【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)ウェブサイトのアドレス: http://www.kk−nishiken.co.jp/ http://www.kk−nishiken.co.jp/news/ ウェブサイトの掲載日:平成26年1月31日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (2)展示会名:フィッシングショーOSAKA2014 展示日:平成26年2月8日(開催期間:平成26年2月8日〜平成26年2月9日)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (3)展示会名:Japan Fishing Festival 2014〜国際フィッシングショー〜 展示日:平成26年3月21日(開催期間:平成26年3月21日〜平成26年3月23日)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (4)発行者名:株式会社内外出版社 刊行物名:磯釣りスペシャル 2014年7月号,第132〜135頁 発行年月日:平成26年5月25日(発売日)
【文献】
海覇(かいは)Ver.2 打ち込み用,釣具販売・通販ロットロット,2012年 5月 9日,URL,https://web.archive.org/web/20120509231739/http://www.lotlot.ne.jp/tsurigu/2945_12983.html
【文献】
アドバン工業 チタンピトン,石鯛釣り用品 ピトン,2013年10月10日,URL,https://web.archive.org/web/20131010141922/http://www.isoto.net/tuuhan/ishi-youhin/0011.htm
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
海岸や川岸等で釣りをする際、岩場に釣竿受具を設置し、釣竿受具に釣竿を載置し固定させる。このようにすれば、使用者は釣竿を長時間持つことなく、魚が釣竿に掛かるまで待つことができる。このときに用いられる釣竿受具は、釣竿を載置させる台に支持具が取り付けられてあり、この支持具を岩場の隙間等に突き刺して釣竿受具を固定することが一般的である。しかし、釣りをしたい場所が釣竿受具の設置が困難であるような岩場であれば、釣竿受具を設置するまでに時間を要する場合がある。そして、このような場所に釣竿受具を一旦固定すると、釣場を気軽に変更し難くなるため、釣竿受具を設置した状態で釣竿を所望のポイントに向くように調整することが使用者にとって望ましい。また、釣り対象の魚の重量が重い場合、釣竿に掛かった魚の動きによって釣竿が引っ張られ、釣竿のバランスが悪化し、その影響で釣竿受具が転倒する虞がある。このため、釣竿受具をできるだけ強固に岩場に固定する必要がある。
【0003】
従来、釣竿を所望の角度で安定して支持することができ、釣竿の角度の調整が容易な釣竿支持具があった(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1の釣竿支持具は、支持脚とこの支持脚に左右方向に回動可能に取り付けられた旋回部材と、旋回部材に上下方向に回動可能に枢着された長尺状の竿受けスタンドとを有し、竿受けスタンドの先端側を上方に屈曲させて竿受部材を設けるとともに、竿受けスタンドの基端側に竿のストッパ部材を設けている。このような構成により、釣竿支持具を固定したまま、竿受けスタンドを上下方向に回動させて釣竿を所望の角度に調整することができ、釣竿から手を離した状態で釣りをすることができる、とされている。
【0004】
また、岩場等の高低差のある釣場で釣竿を安定して支持するための竿受け装置があった(例えば、特許文献2を参照)。特許文献2の竿受け装置は、基台に上下動可能な一対の位置調節板を対向させて取り付け、その各位置調節板の下面両側に、夫々の基台の側方に向かって回動する支持脚を取り付け、基台の上面に回動可能に取付けた旋回台に、竿受け棒を支持する2個の竿受けスタンドを設け、その一方のスタンドに対して他方のスタンドと竿受け棒との支持部の高さを変化可能とすると共に、各スタンドの支持部と竿受け軸の一方に、スタンドと竿受け棒を固定する固定手段を設けている。このような構成により、各位置調節板と各支持脚とを調整して、高低差のある足場でも安定して竿受け装置を支持することができる。また、旋回台を回動させれば、釣竿の水平方向の向きを調整することができ、さらに、スタンドに対する固定ボルトの位置を変化させれば、釣竿の上下方向の傾きを調整することもできる、とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の釣竿支持具は、岩場に釣竿支持具の支持脚を固定した状態で、釣竿を載置するスタンドの上下方向の角度を調整し、釣竿を所望の方向に向けることができる。これにより、急斜面等の不安定な場所でも釣竿の角度を調整することができ、また、釣りの最中でも釣竿の角度の微調整が行える。しかし、特許文献1の釣竿支持具は、釣竿の角度の調整は上下方向のみ可能であり、左右方向に対して釣竿を調整することができない。そのため、一旦釣竿支持具を設置すると、釣竿が向けられるポイントはその設置場所に限定される。釣りのポイントを変更したい場合は、釣竿支持具ごと釣場から移動しなければならないため、非常に手間が掛かることとなる。
