特許第5666075号(P5666075)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サン・ファーマシューティカル・インダストリーズ・リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許5666075-経口薬送達システム 図000010
  • 特許5666075-経口薬送達システム 図000011
  • 特許5666075-経口薬送達システム 図000012
  • 特許5666075-経口薬送達システム 図000013
  • 特許5666075-経口薬送達システム 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5666075
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】経口薬送達システム
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/28 20060101AFI20150122BHJP
   A61K 47/02 20060101ALN20150122BHJP
   A61K 47/04 20060101ALN20150122BHJP
   A61K 47/32 20060101ALN20150122BHJP
   A61K 47/38 20060101ALN20150122BHJP
【FI】
   A61K9/28
   !A61K47/02
   !A61K47/04
   !A61K47/32
   !A61K47/38
【請求項の数】10
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2006-526810(P2006-526810)
(86)(22)【出願日】2004年6月30日
(65)【公表番号】特表2007-505894(P2007-505894A)
(43)【公表日】2007年3月15日
(86)【国際出願番号】IN2004000192
(87)【国際公開番号】WO2005039481
(87)【国際公開日】20050506
【審査請求日】2007年6月28日
【審判番号】不服2012-6691(P2012-6691/J1)
【審判請求日】2012年4月12日
(31)【優先権主張番号】987/MUM/2003
(32)【優先日】2003年9月19日
(33)【優先権主張国】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】503252832
【氏名又は名称】サン・ファーマシューティカル・インダストリーズ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SUN PHARMACEUTICAL INDUSTRIES LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100075502
【弁理士】
【氏名又は名称】倉内 義朗
(72)【発明者】
【氏名】ダーマディカリ・ニティン・バラチャンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ザラ・ヤショラジ・ルプシン
(72)【発明者】
【氏名】シン・アマジット
【合議体】
【審判長】 松浦 新司
【審判官】 冨永 保
【審判官】 星野 紹英
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−41609(JP,A)
【文献】 特開平7−138150(JP,A)
【文献】 特開平7−2648(JP,A)
【文献】 特表平9−505609(JP,A)
【文献】 国際公開第2003/075897(WO,A1)
【文献】 国際公開第2003/075894(WO,A1)
【文献】 特表2005−526757(JP,A)
【文献】 特表2005−526061(JP,A)
【文献】 特開2001−55322(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K9/00-9/72
A61K47/00-47/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の面を有する被覆された錠剤の形態である経口薬送達システムであって、
(a)有効成分組成物層と膨潤性組成物層とを含む核、及び
(b)その核を囲む剤皮を有しており、
前記有効成分組成物層は、少なくとも1つの有効成分および製薬上許容可能な放出速度制御賦形剤を含み、
前記膨潤性組成物層は、膨潤性賦形剤、ガス生成剤およびこれらの混合物からなる群から選択される膨潤剤を含み、該膨潤剤は、前記剤皮を破裂させるのに十分な量で存在し、その量は、前記膨潤性組成物の0.5〜95重量%の量であり、前記膨潤性組成物層は、前記剤皮の1つ以上の予め選択されたのごく近傍に位置し、前記有効成分組成物層は、前記剤皮の別のの近傍に位置し、
記剤皮は、前記剤皮の前記1つ以上の予め選択された面に、レーザーでの開孔による1つ以上の孔を含み、
記剤皮は、水性環境との接触により、破裂し、前記錠剤の前記膨潤性組成物層のごく近傍にある前記1つ以上の予め選択された面から、完全に除去され、かつ、前記の面からは前記剤皮が除去されない経口薬送達システム。
【請求項2】
請求項1に記載の経口薬送達システムであって、前記剤皮が、前記有効成分組成物に対して不透過性を有する経口薬送達システム。
【請求項3】
請求項1に記載の経口薬送達システムであって、前記有効成分組成物はつ以上の層として存在し、かつ、前記膨潤性組成物は1つ以上の層として存在する経口薬送達システム。
【請求項4】
請求項に記載の経口薬送達システムであって、異なる層に存在する前記有効成分が同一であっても異なっていてもよい経口薬送達システム。
