特許第5666104号(P5666104)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5666104
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】鉄道保守作業管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/30 20120101AFI20150122BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20150122BHJP
【FI】
   G06Q50/30 100
   G06Q50/10 130
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2009-158620(P2009-158620)
(22)【出願日】2009年7月3日
(65)【公開番号】特開2011-14008(P2011-14008A)
(43)【公開日】2011年1月20日
【審査請求日】2012年5月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】000153443
【氏名又は名称】株式会社 日立産業制御ソリューションズ
(73)【特許権者】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098017
【弁理士】
【氏名又は名称】吉岡 宏嗣
(72)【発明者】
【氏名】佐竹 修一
(72)【発明者】
【氏名】金澤 直幸
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 繁
(72)【発明者】
【氏名】吉田 康宏
(72)【発明者】
【氏名】板敷 一司
(72)【発明者】
【氏名】桑原 崇
【審査官】 阿部 潤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−308099(JP,A)
【文献】 特開2004−299587(JP,A)
【文献】 特開2005−063046(JP,A)
【文献】 特開2007−334543(JP,A)
【文献】 特開2001−191921(JP,A)
【文献】 特開2008−217221(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 50/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
線区単位で列車の運行管理を行う列車運行管理システムに設けられ、鉄道設備の保守作業の作業場所に作業員が携行することでできるようにされた携帯端末に対して、前記保守作業の作業管理における管理事項についてのデータを公衆通信網による通信で送信できるようにされている鉄道保守作業管理システムにおいて、
前記保守作業についての保守作業計画データを格納するデータ格納部と、
前記保守作業に関連するとともに前記保守作業の作業内容に応じて変化する情報である動的情報を用いて前記携帯端末の前記通信についての認証を行う動的認証部と、
前記保守作業の作業管理における管理事項について自動的に判定する自動判定部とを備え、
前記動的認証部は、前記携帯端末が保守作業着手前に取り込んだ前記保守作業計画データを前記データ格納部に格納された保守作業計画データと比較し、両者の同一性を判定することで前記認証を行い、
前記自動判定部は、自動判定対象の管理事項として、前記保守作業の終了に関する作業終了管理を含んでおり、前記作業終了管理では、前記保守作業の終了の報告がなされずに漏れる作業終了漏れについて判定する処理を行い、前記判定で前記作業終了漏れありとされた場合に前記保守作業の作業員に警告を発するとともに、前記列車運行管理システムに警告を発することを特徴とする鉄道保守作業管理システム。
【請求項2】
前記動的情報として、前記保守作業についての保守作業計画データと前記携帯端末の現在位置の両方を用いるようにされていることを特徴とする請求項1に記載の鉄道保守作業管理システム。
【請求項3】
鉄道設備の保守作業の作業管理に関し、作業場所への列車接近による危険状況などの管理事項について自動的に判定する機能を有し、
前記危険状況についての管理事項として、前記作業場所への列車接近を判定するのに必要な情報に関与する鉄道設備である関連設備について、その異常の有無を判定し、前記判定で前記関連設備に異常ありとされた場合に前記保守作業の作業員に警告を発するようにされていることを特徴とする請求項1又は2に記載の鉄道保守作業管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道設備の保守作業に際して作業員の安全性を確保するための安全管理などに用いられる鉄道保守作業管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道設備については、レールや架線の張替えあるいは設備の点検などとして保守作業が必要となる。このような鉄道設備の保守作業には、作業場所の列車通過により作業員が危険にさらされるという問題が伴う。このため保守作業については、列車が作業場所を通過することのない状態にして保守作業を進めるか、または作業場所への列車接近を事前に把握して列車通過時の退避を確実になせるようにして保守作業を進めるための安全管理などが保守作業管理として行われている。