【0007】
一方、特許文献2の竿受け装置は、スタンドに取り付けられている固定ボルトにより釣竿の上下方向の傾きを調整し、さらに、旋回台を設けているため、釣竿の水平方向の向きも調整できるように構成されている。このため、竿受け装置を岩場等に設置した後であっても、釣竿を上下方向、及び左右方向に動作させ、所望の方向や角度に調整することができる。特許文献2の竿受け装置は、水平方向にも釣竿の向きを調整することができるため、釣場を変更しなくても、設置した場所を中心に釣竿を動かし得る範囲で釣りができる。また、高低差のある岩場等でも支持脚を利用して竿受け装置を安定に設置することができる。しかし、特許文献2の竿受け装置に係る支持脚は、高低差のある岩場等であっても安定に竿受け装置を設置する、という課題を解決するために機能するものであり、釣竿に掛かった魚の重量によって釣竿が引っ張られ、竿受け装置の姿勢が不安定になった場合には、竿受け装置を安定して支持し続けることは困難である。
【0008】
このように、現状では、岩場等で釣りをする際、釣場に釣竿受具を設置した状態で、釣竿を上下方向、及び左右方向に動かして釣竿の方向や角度を調整可能とする構成、及び釣竿に掛かる魚によって釣竿が引っ張られても、釣竿受具の姿勢を安定して維持できるような釣竿受具はいまだ開発されていない。本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、釣竿の方向、及び角度を容易に調整することができ、且つ、釣り対象の魚種が異なっても安定した姿勢で使用し続けることができる釣竿受具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明に係る釣竿受具の特徴構成は、
岩場に固定して使用する釣竿受具であって、
前記岩場を穿孔しながら圧入されるアンカーと、
前記アンカーに対して上面視で旋回可能に取り付けられるベースと、
前記ベースに対して正面視で揺動可能に枢支される釣竿を載置するスタンドと、
を備え、
前記アンカーと前記ベースとの間に前記ベースの旋回角度を調整する第一調整機構が設けられ、
前記ベースと前記スタンドとの間に前記スタンドの揺動角度を調整する第二調整機構が設けられ、
釣り対象の魚種に応じて、
長さが異なる複数のサイズの補助脚が用意され、
前記補助脚は、前記アンカーに掛かる負担を分散させる
ように前記ベースに対して着脱可能に設けられ
、
前記第一調整機構の操作に伴う前記ベースの姿勢変化、及び/又は前記第二調整機構の操作に伴う前記スタンドの姿勢変化に応じて、前記補助脚の有効長及び/又は角度を調整する第三調整機構が前記ベースに設けられ、
前記スタンドは、前記釣竿の先端側を支持する前受部と、前記釣竿の基端側を支持する後受部とを備え、
前記前受部に、前記釣竿の動作に追随して当該釣竿の表面に当接する当接部材が設けられることにある。
【0010】
本構成の釣竿受具は、第一調整機構がアンカーとベースとの間に設けられてあり、この第一調整機構を操作することによって、アンカーに対して上面視でベースを旋回させることができる。このとき、ベースの上に取り付けられているスタンドもベースの旋回に伴って水平方向に回動するため、スタンドの旋回角度を自由に調整することができる。このような構成により、使用者は、スタンドに載置されている釣竿の水平方向の向き(旋回角度)を、所望の向きに設定することができる。また、第二調整機構がベースとスタンドとの間に設けられてあり、この第二調整機構を操作することによって、ベースに対してスタンドを正面視で揺動させ、スタンドの上下方向の角度(揺動角度)を調整することができる。このような構成により、使用者は、スタンドに載置されている釣竿の先端部分の上下方向の角度、つまり、釣竿の先端部分の高さ位置を自由に設定することができる。
【0011】
本発明の釣竿受具は、上記の第一調整機構の操作によるベースの旋回角度の調整、及び第二調整機構の操作によるスタンドの揺動角度の調整を、釣竿受具を岩場に設置した状態で行うことができる。このため、釣竿の先端部分の高さ位置の調整や、釣りのポイントを変更したい場合、わざわざ釣竿受具の設置場所を変更する必要がなく、使用者にとって利便性の高い釣竿受具となる。また、上記の構成のとおり、第一調整機構、及び第二調整機構は、夫々異なる箇所に設けられてあり、別個独立に操作することができる。このため、釣竿の水平方向の向き(ベースの旋回角度)、及び上下方向の角度(スタンドの揺動角度)を夫々自由に設定することができ、使用者は最適に釣竿をセットすることができる。
【0012】