【請求項5】
請求項に記載の経口薬送達システムであって、前記有効成分組成物は第1の有効成分組成物および第2の有効成分組成物を含んでおり、上記第1の有効成分組成物は、急速放出組成物であり、第2の有効成分組成物は、第1の有効成分組成物と同一の有効成分を含む制御放出組成物である経口薬送達システム。
【請求項6】
請求項1に記載の経口薬送達システムであって、前記膨潤性組成物は吸い上げ剤を含む経口薬送達システム。
【請求項7】
請求項1に記載の経口薬送達システムであって、前記膨潤性組成物は浸透剤を含む経口薬送達システム。
【請求項8】
請求項1に記載の経口薬送達システムであって、前記核が前記水性環境と接触した時点から60分以内に前記有効成分の放出が開始される経口薬送達システム。
【請求項9】
請求項1に記載の経口薬送達システムであって、pH依存型ポリマーの外側剤皮をさらに有する経口薬送達システム。
【請求項10】
請求項1に記載の経口薬送達システムであって、前記膨潤性組成物が、前記核の中の埋め込み型錠剤として存在する経口薬送達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性環境との接触により、予め選択された1つ以上の面から、完全または部分的に、確実に除去される剤皮を含む経口薬送達システムに関する。
【背景技術】
【0002】
薬物の経口投与により、投与された薬物またはその活性もしくは不活性代謝産物の血漿中濃度の時間曲線が得られるが、これは薬物送達システムまたは剤形の設計により調整することができる。
【0003】
薬物送達システムまたは剤形は、患者の治療上の要件や要求に応じて、様々に設計される。例えば、製剤は、環境から薬物を保護するための剤皮を含むよう、または、薬物の口腔中での放出および味覚芽との相互作用を防ぎ、かつ、胃液中で剤皮が溶解することで薬物が即座に、かつ急速に胃で放出されるよう、設計することができる。薬物が即座に、かつ急速に放出されればすぐにその作用が現れる。これらのシステムは、唾液中では溶解せず胃液中ですぐに溶解するpH依存型剤皮に依拠している。しかしながら、pH非依存型剤皮に依拠し、同様の機能を行うことのできるシステムは存在しない。
【0004】
より長い時間をかけてゆっくりと薬物を放出する薬物送達システムがこれまで使用され、以下の方法によりその治療効果が改良されてきた。
・治療期間を通して、例えば、患者が睡眠中である夜間も含めて終日、治療効果を得るために望ましい血漿中濃度を保ち、患者に必要な一日の服用回数を減らすことで、患者の服用遵守を改良する。
・副作用を伴う場合にはピーク血漿中濃度を下げる。
・従来の急速放出システムによる連続投与の結果見られる血漿中濃度の変動を抑えることで、長期治療における副作用を抑える。
・薬剤が胃腸粘膜に対して局所的に作用する場合には、薬物送達システムが胃腸管運動により胃腸粘膜に送達されたとき、放出物を胃腸粘膜全体に広く空間的に分散させる。
【0005】
薬物送達システムはまた、胃腸管の特定部位におけるpH環境下で溶解するpH依存型剤皮を利用し、胃腸管の特定部位で薬物が放出されるよう設計される。核によって、特定の部位または領域において実質的遅延なく迅速な放出 (例えば、特定の部位またはpHに遭遇した1分後から30分後に開始される放出)がなされる、被覆システムのための核の設計が必要とされている。また、特定領域(例えば、結腸から直腸)に対して制御放出がなされるように核が設計された、特定部位に向けた被覆システムのための核の設計も、必要とされている。
【0006】
われわれは、水性環境との接触により、システムの予め選択された1つ以上の面から、完全または部分的に、剤皮を確実に除去するための新規の技術を利用した、新規の核が被覆された経口薬送達システムを設計した。この新規の技術は、上述されたあらゆる薬物送達システムに有益に採用され、さまざまな治療目的に対応することができる。
【0007】
特許文献1では、(a)膨潤度の高い高分子材料および高分子ゲル化材料からなる、規定の幾何学形を有する貯蔵核と、(b)貯蔵核が部分的に被覆されるよう、貯蔵核に適用される液体中では不溶性を示す高分子材料から構成される支持プラットフォームとから構成される作用物質の速度制御放出のためのシステムが開示されている。ジェオマトリックス(登録商標)(Geomatrix)は、このシステムを意味するものである。このシステムの欠点は、作用物質が完全に放出される前に、堅い支持プラットフォームがひび割れし、または剥がれ落ちる可能性があることである。特許文献2は、薬物が貯蔵核から完全に放出される前に支持プラットフォームがひび割れし、または剥がれ落ちることのないよう、支持プラットフォームを液体中でゆっくりと溶解および/またはゲル化する重合物質と可塑剤とで構成することによって、特許文献1を改良したものである。これらの特許で開示されるシステムでは、貯蔵核の2つ以上の面を被覆することにより放出面積を少なくしているが、実際には、このようなシステムの工業規模での製造は、特に2つの側面と1つの平面が支持プラットフォームにより被覆されている場合には、困難である。例えば、特許文献1の実施例2では、核をその上側基盤の間際まで高分子溶液に浸すことで障壁層を設け、貯蔵核の2つの側面および1つの平面を被覆している。特許文献1の実施例3では、高分子溶液を核の側面にスプレーがけ、またはブラシがけし、側面を障壁層で被覆している。これらの方法は小規模な実験では可能であるが、工業規模では実効性および再現性を有しない。
【0008】