【0003】
そうした保守作業管理は、以前には人手に頼ってなされていた。すなわち安全管理員(作業場所での安全管理を担当する作業員)が時刻表やダイヤ図などをチェックしたり近隣の駅と連絡を取ったりしながら作業場所への列車の接近を事前に把握しつつ列車接近の監視を行い、列車接近時には作業員に注意を喚起したり退避指示を行ったりするようにしていた。
【0004】
こうした人手に頼る方法は、作業員に大きな負担を強いることになり、また人為的ミスの可能性も残す。こうしたことから、保守作業管理における管理事項について自動的に判定し、その自動判定で得られる安全管理情報などの管理事項に関するデータを、安全管理員に携行させる携帯端末(携帯型のデータ処理装置)を通じて作業場所に提供する保守作業管理システムの開発がなされてきた。
【0005】
そのような保守作業管理システムは、初期にあっては既存の鉄道専用電話回線を利用したり、あるいは線路沿いに設置する専用無線局を利用したりして管理事項に関するデータを携帯端末に提供するように構成されていた。しかしこのように専用電話回線や専用無線局を用いる構成の保守作業管理システムは、専用電話回線や専用無線局の通信速度が遅いことにより、リアルタイム的なデータの提供を必ずしも十分に行えないという問題があり、また専用電話回線や専用無線局を利用できない作業場所には適用できず、システム適用範囲の拡張に対する柔軟性、つまり汎用性に欠けるという問題がある。
【0006】
こうしたことから、公衆通信網を利用して携帯端末に安全管理情報などを提供する保守作業管理システムが開発された。例えば特許文献1に開示の「鉄道作業員安全管理システム」がその例である。特許文献1の「鉄道作業員安全管理システム」は、列車の運行状況を管理するホストコンピュータを備えるとともに、このホストコンピュータに対して携帯電話回線網などの公衆通信網を介して情報のやりとりをしながら列車運行情報を入手して表示する携帯端末を備えている。その携帯端末は、安全管理員により保守作業場所に携行され、保守作業の開始時に作業位置と作業時間をホストコンピュータに送信する。一方、ホストコンピュータは、送信された作業位置と作業時間から、作業場所を通過する列車の情報を携帯端末に返信する。そしてこの返信を受けた携帯端末は、その返信情報を基に作業場所への列車の接近状況を表示しながら、列車が所定の時間内に作業場所へ接近する状態になったら警告を発するようにされている。
【0007】
なお保守作業管理システムについては、特許文献1の他にも特許文献2〜4に開示の例などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−272855号公報
【特許文献2】特開2004−51087号公報
【特許文献3】特開2005−219707号公報
【特許文献4】特開2002−24342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した特許文献1の「鉄道作業員安全管理システム」のように公衆通信網を利用して携帯端末に安全管理情報などの保守作業管理上のデータを提供する保守作業管理システムは、公衆通信網の高速通信によりアルタイム的なデータを安全管理員に十分に提供することで保守作業の安全性を大幅に高めることができるなど、それなりに優れている。しかし、未だ不十分な点を残しており、改善の余地がある。
【0010】
例えば公衆通信網の利用に伴う列車運行管理システムのセキュリティ問題がある。保守作業管理システムは、保守作業の安全管理のために列車運行情報などの安全管理情報を必要とすることから、広域な列車の運行を全般的に管理する列車運行管理システムのシステム要素として設けられたり、あるいは列車運行管理システムに対してLANなどによりオンライン的に接続するようにしたりして設けられるのが一般的である。このため保守作業管理システムには、列車運行管理システムと同レベルのセキュリティが求められることになる。しかるに、公衆通信網を利用する従来の保守作業管理システムではこうしたセキュリティについて十分な配慮がなされておらず、例えば保守作業管理システムにおける携帯端末が盗難にあったりした場合に、その盗難にあった携帯端末から列車運行管理システムへの悪意の侵入がなされる可能性を残している。
【0011】
また作業終了漏れに対する対応性の問題もある。ここで、作業終了漏れとは、例えば列車運行管理システムに伝えるべき保守作業終了報告がなされずに漏れることである。このような作業終了漏れがあると、例えば信号機などにより保守作業時間中は作業場所に列車が進入しないように制御している場合、本来なら列車進入停止制御を解除してよい状態なのに、それが徒に継続されてしまうとう問題を招くことになる。こうしたことから作業終了漏れを有効に防止するための対処を求められることになるが、従来の保守作業管理システムではこれについて十分な配慮がなされていない。
【0012】
さらに従来の保守作業管理システムには、作業場所への列車接近を判定するのに必要な情報に関与する鉄道設備である関連設備に関する問題もある。例えば作業線区や作業場所に近接する駅などに設けられている関連設備に異常が発生していると、それにより作業場所への列車接近の自動判定を正確に行えなくなる可能性がある。このため、保守作業の安全性をより高めるには関連設備の異常の有無についての情報も安全管理員に提供できるようにする必要があるが、従来の保守作業管理システムではこれについて十分な配慮がなされていない。