また、例えば、重量の重い魚が釣竿に掛かり、この魚の釣竿を引っ張る力が大きい場合、釣竿が左右、あるいは上下に揺さぶられ、釣竿を支持している釣竿受具に大きな負担が掛かる場合がある。このような場合、ベース、及びスタンドのバランスが悪化し、釣竿受具全体の姿勢が傾いたり、転倒する虞がある。そこで、本構成の釣竿受具は、釣り対象の魚種に応じて、アンカーに掛かる負担を分散させる補助脚がベースに対して着脱可能に設けられている。アンカーは、上記の構成のとおり、岩場を穿孔しながら圧入される部材であり、釣竿受具全体を支持する。重量の重い魚が釣竿に掛かった場合に備えて、アンカーのみで支持していた釣竿受具に補助脚を装着し、アンカーに掛かる負担を分散させることによって釣竿受具を安定化させ、釣竿受具の姿勢を良好に維持することができる。つまり、アンカーと補助脚とが、ベースとスタンドとを支持するように構成されるため、釣竿受具(ベースとスタンド)の姿勢の傾きや転倒を防止することができる。その結果、安定した状態で釣竿を所望のポイントに向けておくことができる。なお、釣り対象の魚が比較的軽量である場合は、補助脚は不要であるため、ベースから取り外しておけばよい。
【0014】
本構成の釣竿受具は、上記の構成により、第一調整機構の操作によってベースの旋回角度を調整し、第二調整機構の操作によってスタンドの揺動角度を調整することができる。しかし、このように調整した場合でも、ベース、及び/又はスタンドの姿勢が変化し、釣竿受具全体のバランスが悪化して転倒することもある。そこで、本発明の釣竿受具は、補助脚の有効長及び/又は角度を調整する第三調整機構が設けられている。第三調整機構によって補助脚の有効長及び/又は角度を調整することにより、ベース、及び/又はスタンドの姿勢をより安定な状態に維持することができる。その結果、アンカーに過度な負担が掛からないため、釣竿受具がより安定化し、転倒する虞が生じなくなる。
【0016】
本構成の釣竿受具は、上記のような構成により、スタンドに釣竿を載置した場合、スタンドから釣竿が脱落しないように固定することができる。このため、釣竿受具を岩場に設置し、釣竿を所望のポイントに向くように設定した後、使用者は釣竿から手を離し、楽に釣りをすることができる。また、釣竿をスタンドに載置した状態で第一調整機構や第二調整機構を操作し、ベースやスタンドを回動させても、釣竿はスタンドから脱落することはない。
【0018】
上記のとおり、スタンドに載置された釣竿は、第二調整機構によってスタンドの揺動角度の調整を行うと、釣竿の先端部分の上下方向の角度を設定することができる。しかし、スタンドの揺動角度を調整して、釣竿の先端部分が上向き、あるいは下向きになると、当該部分において釣竿が前受部から若干浮いた状態となり、釣竿の安定性が悪化する虞がある。そこで、本発明の釣竿受具に係るスタンドは、釣竿の動作に追随して釣竿の先端部分の表面に当接する当接部材が設けられている。これにより、釣竿が前受部から若干浮いた状態となった場合でも、釣竿の当該先端部分は当接部材によって支持されるため、釣竿の姿勢を安定化することができる。
また、重量の重い魚が釣竿に掛かったとき、魚が釣竿の先端部分を引っ張り、釣竿が揺さぶられて、不安定な状態となる場合がある。このような場合であっても、釣竿の動作に追随して釣竿の先端部分を当接部材が支持するため、釣竿の姿勢を安定化することができる。
【0019】
本発明に係る釣竿受具において、
前記第一調整機構を介して、前記アンカーと前記ベースとが着脱可能に構成されていることが好ましい。
【0020】
本構成の釣竿受具は、第一調整機構を介して、アンカーとベースとが着脱可能に構成されているため、ベースからアンカーを取り外して釣竿受具をコンパクト化することができる。このため、釣竿受具を釣場で組み立てて使用することができ、使い勝手の良い製品となる。
【0021】
本発明に係る釣竿受具において、
前記第二調整機構を介して、前記ベースと前記スタンドとが着脱可能に構成されていることが好ましい。
【0022】
本構成の釣竿受具は、第二調整機構を介して、ベースとスタンドとが着脱可能に構成されているため、スタンドからベースを取り外して釣竿受具をコンパクト化することができる。このため、釣竿受具を釣場で組み立てて使用することができ、使い勝手の良い製品となる。
【0023】
本発明に係る釣竿受具において、
前記第三調整機構は、有効長調整機構と、角度調整機構とを有し、前記角度調整機構を介して、前記補助脚と前記ベースとが着脱可能に構成されていることが好ましい。
【0024】
本構成の釣竿受具は、第三調整機構が、有効長調整機構と、角度調整機構とを有している。このように、本発明の釣竿受具は、補助脚の有効長や角度の調整を同一部材に係る調整機構として構成されているため、釣竿受具の全体的な構造を簡易なものとすることができる。また、全体構造が簡単であるから、使用者にとって取り扱い易い釣竿受具となる。さらに、角度調整機構を介して、補助脚とベースとが着脱可能に構成されているため、ベースから補助脚を取り外して釣竿受具をコンパクト化することができる。このため、釣竿受具を釣場で組み立てて使用することができ、使い勝手の良い製品となる。また、釣り対象の魚によっては(例えば、重量が軽い魚)、アンカーのみで釣竿受具を支持することが可能な場合があり、また、釣竿受具を設置する場所によっては、補助脚がかえって邪魔になる場合がある。本構成の釣竿受具は、補助脚がベースから着脱可能に構成されているため、上記のような場合、使用者が補助脚の必要性を判断して、自由に補助脚を使用することができる。
【0025】
本発明に係る釣竿受具において、
各構成部材がチタン又はチタン合金で構成されていることが好ましい。
【0026】