特許文献3では、含有有効成分の放出を遅らせることができる医薬品錠剤が提供され、この錠剤は、第1の薬剤含有層、中間障壁層および第3の薬剤含有層を含む三層構造の錠剤核が不透過性高分子フィルムで被覆される処理により製剤される。第1の層は隆起した上部を有し、この上部が表皮剥脱により除去され、表皮剥脱された第1の層の面が環境と接触する。障壁層の組成は、錠剤の第3の層からの放出を調整するよう設計される。このシステムの大きな欠点は、システム成分の放出手段を提供するため、隆起した上部の層を表皮剥脱により除去する必要があることである。これは、工業規模では実効性を有しない。さらに、表皮剥脱が均一でない場合には、有効成分の放出に影響が生じるであろう。
【0009】
特許文献4および特許文献5は、被覆されたプラットフォーム生成錠剤に関する。錠剤は飲み込んだ時点で水和して膨張し、核の膨張により、剤皮を覆う膜が主に錠剤の腹帯面周辺で破裂し、核錠剤の腹面が水和し、浸食液にさらされる。このシステムの欠点は、剤皮が常に腹帯面から確実に除去されるわけではなく、別の強度が低い場所で破裂する可能性があることである、したがって、露出される表面積が異なることがある。また、このシステムは放出に半時間以上の時間差を有する。発明では多くの核の形状が提案されているが、そのうちのいくつかでは、錠剤を製造する際に直面する問題がより顕著になる可能性がある。また、剤皮が破裂した後に露出する腹帯面は最小限の表面積であり、より好ましいその他の面は露出されない。
【特許文献1】米国特許第4,839,177号
【特許文献2】米国特許第5,422,123号
【特許文献3】米国特許第5,650,169号
【特許文献4】米国特許第6,720,005号
【特許文献5】米国特許第6,733,784号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、被覆経口薬送達システムを、水性環境との接触により前記システムの予め選択された面の1つ以上から、完全または部分的に、剤皮が確実に除去され、さらに、前記面のうち少なくとも1つの面からは剤皮が除去されないように設計することである。
【0011】
本発明の目的は、含有有効成分の制御放出を行うように設計された上記の経口薬送達システムを提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、上記の目的を達成しつつ、零次制御放出を行う経口薬送達システムを提供することである。
【0013】
本発明の別の目的は、含有有効成分を剤皮で保護する経口薬送達システムであって、剤皮は周辺水性環境との接触により破裂し、有効成分が即座に、かつ急速に放出される経口薬送達システムを提供することである。
【0014】
本発明のさらに別の目的は、規定のpHで上記の目的を達成する経口薬送達システムを提供することである。
【0015】
本発明のさらに別の目的は、製造が容易である経口薬送達システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、水性環境との接触により剤皮を除去するための新規の技術を利用し、被覆経口薬送達システムを提供する。以下にさまざまな実施形態を記載する。
【0017】
(i)a.少なくとも1つの有効成分および製薬上許容可能な賦形剤を含む有効成分組成物を含む核と、
b.前記核を囲む剤皮と
を有する経口薬送達システムであって、
前記経口薬送達システムは、水性環境との接触により前記システムの予め選択された面の1つ以上から、完全または部分的に、前記剤皮が確実に除去され、さらに、前記面のうち少なくとも1つの面からは前記剤皮が除去されないよう設計される経口薬送達システム。
【0018】
(ii)a.少なくとも1つの有効成分および製薬上許容可能な賦形剤を含む有効成分組成物を含む核と、
b.前記核を囲む剤皮と
を有する経口薬送達システムであって、
前記経口薬送達システムは被覆された錠剤形態であり、水性環境との接触により、前記錠剤の1つ以上の面から、完全または部分的に、前記剤皮が除去されるような特徴を有し、さらに、前記特徴は、剤皮が完全または部分的に除去されることが所望される前記錠剤の1つまたは複数の面のいずれでも選択することを可能とし、さらに、前記面のうち少なくとも1つの面からは前記剤皮が除去されないということである経口薬送達システム。
【0019】
(iii) 前記特徴が、前記剤皮、前記核またはその両方にある上記(ii)に記載の経口薬送達システム。
【0020】
(iv) 前記特徴は、前記錠剤の選択された1つまたは複数の面の前記剤皮が、不完全剤皮および反応性剤皮から選択されるということである上記(iii)に記載の経口薬送達システム。
【0021】
(v) 前記特徴は、前記錠剤の選択された1つまたは複数の面の前記剤皮が、前記選択された面の剤皮に1つ以上の通路を有するということである上記(iii)に記載の経口薬送達システム。
【0022】
(vi) 前記特徴は、前記核が、膨潤性組成物および反応性核組成物から選択される組成物を含むということである上記(iii)に記載の経口薬送達システム。
【0023】
(vii) 前記特徴は、前記錠剤の選択された1つ以上の面のごく近傍に位置する上記(vi)に記載の経口薬送達システム。
【0024】
(viii) 前記剤皮は前記有効成分に対して不透過性を有する上記(v)に記載の経口薬送達システム。
【0025】
(ix) 前記有効成分組成物は膨潤性組成物である上記(i)に記載の経口薬送達システム。
【0026】
(x) 前記核は有効成分組成物および膨潤性組成物を含む上記(i)に記載の経口薬送達システム。
【0027】
(xi) 前記有効成分組成物は1つ以上の層として存在し、かつ、前記膨潤性組成物は1つ以上の層として存在する上記(x)に記載の経口薬送達システム。
【0028】
(xii) 異なる層に存在する前記有効成分が同一であっても異なっていてもよい上記(xi)に記載の経口薬送達システム。
【0029】
(xiii) 前記有効成分組成物は制御放出組成物である上記(i)に記載の経口薬送達システム。
【0030】