【0013】
本発明は、以上のような知見に基づいてなされたものであり、公衆通信網を利用する保守作業管理システムについて、そのセキュリティを向上させることを第1の課題とし、また保守作業管理における管理事項について自動的に判定する機能を有した保守作業管理システムについて、作業終了漏れを有効に防止できるようにすることを第2の課題とし、さらに作業場所への列車接近による危険状況などの管理事項について自動的に判定する機能を有した保守作業管理システムについて、効果的な関連設備情報を安全管理員に提供できるようにすることを第3の課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明では上記第1の課題を解決するために、線区単位で列車の運行管理を行う列車運行管理システムに設けられ、鉄道設備の保守作業の作業場所に作業員が携行することでできるようにされた携帯端末に対して、前記保守作業の作業管理における管理事項についてのデータを公衆通信網による通信で送信できるようにされている鉄道保守作業管理システムにおいて、前記保守作業についての保守作業計画データを格納するデータ格納部と、前記保守作業に関連するとともに前記保守作業の作業内容に応じて変化する情報である動的情報を用いて前記携帯端末の前記通信についての認証を行う動的認証部と、前記保守作業の作業管理における管理事項について自動的に判定する自動判定部とを備えていることを特徴としている。
【0015】
保守作業の作業内容に応じて変化する動的情報を用いた動的認証は、実際の保守作業の場所で正当に使用されている携帯端末以外は確実に認証不成立とすることができ、例えば盗難にあった携帯端末によるアクセスのような不正アクセスがなされようとした場合に、そのアクセスを高い確度で排除することができる。したがって上記のような鉄道保守作業管理システムによれば、公衆通信網を利用する場合のセキュリティを大幅に高めることができる。
【0016】
また本発明では、上記のような鉄道保守作業管理システムについて、前記動的情報として、前記保守作業についての保守作業計画データと前記携帯端末の現在位置のいずれか1つまたは両方を用いるようにするのを好ましものとしている。
【0017】
また本発明では上記第2の課題を解決するために、鉄道設備の保守作業の作業管理における管理事項について自動的に判定する機能を有した鉄道保守作業管理システムにおいて、前記自動判定対象の前記管理事項として、前記保守作業の終了に関する作業終了管理を含んでおり、前記作業終了管理では、前記保守作業の終了の報告がなされずに漏れる作業終了漏れについて判定する処理を行い、前記判定で前記作業終了漏れありとされた場合に前記保守作業の作業員に警告を発するとともに、前記列車運行管理システムに警告を発するようにされていることを特徴としている。
【0018】
このような鉄道保守作業管理システムによれば、作業終了漏れを確実に防止することができ、作業終了漏れの発生に伴う問題を効果的に解消することが可能となる。
【0019】
また本発明では上記第3の課題を解決するために、鉄道設備の保守作業の作業管理に関し、作業場所への列車接近による危険状況などの管理事項について自動的に判定する機能を有した鉄道保守作業管理システムにおいて、前記危険状況についての管理事項として、前記作業場所への列車接近を判定するのに必要な情報に関与する鉄道設備である関連設備について、その異常の有無を判定し、前記判定で前記関連設備に異常ありとされた場合に前記保守作業の作業員に警告を発するようにされていることを特徴としている。
【0020】
このような鉄道保守作業管理システムによれば、関連設備に異常を生じ、それにより作業場所への列車接近の自動判定の信頼性が低下する状況になっても、そのことを作業員に報知でき、したがって常に高い安全度を保った状態で保守作業を進めることができるようになる。
【発明の効果】
【0021】
以上のような本発明によれば、公衆通信網を利用する保守作業管理システムについて、そのセキュリティを向上させることができ、また保守作業管理における管理事項について自動的に判定する機能を有した保守作業管理システムについて、作業終了漏れを有効に防止できるようになり、また作業場所への列車接近による危険状況などの管理事項について自動的に判定する機能を有した保守作業管理システムについて、効果的な関連設備情報を安全管理員に提供できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】一実施形態による保守作業管理システムの構成を示す図である。
図2】保守作業管理装置の構成を機能ブロック図として示す図である。
図3】保守作業管でなされる処理の流れを示す図である。
図4】動的認証処理の流れ示す図である。
図5】保守作業計画チェック処理の流れを示す図である。
図6】端末現在位置チェック処理の流れを示す図である。
図7】自動判定処理の流れを示す図である。
図8】列車接近判定処理の流れを示す図である。
図9】関連設備判定処理の流れを示す図である。