本構成の釣竿受具は、各構成部材がチタン又はチタン合金で構成されている。チタンは耐食性に優れており、海水に対しても非常に高い耐食性を示す金属である。このため、海釣りをする際に用いる本発明にとって、最適な材質である。また、チタンは強度や耐熱性の点でも非常に優れている。このため、本構成の釣竿受具の各構成部材をチタン又はチタン合金で構成することにより、従来の釣竿受具と比較して、耐食性・耐熱性・高強度という特性を備えた付加価値の高い製品として提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る釣竿受具の実施形態について、
図1〜
図6に基づいて説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施形態や図面に記載される構成に限定されることを意図しない。
【0029】
<釣竿受具の全体構成>
図1は、本発明の実施形態に係る釣竿受具100の全体構造を示す斜視図である。
図2は、
図1に示した釣竿受具100の分解斜視図である。釣竿受具100は、主な構成部材として、岩場を穿孔しながら圧入されるアンカー1と、アンカー1に対して上面視で旋回可能に取り付けられるベース2と、ベース2に対して正面視で揺動可能に枢支される釣竿(後述の
図3に示すA)を載置するスタンド3とを備えている。さらに、釣竿受具100は、アンカー1に掛かる負担を分散させる補助脚4a,4bを備えている。アンカー1とベース2との間には第一調整機構10、ベース2とスタンド3との間には第二調整機構20が夫々設けられている。さらに、第一調整機構10、及び第二調整機構20の操作に応じて補助脚4a,4bの有効長及び/又は角度を調整する第三調整機構30が設けられている。第一調整機構10、第二調整機構20、及び第三調整機構30の詳細については後述する。以下、釣竿受具100の各構成について、具体的に説明する。
【0030】
[アンカー]
図1、及び
図2に示されるように、アンカー1は、尖鋭状となっている下端1aと、ネジ構造となっている上端1bとを有する。アンカー1とベース2との間には第一調整機構10が設けられてあり、第一調整機構10はアンカー1とベース2とを連結する第一調整連結部11としても機能する。釣竿受具100を使用する際は、アンカー1の上端1bを、第一調整連結部11の下端に設けられているアンカー取付部11aに取り付け、アンカー1の下端1a側を岩場に挿入する。アンカー1の下端1aは尖鋭状であるため、アンカー1を岩場に穿孔しながら圧入する作業が行い易くなる。
【0031】
アンカー1は、設置する岩場や釣り対象の魚種に応じて、サイズを変更可能なように構成することができる。例えば、釣り対象の魚種が重い魚である場合、釣竿受具100が倒れないように固定する必要があるため、アンカー1を岩場にできるだけ深く穿孔しながら圧入することが望ましい。このような場合に使用するアンカー1は、通常使用するアンカー1よりも長いものが適している。そこで、本実施形態の釣竿受具100では、アンカー1が第一調整機構10を介してベース2から取り外し可能であるように構成されている。このため、アンカー1を適切なサイズや形状のものに交換することができる。このように、アンカー1は、釣り対象の魚種や、圧入する岩場の状態に応じて、適宜交換することが可能である。
【0032】
[ベース]
図1、及び
図2に示されるように、ベース2は、第一調整機構10を介してアンカー1が取り付けられ、また、第二調整機構20を介してスタンド3が取り付けられる部材である。さらに、ベース2には、第三調整機構30を介して補助脚4a,4bを取り付け可能である。ベース2とアンカー1との間に設けられる第一調整機構10は、上記した第一調整連結部11、及び第一調整ダイヤル12から構成されている。ベース2には、第一調整連結部11を取り付けるための孔が設けられている(図示しない)。
【0033】
ベース2とスタンド3との間には第二調整機構20が設けられている。第二調整機構20は、第二調整ボルト21、及び当該第二調整ボルト21を挿通するための第二調整孔22から構成される。第二調整孔22は、ベース2に設けられている孔13、及びスタンド3に設けられている孔23から構成される。ベース2にスタンド3を取り付ける際、ベース2側の孔13とスタンド3側の孔23とが重なり合うようにベース2とスタンド3とを配置する。
【0034】
上述のように、ベース2は、第三調整機構30を介して補助脚4a,4bが取り付けられるが、第三調整機構30は、ベース2と補助脚4a,4bとを連結する第三調整連結部31としても機能する。ベース2は、第三調整連結部31を取り付けるための孔である第三調整連結孔32、ベース2と第三調整連結部31とを連結するための連結部材である第三調整連結ボルト33、及び第三調整連結部31を取り付ける際に開閉させる第三調整開閉部34を有する。ここで、第三調整機構30を介してベース2に補助脚4a,4bを取り付けるとは、ベース2に連結した第三調整連結部31に補助脚4a,4bを取り付けることを意味する。このため、釣竿受具100を使用する状況によって、使用者が補助脚4a,4bが特に必要ないと判断した場合、補助脚4a,4bを第三調整連結部31に取り付けない構成や、第三調整連結部31自体をベース2に取り付けない構成を採用することができる。
【0035】
[スタンド]
図1、及び
