光重合開始剤、増感剤、塗布性改良剤、現像改良剤、架橋剤、重合禁止剤、可塑剤、難燃剤等を添加してもよい。
【0162】
一方、遮光部が金属薄膜である場合、この遮光部の形成方法としては、例えば、蒸着法、スパッタリング法等で真空成膜した金属薄膜をフォトリソグラフィー法により金属薄膜上に形成したレジストパターンをマスクとして金属エッチングする方法等を挙げることができる。
【0163】
該遮光部の膜厚としては、金属薄膜の場合は、0.05〜0.4μm程度で設定され、黒色着色剤をバインダ樹脂中に分散又は溶解させたものである場合は、0.5〜3μm程度で設定される。
【0164】
3−3.透明基板
カラーフィルタにおける透明基板としては、可視光に対して透明な基材であればよく、特に限定されず、一般的なカラーフィルタに用いられる透明基板を使用することができる。具体的には、石英ガラス、無アルカリガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジッド材、あるいは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材が挙げられる。
当該透明基板の厚みは、特に限定されるものではないが、用途に応じて、例えば100μm〜1mm程度のものを使用することができる。
なお、本発明のカラーフィルタは、上記透明基板、遮光部及び着色層以外にも、例えば、オーバーコート層や透明電極層、更には配向膜や柱状スペーサ等が形成されたものであってもよい。
【0165】
4.液晶ディスプレイ及び有機ELディスプレイ
本発明の顔料分散液を含有する感光性着色樹脂組成物を使用して得られるカラーフィルタは、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等のディスプレイ表示装置に用いられる。
カラーフィルタの、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイへの適用は、通常公知の方法で行われる。
【0166】
本発明の顔料分散液を含有する感光性着色樹脂組成物を使用して得られるカラーフィルタは、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイは、コントラストが高く、光の透過率が高く、高輝度のディスプレイとなる。
特に、本発明の顔料分散液を用いて得られた、液晶ディスプレイ用のカラーフィルタは、顔料が微分散されており、液晶物質によって得られた偏光を解消させることが少なく、かかるカラーフィルタを用いれば、高いコントラスト、高い透過率、高い輝度を有する液晶ディスプレイを提供することが可能である。
【0167】
本発明の顔料分散液が優れた分散性、コントラスト等を示す作用・効果は明確には明らかではないが、以下のことが考えられる。ただし本発明は、以下の作用効果の範囲に限定されるわけではない。
本発明における(S/N)が90以下である(A)顔料(a)は、結晶性が低いために(A)顔料の堅牢性が低いと考えられる。これにより、(A)顔料(a)は粉砕、分散により微細化され易く、すなわち、顔料の微分散が容易となっていると考えられる。
そのため、該顔料分散液は優れた分散性、コントラスト等を示すことができる。特に、本願の前記(B)分散剤と組み合わせることで、更に、相乗的に、分散性、コントラスト等を向上させることができる。
【実施例】
【0168】
以下に、製造例、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、実施例においては、C.I.ピグメントレッド177等を単に「PR177」等と、C.I.ピグメントイエロー150等を単に「PY150」等と、C.I.ピグメントイエロー180等を単に「PY180」等と、C.I.ピグメントイエロー213等を単に「PY213」等と、C.I.ピグメントブルー15:6等を単に「PB15:6」等と、C.I.ピグメントバイオレット23等を単に「PV23」等と略記する場合がある。
【0169】
<(A)顔料の調製>
調製例1
(乾式分散処理顔料Aの調製)
顔料としてS/Nが110のC.I.ピグメントレッド177(PR177)10.0質量部、粒径10.0mmのジルコニアビーズ200質量部をマヨネーズビンに入れ、ペイントシェーカー(浅田鉄工(株)製)にて9時間振とうし、乾式分散処理顔料Aを調製した。乾式分散処理顔料AのS/Nは24であった。
【0170】
調製例2
(乾式分散処理顔料Bの調製)