(xiv) 1つの有効成分組成物は急速放出組成物であり、第1の有効成分組成物と同一の有効成分を含む第2 の有効成分組成物は、制御放出組成物である上記(xi)に記載の経口薬送達システム。
【0031】
(xv) 前記膨潤性組成物は膨潤剤を含む上記(x)に記載の経口薬送達システム。
【0032】
(xvi) 前記膨潤剤は、膨潤性賦形剤、ガス発生剤およびその混合物からなる群から選択される上記(xv)に記載の経口薬送達システム。
【0033】
(xvii) 前記膨潤性組成物は吸い上げ剤を含む上記(x)に記載の経口薬送達システム。
【0034】
(xviii) 前記膨潤性組成物は浸透剤を含む上記(x)に記載の経口薬送達システム。
【0035】
(xix) a.少なくとも1つの有効成分および製薬上許容可能な賦形剤を含む有効成分組成物を含む核と、
b.前記核を囲む剤皮と、
c.前記剤皮中の通路と
を含む経口薬送達システムであって、
前記経口薬送達システムは、前記システムが水性環境に接触した際に、部分的に、前記剤皮が確実に除去され、前記部分的に露出された面から有効成分が放出されるよう設計される経口薬送達システム。
【0036】
(xx) a.少なくとも1つの有効成分および製薬上許容可能な賦形剤を含む有効成分組成物を含む核と、
b.前記核を囲む剤皮と
を有する経口薬送達システムであって、
前記経口薬送達システムは1つだけ面を有し、前記システムが水性環境に接触した際に、前記面から前記剤皮が部分的に除去されるよう設計される経口薬送達システム。
【0037】
(xxi) a.少なくとも1つの有効成分および製薬上許容可能な賦形剤を含む有効成分組成物を含む核と、
b.前記核を囲む剤皮と
を有する経口薬送達システムであって、
前記経口薬送達システムは少なくとも2つの面を有し、前記経口薬送達システムが水性環境に接触した際に、前記面のうちの1つの面から、前記剤皮が部分的に除去されるよう設計され、さらに、前記剤皮は最小面積を有する面とは異なる面から除去される経口薬送達システム。
【0038】
(xxii) 前記経口薬送達システムが水性環境に接触後、実質的遅延なく薬物放出が開始される上記(i)に記載の経口薬送達システム。
【0039】
(xxiii) pH依存型ポリマーの外側剤皮をさらに有する上記(i)に記載の経口薬送達システム。
【0040】
(xxiv) a.少なくとも1つの有効成分および製薬上許容可能な賦形剤を含む有効成分組成物を含む核と、
b.前記核を囲む剤皮と
を有する経口薬送達システムを提供することにより、有効成分をその環境から単離する方法であって、
前記システムは、水性環境との接触により、前記剤皮が破裂し、前記有効成分が即座に、かつ急速に放出されるという特徴を有する方法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
本発明は、
(a)少なくとも1つの有効成分および製薬上許容可能な賦形剤を含む有効成分組成物を含む核と、
(b)前記核を囲む剤皮と
を有する経口薬送達システムであり、
前記経口薬送達システムは、水性環境との接触により、前記システムの予め選択された面の1つ以上から、完全または部分的に、前記剤皮が確実に除去され、さらに、前記面のうち少なくとも1つの面からは前記剤皮が除去されないよう設計される経口薬送達システムを提供する。
【0043】
ここでいう「確実に」とは、剤皮が予め選択された面から除去され、剤皮の選択された以外の強度が低い場所からは破裂しないことをいう。対照的に、特許文献4および特許文献5で開示される先行技術によるシステムでは、「ほぼ」腹帯領域周辺で破裂している。
【0044】
より具体的には、本発明は、
(a)少なくとも1つの有効成分および製薬上許容可能な賦形剤を含む有効成分組成物を含む核と、
(b)前記核を囲む剤皮と
を有する経口薬送達システムであって、
前記経口薬送達システムは被覆された錠剤形態であり、水性環境との接触により、前記錠剤の1つ以上の面から、完全または部分的に、前記剤皮が除去されるような特徴を有し、さらに、前記特徴は、剤皮が完全または部分的に除去されることが所望される、前記錠剤の1つまたは複数の面のいずれでも選択することを可能とし、さらに、前記面のうち少なくとも1つの面からは前記剤皮が除去されないというものである経口薬送達システムを提供する。
【0045】
本発明の経口薬送達システムは、水性環境との接触により、完全または部分的に、予め選択された1つまたは複数の面から、剤皮が除去され、かつ、少なくとも1つの面からは除去されないように設計される。剤皮の部分的な除去を行うにはいくつかの手段が可能であり、これを可能にする特徴は、剤皮もしくは核の特徴、または、相互に作用しあうそれら両方の特徴であり得る。例えば、剤皮がシステムの1つの面から溶解可能、または溶解するが、システムのその他の面からは溶解せず、システムから部分的に除去されるようシステムを設計してもよい。あるいは、水性環境との接触により剤皮が破裂し、システムの予め選択された1つ以上の面から完全または部分的に除去されるよう、経口薬送達システムを設計してもよい。
【0046】
本明細書における 「不完全剤皮」とは、強度が低いため破裂しやすい剤皮を意味する。予め選択された面に対する不完全剤皮は、予め選択された1つまたは複数の面に対して、機械的、化学的もしくは電気的手段または放射能により剤皮に強度の低い箇所を発生させること、または、脆い剤皮、薄い剤皮、脆く薄い剤皮または多孔性の剤皮を設計することにより、形成することができる。この不完全性は、水性環境との接触によって剤皮の組成物が浸出することにより、予め選択された面に瞬時に発生させることもできる。
【0047】
この不完全性は、剤皮の外側から始まりその剤皮の途中まで侵入し、または剤皮の内側まで完全に貫通して通路を形成するくぼみ、裂け目、切れ目、または溶蝕などの明らかな不良という形態をとる場合もある。核は、予め選択された面の周辺に、膨潤性組成物または反応性組成物を用いて設計されてもよい。