図2に示されるように、スタンド3は、釣竿を載置する台であり、第二調整機構20を介してベース2に取り付けられる。スタンド3には、ベース2と連結するための孔23が設けられている。スタンド3は、各調整機構の操作により、ベース2の旋回やスタンド3の揺動が生じた場合であっても、釣竿がスタンド3から脱落することを防止する支持部材としても機能する。
【0036】
〔前受部〕
上記のとおり、釣竿がスタンド3から脱落することを防止するため、釣竿を支持する部材が、スタンド3の前端側、及び基端側に夫々設けられている。
図1、及び
図2に示されるように、前受部24は、スタンド3の前端側に設けられる支持部材であり、釣竿の先端側を支持する。ここで、「釣竿の先端側」とは、釣竿の基端部に対して相対的に先端側であることを意味し、スタンド3の前受部24によって支持することが可能な範囲である。そのため、必ずしも、釣糸が垂らされる釣竿の先端部のみを指すものではない。前受部24は、上方に突出した形態をしており、先端部分にはU字部材24aが設けられている。釣竿は、U字部材24aの上に載置される。
図2に示されるように、前受部24のU字部材24aの各上部には、対向する位置に前受部孔25a,25bが夫々設けられてあり、この前受部孔25a,25bに前受部ピン26が挿通可能にされている。このような構成であるため、釣竿をスタンド3に載置する際、前受部24のU字部材24aの上に釣竿の先端側を載置し、前受部孔25a,25bに前受部ピン26を挿通させれば、釣竿の先端側が前受部24と前受部ピン26とによって囲まれた状態となり、釣竿の脱落を防止することができる。前受部24は、ボルト5によってスタンド3に取り付けられているため、ボルト5を緩めれば、当該ボルト5を軸として前受部24を上下方向に揺動させることが可能となり、前受部24の揺動角度を調整することができる。
【0037】
〔当接部材〕
図3は、釣竿受具100に係るスタンド3の前端側の様子を示す図である。ベース2とスタンド3との間に設けられる第二調整機構20を操作すると、
図3に示されるように、スタンド3とともに釣竿Aも上下方向に揺動する。ここで、釣竿Aの先端側が比較的上向き、又は下向きとなった場合、釣竿の前受部24で支持されていた部分が、前受部24から若干浮いた状態となり、釣竿Aのバランスが崩れることがある。釣竿Aがこのような状態のときに魚が掛かると、魚が釣竿Aの先端部を引っ張るため、釣竿Aが揺さぶられ、使用者は釣竿Aを持ち難くなる場合がある。そこで、釣竿受具100には、釣竿Aの動作に追随して釣竿Aの表面に当接する当接部材27が設けられている。
図2に示されるように、当接部材27の形状は、前受部24の先端部分(U字部材24a)と略同一であり、当接部材孔28a,28bが設けられている。当接部材孔28a,28bのサイズは、前受部24の前受部孔25a,25bと同一か、若干大きくされる。当接部材27は、当接部材孔28aと前受部孔25aとが重なり、当接部材孔28bと前受部孔25bとが重なるようにして前受部24の内側に設けられ、当接部材孔28a,28bを支点として回動又は揺動するように構成されている。
図3に示されるように、スタンド3が略水平状態であるとき、当接部材27は、前受部24に略重なった状態となっているため、スタンド3に載置された釣竿Aは当接部材27に直接的に接する。ここで、釣竿Aがスタンド3の揺動角度の変化に伴って揺動した場合、当接部材27が当接部材孔28a,28bを支点として回動又は揺動するが、釣竿Aの動作に追随して当接状態を維持する。このため、スタンド3の揺動角度の変化に伴って釣竿Aの傾きが変化しても、前受部24、及び当接部材27が釣竿Aを確実に支持するため、釣竿Aのバランスが崩れ難くなる。
【0038】
〔後受部〕
図1、及び
図2に示されるように、後受部29は、スタンド3の後端側に設けられる支持部材であり、釣竿の基端部を支持する。後受部29は、前受部24と同様に上方に突出した形態をしており、後端部分に箱型部材29aが設けられている。スタンド3に釣竿を載置する際、後受部29の箱型部材29aの中に釣竿の基端部を嵌め込めば、釣竿の基端側を支持するストッパとなる。このように、スタンド3に載置した釣竿を前受部24と後受部29とで支持することにより、釣竿がスタンド3から脱落することを防止できる。このため、使用者は、釣竿を適切にスタンド3に載置すれば、釣竿から手を離した状態で釣りをすることができる。後受部29は、前受部24と同様に、ボルト6によってスタンド3に取り付けられているため、ボルト6を緩めれば、当該ボルト6を軸として後受部29を上下方向に揺動させることが可能となり、後受部29の揺動角度を調整することができる。従って、後述する第二調整機構20の操作によるスタンド3の揺動角度の調整と併せて、前受部24、及び後受部29の揺動角度を調整した場合、使用者はより好ましい釣竿の先端部の高さ位置(揺動角度)を設定することができる。
【0039】
[補助脚]
図1、及び
図2に示されるように、補助脚4a,4bは、第三調整機構30を介してベース2に取り付けられる部材であり、ベース2を挟んで対向する位置に対称に配置される。補助脚4a,4bは、アンカー1に掛かる負担を分散させる機能を有し、後述する第三調整機構30に係る調整機構(有効長調整機構、及び角度調整機構)の操作の対象となる。補助脚4a,4bは、長さ方向に夫々溝35a,35bが設けられてあり、この溝35a,35bに第三調整機構30の構成部材(後述する第三調整ボルト)を係合させることにより、補助脚4a,4bは第三調整機構30を介してベース2に取り付けられる。溝35a,35bは、第三調整ボルトと係合する範囲であれば、夫々複数設けることもできる。