図10】作業終了管理処理の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。図1に、一実施形態による保守作業管理システム1の構成を示す。本実施形態の保守作業管理システム1は、列車運行管理システム2のシステム要素として設けられている。
【0024】
列車運行管理システム2は、例えば山手線とか中央線というような線区単位で列車の運行管理を行うようにして設けられる複数の列車運行管理装置3(3a〜3n)からなる中央制御装置群3G、中央制御装置群3Gが接続する中央ネットワーク4、上記の線区単位で設けられ、それぞれが中央ネットワーク4に接続するようにされている複数の線区ネットワーク5(5a〜5n)、および線区ネットワーク5の支配下にある駅ごとに設けられ、それぞれが対応の線区ネットワーク5に接続される複数の駅システム6(6a〜6n)を含んでいる。
【0025】
このような列車運行管理システム2にあって、保守作業管理システム1は、中央ネットワーク4に接続する保守作業管理装置7、保守作業管理装置7に専用LAN8を介して接続する認証/CTIサーバ9、および認証/CTIサーバ9に携帯電話回線網などのような公衆通信網11を介して接続する携帯端末12を含んでおり、保守作業管理を自動的に行う。その保守作業管理には、列車接近などに関する安全管理と作業終了に関する管理が主なものとして含まれ、さらにシステムのセキュリティに関する携帯端末12の認証も含まれる。
【0026】
保守作業管理装置7は、安全管理や作業終了管理などを主要な管理事項とする保守作業管理に必要となる各種データ、つまり保守作業管理用データを保持し、その保守作業管理用データを基に、保守作業場所への列車接近の判定、列車接近の報知、作業終了漏れの判定などの各種処理を行い、また携帯端末12の動的認証を行う。こうした機能のために保守作業管理装置7は、図2に示すように、認証/CTIサーバ間通信機能部13、自動判定部14、動的認証部15、データ格納部16、および列車運行管理システム間通信部17を備えている。なお、保守作業管理装置7は、以上のような各機能部の他にもいくつかの機能部を備えているが、それらの図示は省略してある。
【0027】
認証/CTIサーバ間通信機能部13は、認証/CTIサーバ9と保守作業管理装置7との間でのデータ通信の制御に機能する。
【0028】
自動判定部14は、保守作業管理における管理事項の判定、具体的には列車接近や関連設備の異常などの危険状況についての判定と作業終了漏れについての判定を自動的に行う機能を負っており、そのために危険状況判定部18と作業終了漏れ判定部19を備えている。危険状況判定部18は、後述のデータ格納部16に格納の保守作業計画データ21、保守作業実施状況データ23、列車運行状況データ24、設備稼働状況データ25などから危険状況についての判定を行い、その結果を画像データや音声メッセージとして携帯端末12に通知する。作業終了漏れ判定部19は、作業終了漏れの判定を行い、作業終了漏れがあった場合には携帯端末12を通じて警報を発する。
【0029】
動的認証部15は、携帯端末12の動的な認証を行う。具体的には、保守作業計画データ21や携帯端末12の現在位置情報などのように、保守作業に関連するとともに保守作業の内容に応じて変化する情報である動的情報を用いて携帯端末12の認証を行う。
【0030】
データ格納部16は、保守作業管理用データを格納する。本実施形態では保守作業管理用データとして、保守作業計画データ21、音声メッセージデータ22、保守作業実施状況データ23、列車運行状況データ24および設備稼働状況データ25をデータ格納部16に格納するようにしている。ここで、保守作業計画データ21は、保守作業計画についてのデータで、保守作業管理装置7に接続されている保守作業計画作成・登録用端末(図示を省略)で作成されて登録されるデータであり、また音声メッセージデータ22は、危険状況判定部18による判定に基づいて携帯端末12を通じて発せられる後述のような各種の警報のための音声メッセージのデータで、パターン化されたものとして予め登録されるデータであり、さらに保守作業実施状況についてのデータである保守作業実施状況データ23、列車運行管理システム2の管理下にある列車の運行状況についてのデータである列車運行状況データ24、および列車運行管理システム2の管理下にある関連設備の稼働状況についてのデータである設備稼働状況データ25は、列車運行管理装置3a〜3nや駅システム6a〜6nから列車運行管理システム間通信部17を介して受信するデータ、あるいは携帯端末12から認証/CTIサーバ間通信機能部13を介して受信するデータにより逐次更新されるデータである。なお、関連設備とは、上述のように、作業場所への列車の接近を判定するのに必要な情報に関与する鉄道設備のことである。
【0031】
列車運行管理システム間通信部17は、保守作業管理装置7と列車運行管理装置3a〜3nや駅システム6a〜6nの間でのデータ通信の制御に機能する。
【0032】
認証/CTIサーバ9は、保守作業管理サーバであり、携帯端末12の静的な認証を行う機能を負い、また必要時に携帯端末12に音声メッセージを送信する機能を負う。そのために認証/CTIサーバ9は、認証部26とCTI部27を備えている。
【0033】
認証部26は、携帯端末12の静的な認証を行う。具体的には、携帯端末12から送られてくる例えばユーザID、パスワード、暗号キーなどのような固定的な情報を用いて携帯端末12の静的な認証を行う。また認証部26は、こうした静的認証機能に加えて、各種フィルタリング、IPアドレス変換などといったファイアーウォールとしての機能も有する。