【0049】
本発明の好ましい実施形態では、核は膨潤性を有し、剤皮は有効成分に対して不透過性を有し、その内部に通路を有する。水性環境との接触により、水が通路を通じて浸透して核が膨張し、剤皮は1つ以上の通路を有する選択された1つまたは複数の面から破裂する。反応性組成物は、反応性組成物から放出された成分の存在下で、その近傍の被覆が溶解、崩壊し、または弱くなるという点で、剤皮に対して反応性を有する。
【0051】
本発明の経口薬送達システムの核を囲む剤皮は、有効成分に対して不透過性を有し、かつ通路を有することが好ましい。通路を有する剤皮の好ましい一実施形態では、剤皮は、エチルセルロース、疎水性メタクリル酸誘導体など、およびこれらの混合物から選択される非水溶性ポリマーから構成される。剤皮の予め選択された1つ以上の面には、機械もしくはレーザーでの開孔による通路が設けられ、核に部分的に剤皮を除去させ、含有有効成分を放出するため核の一部を露出させる。剤皮が通路を有する本発明のより好ましい一実施形態では、経口薬送達システムは錠剤の形態である。剤皮の通路は、錠剤の予め選択された1つ以上の面に設けられ、周辺環境から水が通路を通じて錠剤に浸入すると、核は予め選択された面から剤皮の一部を除去させ、有効成分を放出するため規定の表面積を露出させる。好ましい実施形態では、核は膨潤性を有し、または、剤皮に対して反応性を有する組成物を有する。
本発明の実施形態は、
(a)少なくとも1つの有効成分および製薬上許容可能な賦形剤を含む有効成分組成物を含む核と、
(b)前記核を囲む剤皮と
を有する経口薬送達システムであり、
前記経口薬送達システムは少なくとも2つの面を有し、前記経口薬送達システムが水性環境に接触した際に、前記面のうちの1つの面から剤皮が完全または部分的に除去されるよう設計され、さらに、前記剤皮は、最小面積を有する面とは異なる面から除去される経口薬送達システムを提供する。本発明の経口薬送達システムは、剤皮が除去される面について選択の幅がなく、一般的に面の下方領域を露出させる先行技術によるシステムより利点がある。
【0052】
本発明の具体的な実施形態はまた、経口薬送達システムが水性環境と接触した後に、実質的遅延なく薬物を放出する上記経口薬送達システムを提供する。本明細書における「実質的遅延なく」とは、核が水性環境と接触した時点から60分以内、好ましくは20分以内、最も好ましくは5分以内に、本発明の制御薬物送達システムから有効成分の放出が開始されることを意味する。
【0053】
本発明の一実施形態において、有効成分組成物は、少なくとも1つの有効成分および膨潤剤を含む膨潤性組成物である。本発明の他の実施形態において、核は有効成分組成物および膨潤性組成物を含み、これは1または複数の層として存在することができる。これらの層に存在する有効成分は同一成分であっても、異なる成分であってもよい。
【0054】
本発明の一実施形態では、
(a)有効成分および製薬上許容可能な賦形剤を含む核と、
(b)前記核を囲む剤皮と
を有する経口薬送達システムを提供することにより、有効成分はその環境から隔離され、このシステムは、水性環境との接触により、剤皮が破裂して即座に、かつ急速に有効成分を放出するための特徴を有する。このようなシステムは苦味を有する有効成分または粘膜表面を刺激する有効成分に有効である。またこのシステムは、周辺環境からの液体との接触による分解から保護する必要がある有効成分に有効である。
【0055】
核の中にガス発生剤を含む組成物を含めることで、剤皮の部分的な除去を行うこともできる。剤皮が水性環境に接触するとガス発生剤がガスを放出し、圧力を発生させて剤皮が部分的に除去されるというものである。好ましくは、膨潤性組成物は、膨潤性賦形剤およびガス発生剤の混合物から構成され、その混合物は剤皮を除去させ、実質的遅延なく放出を開始させ、または、予め設定された時間だけ放出を遅延させるために選択された種類ならびに量の成分により設計される。
【0056】
本発明の経口薬送達システムで使用される膨潤性組成物は、膨潤性賦形剤、ガス発生剤およびそれらの混合物からなる群から選択することができる膨潤剤を含む。膨潤剤の使用量は、一般的に膨潤性組成物の約0.5重量%から約95重量%の量である。使用される膨潤性賦形剤は、クロスポビドンなどのビニルピロリドンポリマー、カルボキシアルキルセルロース、架橋カルボキシアルキルセルロースおよびそれらのアルカリ塩などのセルロースならびにセルロース誘導体、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンおよびデンプン誘導体、樹脂ならびにこれらの混合物から選択される高膨潤性賦形剤とすることができる。高膨潤性賦形剤の使用量は、膨潤性組成物の約2重量%から約35重量%の量が好ましい。使用される膨潤性賦形剤は、適度な膨潤性を有し、膨潤性組成物の約5重量%から約70重量%、好ましくは約50重量%から約70重量%の量で用いることができる。本発明で使用されるガス発生剤には、カルシウム炭素などの炭酸塩、ナトリウムまたは重炭酸カリウムなどの重炭酸塩、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウムまたはメタ重亜硫酸ナトリウムなどの亜硫酸塩等が含まれる。これらの塩は単独で、または酸源と組みわせてガス発生結合体(gas generating couple)として使用することができる。酸源は、食用有機酸、食用有機酸塩、アクリレートポリマーなどの酸性成分またはこれらの混合物とすることができる。使用される有機酸には、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、アスコルビン酸、グルタミン酸およびそれらの塩、ならびにこれらの混合物が含まれる。