【0040】
上記のとおり、アンカー1は、岩場に穿孔しながら圧入し、釣竿受具100を支持する。しかし、例えば、重量の重い魚が釣竿に掛かり、この魚の釣竿を引っ張る力が大きい場合、アンカー1に過剰な負担が掛かる場合がある。このような場合、ベース2、及びスタンド3のバランスが悪化するため、釣竿受具100全体の姿勢が傾いたり、最終的に転倒する虞がある。そこで、釣竿受具100には、アンカー1に掛かる負担を分散させる補助脚4a,4bを設けることができる。補助脚4a,4bは、アンカー1に掛かる過剰な負担を分散させることができるため、釣竿受具100全体のバランスを安定させることに有効となる。また、後述する第一調整機構10、及び/又は第二調整機構20の操作によってベース2、及び/又はスタンド3の姿勢が変化した場合、釣竿受具100のバランスが悪化し、転倒する虞もある。このような場合、補助脚4a,4bは、釣竿受具100全体のバランスがより安定化するように、ベース2、及びスタンド3を支持することができる。このように、補助脚4a,4bは、第一には、アンカー1の負担を分散させる機能を有し、第二には、ベース2、及び/又はスタンド3の姿勢変化に応じて、釣竿受具100のバランスを安定化させる機能を有する。
【0041】
上記のとおり、補助脚4a,4bは、アンカー1に掛かる負担を分散させる機能を有するが、魚種によれば(例えば、重量の軽い魚種)、アンカー1だけでも釣竿受具100を支持することが可能な場合がある。このようなとき、補助脚4a,4bが第三調整機構30を介してベース2に取付けられていると、釣竿受具100を釣場に設置する際、補助脚4a,4bはかえって邪魔となる場合がある。そこで、本発明では、補助脚4a,4bは第三調整機構30を介してベース2に着脱可能となるように構成されている。このため、釣り対象の魚種に応じて、補助脚4a,4bを取り付けるかどうかを使用者が自由に決定することができる。また、補助脚4a,4bを必要とする場合、長さが異なる複数のサイズの補助脚4a,4bを用意しても構わない。補助脚4a,4bの長さが複数あれば、アンカー1のサイズや、釣り対象の魚種、釣竿受具100を設置する岩場の状況等に応じて、最適な補助脚4a,4bを選択することが可能となる。そのため、一台の釣竿受具100で、様々な魚種に対応することが可能となり、使用者にとって利便性の高い釣竿受具100となる。
【0042】
[釣竿受具の材質]
本実施形態の釣竿受具100は、海釣りで好適に使用できるように、各構成部材の材質として硬質の耐食性金属材料を使用することが好ましい。使用可能な耐食性金属材料として、例えば、チタン、チタン合金、ステンレス鋼、アルミニウム合金が挙げられ、これらのうち、チタン、及びチタン合金が好ましい。チタン、及びチタン合金は、高い耐食性を有する金属であり、また、強度や耐熱性の点でも優れている。チタンには、純チタンであるJIS規格で規定されているJIS H 4600 1種、JIS H 4600 2種等があり、チタン合金には、JIS規格で規定されているJIS H 4600 60種(一般に、「6−4チタン」と呼ばれているチタン合金)、JIS H 4600 61種(一般に、「3−2−5チタン」と呼ばれているチタン合金)、JIS H 4600 11種、JIS H 4600 12種、JIS H 4600 80種等が挙げられる。これらのうち、チタン合金であるJIS H 4600 60種(6−4チタン)が特に好ましい。上掲のようなチタン、又はチタン合金を使用して釣竿受具100の各構成部材を構成すれば、従来の釣竿受具と比較して、耐食性・耐熱性・高強度という特性を備えた付加価値の高い製品として提供することができる。
【0043】
<釣竿受具の動作>
[第一調整機構]
図1、及び
図2に示されるように、第一調整機構10は、アンカー1とベース2との間に設けられ、第一調整機構10は、第一調整連結部11、及び第一調整ダイヤル12から構成されている。第一調整連結部11は、下端にアンカー1を取り付けるためのアンカー取付部11aを有し、上方には第一調整ダイヤル12と係合する第一調整部11bを有する。第一調整部11b、及び第一調整ダイヤル12はギア構造となっており、第一調整連結部11をベース2に取り付けると、第一調整部11bと第一調整ダイヤル12とが係合するように構成される。
【0044】
図4は、本発明の釣竿受具100に係るベース2が、上面視で水平方向に旋回している様子を示す図である。
図1、及び
図2に示されるように、第一調整部11bと第一調整ダイヤル12とが係合した状態にあるとき、第一調整ダイヤル12を回すと、第一調整ダイヤル12の回転に応じて第一調整部11bが回転し、第一調整連結部11が上下に移動する。第一調整ダイヤル12を適切に調整して第一調整連結部11とベース2との連結が弛緩又は解除された状態になると、