顔料としてS/Nが122のC.I.ピグメントイエロー150(PY150)10.0質量部、粒径10.0mmのジルコニアビーズ200質量部をマヨネーズビンに入れ、ペイントシェーカー(浅田鉄工(株)製)にて9時間振とうし、乾式分散処理顔料Bを調製した。乾式分散処理顔料BのS/Nは26であった。
【0171】
調製例3
(乾式分散処理顔料Cの調製)
顔料としてS/Nが198のC.I.ピグメントイエロー180(PY180)10.0質量部、粒径10.0mmのジルコニアビーズ200質量部をマヨネーズビンに入れ、ペイントシェーカー(浅田鉄工(株)製)にて9時間振とうし、乾式分散処理顔料Cを調製した。乾式分散処理顔料CのS/Nは54であった。
【0172】
調製例4
(乾式分散処理顔料Dの調製)
顔料としてS/Nが259のC.I.ピグメントイエロー213(PY213)10.0質量部、粒径10.0mmのジルコニアビーズ200質量部をマヨネーズビンに入れ、ペイントシェーカー(浅田鉄工(株)製)にて9時間振とうし、乾式分散処理顔料Dを調製した。乾式分散処理顔料DのS/Nは48であった。
【0173】
調製例5
(乾式分散処理顔料Eの調製)
顔料としてS/Nが102のC.I.ピグメントブルー15:6(PB15:6)10.0質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)(以下、単に「PGMEA」と略記する)5.0質量部、粒径10.0mmジルコニアビーズ200質量部をマヨネーズビンに入れ、ペイントシェーカー(浅田鉄工(株)製)にて9時間振とうし、乾式分散処理顔料Eを調製した。乾式分散処理顔料EのS/Nは29であった。
【0174】
調製例6
(乾式分散処理顔料F〜Hの調製)
顔料としてS/Nが221のC.I.ピグメントバイオレット23(PV23)10.0質量部、粒径10.0mmジルコニアビーズ200質量部をマヨネーズビンに入れ、ペイントシェーカー(浅田鉄工(株)製)にてそれぞれ6、9、12時間振とうし、乾式分散処理顔料F、G、Hを調製した。乾式分散処理顔料F、G、HのS/Nはそれぞれ25、10、2であった。
【0175】
調製例7
(乾式分散処理顔料Iの調製)
顔料としてS/Nが221のC.I.ピグメントバイオレット23(PV23)10.0質量部、粒径10.0mmジルコニアビーズ200質量部をマヨネーズビンに入れ、ペイントシェーカー(浅田鉄工(株)製)にて12時間振とうし、乾式分散処理顔料P’を調製した。乾式分散処理顔料P’のS/Nは2であった。
乾式分散処理顔料は、調製後、容器に移し替え、室温で3か月保存した。室温で3か月保存した乾式分散処理顔料P’を乾式分散処理顔料Iとした。乾式分散処理顔料IのS/Nは2であった。
【0176】
<(B)分散剤の合成>
合成例1
(塩基性ブロック型分散剤の合成)
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた500mL丸底4口セパラブルフラスコに、テトラヒドロフラン(THF)250質量部及び開始剤のジメチルケテンメチルトリメチルシリルアセタール5.81質量部を、添加用ロートを介して加え、充分に窒素置換を行った。
その後、触媒のテトラブチルアンモニウムm−クロロベンゾエートの1モル/Lアセトニトリル溶液0.5質量部を、シリンジを用いて注入し、第1モノマーのメタクリル酸メチル100質量部を添加用ロートを用い、60分かけて滴下した。反応フラスコを氷浴で冷却することにより、温度を40℃未満に保った。
1時間後、第2モノマーであるメタクリル酸ジメチルアミノエチル33.3質量部を20分かけて滴下した。1時間反応させた後、メタノール1質量部を加えて反応を停止させた。
【0177】
得られた塩基性ブロック共重合体のTHF溶液は、ヘキサン中で再沈殿させ、濾過、真空乾燥により精製を行い、ブロック共重合体Aを得た。また、使用の際には、固形分20質量%になるようPGMEAで調整した。
【0178】
このようにして得られた塩基性ブロック共重合体Aの重量平均分子量(Mw)等を、前述の条件によりGPCで確認したところ、メタクリル酸メチル(MMA)及びメタクリル酸ジメチルアミノエチル(DMAEMA)の構成割合MMA/DMAEMA質量比が、3/1であり、重量平均分子量(Mw)が8120であり、数平均分子量(Mn)が6840であり、分子量分布(Mw/Mn)が1.19であった。この塩基性ブロック共重合体Aを「塩基性ブロック型分散剤」として用いた。
【0179】
合成例2