【0057】
膨潤性組成物はさらに、膨潤性組成物の約0.5重量%から約10重量%の量の吸い上げ剤(wicking agent)を含んでもよい。使用される吸い上げ剤には、コロイド状二酸化ケイ素、カオリン、二酸化チタン、ヒュームド二酸化ケイ素、アルミナ、ナイアシンアミド、ラウリル硫酸ナトリウム、低分子量ポリビニルピロリドン、エム・パイロール(M−PYROL)、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ポリエステル、ポリエチレンが含まれるが、これらに限られない。本発明の医薬組成物に使用される吸い上げ剤は、セルロースおよびセルロース誘導体、コロイド状二酸化ケイ素ならびにこれらの混合物を含むのが好ましい。
【0058】
膨潤性組成物は、膨潤性組成物の約0.5重量%から約10重量%の量の浸透剤(osmogents)を含んでいてもよい。使用される浸透剤には以下のものが含まれるが、これらに限られない。塩化マグネシウムもしくは硫酸マグネシウム、塩酸リチウム、塩酸ナトリウムもしくは塩酸カリウム、リン酸水素リチウム、リン酸水素ナトリウムもしくはリン酸水素カリウム、リン酸二水素リチウム、リン酸二水素ナトリウムもしくはリン酸二水素カリウムなどの無機塩類、酢酸ナトリウムもしくは酢酸カリウム、コハク酸マグネシウム、安息香酸、クエン酸ナトリウムまたはアスコルビン酸ナトリウムなどの有機酸塩、マンニトール、ソルビトール、アラビノース、リボース、キシロース、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、サッカロース、マルトース、ラクトース、ラフィノースなどの炭水化物、グリシン、ロイシン、アラニンもしくはメチオニンなどの水溶性アミノ酸、尿素等、分子量が20,000から5,000,000であるポリヒドロキシアルキルメタクリル酸からなる群から選択される浸透ポリマー、分子量が10,000から360,000であるポリビニルピロリドン、酢酸含有量が低く、グリオキサール、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドと軽度に架橋され、重合度が2,000から30,000であるポリビニルアルコール、分子量が10,000から7,000,000であるポリエチレンオキシド、カルボキシポリメチレンもしくはカルボキシビニルポリマーとして知られる酸性カルボキシポリマー、ポリアリルサッカロースと軽度に架橋され、カーボポル(登録商標)(Carbopol)として販売されるアクリル酸からなるポリマー、ナトリウム酸カルボキシビニルヒドロゲルおよびカリウム酸カルボキシビニルヒドロゲルを含む、分子量が200,000から6,000,000である酸性カルボキシポリマー、ポリアクリルアミドであるシアナメール(登録商標)(Cyanamer)等、ならびにこれらの混合物。
【0059】
本発明の一実施形態において、核を囲む剤皮は半透過性であり、酢酸セルロール、エチルセルロース等のセルロース誘導体といった不水溶性剤を、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドンおよびこれらの混合物から選択される、十分な量の1つ以上の水溶性ポリマーと混合して使用することにより、これを得ることができる。この結果、半透過性の剤皮の性質は変化し、水性環境との接触により剤皮が部分的に除去される。剤皮は通路を有しない。半透過性である剤皮では周辺環境から水がシステムに浸入し、核により剤皮の一部が除去され、規定の表面積が有効成分を放出するために露出される。本発明の好ましい実施形態では、水溶性ポリマーと不水溶性ポリマーの混合物を用いて剤皮を得る。例えば、エチルセルロースとヒドロキシプロピルメチルセルロースの混合物、または、エチルセルロースとポリビニルピロリドンの混合物を用いて、剤皮を得ることができる。剤皮が通路を有しない実施形態では、有効成分が実質的遅延なく放出されるよう、経口薬送達システムは核の約2重量%から約6.5重量%の重量増加の範囲内で被覆され、または、システムへの放出の遅延をプログラムして設計するため、それを超える割合で被覆されることができる。実質的遅延のない放出が望まれる場合には、剤皮が通路を有することが好ましい。こうした実施形態では、実質的遅延のない放出がより容易に達成され、剤皮重量の範囲も広くなる。
【0060】
本発明の一実施形態では、核は少なくとも1つの有効成分および製薬上許容可能な賦形剤を含む有効成分組成物を有する。本発明の別の実施形態では、有効成分組成物は少なくとも1つの有効成分および膨潤剤を含む膨潤性組成物である。本発明のさらに別の実施形態では、核は有効成分組成物および膨潤性組成物を有し、その両方が1つ以上の層として存在することができる。これらの層に存在する有効成分は同一であっても、異なっていてもよい。これらの実施形態はそれぞれ、核を囲む半透過性の剤皮を含み、通路を有しない。
【0061】
本発明の経口薬送達システムを、含有有効成分を制御して放出するよう、または、剤皮を望ましい方法で保護しつつ、被覆されていない従来の剤形と同様に、即座に、かつ急速に有効成分を放出できるよう、設計することができる。したがって、経口薬送達システムの核は、核からの有効成分の放出速度を制御する製薬上許容可能な賦形剤を含む。医薬品賦形剤は、有効成分の従来の放出または制御放出、好ましくは零次放出を行うよう選択される。
【0062】