図4に示されるように、第一調整部11bを軸としてベース2をアンカー1に対し上面視で水平方向に旋回させることができる。ベース2を水平方向に旋回させると、ベース2に取り付けられているスタンド3も同時に旋回するため、スタンド3に載置された釣竿も水平方向に旋回することとなる。従って、使用者は、釣竿の水平方向の向きを所望の方向に設定したい場合、第一調整ダイヤル12を調整して、ベース2の旋回角度を調整すれば、釣竿の旋回角度を調整することができる。釣竿の旋回角度の設定が終了したら、第一調整ダイヤル12を元の状態に戻して、ベース2と第一調整連結部11とを連結する。
【0045】
上記のように、本実施形態に係る釣竿受具100は、第一調整ダイヤル12による調整という簡単な操作で、ベース2の旋回角度(つまり、釣竿の水平方向の向き)や、ベース2の地上高(つまり、釣竿の設置高さ)を自由に設定することができる。従って、釣りの最中に釣りのポイントを変更したい場合、釣竿受具100の設置場所を変更する必要はなく、岩場に設置した状態のまま釣りのポイントを変更することができる。
【0046】
[第二調整機構]
図1、及び
図2に示されるように、第二調整機構20は、ベース2とスタンド3との間に設けられる。第二調整機構20は、第二調整ボルト21、及び第二調整孔22(孔13と孔23とから構成される)から構成されている。
図5は、本発明の釣竿受具100に係るスタンド3が、正面視で上下方向に揺動している様子を示す図である。
図5に示されるように、ベース2にスタンド3を取り付ける際、第二調整ボルト21でベース2とスタンド3とを連結するため、第二調整ボルト21はこれらの連結部材として機能する。一方、第二調整ボルト21を緩めれば、ベース2とスタンド3との締め付けが解除されるため、
図5に示されるように、スタンド3はベース2に対して正面視で上下方向に揺動可能となる。このとき、スタンド3に釣竿が載置されていれば、釣竿も上下方向に揺動する。従って、使用者は、釣竿の高さ位置を所望の高さ位置に設定したい場合、第二調整ボルト21を緩めて、スタンド3の揺動角度を調整すれば、釣竿の揺動角度を設定することができる。釣竿の揺動角度の設定が終了したら、第二調整ボルト21を締めて、ベース2とスタンド3とを連結する。
【0047】
上記のように、本実施形態に係る釣竿受具100は、第二調整ボルト21を緩めるという簡単な操作で、スタンド3の揺動角度(つまり、釣竿の上下方向の向き)を自由に設定することができる。従って、釣りの最中に釣竿の高さ位置を変更したい場合、釣竿受具100の設置箇所を変更する必要はなく、岩場に設置した状態のまま釣りのポイントを変更することができる。
【0048】
[第三調整機構]
〔全体構成〕
図1、及び
図2に示されるように、第三調整機構30は、補助脚4a,4bが直接取り付けられる第三調整連結部31、補助脚4a,4bに設けられている溝35a,35b、及び第三調整ボルト36a,36bから構成されている。第三調整連結部31は、左右の対称な位置に、補助脚4a,4bを取り付けるための孔37a,37bが設けられており、両側部の対称な位置に、第三調整ボルト36a,36bを挿通させるための孔38a,38bが設けられている。また、第三調整連結部31がベース2に取り付けられたとき、第三調整連結孔32と連結する部位である第三調整連結ギア39を有している。第三調整連結部31をベース2に取り付ける場合、ベース2に設けられている第三調整連結ボルト33を一旦外し、第三調整開閉部34を開き、第三調整連結部31の第三調整連結ギア39と第三調整連結孔32とが係合するように第三調整連結部31をベース2に取り付ける。そして、第三調整開閉部34を閉じて、第三調整連結ボルト33でベース2と第三調整連結部31とを連結する。補助脚4a,4bを第三調整連結部31に取り付ける際は、孔37a,37bに補助脚4a,4bを挿通させ、補助脚4a,4bに設けられている溝35a,35bと第三調整ボルト36a,36bとが係合するように、孔38a,38bに第三調整ボルト36a,36bを挿通させる。上記の作業を行う順番は、第三調整連結部31をベース2に取り付けた後に補助脚4a,4bを第三調整連結部31に取り付けることもできるし、また、補助脚4a,4bを第三調整連結部31に取り付けた後に第三調整連結部31をベース2に取り付けることもできる。
【0049】
〔有効長調整機構〕
図6は、本発明の釣竿受具100に係る第三調整機構30の操作に伴う補助脚4aの有効長及び/又は角度の変化の様子を示す図であり、(a)補助脚4aの有効長の変化を示す図であり、(b)補助脚4aの角度の変化を示す図である。
図1、
図2、及び
図6(a)に示されるように、第三調整ボルト36aを緩めた場合、第三調整ボルト36aは溝35aの内部で若干浮いた状態となるため、補助脚4aを溝35aに沿って上下方向にスライド移動させることが可能となる。これにより、第三調整連結部31より下方の補助脚4aの長さである有効長を調整することができる。