(塩基性グラフト型分散剤の合成)
<<マクロモノマーAの合成>>
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、PGMEAを80.0質量部仕込み、窒素気流下で攪拌しながら、温度90℃に加温した。
MMAを50.0質量部、メタクリル酸−n−ブチル(BMA)を30.0質量部、メタクリル酸ベンジル(BzMA)を20.0質量部、メルカプトエタノールを4.0質量部、PGMEAを30質量部、α,α’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を1.0質量部の混合溶液を1.5時間かけて滴下し、更に3時間反応した。
【0180】
次に、窒素気流を止めて、この反応溶液を80℃に冷却し、2−イソシアナトエチルメタクリレート(カレンズMOI(昭和電工(株)社製))8.74質量部、ジラウリン酸ジブチルすず0.125g、p−メトキシフェノール0.125質量部、及び、PGMEA10質量部、を加えて3時間攪拌することで、マクロモノマーAの49.5%溶液を得た。
【0181】
得られたマクロモノマーAの重量平均分子量(Mw)等を、塩基性ブロック共重合体と同様の方法でGPCにて測定した。マクロモノマーAの重量平均分子量(Mw)は4010、数平均分子量(Mn)は1910、分子量分布(Mw/Mn)は2.10であった。
【0182】
<<マクロモノマーAを用いた塩基性グラフト共重合体の合成>>
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、PGMEA80.0質量部を仕込み、窒素気流下攪拌しながら、温度85℃に加温した。
合成例2で得られたマクロモノマーA溶液75.76質量部(有効固形分37.5質量部)、DMAEMA12.5質量部、N−ドデシルメルカプタン1.24質量部、PGMEA20.0質量部、AIBN0.5質量部の混合溶液混合溶液を1.5時間かけて滴下し、3時間加熱攪拌したのち、AIBN0.10質量部、PGMEA10.0質量部の混合液を10分かけて滴下し、更に同温で1時間熟成することで、塩基性グラフト共重合体溶液を得た。
得られた塩基性グラフト共重合体溶液はヘキサン中で再沈殿させ、濾過、真空乾燥により精製を行い、塩基性グラフト共重合体Aを得た。この塩基性グラフト共重合体Aを「塩基性グラフト型分散剤」として用いた。
【0183】
また、使用の際には、固形分20質量%になるようPGMEAで調整した。このようにして得られた塩基性グラフト共重合体Aの重量平均分子量(Mw)等を塩基性ブロック共重合体と同様の方法でGPCにて測定した。塩基性グラフト共重合体Aは、重量平均分子量(Mw)が11480、数平均分子量(Mn)が4650、分子量分布(Mw/Mn)が2.47であった。
【0184】
<顔料分散液の製造>
製造例1
(顔料分散液Aの製造)
分散剤として、合成例1で合成した塩基性ブロック型分散剤の溶液Aを8質量部(固形分量1.6質量部)、調製例1で調製した乾式分散処理顔料Aを5質量部、PGMEAを37質量部、粒径2.0mmジルコニアビーズ50質量部をマヨネーズビンに入れ、予備解砕としてペイントシェーカー(浅田鉄工(株)製)にて1時間振とうし、次いで、粒径2.0mmジルコニアビーズを取り出し、粒径0.1mmのジルコニアビーズ100質量部を加えて、同様に本解砕としてペイントシェーカーにて3時間分散を行い、顔料分散液Aを製造した。なお、調製例1で調製した乾式分散処理顔料Aは、調製後1日以内に使用した。
【0185】
製造例2
(顔料分散液B〜Iの製造)
製造例1で使用した乾式分散処理顔料Aを、それぞれ調製例2〜7で調製した乾式分散処理顔料B〜Iに代えたこと以外は、製造例1と同様の方法により、顔料分散液を製造し、それぞれ「B〜I」に対応して、顔料分散液B〜Iとした。なお、調製例2〜6で調製した乾式分散処理顔料B〜Hは、調製後それぞれ1日以内に使用し、調製例7で調製した乾式分散処理顔料Iは、調製後3か月後に使用した。
【0186】
製造例3
(顔料分散液J〜Lの製造)
分散剤として、合成例2で合成した塩基性グラフト共重合体溶液Aを8質量部(固形分量1.6質量部)、調製例6で調製した乾式分散処理顔料F〜Hをそれぞれ5質量部、PGMEAを37質量部、粒径2.0mmのジルコニアビーズ50質量部をマヨネーズビンに入れ、予備解砕としてペイントシェーカー(浅田鉄工(株)製)にて1時間振とうし、次いで、粒径2.0mmのジルコニアビーズを取り出し、粒径0.1mmのジルコニアビーズ100質量部を加えて、同様に本解砕としてペイントシェーカーにて3時間分散を行い、顔料分散液J〜Lを製造した。調製例6で調製した乾式分散処理顔料F〜Hは、調製後それぞれ1日以内に使用した。