【0034】
CTI部27は、音声メッセージ用のサーバ機能部であり、保守作業管理装置7からの命令を受けて携帯端末12に音声メッセージを送信する。CTI部27による携帯端末12への音声メッセージの送信は、携帯端末12が備えている携帯電話機能を利用することで公衆通信網11を介してなされる。
【0035】
携帯端末12は、作業員が保守作業の現場に携行して保守作業管理に必要なデータの送受信を行うとともに、それらのデータなどの表示などを行えるようにされた携帯型のデータ処理装置であり、公衆通信網を利用する通信機能、具体的には携帯電話機能を備えるとともに、全地球測位システム(GPS)活用する機能を備えている。そしてその携帯電話機能により公衆通信網11で認証/CTIサーバ9にアクセスし、その認証/CTIサーバ9を介してデータの送受信を行えるようにされ、またGPS(全地球測位システム)28で自身の位置情報を取得できるようにされている。また携帯端末12は、列車運行管理システム2ないし保守作業管理システム1の専用通信網を通じてのみ保守作業計画データ21をダウンロードできるようにされている。具体的には駅システム6を通じてのみ保守作業計画データ21をダウンロードできるようにされている。
【0036】
ここで、本実施形態では携帯電話機能を内蔵する構成の携帯端末12としているが、これに代えて携帯電話機能を有しない携帯型データ処理装置に汎用的な携帯電話器を組み合わせて携帯端末12を構成するようにすることもできる。このような構成の場合には、携帯型データ処理装置と携帯電話器の間を例えばブルートゥースのような短距離無線通信システムでつなぐことになる。
【0037】
以上が保守作業管理システム1の構成である。以下ではこうした保守作業管理システム1でなされる保守作業管理について説明する。保守作業管理は、図3に処理の流れを示すように、ステップ101〜ステップ106の各処理を含む。
【0038】
ステップ101では、保守作業計画の作成とその保守作業計画データ21の保守作業管理装置7への登録がなされる(保守作業計画作成・登録処理)。この保守作業計画作成・登録処理は、上述のように保守作業管理装置7に接続の保守作業計画作成・登録用端末を用いてなされ、新たな保守作業が発生するのに応じて逐次的になされる。
【0039】
ステップ102では、保守作業計画データ21の携帯端末12へのダウンロードがなされる(保守作業計画データダウンロード処理)。保守作業計画データ21のダウンロードは、上述のように専用通信網を通じて行われる。具体的には、作業員が携帯端末12を携行して作業場所に近い駅に出向き、その駅における駅システム6を通じて該当の保守作業についての保守作業計画データ21をダウンロードして携帯端末12に取り込む。ここで、保守作業計画データダウンロード処理は、専用通信網に制限することで物理的にアクセスが制限されている。したがってこの時点ではセキュリティの問題を生じない。
【0040】
ステップ103では、携帯端末12の認証が行われる(認証処理)。携帯端末12の認証は、静的認証と動的認証を組み合わせて行われる。静的認証は、上述のように認証/CTIサーバ9における認証部26で実行され、携帯端末12から送信するユーザID、パスワード、暗号キーなどのような固定的な情報を用いて行われる。一方、動的認証は、上述のように保守作業に関連するとともに保守作業の内容に応じて変化する情報である動的情報を用いて動的認証部15で行われる。この動的認証の詳細については後述する。このステップ103における認証が成立することで以下のステップを実行できるようになる。
【0041】
ステップ104では、作業着手設定処理が行われる。作業着手設定処理では、作業着手データが生成され、またこの作業着手データに応じて列車進入制御の設定がなされる。作業着手データの生成は、例えば携帯端末12に表示させる操作画面に設けられている着手ボタンを押すなどして作業着手を入力することでなされる。こうした作業着手の入力がなされると、その時点が実際の保守作業の開始時刻として求められ、またこの実作業開始時刻と保守作業計画データ21における予定作業時間に基づいて実際の作業終了予定時刻が求められ、これらの時刻データが作業着手データとなる。こうして生成された作業着手データは、保守作業実施状況データ23として登録される。列車進入制御設定では、保守作業実施状況データ23として登録された実際の作業時間中に作業場所へ列車が進入することのないようにする信号機制御などの設定を行う。
【0042】
ステップ104の作業着手設定処理を終えると、実際に保守作業が開始され、それ以後はステップ106の作業終了設定処理までステップ105として自動判定部14による安全管理処理と作業終了管理処理がなされる。安全管理処理では、自動判定部14の危険状況判定部18による作業場所への列車接近などの危険状況の判定がなされ、またその判定結果の報知などがなされる。一方、作業終了管理処理では、作業終了漏れを防ぐための処理が作業終了漏れ判定部19を用いてなされる。これら安全管理処理や作業終了管理処理の詳細については後述する。ここで、作業終了漏れとは、上述のように列車運行管理システム2に伝えるべき保守作業終了報告がなされずに漏れることである。
【0043】