本発明の一実施形態では、経口薬送達システムは制御して有効成分を放出するように設計される。したがって有効成分組成物は、以下から選択することができる速度制御賦形剤を含む。メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムなどの親水性ポリマー、エチルセルロース、パルミトステアリン酸グリセロール、蜜ろう、グリコワックス(Glycowax)、キャスターワックス、カルナウバワックス、モノステアリン酸グリセロール、ステアリルアルコール、ベヘン酸グリセロールエステル(glycerol behenic acid ester)、セチルアルコール、天然グリセリドおよび合成グリセリド、ワックス、脂肪酸、疎水性ポリアクリルアミド誘導体、疎水性メタクリル酸誘導体などの疎水性化合物、ポリビニルピロリドンおよびビニルピロリドンと酢酸ビニルとの共重合体などのビニルピロリドンポリマー、アルキレンオキサイドホモポリマー、植物性、動物性、鉱物性もしくは合成ゴム、ならびに、これらの合成物。有効成分組成物は、核の約2重量%から約90重量%の量の1つ以上の上記速度制御賦形剤を含んでもよい。具体的な量および種類は、放出開始に実質的遅延を生じさせないか、放出開始に遅延をプログラムするかに応じて選択することができる。
【0063】
本発明の制御薬物送達システムの核に使用される有効成分組成物は、1つ以上の有効成分、速度制御賦形剤およびその他の製薬上許容可能な賦形剤を含む。本発明の医薬組成物に使用される薬剤は、以下から選択することができる。すなわち、アルコール依存症治療薬、アルツハイマー病治療用薬剤、麻酔薬、先端巨大症治療用薬剤、鎮痛剤、抗ぜんそく薬、抗がん剤、抗凝血剤および抗血栓剤、抗けいれん剤、抗糖尿病薬、制吐薬、抗緑内障薬、抗ヒスタミン剤、抗感染薬、抗パーキンソン病薬、抗血小板薬、抗リウマチ剤、鎮痙薬および抗コリン作用薬、鎮咳薬、炭酸脱水酵素阻害薬、心血管作用薬、コリンエステラーゼ阻害薬、中枢神経系障害治療薬、中枢神経系刺激薬、避妊薬、のう胞性線維症管理薬、ドーパミン受容体作用薬、子宮内膜症管理薬、勃起障害治療薬、排卵誘発剤、胃腸薬、免疫調節剤および免疫抑制剤、記憶促進剤、片頭痛薬、筋肉弛緩剤、ヌクレオシド類似体、骨粗しょう症管理薬、副交感神経興奮薬、プロスタグランジン、精神治療薬、鎮静剤、睡眠薬および精神安定剤、皮膚病治療用薬剤、ステロイドおよびホルモン。
【0064】
本発明の一実施形態では、核は
(a)有効成分組成物の第1の層、
(b)有効成分組成物の第2の層、および、
(c)膨潤性組成物の第3の層
を有し、第1の層および第2の層の有効成分組成物は、同一または異なる有効成分を含むことができる。膨潤性組成物は膨潤剤を含み、有効成分を含んでも、含まなくてもよい。
【0065】
本発明の一実施形態では、膨潤性組成物は有効成分組成物を含む核の中の、埋め込み型錠剤(in−lay tablet)として存在する。埋め込み型錠剤を含む核は、膨潤性組成物の真上の面に通路を有する不透過性剤皮で被覆される。膨潤性組成物は水性環境と接触すると剤皮を破り、規定の表面積を露出させる。そして有効成分が露出面から放出される。
【0066】
本発明の別の実施形態では、核は二層構造の錠剤に圧縮されている。第1の層は、剤皮または第2の層により囲まれる連続的な平面を有する有効成分組成物を含み、第2の層は、少なくとも1つの凹部(陥没)または空洞により中断される面を少なくとも1つ有する膨潤性組成物を含む。本実施形態で使用される剤皮は半透過性であり、水分がシステムに入ることで、凹部(陥没)または空洞を有する面から剤皮を除去させる。
【0067】
本発明のいくつかの実施形態では、上記経口薬送達システムはいずれも、直接核を囲む内側剤皮を部分的または完全に覆うpH依存型外側剤皮でさらに被覆されてもよい。内側剤皮とpH依存型外側剤皮との間に、中間の封止剤皮を設けてもよい。本技術分野で一般的に使用されるpH依存型ポリマーを使用して、外側剤皮を設けることができる。
【0068】
以下の例は本発明の範囲を限定するものではなく、例示にすぎない。
【0069】
<実施例1>
以下の表1に詳述されるとおり、本発明に従いコハク酸メトプロロールを含む経口薬送達システムを得た。
【0070】
【表1】
処方I、II、IIIおよびIVは以下のように作成された。コハク酸メトプロロール、HPMC、ラクチトール一水和物およびポビドンK−30をASTM(アメリカ材料試験協会)ふるい#40にかけて適切に混ぜ合わせた。得られた混合物に精製水を加え、適切な目標の大きさの粒状にし、得られた粒を含水率が約1%から2%となるよう乾燥させた。乾燥させた粒を適切に粉砕し、デンプングリコール酸ナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素、タルクおよびステアリン酸マグネシウムの混合物で滑らかにし、第1の層のための混合物を得た。
【0071】
ケイ化微結晶性セルロース、クロスポビドン、ラウリル硫酸ナトリウムおよび適切な色素をASTMふるい#40にかけて適切に混ぜ合わせた。得られた混合物は、コロイド状二酸化ケイ素およびステアリン酸マグネシウム(予めASTMふるい#60にかけられたもの)の混合物で潤らかにした。処方Iのシステムの場合、混合物には上述の分量のコハク酸メトプロロール、ユードラギットL−100−55、重炭酸ナトリウムおよびマンニトールも含まれる。
【0072】
上記の2つの調製物を圧縮して二層構造の錠剤を得、これを適切な重量増加でエチルセルロースの水分散液で被覆した。そして、錠剤の一方の側に開孔した。
【0073】
こうして得られた錠剤について溶解試験を行った。処方Iの錠剤は、アメリカ合衆国薬局方溶解装置タイプIIを用いて、溶解溶媒として0.01規定の塩酸500ミリリットルを使用し、100回転/分で試験を行った。処方II、III、IVの錠剤は、アメリカ合衆国薬局方溶解装置タイプIIを用いて、溶解溶媒としてpH6.8の緩衝液500ミリリットルを使用し、50回転/分で試験を行った。溶解試験の結果は以下の表2に示される。
【0074】
【表2】
4システム全ての制御放出層からの放出は、零次、すなわち、経時的線形であった(処方I、II,IIIおよびIVの回帰係数r2 はそれぞれ、0.9697、0.9959、0.9966および0.9816であった)。