【0187】
調製例8
(乾式分散処理顔料Mの調製)
顔料としてS/Nが221のC.I.ピグメントバイオレット23(PV23)を10.2質量部、粒径10.0mmのジルコニアビーズ200質量部をマヨネーズビンに入れ、ペイントシェーカー(浅田鉄工(株)製)にて12時間振とうし、乾式分散処理顔料Mを調製した。
マヨネーズビンから乾式分散処理顔料Mを0.2質量部取り出し、後日、X線回折装置で測定したところ、S/Nは2であった。
【0188】
製造例4
(顔料分散液Mの製造)
続けて、調製例8で用いた乾式分散処理顔料Mが内部に存在しているマヨネーズビンに、PGMEAを74.0質量部加え、ペイントシェーカーにて5分間振とうした後、粒径10.0mmのジルコニアビーズを取り除き、乾式分散処理顔料MのPGMEA溶液を回収した。
別のマヨネーズビンに、乾式分散処理顔料MのPGMEA溶液42質量部、分散剤として、合成例1で合成した塩基性ブロック共重合体溶液Aを8質量部(固形分量1.6質量部)、粒径2.0mmのジルコニアビーズ50質量部を入れ、予備解砕としてペイントシェーカー(浅田鉄工(株)製)にて1時間振とうし、次いで、粒径2.0mmのジルコニアビーズを取り出し、粒径0.1mmのジルコニアビーズ100質量部を加えて、同様に本解砕としてペイントシェーカーにて3時間分散を行い、顔料分散液Mを製造した。
【0189】
製造例5
(顔料分散液Nの製造)
分散剤として、合成例1で合成した塩基性ブロック型分散剤の溶液Aを8質量部(固形分量1.6質量部)、調製例6で調製した乾式分散処理顔料Hを4.7質量部、「酸性色素誘導体」として、特開2005−173459に記載された方法で合成した「PV23のスルホン酸誘導体」を0.3質量部、PGMEAを37質量部、粒径2.0mmジルコニアビーズ50質量部をマヨネーズビンに入れ、予備解砕としてペイントシェーカー(浅田鉄工(株)製)にて1時間振とうし、次いで、粒径2.0mmジルコニアビーズを取り出し、粒径0.1mmのジルコニアビーズ100質量部を加えて、同様に本解砕としてペイントシェーカーにて3時間分散を行い、顔料分散液Nを製造した。
【0190】
比較製造例1
(顔料分散液A’の製造)
製造例1で使用した乾式分散処理顔料Aを、調製例1で使用した未処理PR177(S/N=110)に代えたこと以外は、製造例1と同様の方法により、顔料分散液を製造し、顔料分散液A’とした。
【0191】
比較製造例2
(顔料分散液B’〜F’の製造)
製造例2で使用した乾式分散処理顔料B〜Eを、製造例2で使用した乾式分散処理顔料のそれぞれ未処理顔料に代えたこと以外は、製造例2と同様の方法により、それぞれ顔料分散液を製造し、乾式分散処理顔料B〜Eに対応して、それぞれ顔料分散液B’〜E’とした。
また、乾式分散処理顔料F、G、H(乾式分散処理の時間が異なるだけで、PV23で共通)に対応して、乾式分散処理をしていないPV23にした以外は、製造例2と同様の方法により顔料分散液を製造し、顔料分散液F’とした。
【0192】
比較製造例3(顔料分散液G’の製造)
製造例3で使用した乾式分散処理顔料F、G、H(何れもPV23で共通)を、製造例3で使用した乾式分散処理顔料の未処理顔料PV23に代えたこと以外は製造例3と同様の方法により、顔料分散液を調製し、顔料分散液G’とした。
【0193】
合成例3
(アルカリ可溶性樹脂の合成)
重合槽に、PGMEAを300質量部仕込み、窒素雰囲気下で100℃に昇温した後、フェノキシエチルメタクリレート(PhEMA)90質量部、メチルメタクリレート(MMA)54質量部、メタクリル酸(MAA)36質量部及びパーブチルO(日油株式会社製)6質量部、連鎖移動剤(N−ドデシルメルカプタン)2質量部を1.5時間かけて連続的に滴下した。
【0194】
その後、100℃を保持して反応を続け、上記主鎖形成用混合物の滴下終了から2時間後に重合禁止剤として、p−メトキシフェノール0.1質量部を添加して重合を停止した。
次に、空気を吹き込みながら、エポキシ基含有化合物としてグリシジルメタクリレート(GMA)20質量部を添加して、110℃に昇温した後、トリエチルアミン0.8質量部を添加して110℃で15時間付加反応させ、アルカリ可溶性樹脂A(重量平均分子量(Mw)8500、酸価75mgKOH/g、固形分40質量%)を得た。