ステップ106の作業終了設定処理では、ステップ104について説明したのと同様な操作画面に設けられている作業終了ボタンを押すなどして作業終了を入力することでなされる。こうした作業終了の入力がなされると、その時点が実際の保守作業終了時刻として求められ、この時刻データが作業終了データとなって保守作業実施状況データ23に登録される。作業終了データが保守作業実施状況データ23に登録されると、列車運行管理システム2がステップ104での信号機制御などの設定を解除する。こうした作業終了設定処理がなされることで、それまで制限されていた列車の運行を平常状態に戻せることになる。したがって作業終了漏れがあると列車の運行に徒な制限を行うことになってしまうことになり、それを効果的に防ぐことのできる上記の作業終了管理は大きな意義を持つ。
【0044】
以下では図3のステップ103における動的認証処理について説明する。図4に動的認証処理の流れを示す。動的認証処理は、保守作業に関連するとともに保守作業の内容に応じて変化する情報である動的情報、具体的には保守作業計画データ21と携帯端末12の現在位置情報を用いて携帯端末12の認証を動的認証部15により行う処理で、ステップ201〜ステップ206の各処理を含む。
【0045】
ステップ201では、保守作業計画に基づくチェックを行う(保守作業計画チェック処理)。保守作業計画チェック処理は、図5にその流れを示すように、ステップ301〜ステップ306の各処理を含む。
【0046】
ステップ301では、携帯端末12が上述の作業着手設定前の保守作業計画データを保有しているか否かをデータ格納部16に格納の保守作業計画データ21に基づいて判定する、つまり上述のダウンロードで携帯端末12に取り込んだ保守作業計画データをデータ格納部16に格納の保守作業計画データ21と比較し、両者の同一性を判定する(保守作業計画判定処理)。ステップ301の判定結果が否定的な場合は、認証不成立となるのでステップ302に進み、チェック履歴に「チェックNG」を登録する。
【0047】
ステップ303では、現在時刻がアクセスを許可できる時間帯、つまりアクセス許可時間帯であるか否かを判定する(アクセス許可時間帯判定処理)。ここで、アクセス許可時間帯は、保守作業計画データ21における作業開始予定時刻から所定時間前までの時間帯として設定される。ステップ303の判定結果が否定的な場合は、認証不成立となるのでステップ304に進み、チェック履歴に「チェックNG」を登録する。
【0048】
ステップ305では、保守作業管理システム1へのアクセスが不正である否かを判定する(アクセス不正判定処理)。ここで、不正アクセスとは、例えば携帯端末12が盗難にあい、その盗難された携帯端末12でなされるアクセスなどのことである。こうした不正アクセスがあった場合には、それに使われた携帯端末12を保守作業管理システム1へのアクセス不可対象とするなどの対応が必要となる。ただ、上述のステップ301や303での判定で認証不成立となっていても、それが携帯端末12の操作ミスによる可能性がある。したがって1回だけでの認証不成立、つまり1回だけでのチェックNG発生で不正アクセスとすると過剰対応になる可能性がある。こうしたことを考慮して、アクセス不正判定処理では、同一の携帯端末12についてチェックNGの発生状況を判定し、チェックNGが一定回数以上連続的に発生している場合に当該携帯端末12を不正アクセス端末とする。
【0049】
ステップ305で不正アクセス端末とされた場合には、ステップ306に進み、当該携帯端末12について不正アクセス警報を出力する(不正アクセス警報出力処理)。
【0050】
図4に戻る。ステップ202では、携帯端末12の現在位置に基づくチェックを行う(携帯端末現在位置チェック処理)。携帯端末現在位置チェック処理は、図6にその流れを示すように、ステップ401〜ステップ404の各処理を含む。
【0051】
ステップ401では、携帯端末12の現在位置が使用許可エリア内であるか否かを判定する(携帯端末現在位置判定処理)。この場合、携帯端末12の現在位置は、上述のようにGPS28を利用して取得される。一方、使用許可エリアは、保守作業計画データ21に基づいて予め設定される。携帯端末12の現在位置が使用許可エリア外であるとされた場合、認証不成立となるのでステップ402に進み、チェック履歴に「チェックNG」を登録する。
【0052】
ステップ403では、保守作業管理システム1へのアクセスが不正である否かを判定する(アクセス不正判定処理)。アクセス不正判定処理では、図5のステップ305について説明したのと同様の理由から、同一の携帯端末12についてチェックNGの発生状況を判定し、チェックNGが一定回数以上連続的に発生している場合に当該携帯端末12を不正アクセス端末とする。
【0053】
ステップ403で不正アクセス端末とされた場合には、ステップ404に進み、当該携帯端末12について不正アクセス警報を出力する(不正アクセス警報出力処理)。
【0054】
図4に戻る。ステップ203では、ステップ401やステップ402で不正アクセス警報が出力されたか否かを判定する(不正アクセス警報出力判定処理)。ステップ203で不正アクセス警報出力ありとされた場合は、ステップ204として、列車運行管理システム2の管理部署などに不正アクセス警報の発生を通知し(不正アクセス警報発生通知処理)、またステップ205として、該当携帯端末12に対してアクセス不可を通知する(アクセス不可通知処理)。