【0075】
<実施例2>
以下の表3に詳述されるとおり、本発明に従い塩酸ビュープロビオンの制御放出医薬組成物を得た。
【0076】
【表3】
塩酸ビュープロビオン、HPMC K100M、無水乳糖、PVP K−30およびコロイド状二酸化ケイ素をASTMふるい#40にかけて十分に混ぜ合わせた。ステアリン酸およびタルクをASTMふるい#60にかけて混合物と混ぜ合わせ、第1の層の組成物を得た。
【0077】
プロソルブSMCC90、コロイド状二酸化ケイ素、ラウリル硫酸ナトリウム、クロスポビドンおよび色素をASTMふるい#40にかけて十分に混ぜ合わせ、混合物を得た。この混合物をステアリン酸マグネシウムで潤らかにし、第2の層の組成物を得た。
【0078】
2つの組成物を標準的な凹面パンチで圧縮し、二層構造の錠剤を得た。圧縮された錠剤を、核の約14重量%の重量増加により被覆組成物で被覆した。第2の層、すなわち、塩酸ビュープロビオンを含まない層を含む錠剤の側面に開孔した。
【0079】
こうして得られた錠剤について、アメリカ合衆国薬局方溶解装置タイプIIを用いて、溶解溶媒として水900ミリリットルを使用し、50回転/分で溶解試験を行った。溶解試験の結果は以下の表4に示される。放出は、零次、すなわち、経時的線形であった(回帰係数r2 は0.97であった)。
【0080】
【表4】
<実施例3>
以下の表5に詳述されるとおり、本発明に従い塩化オキシブチニンの制御放出医薬組成物を得た。
【0081】
【表5】
二層構造の錠剤の製法は以下のとおりである。塩化オキシブチニンをプロソルブ SMCC90、コロイド状二酸化ケイ素、クロスポビドン、ラウリル硫酸ナトリウム、色素およびステアリン酸マグネシウムと混ぜ合わせ、第1の層の組成物を得た。塩化オキシブチニン、HPMC K4M,ラクチトール一水和物およびクエン酸の混合物を混合し、第2の層の組成物を得た。この混合物を精製水を用いて粒状にし、得られた粒を微結晶性セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、タルクおよびステアリン酸マグネシウムの混合物で滑らかにした。次に第1および第2の層の組成物を圧縮し、二層構造の錠剤を得た。この錠剤はアクアコート、セバシン酸ジブチルおよびクエン酸トリエチルを含む被覆組成物で、核錠剤の約14重量%の重量増加で被覆された。
【0082】
こうして得られた錠剤に、アメリカ合衆国薬局方溶解装置タイプIIを用いて、溶解溶媒としてpH4.5の緩衝液900ミリリットルを使用し、100回転/分で溶解試験を行った。溶解試験の結果は以下の表6に示される。制御放出層からの放出は、零次、すなわち、経時的線形であった(回帰係数r2 は0.9904であった)。
【0083】
【表6】
<実施例4>
以下の表7に詳述されるとおり、本発明に従い塩化オキシブチニンを含む三層構造の経口薬送達システムを得た。
【0084】
【表7】
上記の実施例と同様に三層構造を得て、圧縮し、核を得た。この核を、核の約14重量%の重量増加により被覆溶液で被覆した。錠剤の1つの平面に400ミクロンの大きさの孔をあけた。
【0085】
このようにして得られた三層構造の錠剤に、アメリカ合衆国薬局方溶解装置タイプIIを用いて、溶解溶媒としてpH4.5の緩衝液900ミリリットルを使用し、100回転/分で溶解試験を行った。溶解試験の結果は以下の表8に示される。
【0086】
【表8】
個別の実施形態を参照して本発明を説明したが、これは説明上の目的でなされたものであり、本発明の趣旨または範囲を限定するものと解釈されない。
【0087】
本明細書に例示される実施形態はいずれも例示目的にすぎず、いかなる方法によっても本発明の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0088】
図1】剤皮が通路を有する場合の本発明による経口薬送達システムの一実施形態の概略図であり、(a)図は、通路(3)を有する剤皮(2)に囲まれた有効成分組成物を含む核(1)を有する本発明の経口薬送達システムの一実施形態の概略図である。(b)図は、有効成分組成物(4)および膨潤性組成物(5)を含む核を有し、核は通路(3)を有する剤皮(2)に囲まれている、本発明の概略図である。(c)図は、有効成分組成物(4)およびその両側の2つの膨潤性組成物(5、6)を含み、三層構造の核を形成する核を有し、核は通路(3)を有する剤皮(2)に囲まれている本発明の概略図である。膨潤性組成物は有効成分を含んでも、含まなくてもよい。
図2】剤皮が通路を有しない場合の本発明の経口薬送達システムの一実施形態の概略図であり、(a)図は、剤皮(2)に囲まれた有効成分組成物 (1)を含む核を有する本発明の一実施形態の概略図である。(b)図は、有効成分組成物(4)および膨潤性組成物(5)を含む核を有し、核は剤皮(2)に囲まれている本発明の一実施形態の概略図である。(c)図は、有効成分組成物(4)およびその両側の2つの膨潤性組成物(5、6)を含み、三層構造の核を形成する核を有し、核は剤皮(2)に囲まれている本発明の一実施形態の概略図である。膨潤性組成物は有効性成分を含んでも、含まなくてもよい。本発明の経口薬送達システムのさらなる実施形態のすべてが、本明細書に図示されているわけではない。例えば、図1および図2に示されるシステムがpH依存型高分子からなる外側剤皮でさらに囲まれているというさらなる実施形態は、本明細書には記載されていない。
図3】実施例1の処方I、II、III、IVの製剤設計による対時間薬物(メトプロロール)放出率を示したグラフである。
図4】実施例2の製剤設計による対時間薬物(ブプロピオン)放出率を示したグラフである。
図5】実施例3および実施例4の製剤設計による対時間薬物(オキシブチニン)放出率を示したグラフである。
図1
図2
図3
図4
図5