なお、アルカリ可溶性樹脂の上記重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレンを標準物質とし、THFを溶離液としてショウデックスGPCシステム−21H(Shodex GPC System−21H)により測定した。また酸価の測定方法は、JIS K 0070に基づいて測定した。
【0195】
実施例1
(D)アルカリ可溶性樹脂A:1.28質量部
(E)重合性多官能化合物(商品名:アロニックスM403、東亞合成社製):1.19質量部
(F)光重合開始剤
2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン(商品名:イルガキュア907、BASF社製):0.17質量部
2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(商品名:イルガキュア369、BASF社製):0.13質量部
【0196】
上記組成に、PGMEAを5.28質量部加えて攪拌し、透明レジスト組成物を得た。得られた透明レジスト組成物に、製造例1で得られた顔料分散液Aを11.95質量部加え、赤色レジスト組成物である感光性着色樹脂組成物を得た。
【0197】
実施例2〜4及び比較例1〜4
実施例1で使用した顔料分散液Aを、製造例2で得られた顔料分散液B〜D、比較製造例1、2で得られた顔料分散液A’〜D’に代えたこと以外は、実施例1と同様の方法により、着色レジスト組成物である感光性着色樹脂組成物をそれぞれ得た。
【0198】
実施例5
(D)アルカリ可溶性樹脂A:1.78質量部
(E)重合性多官能化合物(商品名:アロニックスM403、東亞合成社製)1.66質量部
(F)光重合開始剤
2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン(商品名:イルガキュア907、BASF社製):0.23質量部
2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(商品名:イルガキュア369、BASF社製))0.19質量部
【0199】
上記組成に、PGMEAを10.16質量部加えて攪拌し、透明レジスト組成物を得た。得られた透明レジスト組成物に、製造例2で得られた顔料分散液Eを5.98質量部加え、青色レジスト組成物である感光性着色樹脂組成物を得た。
【0200】
実施例6〜14及び比較例5〜7
実施例5で使用した顔料分散液Eを、製造例2〜5で得られた顔料分散液F〜Nに代え、比較製造例2、3で得られた顔料分散液E’〜G’に代えたこと以外は、実施例5と同様の方法により、着色レジスト組成物である感光性着色樹脂組成物をそれぞれ得た。
【0201】
評価方法
<S/Nの測定方法>
<<主ピークの強度(S)とバックグラウンドノイズの強度(N)の測定方法>>
乳鉢により、(A)顔料を解砕することによって粗大粒子を除去した。
(A)顔料の充填には、試料充填部を2.0mm×2.0mm×0.2mmエッチングした標準の底付ガラス試料板を使用した。底付ガラス試料板としては、リガク社製のガラス試料板20×20底あり0.2を用いた。
充填部に(A)顔料を入れ、他のガラス板等で(A)顔料を圧し広げ、均一に充填した。誤差を小さくするため、顔料面とガラス試料板が同一面になるようにした。
【0202】
前記した測定方法と定義に従って、主ピークの強度(S)とバックグラウンドノイズの強度(N)を測定した。
バックグラウンドを除いた主ピークの強度(S)、及び、同様にバックグラウンドを除いたバックグラウンドノイズの強度(N)を示すスペクトルの概略図を
図1に示す。
【0203】
すなわち、上記「試料充填部に(A)顔料が充填された底付ガラス試料板」を、粉末X線回折装置で測定した。
X線回折スペクトルは、CuKα線をX線源とした集中法光学系の粉末X線回折装置である、株式会社リガク社製の「RINT−TTR III」を用い、測定条件として、走査領域2θ=3〜55°、サンプリング幅0.02°、スキャンスピード5°/分、発散スリット1/4、散乱スリット1/4、受光スリット0.45mmと設定して得た。
主ピークの強度(S)とバックグラウンドノイズの強度(N)は、X線回折スペクトルから、前記した方法でバックグラウンドを除去した後に求めた。
【0204】