【0055】
以上のステップ201〜ステップ205までの処理は、例えば夜間の一定時間帯に各地で並行的に進められている複数の保守作業それぞれの作業場所で用いられる携帯端末12のそれぞれに対して行われるものである。このためステップ206では、並行進行の保守作業分の全てついてステップ201〜ステップ205までの処理を行ったかを判定する(並行進行保守作業分処理済み判定処理)。ステップ206の判定結果が肯定的になったら動的認証処理を終了し、否定的な場合にはステップ201〜ステップ205までの処理を繰り返す。なお以上のような動的認証処理は、例えば携帯端末12から保守作業管理システム1にアクセスがある度に繰返し行うなどとして、図3のステップ104の作業着手設定処理を終えて実際に保守作業が開始されてからステップ106の作業終了設定処理まで、繰り返されることになる。
【0056】
以上のような動的認証を行うことにより、盗難された携帯端末12による不正アクセスがあっても、それを確実に阻止することができる。このため公衆通信網の利用の場合のセキュリティを大幅に高めることができ、公衆通信網の利用によるシステムの汎用性向上という利点を、より高いセキュリティ環境下で、活かすことができるようになる。
【0057】
以下では図3のステップ105で自動判定部14によりなされる自動判定処理について説明する。図7に自動判定部14でなされる自動判定処理の流れを示す。自動判定処理では、危険状況判定部18により作業場所への列車接近などの危険状況を判定してその結果を報知する安全管理処理と作業終了漏れ判定部19により作業終了漏れを判定する作業終了管理処理が行われる。そのために自動判定処理は、ステップ501〜ステップ506の各処理を含む。
【0058】
ステップ501では、安全管理処理の1つとして列車接近判定処理を行う。列車接近判定処理は、図8にその流れを示すように、ステップ601〜ステップ606の各処理を含む。
【0059】
ステップ601では、保守作業対象の線区、つまり作業線区について作業場所への接近列車の有無を列車運行状況データ24に基づいて判定する(作業線区列車接近判定処理)。列車接近ありと判定された場合はステップ602に進み、作業線区列車接近警報(ランクA警報)を携帯端末12に発信し、安全管理員(安全管理を担当する作業員)に対し接近列車への注意を促す(作業線区列車接近警報発信処理)。
【0060】
ステップ603では、作業線区に隣接する線区、つまり隣接線区について作業場所への接近列車の有無を列車運行状況データ24に基づいて判定する(隣接線区列車接近判定処理)。列車接近ありと判定された場合はステップ604に進み、隣接線区列車接近警報(ランクA警報)を携帯端末12に発信し、安全管理員に対し接近列車への注意を促す(隣接線区列車接近警報発信処理)。
【0061】
ステップ605では、間合い列車のダイヤ変更の有無を判定する(間合い列車ダイヤ判定処理)。この間合い列車ダイヤ判定処理は、保守作業の終了後に走行する予定の列車(間合い列車)の運行時間などが保守作業中に変更されていないかを判定する処理である。間合い列車ダイヤの変更ありとされた場合はステップ606に進み、間合い列車ダイヤ注意警報(ランクB警報)を携帯端末12に発信し、間合い列車の運行状態をよく確認するように安全管理員に対して注意を促す(間合い列車ダイヤ注意警報発信処理)。
【0062】
ここで、ステップ602と604で発信する警報は、音声メッセージデータ22から取り出される音声メッセージで行い、必要に応じて画像メッセージも併用する。
【0063】
図7に戻る。ステップ502では、安全管理処理の他の1つとして関連設備判定処理を行う。関連設備判定処理は、図9にその流れを示すように、ステップ701〜ステップ704の各処理を含む。
【0064】
ステップ701では、作業線区における関連設備について異常の有無の判定を設備稼働状況データ25に基づいて行う(作業線区関連設備判定処理)。上述のように関連設備とは、作業場所への列車の接近を判定するのに必要な情報に関与する鉄道設備のことで、こうした関連設備に異常があれば作業場所への列車接近を正確に判定することができなくなる。すなわち図7のステップ501での列車接近判定に信頼をおけなくなる。そこで関連設備に異常ありと判定されたらステップ702に進み、設備異常警報(ランクA警報)を携帯端末12に発信し、列車接近の自動判定の信頼性が低下していることについて安全管理員に注意を促す(作業線区設備異常警報発信処理)。
【0065】
ステップ703では、隣接線区における関連設備について異常の有無の判定を設備稼働状況データ25に基づいて行う(隣接線区関連設備判定処理)。この場合にも関連設備に異常ありと判定されたら、設備異常警報(ランクA警報)を携帯端末12に発信し、列車接近の自動判定の信頼性が低下していることについて安全管理員に注意を促す(ステップ704:隣接線区設備異常警報発信処理)。
【0066】
ここで、ステップ702と704で発信する警報は、音声メッセージデータ22から取り出される音声メッセージで行い、必要に応じて画像メッセージも併用する。
【0067】
以上のような関連設備判定処理を行うことにより、関連設備に異常を生じ、それにより作業場所への列車接近の自動判定の信頼性が低下する状況になっても、そのことを作業員に報知でき、したがって常に高い安全度を保った状態で保守作業を進めることができるようになる。