図6(a)では図示されないが、補助脚4bに対しても同様の操作を行い、補助脚4bの有効長を調整することができる。このように、第三調整機構30の構成部材である第三調整連結部31、補助脚4a,4bに設けられている溝35a,35b、及び第三調整ボルト36a,36bによって、補助脚4a,4bの有効長調整機構が構成される。このような構成により、補助脚4a,4bを第三調整連結部31に取り付けた状態で有効長の調整を容易に行うことができる。また、有効長調整機構を構成する第三調整ボルト36a,36bは別々に操作することができる。このため、第一調整機構10の操作によるベース2の姿勢変化、及び/又は第二調整機構20の操作によるスタンド3の姿勢変化に応じて、補助脚4a,4bの有効長を同一とする調整や、あるいは、補助脚4a,4bの有効長を異ならせる調整を行うことができる。このように、ベース2、及び/又はスタンド3の姿勢変化を考慮して、釣竿受具100のバランスを最適化することができる。また、釣竿受具100を設置している岩場の状況に応じて、釣竿受具100が安定した状態で釣竿を支持できるように、補助脚4a,4bの有効長を調整することもできる。
【0050】
〔角度調整機構〕
本実施形態の釣竿受具100に係る第三調整機構30は、上記のような補助脚4a,4bの有効長の調整だけでなく、角度の調整も行うことができる。
図1、
図2、及び
図6(b)に示されるように、ベース2に取り付けられている第三調整連結部31を、第三調整連結ボルト33を一旦外し、第三調整開閉部34を開いて第三調整連結孔32から取り出す。そして、補助脚4a,4bの傾きを変化させるように第三調整連結部31を回転させ、この状態のまま、第三調整連結孔32に戻し、第三調整開閉部34を閉じて、第三調整連結ボルト33を締め付けて第三調整連結部31をベース2に固定する。このとき、補助脚4a及び補助脚4bは、調整前の状態から角度が変化する。このように、第三調整機構30の構成部材である第三調整連結部31によって、補助脚4a,4bの角度調整機構が構成される。このため、第一調整機構10の操作によるベース2の姿勢変化、及び/又は第二調整機構20の操作によるスタンド3の姿勢変化に応じて、補助脚4a,4bを第三調整連結部31に取り付けた状態で補助脚4a,4bの角度の調整を行うことができる。このように、ベース2、及び/又はスタンド3の姿勢変化を考慮して、釣竿受具100のバランスを最適化することができる。また、釣竿受具100を設置している岩場の状況に応じて、釣竿受具100が安定した状態で釣竿を支持できるように補助脚4a,4bの角度を調整することもできる。
【0051】
上記のような第三調整機構30に係る有効長調整機構、及び角度調整機構は、第一調整機構10の操作によるベース2の姿勢変化、及び/又は第二調整機構20の操作によるスタンド3の姿勢変化に応じて、補助脚4a,4bの有効長、及び角度のどちらか一方を調整することもできるし、両方を調整することもできる。
【0052】
また、例えば、釣り対象の魚種が重い魚であって、この魚の釣竿を引っ張る力が大きいため、アンカー1に掛かる負担が大きくなった場合、釣竿が魚に揺さぶられて釣竿受具100全体の姿勢が傾いたり、最終的に転倒する場合がある。そこで、第三調整機構30に係る有効長調整機構、及び角度調整機構を操作して、補助脚4a,4bの有効長や角度を調整すれば、アンカー1に掛かる負担を補助脚4a,4bに分散させ、且つ、釣竿受具100全体のバランスを安定させることに有効となる。
【0053】
ここで、仮に、第三調整機構30の構成が上記のような構成ではなく、第三調整連結部31を第三調整連結孔32に側方から挿通させるような構成であった場合、使用者が補助脚4a,4bを使用していたが不要になったと判断すると、まず、補助脚4a,4bを第三調整連結部31の孔37a、37bから取り外した後、第三調整連結孔32から引き出すという作業をしなければならない。しかし、本実施形態の釣竿受具100の構成であれば、補助脚4a,4bが第三調整連結部31に取り付けられた状態のまま、第三調整連結ボルト33を外し、第三調整開閉部34を開いて第三調整連結部31を取り出すという簡単な作業で済むため、上記のような手間を省くことができる。
【0054】
上記のような有効長調整機構、及び角度調整機構は、いずれも補助脚4a,4bに係る調整機構である。このように、異なる機能を有する調整機構であるが、同一部材の操作によって調整可能であるため、釣竿受具100の構造を簡単なものとすることができ、コンパクト化した構造を実現できる。また、同一部材(補助脚4a,4b)に有効長調整機構、及び角度調整機構が存在するため、使い勝手の良い釣竿受具100となる。
【0055】
また、本発明の釣竿受具100は、
図2に示されるように、第一調整機構10を介して、アンカー1とベース2とが着脱可能であり、第二調整機構20を介して、ベース2とスタンド3とが着脱可能であり、第三調整機構を介して、ベース2と補助脚4a,4bとが着脱可能であるように構成されている。さらに、各調整機構に係る構成部材も着脱可能に構成されている。このため、使用者は釣竿受具100の各構成部材をばらした状態で持ち運び、釣場で組み立てることができるため、非常に利便性に優れている。
【解決手段】岩場に固定して使用する釣竿受具100であって、岩場を穿孔しながら圧入されるアンカー1と、アンカー1に対して上面視で旋回可能に取り付けられるベース2と、ベース2に対して正面視で揺動可能に枢支される釣竿を載置するスタンド3と、を備え、アンカー1とベース2との間にベース2の旋回角度を調整する第一調整機構10が設けられ、ベース2とスタンド3との間にスタンド3の揺動角度を調整する第二調整機構20が設けられ、釣り対象の魚種に応じて、アンカー1に掛かる負担を分散させる補助脚4a,4bがベース2に対して着脱可能に設けられる。