「バックグラウンドノイズの強度(N)」の算出方法及び定義は、前述した通りであり、走査範囲2θ=47.5°〜48.0°におけるノイズ由来のピーク高さを、0.02°毎に、計26点検出し、その26点のうち、上下それぞれ7点を除いた計12点の平均値を「バックグラウンドノイズの強度(N)」とした。
【0205】
例として、PR177を乾式分散処理して湿式分散した顔料分散液Aを使用した実施例1と、PR177をそのまま湿式分散した顔料分散液A’を使用した比較例1のバックグラウンドノイズの強度(N)の実測値と具体的算出方法を以下の表1に示す。
なお、実施例1は顔料分散液A(S/N=24、N=107)を使用しており、比較例1は顔料分散液A’(S/N=110、N=79)を使用している。
表1の太字斜字部分が、26点のうち上下それぞれ7点を除いた計12点であって、平均値を求めた数値部分である。
【0206】
【表1】
【0207】
<「(A)顔料のTEM粒径」の測定>
「顔料分散液の製造に使用した「(A)顔料のTEM粒径」、すなわち、(A)顔料の粒径(湿式分散前の顔料の平均粒径)」は、前記した通りに測定し、そのように測定したものとして定義される。
すなわち、前記した通りに、20万倍のSTEM写真を撮り、前記のソフトウェアに取り込み、写真上で顔料を任意に100個選び、それぞれの直径(差し渡し長さ)を測定し、体積基準の分布から体積で50%累積粒子径、すなわち、体積分布メジアン径(D50)を求めて、それを、「(A)顔料のTEM粒径」とした。
測定結果を表2に示す。
【0208】
<「平均分散粒径」の測定>
各実施例及び比較例で得られた顔料分散液の平均粒径の測定を行った。平均分散粒径の測定には、日機装社製「ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150」を用い、顔料分散液をレーザー光散乱粒度分布計で測定可能な濃度になるように、それぞれ1000倍に希釈し、前記した方法で測定した。
【0209】
<コントラストの評価>
カラーフィルタとしての性能評価のため、実施例1〜12及び比較例1〜7の着色レジスト組成物である感光性着色樹脂組成物をそれぞれ、厚み0.7mmで、10mm×10mmのガラス基板(NHテクノグラス(株)社製、NA35)上に、スピンコーターを用いて塗布した後、ホットプレートを用いて、80℃で3分間乾燥することにより、乾燥厚さ2.5μmの着色層を形成した。
【0210】
この着色層に、超高圧水銀灯を用いて、60mJ/cm
2の紫外線を照射し、230℃30分のポストベークを行い、得られた着色基板の、平行輝度と直交輝度、及び、コントラストを測定した。
輝度の測定は、壷坂電機製コントラスト測定装置CT−1(光源:冷陰極間F10ランプ、輝度計:コニカミノルタ製LS−100、分光輝度計:コニカミノルタ製CS−1000T)を用いて行った。
コントラスト=平行輝度(cd/m
2)/直交輝度(cd/m
2)
【0211】
コントラストの結果を、顔料分散液の製造に用いた(A)顔料の種類と物性(結晶性等)、(B)分散剤、乾式分散から湿式分散までの時間、最終分散前後の粒径等と共に、表2に示す。
【0212】
【表2】
【0213】
上記表2の結果から明らかなように、本発明の顔料分散液の製造方法を用いて製造された顔料分散液A〜Nを用いて得られた着色層(実施例1ないし実施例14)では、対応する同じ顔料であってS/Nが90より大きい顔料を用いて製造された顔料分散液A’〜G’に比較して、何れもコントラストが大きく改善された。
そのことは、何れの種類の顔料でも言えた。また、分散剤は、評価した何れの分散剤でもそのことは言えた。
【0214】
乾式分散処理後等を行ってS/Nを90以下にした顔料でも、顔料のTEM粒径は必ずしも小さくなっておらず、顔料のTEM粒径は、小さい程分散性が良好という方向ではなく、顔料のTEM粒径と最終的な組成物のコントラストには、有意な相関が見られなかった。
【課題】優れた分散性・分散安定性を有し、更に、液晶ディスプレイ材料、有機ELディスプレイ材料等のディスプレイ材料として用いたときに、優れた光学的な性能を示す顔料分散液を提供すること。
【解決手段】少なくとも、(A)顔料、(B)分散剤、及び、(C)溶媒を含有する顔料分散液の製造方法であって、(A)顔料として、X線回折スペクトルの主ピークの強度(S)をバックグラウンドノイズの強度(N)で割った結晶性の程度を表わす値(S/N)が90以下である(A)顔料(a)を含有させることを特徴とする顔料分散液の製造方法、該製造法で製造された顔料分散液、該顔料分散液を含有する感光性着色樹脂組成物、該感光性着色樹脂組成物を用いて得られるカラーフィルタ。