【0068】
図7に戻る。ステップ503では、作業終了管理処理を行う。作業終了管理処理は、図10にその流れを示すように、ステップ801〜ステップ806の各処理を含む。
【0069】
ステップ801では、作業終了漏れチェック時刻の判定を行う(作業終了漏れチェック時刻判定処理)。ここで、作業終了漏れチェック時刻は、作業終了予定時刻(これは図3のステップ104で保守作業実施状況データ23として登録されている作業終了予定時刻)の所定時間前、例えば10分前として設定される時刻である。作業終了漏れチェック時刻判定処理では、作業未終了の状態、つまり図3のステップ106による作業終了設定がなされていない状態で現在時刻が作業終了漏れチェック時刻になったか否かを保守作業実施状況データ23などに基づいて判定する。作業終了漏れチェック時刻となっている場合は、ステップ802に進み、作業状況確認警報(ランクB警報)を携帯端末12に発信し、作業の進行状況をよく確認するよう安全管理員に注意を促す(作業状況確認警報発信処理)。
【0070】
ステップ803では、作業終了時刻の判定を行う(作業終了時刻判定処理)。作業終了時刻判定処理では、作業終了設定がなされていない状態で現在時刻が保守作業実施状況データ23に登録の作業終了予定時刻になったか否かを判定する、つまり作業終了予定時刻までに作業終了設定がなされているか否かを判定する。作業終了予定時刻までに作業終了設定がなされないままであると、作業終了後に走行予定の列車に重大な影響を与えるおそれがある。そこで作業終了予定時刻までに作業終了設定がなされていないと判定されたらステップ804に進み、第1次の作業終了確認警報(ランクA警報)を携帯端末12に発信し、作業の進行状況をよく確認するとともに作業終了設定のし忘れがないか確認するよう安全管理員に注意を促す(第1次作業状終了認警報発信処理)。
【0071】
ステップ805では、作業終了設定がなされていない状態で現在時刻が保守作業実施状況データ23に登録の作業終了予定時刻を超過しているか否かを判定する、つまり実際の作業時間が予定の作業時間を超えているか否かを判定する(作業時間超過判定処理)。この処理はステップ803での処理の補完的な処理であり、実際の作業時間が予定の作業時間を超えていると判定されたらステップ806に進み、第2次の作業終了確認警報(ランクA警報)を携帯端末12に発信し、作業の進行状況をよく確認するとともに作業終了設定のし忘れがないか確認するよう安全管理員に注意を促す(第2次作業状終了認警報発信処理)。
【0072】
ここで、ステップ802、804、806で発信する警報は、音声メッセージデータ22から取り出される音声メッセージで行い、必要に応じて画像メッセージも併用する。
【0073】
図7に戻る。ステップ504では、ランクA警報が発生されたか否かを判定する(ランクA警報発生判定処理)。ランクA警報の発生ありと判定された場合には、ステップ505に進み、列車運行管理システム2にランクA警報あり通知を発信する(ランクA警報あり通知発信処理)。列車運行管理システム2にランクA警報あり通知が発信されると、それを受けて列車運行管理システム2のオペレータ要員などが列車の運行について臨機な対応をとることになり、これにより保守作業に関連する列車の運行管理をより適切なものとすることができる。
【0074】
以上のステップ501〜ステップ505までの処理は、例えば夜間の一定時間帯に各地で並行的に進められている複数の保守作業のそれぞれに対して行われるものである。このためステップ506では、並行進行の保守作業分の全てについてステップ501〜ステップ505までの処理を行ったかを判定する(並行進行保守作業分処理済み判定処理)。ステップ506の判定結果が肯定的になったら自動判定処理を終了し、否定的な場合にはステップ501〜ステップ505までの処理を繰り返す。なお以上のような自動判定処理は、上述のように、図3のステップ104の作業着手設定処理を終えて実際に保守作業が開始されてからステップ106の作業終了設定処理まで連続的あるいは一定時間間隔で繰り返されることになる。
【0075】
以上のような作業終了管理処理を行うことにより、作業終了漏れを確実に防止することができるようになり、作業終了漏れの発生に伴う問題を効果的に解消することが可能となる。
【0076】
以上、本発明を実施するための1つ形態について説明したが、これは代表的な例に過ぎず、本発明は、その趣旨を逸脱することのない範囲で様々な形態で実施することができる。例えば上記実施形態では、動的認証用の情報として保守作業計画データ21と携帯端末12の現在位置をともに用いるようにしていたが、いずれか一方だけを用いる形態であってもよい。また上記実施形態の保守作業管理システムは、動的認証、関連設備判定、作業終了漏れ判定の各機能をいずれも備えるものとされているが、いずれか1つの機能あるいは2つの機能を省いた形態であってもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 保守作業管理システム
11 公衆通信網
12 携帯端末
15 動的認証部
18 危険状況判定部
19 作業終了漏れ判定部
21 保守作業計画データ
28 GPS
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10